【解決手段】一台の送信機30と、複数の散水機2a,2b,2c,2dによって構成される散水システムにおいて、各散水機は、受信機と、散水ノズルと、方向変更手段とを有し、散水方向を無線で変更可能であり、前記送信機は、二通りの状態を一組とする信号を、単一の周波数の電磁波で送信可能であり、前記受信機は、前記送信機から送信された電磁波を受信して各信号を二通りの状態に分解することが可能であり、前記送信機及び受信機は、散水方向を制御する主要信号の他に、二組以上の識別信号を送受信可能であり、前記送信機から送信される識別信号の組み合わせに応じて機能する散水機を特定し、特定された散水機の方向変更手段が、送信機から送信される主要信号によって制御可能となる。
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、送信機は、前記上下方向変更手段を動作させる上下動スイッチと、前記左右方向変更手段を動作させる左右動スイッチと、前記断続手段を動作させる断続スイッチとを有し、且つ二組の識別信号を作成する識別信号作成スイッチを有することを特徴とする請求項1に記載の散水システム。
散水機には、散水ノズルに給水する給水配管が設けられ、給水配管を流れる水流によって電気を起こす発電機と、発電された電気を蓄電する蓄電池を有し、発電機によって発電された電気又は蓄電池に蓄電された電池によって前記受信機及び方向変更手段が駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の散水システム。
本体部と本体部に対して相対的に回転する回転軸を有する回転装置と、テーブル部と、基礎部材とを有し、回転装置の本体部がテーブル部に回転不能に固定され、回転軸が基礎部材に回転不能に固定され、テーブル部に散水ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の散水システム。
送信機には予め設定された複数の送信周波数があり、送信機は送信周波数を前記複数の周波数の中から選択する選択スイッチを有していて送信周波数を変更可能であり、受信機も複数の周波数の中から受信周波数を選択する選択スイッチを有していて受信周波数を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の散水システム。
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、前記上下方向変更手段はモータによって駆動され、左右方向変更手段もモータによって駆動され、前記断続手段は、弁本体と当該弁本体を開閉するモータによって構成されるモータ弁であり、散水機には前記各モータに電力を供給するモータ駆動装置があり、前記特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の散水システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、上記した様に、散水要員を配備して建造物に散水を行いつつ、解体作業が進められていた。また大型の建造物を解体する場合には、多数の散水要員を配備して解体作業を行う必要があった。
【0006】
ここで、解体現場における散水作業は、危険が伴うばかりでなく、作業環境が劣悪であるという問題がある。
即ち、散水作業は、大型の重機が動き、ガレキが飛び散る場所で行うものであるから、すこぶる危険である。
また作業現場は、夏は暑く、冬は寒い。さらに、散水要員は、埃が舞い散る場所に立たされるから、作業環境は劣悪を極める。
そのため、散水要員は希望者が少なく、要員の確保に苦労する場合が多い。また要員を確保できたとしても定着しない。
【0007】
さらに、散水作業は、予想以上に難しいという問題がある。即ち、埃の発生を抑えるためには、まさに今、重機によって破壊されている場所に水をかけても効果が薄く、破壊される直前の部位に水をかけることが効果的である。ところが、慣れない作業者が散水を行うと、効果の薄い箇所に散水を行いがちである。前記した様に散水要員は定着しにくいので、熟練作業者を確保することが困難である。
【0008】
そこで無線操作によって、散水作業を行うことが考えられる。即ち、一定の位置に散水機を設置し、遠隔操作によってノズル等を動作させる。この方法によると、作業要員は、破壊場所から離れた位置に立つことが可能であり、作業環境は飛躍的に向上する。
また一人の作業者が複数の散水機を操作することができ、必要な要員数を減らすことができる。
【0009】
しかしながら、無線操作によって複数の散水装置を動作させると、通信機が混線し、制御不能となってしまう場合がある。
ここで、送・受信機の使用周波数を個々に違うものとしておけば、混線の問題は、解消する。しかしながら、わが国の法律では使用可能な周波数帯が限られていて、且つ狭い。そのため、送・受信機の使用周波数を個々に違うものとすることは、困難であり、実質上できない。
【0010】
そこで本発明は、上記した実務上の問題点を解決することができる散水システムを開発することを課題とするものであり、同一の解体現場で、複数の散水装置を無線操作することができる散水システムを開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、一台の送信機と、複数の散水機によって構成される散水システムにおいて、各散水機は、受信機と、散水ノズルと、方向変更手段とを有し、散水方向を無線で変更可能であり、前記送信機は、二通りの状態を一組とする信号を、単一の周波数の電磁波で送信可能であり、前記受信機は、前記送信機から送信された電磁波を受信して各信号を二通りの状態に分解することが可能であり、前記送信機及び受信機は、散水方向を制御する主要信号の他に、二組以上の識別信号を送受信可能であり、前記送信機から送信される識別信号の組み合わせに応じて機能する散水機を特定し、特定された散水機の方向変更手段が、送信機から送信される主要信号によって制御可能となることを特徴とする散水システムである。
【0012】
ここで、「二通りの状態」とは、例えば「ON」状態と「OFF」状態である。「二通りの状態を一組とする信号」とは、例えば「ON・OFF」を一組とする信号である。「二組以上の識別信号」とは、例えば前記した「ON・OFF」を一組の識別信号とし、この「ON・OFF」が二組以上あるという意味である。
本発明の散水システムによると、送信機から送信される信号によって機能する散水機を選択することができる。そのため一台の送信機で、複数の散水機を動作させることができ、混信が生じない。
【0013】
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、送信機は、前記上下方向変更手段を動作させる上下動スイッチと、前記左右方向変更手段を動作させる左右動スイッチと、前記断続手段を動作させる断続スイッチとを有し、且つ二組の識別信号を作成する識別信号作成スイッチを有することが望ましい(請求項2)。
【0014】
また散水機には、散水ノズルに給水する給水配管が設けられ、給水配管を流れる水流によって電気を起こす発電機と、発電された電気を蓄電する蓄電池を有し、発電機によって発電された電気又は蓄電池に蓄電された電池によって前記受信機及び方向変更手段が駆動されることが望ましい(請求項3)。
【0015】
本発明によると、受信機や方向変換手段を動作させる電源を散水機内に確保することができ、散水機に送電線を繋ぐ必要がない。そのため、散水機の設置が容易である。
【0016】
本体部と本体部に対して相対的に回転する回転軸を有する回転装置と、テーブル部と、基礎部材とを有し、回転装置の本体部がテーブル部に回転不能に固定され、回転軸が基礎部材に回転不能に固定され、テーブル部に散水ノズルが設けられていることが望ましい(請求項4)。
【0017】
本発明によると、散水ノズルの向きを左右方向に変えることができる。
【0018】
送信機は送信周波数を変更可能であり、受信機も受信周波数を変更可能であることが望ましい(請求項5)。
【0019】
本発明によると、複数の散水システムを、同一の作業現場で並列的に使用することができる。
【0020】
