【解決手段】吸収性物品1は、肌面側に配置された透液性のトップシート22と、外面側に配置された不透液性のバックシート23と、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体21および消臭シート24とを有し、前記消臭シートが前記吸収体の外面側にのみ配置されており、前記消臭シートが、比表面積が500m
肌面側に配置された透液性のトップシートと、外面側に配置された不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体および消臭シートとを有し、
前記消臭シートが前記吸収体の外面側にのみ配置されており、
前記消臭シートが、比表面積が500m2/g〜2000m2/gの活性炭を含有することを特徴とする吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吸収性物品は、肌面側に配置された透液性のトップシートと、外面側に配置された不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体および消臭シートとを有し、前記消臭シートが前記吸収体の外面側にのみ配置されており、前記消臭シートが、比表面積が500m
2/g〜2000m
2/gの活性炭を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明で使用する消臭シートは、活性炭を含有する。前記活性炭は、木炭、ヤシがらなどの炭素原料に、水蒸気賦活および/またはアルカリ賦活を施し、多数の細孔を形成することにより、比表面積を増大させた多孔質の炭素質物質である。
【0013】
前記活性炭の比表面積は、500m
2/g以上、好ましくは700m
2/g以上、さらに好ましくは1000m
2/g以上である。前記比表面積が500m
2/g以上であれば臭気や水分を吸着しやすくなる。前記活性炭の比表面積の上限は特に限定されないが、通常2000m
2/gである。
【0014】
前記活性炭の形態は特に限定されず、粒状、繊維状のいずれも使用できる。粒状の活性炭を使用する場合、その体積平均粒子径は消臭シートの厚さや比表面積に応じて調整すればよく、通常1μm〜20μmが好ましい。活性炭の平均細孔径、細孔容積は、所望する吸収性能に応じて調整すればよい。
【0015】
前記消臭シートとしては、活性炭を含有するものであれば特に限定されない。消臭シートとしては、活性炭を通気性のシート基材で包んだもの;通気性のシート基材に活性炭が固着されたもの;活性炭と、繊維基材とを含有する混抄紙;などが挙げられる。通気性のシートとしては、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布などが挙げられる。前記繊維基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などの熱融着繊維が挙げられる。
【0016】
前記消臭シートは、その全面にわたって活性炭を均一に含有することが好ましい。活性炭の偏りを抑制できることから、消臭シートとしては、通気性のシート基材に活性炭が固着された消臭シート、または、活性炭と、繊維基材とを含有する混抄紙が好適である。また、活性炭の固定に使用される結着剤の使用量をより低減できることから混抄紙がより好ましい。結着剤の使用量が少ないほど、活性炭の細孔が塞がれにくくなり、より消臭性能が向上し、さらに、消臭シートの通気性も向上する。
【0017】
前記消臭シートの活性炭の担持量は、0.1g/m
2以上が好ましく、より好ましくは1g/m
2以上、さらに好ましくは2g/m
2以上であり、10g/m
2以下が好ましく、より好ましくは9g/m
2以下、さらに好ましくは8g/m
2以下である。担持量が0.1g/m
2以上であれば消臭性能がより向上し、10g/m
2以下であれば通気性が良好となる。
【0018】
前記消臭シートの透気抵抗値は、1.0kPa・s/m以上が好ましく、25.0kPa・s/m以下が好ましい。通気抵抗値が25.0kPa・s/m以下であれば吸収性物品中の湿気が消臭シートを通過して外に放出されやすくなる。
【0019】
前記トップシートは、吸収性物品の最も着用者側に配置されるものであり、着用者の体液を速やかに捕捉して吸収体へと移動させる。前記トップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布が使用できる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
【0020】
