(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-72192(P2015-72192A)
(43)【公開日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】GPS受信機の測位時間を短縮する方法、測位システム、および携帯式電子機器
(51)【国際特許分類】
G01S 19/21 20100101AFI20150320BHJP
G01S 19/31 20100101ALI20150320BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20150320BHJP
【FI】
G01S19/21
G01S19/31
G01C21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-207995(P2013-207995)
(22)【出願日】2013年10月3日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(74)【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(74)【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 隆史
(72)【発明者】
【氏名】西岡 善夫
(72)【発明者】
【氏名】田村 壮秀
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129EE43
2F129FF11
2F129FF12
2F129HH12
2F129HH22
5J062CC07
5J062DD21
5J062FF01
(57)【要約】
【課題】GPS受信機の測位時間を短縮する方法を提供する。
【解決手段】GPS管理部101は、ユーザ・ファンクション101から測位データの要求があると、デバイス制御部109に指示してデバイス群111の機能を低下させる。機能の低下によりノイズ・レベルが低下する。GPS管理部はGPS受信機を動作させる。GPS受信機は捕捉プロセスをノイズ・レベルが低い環境で実行する。捕捉プロセスが終了した後は、機能を復帰させる。GPS受信機は、捕捉プロセスに続くトラッキング・プロセスはノイズ・レベルが高くても測位に支障をきたさない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信機と電子デバイスを搭載する電子機器において前記GPS受信機の測位時間を短縮する方法であって、
前記GPS受信機を動作させるイベントを生成するステップと、
前記イベントに応答して前記電子デバイスの機能を低下させるステップと、
機能を低下させたあとに前記GPS受信機に測位を開始させるステップと
を有する方法。
【請求項2】
捕捉プロセスの完了に応答して、前記電子デバイスの機能を復帰するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉プロセスの完了を前記GPS受信機による測位データの出力により判断する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機能の低下を前記電子デバイスの電圧および動作周波数またはいずれか一方を低下させることで行う請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記GPS受信機の動作がエフェメリス・データおよびアルマニック・データを保有するホット・スタートと、前記エフェメリス・データを保有しないウォーム・スタートのいずれかを判断するステップと、
前記ホット・スタートと判断したときは、前記機能を低下させるステップをスキップして前記GPS受信機に測位を開始させるステップと
を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記判断するステップが、前記GPS受信機の停止時間を計測するステップを有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電子機器が屋外と屋内のいずれに存在するかを判断するステップを有し、
前記機能を低下させるステップを屋外に存在すると判断したときに限って実行する請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記屋外と屋内のいずれに存在するかを判断するステップが、前記電子機器の電力源またはネットワークの接続先を判断するステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子デバイスが、第1のグループと第2のグループに分類された複数の電子デバイスで構成され、前記電子デバイスの機能を低下させるステップが、
前記第1のグループの電子デバイスの機能を低下させるステップと、
所定の時間に捕捉プロセスが完了したか否かを判断するステップと、
前記所定の時間に前記捕捉プロセスが完了しないときにさらに前記第2のグループの電子デバイスの機能を低下させるステップと
を含む請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
電子機器が搭載するGPS受信機の測位時間を短縮する方法であって、
前記GPS受信機を動作させるイベントを生成するステップと、
前記イベントに応答して前記GPS受信機に測位を開始させるステップと
