【解決手段】現金自動預け払い機2の使用頻度を時間帯に関連付けて記憶する使用頻度記憶部111と、ユーザが現金自動預け払い機2を使用する時間帯と、時間帯ごとの使用頻度とに基づいて、ユーザに付与する特典を決定する特典決定部121と、ユーザが現金自動預け払い機2を使用した取引を実行すると、特典決定部121が決定した特典を当該ユーザに付与する特典付与部122と、を備える。
前記特典決定部は、前記平均使用頻度、前記現金自動預け払い機が使用される時間帯、前記現金自動預け払い機で実行される取引種別の少なくともいずれかに基づいて重み付けして、複数の前記現金自動預け払い機のそれぞれにおいて付与する前記特典の大きさを算出する、
請求項3に記載の特典付与装置。
前記特典決定部は、前記ユーザが使用する前記現金自動預け払い機において付与される前記特典よりも大きな特典が付与される条件を、前記現金自動預け払い機に表示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の特典付与装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
[特典付与システムSの構成]
図1は、第1の実施形態に係る特典付与システムSの構成を示す図である。特典付与システムSは、特典付与装置1と、銀行の専用回線又はインターネット等のネットワークNを介して特典付与装置1と通信可能に接続された複数のATM2(ATM2−1、ATM2−2、・・・、ATM2−n)とを備える。ここで、nは3以上の整数である。複数のATM2は、それぞれ異なる銀行の店舗、駅及びコンビニエンスストア等に設置されている。
図1における店舗1、店舗2、・・・、店舗nは、それぞれ銀行の店舗、駅又はコンビニエンスストア等を示している。
【0017】
本明細書におけるATM2は、同じ場所に設置された複数台のATMの集合体を表している。例えば、「ATM2の使用頻度」は、同じ場所に設置された複数台のATMの使用頻度に基づいて算出された使用頻度であり、複数台のATMの使用頻度の平均値、又は複数台のATMのうちの任意の一台の使用頻度等により表される。
【0018】
特典付与装置1は、ATM2を使用するユーザに対して特典を付与する。特典は、例えば、金銭や商品に交換可能なポイント、又は手数料の割引額等である。特典付与装置1は、データの演算処理、及び演算処理により生成されたデータの記憶が可能なサーバである。特典付与装置1は、銀行口座を管理するサーバに含まれていてもよく、銀行口座を管理する他のサーバとデータを送受信できるサーバであってもよい。本明細書においては、特典付与装置1が、銀行口座に関連する情報を管理しているものとして説明する。
【0019】
[特典付与装置1及びATM2の構成]
図2は、特典付与装置1及びATM2の構成を示す図である。特典付与装置1は、記憶部11、制御部12及び通信部13を備える。ATM2は、操作部21及び通信部22を備える。特典付与装置1及びATM2は、ネットワークNとの通信インターフェイスである通信部13及び通信部22を介して、互いにデータを送受信する。
【0020】
以下、特典付与装置1の構成について詳細に説明する。記憶部11は、各種情報を記憶する記憶媒体であり、例えばハードディスクから構成される。記憶部11は、使用頻度記憶部111及び特典情報記憶部112を有する。
【0021】
使用頻度記憶部111は、ATM2の使用頻度を時間帯に関連付けて記憶している。使用頻度は、例えばATM2の稼動率により表され、所定時間内にATM2において処理された取引の数に基づいて算出された数値である。使用頻度は、例えば、ATM2が1時間以内に処理可能な取引数に対する、実際にATM2において1時間以内に処理された取引数の割合として表される。本明細書における取引とは、ATM2において提供される処理であり、例えば、現金の引き出し、振り込み、残高確認等の処理を含む。
【0022】
図3は、使用頻度記憶部111に記憶されている使用頻度テーブルの一例である。
図3におけるT001、T002及びT003は、それぞれATM2−1、ATM2−2、ATM2−3に対応する使用頻度テーブルの一例である。
【0023】
