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特開2015-72242試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-72242(P2015-72242A)
(43)【公開日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20150320BHJP
【FI】
   G01M7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-209107(P2013-209107)
(22)【出願日】2013年10月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 輝雅
(57)【要約】
【課題】補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法を提供する。
【解決手段】試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算部26と、高調波演算部26で演算された、任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成部28と、高周波生成部28で演算処理された任意のn倍高調波の位相と振幅と、基本波成分とを入力し合算して、試験装置への制御波形を生成する加算部30と、を備えた波形補正演算部24を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御装置であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算部と、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成部と、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算部と、
を備えた波形補正演算部を備えることを特徴とする試験装置の制御装置。
【請求項2】
前記高調波演算部において、計測波形f(t)
【数31】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数32】
と、振幅、
【数33】
を求めるように構成されていることを特徴とする試験装置の制御装置。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数34】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【請求項3】
前記高周波生成部において、前記高調波演算部で演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数35】
を生成するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の試験装置の制御装置。
【請求項4】
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算部からの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項5】
前記制御波形が、正弦波の周期関数であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項6】
前記制御波形が、重畳された制御波形であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項7】
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御方法であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算ステップと、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成ステップと、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算ステップと、
を備えることを特徴とする試験装置の制御方法。
【請求項8】
前記高調波演算ステップにおいて、計測波形f(t)
【数36】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数37】
と、振幅、
【数38】
を求めるように構成されていることを特徴とする試験装置の制御方法。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数39】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【請求項9】
前記高周波生成ステップにおいて、前記高調波演算ステップで演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数40】
を生成することを特徴とする請求項8に記載の試験装置の制御方法。
【請求項10】
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算ステップからの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算処理ステップを備えることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の試験装置の制御方法。
【請求項11】
前記制御波形が、正弦波の周期関数であることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の試験装置の制御方法。
【請求項12】
前記制御波形が、重畳された制御波形であることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の試験装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車輛のショックアブソーバ、橋梁・ビル・住宅・建築物などの構造物に対して、外力を負荷する載荷試験など各種試験を行うための試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の試験装置として、被試験対象物、例えば、車輛のショックアブソーバについて試験を行うため、図7に示したような構造の試験装置100が提案されている。
【0003】
すなわち、図7に示したように、従来の試験装置100は、試験を行うための試験装置本体102を備えている。この試験装置本体102は、この実施例では、試験の一例として、加振装置から構成されている。