所定の時間内に前記GPS受信機が測位データを生成しないときに前記電子機器の機能を低下させるステップと
を有する方法。
【請求項11】
GPS受信機を搭載する電子機器の動作を制御する方法であって、
前記電子機器が通常モードで動作するステップと、
前記GPS受信機を動作させるイベントを生成するステップと、
前記イベントに応じて前記電子機器を前記通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作させるステップと、
前記省電力モードに移行したあとに前記GPS受信機に測位を開始させるステップと、
前記GPS受信機のトラッキング・プロセスへの移行に応答して前記電子機器を通常モードで動作させるステップと
を有する方法。
【請求項12】
GPS受信機と、
前記GPS受信機が出力した測位データを処理する電子デバイスと、
前記GPS受信機が捕捉プロセスを実行している間前記電子デバイスの機能を低下させるGPS管理部と
を有する測位システム。
【請求項13】
前記GPS管理部は、前記GPS受信機から測位データを受け取ったときに前記電子デバイスの機能を復帰させる請求項12に記載の測位システム。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載した測位システムを搭載する移動式電子機器。
【請求項15】
GPS受信機と、
前記GPS受信機が測位したデータを受け取る電子デバイスと、
前記GPS受信機が捕捉プロセスを実行している間前記電子デバイスの機能を低下させ、前記GPS受信機が捕捉プロセスを完了したあとに前記電子デバイスの機能を復帰させるGPS管理部と
を有する電子機器。
【請求項16】
前記GPS管理部は、前記GPS受信機が動作する前に前記電子デバイスの機能を低下させる請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記GPS管理部は、前記GPS受信機が所定の時間内に前記捕捉プロセスを完了しないときに前記電子デバイスの機能を低下させる請求項15に記載の電子機器。
【請求項18】
GPS受信機を搭載するコンピュータに、
前記GPS受信機に測位を開始させるステップと、
前記コンピュータの機能を低下させるステップと、
前記GPS受信機が捕捉プロセスを完了するステップと、
前記捕捉プロセスの完了に応答して前記コンピュータの機能を復帰するステップと
を有する処理を実行させるためのコンピュータ・プログラム。
【請求項19】
前記機能を低下させるステップを前記GPS受信機が測位を開始する前に実行する請求項18に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項20】
前記機能を低下させるステップを所定の時間内に前記GPS受信機がトラッキング・プロセスに移行しないときに実行する請求項18に記載のコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノイズ環境に存在するGPS受信機の測位時間を短縮する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(ノートPC)、タブレット端末、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯式電子機器には、GPS(Global Positioning System)を利用するためのGPS受信機を搭載する。GPS受信機は、GPS衛星が発信するL1波(1575.42MHz)とL2波(1227.60MHz)の電波が運ぶナビゲーション・データを解析して自らの緯度・経度を計算する。
【0003】
ナビゲーション・データは、それぞれ個々の衛星の正確な軌道情報を示すエフェメリス・データ、運行しているすべてのGPS衛星の概略の軌道情報を示すアルマナック・データ、衛星時計の補正データ、および電離層補正データなどを含む25個のフレームで構成される。アルマナック・データは情報量が多いため25個のフレームに分割して収められている。各フレームのビット数は1500ビットで、ナビゲーション・メッセージのデータ・レートは50bpsであるため、GPS受信機が1個のフレームを受信するには30秒必要とし、ナビゲーション・データの全体を受信するには12.5分必要とする。
【0004】
GPS受信機は電源が入ると捕捉(acquisition)とトラッキング(tracking)というプロセスを経て測位する。捕捉プロセスでは、測位に利用できる4個以上のGPS衛星を探索してそれぞれのエフェメリス・データを取得する。捕捉したGPS衛星が多いほど測位の精度は向上する。トラッキング・プロセスでは、捕捉した各GPS衛星から受け取ったナビゲーション・データからGPS衛星までの距離を計算し、各GPS衛星の位置に基づく三角測量で測位する。
【0005】
エフェメリス・データの寿命は2時間程度で、アルマナック・データの寿命は24時間程度である。GPS衛星が保有するエフェメリス・データとアルマナック・データは、定期的に地上の制御ステーションが更新している。GPS受信機は受信したナビゲーション・データを内部に保存して次回の捕捉プロセスに利用し短時間で測位できるようにしているが、動作を停止する時間が長くなるとそれらの寿命期間が過ぎてそれ以降の測位には利用できなくなる。
【0006】