図3においては、一日の各時間帯における使用頻度が示されている。多数のユーザがATM2−1を使用する12時〜13時の昼休みの時間帯においては、使用頻度が1.0となっており、1時間内に処理可能な取引数にほぼ等しい数の取引が実行されていることが示されている。店舗が開く前の8時〜9時の時間帯においては使用頻度が0.3となっており、1時間内に処理可能な取引数の約30%の数の取引が実行されていることが示されている。
【0024】
使用頻度記憶部111は、例えば、平日及び週末のそれぞれに対して、異なる使用頻度テーブルを記憶する。使用頻度記憶部111は、年金支給日のように、ATM2が使用される頻度が高まる特定の日に対しては、他の日と異なる使用頻度テーブルを記憶してもよい。
【0025】
特典情報記憶部112は、ユーザの預金口座番号に関連付けて、特典の内容を示す特典情報を記憶している。具体的には、特典情報記憶部112は、例えば、後述の特典付与部122が算出した特典を、ユーザの預金口座番号に関連付けて記憶している。特典情報記憶部112は、ユーザが特典を使用すると、記憶している特典情報を更新する。特典情報記憶部112は、ユーザの預金口座番号に関連付けて口座の残高の一部として特典情報を記憶してもよい。ユーザは、特典情報記憶部112に記憶されている特典情報が示す特典の大きさに対応する商品や現金に、ポイント等の特典を交換することができる。
【0026】
制御部12は、例えばCPU等の演算処理デバイスにより構成される。制御部12は、メモリやハードディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより、特典付与装置1の機能を統括的に制御する。
【0027】
制御部12は、特典決定部121及び特典付与部122を有する。
特典決定部121は、ユーザがATM2を使用する時間帯と、時間帯ごとの使用頻度とに基づいて、ユーザに付与する特典を決定する。具体的には、特典決定部121は、使用頻度記憶部111に記憶されている使用頻度テーブルを読み出して、それぞれの使用頻度に対応する特典を算出する。特典決定部121は、例えば、使用頻度の逆数を算出し、算出した逆数の小数点以下を切り捨てることにより特典を算出する。特典決定部121は、定期的(例えば、1ヶ月又は半年ごと)に特典を算出してもよく、ユーザがATM2を使用した際に特典を算出してもよい。
【0028】
図4は、
図3に示した使用頻度テーブルに基づいて特典決定部121が算出した特典を示す特典テーブルの一例である。使用頻度が最も高い1.0である12時〜13時においては、ユーザがこの時間帯にATM2を使用する頻度を下げるべく、特典が「0」となっている。すなわち、ユーザが12時〜13時にATM2を使用した場合、特典が付与されない。
【0029】
また、特典決定部121は、使用頻度が所定の値を下回る場合に、付与する特典を所定の最大値である「5」とする。例えば、0時〜8時においては使用頻度が0.05であり、逆数を算出すると20になる。特典決定部121は、算出された「20」が、所定の最大値である「5」より大きいので、0時〜8時にATM2が使用された場合に付与する特典を「5」とする。このように、特典決定部121が決定する特典に上限を定めることにより、使用頻度が低い場合に過大な特典を付与して、銀行の利益が圧迫されることを抑制できる。特典決定部121は、定期的に特典を算出する場合、時間帯に関連付けて算出した特典テーブルを記憶部11に記憶させる。
【0030】
なお、特典決定部121は、通信部13を介してATM2から取得するATM2の使用状況に基づいて、ATM2の使用頻度を集計してもよい。特典決定部121は、例えば、所定の期間(例えば、1ヶ月又は半年)ごとに、それぞれのATM2における時間帯ごとの使用回数の平均値を集計することにより使用頻度を算出し、算出した使用頻度を使用頻度記憶部111に記憶させる。
【0031】
特典付与部122は、ユーザがATM2を使用した取引を実行すると、特典決定部121が決定した特典を当該ユーザに付与する。具体的には、特典付与部122は、ユーザが取引を実行した時間が属する時間帯において付与される特典を示す情報を取得し、取得した特典をユーザに付与する。
【0032】
例えば、ユーザがATM2において取引を実行する際に、特典付与部122は、特典決定部121が算出した特典に対応する金額を差し引いた手数料をユーザから徴収する。特典付与部122は、ユーザがATM2を使用すると、特典決定部121が算出した特典、又は当該特典に対応する金額をユーザの預金口座番号に関連付けて特典情報記憶部112に記憶させてもよい。特典付与部122は、例えば、預金口座を管理している原簿に、特典に対応する金額を預金口座番号に関連付けて書き込む。このようにすることで、ユーザは、特典が付与される時間帯にATM2を使用することで、預金口座の残高を増やすことができる。
