【解決手段】スタッカ部(3)に排出される用紙の用紙搬送方向寸法及び排出枚数を入力する用紙情報入力部を備え、スタッカ部(3)は、ベルト搬送機構(31)と、ベルト搬送機構(31)で搬送される用紙を、略水平な搬送面から所定角度傾斜した状態で積載する背板(32)と、用紙搬送方向における用紙満杯位置を、所望の位置に設定可能となるように、用紙搬送方向に移動可能に設けられた満杯検知機構(37)と、を備え、制御部(7)は、ベルト搬送機構(31)の駆動モータ(41)に対し、用紙情報入力部からの用紙情報に基づき、用紙がスタッカ部(3)に排出される毎にベルト搬送機構(31)のベルト(31a)を所定量だけ移動させる第1搬送モードと、用紙が所定の複数枚排出される毎に前記ベルトを所定量だけ移動させる第2搬送モードとの間で切り換える。
用紙加工機構を内蔵する装置本体と、前記装置本体から排出される用紙を積載するスタッカ部と、少なくとも前記スタッカ部の作動を制御する制御部と、を備えている用紙加工装置において、
前記装置本体は、前記装置本体から前記スタッカ部に排出される用紙の用紙搬送方向の寸法及び排出枚数を、前記制御部に入力する用紙情報入力部を備え、
前記スタッカ部は、前記装置本体から排出される用紙を搬送するベルト搬送機構と、前記ベルト搬送機構を駆動する駆動機構と、前記ベルト搬送機構で搬送される用紙を、略水平な搬送面から所定角度傾斜した状態で積載する背板と、ベルト搬送機構上の用紙搬送方向における用紙満杯位置を、所望の位置に設定可能となるように、前記用紙搬送方向に移動可能に設けられた満杯検知機構と、を備え、
前記制御部は、前記駆動機構に対し、前記用紙情報入力部からの用紙情報に基づき、用紙が前記スタッカ部に排出される毎に前記ベルト搬送機構のベルトを所定量だけ移動させる第1搬送モードと、用紙が所定の複数枚排出される毎に前記ベルトを所定量だけ移動させる第2搬送モードとの間で、切り換えるよう制御する、用紙加工装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の用紙加工装置のスタッカ部は、前述のように、用紙の用紙搬送方向の寸法に応じて、搬送用のベルトの移動量を変更することにより、搬送中の用紙の重なり量を変更するようになっているが、ベルト搬送機構のベルトが移動するタイミングは可変となっていない。そのため、作業中におけるベルトの総移動時間が長くなり、用紙積載量が増えるに従い、積載用紙の下端部が強く背板に押し付けられ、積載用紙が搬送上流側に倒れる現象が生じることがある。
【0007】
特許文献2の用紙加工装置のスタッカ部は、所定枚数を検知する毎にベルトを所定量移動させているが、用紙の用紙搬送方向の寸法に関係なく、ベルトの移動量が一定である。したがって、各種用紙寸法の用紙に対し、均等に積載することが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、用紙加工装置において、各種寸法の用紙に応じて、ベルト搬送機構上の搬送形態を変更できるようにすることにより、積載用紙の倒れ現象の防止及び排出不良の防止を図ると共に、常に綺麗に並んだ状態で積載できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙加工機構を内蔵する装置本体と、前記装置本体から排出される用紙を積載するスタッカ部と、少なくとも前記スタッカ部の作動を制御する制御部と、を備えている用紙加工装置において、前記装置本体は、前記装置本体から前記スタッカ部に排出される用紙の用紙搬送方向の寸法及び排出枚数を、前記制御部に入力する用紙情報入力部を備え、前記スタッカ部は、前記装置本体から排出される用紙を搬送するベルト搬送機構と、前記ベルト搬送機構を駆動する駆動機構と、前記ベルト搬送機構で搬送される用紙を、略水平な搬送面から所定角度傾斜した状態で積載する背板と、ベルト搬送機構上の用紙搬送方向における用紙満杯位置を、所望の位置に設定可能となるように、前記用紙搬送方向に移動可能に設けられた満杯検知機構と、を備え、前記制御部は、前記駆動機構に対し、前記用紙情報入力部からの用紙情報に基づき、用紙が前記スタッカ部に排出される毎に前記ベルト搬送機構のベルトを所定量だけ移動させる第1搬送モードと、用紙が所定の複数枚排出される毎に前記ベルトを所定量だけ移動させる第2搬送モードとの間で、切り換えるよう制御する。
【0010】
本発明は、上記内容に加え、次の構成を備えることができる。
【0011】
