【課題】通水溝(側溝、横断溝)に溝蓋構造体を設置して開口を覆う際、溝蓋構造体の高さ及び姿勢調整を短時間で簡単かつ正確に行えるようにするとともに、連結材料の注入空間並びに差し筋(鉄筋)及び安全装置としての機能も兼ね備えることで、工事期間の短縮化と工事費用の低コスト化とを同時に図ることが可能な環境に優しい技術を提供する。
【解決手段】通水溝の開口を覆うように設置される溝蓋本体2p,4p,6p,8pと、通水溝の上部Upに対する高さ及び姿勢を調整することで、溝蓋本体の表面S1と道路の表面とを連続的に整合させる高さ・姿勢調整機構24とを有し、高さ・姿勢調整機構は、第1ネジ部Fs1が構成された調整孔24hと、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部Fs2が構成された調整ボルト24tとを備え、調整ボルトを回動操作し、その先端24bを溝蓋本体の裏面S2から突没させることで、溝蓋本体の高さ及び姿勢を調整する。
道路に沿って並列して敷設され、或いは、当該道路を横切って敷設され、かつ、その上部側が外部に向けて開口した通水溝に対して、当該通水溝の開口を覆うために設置される溝蓋構造体であって、
通水溝の開口を覆うように設置される溝蓋本体と、
溝蓋本体に組み込まれ、かつ、通水溝の上部に対する高さ及び姿勢を調整することで、当該溝蓋本体の表面と道路の表面とを連続的に整合させる高さ・姿勢調整機構とを有し、
高さ・姿勢調整機構は、
通水溝の上部に向けて、溝蓋本体の表面からその裏面に亘って貫通し、かつ、その内周に第1ネジ部が構成された調整孔と、
調整孔に挿入され、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部が外周に構成された調整ボルトとを備えており、
調整ボルトを回動操作して、当該調整ボルトの先端を溝蓋本体の裏面から突没させることで、通水溝の上部に対する溝蓋本体の高さ及び姿勢を調整することを特徴とする溝蓋構造体。
高さ・姿勢調整に際して、調整ボルトの先端と通水溝の上部との間には、位置決め支持部材が介在され、これにより、調整ボルトの先端が位置決めされて支持されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溝蓋構造体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<溝蓋構造体の概要>
以下、本発明の一実施形態に係る溝蓋構造体及びその設置方法について、添付図面を参照して説明する。
本発明では、道路に沿って並列して敷設される側溝、並びに、当該道路を横切って敷設される横断溝などの通水溝(例えば、排水溝、集水溝など)に対して、当該通水溝の上部の開口を覆うために設置される溝蓋構造体及び溝蓋構造体の設置方法を想定する。なお、「開口」とは、通水溝の上部側において外部に向けてオープン化された(開いた)領域又は部分を指す。
【0016】
ここで、本発明の技術的範囲、すなわち、特許権の効力が及ぶ範囲には、通水溝に対して溝蓋構造体を設置するバリエーションとして、新しく(新規に)側溝及び横断溝を敷設する際における溝蓋構造体の設置、並びに、老朽化(劣化)した側溝及び横断溝を改修する際における溝蓋構造体の設置などの各仕様、具体的には、下記(1)〜(4)の各仕様が包含される。
(1)新設した「二次成形品としての側溝及び横断溝」において、その上部側の開口を覆うように溝蓋構造体を設置する仕様。
(2)新設した「現場打ちの側溝及び横断溝」において、その上部側の開口を覆うように溝蓋構造体を設置する仕様。
(3)老朽化(劣化)した「二次成形品としての側溝及び横断溝」において、その上部領域を切断若しくはハツリ(例えば、削り取ったり、そぎ落とす作業)により除去し、その残存した上部側の開口を覆うように溝蓋構造体を設置する仕様。
(4)老朽化(劣化)した「現場打ちの側溝及び横断溝」において、その上部領域を切断若しくはハツリ(例えば、削り取ったり、そぎ落とす作業)により除去し、その残存した上部側の開口を覆うように溝蓋構造体を設置する仕様。
【0017】
本発明は、上記した仕様(1)〜(4)のいずれにも適用可能な溝蓋構造体及びその設置方法を実現することを目的(課題)とし、かかる目的を達成(すなわち、課題を解決)するための一実施形態に係る溝蓋構造体が、
図1(a),(b)及び
図2(a),(b),(c)に示されている。以下、具体的に説明する。
【0018】
なお、通水溝(側溝、横断溝)の上部とは、新設された通水溝の場合には、その新設溝の上部領域(表面)を指し、また、老朽化(劣化)した通水溝の場合には、切断若しくはハツリにより残存した上部領域(表面)を指すが、以下の説明において「通水溝(側溝、横断溝)の上部」とは、新設溝と、老朽化(劣化)した通水溝の双方の場合を含めた上位概念(総称)として表記されているものとする。
【0019】
<溝蓋構造体2の溝蓋本体2p(
図1(a)参照)について>
図1(a)に示された溝蓋構造体2は、例えばグレーチング蓋10並びにコンクリート蓋12をはじめ、各種の蓋を載置可能な蓋載置用貫通口2hを備えた溝蓋本体2pを有している。なお、溝蓋本体2pの大きさや形状は、当該溝蓋本体2pを設置する通水溝(側溝、横断溝)の上部開口の大きさや形状に応じて設定されるため特に限定しないが、
図1(a)には一例として、全体が中空の直方体形状(矩形状)を成す溝蓋本体2pが示されている。
【0020】
