【解決手段】下面に粘着層3を有する本体シート2と、複数併せて前記本体シートの下面全体を覆う複数の第一剥離フィルム4と、前記第一剥離フィルムの下面側と接する第二剥離フィルム7とを有すること、前記複数の第一剥離フィルムはそれぞれ、折り返されて上下に重なる上部フィルムと下部フィルム、および、前記折り返し部と反対方向に下部フィルムを引っ張るための引手5を備えており、前記下部フィルムの下面に粘着層6を有すること、前記上部フィルムの上面が、前記本体シート下面の粘着層と接しており、前記下部フィルム下面の粘着層が前記第二剥離フィルムと接していることを特徴とする貼付シート1。
下面に粘着層を有する本体シートと、複数併せて前記本体シートの下面全体を覆う複数の第一剥離フィルムと、前記第一剥離フィルムの下面側と接する第二剥離フィルムとを有すること、
前記複数の第一剥離フィルムはそれぞれ、折り返されて上下に重なる上部フィルムと下部フィルム、および、前記折り返し部と反対方向に下部フィルムを引っ張るための引手を備えており、前記下部フィルムの下面に粘着層を有すること、
前記上部フィルムの上面が、前記本体シート下面の粘着層と接しており、前記下部フィルム下面の粘着層が前記第二剥離フィルムと接していること、
を特徴とする貼付シート。
前記第一剥離フィルムが、前記本体シートの下面を略半分ずつ覆う2つのフィルムからなり、前記2つの第一剥離フィルムがそれぞれ、前記本体シートの中央部で折り返されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の貼付シート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る貼付シート1には、傷や汚れを防ぐ目的で表示画面(特に液晶画面)に貼付するシートだけでなく、反射防止や、覗き見防止等の目的で表示画面に貼付されるシートが含まれる。また、表示画面以外の被着体に貼付するシートも含まれる。本発明に係る貼付シートは、特にスマートフォン等の携帯機器の液晶画面(10cm×15cm以内)に使用するのに好適である。
【0014】
本発明に係る貼付シートに使用される本体シート2としては、被着体の保護に適した強度のある材質(表示画面に貼付する場合は透明)からなり、下面全面に弱粘着あるいは微粘着と呼ばれるタイプの粘着層3(接着と剥離を繰り返すことができ、再剥離しても粘着剤が被着体に残りにくいタイプの粘着層)が形成されたシートが適切である。
一例として、下面にシリコーン系粘着層が形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが挙げられる。また、反射防止加工等の特殊加工が施されたものであってもよい。
粘着層を含めた本体シートの厚みは、シートの材質、希望する強度、対象となる被着体等によって異なるが、表示画面の保護シートとして用いる場合は、65μm〜220μm程度が好ましい。このような粘着層付きの本体シートとして、液晶画面の保護シート用として販売されている既存の粘着層付きのシートを用いることができる。
【0015】
本発明に係る貼付シートに使用される第一剥離フィルム4としては、2軸延伸の樹脂フィルムを使用することができる。好適な例として、2軸延伸のポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムが挙げられる。
前記第一剥離フィルム4は、上部フィルム4aの厚みが10〜50μm、下部フィルム4bの厚みが10〜150μm程度であることが好ましい。
また、上部フィルムは薄く撓みやすいほうが剥離作業を行いやすいが、下部フィルムはより厚く強度が高い方が、第二剥離フィルムから剥離しやすく、被着体上に貼付する際にも皺等が生じにくく、被着体からの剥離も行いやすい。そのため、下部フィルムの厚みが上部フィルムの厚みより大きいことがより好ましい。
特に好ましい第一剥離フィルムの例として、上部フィルムの厚みが10〜45μmであり、下部フィルムの厚みが50〜150μm(特に、55〜120μm)である第一剥離フィルムが挙げられる。
