【解決手段】本発明の一実施形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の少なくとも一面に形成され上記内部電極と電気的に接続する電極層と、上記電極層上に形成され複数の金属粒子及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、を含み、上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、A>Bである積層セラミック電子部品を提供することができる。
前記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、前記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たす、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
前記複数の金属粒子の一部は前記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出する、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
前記複数の金属粒子の一部は前記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出し、前記ベース樹脂は突出した金属粒子を囲むように表面が前記金属粒子との界面から所定の高さに上昇する、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
前記伝導性樹脂組成物は、前記液相樹脂を、前記固相樹脂と前記液相樹脂との和100重量部に対して50〜70重量部含む、請求項13に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
前記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、前記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たす、請求項13に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
前記複数の金属粒子の一部は前記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出した形状を有する、請求項13に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
前記複数の金属粒子の一部は前記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出し、前記ベース樹脂は突出した金属粒子を囲むように表面が前記金属粒子との界面から所定の高さに上昇する、請求項13に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、メッキ性が改善され伝導性樹脂層とメッキ層との結合力が向上した積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の少なくとも一面に形成され上記内部電極と電気的に接続する電極層と、上記電極層上に形成され複数の金属粒子及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、を含み、上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、A>Bである積層セラミック電子部品が提供される。
【0014】
上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たすことができる。
【0015】
上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比(A)は3.5〜4.5であれば良い。
【0016】
上記複数の金属粒子の一部は上記ベース樹脂から露出することができる。
【0017】
上記複数の金属粒子の一部は上記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出することができる。
【0018】
上記伝導性樹脂層の表面は凹凸を有することができる。
【0019】
上記伝導性樹脂層の表面は、上記複数の金属粒子のうち外部に露出した金属粒子によって凹凸を有することができる。
【0020】
上記複数の金属粒子の一部は上記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出し、上記ベース樹脂は突出した金属粒子を囲むように表面が上記金属粒子との界面から所定の高さに上昇することができる。
【0021】
上記金属粒子は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0022】
上記金属粒子は、銀でコーティングされた銅を含むことができる。
【0023】
上記積層セラミック電子部品は、上記伝導性樹脂層上に形成されたメッキ層をさらに含むことができる。
【0024】
上記セラミック本体の長さは300μm〜700μm、上記セラミック本体の幅は150μm〜400μmであれば良い。
【0025】