GPS受信機が有効なエフェメリス・データとアルマナック・データを保有している状態で測位を開始することをホット・スタートという。GPS受信機が有効なアルマナック・データだけを保有している状態で測位を開始することをウォーム・スタートという。GPS受信機が有効なエフェメリス・データもアルマナック・データも保有しない状態で測位を開始することをコールド・スタートという。
【0007】
コールド・スタートでは、捕捉プロセスにおいてアルマナック・データを受信するためにさまざまなアルゴリズムを導入しても数分間必要になる。捕捉プロセスではビット・エラーが発生してナビゲーション・データが断片化すると再受信する必要がある。ウォーム・スタートでは、捕捉プロセスにおいて並行して4個以上のGPS衛星から各フレームのエフェメリス・データを受信するために30秒〜40秒必要になるが、途中でエラーが発生すると当該GPS衛星が発信する他のフレームを完全に再受信する必要がある。なお、無線基地局やネットワーク・サーバがGPS衛星から取得したエフェメリス・データやアルマニック・データを定期的にGPS受信機に供給するアシスト型GPSという技術も存在する。
【0008】
特許文献1は、周囲環境のノイズ・レベルだけを正確に計測して閾値レベルを決定することでGPS受信信号の捕捉精度を向上する技術を開示する。GPS受信機は車載機器の起動から所定時間遅れて起動される。GPS受信機は、車載機器が起動時に過渡的に放射するノイズがない周期環境だけからのノイズを測定して設定した閾値と相関器の出力信号とを比較するため閾値レベルが異常に高くなったり低くなったりして不安定になって正確な位置演算ができなくなるような事態を防ぐ。非特許文献1は、GPSレシーバのテスト方法を開示する。同文献には、捕捉感度レベルがトラッキング感度レベルよりも高いことが要求されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO01/094972号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】GPSレシーバ・テスト、[online]、Agilent Technology、2010年1月21日、[平成25年9月16日検索]、インターネット〈URL:http://www.home.agilent.com/agilent/facet.jspx?k=GPS%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88&neighborhood=ETM&kt=1&cc=JP&lc=jpn&homesearch=Search&searchbtn=%E6%A4%9C%E7%B4%A2〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
GPS電波は微弱信号であり、その信号レベルはGPS受信機が存在する環境のノイズ・レベルよりも低い。一例では、GPSアンテナの位置での信号レベルは、−120dBm〜−165dBm程度であるが、GPS受信機内のノイズ・レベルは−100dBmに達する。コールド・スタートおよびウォーム・スタートにおける捕捉プロセスでは、フレームを受信している途中でビット・エラーが発生すると、受信のやり直しが生ずるため最短時間で捕捉プロセスを完了するためには、GPS受信機に対する周囲環境のノイズ・レベルを低く抑える必要がある。これに対してトラッキング・プロセスでは、時刻情報を断片的に取得しても測位できるためフレームの全体を完全に受信する必要がなく捕捉プロセスに比べてノイズ耐性は高い。
【0012】
一例として捕捉プロセスでは、トラッキング・プロセスに比べて10〜20倍以上の信号レベルを必要とする。ある主のGPS受信機は、捕捉プロセスで−140dBm程度の信号レベルを要求し、トラッキング・プロセスでは−160dBm程度の信号レベルを要求する。ノイズ・レベルが高い環境でGPS受信機を動作させると、捕捉プロセスが完了できないため測位が不能な状態に陥ることもある。特に、携帯式電子機器に収納されるGPS受信機にはさまざまデバイスからノイズが進入しやすい。
【0013】
アシスト型GPSは、無線ネットワークを利用できない環境では利用できず、ナビゲーション・データを取得するための通信費用も発生する。また、ネットワークからエフェメリス・データやアルマナック・データを受け取っても、最終的にはGPS衛星からナビゲーション・データを受信する必要があるため、アシスト型GPSであってもノイズ・レベルの低い環境で動作する方が短時間で捕捉プロセスを完了することができる。
【0014】
そこで本発明は、GPS受信機の測位時間を短縮する方法を提供することにある。さらに本発明の目的はGPS受信機を搭載する電子機器の動作を制御する方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、そのような方法を実現する測位システム、電子機器、およびコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
GPS受信機は、電子デバイスとともに電子機器に搭載されており、電子機器のノイズの影響を受ける環境下におかれている。本発明の一の態様では、GPS受信機を動作させるイベントに応答して電子デバイスの機能を低下させ、機能を低下させたあとにGPS受信機に測位を開始させる。したがって、測位の初期に行われる捕捉プロセスにおいて電子機器のノイズ・レベルを低下させることができるため短時間で測位を完了することができる。
【0016】