【0033】
なお、特典付与部122は、ユーザに特典を付与すると、特典を付与したユーザに関連付けて、特典を付与した日時及び特典の大きさの少なくともいずれかを含む特典付与履歴情報を特典情報記憶部112に記憶させる。特典付与部122は、特典を付与する際に、特典情報記憶部112に記憶された特典付与履歴情報を参照して、所定の期間内に特典を付与した回数、又は所定の期間内に付与した特典の合計値に基づいて、特典を付与するか否かを判定してもよい。このようにすることで、ユーザが、特典を得るために、一度にできる取引を複数回に分けて実行することを防止できる。
【0034】
以下、ATM2の構成について説明する。
操作部21は、取得部211及び表示部212を有する。取得部211は、ATM2を使用するユーザを特定する特定情報を取得する。取得部211は、例えば、ユーザが文字や数字を入力する入力部、キャッシュカードを読み取るカード読み取り部、通帳を読み取ったり通帳に書き込んだりする通帳処理部等から構成される。取得部211は、入力部から入力されたユーザ名や口座番号、キャッシュカード又は通帳から読み取った情報に基づいて、ユーザを特定するユーザ名や口座番号情報を取得する。
【0035】
表示部212は、ATM2の操作に必要な情報を表示する。また、表示部212は、特典付与装置1から送信されてきた情報を表示する。例えば、特典付与部122により特典が付与された場合、表示部212は、ATM2における取引処理が終了した時点で、特典付与部122により付与された特典を表示する。
【0036】
[処理シーケンス]
図5は、第1の実施形態に係る特典付与システムSにおける処理シーケンス図である。
まず、ユーザがATM2にキャッシュカードを挿入すると、ATM2はキャッシュカードに記憶されている情報を読み取り(S1)、読み取った口座番号情報を特典付与装置1に送信する。続いて、ユーザが、ATM2において振り込み処理等の取引をするための操作を行うと(S2)、ATM2は、当該取引の実行に必要な、振り込み先や振込額などの取引情報を特典付与装置1に送信する。
【0037】
特典付与装置1は、取引情報を受信すると、記憶部11に記憶されている使用頻度テーブル又は特典テーブルを参照し、取引情報を受信した時間帯において付与することができる特典を決定する(S3)。特典付与装置1は、決定した特典を示す特典通知情報をATM2に送信するとともに、決定された特典を特典情報記憶部112に記憶させる(S4)。ATM2は、受信した特典通知情報が示す特典を表示する(S5)。
【0038】
[使用頻度を算出する方法の変形例]
以上の説明において、特典決定部121は、ATM2が1時間以内に処理可能な取引数に対する、実際にATM2において1時間以内に処理された取引数の割合に基づいて算出された使用頻度を用いて特典を決定するという場合について説明したが、特典決定部121は、他の方法により算出された使用頻度を用いてもよい。例えば、特典決定部121は、所定時間内にATM2が使用されていない時間の長さに基づいて算出された使用頻度を用いて、特典を決定することもできる。具体的には、特典決定部121は、あるユーザがATM2を用いた取引を終了してから、次のユーザがATM2を用いた取引を開始するまでの時間である未使用時間が多い場合に使用頻度を低いものとし、未使用時間が少ない場合に使用頻度を高いものとしてもよい。
【0039】
特典決定部121は、ATM2が設置された店舗で撮影された映像を解析して認識されたユーザの待ち時間に基づいて算出された使用頻度を用いて、特典を決定してもよい。例えば、特典決定部121は、ATM2に並んでいるユーザの待ち時間が長ければ長いほど使用頻度が高いものとしてもよい。
【0040】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る特典付与装置1は、ユーザがATM2を使用する時間帯と、時間帯ごとの使用頻度とに基づいて算出した特典をユーザに付与する。使用頻度が低い時間帯には高い特典を付与し、使用頻度が高い時間帯には低い特典を付与したり、特典を付与しなかったりすることで、ユーザに対して、使用頻度が低い時間帯にATM2を使用するという動機づけを与えることができる。その結果、ATM2の使用頻度が平準化されるという効果を奏する。