本発明の他の形態によれば、誘電体層及び内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、上記内部電極の一端と電気的に連結されるように上記セラミック本体の端面に電極層を形成する段階と、上記電極層上に複数の金属粒子、常温で固体状態で存在する固相樹脂及び常温で液体状態で存在する液相樹脂を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、上記伝導性樹脂組成物を硬化し、表面部の炭素に対する金属の質量比が内部の炭素に対する金属の質量比より大きいように伝導性樹脂層を形成する段階と、を含む積層セラミック電子部品の製造方法が提供される。
【0026】
上記伝導性樹脂組成物は、上記液相樹脂を、上記固相樹脂と上記液相樹脂との和100重量部に対して50〜70重量部含むことができる。
【0027】
上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たすことができる。
【0028】
上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比(A)は3.5〜4.5であれば良い。
【0029】
上記複数の金属粒子の一部は上記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出した形状を有することができる。
【0030】
上記伝導性樹脂層の表面は凹凸を有することができる。
【0031】
上記複数の金属粒子のうち外部に露出した金属粒子によって、上記伝導性樹脂層の表面は凹凸を有することができる。
【0032】
上記複数の金属粒子の一部は上記伝導性樹脂層の外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域はベース樹脂に埋め込まれずに突出し、上記ベース樹脂は突出した金属粒子を囲むように表面が上記金属粒子との界面から所定の高さに上昇することができる。
【0033】
本発明のさらに他の形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の少なくとも一面に形成され、上記内部電極と電気的に接続する電極層と、上記電極層上に形成され、複数の金属粒子及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、を含み、上記複数の金属粒子の一部は上記ベース樹脂から突出して一部の領域が上記伝導性樹脂層の外部に露出する積層セラミック電子部品が提供される。
【0034】
上記伝導性樹脂層の表面は凹凸を有することができる。
【0035】
上記伝導性樹脂層の表面は、上記複数の金属粒子のうち外部に露出した金属粒子によって凹凸を有することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、メッキ性が改善され伝導性樹脂層とメッキ層との結合力が向上した積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0039】
なお、以下では、積層セラミックキャパシタの一例として積層セラミック電子部品を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100を示す斜視図であり、
図2は
図1のA‐A’線に沿う断面図である。
【0041】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、積層セラミックキャパシタであり、セラミック本体110と、外部電極131、132と、を含む。
【0042】
上記セラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性層と、上下マージン部であって活性層の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層と、を含むことができる。上記活性層は、誘電体層111及び内部電極121、122を含み、誘電体層111を介して複数の第1及び第2の内部電極121、122が交互に形成されることができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、セラミック本体110は、その形状に特別な制限はないが、実質的に六面体状であれば良い。チップ焼成時のセラミック粉末の焼成収縮と内部電極パターンの存否による厚さの差及びセラミック本体のコーナー部の研磨によって、セラミック本体110は、完全な六面体状ではないが、実質的には六面体に近い形状を有することができる。
【0044】
本発明の実施例を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上のL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層された積層方向と同じ概念で用いられる。
【0045】
上記内部電極は第1及び第2の内部電極121、122からなり、第1及び第2の内部電極は上記誘電体層111を介して対向して配置されることができる。第1及び第2の内部電極121、122は、相違する極性を有する一対の電極であり、誘電体層111上に所定の厚さで伝導性金属を含む伝導性ペーストを印刷して誘電体層111の積層方向に沿ってセラミック本体110の両端面から交互に露出するように形成され、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0046】