送信機には予め設定された複数の送信周波数があり、送信機は送信周波数を前記複数の周波数の中から選択する選択スイッチを有していて送信周波数を変更可能であり、受信機も複数の周波数の中から受信周波数を選択する選択スイッチを有していて受信周波数を変更可能であることが望ましい(請求項6)。
【0021】
本発明によると、複数の散水システムを、同一の作業現場で並列的に使用することができる。また散水システムごとに、送信機と受信機の周波数を合わせる作業が容易である。
【0022】
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、前記上下方向変更手段はモータによって駆動され、左右方向変更手段もモータによって駆動され、前記断続手段は、弁本体と当該弁本体を開閉するモータによって構成されるモータ弁であり、散水機には前記各モータに電力を供給するモータ駆動装置があり、前記特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となることが望ましい(請求項7)。
【0023】
本発明の散水システムは、散水機を駆動する動力源がモータである。特に本発明では、散水ノズルへの通水を断続する断続手段もモータで駆動される。
そして本発明の散水システムでは、特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となる。本発明の散水システムでは、逆に特定されなかった散水機については、モータ駆動装置が動作しない。そのため、上下方向変更手段、左右方向変更手段及び断続手段は、最後に駆動された際の状態が維持される。
特に本発明では、断続手段がモータで駆動されるから、特定された散水機の断続手段が開状態となった後、他の散水機が特定された場合、先の散水機の断続手段は開状態を維持し、通水を続ける。
仮に断続手段に電磁弁を採用した場合、電磁弁への通電が停止されると開閉状態が変わってしまうから、特定されなかった電磁弁の開閉状態を維持することが困難となる。これに対して本発明では、断続手段の開閉状態を維持することが容易であり、簡便な制御回路で足る。また断続手段に対して常時通電する必要が無いので、蓄電池等の電源で散水機を動作させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の散水システムによると、一人で複数の散水機を操作することができる。また一つの現場で複数の散水機を使用しても、混信を生じない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の散水システム1は、
図1の様に4台の散水機2a,2b,2c,2dと、一台の送信機30によって構成されている。説明上、4台の散水機2a,2b,2c,2dを1号散水機2a、2号散水機2b,3号散水機2c,4号散水機2dと称することとする。
【0027】
4台の散水機2a,2b,2c,2dは、いずれも同一の構造であるから、1号散水機2aについて説明する。
1号散水機2aは、
図2の様に、フレーム3に、ノズル6と、ノズル配管7と、受信機8と、発電機21及び蓄電池11が取り付けられたものである。
【0028】
フレーム3は、軽量の鋼材や樹脂で作られた枠である。
フレーム3は、
図3の様に基礎部材側フレーム50と、ターンテーブル側フレーム55に分かれている。基礎部材側フレーム50は、リング状の設置部52の中心部に、接続パイプ53が立設されたものである。接続パイプ53には、止めネジ49が設けられている。
【0029】
ターンテーブル側フレーム55は、高さ方向の中心に円板状のターンテーブル56があ。そしてターンテーブル56の上にノズル保持フレーム57が設けられている。ノズル保持フレーム57は、枠状である。
またターンテーブル56の下には、下部側フレーム58が設けられている。
【0030】
ターンテーブル56の下面には、回転装置15が設けられている。回転装置15は、本体部60と回転軸61によって構成されている。
回転装置15の本体部60は、モータ62と、ギアボックス59によって構成され、ギアボックス59から回転軸61が突出している。そしてモータ62を回転することによって回転軸61が回転する。
本実施形態では、回転装置15の本体部60が、ターンテーブル56の下面に取り付けられている。回転装置15の本体部60は、ターンテーブル56に対して一体的に固定されており、相対回転をすることはできない。一方、回転軸61は、本体部60に対して相対回転するものであり、ターンテーブル56に対して相対回転する。回転軸61は、ターンテーブル56の中心から下方向に突出する。また回転軸61は、一面に面取り部65がある。
回転軸61は、前記した基礎部材側フレーム50の接続パイプ53に挿入され、接続パイプ53の止めネジ49によって面取り部65が押圧されている。そのため回転軸61は基礎部材側フレーム50に対して相対回転することができない。
【0031】
ターンテーブル56上のノズル保持フレーム57には、他の回転装置16が設けられている。回転装置16は、前記した回転装置15と同様の構成を備えるものであり、モータ72と、ギアボックス71によって構成され、ギアボックス71から回転軸(図示せず)が突出している。そしてモータ72を回転することによって回転軸(図示せず)が回転する。
本実施形態では、回転装置16の本体部70は、ノズル保持フレーム57に対して一体的に固定されており、相対回転をすることはできない。一方、回転軸(図示せず)は、本体部70に対して相対回転するものであり、ターンテーブル56に対しても相対回転する。回転軸(図示せず)は、ターンテーブル56と平行に突出している。そして回転装置16の回転軸(図示せず)にノズル6が固定されている。
【0032】
そのため回転装置16のモータ72を回転して、回転軸(図示せず)を回動させると、ノズル6は上下に首振り運動を行う。
また前記したターンテーブル56の下面に取り付けられた回転装置15を駆動すると、回転軸61が回転する。ここで回転軸61は、基礎部材側フレーム50に対して相対回転することができないから、回転装置15を駆動すると、本体部60側が回動することとなり、本体部60が取り付けられたターンテーブル56が回動し、ノズル6が左右方向に首振り運動する。
【0033】
この様に、本実施形態では、モータ62,72を回転することによって、ノズル6の向きを上下左右に変えることができる。
【0034】
ノズル6は、公知のノズルであり、水を拡散させて噴射することができるものである。
ノズル配管7は、ノズル6と、フレーム3の後端側に設けられたカプラ17とを接続する配管であり、
図4の様に、中途にモータ弁20と、発電機21が設けられている。
モータ弁20は、弁本体63と、モータ65と、動力伝導機構66を有している。弁本体63は、公知のボール弁である。動力伝導機構66は公知のギア列等である。
【0035】
発電機21は、
図5の様に、管体23を有し、管体23の内部に回転子24が設けられたものである。回転子24には磁石25が設けられている。また管体23の周囲には、図示しないコイルが設けられている。
発電機21は、管体23内の水流によって回転子24が回転し、外側のコイルに電流が発生する。
発電機21で発生した電流は、図示しない整流回路によって整流され、蓄電池11に充電される。
また各蓄電池11は、散水機2a,2b,2c,2d内の全ての電気機器に接続されており、電気機器の駆動電力は、全て蓄電池11からの電力によって賄われる。
【0036】
受信機8は、送信機30の信号を受けて動作するものである。
送信機30と、受信機8は、一対のものであり、合わせて説明する。
送信機30及び受信機8は、例えばシリアル通信により、8チャンネルの信号を送受信するものである。即ち送信機30及び受信機8は、8組のON・OFF信号を送受信することができる。
そして本実施形態では、8組のON・OFF信号の内、
図8、
図9の様に第1チャンネルと第2チャンネルの2組をノズル6の上下方向揺動に使用し、第3チャンネルと第4チャンネルの2組をノズル6の左右方向揺動に使用し、第5チャンネルと第6チャンネルの2組をモータ弁20の開閉に使用している。