【0041】
<第2の実施形態>
第1の実施形態において、特典決定部121は、ユーザがATM2を使用する時間帯と、時間帯ごとの使用頻度とに基づいて、ユーザに付与する特典を決定したが、特典決定部121は、他の情報にさらに基づいて特典を決定してもよい。
【0042】
例えば、特典決定部121は、ATM2の所定の期間内の使用頻度の平均値である平均使用頻度にさらに基づいて、特典を決定する。具体的には、特典決定部121は、平日の一日あたりのATM2における取引数を一ヶ月ごとに平均して平均使用頻度を算出し、平均使用頻度が所定値よりも低い場合に、与える特典を増やし、平均使用頻度が所定値よりも高い場合に、与える特典を減らすようにする。上記の所定値は、例えば、複数のATM2の平均使用頻度を平均した値である。
【0043】
図4に示した例の場合、ATM2−1の平均使用頻度が、他のATM2の平均使用頻度の平均値よりも低い場合に、特典決定部121は、
図4に示した特典に1を加算した値を特典とする。ATM2−1の平均使用頻度が、他のATM2の平均使用頻度の平均値よりも高い場合に、特典決定部121は、
図4に示した特典から1を減算した値を特典とする。特典決定部121は、ATM2の平均使用頻度と、他のATM2の平均使用頻度の平均値との差分の大きさに基づいて、特典を増減する大きさを決定してもよい。このようにすることで、平均使用頻度が低いATM2において付与される特典が大きくなるので、ユーザに、平均使用頻度が低いATM2を使用するように動機づけることができる。
【0044】
また、特典決定部121は、ATM2で実行される取引の種別にさらに基づいて特典を決定してもよい。特典決定部121は、例えば、平均使用時間が長い取引が行われた場合に付与する特典を、平均使用時間が短い取引が行われた場合に付与する特典よりも小さくする。ここで、平均使用時間とは、ATM2における1回の取引に要する時間の平均値である。
【0045】
特典決定部121は、取引種別と使用頻度とを組み合わせて特典を決定してもよい。例えば、特典決定部121は、使用頻度が所定値よりも大きい時間帯に、平均使用時間が所定値よりも大きい取引種別の取引をする場合、マイナスの特典を付与することに決定し、特典付与部122が、ユーザが持っている特典を減らすようにしてもよい。このようにすることで、特典付与システムSは、使用頻度が高く混雑する時間帯に、ATM2の使用時間が長くなる取引が行われる確率を下げることができる。
【0046】
また、特典決定部121は、平均使用頻度、ATM2が使用される時間帯、ATM2で実行される取引種別の少なくともいずれかに基づいて重み付けして、複数のATM2のそれぞれにおいて付与する特典の大きさを算出してもよい。
図6は、重み付けによる特典の算出に用いられる特典算出テーブルの一例である。特典決定部121は、平均使用頻度、使用時間帯及び取引種別の内容に応じて定められる基準値に、それぞれに割り当てられた重み係数を乗じた後に加算することにより、特典を算出する。
【0047】
図6に示す例において、特典決定部121は、平均使用頻度が所定値よりも低いATM2において、混雑する時間帯に、処理時間が所定値よりも短い取引を行う場合の特典を、3×0.5+1×0.3+3×0.2=2.4と算出する。特典決定部121は、平均使用頻度が所定値よりも高いATM2において、混雑しない時間帯に、処理時間が所定値よりも長い取引を行う場合の特典を、特典決定部121は、1×0.5+3×0.3+1×0.2=1.6と算出する。
【0048】
図6に示す例においては、特典の算出に用いる基準値として、第1基準値と第2基準値が用いられるが、特典決定部121は、より多くの基準値を用いて特典を算出してもよい。
また、特典決定部121は、ATM2が使用される状況の統計値に基づいて、ATM2ごとに異なる重み係数を用いてもよい。例えば、一日の平均使用頻度は低いにもかかわらず、昼休み時間帯だけ非常に混雑するATM2においては、使用時間帯に係る重み係数を大きくするとともに、昼休み時間帯に対応する基準値を負の値にすることが考えられる。このようにすることで、ATM2が昼休み以外の時間帯に使用される確率を高めることができる。
【0049】