即ち、第1及び第2の内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面から交互に露出する部分を介して外部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。上記外部電極は、第1の外部電極131及び第2の外部電極132を含み、第1の内部電極121は第1の外部電極131と、第2の内部電極122は第2の外部電極132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0047】
したがって、第1及び第2の外部電極131、132に電圧を印加すると、対向する第1及び第2の内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、この際の積層セラミックキャパシタ100の静電容量は第1及び第2の内部電極121、122の重なり領域の面積に比例する。
【0048】
上記第1及び第2の内部電極121、122の厚さは、用途に応じて決められ、例えば、セラミック本体110のサイズと容量を考慮して0.2〜1.0μmの範囲内に決められることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
また、第1及び第2の内部電極121、122に含まれる伝導性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であれば良いが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
この際、誘電体層111の厚さは積層セラミックキャパシタの容量設計に合わせて任意に変わっても良く、セラミック本体110のサイズと容量を考慮して一つの層の厚さが焼成後に0.1〜10μmとなるように構成しても良いが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
上部及び下部カバー層は、内部電極を含まないことを除いて誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができる。上部及び下部カバー層は、単一の誘電体層又は二つ以上の誘電体層を活性層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成されたものであり、基本的に物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2の内部電極121、122の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0053】
上記第1の外部電極131は第1の電極層131a及び伝導性樹脂層131bを含み、上記第2の外部電極132は第2の電極層132a及び伝導性樹脂層132bを含むことができる。
【0054】
また、上記第1及び第2の外部電極131、132は、伝導性樹脂層131b、132b上に形成されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0055】
上記第1及び第2の電極層131a、132aは、第1及び第2の内部電極121、122と直接連結されて外部電極と内部電極との電気的導通を確保する。
【0056】
上記第1及び第2の電極層131a、132aは、伝導性金属を含み、上記伝導性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)又はこれらの合金であれば良いが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
上記第1及び第2の電極層131a、132aは、伝導性金属を含むペーストの焼成によって形成される焼成型電極であれば良い。
【0058】
上記第1及び第2の電極層131a、132a上には伝導性樹脂層131b、132bが配置されることができる。即ち、上記第1及び第2の電極層の外側には伝導性樹脂層が配置されることができる。
【0059】
また、図示されてはいないが、上記伝導性樹脂層131b、132bの外側にはメッキ層が配置されることができる。
【0060】
なお、本明細書では、セラミック本体110のある方向を外部電極131、132の内側、セラミック本体110のない方向を外部電極131、132の外側と定義する。
【0061】
図3は、
図2のP領域を拡大して示す図である。
【0062】
なお、P領域は第1の外部電極131の端部を拡大して示したもので、以下では第1の外部電極131を基準として説明するが、第1の外部電極が第1の内部電極と、第2の外部電極が第2の内部電極と電気的に接続される点を除いて第1の外部電極と第2の外部電極の構成は同じであるため、以下の説明は第2の外部電極132にも適用可能である。
【0063】
図3に示されているように、上記伝導性樹脂層131bは複数の金属粒子11とベース樹脂12とを含み、上記ベース樹脂12は熱硬化性樹脂を含むことができる。上記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であれば良いが、特に限定されない。