そして残る第7チャンネルと第8チャンネルの2組を、散水機2a,2b,2c,2dの選択に使用している。
【0037】
即ち送信機30の送信基板31は、
図8の様にアース端子Cと、1番から8番までの8個の入力端子を有している。
各入力端子は、それぞれ一つのチャンネルを構成するものであり、外部のスイッチによって、アース端子Cと、いずれかの入力端子を短絡・開放することによって、ON・OFF信号が作られ、送信基板31で変調されて送信される。
【0038】
また各受信機8は、
図9の様に1番から8番までの8個の受信端子を有している。前記した送信基板31の1番から8番までの8個の入力端子と、受信機8の1番から8番までの8個の受信端子は対応しており、送信基板31の入力端子がON状態となれば、受信基板9の受信端子もON状態となる。例えば送信基板31の第1端子がON状態となれば、受信基板9の第1端子もON状態となり、送信基板31の第5端子がON状態となれば、受信基板9の第5端子もON状態となる。
そして受信基板9の受信端子の内、1番端子と2番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介して上下方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)75に接続されている。上下方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)75は、上下方向揺動用モータ72に電力を供給して上下方向揺動用モータ72を駆動・停止させる回路である。
【0039】
また受信基板9の受信端子の内、3番端子と4番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介して左右方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)76に接続されている。左右方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)76は、左右方向揺動用モータ62に電力を供給してこれを駆動・停止させる回路である。
【0040】
さらに受信基板9の受信端子の内、5番端子と6番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介してモータ弁駆動回路(モータドライバー)77に接続されている。モータ弁駆動回路(モータドライバー)77は、弁本体66を開閉するモータ65に電力を供給し、弁本体66を開閉させる回路である。
【0041】
本実施形態では、送信基板31の1番端子と2番端子が、
図6の送信機30の上下動スイッチ35に接続されている。また送信基板31の3番端子と4番端子が、
図6の左右動スイッチ36に接続されている。
そのため
図6の上下動スイッチ35のいずれかを押圧すると、送信基板31の1番端子または2番端子がONとなる。一方、受信機8は、この信号を受信すると受信基板9の1番端子又は2番端子がONとなり、上下方向揺動用モータ72を正回転又は逆回転させ、ノズルの角度を上下に変更する。
【0042】
また
図6の左右動スイッチ36のいずれかを押圧すると、3番端子または4番端子がONとなる。一方、受信8は、この信号を受信すると受信基板9の3番端子又は4番端子がONとなり、左右方向揺動用モータ62を正回転又は逆回転させ、ノズルの角度を左右に変更する。
【0043】
さらに送信基板31の5番端子が、送水スイッチ45に接続され、6番端子が停止スイッチ46に接続されている。そのため送水スイッチ45を操作すると、送信基板31の5番端子がONとなり、受信基板9の5番端子がONとなってモータ65に通電されてモータ弁20(弁本体66)を開き、送水が開始される。モータ65への通電が停止されると、モータ65は回転を停止し、弁本体66は、開かれた状態を維持する。
停止スイッチ46が操作されると、送信基板31の6番端子がONとなり、受信基板9の6番端子がONとなる。その結果、モータ弁20を駆動するモータ65が逆回転し、モータ弁20(弁本体66)が閉じて送水が停止する。
【0044】
さらに送信基板31の7番端子と8番端子が、
図6、
図8の機器選択ロータリースイッチ41に接続されている。
【0045】
機器選択ロータリースイッチ41は、アース端子Cと、4個の端子とを選択的に接続するものである。そして、本実施形態では、機器選択ロータリースイッチ41の第1端子は、送信基板31のいずれの端子とも接続されていない。そのため、機器選択ロータリースイッチ41を第1端子に合わせると、送信基板31の7番端子と8番端子が共にOFF状態となる。
また機器選択ロータリースイッチ41の第2端子は、送信基板31の7番端子と接続されており、8番端子とは接続されていない。そのため機器選択ロータリースイッチ41を第2端子に合わせると、送信基板31の7番端子がONとなり、8番端子がOFF状態となる。
機器選択ロータリースイッチ41の第3端子は、送信基板31の8番端子と接続されている。機器選択ロータリースイッチ41の第3端子は、送信基板31の7番端子と繋がっているが、両者の間には逆方向に通電可能に接続されたダイオード40があり、送信基板31の7番端子から機器選択ロータリースイッチ41の第3端子に向かう方向の通電はない。
そのため機器選択ロータリースイッチ41を第3端子に合わせると、送信基板31の7番端子がOFFとなり、8番端子がON状態となる。
機器選択ロータリースイッチ41の第4端子は、送信基板31の7番端子及び8番端子の双方と接続されている。また送信基板31の7番端子と機器選択ロータリースイッチ41の第4端子の間には、ダイオード42が設けられているが当該ダイオード42は、順方向に接続されている。さらに送信基板31の8番端子と機器選択ロータリースイッチ41の第4端子の間にも、ダイオード40が設けられているが当該ダイオードについても、順方向に接続されている。そのため機器選択ロータリースイッチ41を第4端子に合わせると、送信基板31の7番端子がONとなり、8番端子もON状態となる。
【0046】
一方、4台の散水機2a,2b,2c,2dに設けられたそれぞれの受信機8にも機器選択ロータリースイッチ47が設けられている。受信機8の機器選択ロータリースイッチ47は、送信機30からの送信信号に反応すべき受信機8となるか否かを選ぶスイッチである。本実施形態では、機器選択ロータリースイッチ47によって、自己が1号散水機2aであるか、2号散水機2bであるか、3号散水機2cであるか、4号散水機2dであるかが決まる。
4台の散水機2a,2b,2c,2dに設けられたそれぞれの受信機8は、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41の位置に応じた信号を同時に受信する。即ち機器選択ロータリースイッチ41が第1端子に合わせられている場合は、受信端子の7番端子と8番端子が共にOFF状態とする信号を受信し、機器選択ロータリースイッチ41が第2端子に合わせられていると、7番端子がONとなり、8番端子がOFF状態とする信号を受信する。
また機器選択ロータリースイッチ41が第3端子に合わせられている場合は、7番端子がOFFであり、8番端子が共にON状態とする信号を受信し、機器選択ロータリースイッチ41が第4端子に合わせられていると、7番端子がONとなり、8番端子もON状態にするという信号を受信する。
【0047】
またそれぞれの受信機8は、いずれも内部に論理回路を有し、受信基板9の7番端子と8番端子のON・OFF状態より、制御装置12がリレー78を断続する。
即ち受信基板9の7番端子と8番端子のON・OFFの順列組み合わせに応じ、制御装置12でリレー78を動作させる信号を作る。
より具体的には、受信基板9の7番端子と8番端子がいずれもオフの場合(送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第1端子の位置にある場合)は、1号散水機2aのリレー78がONとなり、他の散水機2b,2c,2dの制御装置12はリレー78がOFFとなる。