測位は捕捉プロセスとトラッキング・プロセスの2段階で行われる。トラッキング・プロセスは捕捉プロセスに比べてノイズ耐性が高いため、捕捉プロセスが完了した段階またはトラッキング・プロセスに移行した段階で電子デバイスの機能を復帰することができる。捕捉プロセスの完了またはトラッキング・プロセスへの移行は、GPS受信機からの測位データの取得により判断することができる。
【0017】
電子デバイスの電圧または動作周波数を低下させることで、電子機器の動作を確保しながらGPS受信機の周辺のノイズ・レベルを低下させることができる。GPS受信機は、エフェメリス・データおよびアルマニック・データを保有する状態で動作を開始するホット・スタートのときは、周辺のノイズ・レベルが高くても短時間で測位を完了することができる。本発明では、GPS受信機の動作がホット・スタートと判断したときは機能を低下させないでGPS受信機に測位を開始させることができる。
【0018】
エフェメリス・データの保有は、前回の測位から今回の測位までの経過時間または停止時間を計測して判断することができる。電子機器が屋外と屋内のいずれに存在するかを判断し、屋外に存在すると判断したときに限って機能を低下させることができる。その結果、電子機器がGPSを利用できない屋内環境に存在する場合に、GPS受信機に対する測位の要求があっても電子デバイスの機能が低下しないようにすることができる。
【0019】
屋内外の判断は、電子機器の電力源またはネットワークの接続先で判断することができる。電子デバイスが無線装置を含む複数のデバイスで構成されているときは、機能を低下させる際に、無線装置の送信を停止し、送信を停止している間に生成された送信データをバッファに記憶することもできる。その結果、機能が復帰したときに送信データを無線装置に送って自動的に送信することができる。
【0020】
電子デバイスが、第1のグループと第2のグループに分類された複数の電子デバイスで構成されているときは、電子デバイスの機能を低下させる際に、第1のグループの電子デバイスの機能を低下させ、所定の時間に捕捉プロセスが完了したか否かを判断し、所定の時間に捕捉プロセスが完了しないときにさらに第2のグループの電子デバイスの機能を制限することもできる。その結果、電子機器が受信する電波の信号レベルに応じて徐々に機能制限の程度を大きくすることで、GPS受信機の測位時間の短縮と機能制限の不便性を調和させることができる。
【0021】
本発明の他の態様では、GPS受信機に測位を開始させてから所定の時間内にGPS受信機が測位データを生成しないときに電子デバイスの機能を低下させる。この態様は、ホット・スタートであることを前提にして測位を開始させ、ウォーム・スタートまたはコールド・スタートであることが判明した時点で、機能制御をしてノイズ・レベルを低減して測位時間を短縮させることができる。したがって、GPS受信機が短時間で起動と停止を繰り返すような環境で、機能制御の頻度を減らしながら測位時間を短縮することができる。所定の時間は、GPS受信機がエフェメリス・データを保有するホット・スタートのときに予想できる測位データを生成するまでの時間とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、GPS受信機の測位時間を短縮する方法を提供することができた。さらに本発明により、GPS受信機を搭載する電子機器の動作を制御する方法を提供することができた。さらに本発明により、そのような方法を実現する測位システム、電子機器、およびコンピュータ・プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】携帯式電子機器のハードウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】GPS制御システム100の構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図3】機能制御プロファイルを設定する参照テーブル107のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】GPS制御システム100がGPS受信機25の動作と連動して機能制御をするときの動作手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、携帯式電子機器10のハードウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。チップセット17には例示的にCPU11、SSD19、無線WANモジュール21、無線LANモジュール23、GPS受信機25、GPSメモリ27、オーディオ・デバイス29、およびエンベデッド・コントローラ(EC)31が接続されている。CPU11はCPコアに加えてメモリ・コントローラおよびPCI_Express(PCIe)コントローラを含んでいる。
【0025】
CPU11には、揮発性のシステム・メモリ13およびビデオ・カード15が接続されている。CPU11は、消費電力の低減や温度上昇の抑制を目的として電圧および内部クロックを同時にまたは個別にダイナミックに制御することができる。このような制御を可能にするために、CPU11は一例としてインテル(登録商標)社のスピード・ステップ(SpeedStep)やAMD(登録商標)社のクールンクワイエット(Cool'n'Quiet)というテクノロジーを採用することができる。
【0026】