【0064】
上記金属粒子11は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含み、銀でコーティングされた銅をさらに含むことができる。上記複数の金属粒子11の一部は、上記伝導性樹脂層の表面から外部に露出することができる。
【0065】
また、上記伝導性樹脂層131bに含まれたベース樹脂12は、表面部Sでの含量が内部Iでの含量より少なければ良い。即ち、本発明の一実施形態によれば、伝導性樹脂層の表面に隣接した金属粒子がベース樹脂に完全に埋め込まれておらず、伝導性樹脂層の表面に隣接した金属粒子の一部の領域がベース樹脂から突出しているため、伝導性樹脂層の表面部Sは内部に比べてベース樹脂の含量が少ない。
【0066】
さらに、本発明の一実施形態による伝導性樹脂層131bは、上述したようにベース樹脂に埋め込まれずに突出した金属粒子によって、表面に凹凸を有することができる。
【0067】
本発明の一実施形態のように伝導性樹脂層131bの表面から金属粒子が一部突出した形で露出する場合、伝導性樹脂層の表面の中で導電性金属が占める面積比が増加するため、伝導性樹脂層の表面にメッキ層を形成するときに非メッキ領域が生じることなく均一なメッキ層を形成することができるという利点がある。
【0068】
また、上記伝導性樹脂層131bは、ベース樹脂及び金属粒子を含むため、炭素及び金属を含み、表面部Sの炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部Iの炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、A>Bを満たすことができる。
【0069】
本明細書では、
図3に示されているように金属粒子とベース樹脂を含む伝導性樹脂層の最外側から距離が1μm未満の区間を「表面部S」、当該「表面部S」を除いた領域を「内部I」と定義する。
【0070】
また、上記ベース樹脂から突出した上記金属の頂点(金属粒子が突出した領域の峰部)間を連結した地点を上記最外側の地点と定義する。
【0071】
表面部Sの炭素に対する金属の質量比とは、伝導性樹脂層131bの表面部Sの炭素のwt%に対する表面部Sの金属のwt%の比(金属のwt%/炭素のwt%)のことであり、内部Iの炭素に対する金属の質量比とは、伝導性樹脂層131bの内部Iの炭素のwt%に対する表面部Sの金属のwt%の比(金属のwt%/炭素のwt%)のことである。
【0072】
表面部S及び内部Iの炭素に対する金属の質量比は、EDS(Energy Dispersive X‐ray Spectometer)定量分析で測定されることができる。より具体的には、表面部S及び内部Iのそれぞれの少なくとも5個以上の地点をEDS分析した後、これらの平均値で計算することができる。
【0073】
また、本発明の一実施形態によれば、上記伝導性樹脂層131bの表面部Sの炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部Iの炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たすことができる。
【0074】
A/Bが1.2未満の場合は、表面のベース樹脂量が多いため、伝導性樹脂層上にメッキ層を形成するときに非メッキ領域が生じるメッキ不良が発生し、メッキ不良を解消するためにA/Bを1.2未満に維持し且つ表面及び内部の金属の質量比を増加させる場合は、伝導性樹脂層内の全体的なベース樹脂の含量が減少するため、電極層との接着力が確保されない問題が発生する可能性がある。
【0075】
したがって、伝導性樹脂層と電極層との接合力を確保し且つメッキ不良を解消するために、上記A/Bは1.2以上であることが好ましい。
【0076】
また、上記A/Bが2.0を超える場合は、伝導性樹脂層上にメッキ層を形成するときにメッキ性を極大化することができるという長所があるが、表面部と内部との樹脂分布の差が大きくなるため、表面部の樹脂の急激な減少により伝導性樹脂層の表面の金属粒子が伝導性樹脂層から分離される問題が発生する可能性がある。
【0077】
伝導性樹脂層を形成した後にメッキ工程を行うとき、メッキ槽の内部のバレルに入ったチップ(伝導性樹脂層が形成された積層セラミック電子部品)は、バレルの回転による動きによってバレルの内部で揺れます。この際、A/Bが2.0を超えて表面部の樹脂が急激に減少すると、チップ間の衝突又はバレルの内部とチップとの衝突等によって物理的衝撃がチップに加わるときに表面の金属粒子が伝導性樹脂層から分離されてメッキのばらつきが発生する可能性がある。
【0078】
また、伝導性樹脂層上にメッキ層が形成される場合は、表面の金属粒子の分離によってメッキ層が伝導性樹脂層から剥離されるか又は伝導性樹脂層とメッキ層の間でデラミネーションが発生する可能性がある。また、伝導性樹脂層の表面部に当該表面の金属粒子が分離されないほどのベース樹脂が含まれるようにしてA/Bが2.0を超える場合は、内部の金属粒子の含量が減少するため、伝導性樹脂層の等価直列抵抗(ESR)が増加するという問題がある。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、上記伝導性樹脂層131bの表面部Sの炭素に対する金属の質量比(以下、「A」という。)は3.5〜4.5であれば良い。