そのため、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第1端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、1号散水機2aのリレー78だけが通電を許す状態となり、各機器のモータ駆動装置(モータドライバー)だけが動作可能な状態となり、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2b,2c,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0048】
同様に、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第2端子の位置にある場合は、受信基板9の7番端子がONとなり、8番端子がOFFとなる。そして2号散水機2bのリレー78だけが通電を許す状態となり、他の散水機2a,2c,2dは、リレー78がOFFとなる。
そのため、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第2端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、2号散水機2bの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2c,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0049】
送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第3端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、3号散水機2cの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2b,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第4端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、4号散水機2dの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2b,2c内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0050】
また本実施形態の送信機30及び受信機8は、送受信周波数を変更する機能を備えている。
即ち送信機30は、図示しない周波数シンセサイザー回路を備え、4種類の周波数の電波を送信することができる。
本実施形態で採用する送信機30では、
図6の様に、周波数変換ロータリースイッチ48を有し、周波数変換ロータリースイッチ48を切り換えることによって、予め決められた4種類の周波数から一つを選択することができる。
【0051】
また受信機8についても内部に4組の同調回路を有し、4種類の受信周波数を選択することができる。
本実施形態で採用する受信機8では、
図7の様に、周波数変換ロータリースイッチ49を有し、周波数変換ロータリースイッチ49を切り換えることによって、予め決められた4種類の周波数から一つを選択することができる。
【0052】
本実施形態では、最大4システムを同時に稼働することができ、16個の散水機2を同一現場で操作することができる。
本実施形態では、一人の作業者が一組の散水システム1を操作する。操作に先立って、使用する周波数が決められる。より具体的には、一組の散水システム1で使用する送信機30及び受信機8の、周波数変換ロータリースイッチ48,49を操作し、同じ番号に設定する。
本実施形態の散水システム1では、4台の散水機2a,2b,2c,2dが、解体される建物の一部や、近隣に設けられた足場に設置される。
そして地上に置かれたポンプから、各散水機2a,2b,2c,2dに給水される。より具体的には、ポンプと各散水機2a,2b,2c,2dのカプラ17とがホースで接続される。
【0053】
そして作業者は、一つの送信機30を操作して、全ての散水機2a,2b,2c,2dを動作させる。
即ち、最初に各散水機2a,2b,2c,2dを起動させる。より具体的に説明すると、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を例えば第1端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、1号散水機2aのリレー78だけが通電可能な状態となり、他の散水機のリレー78は通電不能状態となる。
続いて、送信機30の送水スイッチ45をオンする。その結果、1号散水機2aだけが反応し、1号散水機2aのモータ弁20が開かれてノズル6から送水が開始される。
【0054】
作業者は、送信機30の上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作すると、1号散水機2aだけが反応し、1号散水機2aの上下方向揺動用モータ72と、左右方向揺動用モータ62が動作する。作業者は、目標地点に送水が到達する様に上下方向揺動用モータ72と、左右方向揺動用モータ62を操作する。
【0055】
続いて送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を第2端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、2号散水機2bのリレー78だけが通電可能状態となり、他の散水機のリレー78は通電不能状態となる。
そして同様に、送信機30の送水スイッチ45をオンして2号散水機2bからの送水を開始し、上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作して目標地点に送水する。
以下同様に3号散水機2c、4号散水機2dを動作させる。
【0056】
また解体作業が進むにつれて、破壊される箇所が変わってゆく。その場合は、破壊箇所が射程内に入るいずれかの散水機2a,2b,2c,2dを使用して散水を行う。例えば、3号散水機2cの射程内に破壊箇所がある場合は、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を第3端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、3号散水機2cのリレー78だけが通電可能状態となり、他の散水機のリレー78には通不能状態となる。
そして上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作してノズルの方向を変え、目標地点に送水する。
このとき、他の散水機2a,2b,2dの上下方向揺動用モータ72と左右方向揺動用モータ62(方向変更手段)は、送信機30に反応せず、各ノズル6は、そのままの姿勢を保ちつづける。
【0057】
本実施形態の散水システム1によると、一人の作業者が一台の送信機30を操作し、4台の散水機2a,2b,2c,2dを運転することができる。また4台の散水機2a,2b,2c,2dを同時に運転しても混線を起こすことはない。
【0058】
以上説明した実施形態では、4台の散水機2を一台の送信機30で操作することとしたが、より多数の散水機を一台の送信機30で操作する構成としてもよい。即ち本実施形態では、第7チャンネルと第8チャンネルの2組を、散水機2a,2b,2c,2dの選択に使用したが、例えば3組のチャンネルを使用し、この順列組み合わせによって8台の散水機2を選択的に操作してもよい。
【0059】
また同一の現場で複数の散水システム1を同時に稼働してもよい。この場合は、周波数変換ロータリースイッチ48,49を操作し、システムごとに異なる番号に設定する。
各散水システム1ごとに使用する周波数が異なるので混信を起こすことはない。
【0060】
以上説明した実施形態では、ノズル配管7の中途に発電機21を設けて蓄電池11に充電する構成を採用したが、発電機21は必ずしも必須ではない。即ち、使用前に蓄電池11を十分に充電し、その電力で電気機器の駆動電力を賄ってもよい。また蓄電池11に代わって一次電池を使用してもよい。さらに、電池を使用せず、給電線によって散水機2に給電してもよい。