(a)前記用紙加工機構として、装置本体内に供給された用紙を折り畳む折り機構と、折り畳んだ用紙を圧着する圧着機構と、用紙に対する用紙搬送方向における折り畳み位置を前記制御部に入力する折り畳み位置情報入力部と、を備え、前記制御部は、前記折り畳み位置情報入力部と前記用紙情報入力部とから入力された情報に基づき、前記第1モードと前記第2モードとを切り換えるよう前記駆動機構を制御する。
【0012】
(b)前記制御部は、前記スタッカ部に排出される用紙の前記用紙搬送方向の寸法が、所定値以上の場合には、前記第1搬送モードに設定し、前記所定値未満の場合には、第2搬送モードに設定するよう、前記駆動機構を制御する。
【0013】
(c)前記折り機構及び圧着機構を有する用紙加工装置において、制御部は、前記折り畳み位置情報入力部により入力される用紙に対する折り畳位置情報が、用紙を略均等な折り片に分割する位置でない場合には、前記第1搬送モードに設定するように前記駆動機構を制御する。
【0014】
(d)前記用紙加工機構として、装置本体内に供給された用紙を折り畳む折り機構と、折り畳んだ用紙を圧着する圧着機構と、を備え、前記折り機構と前記圧着機構は、前記装置本体内の各用紙搬送方向が所定の角度を持って交差するよう、配置されている。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明によると、スタッカ部内に、用紙搬送方向に位置変更可能な満杯検知機構を備えているので、用紙の寸法あるいは厚みに応じて、可能な限り大きな満杯容量をそれぞれ設定でき、ベルト搬送機構上のスペースを有効に用紙積載に利用することができる。
【0016】
(2)用紙の寸法等によって、用紙がスタッカ部に1枚排出される毎に、ベルト搬送機構のベルトを所定量だけ移動させる第1搬送モードと、用紙が所定の複数枚排出される毎にベルトを所定量だけ移動させる第2搬送モードとの間で、切り換えることができるので、たとえば、第1搬送モードでは、積載用紙全体が常に綺麗に並んだ状態で搬送し、積載でき、一方、第2搬送モードでは、ベルト搬送機構の全作業におけるベルトの移動量を減らし、確実に積載用紙の前倒れを防止できる。また、ベルト搬送機構を駆動するためのエネルギーの節約ができる。特に、満杯検知機構による用紙満杯量をできる限り大きく設定した場合には、短い用紙では、移動するベルトからの押圧力により、積載用紙の下端部が押され、倒れ減少が生じ易くなるが、第2搬送モードとすることにより、用紙の倒れを防止できるのである。
【0017】
(3)折り機構と圧着機構とが、同一の用紙搬送方向を有するように装置本体内に配置された用紙加工装置において、折り畳数あるいは折り畳み形状によって、排出される用紙の厚みが大きくなったり、あるいは折り片の端縁がずれた状態で折り畳まれることがある。厚みが大きくなった場合には、たとえば、ベルト上の搬送が円滑に出来なくなって、積載用紙が不揃いに並んだり、ベルト上の押さえ用のころとベルトとの間で用紙が強く挟持されて、スムースな搬送が出来なくなる。また、折り片同士がずれるように折り畳んだ場合には、圧着後の用紙がカールして、ベルト上に綺麗に並べて搬送出来なくなることがある。これに対し、上記構成(a)によると、用紙寸法の情報と共に、用紙折り畳み位置情報も考慮して、前記第1モードと前記第2モードとを切り換えるので、上記のような課題を解消できる。
【0018】
(4)上記構成(b)によると、ベルト搬送機構は、用紙の用紙搬送方向の寸法が所定値以上の場合には第1搬送モードに設定され、所定値未満の場合には第2搬送モードに設定されるので、用紙搬送方向の寸法が短い用紙の場合には、第2搬送モードに設定されることにより、前述のようにベルトの作業全体の移動量が減少し、満杯容量を増加させた場合でも、積載用紙の倒れを防ぐことができる、一方、用紙搬送方向の寸法が長い用紙の場合には、第1搬送モードに設定されることにより、用紙の重なり長さを減らして、重なり厚みを小さくすることにより、搬送不良を防ぐことができる。
【0019】
(5)折り機構と圧着機構とが、同一の用紙搬送方向を有するように装置本体内に配置された用紙加工装置において、前述の(2)項のように、折り片の端縁がずれた状態で折り畳まれ、圧着後に用紙がカールする場合がある。これに対し、上記構成(c)によると、用紙を略均等な折り片に折り畳む位置でない場合には、前記第1搬送モードに設定するので、たとえば圧着後に用紙がカールしても、排出用紙は1枚ずつ所定距離だけ搬送されるので、カールが原因する詰まりや変則的な重なりによる搬送不良が防がれる。