特に混雑する時間帯はないものの、一日の平均使用頻度が他の複数のATM2の平均使用頻度の平均値よりも低いATM2においては、平均使用頻度に係る重み係数を大きくすることにより、他のATM2よりも高い特典が付与されやすくなる。その結果、使用頻度が低いATM2の稼動率を高めることが可能になる。
【0050】
なお、特典決定部121は、平均使用頻度、ATM2が使用される時間帯、ATM2で実行される取引種別以外の指標に基づいて重み付けして特典を決定してもよい。例えば、都市部において、特定の時間帯の使用頻度が特に高くなる傾向がある場合、特典決定部121は、ATM2が設置されているエリアが都市部であるか都市部以外であるかを示す情報にも重み付けして、特典を決定する。このようにすることで、特典決定部121は、都市部における特定の時間帯以外の時間帯において付与される特典を、都市部以外の同じ時間帯において付与される特典よりも大きくするように決定することができるので、都市部のATM2における使用頻度を平準化しやすくなる。
【0051】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、本実施形態に係る特典付与装置1は、時間帯ごとの使用頻度以外の他の情報にさらに基づいて特典を決定する。したがって、ATM2が使用される状況に応じて、使用頻度が平準化されるように、付与する特典の大きさを細かく調整することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
第3の実施形態においては、特典決定部121が、他のATM2との位置関係に基づいて特典を決定する点で上記の実施形態と異なる。具体的には、使用頻度記憶部111は、ATM2の位置に関連付けて使用頻度を記憶する。特典決定部121は、ユーザが使用するATM2の使用頻度と、当該ATM2から所定の距離内の他のATM2の使用頻度とに基づいて、特典を決定する。
【0053】
図7は、ある時間帯におけるATM2−1の使用頻度、及びATM2−1から所定の距離内の他のATM2(ATM2−2〜ATM2−6)の使用頻度を示すテーブルの一例である。使用頻度記憶部111は、このようなテーブルを記憶しており、特典決定部121は、当該テーブルを用いて特典を決定する。
図7のテーブルが示す時間帯において、ATM2−1の使用頻度は0.8である。ATM2−2の使用頻度は1.0、ATM2−4の使用頻度は0.9であり、ATM2−1よりも混雑する傾向にある。ATM2−5及びATM2−6の使用頻度は、0.4であり、ATM2−1ほど混雑しない傾向にある。ATM2−3の使用頻度は0.8であり、ATM2−1と同程度に混雑する傾向にある。
【0054】
特典決定部121は、例えば、ATM2−1の使用頻度が、所定の距離内の他のATM2の使用頻度の平均値よりも大きい場合、付与する特典を所定値よりも小さくし、ATM2−1の使用頻度が、所定の距離内の他のATM2の使用頻度の平均値よりも小さい場合、付与する特典を所定値よりも大きくする。
図7の例の場合、ATM2−1の使用頻度は、ATM2−2からATM2−6までの使用頻度の平均値である0.7よりも大きい。そこで、特典決定部121は、この時間帯にATM2−1を使用するユーザには特典を付与しないと決定する。
【0055】
特典決定部121は、特典を算出する対象となるATM2からの距離に応じて重み付けして、所定の距離内の他のATM2の使用頻度の平均値を算出してもよい。具体的には、特典決定部121は、特典を算出する対象となるATM2−1からの距離が短い他のATM2の使用頻度の影響が、ATM2−1からの距離が長い他のATM2の使用頻度の影響よりも小さくなるようにする。
【0056】
図7の例の場合、特典決定部121は、例えば、ATM2−2の重み係数を0.4、ATM2−3の重み係数を0.3、ATM2−4の重み係数を0.2、ATM2−5の重み係数を0.1、ATM2−6の重み係数を0とし、ATM2−2からATM2−6の使用頻度の平均値を、0.4×1.0+0.3×0.8+0.2×0.9+0.1×0.4=0.86と算出する。この場合、ATM2−1の使用頻度が、所定距離内の他のATM2の使用頻度の平均値よりも低いので、特典決定部121は、この時間帯にATM2−1を使用するユーザに特典を付与すると決定する。
【0057】