前記吸収体は、体液を吸収し得る。前記吸収体は、少なくとも一層の吸収層から構成される。吸収層は、吸水性材料として、前記吸水性樹脂粉末を含有するものが好ましい。前記吸収層は、吸水性材料として、さらに、吸水性繊維を含有してもよい。前記吸水性樹脂粉末としては、従来吸収性物品に使用されているものが使用できる。前記吸水性樹脂粉末には、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物などの添加剤を含むことができる。前記吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維が挙げられる。前記吸収層は、吸水性樹脂粉末に加えて、繊維基材を含有してもよい。前記繊維基材としては、熱融着繊維などを挙げることができる。熱融着性繊維は、保形性を高めるために使用される。熱融着繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などが用いられる。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末のみを含有する吸収層は、薄型化が可能である。繊維基材を含有する吸収層は、体液の分散性に優れる。
【0021】
前記吸収層は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の吸水性樹脂粉末を混合したものを、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは液透過性不織布シートに固定する、あるいはこれらの液透過性不織布シートで包み、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等の所定形状に成形することにより得られる。
【0022】
前記吸水層および吸収体の平面視形状は特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型などが挙げられる。また、吸収体は、前記吸水層の他に、吸水性樹脂粉末を固定するための接着剤層を有していてもよい。
【0023】
バックシートは、吸収性物品の最も外面側に配置されるものであり、体液等が外部に漏れ出すことを防止する。バックシートに使用される不透液性シートとしては、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した体液が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。また、さらなる拡散性付与、形状安定性のために、プラスチックフィルムと、吸収体との間に紙シートを配置してもよい。
【0024】
次に、本発明の吸収性物品の具体的な適用例について説明する。本発明の吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキンなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品が挙げられる。
【0025】
以下、本発明の吸収性物品について、使い捨ておむつの態様に基づいて説明する。本発明の使い捨ておむつの一態様としては、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記透液性トップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体および消臭シートを有し、前記消臭シートが前記吸収体の外面側にのみ配置されている態様挙げることができる。前記不透液性のバックシートは、透湿性を有することが好ましい。なお、吸収体と消臭シートとの間に透湿性を有する不透液性のシートを配置してもよい。また、必要に応じて、前記透液性のトップシートの幅方向両側にサイドシートが設けられていてもよい。サイドシートは、トップシートの幅方向両側縁部の上部に接合され、接合点より内方のサイドシートは、吸収体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップを形成する。
【0026】
本発明の吸収性物品の別の態様としては、内側シートと外側シートからなる積層体と、前記積層体の肌面側に、透液性トップシート、不透液性バックシート、および、これらの間に吸収体および消臭シートを有し、前記消臭シートが前記吸収体の外面側にのみ配置されている態様を挙げることができる。この場合、内側シートと外側シートからなる積層体は外装シート材に相当する。なお、吸収体と消臭シートとの間に透湿性を有する不透液性のシートを配置してもよい。透液性トップシートの幅方向両側縁部の上部には、吸収体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップを形成してもよい。
【0027】
使い捨ておむつの各部の名称については、おむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の臀部側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。股部とは、おむつ本体の前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態で、おむつ前後方向に3分割した中間に位置する部分であり、パンツ型に組み立てた場合におむつ幅方向両側縁が接合されない部分を意味する。おむつ前後方向とは、おむつの前腹部から後背部にかけての方向を意味し、おむつ幅方向とは、おむつの前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態で、おむつと同一面上にあり、前記前後方向に直交する方向を意味する。