この場合、蓋載置用貫通口2hは、溝蓋本体2pの中央部分をその表面S1から裏面S2に亘って刳り貫いて形成されている。なお、蓋載置用貫通口2hの大きさや形状は、溝蓋本体2pの大きさ、並びに、載置させる各種の蓋(グレーチング蓋10、コンクリート蓋12)の形状に応じて設定されるため特に限定しないが、
図1(a)には一例として、直方体(立方体)形状を成す蓋10,12を載置可能な形状を成す蓋載置用貫通口2hが示されている。
【0021】
また、蓋載置用貫通口2hの内部には、直方体(立方体)形状を成す蓋10,12を載置させるための一対の載置部Tが互いに平行かつ対向して設けられており、当該一対の載置部Tは、溝蓋本体2pの裏面S2寄りの部位を一部、蓋載置用貫通口2hの内方に向けて突出させて(出っ張らせて)構成されている。この場合、一対の載置部Tの突出量は、蓋10,12の下端が一部当接させて支持させることができる程度に設定されている。なお、
図1(a)には、互いに平行かつ対向した一方の載置部Tのみが示されている。
【0022】
かかる構成によれば、溝蓋本体2pの表面S1側から蓋10,12を蓋載置用貫通口2hに挿入すると、蓋10,12の下端が一対の載置部Tに当接して支持されることで、当該蓋10,12を蓋載置用貫通口2hに載置させることができる。この状態において、蓋載置用貫通口2hに載置させた蓋10,12の表面と、溝蓋本体2pの表面S1とは、凹凸の無い同一平面状(平坦状)に維持されるため、人や車の往来に支障を来たすことはない。また、蓋載置用貫通口2hに載置した蓋10,12は、当該蓋載置用貫通口2hによって堅牢に保持されるため、人や車の往来に際し、当該蓋載置用貫通口2hから飛び出したり、脱落したりするといった不具合を生じることもない。
【0023】
なお、
図1(a)には、蓋載置用貫通口2hに載置させる蓋10,12として、2個のコンクリート蓋12と、その間に介挿される1個のグレーチング蓋10とを組み合わせた構成が示されているが、これに限定されることはなく、1個のコンクリート蓋12と、2個のグレーチング蓋10との組み合わせとしてもよいし、或いは、3個の蓋の全てをコンクリート蓋12(或いは、グレーチング蓋10)としてもよい。また、蓋載置用貫通口2hに載置可能な蓋10,12の個数としては、図面に示されたような3個に限定されることはなく、2個や4個以上としてもよいし、単体(1個)の蓋(グレーチング蓋10、又は、コンクリート蓋12)のみを載置可能にしてもよい。
【0024】
さらに、溝蓋本体2pの表面S1側において、蓋載置用貫通口2hの角(エッジ)及び溝蓋本体2pの長手方向両側に沿って角欠防止部材14を配設してもよい。そうすると、蓋10,12を蓋載置用貫通口2hに載置する際に、当該蓋10,12によって蓋載置用貫通口2hの角(エッジ)が損傷・損壊するのを未然に防止することができるとともに、溝蓋本体2pを通水溝(側溝、横断溝)の上部に設置する際に、溝蓋本体2pの長手方向両側が損傷・損壊するのを未然に防止することができる。
【0025】
なお、角欠防止部材14は、溝蓋本体2pを型成形する際に同時かつ一体的に成形してもよいし、或いは、完成した溝蓋本体2pに対して後付けしてもよい。また、角欠防止部材14は、必ずしも必要な構成ではなく、本発明の溝蓋構造体2の使用目的や使用環境に応じて配設すればよい。
【0026】
<溝蓋構造体4の溝蓋本体4p(
図1(b)参照)について>
図1(b)に示された溝蓋構造体4は、上記したような蓋(グレーチング蓋10、コンクリート蓋12)を載置可能な蓋載置用貫通口2hを備えていない溝蓋本体4pを有している。この場合、当該溝蓋本体4pを通水溝の開口を覆うように設置した状態において、その設置箇所を暗渠化させること、すなわち、通水溝(側溝、横断溝)を外部から完全に隔離させることができる。
【0027】
また、
図1(b)に示された溝蓋本体4pの表面S1側において、溝蓋本体4pの長手方向両側に沿って角欠防止部材14を配設してもよい。そうすると、溝蓋本体4pを通水溝(側溝、横断溝)の上部に設置する際に、溝蓋本体4pの長手方向両側が損傷・損壊するのを未然に防止することができる。なお、角欠防止部材14は、溝蓋本体4pを型成形する際に同時かつ一体的に成形してもよいし、或いは、完成した溝蓋本体4pに対して後付けしてもよい。また、角欠防止部材14は、必ずしも必要な構成ではなく、本発明の溝蓋構造体4の使用目的や使用環境に応じて配設すればよい。
【0028】
<溝蓋構造体6の溝蓋本体6p(
図2(a)参照)について>
図2(a)に示された溝蓋構造体6は、例えばグレーチング蓋10或いはコンクリート蓋12(
図1(a)参照)をはじめ、各種の蓋を載置可能な蓋載置用貫通口6hを備えた溝蓋本体6pを有しており、溝蓋本体6pには、外部に存する水を通水溝に向けて排水するための排水孔16が備えられている。
【0029】
なお、蓋載置用貫通口6hは、その大きさが
図1(a)に示された蓋載置用貫通口2hと異なるだけで、その配置構成は同一であるため、当該蓋載置用貫通口6hについての説明は省略する。この場合、蓋載置用貫通口6hの内部にも、
図1(a)に示された載置部Tと同一構成のものが設けられている。また、
図2(a)には、蓋載置用貫通口6hに対して1個のグレーチング蓋10を載置させる構成が示されているが、これに代えて、1個のコンクリート蓋12(
図1(a)参照)を載置させるようにしたり、或いは、2個以上の蓋(グレーチング蓋10、コンクリート蓋12)を載置させるようにしてもよい。
【0030】
排水孔16は、蓋載置用貫通口6hを挟んで両長手方向において、溝蓋本体6pの中央部分に沿って所定間隔で設けられており、各排水孔16は、溝蓋本体6pの表面S1から裏面S2に亘って貫通させて形成されている。この場合、各排水孔16は、溝蓋本体6pの表面S1から裏面S2に向かって末広がり状に拡大させて形成することが好ましい(