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、送信機は、前記上下方向変更手段を動作させる上下動スイッチと、前記左右方向変更手段を動作させる左右動スイッチと、前記断続手段を動作させる断続スイッチとを有し、且つ二組の識別信号を作成する識別信号作成スイッチを有することを特徴とする請求項1に記載の散水システム。
散水機には、散水ノズルに給水する給水配管が設けられ、給水配管を流れる水流によって電気を起こす発電機と、発電された電気を蓄電する蓄電池を有し、発電機によって発電された電気又は蓄電池に蓄電された電池によって前記受信機及び方向変更手段が駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の散水システム。
本体部と本体部に対して相対的に回転する回転軸を有する回転装置と、テーブル部と、基礎部材とを有し、回転装置の本体部がテーブル部に回転不能に固定され、回転軸が基礎部材に回転不能に固定され、テーブル部に散水ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の散水システム。
送信機には予め設定された複数の送信周波数があり、送信機は送信周波数を前記複数の周波数の中から選択する選択スイッチを有していて送信周波数を変更可能であり、受信機も複数の周波数の中から受信周波数を選択する選択スイッチを有していて受信周波数を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の散水システム。
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、前記上下方向変更手段はモータによって駆動され、左右方向変更手段もモータによって駆動され、前記断続手段は、弁本体と当該弁本体を開閉するモータによって構成されるモータ弁であり、散水機には前記各モータに電力を供給するモータ駆動装置があり、前記特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の散水システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、上記した様に、散水要員を配備して建造物に散水を行いつつ、解体作業が進められていた。また大型の建造物を解体する場合には、多数の散水要員を配備して解体作業を行う必要があった。
【0006】
ここで、解体現場における散水作業は、危険が伴うばかりでなく、作業環境が劣悪であるという問題がある。
即ち、散水作業は、大型の重機が動き、ガレキが飛び散る場所で行うものであるから、すこぶる危険である。
また作業現場は、夏は暑く、冬は寒い。さらに、散水要員は、埃が舞い散る場所に立たされるから、作業環境は劣悪を極める。
そのため、散水要員は希望者が少なく、要員の確保に苦労する場合が多い。また要員を確保できたとしても定着しない。
【0007】
さらに、散水作業は、予想以上に難しいという問題がある。即ち、埃の発生を抑えるためには、まさに今、重機によって破壊されている場所に水をかけても効果が薄く、破壊される直前の部位に水をかけることが効果的である。ところが、慣れない作業者が散水を行うと、効果の薄い箇所に散水を行いがちである。前記した様に散水要員は定着しにくいので、熟練作業者を確保することが困難である。
【0008】
そこで無線操作によって、散水作業を行うことが考えられる。即ち、一定の位置に散水機を設置し、遠隔操作によってノズル等を動作させる。この方法によると、作業要員は、破壊場所から離れた位置に立つことが可能であり、作業環境は飛躍的に向上する。
また一人の作業者が複数の散水機を操作することができ、必要な要員数を減らすことができる。
【0009】
しかしながら、無線操作によって複数の散水装置を動作させると、通信機が混線し、制御不能となってしまう場合がある。
ここで、送・受信機の使用周波数を個々に違うものとしておけば、混線の問題は、解消する。しかしながら、わが国の法律では使用可能な周波数帯が限られていて、且つ狭い。そのため、送・受信機の使用周波数を個々に違うものとすることは、困難であり、実質上できない。
【0010】
そこで本発明は、上記した実務上の問題点を解決することができる散水システムを開発することを課題とするものであり、同一の解体現場で、複数の散水装置を無線操作することができる散水システムを開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、一台の送信機と、複数の散水機によって構成される散水システムにおいて、各散水機は、受信機と、散水ノズルと、方向変更手段とを有し、散水方向を無線で変更可能であり、
前記送信機及び前記受信機は、ON・OFF信号を送受信することができるものであって、前記送信機は、
「ON」状態と「OFF」状態の二通りの状態を一組とする信号を単一の周波数の電磁波で送信可能であり、前記受信機は、前記送信機から送信された電磁波を受信して各信号を「
ON」状態と「OFF」状態の二通りの状態に分解することが可能であり、
前記送信機は、それぞれ一つのチャンネルを構成する入力端子を有し、前記受信機は、前記送信機の入力端子に対応する受信端子を有し、送信機側の入力端子がON状態となれば受信機の対応する受信端子もONとなるものであり、前記送信機及び受信機は、散水方向を制御する
前記ON・OFF信号による主要信号の他に、
前記ON・OFF信号を一組とする信号を識別信号とし、この識別信号を二組以上送受信可能であり、
前記送信機は前記入力端子をON又はOFF状態にして識別信号を送信することが可能であり、前記各散水機の受信機は論理回路を有し、受信端子のON・OFFの組み合わせによって方向変更手段に通電を許す状態となり、前記各散水機の受信機は、前記送信機の識別信号を同時に受信し、前記送信機から送信される識別信号の組み合わせに応じて機能する散水機を特定し、特定された散水機の方向変更手段が、送信機から送信される主要信号によって制御可能となることを特徴とする散水システムである。
【0012】
ここで、「二通りの状態」とは、例えば「ON」状態と「OFF」状態である。「二通りの状態を一組とする信号」とは、例えば「ON・OFF」を一組とする信号である。「二組以上の識別信号」とは、例えば前記した「ON・OFF」を一組の識別信号とし、この「ON・OFF」が二組以上あるという意味である。
本発明の散水システムによると、送信機から送信される信号によって機能する散水機を選択することができる。そのため一台の送信機で、複数の散水機を動作させることができ、混信が生じない。
【0013】
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、送信機は、前記上下方向変更手段を動作させる上下動スイッチと、前記左右方向変更手段を動作させる左右動スイッチと、前記断続手段を動作させる断続スイッチとを有し、且つ二組の識別信号を作成する識別信号作成スイッチを有することが望ましい(請求項2)。
【0014】
また散水機には、散水ノズルに給水する給水配管が設けられ、給水配管を流れる水流によって電気を起こす発電機と、発電された電気を蓄電する蓄電池を有し、発電機によって発電された電気又は蓄電池に蓄電された電池によって前記受信機及び方向変更手段が駆動されることが望ましい(請求項3)。
【0015】
本発明によると、受信機や方向変換手段を動作させる電源を散水機内に確保することができ、散水機に送電線を繋ぐ必要がない。そのため、散水機の設置が容易である。
【0016】
本体部と本体部に対して相対的に回転する回転軸を有する回転装置と、テーブル部と、基礎部材とを有し、回転装置の本体部がテーブル部に回転不能に固定され、回転軸が基礎部材に回転不能に固定され、テーブル部に散水ノズルが設けられていることが望ましい(請求項4)。
【0017】
本発明によると、散水ノズルの向きを左右方向に変えることができる。
【0018】
送信機は送信周波数を変更可能であり、受信機も受信周波数を変更可能であることが望ましい(請求項5)。