ビデオ・カード15はGPU、VRAMおよびバックライト制御ロジックなどを実装しておりLCD16が接続されている。チップセット17は、周辺デバイスを接続するためにさまざまな規格のインターフェース・コントローラを備えている。たとえば、SSD19はSATA、無線WANモジュール21および無線LANモジュール23はPCIe、GPS受信機25はUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、GPSメモリ27およびEC31はSPI(Serial Peripheral Interface)、マイクロフォンやスピーカなどのオーディオ・デバイス29はHDMI(登録商標)のインターフェースを採用することができる。ただし、インターフェースの種類はここに例示したものに限定する必要はない。
【0027】
SSD19はOS、デバイス・ドライバ、アプリケーション・プログラム、およびユーザ・データなどを記憶する大容量の記憶装置(ディスク・ドライブ)である。SSD19は、
図2で説明するGPS制御システム100のデバイス制御部109と機能設定部105を構成するプログラムおよび参照テーブル107を格納している。GPS受信機25は、動作を開始するとGPS衛星から受信したナビゲーション・データから現在位置を測位して、要求するアプリケーション・プログラムに経度および移動を含む測位データを提供する。
【0028】
GPS受信機25は、ネットワーク・サーバまたは無線WANの基地局からエフェメリス・データおよびアルマニック・データを含むナビゲーション・データを定期的に受信できるアシスト型であってもよい。GPS受信機25は、動作を開始すると捕捉プロセスを実行し続いてトラッキング・プロセスを実行して測位データを出力する。捕捉プロセスが完了できないときは、停止するまで捕捉プロセスを継続する。GPS受信機25は、測位が終了して動作を停止してもナビゲーション・データを保有するが、寿命期間が到達すると当該ナビゲーション・データを利用することはできなくなる。
【0029】
GPSメモリ27は揮発性のメモリで、後に説明するノイズ・レベルの低減のための機能制御をする際に、無線WANモジュール21または無線LANモジュール23の送信を停止している間に生成された送信データを一時的に記憶するバッファ・メモリとして機能する。さらにGPSメモリ27は、SSD19に対する書き込み制限をしている間に生成された書き込みデータを一時的に記憶するバッファ・メモリとしても機能する。
【0030】
EC31は、プロセッサ、メモリ、およびファームウェアを格納するROMなどで構成されたマイクロ・コンピュータである。EC31は、CPU11から独立して動作して携帯式電子機器10の温度および電力を管理する。EC31には、電池コントローラ33、充電器37およびDC/DCコンバータ32が接続されている。電池コントローラ33は電池セルの残容量を計算したり充放電時の安全を管理したりするマイクロ・コントローラである。電池コントローラ33には、リチウムイオン型の電池セルおよび保護回路などを含む電池ユニット35が接続されている。AC/DCアダプタ41は、充電器37とDC/DCコンバータ32に電力を供給する。
【0031】
EC31は、電池コントローラ33から電池ユニット35の充電状態に関する情報を受け取って充電器37の動作を制御する。携帯式電子機器10は、電力源が電池ユニット35の場合には、電力源がAC/DCアダプタ41の場合よりも消費電力を下げる省電力動作をすることができる。EC31およびチップセット17はOSを通じて設定された省電力プロファイルに従って、電力源が電池ユニット35に移行したときに設定された省電力プロファイルに基づいて、各デバイスおよびDC/DCコンバータ32の動作を制御することができる。EC31はまた
図2に示すデバイス制御部109の一部として、ノイズ・レベルの低減のための機能制御をする。
【0032】
EC31には、ファームウェアにより
図2で説明するGPS管理部101が構成され、さらに屋外フラグ153およびスタート・フラグを設定するレジスタ含んでいる。屋外フラグ153は、捕捉プロセスにおける機能制御を携帯式電子機器10が屋外に存在するときに限って実行する必要がある場合にユーザが設定する。スタート・フラグ155は、捕捉プロセスにおける機能制御をGPS受信機25がウォーム・スタートまたはコールド・スタートをしたと推定したときに限って実行する必要がある場合にユーザが設定する。屋外フラグ153、およびスタート・フラグ155は機能設定部105(
図2)を通じて設定することができる。
【0033】
図2は、GPS制御システム100の構成を説明するための機能ブロック図である。GPS管理部101は、ユーザ・ファンクション103から測位データを要求する要求イベントを受け取ってGPS受信機25を動作させ、ユーザ・ファンクション103から停止イベントを受け取ってGPS受信機25を停止する。GPS管理部101は、GPS受信機25を動作させる前にデバイス制御部109に機能制御をするための制御イベントを送ることができる。あるいはGPS管理部101は、GPS受信機25が動作してから所定の時間内に測位を完了しないときに、デバイス制御部109に制御イベントを送ることができる。GPS管理部101は、制御イベントをフェーズ1からフェーズ3まで分割して段階的に送ることができる。
【0034】