【0080】
即ち、表面部Sの「金属のwt%/炭素のwt%」は3.5〜4.5であれば良い。
【0081】
上記Aが3.5未満の場合は、伝導性樹脂層の表面の中でベース樹脂が占める面積が広いため、伝導性樹脂層上にメッキ層を形成するときに非メッキ領域が生じるメッキ不良が発生し、上記Aが4.5を超える場合は、金属粒子に対するベース樹脂の含量が低いため、表面に露出した金属粒子を固定するベース樹脂の接合力が減少し、金属粒子が伝導性樹脂から分離される可能性がある。
【0082】
伝導性樹脂層の表面の金属粒子が伝導性樹脂から分離された領域は、表面に金属粒子ではなくベース樹脂が存在する。したがって、伝導性樹脂層の表面の金属粒子が多数分離される場合は、表面の中でベース樹脂が占める面積が増加するため、メッキ性が低下する可能性がある。
【0083】
また、伝導性樹脂層上にメッキ層が形成された後にメッキ層と結合した金属粒子が伝導性樹脂から分離される場合は、メッキ層と伝導性樹脂層との層間剥離が起こる問題が発生する可能性がある。
【0084】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記セラミック本体110の長さは300μm〜700μm、セラミック本体の幅は150μm〜400μmであれば良い。本発明の一実施形態によれば、上記のような小型サイズのセラミック本体に適用する場合でも、メッキ性を改善する効果が十分に発現されることができる。
【0085】
但し、本発明は、小型サイズのチップに限定されず、全てのサイズのセラミック本体に適用可能である。
【0086】
なお、上記特許文献1は、伝導性樹脂層の表面に金属粒子が配置されているが、上記金属粒子が伝導性樹脂層ではなく伝導性樹脂層の表面に別途に配置されているため、単一層の伝導性樹脂層に含まれた金属粒子が伝導性樹脂層の表面に露出している本発明の一実施形態とは異なる。
【0087】
具体的には、本発明の一実施形態による伝導性樹脂層の表面の金属粒子は、伝導性樹脂層内に含まれた金属粒子が突出して露出したものであるため、伝導性樹脂層を塗布した後に別途に金属粒子を表面に配置した特許文献1とは異なる。即ち、特許文献1は伝導性樹脂層と表面の金属粒子層が二つの層に分離されているのに対し、本発明は単一層の伝導性樹脂層の表面に配置された金属粒子が外部に露出している点で、両発明は相違する。
【0088】
さらに、上記特許文献1は、表面の金属粒子と接しているベース樹脂が少ないため、特許文献1の伝導性樹脂層の表面に配置された金属粒子が伝導性樹脂層から分離されやすくなるという問題を有する。
【0089】
図4aは本発明の一実施形態による金属粒子が伝導性樹脂層の表面に露出した形態を示す模式図であり、
図4bは特許文献1による金属粒子が伝導性樹脂層上に配置された形態を示す模式図である。
【0090】
特許文献1のように伝導性樹脂層の表面上に別途に金属粒子を配置する場合は、
図4bのように伝導性樹脂層が押されることにより、伝導性樹脂層に含まれたベース樹脂が表面近傍の金属粒子と接触する面積が減少するため、金属粒子が伝導性樹脂層から分離されやすくなるが、本発明の一実施形態の場合は、伝導性樹脂層内の金属粒子が露出しているため、
図4aのように表面張力により突出した金属粒子の界面からベース樹脂が上昇して表面に露出した金属粒子と接触する面積が増加し、金属粒子が伝導性樹脂層から容易に離脱しない。
【0091】
さらに、特許文献1は、伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたときのAやA/Bについて開示していないため、本発明と異なる。
【0092】
また、特許文献2は、伝導性樹脂層が二つの層からなっており、2次伝導性樹脂層の金属粒子の含量が1次伝導性樹脂層に比べて高いことを特徴とする。特許文献2の場合は、別途の伝導性樹脂層を形成する分だけ、各樹脂層が一定の厚さを有し、伝導性樹脂層を形成するためのペーストを二回塗布する工程を必要とするのに対し、本発明の一実施形態の場合は、伝導性樹脂層が単一層であるため、薄型の伝導性樹脂層を形成することができ、伝導性樹脂層を形成するためのペーストの塗布工程を減らすことができるという長所がある。
【0093】
特許文献3は、伝導性樹脂層の表面に金属粒子が露出しているが、金属粒子が突出して露出しておらず、研磨されて露出しているため、表面部の炭素に対する金属の質量比と内部の炭素に対する金属の質量比とが同じ点で、本発明と異なる。
【0094】
また、特許文献3のように伝導性樹脂層の表面を研磨して金属粒子が露出する場合は、研磨効率の限界によって小型サイズのチップへの適用が困難となり、研磨効率によって非メッキ不良が発生する可能性があるという短所がある。
【0095】
これに対し、本発明の場合は、別途の研磨工程を経なくても伝導性樹脂層の表面に金属粒子が露出するため(後述する製造工程を参照)、工程の簡素化が可能であり、たとえ、伝導性樹脂層の表面に存在する金属粒子にベース樹脂が多少残っていて研磨を行うとしても、その量が少ないため、研磨効率が低くても、伝導性樹脂層の表面に配置された金属粒子を覆っているベース樹脂を容易に除去することができる。
【0096】
