【解決手段】ルータRTが、無線電話端末30からIP電話網NWに送信された網宛て呼制御メッセージを電話制御装置10へ転送し、電話制御装置10の転送制御部14Aが、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理に関するメッセージについて、当該メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後、IP電話網NWへ送信し、これに応じて受信したIP電話網NWからの端末宛て呼制御メッセージについて、当該メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後、無線電話端末30へ送信する。
LAN回線に接続された電話制御装置および無線基地局と、前記LAN回線とIP電話網とを中継接続するルータと、前記無線基地局を介して前記ルータに接続された少なくとも1つの無線電話端末とを備え、前記電話制御装置が、少なくとも1つの内線電話端末を収容し、これら内線電話端末および無線電話端末のうち、予め登録された連携関係にある内線電話端末と無線電話端末との間で、当該無線電話端末のIP電話番号からなる連携電話番号を当該内線電話番号の個別電話番号として共通に割り当てて呼制御を行う電話システムであって、
前記ルータは、前記無線電話端末から前記IP電話網に送信された網宛て呼制御メッセージを前記電話制御装置へ転送し、
前記電話制御装置は、前記ルータから転送された前記網宛て呼制御メッセージのうち、前記IP電話網に対する前記無線電話端末の登録処理に関する前記網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後、前記LAN回線から前記IP電話網へ送信し、これに応じて前記LAN回線から受信した前記IP電話網からの端末宛て呼制御メッセージについて、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれる送信先アドレス情報を前記無線電話端末のアドレス情報に変更した後、前記LAN回線から当該無線電話端末へ送信する転送制御部を備える
ことを特徴とする電話システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
この電話システム1は、ビジネスホンやPBXシステムなどの電話システムからなり、ルータRT、電話制御装置10、内線電話端末20、無線基地局AP、および無線電話端末30から構成されている。
【0021】
電話制御装置10は、ビジネスホンの主装置やPBXシステムのPBXとして用いられる電話制御装置からなり、内線回線21を介して複数の内線電話端末20を収容するとともに、無線基地局APを介して接続された複数の無線電話端末30を収容し、これら内線電話端末20および無線電話端末30を、LAN回線L1、ルータRT、および網回線L2を介してIP電話網NWに交換接続する機能と、これら内線電話端末20および無線電話端末30のうち、予め登録された連携関係にある内線電話端末20と無線電話端末30との間で、当該無線電話端末20のIP電話番号からなる連携電話番号を当該内線電話番号の個別電話番号として共通に割り当てて呼制御を行う機能とを有している。なお、内線電話端末20や無線電話端末30の収容数については、複数に限定されるものではなく、それぞれ少なくとも1つ以上収容していれば、本発明を適用可能である。
【0022】
ルータRTは、IP回線からなるLAN回線L1と網回線L2との間でパケットを転送する一般的なルータからなり、無線電話端末30からIP電話網NWへ向けて送信された網宛て呼制御メッセージを、IPアドレスやMACアドレスなどの送信先アドレス情報でフィルタリングして、電話制御装置10へ転送する機能を有している。この際、転送対象となる呼制御メッセージは、IP電話網NWのうち予め設定されている呼制御サーバ宛てのパケットであり、具体的には、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理、発信処理、着信処理などに関する網宛て呼制御メッセージが転送対象となる。
【0023】
内線電話端末20は、ビジネスホンやPBXシステムなどの電話システムで、卓上に配置されて利用される一般的な内線電話機である。
無線基地局APは、LAN回線L1に接続された一般的な無線基地局であり、無線LANを介して収容した複数の無線電話端末30をLAN回線L1に接続する機能を有している。
無線電話端末30は、スマートフォンや携帯電話などの一般的な無線電話端末からなり、公衆無線電話網を利用した通話の他、例えば「050」で始まるIP電話番号(セカンダリ電話番号)を用いて無線LANを利用して通話を行うIP電話機能を有している。
【0024】
IP電話網NWは、複数の呼制御サーバ(図示せず)で各種IP電話端末との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、IP通話サービスを提供するIP電話網からなる。
相手電話端末40は、IP電話網NWに接続された一般的なIP電話端末であり、具体的には、単独電話端末、電話システムに内線収容された内線電話端末、無線LANを利用して通話を行うIP電話機能を有するスマートフォンや携帯電話などの無線電話端末がある。
【0025】
[電話制御装置]
電話制御装置10には、主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、記憶部13、および制御部14が設けられている。
【0026】
網I/F部11は、通信用のインターフェース回路からなり、LAN回線L1、ルータRT、および網回線L2を介してIP電話網NWとの間で発信、着信、登録などの各種呼制御メッセージや通話音声を含むパケットをやり取りする機能と、LAN回線L1および無線基地局APを介して無線電話端末30との間で、発信、着信、登録などの各種呼制御メッセージや通話音声を含むパケットをやり取りする機能とを有している。
【0027】
内線I/F部12は、専用の通信回路からなり、内線回線21を介して内線電話端末20との間で、発信、着信などの呼制御メッセージや通話音声などのデータをやり取りする機能を有している。
【0028】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部14での制御処理に用いる処理データやプログラム13Pを記憶する機能を有している。
プログラム13Pは、制御部14のCPUに読み込まれて実行されることにより、各種処理部を実現するプログラムである。
【0029】