【0016】
前記第一剥離フィルム4は、上部フィルム4aと下部フィルム4bが折り重なるように形成されている。このような折り返し構造を形成する方法として、1枚のフィルムを熱や圧力で折り返す方法や、2枚のフィルムを重ねて一辺を熱で圧着する方法が挙げられる。また、別の部材を利用して上部フィルムと下部フィルムを折り返し構造に構成してもよい。
【0017】
前記第一剥離フィルム4は、本体シート2と、第二剥離フィルム7の間に配置される。
本発明では、各第一剥離フィルムが本体シートの下面(の粘着層)を一部ずつ覆い、複数の第一剥離フィルムによって本体シート下面の全体が覆われる構成となっている。
第一剥離フィルムの数は、2〜4が好ましく、2が特に好ましい。
【0018】
第一剥離フィルム4の上部フィルム4aは、本体シート下面に形成された粘着層3を保護する目的を有するため、複数の上部フィルムが併せて本体シートと同一以上の大きさとなるように形成され、本体シートの下面全面あるいは略全面を覆っていることが好ましい。また、複数の下部フィルム4bも、複数併せて本体シートと同一以上の大きさとなるように形成されることが好ましい。
本発明の貼付シートの好ましい例では、複数の第一剥離フィルム同士は隙間なく配置されるか、あるいは隙間があるとしても2mm以内(特に1mm以内)となるように配置され、さらに第一剥離フィルムの上部フィルムと下部フィルムがそれぞれ、複数併せて本体シートと同一かそれ以上の大きさ(例えば、本体シートの縁から0.5〜15mm程度はみ出る大きさ)となるように形成されている。
【0019】
本発明では、複数の第一剥離フィルムが併せて本体シートの下面全体を覆っているが、下面全体を覆うとは、本体シート下面(の粘着層)を隙間なく完全に覆っている場合のみでなく、上述のように、第一剥離フィルム間に2mm以内(好ましくは1mm以内)の間隙が存在するため、わずかに覆われていない箇所が存在する場合も含む。
【0020】
以下、第一剥離フィルム4が2つのフィルムからなり、2つのフィルムが本体シート下面を半分ずつ覆う構成を例にして、本発明の第一剥離フィルムについてより詳細に説明する。
図1Bは、本発明の貼付シートの構成を模式的に示す分解図であり、各層を見やすくするため、本体シート2の下面の粘着層3と、上部フィルム4aの間に隙間を挿入し、第一剥離フィルム4の下面の粘着層6と、第二剥離フィルム7との間にも隙間を挿入している。また、折り返し構造を示すため、上部フィルム4aを下部フィルム4bから少し持ち上げた状態を図示している。実際の貼付シート1はこれら各層が隙間なく積層された構成を有する。
図1Bに示すように、2つの第一剥離フィルム4は、その折り返し部(直線状の折り返し線)同士が対向するように、本体シートの下面側に配置される。また、2つの第一剥離フィルム4同士の間に隙間がないか、あっても1mm以下であることが好ましい。
また、第一剥離フィルムの折り返し線と、本体シートを2等分する中心線Cが平行になるように配置されることが好ましく、特に、前記折り返し線が、前記中心線と重なるか、中心線に沿うように近接配置されることが好ましい。前記中心線は、本体シートが長方形状の場合は、長辺を2等分する直線であることが好ましい。
なお、
図1Bでは、中心線Cを挟んで、2つの第一剥離フィルム4が隙間なく配置されている特に好ましい例(2つの第一剥離フィルムが、本体シートの下面を半分ずつ覆っている例)を示したが、中心線Cから若干離れた箇所(中央部)で、2つの第一剥離フィルムが対向するように配置してもよい(本体シートの中央部で折り返された2つの第一剥離フィルムが、本体シートの下面を略半分ずつ覆う)。前記中央部とは、中心線からの距離が、本体シートの長さ(中心線と直交する方向の長さ)の5%以下である範囲が好ましく、3%以下の範囲がより好ましい。特に、中心線からの距離が5mm以下の範囲が好ましく、3mm以下の範囲がより好ましい。
【0021】
下部フィルムの下面に設けられる粘着層6としては、一般に弱粘着あるいは微粘着と呼ばれる、接着と剥離を繰り返すことができ、再剥離しても粘着剤が被着体に残りにくいタイプの粘着層が使用される。