図2(c)参照)。これにより、外部に存する水を、各排水孔を介してスムーズ(円滑)かつ効率的に通水溝に排水させることができる。
【0031】
なお、
図2(a)には一例として、蓋載置用貫通口6hを挟んで両長手方向に、溝蓋本体6pの中央部分に沿って、四角錐台形状を成す(溝蓋本体6pの表面S1及び裏面S2における形状が四角形となって連通した)排水孔16を等間隔に3つ整列させた構成例が示されているが、これに代えて、排水孔16を等間隔で2つ整列させたり、或いは、排水孔16を1つだけにしたり、また、4つ以上の排水孔16を等間隔で整列させてもよい。さらに、各排水孔16の形状として、四角錐台形状に代えて、例えば、円錐台形状(溝蓋本体6pの表面S1及び裏面S2における形状が円形となって連通した排水孔16)や、三角錐台形状(溝蓋本体6pの表面S1及び裏面S2における形状が三角形となって連通した排水孔16)を適用してもよい。
【0032】
また、上記した各排水孔16は、その上部側がグレーチング蓋10aによって覆われるようになっている。この場合、当該蓋載置用貫通口6hを挟んで両長手方向において、溝蓋本体6pの表面S1には、当該溝蓋本体6pの中央部分に沿って凹部18が形成されており、当該各凹部18は、グレーチング蓋10aの大きさ及び形状に沿った輪郭形状を成している。そして、上記した各排水孔16は、当該凹部18内に沿って等間隔で配置されている。なお、
図2(a)には、各凹部18の幅が各排水孔16の幅よりも大きく設定した場合の構成が示されているが、これに代えて、各凹部18の幅と各排水孔16の幅とを一致させてもよい。
【0033】
これによれば、グレーチング蓋10aを各凹部18に挿入することで、各排水孔16は各グレーチング蓋10aによって覆われた状態となり、かかる状態において、各凹部18に挿入した各グレーチング蓋10aの表面と、蓋載置用貫通口6hに載置したグレーチング蓋10の表面と、溝蓋本体6pの表面S1とは、凹凸の無い同一平面状(平坦状)に維持されるため、人や車の往来に支障を来たすことはない。また、各凹部18に挿入した各グレーチング蓋10a、及び、蓋載置用貫通口6hに載置したグレーチング蓋10は、当該各凹部18及び蓋載置用貫通口6hによって堅牢に保持されるため、人や車の往来に際し、当該各凹部18及び蓋載置用貫通口6hから飛び出したり、脱落したりするといった不具合を生じることもない。
【0034】
さらに、
図2(a)に示された溝蓋本体6pの表面S1側において、蓋載置用貫通口6hから各凹部18に亘る領域の両側角(エッジ)及び溝蓋本体6pの長手方向両側に沿って角欠防止部材14を配設してもよい。そうすると、グレーチング蓋10を蓋載置用貫通口6hに載置する際には、当該グレーチング蓋10によって蓋載置用貫通口6hの角(エッジ)が損傷・損壊するのを未然に防止することができ、各グレーチング蓋10aを各凹部18に挿入する際には、当該グレーチング蓋10aによって凹部18の角(エッジ)が損傷・損壊するのを未然に防止することができるとともに、溝蓋本体6pを通水溝(側溝、横断溝)の上部に設置する際には、溝蓋本体6pの長手方向両側が損傷・損壊するのを未然に防止することができる。
【0035】
なお、角欠防止部材14は、溝蓋本体6pを型成形する際に同時かつ一体的に成形してもよいし、或いは、完成した溝蓋本体6pに対して後付けしてもよい。また、角欠防止部材14は、必ずしも必要な構成ではなく、本発明の溝蓋構造体6の使用目的や使用環境に応じて配設すればよい。
【0036】
<溝蓋構造体8の溝蓋本体8p(
図2(b)参照)について>
図2(b)に示された溝蓋構造体8は、上記したような蓋(グレーチング蓋10、コンクリート蓋12)を載置可能な蓋載置用貫通口2h,6hを備えていない溝蓋本体8pを有しており、溝蓋本体8pには、外部に存する水を通水溝に向けて排水するための排水孔20が備えられている。また、排水孔20は、溝蓋本体8pの中央部分に沿って所定間隔で設けられており、各排水孔20は、溝蓋本体8pの表面S1から裏面S2に亘って貫通させて形成されている。この場合、各排水孔20は、溝蓋本体8pの表面S1から裏面S2に向かって末広がり状に拡大させて形成することが好ましい(
図2(c)参照)。これにより、外部に存する水を、当該各排水孔20を介してスムーズ(円滑)かつ効率的に通水溝に排水させることができる。
【0037】
なお、
図2(b)には一例として、当該溝蓋本体8pの中央部分に沿ったその両側寄りの領域に亘り、四角錐台形状を成す(溝蓋本体8pの表面S1及び裏面S2における形状が四角形となって連通した)排水孔20を等間隔に4つ整列させた構成例が示されているが、これに代えて、排水孔20を等間隔で3つ乃至2つ整列させたり、或いは、排水孔20を1つだけにしたり、また、5つ以上の排水孔20を等間隔で整列させてもよい。さらに、各排水孔20の形状として、四角錐台形状に代えて、例えば、円錐台形状(溝蓋本体8pの表面S1及び裏面S2における形状が円形となって連通した排水孔20)や三角錐台形状(溝蓋本体8pの表面S1及び裏面S2における形状が三角形となって連通した排水孔20)を適用してもよい。
【0038】
また、上記した各排水孔20は、その上部側がグレーチング蓋10bによって覆われるようになっている。この場合、溝蓋本体8pの表面S1には、当該溝蓋本体8pの中央部分に沿って凹部22が形成されており、当該凹部22は、グレーチング蓋10bの大きさ及び形状に沿った輪郭形状を成している。そして、上記した各排水孔20は、当該凹部22内に沿って等間隔で配置されている。なお、