【0004】
図7に示したように、試験装置本体102は、架台フレーム104を備えており、この架台フレーム104の下方にシリンダからなるアクチュエータ106を備えている。このアクチュエータ106には、テストピースAを載荷するためのピストン108と、変位を検出するための変位検出器110とを備えている。また、図示しないが、速度を検出する速度検出器と、ピストン108の先端には、加速度を検出する加速度検出器を備えている。
【0005】
また、架台フレーム104の上方には、上方フレーム118が立設されており、この上方フレーム118には、上方フレーム118と架台フレーム104との間に、ガイドロッド112が設けられている。
【0006】
そして、ガイドロッド112の下方と上方フレーム118との間には、ボールネジ114が設けられており、ボールネジ114により、ピストン108に対して、上下動可能なクロスヘッド116が設けられている。また、このクロスヘッド116には、ピストン108と対峙するように、例えば、荷重センサなどから構成される検出器120が設けられている。
【0007】
このように構成される試験装置100では、以下のように試験が行われる。
【0008】
図7に示したように、ピストン108の上面に、例えば、ショックアブソーバなどのテストピースAを載荷して、図示しない駆動機構によって、ボールネジ114により、ピストン108に対してクロスヘッド116を下降して、ピストン108の上面とクロスヘッド116の下面との間にテストピースAを挟持する。
【0009】
そして、図示しない制御装置に予め記憶されたプログラムに基づいて、試験条件などの設定、試験の実施、試験データの収集が行われるようになっている。
【0010】
すなわち、図7に示したように、制御装置の制御によって、制御装置に接続された図示しないアクチュエータ動力源を所定の条件で駆動させる。これにより、アクチュエータ動力源に接続されたアクチュエータ106が所定の条件で駆動して、テストピースAに対して一定の振動を与えるようになっている。
【0011】
そして、アクチュエータ106に設けられた変位検出器110によって、テストピースAの変位が検出され、テストピースAの変位データが、制御装置に入力されるようになっている。一方、クロスヘッド116に設けられた検出器120によって、テストピースAにかかる荷重などが検出され、テストピースAにかかる荷重データなどが、制御装置に入力されるようになっている。
【0012】
また、これらの試験データに基づいて、制御装置のプログラムにより、制御装置からアクチュエータ動力源に、フィードバック指令信号が出力され、アクチュエータ106を所定の条件で駆動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3055788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来、このような試験装置100において、振幅制御を行う場合には、アクチュエータ106が油圧式のアクチュエータである場合には、作動油の油圧共振とアクチュエータ106内にあるそれぞれの摺動部の影響により、アクチュエータ106内に備えられている速度検出器の速度波形と、ピストン108の先端に備えられている加速度検出器の加速度波形が、図8(B)のA部分と、図8(C)のB部分で示したように歪むことになる。
【0015】
なお、図8(A)は入力波形、図8(B)は速度波形、図8(C)は加速度波形を示している。
【0016】
すなわち、実際の計測波形f(t)は、
【数1】
であり、余分な高調波成分(すなわち、上記式の第2項以降の高調波成分)が存在し、誤差(歪)が生じるおそれがある(図8(B)のA部分と、図8(C)のB部分参照)。
【0017】
このため、例えば、振動試験などの場合、この歪によりテストピースAに加える振動エネルギーの正確性が損なわれ、正確な振動試験結果が得られないおそれがある。
【0018】
また、従来の試験装置100では、予め計測した伝達関数を補正することで、波形歪の改善を試みていた。しかしながら、その方法では、テストピースAなどの状態変化などによる伝達関数の変化が生じた場合、瞬時にその変化に対応できなかった。
【0019】
すなわち、従来の試験装置100では、図9のグラフに示したように、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform: FFT)によって、1周期分について、Δf毎の周波数特性を求めて、
伝達関数H=Y/Xから、入力波形X=Y/Hを求め、その後フーリエ変換 (IFFT)により、制御信号を生成する振幅制御を行っている。なお、ここで、Yは出力信号、Xは入力信号である。
【0020】
すなわち、従来の試験装置100において、振幅制御は、図10に示したフローチャートに示したように行われる。
【0021】
先ず、ステップS101において、制御が開始され、ステップS102において、伝達関数が測定される。そして、ステップS103において、システムが同定され、ステップS104において、制御波形が作成される。
【0022】
次に、ステップS105において、試験が開始され、ステップS106において、予め設定された時間、回数などの終了条件か否か判断され、終了条件と判断された場合には、ステップS107に進み、制御が終了される。一方、ステップS106において、終了条件でないと判断された場合には、ステップS106に再び戻って、終了条件か否か繰り返し判断される。
【0023】
しかしながら、このような従来の試験装置100の制御方法では、図10に示したように、項目毎にプログラム(プログラム(1)〜(3)が分れており、一連の流れでは補正できず、図10に示したように、例えば、プログラム(1)で30分、プログラム(2)で60分と、時間がかかってしまうことになる。
【0024】
また、プログラム(2)において制御波形を作成しても、プログラム(3)の過程で、対象の系が変化した場合、その変化に対応できない。
【0025】
また、このような従来の試験装置100の制御方法では、補正に必要な目標波形長が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形長データについて、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行っているので、計算処理数が増加して、制御装置の演算負荷が重くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が必要になって、コストが高くつくことになる。
【0026】