【0028】
前記使い捨ておむつ(吸収性物品)としては、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とから構成され、前腹部と後背部とが側縁で接合されることによりウエスト開口部と一対の脚開口部とが形成されるパンツ型、あるいは、止着テープなどで前腹部と後背部とを貼り合わせて使用する展開型のいずれであってもよい。
【0029】
外装シート材を構成するシート材料としては、漏れ防止の点から、不透液性または撥水性不織布が好ましく、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムを挙げることができる。これらの不透液性または撥水性不織布は、透湿性を有している。外装シート材にプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0030】
使い捨ておむつ(吸収性物品)には、前腹部や後背部のウエスト開口縁に沿ってウエスト用弾性部材が設けられることが好ましい。ウエスト用弾性部材により、着用者が寝ている状態でも、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが起こりにくくなる。ウエスト用弾性部材は、複数本設けられてもよい。
【0031】
使い捨ておむつ(吸収性物品)には、脚開口縁に沿って脚用弾性部材が設けられることが好ましい。脚用弾性部材により、脚開口縁からの尿等の排泄物の漏れが防止される。なお、脚開口縁とは、使い捨ておむつの脚開口部周りの縁を意味する。脚用弾性部材は、複数本設けられてもよい。
【0032】
使い捨ておむつ(吸収性物品)には、前腹部および/または後背部に複数の胴周り用弾性部材がおむつ本体幅方向に設けられることが好ましい。胴周り用弾性部材により、おむつの下腹部と臀部周りのフィット性が向上する。
【0033】
各弾性部材は、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤で外装シート材および/または表面シート材に固定することが好ましい。ホットメルト接着材としては、ゴム系ホットメルト接着剤が好ましい。
【0034】
前記透液性トップシートの幅方向両側縁部には、不透液性のサイドシートが設けられてもよい。不透液性のサイドシートは、立ち上がりフラップを構成することが好ましい。立ち上がりフラップは、尿などの横漏れを防止して、排泄物の水分を速やかに吸収体へと移動させる。
【0035】
立ち上がりフラップの端部(着用者側の端部)には、起立用弾性部材が設けられていることが好ましい。起立用弾性部材の収縮力により、着用者側に立ち上がる立ち上がりフラップが形成され、尿等の横漏れが防止される。
【0036】
以下、本発明の吸収性物品について、図面を参照しながら説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0037】
図1は本発明の吸収性物品の一例の平面図(展開図)、
図2は
図1のI−I線の模式的断面図、
図3は
図1のII−II線の模式的断面図、
図4は本発明の吸収性物品の別例の模式的断面図である。
図1〜4において、矢印Aは吸収性物品の長さ方向、矢印Bは吸収性物品の幅方向を示し、紙面のC方向の上側が肌面側であり、下側が外面側である。
【0038】
図1には、本発明のパンツ型使い捨ておむつ(吸収性物品)の一例を示した(展開図)。パンツ型使い捨ておむつ1は、長さ方向Aに前腹部2と後背部3とを有し、前腹部2と後背部3との間に股部4を有する。前腹部2は、着用者の腹側に当接し、後背部3は着用者の臀部側に当接する。股部4には、着用者の脚周りに沿うように切欠き5が設けられている。
図1のパンツ型使い捨ておむつ1では、前腹部2の側縁2aと後背部3の側縁3aとを接合して、ウエスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ型使い捨ておむつ1となる。
【0039】
パンツ型使い捨ておむつ1は、外装シート材6の肌面側に吸収性本体20が貼り付けられている。吸収性本体20は股部4の中央より長さ方向Aに沿って延びている。
【0040】
パンツ型使い捨ておむつ1には、外装シート材6の端縁7に沿って、前側ウエスト用弾性部材8と後側ウエスト用弾性部材9が幅方向Bに伸張された状態で取り付けられている。また、切欠き5に沿って、前側脚用弾性部材10と後側脚用弾性部材11とが伸張された状態で取り付けられている。前腹部2と後背部3のそれぞれにおいて、ウエスト用弾性部材と脚用弾性部材との間に、前側胴周り用弾性部材12と後側胴周り用弾性部材13が幅方向Bに伸張された状態で取り付けられている。各弾性部材の収縮によりパンツ型使い捨ておむつ1が着用者にフィットする。