【0020】
(6)上記構成(d)のように、折り機構と圧着機構とを、装置本体内の各用紙搬送方向が所定の角度を持って交差するよう、配置していると、用紙加工装置自体をコンパクトに配置できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
図1乃至
図12に基づいて、本発明の第1の実施の形態に係る用紙加工装置を説明する。装置全体を示す
図1において、用紙加工装置は、装置本体1と、給紙部2と、スタッカ部3とを備えている。装置本体1は、第1用紙搬送方向D1を有する本体上流部1aと、第2用紙搬送方向D2を有する本体下流部1bとから構成されており、本体上流部1aと本体下流部1bとは、両用紙搬送方向D1、D2が略直交するように、平面視でL字状に配置されている。給紙部2は本体上流部1aの第1用紙搬送方向D1の上流端に接続され、スタッカ部3は本体下流部1bの第2用紙搬送方向D2の下流端に接続されている。本体下流部1bには、各種入力キー及び表示部を有する操作パネル6が設けられ、操作パネル6の近傍に制御部7が設けられている。前記操作パネル6は、用紙寸法情報の入力操作と、スタッカ部の用紙搬送態様を、キー操作により後述する第1搬送モードと、第2搬送モードと、自動選択モードとの間で、切り換える切り換え操作のうち、少なくとも一方の操作ができる。すなわち、操作パネル6は、用紙情報入力部としての機能を有している。なお、用紙寸法情報として、加工前用紙の寸法、用紙の分割位置、排出用紙寸法などが入力される。また、操作パネル6において、自動選択モードに設定した場合には、後述するように各種センサから入力される用紙寸法情報に基づいて搬送モードが自動的に選択される制御には限定されず、当然、操作パネル6により用紙寸法情報を入力し、入力された前記情報に基づいて、搬送モードが自動的に選択される制御も可能である。
【0023】
図2は、両用紙搬送方向D1、D2を同一直線上で表した
図1の縱断面展開図であり、給紙部2は、エア吸引式ベルト給紙機構等の給紙機構2aを有しており、給紙台上に積載された未加工又は一部加工済みの用紙Pを、1枚ずつ装置本体1内に供給する。
【0024】
装置本体1の本体上流部1a内には、第1用紙搬送方向D1の上流側から、折り機構11及びスリット形成機構12が配置されており、本体下流部1b内には、第2用紙搬送方向D2の上流側から、方向変換機構13、圧着機構14及び排出機構15が配置されている。
【0025】
折り機構11は、スイッチバック方式のバックル式の折り機であって、複数の折りローラ22と、搬送面から下方に突出する2台の折りトレー23とを備えており、給紙部2から搬送される用紙Pを、ストッパ23aに当接するまで折りトレー23に挿入し、折りローラ22により、第1用紙搬送方向D1と直交する折り線に沿って、二つ折りあるいは三つ折りに折り畳む。二つ折りとはV形折りであり、三つ折りとはZ形折りあるいはC形折りである。ストッパ部23aのトレー長さ方向の位置を変更することにより、折り位置を所望の位置に調節することができる。したがって、ストッパ部23aは、折り畳み位置入力部としても機能する。
【0026】
スリット形成機構12は、第1用紙搬送方向D1と直交する方向に間隔を置いて複数毎の回転刃対25を備えており、所望数の回転刃対25を利用して、用紙Pを第1用紙搬送方向D1に沿って切断する。たとえば、1枚の用紙を2枚、3枚あるいは4枚以上に分割する。
【0027】
方向変換機構13は、たとえばベルト搬送機構であり、スリット形成機構12から排出された用紙Pを受け止め、第2用紙搬送方向D2に搬送する。
【0028】
圧着機構14は、上下の圧着ローラ26a、26bで構成されており、折り畳まれた用紙Pを両圧着ローラ26a,26b間で挟持し、接着剤塗布領域を圧着する。下側の圧着ローラ26bはベルト伝導機構27を介して駆動モータ28に連結されている。上側圧着ローラ26aは、下側圧着ローラ26bとの接触面の摩擦を介して従動するか、あるいは図示しないがギヤ伝達機構等を介して下側圧着ローラと反対方向に同期回転するように構成されている。圧着機構14の下側圧着ローラ26bまたは駆動モータ28には、回転速度センサ26cが設けられており、該回転速度センサ26cは制御部7に電気的に接続され、制御部7に圧着ローラ26bの回転速度を入力する。
【0029】
排出機構15は、第2用紙搬送方向D2に間隔を置いて配置された2組の排出ローラ対29a、29bから構成されており、圧着された用紙Pを、スタッカ部3に連続的に排出する。排出ローラ対29a、29bは、図示しないベルト伝導機構を介して、前記圧着ローラ26a、26bと同期回転するように構成されている。