即ち、特許文献3とは異なり、本発明の一実施形態によれば、セラミック本体のサイズにかかわらず、伝導性樹脂層上にメッキ層を形成する上でのメッキ性を改善することができ、セラミック本体110の長さが300μm〜700μm、セラミック本体の幅が150μm〜400μmの小型サイズの電子部品にも容易に適用可能であるという長所が得られる。
【0097】
図5aは本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の伝導性樹脂層の表面を示す写真であり、
図5bは本発明とは異なり伝導性樹脂層の表面に金属粒子が露出していない積層セラミック電子部品の伝導性樹脂層の表面を示す写真である。
【0098】
図5aの場合は本発明の実施形態による積層セラミック電子部品の伝導性樹脂層の表面に金属粒子が露出して鮮明に見えるのに対し、
図5bの場合は金属粒子が伝導性樹脂に覆われて不鮮明に見えることが分かる。
【0099】
図6aは
図5aに示されている実施形態による伝導性樹脂層上にメッキ層を形成した後にメッキ層の表面を撮った写真であり、
図6bは
図5bの比較形態による伝導性樹脂層上にメッキ層を形成した後にメッキ層の表面を撮った写真である。伝導性樹脂層の表面に金属粒子が露出している本発明の一実施形態の場合は、
図6aに示されているように伝導性樹脂層の表面に非メッキ領域なしにメッキ層が均一に形成されたが、金属粒子が伝導性樹脂層の表面に露出していない場合は、
図6bに示されているように伝導性樹脂層上にメッキ層を形成するときにメッキ層が均一に形成されず非メッキ領域が生じてメッキ不良が発生したことが分かる。
【0100】
[積層セラミックキャパシタの製造方法]
図7は、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を示す製造工程図である。
【0101】
図7を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、誘電体層及び内部電極を含むセラミック本体を形成する段階S1と、上記内部電極の一端と電気的に連結されるように上記セラミック本体の端面に電極層を形成する段階S2と、上記電極層上に金属粒子、常温で固体状態で存在する固相樹脂及び常温で液体状態で存在する液相樹脂を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階S3と、上記伝導性樹脂組成物を硬化し、表面部の炭素に対する金属の質量比が内部の炭素に対する金属の質量比より大きいように伝導性樹脂層を形成する段階S4と、を含むことができる。
【0102】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を説明するにあたり、積層セラミックキャパシタを例に挙げて説明するが、これに限定されない。
【0103】
なお、本実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法に関する説明のうち上述した積層セラミックキャパシタと重複する説明は省略する。
【0104】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法では、まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)等のパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数のセラミックグリーンシートを製造し、これにより、誘電体層及びカバー層を形成することができる。
【0105】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー及び溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状にして製作されることができる。
【0106】
次に、ニッケル粉末を含む内部電極用伝導性ペーストを製造することができる。
【0107】
上記グリーンシート上に上記内部電極用伝導性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、内部電極が印刷されたグリーンシートを複数層積層して積層体を製造し、積層体の上下面に内部電極が印刷されていないグリーンシートを複数積層した後に焼成することにより、セラミック本体110を製造することができる。上記セラミック本体は内部電極121、122、誘電体層111及びカバー層を含み、上記誘電体層は内部電極が印刷されたグリーンシートが焼成されて形成され、上記カバー層は内部電極が印刷されていないグリーンシートが焼成されて形成されたものである。
【0108】
上記内部電極は、第1及び第2の内部電極で形成されることができる。
【0109】
次に、上記第1及び第2の内部電極とそれぞれ電気的に連結されるようにセラミック本体の外部面に第1及び第2の電極層131a、132aを形成することができる。上記第1及び第2の電極層は、伝導性金属及びガラスを含むペーストの焼成によって形成されることができる。
【0110】
上記伝導性金属は、特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であれば良い。
【0111】
上記ガラスとしては、特に制限されず、一般の積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同じ組成の物質を用いることができる。