記憶部13で記憶する主な処理データとして、呼制御データ13Aがある。呼制御データ13Aは、LAN回線L1、網回線L2、内線電話端末20、さらには無線電話端末30について、各種動作状態を示すステータスデータや、各種設定内容を示す設定データのほか、内線電話端末20と無線電話端末30との連携関係を示す端末連携情報などを含んでいる。
図2は、端末連携情報の構成例である。ここでは、連携回線として用いる、無線電話端末30のIP電話番号からなる連携電話番号ごとに、内線電話端末20と無線電話端末30とが組として登録されている。これにより、無線電話端末30のIP電話番号が、内線電話端末20の個別電話番号、すなわち内線電話端末20における発着信および通話の際に個別に利用できる外線電話番号(網側電話番号)として割り当てられる。
【0030】
制御部14は、CPUとその周辺回路を有するコンピュータからなり、記憶部13のプログラム13Pを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現して、IP電話網NWおよび無線電話端末30との間で、SIP(Session Initiation Protocol)などの呼制御プロトコルに基づく各種呼制御メッセージをやり取りするとともに、内線電話端末20との間で各種の制御用プロトコルに基づく制御メッセージをやり取りすることにより、内線電話端末20および無線電話端末30に関する呼制御を行う機能を有している。
制御部14で実現される主な処理部として、転送制御部14Aおよび連携制御部14Bがある。
【0031】
転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理に関する網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれるIPアドレスやMACアドレスなどの送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する機能と、これに応じてLAN回線L1から受信したIP電話網NWからの端末宛て呼制御メッセージについて、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれるIPアドレスやMACアドレスなどの送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した端末宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信する機能とを有している。
【0032】
また、転送制御部14Aは、IP電話網NWへ送信した網宛て呼制御メッセージに応じてLAN回線L1からIP電話網NWからの認証要求メッセージを受信した場合、当該認証要求メッセージに含まれるIPアドレスやMACアドレスなどの送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した認証要求メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信する機能と、これに応じてLAN回線L1から受信した当該無線電話端末30からの認証付き網宛て呼制御メッセージについて、当該認証付き網宛て呼制御メッセージに含まれるIPアドレスやMACアドレスなどの送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した認証付き網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する機能とを有している。
【0033】
また、転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージをIP電話網NWへ送信する際、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30が、予め内線電話端末20のいずれかとの連携関係が設定されている無線電話端末30である場合にのみ、当該網宛て呼制御メッセージをIP電話網NWへ送信する機能を有している。
【0034】
連携制御部14Bは、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理後、LAN回線L1からIP電話網NWからの連携電話番号への着信に応じて、当該連携電話番号に対応する内線電話端末20および無線電話端末30の双方へ着信通知を行う機能と、端末宛て呼制御メッセージが無線電話端末30の登録処理の成功を示す場合、当該無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20が有する機能キーのうちのいずれかに、これら無線電話端末30および内線電話端末20間で共用する連携電話番号に対応する連携回線を選択するための連携回線キーを割り当てる機能とを有している。
【0035】
図3は、内線電話端末の外観図である。内線電話端末20には、ダイヤルキーのほか、各種機能を任意に割り当てて利用できる機能キー20Aが複数設けられている。連携制御部14Bは、これら機能キー20Aのうちのいずれかに、連携回線キー20Bを割り当てる。各機能キー20Aには、当該機能に関する表示を行うLEDなどのランプが設けられており、連携制御部14Bは、この連携回線キー20Bのランプの表示状態を制御して、連携回線の使用状態を識別表示する。これにより、当該内線電話端末20による連携回線の使用状況だけでなく、連携関係にある無線電話端末30による連携回線の使用状況も利用者に報知することができる。
【0036】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図4を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の無線電話端末登録動作について説明する。
図4は、第1の実施の形態にかかる電話システムの無線電話端末登録動作を示すシーケンス図である。
ここでは、連携制御対象である無線電話端末30による、IP電話網NWへの登録処理について説明する。
【0037】
無線電話端末30は、IP電話網NWに対して登録処理を行うため、登録処理に関する網宛て呼制御メッセージ、すなわち登録メッセージ(REGISTER)を間欠的に送信する(ステップ100)。
ルータRTは、無線電話端末30から送信された網宛て呼制御メッセージの送信先を確認し、その送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバであるか確認する(ステップ101)。
ここで、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバである場合、当該網宛て呼制御メッセージをIP電話網NWではなく電話制御装置10へ転送する(ステップ102)。なお、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバでなければ、当該パケットをIP電話網NWへ転送する。