また、従来の試験装置100の制御方法では、補正に必要な目標波形長が1周期となるので、加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要があるので、補正時間が長くなり、テストピースAなどの状態変化などによる伝達関数の変化が生じた場合、瞬時にその変化に対応できなかった。
【0027】
さらに、従来の制御方法では、波形補正後において、ピークを制御することを行っていないので、振幅誤差の補正が正確には行われておらず、正確な振動試験結果が得られないおそれがある。
【0028】
本発明は、このような現状に鑑み、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0029】
また、本発明は、従来の制御方法のように、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行う必要がなく、計算処理数が減少して、制御装置の演算負荷が軽くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が不要で、コストを低減することができる試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0030】
また、本発明は、従来の制御方法のように、補正に必要な目標波形が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要がなく、補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0031】
さらに、本発明は、波形補正を行いつつピークの制御を行って、振幅誤差の補正を正確に行うことができ、正確な振動試験結果が得られる試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の試験装置は、
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御装置であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算部と、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成部と、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算部と、
を備えた波形補正演算部を備えることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の試験装置の制御方法は、
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御方法であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算ステップと、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成ステップと、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0034】
このように構成することによって、従来の制御方法のように、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行う必要がなく、計算処理数が減少して、制御装置の演算負荷が軽くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が不要で、コストを低減することができる。
【0035】
また、任意のn倍高調波までの演算であり、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる。
【0036】
さらに、従来の制御方法のように、補正に必要な目標波形が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要がなく、補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる。
【0037】
また、本発明の試験装置は、前記高調波演算部において、計測波形f(t)
【数2】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数3】
と、振幅、
【数4】
を求めるように構成されていることを特徴とする。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数5】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【0038】
また、本発明の試験装置の制御方法は、
前記高調波演算ステップにおいて、計測波形f(t)
【数6】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数7】
と、振幅、
【数8】
を求めるように構成されていることを特徴とする。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数9】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【0039】
このように構成することによって、任意のn倍高調波までの演算であり、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる。
【0040】
また、任意のn倍高調波までの周波数解析と複素フーリエ級数展開によって、位相と振幅を求めるので、従来の制御方法のように、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行う必要がなく、計算処理数が減少して、制御装置の演算負荷が軽くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が不要で、コストを低減することができる。
【0041】
さらに、従来の制御方法のように、補正に必要な目標波形が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要がなく、補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる。
【0042】
また、本発明の試験装置は、
前記高周波生成部において、前記高調波演算部で演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数10】
を生成するように構成されていることを特徴とする。
【0043】
また、本発明の試験装置の制御方法は、