【0112】
次に、第1及び第2の電極層の外側に複数の金属粒子、固相樹脂及び液相樹脂を含む伝導性樹脂組成物を塗布した後に硬化して伝導性樹脂層131b、132bを形成することができる。
【0113】
上記金属粒子は、銅、銀、ニッケル、これらの合金及び銀でコーティングされた銅のうち一つ以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0114】
上記固相樹脂及び液相樹脂は、熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を含むことができる。
【0115】
上記固相樹脂は、常温で固体状態で存在し、溶剤なしでは液化されない樹脂を意味し、軟化点が常温を超えるエポキシ樹脂であれば良い。
【0116】
上記液相樹脂は、常温で液体状態で存在する樹脂を意味する。上記液相樹脂は、硬化前の分子量が1000g/mol以下であり、小さい分子量及び分子間結合力のため軟化点が常温以下の樹脂である。上記液相樹脂は、溶剤なしに伝導性樹脂組成物に直接適用されることができる。即ち、溶剤なしにペーストを形成することができる。
【0117】
上記液相樹脂としては、特に限定されず、ビスフェノールA樹脂、グリコールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂又はこれらの誘導体のうち分子量が小さくて常温で液体状態の樹脂が挙げられる。
【0118】
上記液相樹脂の具体的な例としては、ポリプロポキシレートビスフェノールA(Polypropoxylate Bisphenol A、PBPA)及びDOW社のエポキシ製品であるD.E.R330、D.E.R332、D.E.R362、D.E.R364、D.E.R383等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0119】
上述したように、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、伝導性樹脂層を形成するための組成物に液相樹脂を含ませることにより、伝導性樹脂組成物を硬化して伝導性樹脂層を形成するときに表面部の炭素に対する金属の質量比が内部の炭素に対する金属の質量比より大きくなることができる。
【0120】
さらに、本発明の一実施形態によれば、固相樹脂と液相樹脂との和100重量部に対して液相樹脂を50〜70重量部含む伝導性樹脂組成物を塗布して伝導性樹脂層を形成することができる。上記伝導性樹脂組成物を塗布し熱処理して伝導性樹脂組成物を硬化させる場合、表面付近に存在する液相樹脂は硬化温度に到達する前に容易に揮発し、内部に存在する液相樹脂は固相樹脂によって揮発せずに残留して固相樹脂と共にベース樹脂を構成することができる。
【0121】
本発明の一実施形態のように表面付近に存在する液相樹脂が揮発して硬化前に除去される場合、伝導性樹脂層に含まれた金属粒子は伝導性樹脂層の表面から外部に露出することができる。
【0122】
上記液相樹脂が全樹脂成分に対して50重量部未満含まれる場合は、硬化過程で流動性が低下し表面揮発効果が低いため、金属粒子が伝導性樹脂層の表面に露出せずに金属粒子を覆っている残留樹脂成分が増加して非メッキ問題が発生し、液相樹脂が全樹脂成分に対して70重量部を超えて含まれる場合は、硬化のための昇温区間で伝導性樹脂組成物の流れ性が過度に増加するため、伝導性樹脂層の形状を制御するのが困難となり、複数のキャパシタを同時に形成する上で隣接したキャパシタの外部電極とくっついてしまうようなチップのくっつき不良が発生する可能性がある。
【0123】
より具体的には、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法によれば、複数の金属粒子の一部は上記伝導性樹脂層の表面から外部に露出し、露出した金属粒子の一部の領域は伝導性樹脂層の表面から突出した形状を有することができる。また、上記伝導性樹脂層の表面は、突出した金属粒子によって凹凸を有することができる。
【0124】
即ち、本発明の一実施形態によれば、研磨過程なしでも伝導性樹脂層の表面に金属粒子を露出させることができ、別途に金属粒子を付着する工程なしでも金属粒子が伝導性樹脂層の表面から突出するように形成することができる。さらに、伝導性樹脂組成物を二層以上で構成しなくても、表面部の炭素に対する金属の質量比と内部の炭素に対する金属の質量比とが相違する伝導性樹脂層を形成することができる。
【0125】
上記伝導性樹脂組成物の硬化条件は、対流による熱伝達速度と温度による樹脂粘度及び硬化速度等を考慮して、表面部の炭素に対する金属の質量比が内部の炭素に対する金属の質量比より大きい伝導性樹脂層が形成される範囲内で決められる。
【0126】
また、上記伝導性樹脂組成物の硬化昇温条件は、形成された伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比をA、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比をBとしたとき、1.2≦A/B≦2.0を満たす範囲内で決められる。
【0127】
また、上記伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比(A)は3.5〜4.5であれば良い。