【0038】
電話制御装置10の転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1および網I/F部11を介して受信し、この網宛て呼制御メッセージについて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照して、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30が、予め内線電話端末20のいずれかとの連携関係が設定されているか否か確認する(ステップ103)。
【0039】
ここで、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30について、連携関係が設定されている場合には、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後(ステップ104)、網I/F部11およびLAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ105)。
これにより、電話制御装置10のアドレスを送信元とする無線電話端末30からの登録メッセージ(REGISTER)が、ルータRTおよび網回線L2を介してIP電話網NWに送信されることになる。なお、連携関係が設定されていない場合には、アドレス情報を変更せずにIP電話網NWへ送信する。
【0040】
この登録メッセージ(REGISTER)に応じて、IP電話網NWから登録要求の送信元となる電話制御装置10に対して、認証要求メッセージ(407)が送信された場合(ステップ110)、転送制御部14Aは、網回線L2、ルータRT、LAN回線L1および網I/F部11を介して、この認証要求メッセージ(407)を受信する。そして、この認証要求メッセージ(407)に含まれる登録要求元の電話番号などの識別情報に基づいて、登録要求元の無線電話端末30を特定し、当該認証要求メッセージ(407)の送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ111)、網I/F部11およびLAN回線L1から無線基地局APを介して無線電話端末30へ送信する(ステップ112)。
【0041】
これにより、電話制御装置10のアドレスを送信元とするIP電話網NWからの認証要求メッセージ(407)が無線電話端末30に転送されることになる。
これに応じて、認証処理に必要となる無線電話端末30のIP電話網NW用のIDやパスワードを含む認証付き網宛て呼制御メッセージとして、認証付き登録メッセージ(REGISTER)が無線電話端末30から電話制御装置10宛てに送信される(ステップ113)。
転送制御部14Aは、この認証付き登録メッセージについて、メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後(ステップ114)、IP電話網NWへ送信する(ステップ115)。
【0042】
この後、IP電話網NWにおいて認証が成功した場合、IP電話網NWから電話制御装置10に対して、端末宛て呼制御メッセージ、ここでは登録成功メッセージ(200OK)が送信される(ステップ120)。
転送制御部14Aは、この登録成功メッセージ(200OK)について、その送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ121)、無線電話端末30へ送信する(ステップ122)。
【0043】
また、連携制御部14Bは、この登録成功メッセージ(200OK)が無線電話端末30の登録処理の成功を示すことから、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20に設けられた機能キーのうちのいずれかに、連携回線を選択するための連携回線キーを割り当てるキー割り当てメッセージと、当該連携回線キーと対応するランプの消灯を指示するランプ制御メッセージとを、内線I/F部12から内線回線21を介して内線電話端末20へ送信する(ステップ123,124)。これにより、内線電話端末20の機能キーの1つとして、連携回線キーが割り当てられ、そのランプが消灯状態となる。
【0044】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ルータRTが、無線電話端末30からIP電話網NWに送信された網宛て呼制御メッセージを電話制御装置10へ転送し、電話制御装置10の転送制御部14Aが、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理に関するメッセージについて、当該メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後、IP電話網NWへ送信し、これに応じて受信したIP電話網NWからの端末宛て呼制御メッセージについて、当該メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後、無線電話端末30へ送信するようにしたものである。
【0045】
これにより、無線電話端末30が連携制御対象であることを電話制御装置10に予め登録しておくだけで、無線電話端末30からIP電話網NWへ送信した登録メッセージ(REGISTER)に基づいて、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理が、電話制御装置10経由で行われることになる。
したがって、IDやパスワードを設定するための複雑な設定操作を必要とすることなく、また利用者が抵抗を感じることなく、電話制御装置10により、無線電話端末30と内線電話端末20とを連携制御することが可能となる。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に、
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかる電話システムの無線電話端末着信動作を示すシーケンス図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理を実行した後、IP電話網NWから着信要求が通知された場合について説明する。
【0047】
本実施の形態において、電話制御装置10の転送制御部14Aは、LAN回線L1からIP電話網NWからの連携電話番号への着信処理に関する端末宛て呼制御メッセージを受信した場合、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した端末宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信する機能と、これに応じてLAN回線L1から受信した当該無線電話端末30からの網宛て呼制御メッセージについて、当該呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する機能とを有している。