前記高周波生成ステップにおいて、前記高調波演算ステップで演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数11】
を生成することを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、任意のn倍高調波までの演算であり、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる。
【0045】
また、本発明の試験装置は、
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算部からの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算部を備えることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の試験装置の制御方法は、
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算ステップからの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算処理ステップを備えることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、ピークの制御を行っているので、振幅誤差の補正を正確に行うことができ、正確な振動試験結果が得られる。
【0048】
また、本発明では、前記制御波形が、正弦波の周期関数であることを特徴とする。
【0049】
このように、制御波形が、正弦波の周期関数であるのが望ましい。
【0050】
さらに、本発明では、前記制御波形が、重畳された制御波形であることを特徴とする。
【0051】
このように、制御波形が、重畳された制御波形であっても使用することができる。例えば、2Hzの回転波形に、5Hzの荷重波形を重ねて試験する場合などにも適用することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、従来の制御方法のように、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行う必要がなく、計算処理数が減少して、制御装置の演算負荷が軽くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が不要で、コストを低減することができる。
【0053】
また、任意のn倍高調波までの演算であり、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる。
【0054】
さらに、従来の制御方法のように、補正に必要な目標波形が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要がなく、補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、本発明の試験装置を、試験の一例として、加振試験を行う加振試験装置に適用した実施例を示す概略ブロック図である。
図2図2(A)は目標波形、図2(B)は実際の計測波形、図2(C)は本発明の制御装置10で補正後の波形を示すグラフである。
図3図3は、本発明の試験装置10のピーク演算部36での処理の概略を説明する概略図である。
図4図4は、本発明の試験装置の制御装置10の制御方法を示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の試験装置の制御装置10の制御パラメータの設定方法を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の試験装置の制御装置10による試験装置の制御方法を示すグラフで、図6(A)は入力波形、図6(B)は速度波形、図6(C)は加速度波形を示すグラフである。
図7図7は、従来の試験装置100の正面図である。
図8図8は、従来の試験装置100による試験装置の制御方法を示すグラフで、図8(A)は入力波形、図8(B)は速度波形、図8(C)は加速度波形を示すグラフである。
図9図9は、従来の試験装置100の制御方法を示すグラフである。
図10図10は、従来の試験装置100の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0057】
図1は、本発明の試験装置を、試験の一例として、加振試験を行う加振試験装置に適用した実施例を示す概略ブロック図、図2(A)は目標波形、図2(B)は実際の計測波形、図2(C)は本発明の制御装置10で補正後の波形を示すグラフである。
【0058】
図1において、符号10は、全体で本発明の試験装置の制御装置10(以下、単に「制御装置10」と言う)を示している。
【0059】
図1に示したように、本発明の制御装置10は、試験を行うための試験装置本体12に対して、試験装置の制御を行うものである。
【0060】
この試験装置本体12は、この実施例では、試験の一例として、加振試験を行う加振試験装置から構成されている。
【0061】
図1に示したように、試験装置本体12は、例えば、油圧シリンダからなるアクチュエータ14を備えている。このアクチュエータ14には、被試験構造物である、例えば、車輛のショックアブソーバなどのテストピースAを載荷するためのピストン16と、例えば、変位センサ・速度センサ・加速度センサ・荷重センサなどから構成される検出センサ18とを備えている。
【0062】
また、アクチュエータ14には、例えば、サーボ弁などから構成される駆動部20が設けられている。
【0063】
さらに、本発明の制御装置10は、試験装置本体12の駆動部20に対して、初期の制御波形を入力する制御部22を備えている。
【0064】
また、本発明の制御装置10は、図1の一点鎖線で示したように、波形補正演算部24を備えている。この波形補正演算部24は、図1の破線で示したように、試験装置本体12の検出センサ18からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算部26を備えている。
【0065】
さらに、波形補正演算部24は、高調波演算部26で演算された、任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成部28を備えている。なお、図1に示したように、この高周波生成部28には、ユーザーなどが設定する数の任意のn倍高調波まで演算する、複数の高調波生成器28aが備えられている。
【0066】
また、波形補正演算部24は、高周波生成部28で演算処理された、任意のn倍高調波の位相と振幅と、基本波成分とを入力し合算して、試験装置本体12の駆動部20への制御波形を生成する加算部(加算器)30を備えている。