特典決定部121は、ユーザが使用するATM2の使用頻度と、当該ATM2から所定の距離内の他のATM2の使用頻度との関係に基づいて算出した値を、時間帯ごとの使用頻度に基づいて算出した特典に乗じることにより、他のATM2との関係を考慮した特典を決定してもよい。例えば、特典決定部121は、ATM2−1の使用頻度が、所定距離内の他の複数のATM2の使用頻度の平均値よりも低い場合、
図4に示す特典に、ATM2−1の使用頻度0.8に対する他のATM2の使用頻度0.86の比である約1.1を乗ずることで、
図4に示す特典よりも大きな特典を付与すると決定してもよい。
【0058】
なお、特典決定部121は、ATM2から所定の距離内の他行(他の銀行)のATMの使用頻度又は他行のATMの設置台数に基づいて、特典を決定してもよい。特典決定部121は、例えば、ATM2の使用頻度が所定値よりも小さく、かつ、所定の距離内の他行のATMが所定数よりも多い場合に、所定の距離内の他行のATMが所定数より少ない場合に比べて多くの特典を付与すると決定する。このようにすることで、使用頻度を増やす余裕があるATM2において、他行のATMを使用するユーザを誘引することができる。
【0059】
[第3の実施形態における効果]
以上のとおり、第3の実施形態に係る特典決定部121は、ユーザが使用するATM2の使用頻度と、当該ATM2から所定の距離内の他のATM2の使用頻度とに基づいて、特典を決定する。このようにすることで、ユーザに対して、近隣の他のATM2に比べて使用頻度が低いATM2を使用するように動機づけることができるので、複数のATM2の間で、使用頻度を平準化することができる。
【0060】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る特典付与システムSにおいては、特典付与部122が、ユーザが使用するATM2において付与される特典よりも大きな特典が付与される他のATM2の場所や他の時間帯等の情報を、ATM2に表示させる点で上記の実施形態と異なる。
【0061】
まず、より大きな特典が付与される他のATM2の場所をATM2に表示する場合について説明する。使用頻度記憶部111は、ATM2の位置に関連付けて使用頻度を記憶する。特典決定部121は、ユーザが使用するATM2の使用頻度と、当該ATM2から所定の距離内の他のATM2の使用頻度とに基づいて、ユーザが使用するATM2の表示部に、当該ATM2よりも大きな特典が付与される他のATM2を特定する情報を表示させる。
【0062】
具体的には、特典決定部121は、ATM2−1から取引情報を受信すると、ATM2−1の使用頻度に基づいて、ATM2−1を使用したユーザに付与する特典を決定する。また、特典決定部121は、ATM2−1から所定の距離内の他のATM2の使用頻度を使用頻度記憶部111から読み出し、他のATM2のそれぞれで同じ取引を同じ時間帯に行った場合に付与される特典を算出する。
【0063】
特典決定部121は、ATM2−1において付与される特典よりも大きな特典が付与される他のATM2を抽出する。特典決定部121は、抽出したATM2に固有の識別情報と、抽出したATM2において付与される特典を示す情報をATM2−1に送信する。特典決定部121は、識別情報として、例えば、他のATM2が設置されている住所を示す情報及び他のATM2の設置場所を示す地図情報をATM2−1に送信する。
【0064】
ATM2−1は、特典決定部121から他のATM2の識別情報を受信すると、他のATM2を特定する情報と、他のATM2で付与される特典の大きさを示す情報を表示部212に表示する。ATM2−1は、複数の他のATM2を特定する情報を表示する場合、例えば、付与される特典が大きな順に表示する。
【0065】
続いて、より大きな特典が付与される他の時間帯をATM2に表示する場合について説明する。特典決定部121は、ユーザが使用している時間帯に付与される特典よりも大きな特典が与えられる時間帯がある場合、ユーザが使用するATM2の表示部212に、より大きな特典が付与される時間帯を表示する。具体的には、特典決定部121は、ATM2−1から取引情報を受信すると、ATM2−1の使用頻度に基づいてATM2−1に付与する特典を決定する。
【0066】
また、特典決定部121は、他の時間帯に同じ取引を行った場合に付与される特典が、決定した特典よりも大きな時間帯を抽出する。特典決定部121は、抽出した時間帯を示す情報と、当該時間帯に同じ取引を行った場合に付与される特典を示す情報とをATM2に送信する。