【0019】
本発明によると、複数の散水システムを、同一の作業現場で並列的に使用することができる。
【0020】
送信機には予め設定された複数の送信周波数があり、送信機は送信周波数を前記複数の周波数の中から選択する選択スイッチを有していて送信周波数を変更可能であり、受信機も複数の周波数の中から受信周波数を選択する選択スイッチを有していて受信周波数を変更可能であることが望ましい(請求項6)。
【0021】
本発明によると、複数の散水システムを、同一の作業現場で並列的に使用することができる。また散水システムごとに、送信機と受信機の周波数を合わせる作業が容易である。
【0022】
散水機は、散水ノズルの向きを上下方向に変更する上下方向変更手段と、散水ノズルの向きを左右方向に変更する左右方向変更手段と、散水ノズルへの通水を断続する断続手段を有し、前記上下方向変更手段はモータによって駆動され、左右方向変更手段もモータによって駆動され、前記断続手段は、弁本体と当該弁本体を開閉するモータによって構成されるモータ弁であり、散水機には前記各モータに電力を供給するモータ駆動装置があり、前記特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となることが望ましい(請求項7)。
【0023】
本発明の散水システムは、散水機を駆動する動力源がモータである。特に本発明では、散水ノズルへの通水を断続する断続手段もモータで駆動される。
そして本発明の散水システムでは、特定された散水機のモータ駆動装置だけが動作可能な状態となる。本発明の散水システムでは、逆に特定されなかった散水機については、モータ駆動装置が動作しない。そのため、上下方向変更手段、左右方向変更手段及び断続手段は、最後に駆動された際の状態が維持される。
特に本発明では、断続手段がモータで駆動されるから、特定された散水機の断続手段が開状態となった後、他の散水機が特定された場合、先の散水機の断続手段は開状態を維持し、通水を続ける。
仮に断続手段に電磁弁を採用した場合、電磁弁への通電が停止されると開閉状態が変わってしまうから、特定されなかった電磁弁の開閉状態を維持することが困難となる。これに対して本発明では、断続手段の開閉状態を維持することが容易であり、簡便な制御回路で足る。また断続手段に対して常時通電する必要が無いので、蓄電池等の電源で散水機を動作させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の散水システムによると、一人で複数の散水機を操作することができる。また一つの現場で複数の散水機を使用しても、混信を生じない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の散水システム1は、
図1の様に4台の散水機2a,2b,2c,2dと、一台の送信機30によって構成されている。説明上、4台の散水機2a,2b,2c,2dを1号散水機2a、2号散水機2b,3号散水機2c,4号散水機2dと称することとする。
【0027】
4台の散水機2a,2b,2c,2dは、いずれも同一の構造であるから、1号散水機2aについて説明する。
1号散水機2aは、
図2の様に、フレーム3に、ノズル6と、ノズル配管7と、受信機8と、発電機21及び蓄電池11が取り付けられたものである。
【0028】
フレーム3は、軽量の鋼材や樹脂で作られた枠である。
フレーム3は、
図3の様に基礎部材側フレーム50と、ターンテーブル側フレーム55に分かれている。基礎部材側フレーム50は、リング状の設置部52の中心部に、接続パイプ53が立設されたものである。接続パイプ53には、止めネジ49が設けられている。
【0029】
ターンテーブル側フレーム55は、高さ方向の中心に円板状のターンテーブル56があ。そしてターンテーブル56の上にノズル保持フレーム57が設けられている。ノズル保持フレーム57は、枠状である。
またターンテーブル56の下には、下部側フレーム58が設けられている。
【0030】
ターンテーブル56の下面には、回転装置15が設けられている。回転装置15は、本体部60と回転軸61によって構成されている。
回転装置15の本体部60は、モータ62と、ギアボックス59によって構成され、ギアボックス59から回転軸61が突出している。そしてモータ62を回転することによって回転軸61が回転する。
本実施形態では、回転装置15の本体部60が、ターンテーブル56の下面に取り付けられている。回転装置15の本体部60は、ターンテーブル56に対して一体的に固定されており、相対回転をすることはできない。一方、回転軸61は、本体部60に対して相対回転するものであり、ターンテーブル56に対して相対回転する。回転軸61は、ターンテーブル56の中心から下方向に突出する。また回転軸61は、一面に面取り部65がある。
回転軸61は、前記した基礎部材側フレーム50の接続パイプ53に挿入され、接続パイプ53の止めネジ49によって面取り部65が押圧されている。そのため回転軸61は基礎部材側フレーム50に対して相対回転することができない。
【0031】
ターンテーブル56上のノズル保持フレーム57には、他の回転装置16が設けられている。回転装置16は、前記した回転装置15と同様の構成を備えるものであり、モータ72と、ギアボックス71によって構成され、ギアボックス71から回転軸(図示せず)が突出している。そしてモータ72を回転することによって回転軸(図示せず)が回転する。
本実施形態では、回転装置16の本体部70は、ノズル保持フレーム57に対して一体的に固定されており、相対回転をすることはできない。一方、回転軸(図示せず)は、本体部70に対して相対回転するものであり、ターンテーブル56に対しても相対回転する。回転軸(図示せず)は、ターンテーブル56と平行に突出している。そして回転装置16の回転軸(図示せず)にノズル6が固定されている。
【0032】
そのため回転装置16のモータ72を回転して、回転軸(図示せず)を回動させると、ノズル6は上下に首振り運動を行う。
また前記したターンテーブル56の下面に取り付けられた回転装置15を駆動すると、回転軸61が回転する。ここで回転軸61は、基礎部材側フレーム50に対して相対回転することができないから、回転装置15を駆動すると、本体部60側が回動することとなり、本体部60が取り付けられたターンテーブル56が回動し、ノズル6が左右方向に首振り運動する。
【0033】
この様に、本実施形態では、モータ62,72を回転することによって、ノズル6の向きを上下左右に変えることができる。
【0034】
ノズル6は、公知のノズルであり、水を拡散させて噴射することができるものである。
ノズル配管7は、ノズル6と、フレーム3の後端側に設けられたカプラ17とを接続する配管であり、
図4の様に、中途にモータ弁20と、発電機21が設けられている。
モータ弁20は、弁本体63と、モータ65と、動力伝導機構66を有している。弁本体63は、公知のボール弁である。動力伝導機構66は公知のギア列等である。
【0035】
発電機21は、
図5の様に、管体23を有し、管体23の内部に回転子24が設けられたものである。回転子24には磁石25が設けられている。また管体23の周囲には、図示しないコイルが設けられている。
発電機21は、管体23内の水流によって回転子24が回転し、外側のコイルに電流が発生する。
発電機21で発生した電流は、図示しない整流回路によって整流され、蓄電池11に充電される。
また各蓄電池11は、散水機2a,2b,2c,2d内の全ての電気機器に接続されており、電気機器の駆動電力は、全て蓄電池11からの電力によって賄われる。
【0036】
受信機8は、送信機30の信号を受けて動作するものである。
送信機30と、受信機8は、一対のものであり、合わせて説明する。
送信機30及び受信機8は、例えばシリアル通信により、8チャンネルの信号を送受信するものである。即ち送信機30及び受信機8は、8組のON・OFF信号を送受信することができる。
そして本実施形態では、8組のON・OFF信号の内、
図8、