【0030】
スタッカ部3は、ベルト搬送機構31と、該ベルト搬送機構31の第2用紙搬送方向D2の下流端に配置された背板32と、ベルト搬送機構31上に配置された第1及び第2ころ35,36と、満杯検知機構37とを、備えており、排出機構15から排出される加工済みの用紙Pを、第2用紙搬送方向D2に搬送し、背板32上に傾斜状態に立てて順次積載する。
【0031】
ベルト搬送機構31は、第2用紙搬送方向D2の上流側に配置された駆動ローラ31bが、ベルト式の伝動機構40介して駆動モータ(駆動機構)41に連結されている。駆動モータ41は、制御部7に電気的に接続され、制御部7からの指令により、指定速度及び指定タイミングで駆動する。
【0032】
本発明に係る用紙情報入力部として、前記操作パネル6のキー操作のみを利用することも可能であるが、該実施の形態では、前記圧着機構14の回転速度センサ26cと、圧着機構14と排出機構15との間に、光透過式用紙検知センサ48を備えている。勿論、用紙情報入力部として操作パネル6と用紙検知センサ48及び回転速度センサ26cを併用しても、いずれか一方のみを使用してもよい。
【0033】
用紙検知センサ48は、制御部7に電気的に接続されており、圧着機構14から排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の先端及び末端をそれぞれ検知し、それらの検知タイミング(時期)及び検知数を制御部7に入力するように構成されている。
【0034】
制御部7は、圧着機構14の回転速度センサ26cから入力されるローラ回転速度に基づいて、圧着ローラ16bの外周面の周速度を求め、該周速度を、圧着ローラ26a、26bから搬出される用紙Pの搬送速度とし、この搬送速度情報と、前記用紙検知センサ48から入力された用紙Pの先端及び末端の通過タイミング(時期)情報とから、排出機構15から排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さ、排出枚数、及び排出タイミングを演算する。搬送モード自動選択時に、前記第2用紙搬送方向D2の用紙長さ、排出枚数、及び排出タイミング等の用紙情報に基づいて、スタッカ部3のベルト搬送機構31の駆動モータ41の発停及び回転速度等を制御する。たとえば、第1搬送モード、第2搬送モードとの間で、切り換え制御する。
【0035】
図3乃至
図5により、スタッカ部3の詳細構造を説明する。斜視図である
図3において、背板32は、下端部がスタッカ部3のフレーム50に回動可能かつ所定の回動位置に固定可能に支持されており、第2用紙搬送方向D2の下流側に傾いた状態で維持されている。ベルト搬送機構31の搬送面に対する背板32の傾斜角度は、たとえば45°乃至80°程度の範囲で調節可能である。
【0036】
ベルト搬送機構31の駆動ローラ31bは、伝動機構40に連結された共通の駆動軸40aに、第2用紙搬送方向D2と直交する方向に等間隔を置いて3個固着されている。3個の駆動ローラ31bにはそれぞれベルト31aが巻き掛けられおり、3本のベルト31aは、第2用紙搬送方向D2に沿って搬送下流側に平行に延び、3つの従動ローラ31c(
図2参照)にそれぞれ巻き掛けられている。
【0037】
ベルト搬送機構31上の用紙搬送下流側に配置された第2ころ36は、ころ軸36cと、該ころ軸36cの軸方向両端に固着された大径ころ部材36bと、両大径ころ部材36b間に配置されてころ軸36cに固着された3個の小径ころ部材36aと、から構成されている。3個の小径ころ部材36aは、軸方向に等間隔を置いて配置され、3本のベルト31aの上にそれぞれ載せられている。ころ軸36cはフレーム50の両ガイド板50aの上端部に対して、軽く接触するかあるいは上下方向の若干の隙間を有しており、第2ころ36は、ベルト搬送機構31の作動中、ベルト31a又はベルト31a上の用紙Pの第2用紙搬送方向D2への移動に伴って、第2用紙搬送方向D2に移動し、背板32に積載される用紙Pに上方から当接する。
【0038】
ベルト搬送機構31上の用紙搬送上流側に配置された第1ころ35は、支軸35bと、3個のころ部材35aとから構成されており、3個のころ部材35aは、それぞれ軸受を介して支軸35bに回転自在に支持されると共に、3本のベルト31aに上面にそれぞれ載せられている。支軸35bの軸方向の一端部は、くの字形の揺動アーム54の上端部に固着されており、この揺動アーム54の揺動と共に略上下方向に移動可能となっている。