GPS管理部101は、GPS受信機25から測位データを受け取ったときに捕捉プロセスが完了したと判断してデバイス制御部109に機能制御を停止する解除イベントを送ることができる。解除イベントは、最初の測位データを受け取ったときに送ってもよいし2〜3個の測位データを受け取ったときに送ってもよい。GPS受信機25による測位データの出力は捕捉プロセスの完了を判断するための一例であり、GPS管理部101は、GPS受信機25が捕捉プロセスを終了してトラッキング・プロセスに移行したことを示す他のさまざまな情報を利用して解除イベントを送ることもできる。
【0035】
GPS管理部101は、GPS受信機25が動作して捕捉プロセスを開始してからの経過時間を測定し、所定の時間が経過しても測位データを受け取らないときにデバイス制御部109に順番に高次のフェーズの制御イベントを送ることができる。GPS衛星が放射する電波は微弱なため、屋内ではGPS受信機25を動作させても測位できない場合が多い。他方で、アプリケーション・プログラムの中には、一旦動作を開始すると、現在の位置情報を取得して気象情報や周囲環境などの情報を定期的にプッシュ通信で報告するものがある。
【0036】
このようなアプリケーション・プログラムが動作すると、携帯式電子機器10が動作している間は、定期的に要求イベントと停止イベントが発行されてGPS受信機25が動作と停止を繰り返す。その結果、携帯式電子機器10がGPSを利用できない地下鉄やビルの中などの屋内に存在するときも、高い頻度で機能制御が行われることはユーザビリティの視点で好ましくない。したがって、GPS管理部101はGPS電波が微弱でGPS受信機25が測位できない可能性が高い場合は機能制御をしないようにすることができる。
【0037】
そのためにGPS管理部101は現在携帯式電子機器10が屋内に存在するか屋外に存在するかを判断する。たとえば、GPS管理部101は、ユーザ・ファンクション103から定期的に無線LANモジュール21が接続するアクセス・ポイントのMACアドレスを取得して、あらかじめ登録しておいた屋内のアクセス・ポイントに接続している場合は、屋内に存在していると判断し、登録していた屋内のアクセス・ポイントに接続していないときは屋外に存在していると判断することができる。
【0038】
無線LANのネットワークを検出したときには自動的に接続先を無線WANから無線LANに切り換えるような方式を採用する場合は、無線LANモジュール23が接続しているときは屋内に存在すると判断することもできる。GPS管理部101は、無線WANの基地局が提供する位置情報を利用して屋内外を判断することもできる。GPS管理部101は、定期的にGPS受信機に測位させてGPS電波の状態を監視して、測位できなくなったときに屋内に存在すると判断することもできる。
【0039】
屋内ではAC/DCアダプタ41を電力源として使用する携帯式電子機器では、GPS管理部101は、電力源がAC/DCアダプタ41のときは屋内で使用していると判断することができる。屋外フラグ153が設定されているときにGPS管理部101は、これらのさまざまな情報を総合して携帯式電子機器10が現在屋内に存在すると判断したときはレジスタに屋内フラグ102を設定し、ユーザ・ファンクション103から要求イベントを受け取っても制御イベントを送らないようにすることができる。
【0040】
GPS管理部101は、前回GPS受信機25が停止してから今回要求イベントを受け取るまでの停止時間を計測して、GPS受信機25が保有するエフェメリス・データの有効性を推定することができる。スタート・フラグ155が設定されているときにGPS管理部101は、今回の測位のための動作がホット・スタートであると推定したときは、ユーザ・ファンクション103から要求イベントを受け取っても制御イベントを送らないでGPS受信機25を動作させることができる。
【0041】
ユーザ・ファンクション103は、
図1に示したCPU11およびシステム・メモリ13などのハードウェアとOSおよびアプリケーション・プログラムなどのソフトウェアが協働する複数の機能ブロックで構成されている。ユーザ・ファンクション103は、それぞれGPSの測位データを利用する地図、近隣情報の探索サービス、またはSNSなどのアプリケーション・プログラムなどで構成された機能ブロックを含むことができる。ユーザ・ファンクション103は、存在場所の屋内外の判断をするための無線WANモジュール21または無線LANモジュール23などのデバイス・ドライバで構成された機能ブロックを含むことができる。いずれかの機能ブロックが要求イベントを出力するとGPS受信機25は動作し、要求イベントを出力したすべての機能ブロックが停止イベントを出力するとGPS受信機25は停止する。
【0042】
デバイス制御部109は、CPU11、システム・メモリ13、チップセット17およびEC31などのハードウェアとOSおよびデバイス・ドライバなどのソフトウェアが協働する機能で構成されている。デバイス制御部109は、GPS管理部101から制御イベントを受け取ったときに参照テーブル107を参照してデバイス群111の機能を制御しGPS受信機25に対するノイズ・レベルを低下させる。
【0043】
デバイス制御部109は、GPS管理部101から解除イベントを受け取ったときに機能制御をしたデバイスをもとの状態に復帰させる。
図3は機能制御プロファイルを設定する参照テーブル107のデータ構造の一例を示す図である。参照テーブル107には、機能制御の対象となるデバイスと制御項目の組に対して1から3のグループ番号を設定している。グループ番号はGPS管理部101が出力する制御イベントのフェーズに対応する。