【0041】
図2は、
図1のパンツ型使い捨ておむつのI−I線における断面を模式的に説明する図である。
図2を参照して、パンツ型使い捨ておむつ1の構造について説明する。外装シート材6は、外側シート6aと内側シート6bとで構成され、両シート間に、ウエスト用弾性部材8,9、脚用弾性部材10,11、胴周り用弾性部材12,13が伸張状態で取り付けられている。外側シート6aは内側シート6bよりも長さ方向において長くなっており、端縁7において内面側(肌面側)に折り返されて折返し部14を形成している。
【0042】
外装シート材6の肌面側には、吸収性本体20が取り付けられている。吸収性本体20は、吸収体21と、吸収体21の肌面側に配置された不織布材料からなるトップシート22と、吸収体21の外面側に設けられた不透液性のバックシート23と、吸収体21とバックシート23との間に配置された消臭シート24を有する。吸収体21は、吸水性樹脂粉末25と、繊維基材26とを含有する吸収層から構成されている。消臭シート24は、活性炭27と繊維基材26とを含有する混抄紙から構成されている。パンツ型使い捨ておむつ1では、内側シート6bの内面の前腹部2と後背部3において吸収性本体20の長さ方向端部を覆うように前側エンド押さえシート15と後側エンド押さえシート16が設けられている。
【0043】
図3は、
図1のパンツ型使い捨ておむつのII−II線における断面を模式的に説明する図である。
図3に示すように不織布材料からなるトップシート22の幅方向の両側縁部の上部には、不織布材料からなるサイドシート17が接合されている。サイドシート17は、長さ方向に伸張状態で取り付けられた弾性部材18の収縮力によって着用者の肌に向かって起立する立ち上がりフラップを形成し、尿等の横漏れを防ぐバリヤーとしての役割を果たす。
【0044】
図4は、使い捨ておむつ1の別の好ましい態様を説明する模式的断面図である。パンツ型使い捨ておむつ1は、透液性のトップシート22と、不透液性のバックシート23と、前記透液性トップシート22と不透液性のバックシート23との間に吸収体21および消臭シート24を有する。透液性のトップシート22の両側縁部の上部に不透液性のサイドシート17が接合されている。接合点19より内方のサイドシート17は、着用者の肌に向かって起立する立ち上がりフラップを形成する。接合点19より外方のサイドシートは、吸収体21の側縁より外方に延出してバックシート23と接合している。表面シート材は、透液性のトップシート22と不透液性のサイドシート17を含む。外装シート材は、不透液性のバックシート23を含む。
図2〜
図4において、
図1と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本発明の吸収性物品の具体例としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッドなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品を挙げることができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
1.評価方法
(1)比表面積
活性炭の比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(島津製作所製、「フローソーブIII 2310」、BET法)により測定した。
【0048】
(2)消臭シートの透気抵抗値
消臭シートの透気抵抗値は、通気性試験機(カトーテック社製、「KES−F8−AP1」)を用いて測定した。通気性シートを32枚積層したものを試験片とし、一定流量(4ml/cm
2/sec)の時の圧力損失を測定した。測定は3回行い、その平均値を算出した。
【0049】
(3)消臭効果試験
消臭効果は、官能試験により評価した。具体的には、吸収性物品に、表面シート側から人尿5mlを注いだ後、密封容器に入れた。この密封容器を、37℃に設定した恒温槽中で保管し、保管開始時(0時間)と、保管時間が0.5時間、1時間および3時間の時点で臭いを確認し、下記の0〜5の6段階評点で評価した。
<評点>
0:無臭である。
1:かすかに臭いを感知できる。
2:尿の臭いを感知できるが、臭いは弱い。
3:容易に臭いを感知できる。
4:強く臭う。
5:強烈に臭う。
【0050】
2.消臭シートの準備
2−1.消臭シート1
消臭シートとして、活性炭とパルプ繊維とを含む混抄紙(大昭和ファースト社製)を準備した。この消臭シートは、活性炭の担持量が2.0g/m
2、活性炭の比表面積が900m
2/g、消臭シートの厚さが0.1mm、透気抵抗値が9.2kPa・s/mである。
【0051】
3.吸収性物品の作製
3−1.吸収性物品1