【0128】
本発明の一実施形態のように液相樹脂を含む伝導性樹脂組成物を用いて伝導性樹脂層を形成する場合、表面に存在する液相樹脂の一部は揮発し、一部は残留した後に硬化されて固相エポキシと共にベース樹脂を形成することができる。特に、硬化前に伝導性樹脂組成物の表面に液体状態で存在していた液相樹脂は、液体の表面張力により金属粒子と液相樹脂の間の界面から金属粒子を囲むように所定の高さに上昇し、その後、硬化が終わってからベース樹脂に変わると、所定の高さに上昇した分だけ金属粒子と堅固に結合される(
図4a参照)。
【0129】
また、本発明は、伝導性樹脂層を形成した後に伝導性樹脂層上にメッキ層を形成する工程をさらに含むことができる。本発明の一実施形態のように伝導性樹脂層を形成し上記伝導性樹脂層上にメッキ層を形成する場合、非メッキ領域のない均一なメッキ層を形成することができる。
【0130】
上記特許文献4は、樹脂電極ペーストとして軟化点の高い樹脂と軟化点の低い樹脂とを混合して用いているが、軟化点の低い樹脂が常温で液体状態ではなく、軟化点の高い樹脂と軟化点の低い樹脂との混合比も本発明と異なる。
【0131】
[実験例]
下記表1は、伝導性樹脂組成物に含まれた樹脂成分100重量部に対する液相樹脂の含量と硬化昇温条件によるA/B(伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比:A、上記伝導性樹脂層の内部の炭素に対する金属の質量比:B)及びこれにより伝導性樹脂層上にメッキ層を形成するときのメッキ性、表面の金属粒子の分離の有無及び伝導性樹脂組成物の硬化のための昇温時の流れ性の増加による伝導性樹脂層の形状制御の容易性(チップのくっつき不良)を示すものである。
【0132】
本実験例において、伝導性樹脂組成物は、金属粒子として銅粒子、固相樹脂として平均分子量(Mw)が5万程度のビスフェノールA(BPA)系のエポキシ樹脂、液相樹脂として常温(25℃)における粘度が10000cP付近のビスフェノールA(BPA)系の液相樹脂、沸点が200℃〜250℃の間の溶剤を含む。
【0133】
表1中、硬化昇温条件I、II及びIIIは、下記の通りである。硬化昇温条件Iは、溶剤揮発温度と硬化温度の間に温度維持区間のない昇温プロファイルである。硬化昇温条件IIは、昇温速度が硬化昇温条件Iと同じであるが、硬化温度に到達する前に樹脂の流れ性が確保される区間(120〜140℃付近)で温度を一定時間維持しながら硬化を遅らせて流れ性を高くする昇温プロファイルである。昇温条件IIIは、昇温条件IIと同じ温度維持区間を有するが、全体的に昇温速度を遅らせて樹脂の流動性を最大限確保するようにした条件である。
【0134】
傾向性が完全に一致してはいないが、実験結果から、硬化昇温条件がIに近いほどA/Bが1に近接し、IIIに近いほどA/B値が増加するといった全般的な傾向があることが分かる。
【0135】
【表1】
OK:メッキ不良の発生なし、表面の金属粒子の分離なし、伝導性樹脂層の形状良好(チップのくっつき現象の発生なし)
NG:メッキ不良の発生あり、表面の金属粒子の分離あり、伝導性樹脂層の形状不良(チップのくっつき現象の発生あり)
【0136】
メッキ性については、伝導性樹脂層にメッキ層を形成したとき、非メッキ面積が5%以下の場合をOK、5%を超える場合をNGで示し、表面の金属粒子の分離の有無については、伝導性樹脂層にメッキ層を形成する前に伝導性樹脂層の表面にテープを着脱するテープテストを行った後、テープに金属粒子がついている場合をNG、ついていない場合をOKで示した。また、伝導性樹脂層の形状制御の容易性については、製造過程で隣接した積層セラミックキャパシタの外部電極を構成する伝導性樹脂層間のくっつき現象によって外部電極の破損が発生した場合をNG、発生しなかった場合をOKで示した。
【0137】
上記表1を参照すると、伝導性樹脂組成物の全樹脂成分100重量部に対して液相樹脂の含量が50重量部未満の場合は、硬化昇温条件にかかわらずメッキ不良が発生し、伝導性樹脂組成物の全樹脂成分100重量部に対して液相樹脂の含量が70重量部を超える場合は、伝導性樹脂層の形状が制御されないため、チップのくっつき不良が発生したことが分かる。
【0138】
また、硬化昇温条件により制御されたA/B値についてのメッキ性及び伝導性樹脂層の形状制御の容易性を検討してみたところ、A/Bが1.2未満の場合はメッキ性が不良であり、2.0を超える場合は伝導性樹脂の表面の金属粒子が分離されやすいという問題があった。
【0139】
下記表2は、積層セラミックキャパシタの伝導性樹脂層の表面部の炭素に対する金属の質量比(A)で伝導性樹脂層上にメッキ層を形成したときのメッキ不良の発生の有無(メッキ性)、伝導性樹脂層とメッキ層が分離される層間分離現象の発生の有無を示すものである。
【0140】
【表2】
OK:メッキ不良の発生なし、伝導性樹脂層とメッキ層間の分離の発生なし
NG:メッキ不良の発生あり、伝導性樹脂層とメッキ層間の分離の発生あり
【0141】
上記表2を参照すると、A値が3.5未満の場合はメッキ不良が発生し、4.5を超える場合は伝導性樹脂層とメッキ層の間でデラミネーション等の層間分離現象が発生したという問題があることが分かる。
【0142】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。