【0048】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図5を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の無線電話端末着信動作について説明する。
ここでは、IP電話網NWからの着信要求に対して、連携制御対象である内線電話端末20と無線電話端末30の両方に着信通知し、このうち無線電話端末30で着信応答する場合について説明する。
【0049】
相手電話端末40での連携電話番号に対する発信操作に応じて、IP電話網NWから着信処理に関する端末宛て呼制御メッセージ、ここでは着信要求メッセージ(INVITE)が通知された場合(ステップ200)、電話制御装置10の転送制御部14Aは、網回線L2、ルータRT、LAN回線L1および網I/F部11を介して、この着信要求メッセージ(INVITE)を受信する。
【0050】
そして、転送制御部14Aは、この着信要求メッセージ(INVITE)に含まれる着信先を示す連携電話番号に基づいて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照して着信先の無線電話端末30を特定し、当該着信要求メッセージ(INVITE)に含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ201)、網I/F部11およびLAN回線L1から無線基地局APを介して無線電話端末30へ送信する(ステップ202)。
これにより、無線電話端末30で着信表示が行われる(ステップ203)。
【0051】
また、連携制御部14Bは、着信先を示す連携電話番号に基づいて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照して無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20を特定し、相手電話端末40からの着信を示す着信要求メッセージを生成して、内線I/F12および内線回線21を介して内線電話端末20へ送信するとともに(ステップ204)、連携回線キーのランプを赤点滅(着信有り)とするランプ制御メッセージを内線電話端末20へ送信する(ステップ205)。
これにより、内線電話端末20で着信表示が行われ(ステップ206)、この際、連携回線キーのランプが赤点滅(着信有り)で表示される。
【0052】
このようにして、連携関係にある無線電話端末30と内線電話端末20の両方で着信表示が行われ、これら無線電話端末30から網宛て呼制御メッセージ、ここでは着信中メッセージ(180)が返送されるとともに(ステップ210)、内線電話端末20から着信中メッセージが返送される(ステップ211)。
転送制御部14Aは、無線電話端末30からの着信中メッセージ(180)について、メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更し(ステップ212)、この変更を適用した着信中メッセージ(180)を、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ213)。
【0053】
この後、内線電話端末20より先に無線電話端末30において、当該着信に対する応答操作が行われた場合(ステップ220)、無線電話端末30から網宛て呼制御メッセージ、ここでは応答メッセージ(200OK)が送信される(ステップ221)。
転送制御部14Aは、無線電話端末30からの応答メッセージ(200OK)について、メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更し(ステップ222)、この変更を適用した応答メッセージ(200OK)を、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ223)。
【0054】
また、連携制御部14Bは、無線電話端末30からの応答メッセージ(200OK)に応じて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照し、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20を特定し、着信要求を取り消しを指示する着信取り消しメッセージを内線電話端末20へ送信するとともに(ステップ224)、連携回線キーのランプを橙点灯(無線電話端末の通話中)とするランプ制御メッセージを内線電話端末20へ送信する(ステップ225)。
これにより、内線電話端末20で着信表示が停止され(ステップ226)、この際、連携回線キーのランプが橙点灯(無線電話端末の通話中)で表示される。
【0055】
このようにして、無線電話端末30での着信応答がIP電話網NWへ通知され、相手電話端末40と無線電話端末30との間で通話が開始される(ステップ227)。
この通話中に、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20において、連携回線キーによる発信操作が行われ(ステップ230)、連携回線を用いた発信要求メッセージが内線電話端末20から送信される(ステップ231)。
【0056】
連携制御部14Bは、この発信要求メッセージにより指定された連携回線の使用状態を呼制御データ13Aにより確認し(ステップ232)、この場合には、内線電話端末20と連携関係にある無線電話端末30が、連携回線を使用していることから、発信拒否メッセージを返送する(ステップ233)。
なお、連携回線のチャネル数が2以上の場合には、このうち使用可能なチャネルが存在することを確認した上で、内線電話端末20からの発信要求をIP電話網NWへ通知するようにしてもよい。
【0057】
[内線電話端末着信動作]
次に、
図6を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の内線電話端末着信動作について説明する。
図6は、第2の実施の形態にかかる電話システムの内線電話端末着信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、IP電話網NWからの連携電話番号への着信に対して、連携制御対象である内線電話端末20と無線電話端末30の両方に着信通知し、このうち内線電話端末20で着信応答する場合について説明する。なお、ステップ213までの手順については、