図2(b)には、凹部22の幅と各排水孔20の幅とを一致させた場合の構成が示されているが、これに代えて、凹部22の幅を各排水孔20の幅よりも大きく設定してもよい。また、
図2(b)には、1本のグレーチング蓋10bによって全ての排水孔20を覆うようにした場合の構成が示されているが、これに代えて、複数本のグレーチング蓋10bを凹部22に沿って挿入配置させるようにしてもよい。
【0039】
さらに、
図2(b)に示された溝蓋本体8pの表面S1側において、凹部22の両側角(エッジ)並びに溝蓋本体8pの長手方向両側に沿って角欠防止部材14を配設してもよい。そうすると、グレーチング蓋10bを凹22部に挿入する際には、当該グレーチング蓋10bによって凹部22の角(エッジ)が損傷・損壊するのを未然に防止することができるとともに、溝蓋本体8pを通水溝(側溝、横断溝)の上部に設置する際には、溝蓋本体8pの長手方向両側が損傷・損壊するのを未然に防止することができる。
【0040】
なお、角欠防止部材14は、溝蓋本体8pを型成形する際に同時かつ一体的に成形してもよいし、或いは、完成した溝蓋本体8pに対して後付けしてもよい。また、角欠防止部材14は、必ずしも必要な構成ではなく、本発明の溝蓋構造体8の使用目的や使用環境に応じて配設すればよい。
【0041】
<溝蓋構造体2,4,6,8の高さ・姿勢調整機構24(
図3〜
図5参照)について>
図3〜
図5に示すように、本実施形態に係る溝蓋構造体2,4,6,8は、通水溝の開口を覆うべく当該通水溝の上部Up(
図4及び
図5参照)に設置される溝蓋本体2p,4p,6p,8pに加えて、さらに、溝蓋本体2p,4p,6p,8pに組み込まれ、かつ、通水溝の上部Upに対する高さ及び姿勢を調整することで、当該溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1と道路の表面とを連続した平面状に整合させる高さ・姿勢調整機構24を有している。なお、高さ・姿勢調整機構24は、上記した溝蓋本体2p,4p,6p,8p(
図1及び
図2参照)に共通する構成を成している。以下、具体的に説明する。
【0042】
高さ・姿勢調整機構24は、通水溝の上部Upに向けて、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1からその裏面S2に亘って貫通し、かつ、その内周に第1ネジ部Fs1が構成された調整孔24hと、調整孔24hに挿入され、第1ネジ部Fs1に螺合する第2ネジ部Fs2が外周に構成された調整ボルト24tとを備えている。この場合、「通水溝の上部Up」とは、新設の通水溝の上部Upのみならず、さらに、老朽化(劣化)した通水溝の上部領域を切断若しくはハツリにより除去した後におけるその残存した上部Upを含めた概念である。
【0043】
なお、調整孔24hの個数や配置位置については、例えば、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの大きさや形状、或いは、本発明の溝蓋構造体2,4,6,8の使用目的や使用環境に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。
図1及び
図2には一例として、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの四隅に1つずつ合計4個の調整孔24h(すなわち、高さ・姿勢調整機構24)が配置された構成が示されている。
【0044】
ここで、調整孔24hの第1ネジ部Fs1は、この調整孔24hに埋設させた金属製ナット26の雌ネジによって構成することができ、また、調整ボルト24tの第2ネジ部Fs2は、雌ネジに螺合可能な雄ネジによって構成することができる。この場合、調整ボルト24tとしては、既存の六角ボルト(例えば、外周に雄ネジが形成された円柱形状の第2ネジ部Fs2と、当該調整ボルト24t(第2ネジ部Fs2)の基端側24aに設けられた六角形状の頭部24fとを有するもの)を適用することができる。
【0045】
なお、調整ボルト24t(即ち、六角ボルト)の仕様、例えば、第2ネジ部Fs2のネジピッチや太さ(呼び径)、頭部24fの高さ(厚さ、幅)などについては、例えば、調整孔24hの種類や大きさ(孔径)、或いは、本発明の溝蓋構造体2,4,6,8の使用目的や使用環境に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0046】
この場合、調整ボルト24tの他の仕様として、当該調整ボルト24tを操作し、その先端24b(頭部24fが設けられた基端側24aとは反対側の部分)を溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と同一位置(
図3参照)、或いは、裏面S2よりも内側に没入させた状態において、調整ボルト24tの基端24aから先端24bに亘る全長が、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1から裏面S2に亘る調整孔24hの範囲内となるように設定してもよい。
【0047】
そうすると、調整ボルト24tを調整孔24hに挿入した状態において、調整ボルト24tが調整孔24hから一部突出することはなく、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1及び裏面S2を凹凸の無い平坦面状とすることができる。これにより、調整ボルト24tを予め各調整孔24hに挿入したまま、複数の溝蓋本体2p,4p,6p,8pを、その表面S1と裏面S2とが重なるように積層させることが可能となり(