【0044】
同一のグループ番号が設定されたデバイスと制御項目の組に対しては、当該フェーズの制御イベントが発行されたときに同時に機能制御が実行される。CPU11のコアとビデオ・カード15のGPUはそれぞれフェーズ1の制御イベントがあったときに電圧および動作クロックを低下させる。GPUはさらにフェーズ1の制御イベントに対して動画の再生のために行うレンダリングのように負荷の大きな機能を停止することができる。LCD17はフェーズ1の制御イベントに応じてバックライトの輝度を低下させ、フェーズ3の制御イベントに応じてLCD17の動作を停止する。
【0045】
システム・メモリ13は、フェーズ3の制御イベントに応じてあらかじめ定めておいたプログラムの実行プロセスが利用するメモリ空間に対するアクセスを制限する。アクセスを制限するプロセスは、ユーザ・モードで動作するプログラムのなかからコンピュータの動作への影響の少ないものを選択する。無線WANモジュール21は、フェーズ2の制御イベントに応じて送信動作と受信動作を停止する。無線LANモジュール23は、フェーズ1の制御イベントに応じて送信動作を停止し、フェーズ3の制御イベントに応じてさらに受信動作を停止する。
【0046】
SSD19は、フェーズ2の制御イベントに応じて書き込みを制限し、フェーズ3の制御イベントに応じてさらに読み取りを制限する。充電器37はフェーズ1の制御イベントに応じて動作を停止する。オーディオ・デバイス29はフェーズ2の制御イベントに応じて動作を停止する。参照テーブル107のグループ番号はユーザが機能設定部105を通じて設定することができる。
【0047】
デバイス制御部109は、制御イベントに応じて無線WANモジュール21または無線LANモジュール23の送信制限をした場合、およびSSD19に対する書き込み制限をした場合は、その間にユーザ・ファンクション103が出力した送信データおよび書き込みデータを一時的にGPSメモリ27に記憶し、解除イベントを受け取ったときに各デバイスに送ることができる。制御テーブル107において、グループ1のデバイスと制御項目の組は比較的ユーザビリティの低下を少なくして省電力効果が高いものになっているため、省電力プロファイルに一致させることができる。
【0048】
図4は、GPS制御システム100がGPS受信機25の動作と連動して機能制御をするときの動作手順を説明するためのフローチャートである。ブロック201で携帯式電子機器10がパワー・オン状態で動作し、GPS受信機25は停止している。ブロック203でユーザ・ファンクション103のいずれかの機能ブロックがGPS受信機25から測位データを取得するためにGPS管理部101に要求イベントを送る。ある種のユーザ・ファンクション103は、屋内や地下鉄のようにGPS衛星の電波が届かないところで頻繁に要求イベントを送る場合もある。
【0049】
要求イベントがあると携帯式電子機器10の機能が所定の時間だけ低下することになるが、携帯式電子機器10がGPS衛星の電波が届かない場所に存在するときは、GPS受信機25を動作させても測位できない。この場合に機能制御をすると、機能を低下させることとのトレード・オフとなる測位時間の短縮というメリットが得られない。屋外フラグ153が設定されているときはブロック205に移行し、設定されていないときはブロック205の手順をスキップしてブロック207に移行する。
【0050】
ブロック205でGPS管理部101は、屋内フラグ102が設定されているときは屋内に存在すると判断してブロック251に移行し、解除されているときは屋外に存在すると判断してブロック207に移行する。ブロック251では、本発明を適用しないで従来通りの方法で処理するため機能制御は行わない。したがって、携帯式電子機器10が地下鉄やビルの中に存在するときは機能制御をしない。このときGPS受信機25は捕捉プロセスを継続するが測位をすることはできない。
【0051】
測位データを取得できないユーザ・ファンクション103は、タイムアウトを検出してLCD16に状態を表示したり停止イベントを出力したりする。ブロック205は、GPS受信機25が測位できない可能性が高いときに効果のない機能制御をしないことを目的にしているため、ナビゲーション・データが含むC/Aコードの信号レベルを直接検出して本発明の機能制御を実行するか否かを判断することもできる。
【0052】
ブロック207の手順はスタート・フラグ155が設定されている場合だけ実行することができる。ブロック207でGPS管理部101は直近で測位データを受け取ったあとの停止時間から、今回のGPS受信機25の動作が、エフェメリス・データを保有するホット・スタートかそれ以外のウォーム・スタートまたはコールド・スタートかを判断する。ホット・スタートであると判断したときは、ブロック253に移行してGPS受信機25を動作させる。
【0053】
停止時間が長くてエフェメリス・データの寿命が尽きたと判断したときは、ウォーム・スタートまたはコールド・スタートと判断してブロック209に移行する。GPS受信機25は動作を開始すると、自らがエフェメリス・データを保有している場合に当該GPS衛星からナビゲーション・データを受信して測位をする。エフェメリス・データが有効であれば、極短時間で最初の測位が終了する。
【0054】