図9の様に第1チャンネルと第2チャンネルの2組をノズル6の上下方向揺動に使用し、第3チャンネルと第4チャンネルの2組をノズル6の左右方向揺動に使用し、第5チャンネルと第6チャンネルの2組をモータ弁20の開閉に使用している。
そして残る第7チャンネルと第8チャンネルの2組を、散水機2a,2b,2c,2dの選択に使用している。
【0037】
即ち送信機30の送信基板31は、
図8の様にアース端子Cと、1番から8番までの8個の入力端子を有している。
各入力端子は、それぞれ一つのチャンネルを構成するものであり、外部のスイッチによって、アース端子Cと、いずれかの入力端子を短絡・開放することによって、ON・OFF信号が作られ、送信基板31で変調されて送信される。
【0038】
また各受信機8は、
図9の様に1番から8番までの8個の受信端子を有している。前記した送信基板31の1番から8番までの8個の入力端子と、受信機8の1番から8番までの8個の受信端子は対応しており、送信基板31の入力端子がON状態となれば、受信基板9の受信端子もON状態となる。例えば送信基板31の第1端子がON状態となれば、受信基板9の第1端子もON状態となり、送信基板31の第5端子がON状態となれば、受信基板9の第5端子もON状態となる。
そして受信基板9の受信端子の内、1番端子と2番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介して上下方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)75に接続されている。上下方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)75は、上下方向揺動用モータ72に電力を供給して上下方向揺動用モータ72を駆動・停止させる回路である。
【0039】
また受信基板9の受信端子の内、3番端子と4番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介して左右方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)76に接続されている。左右方向揺動用モータ駆動回路(モータドライバー)76は、左右方向揺動用モータ62に電力を供給してこれを駆動・停止させる回路である。
【0040】
さらに受信基板9の受信端子の内、5番端子と6番端子の信号は、制御装置12内のリレー回路又はスイッチング回路に入力され、さらにリレー78を介してモータ弁駆動回路(モータドライバー)77に接続されている。モータ弁駆動回路(モータドライバー)77は、弁本体
63を開閉するモータ65に電力を供給し、弁本体
63を開閉させる回路である。
【0041】
本実施形態では、送信基板31の1番端子と2番端子が、
図6の送信機30の上下動スイッチ35に接続されている。また送信基板31の3番端子と4番端子が、
図6の左右動スイッチ36に接続されている。
そのため
図6の上下動スイッチ35のいずれかを押圧すると、送信基板31の1番端子または2番端子がONとなる。一方、受信機8は、この信号を受信すると受信基板9の1番端子又は2番端子がONとなり、上下方向揺動用モータ72を正回転又は逆回転させ、ノズルの角度を上下に変更する。
【0042】
また
図6の左右動スイッチ36のいずれかを押圧すると、3番端子または4番端子がONとなる。一方、受信8は、この信号を受信すると受信基板9の3番端子又は4番端子がONとなり、左右方向揺動用モータ62を正回転又は逆回転させ、ノズルの角度を左右に変更する。
【0043】
さらに送信基板31の5番端子が、送水スイッチ45に接続され、6番端子が停止スイッチ46に接続されている。そのため送水スイッチ45を操作すると、送信基板31の5番端子がONとなり、受信基板9の5番端子がONとなってモータ65に通電されてモータ弁20(弁本体
63)を開き、送水が開始される。モータ65への通電が停止されると、モータ65は回転を停止し、弁本体
63は、開かれた状態を維持する。
停止スイッチ46が操作されると、送信基板31の6番端子がONとなり、受信基板9の6番端子がONとなる。その結果、モータ弁20を駆動するモータ65が逆回転し、モータ弁20(弁本体
63)が閉じて送水が停止する。
【0044】
さらに送信基板31の7番端子と8番端子が、
図6、
図8の機器選択ロータリースイッチ41に接続されている。
【0045】
機器選択ロータリースイッチ41は、アース端子Cと、4個の端子とを選択的に接続するものである。そして、本実施形態では、機器選択ロータリースイッチ41の第1端子は、送信基板31のいずれの端子とも接続されていない。そのため、機器選択ロータリースイッチ41を第1端子に合わせると、送信基板31の7番端子と8番端子が共にOFF状態となる。
また機器選択ロータリースイッチ41の第2端子は、送信基板31の7番端子と接続されており、8番端子とは接続されていない。そのため機器選択ロータリースイッチ41を第2端子に合わせると、送信基板31の7番端子がONとなり、8番端子がOFF状態となる。
機器選択ロータリースイッチ41の第3端子は、送信基板31の8番端子と接続されている。機器選択ロータリースイッチ41の第3端子は、送信基板31の7番端子と繋がっているが、両者の間には逆方向に通電可能に接続されたダイオード40があり、送信基板31の7番端子から機器選択ロータリースイッチ41の第3端子に向かう方向の通電はない。
そのため機器選択ロータリースイッチ41を第3端子に合わせると、送信基板31の7番端子がOFFとなり、8番端子がON状態となる。
機器選択ロータリースイッチ41の第4端子は、送信基板31の7番端子及び8番端子の双方と接続されている。また送信基板31の7番端子と機器選択ロータリースイッチ41の第4端子の間には、ダイオード42が設けられているが当該ダイオード42は、順方向に接続されている。さらに送信基板31の8番端子と機器選択ロータリースイッチ41の第4端子の間にも、ダイオード40が設けられているが当該ダイオードについても、順方向に接続されている。そのため機器選択ロータリースイッチ41を第4端子に合わせると、送信基板31の7番端子がONとなり、8番端子もON状態となる。
【0046】
一方、4台の散水機2a,2b,2c,2dに設けられたそれぞれの受信機8にも機器選択ロータリースイッチ47が設けられている。受信機8の機器選択ロータリースイッチ47は、送信機30からの送信信号に反応すべき受信機8となるか否かを選ぶスイッチである。本実施形態では、機器選択ロータリースイッチ47によって、自己が1号散水機2aであるか、2号散水機2bであるか、3号散水機2cであるか、4号散水機2dであるかが決まる。
4台の散水機2a,2b,2c,2dに設けられたそれぞれの受信機8は、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41の位置に応じた信号を同時に受信する。即ち機器選択ロータリースイッチ41が第1端子に合わせられている場合は、受信端子の7番端子と8番端子が共にOFF状態とする信号を受信し、機器選択ロータリースイッチ41が第2端子に合わせられていると、7番端子がONとなり、8番端子がOFF状態とする信号を受信する。
また機器選択ロータリースイッチ41が第3端子に合わせられている場合は、7番端子がOFFであり、8番端子が共にON状態とする信号を受信し、機器選択ロータリースイッチ41が第4端子に合わせられていると、7番端子がONとなり、8番端子もON状態にするという信号を受信する。
【0047】
またそれぞれの受信機8は、いずれも内部に論理回路を有し、受信基板9の7番端子と8番端子のON・OFF状態より、制御装置12がリレー78を断続する。
即ち受信基板9の7番端子と8番端子のON・OFFの順列組み合わせに応じ、制御装置12でリレー78を動作させる信号を作る。
より具体的には、受信基板9の7番端子と8番端子がいずれもオフの場合(送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第1端子の位置にある場合)は、1号散水機2aのリレー78がONとなり、他の散水機2b,2c,2dの制御装置12はリレー78がOFFとなる。
