(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-71414(P2015-71414A)
(43)【公開日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】航空機用ギャレー壁ユニット
(51)【国際特許分類】
B64D 11/04 20060101AFI20150320BHJP
【FI】
B64D11/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-232971(P2014-232971)
(22)【出願日】2014年11月17日
(62)【分割の表示】特願2013-530350(P2013-530350)の分割
【原出願日】2011年9月23日
(31)【優先権主張番号】13/241,747
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/385,791
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ハッカー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル,ウィリアム,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シャンバーリン,アンソニー,アール
(72)【発明者】
【氏名】ニルセン,エリック,エイヴィンド スットン
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー,ジェイムズ,ブライアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ギャレーカートのドアと美観を改良した航空機用ギャレー壁ユニットを提供すること。
【解決手段】下部収納庫と、中央収納庫と、上部収納庫とを含み、前記複数の収納庫のうちの各々は、前記航空機用ギャレー壁ユニットの前部に向かって開いている、複数の収納庫と、前記下部収納庫を覆う複数のドアであって、当該複数のドアのうちの各ドアは、当該各ドアを180度動けるようにする細長いドアヒンジ64により前記下部収納庫のうちの各々の一辺に沿ってヒンジで動くように構成され、前記各ドアは周囲密閉部を備え、前記各ドアを閉めた際に、前記周囲密閉部が前記下部収納庫のうちの各々の補完的な密閉部66と協働して前記下部収納庫のうちの各々を密閉状態とする、複数のドアとを含む、航空機用ギャレー壁ユニット。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用ギャレー壁ユニットであって、
固定された垂直壁を形成するよう配置された複数の収納庫であって、運搬可能なギャレーカートを収容するよう構成された下部収納庫と、ギャレーの電気機器を収容するよう構成された中央収納庫と、運搬可能なギャレーカート及びギャレーの電気機器以外のギャレー物品を収容するよう構成された上部収納庫とを含み、前記複数の収納庫のうちの各々は、前記航空機用ギャレー壁ユニットの前部に向かって開いている、複数の収納庫と、
前記下部収納庫を覆う複数のドアであって、当該複数のドアのうちの各ドアは、当該各ドアを180度動けるようにする細長いドアヒンジにより前記下部収納庫のうちの各々の一辺に沿ってヒンジで動くように構成され、前記各ドアは周囲密閉部を備え、前記各ドアを閉めた際に、前記周囲密閉部が前記下部収納庫のうちの各々の補完的な密閉部と協働して前記下部収納庫のうちの各々を密閉状態とする、複数のドアと
を含む、航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項2】
前記下部収納庫の前記複数のドアのうちの各々は、前記ドアを閉めて密閉状態となっている際はギャレーデッキと係合する底部ドア密閉部であって、前記ドアが開いて前記ドアを自在に動かすことができている際は前記ギャレーデッキよりも上方位置に上がるように構成された、底部ドア密閉部
を含む、請求項1に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項3】
前記底部ドア密閉部は、前記各ドアの前記ヒンジとは逆の側に位置するマグネットであって、前記ドアを閉めた際に前記底部ドア密閉部を前記ギャレーデッキに対する密閉位置へと横方向及び下方向に付勢するよう構成された、マグネット
を含む、請求項2に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項4】
前記中央収納庫のうちの1つに、飲物準備用電気機器を一体的に含む、請求項1に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項5】
前記下部収納庫と前記中央収納庫との間に位置する水平のスロットの中に収容される、展開可能な作業テーブルであって、当該作業テーブルの取り出しを可能にするよう当該作業テーブルを解放するための第1の位置と、当該作業テーブルを前記水平のスロットから部分的に取り出すための第2の位置との間を動くことができるラッチによって、前記航空機用ギャレー壁ユニットの前記前部の方向に水平に取り出し可能である、作業テーブル
を含む、請求項1に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項6】