図5と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0058】
着信中メッセージ(180)がIP電話網NWに送信された後、無線電話端末30より先に内線電話端末20において、当該着信に対する応答操作が行われた場合(ステップ250)、内線電話端末20から応答メッセージが送信される(ステップ251)。
転送制御部14Aは、内線電話端末20からの応答メッセージ(200OK)に応じて、内線電話端末20の応答を示す応答メッセージ(200OK)を生成して、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ252)。
【0059】
また、連携制御部14Bは、内線電話端末20からの応答メッセージ(200OK)に応じて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照し、内線電話端末20と連携関係にある無線電話端末30を特定し、着信要求を取り消しを指示する着信取り消しメッセージ(CANCEL)をLAN回線L1から無線電話端末30へ送信する(ステップ253)。これにより、無線電話端末30で着信表示が停止される(ステップ254)。
【0060】
また、連携制御部14Bは、内線電話端末20からの応答メッセージ(200OK)に応じて、網I/F部11を制御して、相手電話端末40と内線電話端末20との通話路を接続し、連携回線キーのランプを緑点灯(自端末の通話中)とするランプ制御メッセージを内線電話端末20へ送信する(ステップ255)。これにより、内線電話端末20の連携回線キーのランプが緑点灯(通話中)で表示される。
【0061】
このようにして、内線電話端末20での着信応答がIP電話網NWへ通知され、相手電話端末40と内線電話端末20との間で通話が開始される(ステップ256)。
この通話中に、内線電話端末20と連携関係にある無線電話端末30において、発信操作が行われた場合(ステップ260)、発信要求メッセージ(INVITE)が無線電話端末30から送信される(ステップ261)。
【0062】
連携制御部14Bは、この発信要求メッセージにより指定された連携回線の使用状態を呼制御データ13Aにより確認し(ステップ262)、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20が、連携回線を使用していることから、発信拒否メッセージを返送する(ステップ263)。
なお、連携回線のチャネル数が2以上の場合には、このうち使用可能なチャネルが存在することを確認した上で、無線電話端末30からの発信要求をIP電話網NWへ通知するようにしてもよい。
【0063】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、転送制御部14Aが、LAN回線L1からIP電話網NWからの連携電話番号への着信処理に関する端末宛て呼制御メッセージを受信した場合、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した端末宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信する機能と、これに応じてLAN回線L1から受信した当該無線電話端末30からの網宛て呼制御メッセージについて、当該呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信するようにしたものである。
【0064】
これにより、第1の実施の形態で説明した、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理を実行した後、IP電話網NWから連携電話番号への着信要求が通知された場合、転送制御部14Aにおいて、着信処理に関する呼制御メッセージが、IP電話網NWと無線電話端末30との間でアドレス変換して転送される。したがって、例えば連携関係にある内線電話端末20と無線電話端末30の両方に着信を通知し、これらのうち先に応答した電話端末と相手電話端末40との通話を開始することができ、着信処理において、内線電話端末20と無線電話端末30とをスムーズに連携制御することができる。
【0065】
[第3の実施の形態]
次に、
図7を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図7は、第3の実施の形態にかかる電話システムの無線電話端末発信動作を示すシーケンス図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理を実行した後、無線電話端末30から発信要求が通知された場合について説明する。
【0066】
本実施の形態において、電話制御装置10の転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の発信処理に関する網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する機能と、これに応じてLAN回線L1から受信したIP電話網NWからの端末宛て呼制御メッセージについて、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した端末宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信する機能とを有している。
【0067】
また、転送制御部14Aは、無線電話端末30が相手電話端末40と通話中に、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20における連携回線キー操作に応じて、内線電話端末20から端末切替要求メッセージが送信された場合、端末アドレス変更をIP電話網NWへ要求する機能と、この後、相手電話端末40の通話を無線電話端末30から内線電話端末20に切り替える機能とを有している。
【0068】
[第3の実施の形態の動作]
次に、
図7を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の無線電話端末発信動作について説明する。
ここでは、連携制御対象である無線電話端末30からの発信要求に応じて、IP電話網NWへ発信要求を通知する場合について説明する。
【0069】
無線電話端末30において、相手電話端末40への発信操作が行われた場合(ステップ300)、無線電話端末30から網宛て呼制御メッセージ、ここでは発信要求メッセージ(INVITE)が送信される(ステップ301)。
【0070】
ルータRTは、無線電話端末30から送信されたパケットの送信先を確認し、その送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバであるか確認する(ステップ302)。