例えば、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤からなる粘着層であって、被着体をガラスとし、JIS Z0237に準拠して(剥離速度:300mm/min、測定環境:23℃・50%RH)、180°引き剥がし粘着力を測定した場合、20分値が0.01〜0.10N/25mm程度の粘着力を示すものが好ましく、0.02〜0.08N/25mm程度の粘着力を示すものがより好ましい。
前記粘着層は、下部フィルムの下面全体に渡って設けられることが好ましい。
前記粘着層は、下部フィルム下面に粘着剤を塗工することにより形成することができる。また、あらかじめ粘着層が形成されたフィルムを下部フィルムとして使用してもよい。
【0022】
前記下部フィルム下面の粘着層6は凹凸層であることが好ましい。凸部の形状は特に限定されず、ドット状であっても、ライン状であってもよい。凹凸は粘着層全体に形成されることが好ましく、凸部の高さは5μm以下が好ましい。
好ましくい凹凸層として、点線状または破線状に配置された凸部が全体に形成された粘着層が挙げられる。凸部の形状は点状であっても、短い線状であってもよい。
本発明の貼付シートは、下部フィルム下面の粘着層6を被着体に貼付した状態で、引手5を引いて、被着体上を下部フィルム4bがスライドするように動かして第一剥離フィルムを剥がしていく。そのため、粘着層6が被着体にぴったり接着されているよりも、凹凸により接着力が軽減されているほうが、剥離作業をスムーズに行うことができる。また、位置の微調節も行い易い。
言い換えれば、被着体に対する粘着層6の実際の接着力は、粘着層を構成する粘着剤の粘着力だけでなく、被着体に対する濡れ性によっても変わるため、凹凸を設けて濡れ性を緩和することにより、被着体に対する実際の接着力を低下させ、スムーズな位置合わせと剥離を実現することができる。
接着力を所望の程度にするための最適な凹凸構成は、粘着剤の種類や、被着体と粘着層の濡れ性によって異なるため、適宜調節すればよい。望ましい接着力は、被着体の大きさ等によっても異なる可能性があるため、被着体に応じて適宜調節すればよい。
一般に、粘着層6の面積に占める凸部面積の割合は、1%〜30%程度が好ましく、2%〜20%程度がより好ましい。特に好ましい凸部面積の割合は3%以上15%以下(特に10%以下)である。凸部面積の割合が大きすぎると、濡れ性が低下しすぎて被着体に対する接着力が不足する恐れがある。
【0023】
粘着層6の凸部が点線状または破線状に配置されている場合、1cm
2当たりの凸部の数(凸部密度)は、被着体の種類、凸部の大きさ等によっても異なるため適宜調節すればよいが、一般に5〜80個程度が適切であり、10〜60個程度がより好ましく、20〜50個程度が特に好ましい。
また、各線上の凸部の位置は、隣の線上の凸部の位置とずれていることが好ましく、線同士の間隔は0.5mm〜3mm程度であることが好ましい。
凸部が点状(略円状、略正方形状等)の場合、直径(又は一辺の長さ)は0.1〜1.5mm程度が好ましく、0.2〜1.0mm程度がより好ましく、0.3〜0.7mm程度が特に好ましい。
凸部が短線状(長方形状)の場合、幅0.1〜0.5mm程度、長さ0.7〜3.0mm程度の凸部が好ましく、幅0.15〜0.4mm程度、長さ1.0〜2.0mm程度の凸部がより好ましい。
【0024】
上述のように、本発明では、下部フィルム4bの厚みが上部フィルム4aの厚みより大きいほうが好ましいが、このような第一剥離フィルム4を製造する好ましい方法として、10〜50μm程度の一枚のフィルムを折り返し加工するか、2枚のフィルムを圧着することにより、上下に重なる折り返しフィルムを準備した後、下側のフィルム4b
1に補強フィルム4b
2(30〜120μm程度)を接着する方法が挙げられる(
図3A参照)。