前記細長いドアヒンジの各々は、スチール製のスリーブと一体成形された高密度合成樹脂で形成される、請求項1に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【請求項7】
前記細長いドアヒンジの各々は、前記下部収納庫のうちの各々の前部を超えて前方向に延在する第1の部分と、当該第1の部分に対して少なくとも180度旋回するよう構成された第2の部分とを含み、前記第1の部分は前記下部収納庫のうちの各々の壁に取り付けられ、前記第2の部分は前記各ドアに取り付けられる、請求項1に記載の航空機用ギャレー壁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の乗客のために機内食及び飲物を準備するために航空機内で使用される一般的なタイプの航空機用ギャレー壁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、ギャレーは実用的であると共にコンパクトであるよう、そして不使用時に移動させることのできる作業台等の要素を備えるよう設計される。この要件において、ギャレーのデザインは様々なサイズや形状の要件に適応でき、多種多様な食品と飲料品を収容するものでなければならない。さらに、ギャレーのオーブンと冷蔵庫は航空機の補助電源装置、または1つ以上の航空機エンジンからのブリード力によって電力を供給されるので、エネルギー効率も重要である。ギャレーは、不使用時にギャレーカートを収容及び収納するよう設計されることが多い。本願は、従来技術のデザイン特有の利点を保持しながら、ギャレーに幾つかの改良を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的はギャレーカートのドアと美観を改良したギャレーを提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、カートドア部分の密閉部を改良し、一体化したギャレーを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、カートドアのヒンジを改良したギャレーを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、容易に展開できる作業台を一体化したギャレーを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、清掃及び補修の容易なギャレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこれらの及び他の目的及び利点は、上部収納領域、中央収納領域、及び下部収納領域を含む垂直壁の形態の取付けラックであって、少なくとも1つの収納スロットが前記中央収納領域と前記下部領域の間に横方向に延在して前記スロット内に作業台が収納される前記取付けラックと、前記作業台を少なくとも部分的に前記スロットから、使用者によって完全に展開した位置にさらに拡張されるための位置へ押し出すためのラッチと、を含む、乗り物におけるモジュール式一体型ギャレーを提供することによって達成される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記ラッチは、収納された位置にある前記作業台をロック解除する第1の位置と、使用者によって前記完全に展開した位置にさらに拡張されるための位置へ前記作業台を前記スロットから押し出す第2の位置と、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、使用者が同時に操作できるよう各作業台の内側と外側の両方にラッチが設けられている。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、展開した位置にある前記作業台は、固定されたワークカウンタの延長部を構成する。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、乗り物におけるモジュール式一体型ギャレーが提供され、前記ギャレーは、上部収納領域、中央収納領域、及び下部収納領域を含む垂直壁の形態の取付けラックを含み、前記下部収納領域は複数のギャレーカートを収容するための複数の収納庫を画定し、前記収納庫の各々は、周囲密閉面を備えたドアによって囲われ、前記ドアを閉めた際に、前記ドアの周囲密閉面が前記収納庫の周囲密閉面の補完的な密閉面と協働して密閉状態を作り出し、前記下部収納領域はさらに、前記ドアの取付けエッジに沿って垂直方向に延在すると共に前記ドアがその閉位置と開位置との間で180度動けるようにする細長いヒンジを含む。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、下方ドア密閉部は、前記ドアを閉めた際にギャレーデッキと係合し、前記ドアが開いている際は上方位置に上がっているように構成される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、前記ギャレーは、前記ドアを閉めた際にギャレーデッキと係合し、前記ドアが開いている際は上方位置に上がっているように構成された下方ドア密閉部を備え、前記ギャレーはさらに、前記ドアの前記ヒンジとは逆の側に位置するマグネットであって、前記ドアを閉めた際に前記下方ドア密閉部を前記ギャレーデッキに対する密閉位置へと横方向及び下方向に付勢するよう構成された前記マグネットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるギャレーの正面図である。