そのため、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第1端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、1号散水機2aのリレー78だけが通電を許す状態となり、各機器のモータ駆動装置(モータドライバー)だけが動作可能な状態となり、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2b,2c,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0048】
同様に、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第2端子の位置にある場合は、受信基板9の7番端子がONとなり、8番端子がOFFとなる。そして2号散水機2bのリレー78だけが通電を許す状態となり、他の散水機2a,2c,2dは、リレー78がOFFとなる。
そのため、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第2端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、2号散水機2bの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2c,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0049】
送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第3端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、3号散水機2cの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2b,2d内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
送信機30の機器選択ロータリースイッチ41が第4端子の位置にある場合は、4台の散水機2a,2b,2c,2dの内、4号散水機2dの各機器だけが、送信機30からの送信信号に反応して動作し、他の3台の散水機2a,2b,2c内の機器は、送信機30の信号に反応しない。
【0050】
また本実施形態の送信機30及び受信機8は、送受信周波数を変更する機能を備えている。
即ち送信機30は、図示しない周波数シンセサイザー回路を備え、4種類の周波数の電波を送信することができる。
本実施形態で採用する送信機30では、
図6の様に、周波数変換ロータリースイッチ48を有し、周波数変換ロータリースイッチ48を切り換えることによって、予め決められた4種類の周波数から一つを選択することができる。
【0051】
また受信機8についても内部に4組の同調回路を有し、4種類の受信周波数を選択することができる。
本実施形態で採用する受信機8では、
図7の様に、周波数変換ロータリースイッチ49を有し、周波数変換ロータリースイッチ49を切り換えることによって、予め決められた4種類の周波数から一つを選択することができる。
【0052】
本実施形態では、最大4システムを同時に稼働することができ、16個の散水機2を同一現場で操作することができる。
本実施形態では、一人の作業者が一組の散水システム1を操作する。操作に先立って、使用する周波数が決められる。より具体的には、一組の散水システム1で使用する送信機30及び受信機8の、周波数変換ロータリースイッチ48,49を操作し、同じ番号に設定する。
本実施形態の散水システム1では、4台の散水機2a,2b,2c,2dが、解体される建物の一部や、近隣に設けられた足場に設置される。
そして地上に置かれたポンプから、各散水機2a,2b,2c,2dに給水される。より具体的には、ポンプと各散水機2a,2b,2c,2dのカプラ17とがホースで接続される。
【0053】
そして作業者は、一つの送信機30を操作して、全ての散水機2a,2b,2c,2dを動作させる。
即ち、最初に各散水機2a,2b,2c,2dを起動させる。より具体的に説明すると、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を例えば第1端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、1号散水機2aのリレー78だけが通電可能な状態となり、他の散水機のリレー78は通電不能状態となる。
続いて、送信機30の送水スイッチ45をオンする。その結果、1号散水機2aだけが反応し、1号散水機2aのモータ弁20が開かれてノズル6から送水が開始される。
【0054】
作業者は、送信機30の上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作すると、1号散水機2aだけが反応し、1号散水機2aの上下方向揺動用モータ72と、左右方向揺動用モータ62が動作する。作業者は、目標地点に送水が到達する様に上下方向揺動用モータ72と、左右方向揺動用モータ62を操作する。
【0055】
続いて送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を第2端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、2号散水機2bのリレー78だけが通電可能状態となり、他の散水機のリレー78は通電不能状態となる。
そして同様に、送信機30の送水スイッチ45をオンして2号散水機2bからの送水を開始し、上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作して目標地点に送水する。
以下同様に3号散水機2c、4号散水機2dを動作させる。
【0056】
また解体作業が進むにつれて、破壊される箇所が変わってゆく。その場合は、破壊箇所が射程内に入るいずれかの散水機2a,2b,2c,2dを使用して散水を行う。例えば、3号散水機2cの射程内に破壊箇所がある場合は、送信機30の機器選択ロータリースイッチ41を第3端子の位置に合わせる。送信機30から送信された信号は、各散水機2a,2b,2c,2dの受信機8が受信するが、論理回路の作用により、3号散水機2cのリレー78だけが通電可能状態となり、他の散水機のリレー78には通
電不能状態となる。
そして上下動スイッチ35及び左右動スイッチ36を操作してノズルの方向を変え、目標地点に送水する。
このとき、他の散水機2a,2b,2dの上下方向揺動用モータ72と左右方向揺動用モータ62(方向変更手段)は、送信機30に反応せず、各ノズル6は、そのままの姿勢を保ちつづける。
【0057】
本実施形態の散水システム1によると、一人の作業者が一台の送信機30を操作し、4台の散水機2a,2b,2c,2dを運転することができる。また4台の散水機2a,2b,2c,2dを同時に運転しても混線を起こすことはない。
【0058】
以上説明した実施形態では、4台の散水機2を一台の送信機30で操作することとしたが、より多数の散水機を一台の送信機30で操作する構成としてもよい。即ち本実施形態では、第7チャンネルと第8チャンネルの2組を、散水機2a,2b,2c,2dの選択に使用したが、例えば3組のチャンネルを使用し、この順列組み合わせによって8台の散水機2を選択的に操作してもよい。
【0059】
また同一の現場で複数の散水システム1を同時に稼働してもよい。この場合は、周波数変換ロータリースイッチ48,49を操作し、システムごとに異なる番号に設定する。
各散水システム1ごとに使用する周波数が異なるので混信を起こすことはない。
【0060】
以上説明した実施形態では、ノズル配管7の中途に発電機21を設けて蓄電池11に充電する構成を採用したが、発電機21は必ずしも必須ではない。即ち、使用前に蓄電池11を十分に充電し、その電力で電気機器の駆動電力を賄ってもよい。また蓄電池11に代わって一次電池を使用してもよい。さらに、電池を使用せず、給電線によって散水機2に給電してもよい。