【0067】
さらに、本発明の制御装置10は、図1に示したように、加算部30に接続された可変ゲイン器32と、この可変ゲイン器32に接続され、試験装置本体12の駆動部20への制御波形(制御信号)を増幅するための増幅器(AMP)34が接続されている。
【0068】
また、本発明の制御装置10は、図1の二点鎖線で示したように、ピーク演算部36を備えており、このピーク演算部36は、検出センサ18からの応答波形のピークを検出するためのピーク検出部38を備えている。
【0069】
また、ピーク演算部36は、制御部22とピーク検出部38の双方に接続された振幅指示値演算部40を備えている。この、振幅指示値演算部40は、制御部22に予め記憶された任意の周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、ピーク演算部36において検出センサ18からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、加算部30からの制御波形に掛けるように構成されている。
【0070】
このように構成される本発明の制御装置10では、下記のような制御が行われるように構成されている。
【0071】
ところで、試験装置本体12の振幅制御を行う場合には、アクチュエータ14が、油圧式のアクチュエータである場合には、作動油の油圧共振とアクチュエータ14内にあるそれぞれの摺動部の影響により、速度波形、加速度波形が、図2(B)のグラフで示したように歪むことになる。
【0072】
なお、図2(A)は目標波形、図2(B)は実際の計測波形、図2(C)は本発明の制御装置10で補正後の波形を示している。
【0073】
すなわち、本発明の試験装置の制御装置10では、制御部22によって、試験装置本体12の駆動部20に対して、初期の制御波形を入力している。
【0074】
また、波形補正演算部24の高調波演算部26において、検出センサ18からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理している。
【0075】
さらに、波形補正演算部24の高周波生成部28において、高調波演算部26で演算された、任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理している。
【0076】
そして、波形補正演算部24の加算部30において、高周波生成部28で演算処理された、任意のn倍高調波の位相と振幅と、基本波成分とを入力し合算して、試験装置本体12の駆動部20への制御波形を生成している。
【0077】
具体的には、高調波演算部26において、任意のn倍高調波について、下記のように、フーリエ級数展開を行って、位相と振幅を求めている。
【0078】
先ず、計測波形f(t)を得たとすると、f(t)は、次の様な式で表現できる。
【数12】
【0079】
そして、計測波形f(t)のフーリエ級数展開を行えば、下記の式のようになる。
【数13】
【0080】
また、ここで、a、bは、それぞれ、
【数14】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【0081】
そして、オイラーの公式を用いて、
【数15】
により、(1)式を置き換えると、計測波形f(t)は、下記の式のようになる。
【数16】
【数17】
【0082】
さらに、(2)式を負まで拡張すると(1)式から、a、bは、それぞれ、
【数18】
【数19】
となる。
【0083】
この時、
【数20】
【数21】
とすると、
計測波形f(t)は、下記の式のようになる。
【数22】
【0084】
そして、振幅F(n)を、
【数23】
とすると、振幅F(n)は、下記の式のようになる。
【数24】
【0085】
ここで、
【数25】
の考え方から(4)式で求まったそれぞれの高調波成分の振幅と位相は、
振幅は、
【数26】
位相は、
【数27】
から、
【数28】
となる。
【0086】
そして、求まった位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数29】
が生成され、振幅ゲイン調整アンプへ出力される。
【0087】
また、本発明の試験装置の制御装置10では、ピーク演算部36の振幅指示値演算部40において、制御部22に予め記憶された任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、ピーク演算部36において検出センサ18からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、加算部30からの制御波形に掛けるように構成されている。
【0088】
具体的には、ピーク演算部36では、下記のような処理が行われる。すなわち、図3の概略図に示したように、任意の周波数の1周期分のデータがメモリー42に記憶される。
【0089】
そして、最大値maxと最小値minから、
指令値AMP=(max−min)/2である。
【0090】
これに基づき、下記の式に基づいて、今回の振幅指令値AmpNewが計算処理される。
【数30】
【0091】
ここで、AmpNewは今回の振幅指令値、AmpOldは1つ前の振幅指令値、Amp Targetは目標振幅、Ampは計測振幅、GainFは振幅調整ゲインである。
【0092】
上記のように演算処理される本発明の試験装置の制御装置10は、具体的には、図4図5に示したフローチャートのように制御される。
【0093】
先ず、図4のステップS1において、制御が開始され、図4図5のステップS2において、パラメータの設定がなされる。
【0094】
そして、このパラメータの設定は、図5のフローチャートのように設定される。
【0095】
すなわち、図5に示したように、ステップS3において、例えば、正弦波・三角波・矩形波などの加振する波形の設定が行われる。そして、ステップS4において、振幅値の設定が行われ、ステップS5において、例えば、変位・荷重・速度・加速度など制御目標の設定が行われる。
【0096】
次に、ステップS6において、パラメータの設定が完了し、フラグのON設定がなされる。
【0097】
そして、ステップS7において、振幅ゲイン調整アンプの初期値設定がなされ、ステップS8において、波形補正演算部24の高周波生成部28において、ユーザーなどが設定する数の任意のn倍高調波まで演算する、複数の高調波生成器28aについて、それぞれの高調波生成器28aの初期値設定がなされる。これにより、ステップS9において、パラメータ設定完了が完了する。
【0098】