【0039】
図5は第1ころ35及び満杯検知機構37を、第2用紙搬送方向D2に沿って移動するための駆動機構を示している。スタッカ部3のフレーム50(
図3)には、第2用紙搬送方向D2に移動自在にスライド板56が支持されており、該スライド板56の第2用紙搬送方向D2と直交する方向の一端部に前記揺動アーム54が配置され、揺動アーム54の下端部は図示しない支軸に回動自在に支持されている。支軸57はフレーム50に回動自在に支持されている。
【0040】
前述の満杯検知機構37は、前記支軸57の一端に固着された検知レバー37aと、他端に固着された遮蔽板37bと、スライド板56の上面に固定されたコの字状の光センサ37cと、を備えている。検知レバー37aは第2用紙搬送方向D2側の端部に当接面を有しており、前記当接面に第2ころ36(
図4)の大径ころ部材36bが当接可能となっている。すなわち、検知レバーに第2ころ36の大径ころ部材36bが当接することにより、検知レバー37aが押され、遮蔽板37bが下降して、光センサ37cの光を遮蔽することにより、満杯を検知するようになっている。
【0041】
スライダ板56の他端部には、ねじ送り機構60の移動ナット部61が固定されており、移動ナット部61に螺合するねじ送り機構60の親ねじ62は、第2用紙搬送方向D2と平行に配置されると共に、ベルト式伝動機構63を介して駆動モータ64に連結されている。すなわち、駆動モータ64によりねじ送り機構60の親ねじ62を回転すると、移動ナット部61と共にスライド板56が第2用紙搬送方向D2に沿って移動する。このように、ねじ送り機構60により、第1ころ35及び満杯検知機構37を、一体的に第2用紙搬送方向D2に沿って移動調節することができる。
【0042】
(スタッカ部に関する制御部による制御内容)
図1及び
図2において、制御部7は、操作パネル6から制御部7に入力される用紙寸法及び枚数等の用紙情報、あるいは用紙検知センサ48及び圧着ローラ26bの回転速度センサ26cから入力される用紙情報に基づき、ベルト搬送機構31上を1枚ずつ所定距離だけ用紙Pを第2用紙搬送方向D2に搬送する第1搬送モードと、2枚ずつ所定距離だけ用紙Pを第2用紙搬送方向に搬送する第2搬送モードとのいずれかを、手動又は自動的に選択し、選択された搬送モードに従って、ベルト搬送機構31の駆動モータ41の発停動作を切り換え制御する。
【0043】
第1搬送モードと第2搬送モードのいずれの搬送モードでベルト搬送機構31を駆動するかは、排出機構15から排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さによって判断される。すなわち、用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さが設定値以上の場合は、第1搬送モードでベルト搬送機構31の駆動モータ41を駆動し、設定値未満の場合は、第2搬送モードでベルト搬送機構31の駆動モータ41を駆動する。前記設定値は、たとえば125mmである。
【0044】
用紙検知センサ48からの用紙情報の入力により、自動的に搬送モードを設定する場合には、たとえば、操作パネル6において自動選択モードを選択し、用紙検知センサ48からの用紙情報により、搬送モードが自動的に設定される。
【0045】
搬送モードを自動的に選択する場合、排出機構15から排出される加工済みの用紙の第2用紙搬送方向D2の長さは、前述のように、用紙検知センサ48から入力される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の両端の検知タイミングと、圧着ローラ26bの回転速度センサ26cから入力される圧着ローラ26bの回転速度から演算される。すなわち、圧着ローラ26bの回転速度から圧着ローラ26bの外周面の周速度を計算し、該周速度は排出機構15から排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の搬送速度に対応するので、前記搬送速度と、前記用紙Pの両端検知タイミングとから、排出機構15から排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さを、演算する。また、排出機構15から搬出される用紙の枚数は、用紙検知センサ48からの用紙Pの第2用紙搬送方向D2の先端あるいは末端の検知信号に基づいて、計算される。