ここで、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバである場合、当該網宛て呼制御メッセージをIP電話網NWではなく電話制御装置10へ転送する(ステップ303)。なお、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバでなければ、当該パケットをIP電話網NWへ転送する。
【0071】
電話制御装置10の転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1および網I/F部11を介して受信し、この網宛て呼制御メッセージについて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照して、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30が、予め内線電話端末20のいずれかとの連携関係が設定されているか否か確認する(ステップ304)。
【0072】
ここで、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30について、連携関係が設定されている場合には、この発信要求メッセージにより指定された連携回線の使用状態を呼制御データ13Aにより確認する(ステップ305)。ここで、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20が、連携回線を使用していた場合、発信拒否メッセージを無線電話端末30へ返送して、発信を拒否する。
【0073】
一方、連携回線が使用されていない場合、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後(ステップ306)、網I/F部11およびLAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ307)。
これにより、電話制御装置10のアドレスを送信元とする無線電話端末30からの発信要求メッセージ(INVITE)が、ルータRTおよび網回線L2を介してIP電話網NWに送信されることになる。なお、連携制御の対象として設定されていない場合には、アドレス情報を変更せずにIP電話網NWへ送信する。
【0074】
この発信要求メッセージ(INVITE)に応じて、IP電話網NWから発信要求の送信元となる電話制御装置10に対して、認証要求メッセージ(407)が送信された場合(ステップ310)、転送制御部14Aは、網回線L2、ルータRT、LAN回線L1および網I/F部11を介して、この認証要求メッセージ(407)を受信する。そして、この認証要求メッセージ(407)に含まれる発信要求元の電話番号などの識別情報に基づいて、発信要求元の無線電話端末30を特定し、当該認証要求メッセージ(407)の送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ311)、網I/F部11およびLAN回線L1から無線基地局APを介して無線電話端末30へ送信する(ステップ312)。
【0075】
これにより、電話制御装置10のアドレスを送信元とするIP電話網NWからの認証要求メッセージ(407)が無線電話端末30に転送されることになる。
これに応じて、認証処理に必要となる無線電話端末30のIP電話網NW用のIDやパスワードを含む認証付き網宛て呼制御メッセージとして、認証付き登録メッセージ(REGISTER)が、無線電話端末30から電話制御装置10宛てに送信される(ステップ313)。
【0076】
転送制御部14Aは、この認証付き登録メッセージについて、メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後(ステップ314)、IP電話網NWへ送信する(ステップ315)。
また、転送制御部14Aは、この認証付き登録メッセージの送信に応じて、呼制御データ13Aの端末連携情報に基づいて、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20を特定し、連携回線キーのランプを橙点灯(無線電話端末の通話中)とするランプ制御メッセージを内線電話端末20へ送信する(ステップ316)。
【0077】
これにより、相手電話端末40において着信表示が開始され、IP電話網NWから電話制御装置10に対して、端末宛て呼制御メッセージ、ここでは着信中メッセージ(180)が送信される(ステップ320)。転送制御部14Aは、この着信中メッセージ(180)について、その送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ321)、無線電話端末30へ送信する(ステップ322)。
【0078】
また、この後、相手電話端末40での応答操作に応じて、IP電話網NWから電話制御装置10に対して、端末宛て呼制御メッセージ、ここでは応答メッセージ(200OK)が送信される(ステップ330)。転送制御部14Aは、この応答メッセージ(200OK)について、その送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更した後(ステップ331)、無線電話端末30へ送信する(ステップ332)。
【0079】
このようにして、相手電話端末40での着信応答がIP電話網NWから電話制御装置10を介して無線電話端末30へ通知され、相手電話端末40と無線電話端末30との間で通話が開始される(ステップ333)。
【0080】
[通話端末切替動作]
次に、
図8を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の通話端末切替動作について説明する。
図8は、第3の実施の形態にかかる電話システムの通話端末切替動作を示すシーケンス図である。
ここでは、相手電話端末40と無線電話端末30との通話中に、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20において、相手電話端末40と通話する通話端末を、無線電話端末30から内線電話端末20へ切り替える場合について説明する。
【0081】
無線電話端末30が相手電話端末40と通話中に(ステップ350)、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20において、連携回線キーによる端末切替操作が行われた場合(ステップ351)、端末切替メッセージが内線電話端末20から送信される(ステップ352)。
【0082】
連携制御部14Bは、この端末切替メッセージに応じて、相手電話端末40と無線電話端末30との通話について、端末アドレス(ポート)の変更を要求するためのメディア変更要求メッセージ(re−INVITE)を生成してIP電話網NWへ送信する(ステップ353)。