特に、補強フィルムとして、フィルムの片面に微粘着層が形成され、その微粘着層が剥離フィルムに覆われているフィルムを使用すれば、前記微粘着層を、下部フィルム下面の粘着層6として、前記剥離フィルムを第二剥離フィルム7として使用することができる。また、このような補強フィルムに凹凸加工を施してから、下側のフィルムに接着すれば、凹凸層付きの粘着層を容易に設けることができる。
【0025】
本発明において、第一剥離フィルム4を剥離する際に使用する引手5は、下部フィルム4bを引っ張る機能を有する。引手は、本体シートの縁(折り曲げ部と反対側の縁)からはみ出すように形成された部材であることが好ましく、例えば、下部フィルムとは別の部材を下部フィルムに取り付けて引手として使用してもよく、下部フィルムの端の一部または全部を本体シートの縁からはみ出るように形成して、はみ出た部分を引手として使用してもよい。
【0026】
本発明に係る本体シートに使用される第二剥離フィルム7は、液晶画面の保護シート用の剥離フィルム等としてすでに使用されているものが使用できる。第二剥離フィルムは、下部フィルム下面の粘着層を保護する目的を有するため、複数の下部フィルムの下面全体を覆う大きさを有する必要があり、複数の下部フィルムを併せた大きさより、大きいことが好ましい。第二剥離フィルムは、一枚のフィルムであってもよく、複数枚のフィルムであってもよい。
本発明では、第二剥離フィルムを一部ずつ剥がして貼付作業を行う必要は無いため、第二剥離フィルムは一枚のフィルムであることがより好ましい。
【0027】
本発明に係る貼付シートの使用方法を説明すると、まず、第二剥離フィルム7を剥がした後、被着体の上に配置する。これにより、第一剥離フィルムの下部フィルム下面の粘着層6は被着体と接するが、粘着力が弱く動かすことができるため、位置がずれているときは、容易に位置合わせを行うことができる。位置合わせを終えた後、一つ目の第一剥離フィルムの引手5をゆっくりと本体シートの縁から遠ざかる方向(折り曲げ部と反対方向)に引っ張ると、下部フィルム4bがスライドしていく(
図2参照)。このとき、表示画面上にあった塵や埃等の異物は、下部フィルムの粘着層6に付着して表示画面から除去される。下部フィルム4bが外方向にスライドすると、折り曲げ部で下部フィルム4bと連結している上部フィルム4aも外側に向けて剥がれていき、本体シート下面の粘着層3が少しずつ露出するため、引手5を引きながら、本体シート2を被着体に徐々に張り付けていくことができる。この作業は、本体シートを被着体に軽く押さえつけながら行うことができるため、本体シートが被着体から少しだけ浮いた状態で作業を完成させることができる。そのため、本体シートと被着体の間への塵や埃等の侵入を効果的に防ぐことができる。また、露出した粘着層3を表示画面に押さえ付けながら、少しずつ本体シート2を貼付できるため、気泡が入りにくい。一つ目の第一剥離フィルムを完全に剥がして、本体シートの一部を表示画面に張り付けた後は、残りの第一剥離フィルムも同じように剥がして本体シートの残りを被着体に貼付することにより、貼付作業が完了する。
【0028】
以下、実施例を用いて本発明に係る貼付シートをより詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
本発明に係る貼付シート(本体シートと第一剥離フィルムが同一の大きさの貼付シート)の製造
図1および
図2と同じ構成を有する貼付シートを以下の工程で製造した。
(1)まず、60μmの透明な二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPP)、厚み9μmの透明アクリル系粘着層、25μmの透明剥離フィルムを積層してなる加工工程用微粘着シート(日栄化工株式会社製:PP60-Y160(9))を用意した(前述した条件での180°引き剥がし粘着力は0.05N/25mm)。貼付シート完成後は、OPPが補強フィルム4b
2、アクリル系粘着層が下部フィルム下面の粘着層6、25μmの剥離フィルムが第二剥離フィルム7となる(
図1Bおよび
図3A参照)。