【
図3】ギャレー下部正面の拡大図であり、カートドアヒンジとヒンジ解放部を示す図である。
【
図4】完全に開いた位置にあるギャレーカートドアの部分図である。
【
図5】カートドアの部分拡大図であり、特にカートドアの密閉部とそれらが対向する構成を示す図である。
【
図7】開位置にあるギャレーカートドアの斜視図である。
【
図9】閉位置にあるギャレーカートドアの斜視図である。
【
図10】ギャレーの部分拡大図であり、特に作業台の展開・使用時状態を示すと共に、挿入図で作業台ラッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照すると、
図1にはギャレー10が示されており、該ギャレー10は上部収納領域20、中央収納領域40、及び下部収納領域60を含む。上部収納領域20は、開位置と閉位置との間で移動するドア24によって囲われた収納庫を含む。
【0017】
中央収納領域40は、開位置と閉位置との間で移動するドア44によって囲われた収納庫を含む。中央収納領域はまた、関連する電気機器を備えた飲料準備所46と、不使用時には収納スロット内に収納される展開可能な作業台48とを含む。
【0018】
下部収納領域60は、ギャレーカートの収納庫を含み、該収納庫のドア62は以下でより詳細に説明する幾つかの新規な特徴を含んでいる。
図2及び
図3も参照されたい。
【0019】
図4及び
図5に示すように、ギャレーカートドアのヒンジ64は、軽量であり且つ長期にわたって強度を維持するよう、高密度合成樹脂で製造され、スチール製のスリーブと一体成形されている。図示するように、ヒンジ64は完全に180度の移動度を有していて、ドア62をその背面がギャレーの壁と重なるように折り返すことができる。ギャレーのドア密閉部66はドアフレームの周囲に延在し、ドア62の全周にわたる平坦な密閉位置でドア62を閉じられるようにしている。なお、ドア62の裏面壁の凹部70は、ギャレーカートラッチ72を収容する。
【0020】
図6及び
図7を参照すると、下方ドア密閉部74は、ドア62を閉めた際はギャレーデッキと係合し、ドア62が開いた状態にある場合には上方位置に上がる。ドア62は、ドア62の裏面に取り付けたマグネット76によって開位置に維持される。ドア62それぞれに、このような装備がなされている。
図8及び
図9に示すように、ドア62を閉めると、ドア62のヒンジ64とは反対側に位置したマグネット78が下方ドア密閉部74を横方向に押し、これにより磁気的な反発が起こり、下方ドア密閉部が下方向にスライドしてギャレーデッキと密閉係合状態となる。
【0021】
図10に示すように、作業台48は、使用しない時には、主作業カウンタ52下に位置する収納スロット50内に配置される。ラッチ54により、作業台はカウンタ52と同一面に収納することができる。各ラッチは2位置ラッチであり、その第1の動作により作業台48がロック解除され、第2の動作により作業台が解放されて25mm押し出され、乗務員が使用するために作業台48のエッジを持って300mmの完全伸展まで引き出すのに十分な手掛かりとなる。作業台48を収納するにはこのプロセスを逆に行う。
【0022】
ギャレーの開示は以上の通りである。変換可能な乗客用シートアセンブリの多様な詳細は、本発明の主旨及び意図する広範で全般的な範囲を逸脱することなく、変更、変形、改造、又は再編することが可能である。さらに、本発明の例示的又は好適な実施形態、及び本発明を作成、使用、実施するための最良の形態の以上の説明は、単なる例示を意図したものであって発明を制限するものではない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
(付記1)
乗り物用のモジュール式一体型ギャレーであって、
上部収納領域、中央収納領域、及び下部収納領域を含む垂直壁の形態の取付けラックであり、前記中央収納領域と前記下部領域の間に水平方向に延在する少なくとも1つの収納スロットであって、押し出し可能な作業台が収納される前記収納スロットを有する、前記取付けラックと、
前記作業台を、前記スロットから、前記モジュール式一体型ギャレーの前面の方向に向けて、完全に展開した位置にさらに拡張するために使用者が持つことができる位置へ、水平方向に押し出すラッチとを含み、
前記ラッチを、前記作業台を前記スロットにおける収容位置から解除する第1の位置と、前記作業台を前記スロットから水平方向に押し出す第2の位置とに、位置させることが可能である、
乗り物用のモジュール式一体型ギャレー。
(付記2)
使用者が同時に操作できるよう前記作業台の内側と外側の両方にラッチを設けた、
付記1に記載のモジュール式一体型ギャレー。
(付記3)
前記作業台が、前記スロットから、前記モジュール式一体型ギャレーの前方にカウンタのトップ表面を延長するように、展開する、
付記1又は2に記載のモジュール式一体型ギャレー。
【符号の説明】
【0024】
10 ギャレー
20 上部収納領域
40 中央収納領域
48 作業台
60 下部収納領域
24、44、62 ドア
64 ヒンジ
66、74 密閉部
54、72 ラッチ