これに応じて、IP電話網NWから電話制御装置10に対して、応答メッセージ(200OK)が送信される(ステップ354)。
【0083】
ルータRTでは、LAN回線L1を介して電話制御装置10と無線電話端末30とを接続する場合、それぞれに専用のポートを予め割り当てて、パケットの転送制御を行うものとなっている。したがって、相手電話端末40との通話に用いるパケットを、無線電話端末30から電話制御装置10(内線電話端末20)へ切り替える場合、IP電話網NWから送信されるパケットについて、その送信先アドレスのうちLAN回線L1側のポート番号に関する変更を、メディア変更要求メッセージ(re−INVITE)により、IP電話網NWへ要求すればよい。
【0084】
連携制御部14Bは、メディア変更要求メッセージ(re−INVITE)に対する応答メッセージ(200OK)に応じて、無線電話端末30に対して切断メッセージ(BYE)を送信した後(ステップ355)、網I/F部11を制御して、相手電話端末40と内線電話端末20との通話路を接続し、連携回線キーのランプを緑点灯(自端末の通話中)とするランプ制御メッセージを内線電話端末20へ送信する(ステップ356)。これにより、内線電話端末20の連携回線キーのランプが緑点灯(通話中)で表示される。
【0085】
このようにして、相手電話端末40と無線電話端末30との間の通話が、内線電話端末20に切り替えられ、相手電話端末40と内線電話端末20との間で通話が開始される(ステップ357)。
【0086】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、転送制御部14Aが、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の発信処理に関する網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更し、この変更を適用した網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信し、これに応じてLAN回線L1から受信したIP電話網NWからの端末宛て呼制御メッセージについて、当該端末宛て呼制御メッセージに含まれる送信先アドレス情報を無線電話端末30のアドレス情報に変更し、この変更を適用した端末宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1から当該無線電話端末30へ送信するようにしたものである。
【0087】
これにより、第1の実施の形態で説明した、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理を実行した後、無線電話端末30から発信要求が通知された場合、転送制御部14Aにおいて、発信処理に関する呼制御メッセージが、IP電話網NWと無線電話端末30との間でアドレス変換して転送される。したがって、発信処理時に、IP電話網NWから認証要求が通知された場合でも、予めIDやパスワードを設定するための複雑な設定操作を必要とすることなく、また利用者が抵抗を感じることなく、認証処理を実行することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態において、転送制御部14Aは、無線電話端末30が相手電話端末40と通話中に、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20における連携回線キー操作に応じて、内線電話端末20から端末切替要求メッセージが送信された場合、端末アドレス変更をIP電話網NWへ要求し、この後、相手電話端末40の通話を無線電話端末30から内線電話端末20に切り替えるようにしてもよい。
【0089】
これにより、相手電話端末40からの着信に対して先に無線電話端末30で応答しても、その後、連携回線キーを押下するという極めて簡単な操作で、内線電話端末20に切り替えて通話することができる。このため、例えば、無線電話端末30の電話帳を用いて発信した後、電話システム1が内線電話端末20で提供している、保留・転送・会議など豊富な通話サービスを利用することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、無線電話端末30からの発信要求に応じた発信動作を例として説明したが、無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20からの発信要求に応じた発信動作については、一般的な電話システムにおける発信処理と同等であり、ここでの説明は省略する。
また、連携関係にある内線電話端末20と無線電話端末30のうち、一方の電話端末が連携回線を使用中の場合における、他方の電話端末による連携回線を用いた発信については、前述の
図5や
図6と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0091】
[第4の実施の形態]
次に、
図9を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
図9は、第4の実施の形態にかかる電話システムの登録更新動作を示すシーケンス図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録処理を実行した後、無線電話端末30から登録更新要求が通知された場合について説明する。
【0092】
本実施の形態において、電話制御装置10の転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録更新処理に関する網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更する機能と、この変更を適用した網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信する機能とを有している。
【0093】
また、連携制御部14Bは、無線電話端末30から登録更新処理に関する網宛て呼制御メッセージを受信してから所定の監視時間が経過しても、当該無線電話端末30から登録更新処理に関する新たな網宛て呼制御メッセージを受信しなかった場合、当該無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20に割り当てられている連携回線キーを削除するキー割り当てメッセージを内線電話端末20へ送信する機能を有している。
【0094】
[第4の実施の形態の動作]
次に、
図9を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の登録更新動作について説明する。