この微粘着シートに、OPP側から凹凸加工用の刃型(直線に沿って並ぶ点状の凸部を有する刃型)を用いて、中心線Cと平行な複数の点線状の凸部を粘着層に形成した。線の間隔は約1〜2mmとし、隣り合う線同士で凸部の位置がずれるように凹凸加工した。凸部の大きさは直径約0.5mm、高さ約2〜3μmであり、凸部密度は約36個/cm
2、粘着層面積に占める凸部面積の割合は約7%となった。
(2)次に、OPPの上面全面に透明両面テープを張り付けた後、OPPを2等分する位置(中心線C)にスリット加工を行い、OPPとアクリル系粘着層を切断した(剥離フィルムは切断しない)。
(3)その後、事前に折り返し加工した厚み約30μmの透明OPPフィルムを2つ、(2)のスリット線の左右に配置し(折り返し線がスリット線と重なるか、ずれても0.5mm以内となるようにスリット線と平行に配置した)、貼り合わせ加工した。貼付シート完成後は、前記折り返し加工済みOPPフィルムの上側のフィルムが本発明の上部フィルム4a(厚み約30μm)に該当し、下側のフィルム4b
1が、前記補強フィルム4b
2とともに、下部フィルム4b(厚み約90μm)を構成する(
図3参照)。
(4)その後、片面に透明なシリコーン系粘着層が形成された透明PETフィルム(粘着層の厚み:50μm、PETフィルムの厚み:100μm)を、粘着層が下になるようにして、前記(3)のOPPフィルムの上に乗せ、貼り合わせた。貼付シート製造後は、前記PETフィルムが本体シート2に該当し、シリコーン系粘着層が、本体シート下面の粘着層3に該当する。
(5)その後、最下層の剥離フィルム以外を約11cm×7cmの長方形状に打ち抜き加工した。
(6)不要な部分を除去後、折り返しOPPフィルムの下側のフィルム4b
1に、約2.5cm×1.5cmの樹脂フィルム片を、一端が本体シートの縁から約1cm突出するように貼り付け、約1cm×1.5cmの引手5を形成した。
(7)その後、最下層の剥離フィルムを約13cm×8cmに打ち抜き加工した。
【0030】
表示画面(液晶画面)への貼付作業
製造した貼付シートの第二剥離フィルム7を完全に剥がし、第一剥離フィルムの粘着層6を全て露出させた後、表示画面に貼付し、位置合わせを行った。その後、片手で本体シート2を表示画面に向けて軽く押さえつけた状態で、まず、右側の第一剥離フィルム4の引手5をゆっくり右方向に引いた(
図2参照)。引手を引くことにより、第一剥離フィルムの下部フィルム4bがゆっくりと表示画面上を滑るように右側にスライドし、それに合わせて、上部フィルム4aが本体シートから剥がれ、本体シート下面の粘着層3が露出した。粘着層3が露出した部分の本体シート2を上から表示画面に押しつけて表示画面に貼付していき、この作業を続けることにより、右半分の本体シート2全てを表示画面に貼付した。同様にして、左側の第一剥離フィルムも剥離し、左半分の本体シートも表示画面に貼付した。
【0031】
前記作業では、第一剥離フィルムの粘着層を全て露出させた状態で表示画面上に置いて、最終位置に調節することができるので、位置合わせが非常に行いやすかった。また、第一剥離フィルム下面の粘着層が微粘着であり、さらに凹凸加工により被着体への接着力(濡れ性)が軽減されているため、位置の微調整が容易であった。また、表示画面上に微細な埃等が残った状態で貼付しても、それらが下部フィルム下面の粘着層に付着して、下部フィルムとともに除去され、その後すぐに本体シートの貼付を行うことができるため、さらに、表示画面からの本体シートの浮きを数ミリ程度に抑えた状態で貼付作業を行えるため、新たな埃や塵が混入せず、非常にきれいに本体シートを貼付することができた。また、本体シートを少しずつ貼付できるため、気泡の混入も抑制することができた。これらの作業は、非常に簡単であるため、誰が行ってもきれいに本体シートを貼付することができた。
【実施例2】
【0032】
本発明に係る貼付シート(粘着層6の凹凸構成が実施例1と異なる貼付シート)の製造