図7(a)参照)、複数の溝蓋本体2p,4p,6p,8pの保管スペースを最小限にとどめることができる。その結果、溝蓋構造体2,4,6,8の設置作業が行われる敷設現場が狭小であっても、そこに大量の溝蓋本体2p,4p,6p,8pを運び入れて保管することができるため、当該敷設工事の効率を格段に向上させることができる。
【0048】
また、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに設置した状態において、当該溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から調整ボルト24tを直接操作することができるように、調整孔24hは、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側に、当該調整孔24hの一部を拡大させて構成された操作用拡大孔24sを有している。例えば、その全体が円筒形状を成す調整孔24hを想定すると、操作用拡大孔24sは、調整孔24hのうち、金属製ナット26が埋設された位置よりも溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側の部分を、他の部分(即ち、金属製ナット26を含めた溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2側の部分)よりも拡大、即ち、拡径(円筒形状の孔の直径を拡大)させて構成されている。
【0049】
ここで、上記した構成を考慮して、例えば調整ボルト24tの基端24a及び先端24bが調整孔24hから突出しないように、当該調整ボルト24tを調整孔24hに挿入配置させた場合(
図3参照)、調整ボルト24tの基端24aは、操作用拡大孔24sの上端(すなわち、表面S1)と同一平面状に位置付けられた状態となる。その状態から頭部24fが金属製ナット26に当接するまで調整ボルト24tを回転操作すると、このときの頭部24fの移動量H1に応じて、調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突出させることができる。そして、その際の最大突出量が高さ・姿勢の調整代H2となり、かかる調整代H2の範囲内で、調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突没させることが可能となる。
【0050】
かかる構成によれば、通水溝の開口を覆うように溝蓋本体2p,4p,6p,8pを当該通水溝の上部Upに配置した状態において、調整ボルト24tを回動操作して、その先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突没させつつ、通水溝の上部Upに当接させることで、当該通水溝の上部Upに対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢を調整することができる。この場合、操作用拡大孔24sを調整孔24hに設けたことで、調整ボルト24tを回動操作する際において、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から、既存の回転工具(例えば、スパナ、レンチなど)によって各調整ボルト24tの頭部24fを回動させることができる。
【0051】
これにより、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2側に潜り込むことなく、調整ボルト24tを簡単に回動操作することが可能となり、その結果、高さ及び姿勢を調整する際における作業員の負担を従来に比べて大幅に削減することができるだけでなく、精度良く調整ボルト24tを回動することができるため、通水溝の上部Upに対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢の調整を高精度に行うことができる。このため、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1と道路の表面とを連続した平面状に整合させた後の仕上がり状態について、従来よりも見映えを良く(美観に優れたものと)することができるとともに、人や車の往来に支障を来たすような凹凸の存在を完全に無くすることができる。
【0052】
<位置決め支持部材28(
図6参照)を用いた高さ及び姿勢を調整について>
図4(a)に示すように、通水溝の上部Upに対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢を調整する場合、通常は、調整ボルト24tの先端24bを通水溝の上部Upにダイレクトに当接させることで、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢の調整が行われる。しかしながら、通水溝の上部Upの状態(例えば、濡れていて滑り易い状態、凸凹状態、傾斜している状態など)によっては、調整ボルト24tの先端24bを通水溝の上部Upに安定して当接させることが困難な場合が想定される。
【0053】
この場合、
図4(b)及び
図5に示すように、調整ボルト24tの先端24bと通水溝の上部Upとの間に、位置決め支持部材28を介在させることで、当該位置決め支持部材28によって調整ボルト24tの先端24bが位置決めされて支持され、これにより、調整ボルト24tの先端24bを通水溝の上部Upに安定して当接させることができる。なお、