【0046】
[用紙加工装置の全体作業の概要]
(1)
図2において、作業準備段階では、まず、感圧接着剤が所要箇所に塗布された用紙を、給紙部2の給紙台にセットし、次に、操作パネル6のキー操作により、用紙Pの大きさ、種類及び製品の配列、数及び寸法に関する各種作業設定情報を入力する。この時、スタッカ部3の搬送モードの選択を、たとえば自動選択とし、また、スライド板56(
図5)を第2用紙搬送方向D2に沿って移動することにより、満杯検知センサ37及び第1ころ35を第2用紙搬送方向D2の所望の位置にセットする。満杯検知センサ37及び第1ころ35の位置は、たとえば、排出機構15の搬送下流側のローラ29bの軸芯と、第1ころ35の軸芯との距離が、排出機構15から排出される用紙Pの概ね第2用紙搬送方向D2の長さとなる程度に設定する。これにより、ベルト搬送機構31上のスペースを、各種用紙の大きさに応じて、用紙積載用に最大限利用できる。搬送モードを自動選択とした場合、たとえば、作業開始前に、1枚あるいは数枚の用紙を試し加工し、その試し加工に基づいて、制御部7により搬送モードを選択させ、選択した搬送モードに固定して、作業を開始するのが好ましい。
【0047】
(2)操作パネル6のスタートキーにより用紙加工作業を開始すると、まず、給紙部2から、未加工又は一部加工済みの用紙Pが、1枚ずつ本体上流部1aの折り機構11に供給される。
【0048】
(3)折り機構11では、複数の折りローラ22及び2台の折りトレー23により、用紙Pを、第1用紙搬送方向D1と直交する折り線に沿って、V形の二つ折り又はZ形あるいはC形の三つ折りに折り畳み、スリット形成機構12に搬送する。
【0049】
(4)スリット形成機構12では、必要に応じて、第1用紙搬送方向D1と平行な複数のスリット線で用紙Pを複数枚に分割し、方向変換部13に排出する。
【0050】
(5)方向変換部13では、折り畳まれた用紙Pを、第1用紙搬送方向D1から第2用紙搬送方向D2に方向変換し、圧着機構14へ搬送する。
【0051】
(6)圧着機構14では、折り畳まれた状態の用紙Pを、上下の圧着ローラ26a、26bにより所定の搬送速度で第2用紙搬送方向D2に搬送しつつ、上下から挟圧し、圧着した後、上記所定の搬送速度で排出機構15に搬送する。
【0052】
(7)排出機構15では、2組のローラ対29a、29bにより、前記圧着機構14からの搬送速度と同一速度で、用紙Pを1枚ずつ、スタッカ部3に排出する。
【0053】
(8)スタッカ部3では、用紙Pは、第1搬送モードあるいは第2搬送モードで駆動するベルト搬送機構31により、ベルト31a上を第2用紙搬送方向D2に搬送され、背板32に傾斜状態で立った順次用紙Pが積載される。
【0054】
スタッカ部3における動作を詳しく説明する。
図6は、排出された用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さが所定値(125mm以上)以上の時に、第1搬送モードにより、ベルト31a上の用紙Pを第2用紙搬送方向D2に搬送している状態を示し、
図7は、第1搬送モードにおける満杯時のスタッカ部3の状態を示している。
【0055】
図7において、第1搬送モードでは、停止しているベルト搬送機構31に対して、排出機構15から用紙Pが1枚排出されて第1ころ35に衝突してベルト31aに載る毎に、用紙検知センサ48による1枚の用紙検知信号に基づいて、ベルト31aが第2用紙搬送方向D2に所定距離(たとえば10mm程度)だけ移動し、停止する。
【0056】
排出機構15から用紙Pが1枚排出される毎に、ベルト搬送機構31による上記搬送動作を繰り返すことにより、
図6に示すように、ベルト31a上では、多数の用紙Pが第2用紙搬送方向D2に刺身状に所定距離だけ第2用紙搬送方向D2にずれた状態で、第2用紙搬送方向D2に搬送される。
【0057】
加工作業が進むに従い、
図7のように背板32に接近した用紙Pは、第2ころ36とベルト31aとの間を通過して、第2ころ36により浮き上がりが抑制されつつ、背板32の表面に沿ってせり上がり、傾斜した状態で背板32に順次積載される。用紙Pが搬送される過程において、第2ころ36は、搬送される用紙Pと共に第2用紙搬送方向D2に移動し、常に、積載動作途中の用紙Pを上方から抑え、前述にように用紙Pの浮き上がりを抑制する。
【0058】
用紙Pの積載量が増加するに従い、第2ころ36は積載された用紙Pで押されることにより、第2用紙搬送方向D2と反対側に移動する。そして、