実施例1の工程(1)で使用した凹凸加工用の刃型の代わりに、直線に沿って並ぶ短線状の凸部を有する刃型を用いて、中心線Cと平行な複数の破線状の凸部を粘着層に形成した。線の間隔は約1〜2mmとし、隣り合う線同士で凸部の位置がずれるように凹凸加工した。短線状の凸部の大きさは、幅約0.2mm×長さ約1.2mm、高さ約2〜3μmであり、凸部密度は約25個/cm
2、粘着層面積に占める凸部面積の割合は約6%であった。
それ以外は、実施例1と同様の手順で作業を行うことにより、貼付シートを製造した。
【0033】
本実施例の貼付シートを使用して、実施例1と同様に表示画面への貼付作業を行ったところ、実施例1より粘着層6の被着体への接着力(濡れ性)が高いため、位置合わせを何度かやり直した後でも適度な接着力を保つことができた。
【実施例3】
【0034】
本発明に係る貼付シート(粘着層6に凹凸が形成されていない貼付シート)の製造
実施例1の工程(1)で凹凸加工を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順で作業を行うことにより、貼付シートを製造した。
【0035】
本実施例の貼付シートを使用して、実施例1と同様に表示画面への貼付作業を行ったところ、表示画面と貼付シートの間に異物や気泡を混入させることなくきれいに貼付することができたが、被着体と粘着層6の接着力(濡れ性)が高いため、実施例1または実施例2の貼付シートと比較すると、位置の微調節が行いにくく、第一剥離フィルムを引く際により大きい力が必要であった。
【実施例4】
【0036】
本発明に係る貼付シート(本体シートより第一剥離フィルムが大きい貼付シート)の製造
実施例1の第一剥離フィルムの製造工程の(4)の前に、まず、折り返し加工済みOPPフィルムと、平板状のOPPフィルム(補強フィルム)、アクリル系粘着層を、本体シートより各辺が約2mmずつ大きい長方形状に打ち抜き加工した。
その後(4)の工程を行い、(5)の工程において、PETフィルムとシリコーン系粘着層を実施例1と同じ大きさ(約11cm×7cm)に打ち抜き加工した。
それ以外は、実施例1と同様の手順で作業を行うことにより、2つの第一剥離フィルムの合計の大きさが、本体シートより大きく形成された貼付シートを製造した。
【0037】
本実施例の貼付シートは、第一剥離フィルムと同じ大きさの表示画面(すなわち、本体シートよりわずかに大きい表示画面)に貼付するために使用した。本実施例の貼付シートを使用すると、正しい位置(誤作動が起こらない位置)に確実に貼付することができた。
より具体的に説明すると、タッチパネル機能を有する表示画面の場合、本体シートが表示画面からずれると、タッチパネルモジュール端面に負荷がかかり誤作動を起こすことがある。そのため、誤作動が起こりにくいにように、本体シートを表示画面よりも小さく(例えば、各辺を1〜3mm程度短く)形成する場合がある。本実施例の貼付シートは、第一剥離フィルムと表示画面の大きさが同じであるため、第一剥離フィルムと表示画面の位置を正確に揃えた後、第一剥離フィルムを剥離することにより、表示画面よりわずかに小さい本体シートを表示画面の枠内に確実に配置することができた。
【実施例5】
【0038】
本発明に係る貼付シート(実施例1と異なる第一剥離フィルムを有する貼付シート)の製造
実施例1の(2)の工程において、OPP上面全面ではなく、中心線上にのみ約2cm幅の透明両面テープを張り付けたことを除いて、実施例1と同じ方法で、貼付シートを製造した。
この貼付シートの第一剥離フィルムでは、折り返しOPPフィルムの下側のフィルム4b
1の下面うち、折り返し線付近の一部のみが、平板状OPPフィルムに接着されている(
図3B参照)。すなわち、本実施例では、平板状OPPフィルムが単独で下部フィルム4b(厚み約60μm)となり、4b
1は引手5の付いた引手用のフィルムとなる。
【0039】
本実施例の貼付シートを使用して、実施例1と同様に表示画面への貼付作業を行ったところ、第二剥離フィルムを剥がした後で下部フィルムが揺れたため、実施例1の貼付シートと比べると扱いにくかったが、表示画面上に乗せた後は、簡単かつ綺麗に貼付作業を完了させることができた。