図4(b)には、通水溝の上部Upが平坦面状になってはいるものの、例えば濡れていて滑り易い状態や、凸凹状態となっているような場合における当該位置決め支持部材28の仕様状態が示されており、一方、
図5には、通水溝の上部Upが傾斜しているような場合における当該位置決め支持部材28の仕様状態が示されている。
【0054】
ところで、位置決め支持部材28については、通水溝の上部Upに安定してセットできるとともに、その状態で、調整ボルト24tの先端24bを位置決めしつつ支持できるようなものであれば特に限定されることはないが、
図6(a),(b)には一例として、全体が円錐台形状を成した位置決め支持部材28が示されている。かかる位置決め支持部材28は、通水溝の上部Upに安定して(位置ずれすること無く)セット可能な円形状の基台部28aと、基台部28aから先細り状に延出し、その延出端に調整ボルト24tの先端24bを位置決めしつつ支持可能な円形状のホルダ部28bとを備えている。
【0055】
図6(a)に示すように、ホルダ部28bには、調整ボルト24tの先端24bを受け入れて保持することが可能な中空円筒状の凹所28hが設けられている。なお、凹所28hの大きさや深さ等については、調整ボルト24tの先端24bの大きさや形状等に応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
【0056】
図6(b)に示すように、基台部28aには、位置決め支持部材28を通水溝の上部Upにセットした状態において、当該通水溝の上部Upに接触する接触面28sが設けられている。この場合、接触面28sには、例えば縦横方向や交差方向或いはこれらの組み合わせ方向に、複数の溝や窪み或いは突状や出っ張り等を施すことが好ましい。これによれば、接触面28sは、縦横(交差)方向に起伏や凹凸が施されたグリップ(滑り止め)構造を成して構築される。
【0057】
このような位置決め支持部材28によれば、通水溝の上部Upに基台部28aを載置するとともに、ホルダ部28bの凹所28hに調整ボルト24tの先端24bを受け入れて保持した状態において、当該基台部28aの接触面28sが通水溝の上部Upに接触し、その状態で、グリップ(滑り止め)機能が発揮されることで、位置決め支持部材28は通水溝の上部Upに安定して(位置ずれすること無く)セットされる。これにより、調整ボルト24tの先端24bを、位置決め支持部材28を介して、通水溝の上部Upに安定して(位置ずれすること無く)当接させることができ、その状態で、調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突没させることで、通水溝の上部Upに対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢の調整を、高精度かつ確実に行うことができる。
【0058】
<高さ・姿勢調整機構24の諸機能について>
調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S1から突出させた状態において、その突出した調整ボルト24tの先端部分は、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S1と通水溝の上部Upとの間に挟まれる危険を防止する「安全装置」としての機能を兼ね備えている。この場合、調整ボルト24tの第2ネジ部Fs2は調整孔24hの第1ネジ部Fs1と堅牢に螺合した状態に維持されるため、裏面S2から突出させた調整ボルト24tの先端部分は、たとえ外的作用を受けた場合でも、それにより調整孔24h内に引っ込んでしまうことはない。
【0059】
これにより、溝蓋構造体2,4,6,8(溝蓋本体2p,4p,6p,8p)の設置作業中において、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と通水溝の上部Upとの間には、常に所定の隙間が確保されることになる。その結果、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と通水溝の上部Upとの間に、作業員の手指等が挟まれてしまうといった危険を未然にかつ確実に防止することができる。
【0060】
さらに、調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突出させた状態において、その突出した調整ボルト24tの先端部分は、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と通水溝の上部Upとの間に、これらを相互に連結するための連結材料(例えば、無収縮モルタル)を注入するための「注入空間30(
図4及び
図5参照)」を構成する機能を兼ね備えているとともに、注入空間30に注入される連結材料の「差し筋」としての機能を兼ね備えている。
【0061】
これにより、注入空間30を構成するのと同時に、当該注入空間30に注入された連結材料を構造体として一体化させるための差し筋を配設することができるため、注入空間30を構成するための器具、及び、差し筋をそれぞれ別途に用意することが不要となり、その結果、連結材料の打設工事の効率化(工期の短縮化)及び低コスト化を実現することができる。
【0062】