一方、ステップS6において、パラメータの設定が完了し、フラグのON設定がなされると、図4に示したように、ステップS10において、パラメータの設定が完了し、フラグのON設定がなされたか否かが判断される。
【0099】
そして、ステップS10において、パラメータの設定が完了し、フラグのON設定がなされたと判断された場合、図4に示したように、ステップS11に進み、制御部22から初期指令信号の出力がなされる。
【0100】
一方、ステップS10において、パラメータの設定が完了せず、フラグのON設定がなされていないと判断された場合、再び、図4図5のステップS2に戻り、パラメータの設定がなされる。
【0101】
次に、図4に示したように、ステップS11において、制御部22から初期指令信号の出力がなされた後、ステップS12において、初期指令信号が、パワーコンバータを介して、制御対象である試験装置本体12の駆動部20へ、制御波形(制御信号)として入力される。
【0102】
そして、ステップS13において、試験装置本体12の検出センサ18からの応答波形について、波形補正演算部24の高調波演算部26において、上記で説明したように、フーリエ級数展開計算の演算が開始される。
【0103】
次に、ステップS14において、ユーザーなどが設定する数の任意の倍数まで演算したか否かが判断される。そして、ステップS14において、任意の倍数まで演算したと判断された場合には、ステップS15に進む。
【0104】
そして、ステップS15では、波形補正演算部24の高周波生成部28において、演算結果から、任意のn倍の高調波のそれぞれの位相と振幅が抽出される(上記式(5)と式(6)参照)。
【0105】
一方、ステップS14において、任意の倍数まで演算したと判断されなかった場合には、再び、ステップS14において、任意の倍数まで演算したか否かの判断が繰り返されるようになっている。
【0106】
そして、ステップS15で、高周波生成部28において、任意のn倍の高調波のそれぞれの位相と振幅が抽出された後、ステップS16において、制御目標(例えば、加速度180°、速度90°など)により、それぞれの高調波の位相と振幅が調整される。
【0107】
次に、ステップS17において、それぞれの高調波生成器28aに、ステップS16において求めた位相と振幅情報が入力される。
【0108】
そして、ステップS18において、それぞれの制御波形が、同時に加算部(加算器)30へ出力される(上記式(7)参照)。
【0109】
一方、ピーク演算部36では、ステップS13において、初期指令信号が、パワーコンバータを介して、制御対象である試験装置本体12の駆動部20へ、制御波形(制御信号)として入力された後、ステップS19へ進む。
【0110】
ステップS19では、ピーク検出部38において、試験装置本体12の検出センサ18からの応答波形から、現在の振幅(ピーク)が算出される。
【0111】
そして、ステップS20に進み、振幅指示値演算部40において、設定振幅との差が計算され、ステップS21において、先の差分を用いて振幅指令値の再計算が行われる。次に、ステップS22において、可変ゲイン器32のパラメータに先の計算結果が設定される(上記式(8)参照)。
【0112】
そして、図4に示したように、ステップS18において、それぞれの制御波形が、同時に加算部(加算器)30へ出力された結果と、ステップS22において設定されたパラメータに基づいて、ステップS23において、可変ゲイン器32において、振幅が設定される。
【0113】
次に、ステップS24において、予め設定された回数、時間などの終了条件か否か判断され、終了条件と判断された場合には、ステップS25に進み、制御が終了される。一方、ステップS24において、終了条件でないと判断された場合には、ステップS13に再び戻って、指令信号が、パワーコンバータを介して、制御対象である試験装置本体12の駆動部20へ、制御波形(制御信号)として入力されて、制御が繰り返される。
【0114】
このように構成される本発明の試験装置の制御装置10によれば、従来の制御方法のように、フーリエ変換と逆フーリエ変換を対で行う必要がなく、計算処理数が減少して、制御装置の演算負荷が軽くなって、高性能で高価なマイクロプロセッサーユニット(MPU)が不要で、コストを低減することができる。
【0115】
また、任意のn倍高調波までの演算であり、余分な高調波成分が存在せず、誤差(歪)が生じるおそれがなく、テストピースに加える振動エネルギーの正確性が損なわれずに、正確な振動試験結果が得られる。
【0116】
さらに、従来の制御方法のように、補正に必要な目標波形が1周期となる加振周波数の周期時間以上の波形データ長分について、Δf毎の周波数特性を求める必要がなく、補正時間が短くなり、テストピースなどの状態変化が生じた場合にも、瞬時にその変化に対応できる。
【0117】
また、ピーク演算部36ピークの制御を行っているので、振幅誤差の補正を正確に行うことができ、正確な振動試験結果が得られる。
【0118】
図6は、本発明の試験装置の制御装置10による試験装置の制御方法を示すグラフで、図6(A)は入力波形、図6(B)は速度波形、図6(C)は加速度波形を示すグラフである。
【0119】
図6(B)のC部分と、図8(C)のD部分に示したように、本発明の試験装置の制御方法によれば、従来の制御方法の図8(B)のA部分と、図8(C)のB部分に比較して、極めて歪が減少している。
【0120】
また、本発明の試験装置の制御装置10によれば、例えば、計算ステップ数5000ステップ以内(20μ秒)(1サイクル)であり、常に対象の系を制御ループに取り込んでいるので、系の変化に対応できる。
【0121】
さらに、従来の試験装置100では、例えば、FFTを用いる場合、n=8とすると高速フーリエ変換(FFT)による計算回数が、229368回(計算式(N/2×log2(N)+(N/2-2))×4回)である。
【0122】
これに対して、本発明の試験装置の制御装置10によれば、例えば、第4高調波まで計算するとして、1波形のデータ数を1024として、基本波含めて計算する回数は、25600回であり、従来の試験装置100に比較して極めて短時間で処理が可能であることが分かる。
【0123】
なお、本発明の試験装置の制御装置10では、制御波形としては、例えば、正弦波、三角波、矩形波などに対して適用でき、何ら限定されるものではないが、正弦波の周期関数であるのが望ましい
【0124】
さらに、本発明の試験装置の制御装置10では、制御波形が、重畳された制御波形であっても使用することができる。例えば、2Hzの回転波形に、5Hzの荷重波形を重ねて試験する場合などにも適用することができる。
【0125】