ここでは、連携制御対象である無線電話端末30からの登録更新要求に応じて、IP電話網NWへ登録更新要求を通知する場合について説明する。
【0095】
無線電話端末30は、IP電話網NWへの登録処理後、IP電話網NWに対して登録更新処理を行うため、登録更新メッセージ(LifeCheck[reREG])を間欠的に送信する(ステップ400)。
【0096】
ルータRTは、無線電話端末30から送信されたパケットの送信先を確認し、その送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバであるか確認する(ステップ401)。
ここで、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバである場合、当該網宛て呼制御メッセージをIP電話網NWではなく電話制御装置10へ転送する(ステップ402)。なお、送信先が予め設定されているIP電話網NWの呼制御サーバでなければ、当該パケットをIP電話網NWへ転送する。
【0097】
電話制御装置10の転送制御部14Aは、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージを、LAN回線L1および網I/F部11を介して受信し、この網宛て呼制御メッセージについて、呼制御データ13Aの端末連携情報を参照して、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30が、予め内線電話端末20のいずれかとの連携関係が設定されているか否か確認する(ステップ403)。
【0098】
ここで、当該網宛て呼制御メッセージの送信元となる無線電話端末30について、連携関係が設定されている場合には、この網宛て呼制御メッセージが登録更新メッセージ(LifeCheck[reREG])であることから、転送制御部14Aは、記憶部13で保存している無線電話端末30の登録更新日時を当該時点の日時で更新し(ステップ404)、登録更新の成功を示す登録更新成功メッセージを当該無線電話端末30へ返送する(ステップ405)。
【0099】
また、転送制御部14Aは、無線電話端末30からの当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後(ステップ406)、網I/F部11およびLAN回線L1からIP電話網NWへ送信する(ステップ407)。
これに応じて、IP電話紋NWから登録更新成功メッセージ(200OK)が送信される(ステップ408)。
【0100】
一方、連携制御部14Bは、記憶部13で保存している無線電話端末30の登録更新日時に基づいて、登録更新後の経過時間を、定期的に確認している(ステップ410)。
【0101】
ここで、この経過時間が所定の監視時間より経過しており、無線電話端末30から登録更新メッセージを受信してから所定の監視時間が経過しても、当該無線電話端末30から新たな登録更新メッセージを受信しなかった場合(ステップ411)、連携制御部14Bは、当該無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20に対して、連携回線キーの削除を示すキー割り当てメッセージを送信する(ステップ412)。
【0102】
これにより、利用者の外出などにより、無線電話端末30が無線基地局APの圏外に移動した場合、連携関係にある内線電話端末20において連携回線が使用不可能となる。
【0103】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、転送制御部14Aが、ルータRTから転送された網宛て呼制御メッセージのうち、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録更新処理に関する網宛て呼制御メッセージについて、当該網宛て呼制御メッセージに含まれる送信元アドレス情報を自装置のアドレス情報に変更した後、LAN回線L1からIP電話網NWへ送信するようにしたものである。
【0104】
これにより、無線電話端末30が連携制御対象であることを電話制御装置10に予め登録しておくだけで、無線電話端末30からIP電話網NWへ送信した登録更新メッセージ(LifeCheck[reREG])に基づいて、IP電話網NWに対する無線電話端末30の登録更新処理が、電話制御装置10経由で行われることになる。
したがって、IDやパスワードを設定するための複雑な設定操作を必要とすることなく、また利用者が抵抗を感じることなく、電話制御装置10により、無線電話端末30と内線電話端末20との連携制御を自動継続することが可能となる。
【0105】
また、本実施の形態において、連携制御部14Bが、無線電話端末30から登録更新処理に関する網宛て呼制御メッセージを受信してから所定の監視時間が経過しても、当該無線電話端末30から登録更新処理に関する新たな網宛て呼制御メッセージを受信しなかった場合、当該無線電話端末30と連携関係にある内線電話端末20に割り当てられている連携回線キーを削除するキー割り当てメッセージを内線電話端末20へ送信するようにしてもよい。
【0106】
これにより、利用者の外出などにより、無線電話端末30が無線基地局APの圏外に移動した場合、連携関係にある内線電話端末20において連携回線が自動的に使用不可能となり、連携回線の管理について高いセキュリティ性を得ることができる。
【0107】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0108】
また、第1〜第3の実施の形態では、ルータRTが電話制御装置10とは別個の装置からなる場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ルータRTおよびLAN回線L1を電話制御装置10の内部構成として取り込んで、このLAN回線に無線基地局APを接続してもよい。このような構成によれば、前述した説明のうちルータRTとの間でやり取りした各種メッセージが、電話制御装置10内部でやり取りされることになるが、実際の動作については、前述と同様であり、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0109】
また、この際、ルータRTの機能を網I/F部11で実現し、この網I/F部11にLAN回線を介して無線基地局APを接続してもよい。このような構成によれば、前述した説明のうちルータRTとの間でやり取りした各種メッセージが、電話制御装置10内部の制御部14と網I/F部11との間の内部制御コマンドに置き換わることになるが、実際の動作については、前述と同様であり、前述と同様の作用効果を得ることができる。