ATM2は、特典付与装置1から受信した、より大きな特典が付与される時間帯と特典の大きさとを表示部212に表示する。
【0067】
[第4の実施形態における効果]
以上のとおり、第4の実施形態によれば、特典決定部121が、ユーザが使用するATM2において付与される特典よりも大きな特典が付与される他のATM2の場所や他の時間帯等の条件を、ATM2に表示させる。このようにすることで、ユーザは、より大きな特典を得られる他のATM2や他の時間帯を認識することができるので、次回から、他のATM2や他の時間帯を使用するように動機づけられる。その結果、ATM2の使用頻度の平準化が促進されるという効果を奏する。
【0068】
<第5の実施形態>
第5の実施形態においては、特典付与部122が、ユーザがATM2を用いて実行した取引の履歴を特典情報記憶部112に記憶させ、特典情報記憶部112に記憶された履歴に基づいて、他のATM2の場所や他の時間帯等の条件をATM2に表示させる点で第4の実施形態と異なる。
【0069】
特典付与部122は、ユーザに特典を付与すると、ユーザを特定する情報に関連付けて、特典情報記憶部112に、ユーザがATM2を用いて実行した取引の種別及び取引に要した時間の少なくともいずれかを含む履歴情報を記憶させる。特典付与部122は、ユーザに関連付けて、ユーザがATM2において行う取引1回あたりの平均所要時間を履歴情報として特典情報記憶部112に記憶させてもよい。
【0070】
特典付与部122は、ユーザに特典を付与する際に、履歴情報に基づいて選択した時間帯又は他のATM2を特定する情報をATM2に送信し、ATM2に表示させる。具体的には、特典付与部122は、ユーザがATM2において行う取引1回あたりの平均所要時間が所定時間より長い場合、使用頻度が所定値より小さい時間帯を抽出し、当該時間帯を示す情報をATM2に送信する。また、特典付与部122は、ユーザがATM2において行う取引1回あたりの平均所要時間が所定時間より長い場合、ユーザがATM2を使用した時間帯における使用頻度が、ユーザが使用しているATM2よりも小さい他のATM2を特定する情報をATM2に送信する。ATM2は、特典付与部122から受信した時間帯又は他のATM2を示す情報を、当該時間帯又は他のATM2において付与される特典の内容とともに表示部212に表示する。
【0071】
また、特典付与部122は、履歴情報に基づいて、次にATM2を使用する予定日時を推定し、推定した予定日時に基づいて抽出した時間帯や他のATM2を特定する情報をATM2に送信してもよい。例えば、特典付与部122は、ユーザが1ヶ月ごとに振り込み処理を行っているという履歴情報に基づいて、当該ユーザが1ヶ月後に振り込み処理を行う可能性が高いと推定する。そして、特典付与部122は、1ヶ月後に振り込み処理を行う場合に、ユーザがATM2を使用している時間帯よりも使用頻度が低いと予想される時間帯、又はユーザが使用しているATM2よりも同じ時間帯における使用頻度が低いと予想される他のATM2を抽出する。ATM2は、特典付与装置1から受信した時間帯や他のATM2を特定する情報を、当該時間帯又は他のATM2において付与される特典の内容とともに表示部212に表示する。
【0072】
[第5の実施形態における効果]
振り込み処理を頻繁に行うユーザと、現金の引き出し処理を頻繁に行うユーザとでは、ATM2を使用する際の所要時間の傾向に差がある。本実施形態に係る特典付与システムSによれば、特典付与部122が、ユーザがATM2を用いて実行した取引の履歴を特典情報記憶部112に記憶させ、特典情報記憶部112に記憶された履歴に基づいて、他のATM2の場所や他の時間帯等の条件をATM2に表示させるので、ATM2の使用頻度が平準化されるように、時間帯又は他のATM2をレコメンドすることができる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0074】
例えば、上記の実施形態においては、特典付与装置1を一台のサーバで構成する例について説明したが、特典付与装置の機能を複数のサーバに分散させて実行してもよい。また、上記の実施形態においては、特典付与装置1及びATM2が銀行において用いられる例について説明したが、本発明は、銀行以外の企業により用いられる場合にも適用できる。