また、本発明の試験装置の制御装置10では、アクチュエータ14としては、油圧式のアクチュエータに適用するのが望ましいが、例えば、電気式サーボモータなど電気式のアクチュエータにも適用することができる。
【0126】
さらに、本発明の試験装置の制御装置10では、上記実施例では、ピーク演算部36を設けたが、ピーク演算部36を設けないで処理することも可能である。
【0127】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の試験装置10は、試験装置として、例えば、自動車部品(駆動系や足回りの金属部品やゴム部品、ショックアブソーバなど)などの機械部品について、これらの自動車完成品について、さらに、土木関係(橋桁、橋梁や建物用の免震ゴムなど)の構造物について、材料試験・振動試験・疲労試験・特性試験などを行うための材料試験装置、振動試験装置、疲労試験装置など各種の試験装置に適用することが可能であり本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、例えば、車輛のショックアブソーバ、橋梁・ビル・住宅・建築物などの構造物に対して、外力を負荷する載荷試験など各種試験を行うための試験装置の制御装置、および、試験装置の制御方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 制御装置
12 試験装置本体
14 アクチュエータ
16 ピストン
18 検出センサ
20 駆動部
22 制御部
24 波形補正演算部
26 高調波演算部
28 高周波生成部
28a 高調波生成器
30 加算部
32 可変ゲイン器
36 ピーク演算部
38 ピーク検出部
40 振幅指示値演算部
42 メモリー
100 試験装置
102 試験装置本体
104 架台フレーム
106 アクチュエータ
108 ピストン
110 変位検出器
112 ガイドロッド
114 ボールネジ
116 クロスヘッド
118 上方フレーム
120 検出器
180 加速度
A テストピース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2013年10月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御装置であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算部と、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成部と、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算部と、
を備えた波形補正演算部を備えることを特徴とする試験装置の制御装置。
【請求項2】
前記高調波演算部において、計測波形f(t)
【数31】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数32】
と、振幅、
【数33】
を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の試験装置の制御装置。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数34】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【請求項3】
前記高周波生成部において、前記高調波演算部で演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数35】
を生成するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の試験装置の制御装置。
【請求項4】
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算部からの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項5】
前記制御波形が、正弦波の周期関数であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項6】
前記制御波形が、重畳された制御波形であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の試験装置の制御装置。
【請求項7】
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置の制御方法であって、
前記試験装置に対して入力された制御波形に対する試験装置からの応答波形を、基本波成分と、任意のn倍高調波まで演算処理する高調波演算ステップと、
前記高調波演算部で演算された、前記任意のn倍高調波について、その位相と振幅とを演算処理する高周波生成ステップと、
前記高周波生成部で演算処理された前記任意のn倍高調波の位相と振幅と、前記基本波成分とを入力し合算して、前記試験装置への制御波形を生成する加算ステップと、
を備えることを特徴とする試験装置の制御方法。
【請求項8】
前記高調波演算ステップにおいて、計測波形f(t)
【数36】
において、前記任意のn倍高調波について、フーリエ級数展開を行い、
位相、
【数37】
と、振幅、
【数38】
を求めるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の試験装置の制御方法。
ここで、a、bは、それぞれ、
【数39】
であり、
Tは、加振周波数の1周期の時間、ωは加振周波数f[Hz]の角周波数ω=2πfである。
【請求項9】
前記高周波生成ステップにおいて、前記高調波演算ステップで演算処理することによって得られた位相と振幅に基づいて、制御波形、
【数40】
を生成することを特徴とする請求項8に記載の試験装置の制御方法。
【請求項10】
予め任意の加振周波数の1周期分のデータを得て振幅を演算処理し、試験装置からの応答波形のピーク検出によって得られた振幅との差分を、前記加算ステップからの制御波形に掛け、試験装置への制御波形を生成するピーク演算処理ステップを備えることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の試験装置の制御方法。
【請求項11】
前記制御波形が、正弦波の周期関数であることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の試験装置の制御方法。
【請求項12】
前記制御波形が、重畳された制御波形であることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の試験装置の制御方法。