そして、かかる高さ・姿勢調整機構24によれば、「安全装置」としての機能、「注入空間」を構成する機能、「差し筋」としての機能を同時に兼ね備えることで、連結材料の打設工事を含めた溝蓋構造体2,4,6,8(溝蓋本体2p,4p,6p,8p)の設置工事全体の効率化(工期の短縮化)及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0063】
<注入空間30に連結材料を注入するための構成について>
上記した溝蓋本体2p,4p,6p,8p(
図1及び
図2参照)には、それぞれ、連結材料を注入空間30(
図4及び
図5参照)に注入するための注入孔32が形成されている。この場合、注入孔32の形成場所については、通水溝の上部Upの大きさや形状などに応じて設定されるため、ここでは特に限定しないが、
図1及び
図2にはその一例が示されている。
【0064】
図1(a)には、溝蓋本体2pの蓋載置用貫通口2h内部に突設された一対の載置部Tのそれぞれに、複数(図面では一例として、2つ)の注入孔32が設けられた構成が示されている。
図1(b)には、溝蓋本体4pの長手方向両側に沿って、複数(図面では一例として、3つ)の注入孔32が等間隔に設けられた構成が示されている。
図2(a)には、蓋載置用貫通口6h内部に突設された一対の載置部T(図面では片側の載置部Tのみを示す)のそれぞれに、1つの注入孔32が設けられているとともに、蓋載置用貫通口6hを挟んで溝蓋本体6pの長手方向両側に沿って、複数(図面では一例として、2つ)の注入孔32が設けられた構成が示されている。
図2(b)には、溝蓋本体8pの長手方向両側に沿って、複数(図面では一例として、3つ)の注入孔32が等間隔に設けられているとともに、溝蓋本体8pの長手方向両端には、上記した3つの注入孔32と整列した位置(上記した凹部22を挟んで両側)に、半分欠けた状態の注入孔構造部32aが設けられた構成が示されている。なお、注入孔構造部32aは、
図8に示すように、溝蓋本体8pを通水溝の上部Upに沿って設置させた状態において、隣り合う溝蓋本体8pの長手方向両端同士を連接させた際、対向する注入孔構造部32aが互いに組み合わさることで1つの注入孔32が形成されるようになっている。
【0065】
ここで、上記した各注入孔32は、連結材料を、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から注入空間30(溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と通水溝の上部Upとの間の空間)に注入できるように、上記した各載置部T並びに溝蓋本体2p,4p,6p,8pを貫通させて形成されている。この場合、注入孔32の大きさや形状については、当該各載置部T並びに溝蓋本体2p,4p,6p,8pの大きさや形状に応じて設定されるため特に限定しないが、円筒形状を成した注入孔32とすることが好ましい。なお、より好ましくは、例えば
図9(b)に示すように、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から注入空間30に向けて末広がりを成した円錐台形状とすればよい。これにより、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から投入された連結材料34を、スムーズ(円滑)かつ連続的に注入空間30に注入させることができる。
【0066】
<溝蓋構造体の設置方法について>
次に、上記した溝蓋構造体2,4,6,8(溝蓋本体2p,4p,6p,8p)を、通水溝の開口を覆うべく当該通水溝の上部Upに設置する方法について、添付図面を参照して説明する。
なお、本実施形態の設置方法においては、下記の2つの仕様(1),(2)の双方を含めた場合の各工程について、その工程順に沿って説明する。
(1)老朽化(劣化)した通水溝(側溝、横断溝)の上部領域を切断(ハツリ)により除去し、残存した上部Upの開口を覆うように溝蓋構造体2,4,6,8を設置する仕様。
(2)新たに通水溝(側溝、横断溝)を新設する際に、その新設した通水溝(側溝、横断溝)の上部Upの開口を覆うように溝蓋構造体2,4,6,8を設置する仕様。
【0067】
<切断除去工程>
老朽化(劣化)した既設通水溝(側溝、横断溝)の場合には、当該既設通水溝の上部領域を、例えばカッター等の切断装置(図示しない)を用いて、切断若しくはハツリにより除去する。この場合、切断(ハツリ)により除去された後に残存した切断面(ハツリ面)が、例えば
図7(c)及び
図8に示された通水溝の上部Upとなる。
一方、新設した通水溝(側溝、横断溝)の場合には、切断(ハツリ)による除去作業が行われないため、通水溝の上部Upは新設当初のままである(例えば、
図7(c)及び
図8参照)。
【0068】
<通水溝の上部に溝蓋構造体を位置付ける工程>
次に、老朽化(劣化)及び新設した通水溝(側溝、横断溝)のいずれの場合でも、通水溝の開口を覆うように、当該通水溝の上部Upに溝蓋構造体2,4,6,8(具体的には、溝蓋本体2p,4p,6p,8p)を位置付ける。ここで、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに位置付ける方法の一例として、
図7(a)には、溝蓋本体2pの四隅の調整孔24hのうち、対角線上に対向した調整孔24hに吊り下げ用具36を挿入し、双方の吊り下げ用具36に掛け渡された吊り下げワイヤ38をクレーンのフック40に引っ掛けることで、当該フック40の移動とともに溝蓋本体2pを搬送して、通水溝の上部Upに沿って位置付けるプロセスが示されている。
【0069】
なお、