ブロック255でGPS管理部101は、GPS受信機23を動作させてからホット・スタートのときに想定する測位までの短い時間内に最初の測位データを受け取ることができなかったときは、ブロック209に移行して機能制御を開始する。所定の時間内に最初の測位データを受け取ったときは、ブロック203に戻って、ユーザ・ファンクション103がGPS管理部101に停止イベントを送るまで、トラッキング・プロセスに移行したGPS受信機25は定期的にユーザ・ファンクション103とGPS管理部101に測位データを送り続ける。
【0055】
ブロック209でGPS管理部101は、デバイス制御部109にフェーズ1の制御イベントを送る。デバイス制御部101は、参照テーブル107に設定された機能制御プロファイルを参照して、グループ1のデバイスの機能を制御項目に従って制御する。GPS管理部101は、デバイス制御部109からフェーズ1の機能制御が終了したことの通知を受け取ると、ブロック211でGPS受信機25を動作させて測位を開始させるとともにブロック215で最初の測位データを受け取るまでの時間を計測する。GPS受信機23は、フェーズ1の機能制御が実行されて携帯式電子機器10のノイズ・レベルが低下した環境で捕捉プロセスを開始する。
【0056】
GPS管理部101は、GPS受信機25から所定の時間内に最初の測位データ受け取ることができないときは、ブロック217に移行する。所定の時間内に最初の測位データを受け取ったときはブロック257に移行する。ブロック257でGPS管理部101はデバイス制御部109に解除イベントを送る。解除イベントを受け取ったデバイス制御部109は、グループ1のデバイスの機能を復帰させてブロック203に戻る。それ以降は、GPS受信機25がトラッキング・プロセスに移行するため、ノイズ・レベルが高くても定期的な測位を継続することができる。
【0057】
ブロック217でGPS管理部101は、デバイス制御部109にフェーズ2の制御イベントを送る。フェーズ2の制御イベントを受け取ったデバイス制御部109は、フェーズ1の機能制御に加えて、さらにグループ2のデバイスの機能を低下させる。その結果、携帯式電子機器10のノイズ・レベルは一層低下する。GPS管理部101は、ブロック219、221でGPS受信機25から所定の時間内に最初の測位データを受け取った場合はブロック257に移行する。
【0058】
このとき、無線WANモジュール21および無線LANモジュール23の送信データ、またはSSD19に対する書き込みデータがGPSメモリ27に記憶されているときは、デバイス制御部109はそれらのデータを各デバイスに送る。データを受け取った各デバイスは自動的に処理する。ブロック257でデバイス制御部109は、フェーズ1とフェーズ2の制御イベントで機能を低下させたデバイスをもとの状態に復帰させる。
【0059】
所定時間が経過しても測位データを受け取らない場合はブロック223に移行して、GPS管理部101はデバイス制御部109にフェーズ3の制御イベントを送る。デバイス制御部109は、フェーズ2の機能制御に加えてグループ3のデバイスの機能を低下させる。その結果、携帯式電子機器10のノイズ・レベルは最低になる。なお、フェーズ3の制御イベントを送っても所定の時間内に測位データを取得できないときは、GPS管理部101はデバイス制御部109に解除イベントを送る。
【0060】
図4の手順では、スタート・フラグ155が設定されていないときに、ブロック205からブロック209に移行する。この手順は、GPS受信機25がウォーム・スタートまたはコールド・スタートであることを前提にすれば短時間で測位を完了することができる。ユーザ・ファンクション103が要求イベントと停止イベントの発行を短い時間間隔で頻繁に繰り返すような場合は、ホット・スタートである可能性が高い。このような場合は、GPS受信機25がホット・スタートをすることを前提にして、機能制御の頻度を減らしながら測位時間を短縮することができる。
【0061】
そのためにスタート・フラグ155を設定しないときは、ブロック205からブロック253に直接移行し、ブロック255を経由してブロック209に移行する手順を採用することができる。この手順においては、GPS管理部101が、要求イベントがあったときに機能制御をしないでGPS受信機23を動作させる。もし、GPS受信機23がエフェメリス・データを保有していれば、機能制御をしないでも短時間で最初の測位データを生成しトラッキング・プロセスに移行できる。ホット・スタートのときに予想する短い時間で測位データを生成しない場合に限って機能制御をすれば、ホット・スタートの可能性が高い場合には、その都度機能制御を行わないで測位時間を短縮できる。
【0062】
本発明の適用範囲は、ノートブック型パーソナル・コンピュータ、タブレット端末、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯式電子機器に限るものではなく、自動車が搭載するナビゲーション・システム、携帯式の測位装置などのような測位システムを搭載する移動式電子機器に適用することができる。また本発明は、GPS受信機25と機能制御の対象となる電子デバイスが同一の筐体に収納されている場合に限定するものではなく、GPS受信機25が電子デバイスからノイズの影響を受ける程度の接近した位置に配置されている場合にも適用することができる。
【0063】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0064】
10 携帯式電子機器
31 エンベデッド・コントローラ
100 GPS制御システム
107 参照テーブル