図7のように積載用紙Pが満杯になると、第2ころ36の大径ころ部材36bが、満杯検知機構37の検知レバー37aに当接し、第2用紙搬送方向D2と反対側に押し、検知レバー37aを回動し、光透過式満杯検知センサ37cの透過光を遮断する。これにより、満杯検知信号が
図2の制御部7に入力され、加工装置全体の動作、あるいはスタッカ部3のみの動作を停止する。
【0059】
上記のように、第1搬送モードでは、排出機構15から排出される第2用紙搬送方向長さの長い用紙Pを、1枚ずつ刺身状に並べて搬送し、背板32に積載する。これにより、積載用紙全体に亘り、均等に間隔を置いて並んだ状態で用紙Pが積載される。また、満杯検知機構37はベルト搬送機構31の第2用紙搬送方向D2の概ね中間部にセットされ、積載容量は大きく設定されておらず、しかも、用紙自体が長いことから、積載用紙の倒れは発生しにくい。また、
図6のように、用紙Pの重なり長さを減らして、重なり厚みを小さくすることにより、搬送不良を防ぐことができる。
【0060】
図8は、用紙Pの第2用紙搬送方向長さが所定値未満の時に、第2搬送モードにより、ベルト31a上の用紙Pを第2用紙搬送方向D2に搬送している状態を示し、
図9は、第2搬送モードでの作業途中のスタッカ部3の状態を示し、
図10は、満杯時のスタッカ部3の状態を示している。
【0061】
図9において、第2搬送モードでは、停止しているベルト搬送機構31に対して、排出機構15から連続的に2枚の用紙が排出され、第1ころ35に衝突してベルト31aに載った時点で、用紙検知センサ48による2枚の用紙検知に基づいて、ベルト31aが第2用紙搬送方向D2に所定距離(たとえば10mm程度)だけ移動し、停止する。
【0062】
排出機構15から用紙が2枚排出される毎に、ベルト搬送機構31が上記動作を繰り返すことにより、
図8に示すように、ベルト31a上では、2枚ずつが略重なった状態となり、各2枚の用紙組が相互に所定間隔を置いた状態で、第2用紙搬送方向D2に搬送される。
【0063】
そして、背板32に接近した用紙Pは、第2ころ36とベルト31aとの間を通過して、第2ころ36により浮き上がりが抑制されつつ、背板32の表面に沿ってせり上がり、傾斜した状態で背板32に順次積載される。
【0064】
満杯状態を示す
図10において、第2ころ36の大径ころ部材36が、検知レバー37aに当接し、第2用紙搬送方向D2と反対側に押すことにより、検知レバー37aを回動し、光透過式満杯検知センサ37cの透過光を遮断する。これにより、満杯検知信号が
図2の制御部7に入力され、加工装置全体の動作、あるいはスタッカ部のみの動作を停止する。
【0065】
上記のように、第2搬送モードでは、排出機構15から排出される第2用紙搬送方向長さの短い用紙Pを、2枚ずつ重ねた状態で搬送し、背板32に積載する。これにより、ベルト搬送機構31の作業中における全作動時間は、前記第1搬送モードのおおよそ半分となり、背板32上での用紙Pの下端部へのベルト31aによる押圧力は減少し、用紙Pの浮き上がりが防止され、用紙Pの倒れ現象が防止される。また、満杯検知機構37は、第1搬送モードに比べて、排出機構15側に近い位置に設定されているので、満杯設定量を大きくすることができる。すなわち、多くの用紙を一回の作業で加工することができる。
【0066】
図2のスリット形成機構12により、第1用紙搬送方向D1に沿ったスリット線で用紙Pが2分割又は3分割される場合に、各分割片の第2用紙搬送方向D2の長さが不均等な時には、分割片のうち、最も第2用紙搬送方向D2の長さが長くなる分割片の第2用紙搬送方向長さを予め計算しておき、その寸法を、たとえば操作パネル6で入力して、搬送モードを選択することができる。
【0067】
上記のように、スタッカ部3の搬送モードを自動的に選択する作業の他に、予め、加工後の用紙の第2用紙搬送方向D2の長さが確実に分かっている場合には、その長さが125mm以上又は未満により、第1搬送モード又は第2搬送モードを選択して、作業を行うようにしてもよい。
【0068】
また、
図2の折り機構11により用紙Pを折り畳む場合、
図11のように均等な折り片でV形に折り畳む時は、第2搬送モードを選択し、一方、
図12のように、折り片が不均等に折り畳まれる時には、第1搬送モードを選択する。その理由は、