図7(a)には溝蓋本体2pの場合が示されているが、他の溝蓋本体4p,6p,8pの場合も同様のプロセスを適用することができることは言うまでもない。また、
図7(a)に示された工程はあくまで一例であり、これにより本願発明が限定されることはなく、上記したクレーンのフック40に代えて他の方法、例えばフォークリフト(図示しない)によって、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに位置付けるようにしてもよい。要するに、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに位置付けることができれば、どのような方法であってもよい。
【0070】
<高さ・姿勢調整工程、注入空間構成工程>
図4及び
図5に示すように、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに位置付けた状態において、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から調整ボルト24tを回動操作し、当該調整ボルト24tの先端24bを溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突没させることで、通水溝の上部Up(老朽化(劣化)及び新設の双方を含めた上部Up)に対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢を調整して、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2と、通水溝の上部Upとの間に連結材料(無収縮モルタル)を注入可能な注入空間30を構成する。
【0071】
<注入空間の密封工程、連結材料の注入工程>
続いて、所定の型枠(図示しない)によって注入空間30を覆うことで、かかる注入空間30から連結材料が脱落しないように当該注入空間30の内部を密封し、その状態において、溝蓋本体2p,4p,6p,8pに形成された注入孔32を介して連結材料(無収縮モルタル)を注入空間30に注入する。なお、型枠によって注入空間30を密封する工法については、既存のものが多数知られており、これを利用すれば足りるため、型枠の構成についての説明は省略する。
【0072】
ここで、
図8に示すように、溝蓋本体8pを通水溝の上部Upに設置させた場合には、隣り合う溝蓋本体8pの長手方向両端同士を連接させた際に、対向する注入孔構造部32aが互いに組み合わさることで1つの注入孔32が形成されるため、当該注入孔32にも連結材料(無収縮モルタル)を注入する。なお、注入空間30への連結材料(無収縮モルタル)の注入では、いずれかの注入孔32において、連結材料(無収縮モルタル)が少し盛り上がってきたことを確認した段階で、その注入作業を終了すればよい。これにより、連結材料(無収縮モルタル)を注入空間30に隙間無く充填させることができる。
【0073】
このとき、高さ・姿勢調整後の各調整孔24hに、例えばモルタルを注入することが好ましい。
図9(a)には一例として、溝蓋本体2p,4p,6p,8pのうち、溝蓋本体8pを通水溝の上部Upに設置させた場合において、各注入孔32を介して注入空間30に連結材料(無収縮モルタル)34が注入された状態と、各調整孔24hにモルタル35が注入された状態とが示されている。これにより、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1を全く凹凸の無い平坦面とすることができるため、全体的な見映えが良くなると共に、通行の障害となり得る凹凸の存在を完全に無くすることができる。
【0074】
以上、本実施形態の溝蓋構造体の設置方法によれば、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から調整ボルト24tを回動操作するだけで、通水溝の上部Up(老朽化(劣化)及び新設の双方を含めた上部Up)に対する溝蓋本体2p,4p,6p,8pの高さ及び姿勢の調整を、誰でも簡単に短時間で正確にできると同時に、高さ及び姿勢の調整に際して溝蓋本体2p,4p,6p,8pの裏面S2から突出した調整ボルト24tの先端部分は、注入空間30を構成する機能だけでなく、差し筋及び安全装置として機能させることができる。
【0075】
これによれば、連結材料の打設工事を含めた溝蓋構造体2,4,6,8(溝蓋本体2p,4p,6p,8p)の設置工事全体の効率化(工期の短縮化)及び低コスト化を図ることが可能となり、その結果、周辺環境に対する騒音・振動・粉塵などの影響について、これを従来に比べて大幅に少なくすることができる。
【0076】
また、上記した溝蓋構造体の設置方法において、例えば
図9(b)に示すように、溝蓋本体2p,4p,6p,8pの各注入孔32のそれぞれに、予め、差し筋42をセットしておくことが好ましい。すなわち、溝蓋本体2p,4p,6p,8pを通水溝の上部Upに設置した後、当該溝蓋本体2p,4p,6p,8pの表面S1側から各注入孔32に挿入したドリル(図示しない)によって、当該各注入孔32内に露出した通水溝の上部Upに穴44を穿孔し、その穴に差し筋42の下端側を挿入してセット(立設)する。そして、この状態で、各注入孔32から連結材料34を注入すると、当該連結材料34が差し筋42全周に接触しつつ当該差し筋42が挿入されている穴44並びに注入空間30に行き渡ることで、通水溝の上部Upに堅牢に立設された差し筋42を介して、溝蓋本体2p,4p,6p,8pと通水溝の上部Upとを強固に一体化させることができる。