バックシートとしての通気性を有する不透液性フィルム(ポリエチレン(PE)製)の上に消臭シート1を配置した。この消臭シート1の上に、吸収体を形成した。吸収体は、消臭シート1上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層し、ティッシュペーパーを積層し、さらにその上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層し、ティッシュペーパーを積層して形成した。前記吸収体上に、トップシートとしてエアスルー不職布(目付量:18g/m
2)を重ね、積層体を作製した。この積層体を、正方形状(5cm×5cm四方)に切り出し、周縁部をクラフトテープで接合して、吸収性物品1を得た。
【0052】
3−2.吸収性物品2
バックシートとしての通気性を有する不透液性フィルム(ポリエチレン(PE)製)の上に、ティッシュペーパーを積層し、その上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した。次いで、フラッフパルプ上に、消臭シート1を積層した。この消臭シート1の上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した後、その上にトップシートとしてエアスルー不職布(目付量:18g/m
2)を重ね、積層体を作製した。この積層体を、正方形状(5cm×5cm四方)に切り出し、周縁部をクラフトテープで接合して、吸収性物品2を得た。
【0053】
3−3.吸収性物品3
バックシートとしての通気性を有する不透液性フィルム(ポリエチレン(PE)製)の上に、ティッシュペーパーを積層し、その上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した。フラップパルプ上に、さらにティッシュペーパーを積層し、その上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した。このフラップパルプ上に、消臭シート1を積層し、その上にトップシートとしてエアスルー不職布(目付量:18g/m
2)を重ね、積層体を作製した。この積層体を、正方形状(5cm×5cm四方)に切り出し、周縁部をクラフトテープで接合して、吸収性物品3を得た。
【0054】
3−4.吸収性物品4
バックシートとしての通気性を有する不透液性フィルム(ポリエチレン(PE)製)の上に、ティッシュペーパーを積層し、その上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した。このフラップパルプ上に、活性炭(比表面積:900m
2/g、目付量:1.0g/m
2)を散布した。その後、さらにフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層し、ティッシュペーパーを積層した後、トップシートとしてエアスルー不職布(目付量:18g/m
2)を重ね、積層体を作製した。この積層体を、正方形状(5cm×5cm四方)に切り出し、周縁部をクラフトテープで接合して、吸収性物品4を得た。
【0055】
3−5.吸収性物品5
バックシートとしての通気性を有する不透液性フィルム(ポリエチレン(PE)製)の上に、ティッシュペーパーを積層し、その上にフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層した。このフラップパルプ上に、木炭粉末(比表面積:300m
2/g、目付量:1.0g/m
2)を散布した。その後、さらにフラッフパルプ(目付量:200g/m
2)を積層し、ティッシュペーパーを積層した後、トップシートとしてエアスルー不職布(目付量:18g/m
2)を重ね、積層体を作製した。この積層体を、正方形状(5cm×5cm四方)に切り出し、周縁部をクラフトテープで接合して、吸収性物品5を得た。
【0056】
得られた吸収性物品について消臭効果試験を行い、結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
吸収性物品1は、吸収層の外面側に、活性炭と繊維基材との混抄紙からなる消臭シートを配置した場合である。この吸収性物品1では、0.5時間後、1時間後の臭気強度が験開始時(0時間)よりも、小さくなっていた。
【0059】
吸収性物品2は吸収層内に消臭シートを配置した場合であり、吸収性物品3は吸収層の肌面側に消臭シートを配置した場合である。これらの吸収性物品2、3では、吸収性物品1と同様の消臭シートを使用しているにもかかわらず、0.5時間後の臭気強度は開始時と同等であり、また、3時間後の臭気強度は開始時よりも強くなっている。これは、体液によって消臭シート中の活性炭が濡れて、細孔が塞がれたため、活性炭の消臭性能を十分に発揮できていないためと考えられる。吸収性物品4と吸収性物品5は、活性炭と木炭との消臭性能を比較したものである。これらの消臭試験結果から、高比表面積を有する活性炭は、木炭よりも消臭性能に優れていることがわかる。