図12のように折り片の端縁がずれた状態で折り畳まれた場合、圧着後に用紙がいびつにカールすることが多く、仮に、第2搬送モードを選択すると、用紙詰まりを起こす可能性が出てくるからである。したがって、第1搬送モードに設定することにより、圧着後に用紙がいびつにカールしても、排出用紙は1枚ずつ所定距離だけ搬送されるので、カールが原因する詰まりや変則的な重なりによる搬送不良が防がれる。
【0069】
図示しないが、用紙をZ形又はC形に三つ折りする場合に、折り片が不均等になる時にも、第1搬送モードに設定することにより、カールが原因する詰まりや変則的な重なりによる搬送不良を防ぐことができる。
【0070】
[実施の形態の効果]
(1)本実施の形態によると、第2用紙搬送方向D2に沿って位置変更可能な満杯検知機構37を備えているので、用紙Pの寸法あるいは厚みに応じて、可能な限り大きな満杯容量をそれぞれ設定でき、ベルト搬送機構31上のスペースを用紙積載用に有効に利用することができる。特に、第2用紙搬送方向D2の長さが短い用紙Pでは、満杯位置を出来る限り排出機構15に近づけて設定でき、ベルト搬送機構31上のスペースを、用紙積載用に有効に利用できる。
【0071】
(2)排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さが所定値未満の場合には、第2搬送モードにより、用紙Pが2枚排出される毎にベルト31aを所定距離だけ移動させるので、ベルト搬送機構31の全作業におけるベルト31aの総移動量を、第1搬送モードに比べて略半減させることができ、これにより、ベルト31aの積載用紙下端部への押圧力により、積載用紙Pが背板32の表面に沿ってせり上がるのを防止でき、用紙の倒れ現象を防止できる。
【0072】
(3)排出される用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さが所定値以上の場合には、第1搬送モードにより、用紙が1枚排出される毎にベルト31aを所定距離だけ移動させるので、
図8のように、第2用紙搬送方向D2における用紙Pの重なり長さを減らして、重なり厚みを小さくすることができる。これにより、第1ころ35とベルト31aとの間、あるいは第2ころ36とベルト31aとの間で、重なった用紙Pが強く挟圧されることはなくなり、搬送不良を防止できる、勿論、ベルト31aでは、搬送中、用紙Pは1枚ずつ所定距離を置いて刺身状に並ぶので、背板32には、綺麗に間隔を置いて整列された状態で用紙Pを積載することができる。
【0073】
(4)装置本体1は、折り機構11を有する本体上流部1aと、圧着機構14を有する本体下流部1bとを、それらの各用紙搬送方向D1、D2が略直交するように、平面視L字状に配置しているので、用紙加工装置全体をコンパクトに配置できる。
【0074】
[第2の実施の形態]
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る用紙加工装置の斜視図であり、第1の実施の形態と異なる構成は、装置本体1の本体上流部1aと本体下流部1bとが、それらの用紙搬送方向D1、D2が一致するように、略直線状に配列されている。用紙Pに対する用紙搬送方向D1、D2における折り畳み位置を検出して制御部7に入力する折り畳み位置情報入力部として、折りトレー23に配置されたストッパ23aが利用され、このストッパ23aの位置を検出することにより、用紙Pの折り畳み位置を検出し、制御部7に入力する。なお、第2の実施の形態において、
図2の方向変換部は不要となる。その他の構造は第1の実施の形態と同様であり、対応する部品には同じ符号を付している。
【0075】
第2の実施の形態における実質的な用紙加工作業は、第1用紙搬送方向と第2用紙搬送方向とが同一方向であり、折り畳み状態によって第2用紙搬送方向長さが変化すること以外は、前記第1の実施の形態と同じである。
【0076】
[他の実施の形態]
(1)前記各実施の形態の用紙加工装置は、装置本体内の用紙加工機構として、折り機構、スリット形成機構及び圧着機構を備えているが、スリット形成機構のみを備えた装置本体、スリット形成機構と他の加工機構(ミシン目形成機構、丸み形成機構等も含む)とを適宜組み合わせた装置本体や、更には加工機構、搬送ローラ対の数が前記実施の形態と異なる用紙加工装置にも、本発明を適用できることはいうまでもない。
【0077】
(2)前記実施の形態においては、第2搬送モードの際、用紙Pが2枚排出される毎にベルト31aを所定距離だけ移動させるようにしたが、用紙Pの第2用紙搬送方向D2の長さによっては、3枚排出される毎、または4枚以上の枚数が排出される毎にベルト31aを移動させるようにしても良い。