(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-7404(P2015-7404A)
(43)【公開日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】油冷式圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/02 20060101AFI20141212BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20141212BHJP
【FI】
F04B39/02 Z
F04B39/06 M
F04B39/02 A
F04B39/02 D
F04B39/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-133060(P2013-133060)
(22)【出願日】2013年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081695
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100103414
【弁理士】
【氏名又は名称】戸村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 幸夫
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AB07
3H003AC01
3H003BD00
3H003BE08
3H003CD05
(57)【要約】
【課題】油冷式圧縮機の潤滑油の略全量の抜き取りを,少ない作業工程数で,簡単,且つ短時間に行うことができる構造を提供する。
【解決手段】潤滑油と共に圧縮された圧縮気体を吐出する圧縮機本体12を備えた油冷式圧縮機1において,圧縮機本体12が吐出した圧縮気体を導入するレシーバタンク13の底部にタンク排油口21と,これを開閉するタンク排油口開閉手段23を設ける。一方,レシーバタンク13で回収された潤滑油を冷却するオイルクーラ14に,入口14a及び出口14bとは別にクーラ排油口31と,これを開閉するクーラ用ドレンバルブ32を設け,前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を合流流路40によってレシーバタンク13内の空間に連通する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用空間内に供給された潤滑油と共に圧縮された圧縮気体を吐出する圧縮機本体と,前記圧縮機本体が吐出した圧縮気体を導入して気液分離するレシーバタンクと,前記レシーバタンクで分離された潤滑油を冷却するオイルクーラを備え,前記オイルクーラで冷却された潤滑油を前記圧縮機本体に再度供給する,潤滑油の循環系が形成された油冷式圧縮機において,
前記オイルクーラの底部が前記レシーバタンクの油面上限位置よりも高所となるよう前記オイルクーラを配置し,
前記レシーバタンクの内部空間と連通する,前記レシーバタンクの底部に設けたタンク排油口と,前記タンク排油口を開閉するタンク排油口開閉手段を備えた,タンク側排油手段を設けると共に,
前記オイルクーラに設けた潤滑油の入口及び出口とは別に該オイルクーラの底部に設けたクーラ排油口と,前記クーラ排油口の下方において前記クーラ排油口を開閉するクーラ用ドレンバルブを備えた,クーラ側排油手段を設け,
前記クーラ側排油手段に設けた前記クーラ用ドレンバルブの二次側を,該クーラ用ドレンバルブと同一高さ又はそれよりも低い位置の前記レシーバタンク内の空間に連通したことを特徴とする油冷式圧縮機。
【請求項2】
前記クーラ用ドレンバルブの二次側を,合流流路を介して前記レシーバタンクの内部空間に連通したことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機。
【請求項3】
前記レシーバタンクより吐出された圧縮気体を導入する導入路と,前記導入路に連通し,該導入路を介して導入された圧縮気体中の油分を除去する油分離室と,前記油分離室で油分が除去された圧縮気体を消費側に供給する導出路を備えたセパレータを設け,
前記導入路が前記クーラ用ドレンバルブと同一高さ又はそれよりも低い位置となるよう前記セパレータを配置すると共に,
前記クーラ用ドレンバルブの二次側を,前記導入路を介して前記レシーバタンク内の空間に連通したことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機。
【請求項4】
前記タンク排油口と前記タンク排油口開閉手段を連通するタンク排油配管を設けると共に,前記クーラ用ドレンバルブの二次側を,前記タンク排油配管を介して前記レシーバタンク内の空間に連通したことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機。
【請求項5】
前記クーラ用ドレンバルブの二次側を,前記クーラ用ドレンバルブと同一高さ又はそれよりも低い位置における前記レシーバタンクと前記オイルクーラの入口間を連通する給油配管を介して前記レシーバタンク内の空間に連通したことを特徴とする請求項1記載の油冷式圧縮機。
【請求項6】
前記タンク排油口開閉手段を,防音箱に設けた開閉扉を開いた際に目視可能な位置に設けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の油冷式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,圧縮作用空間の潤滑,冷却,密封に潤滑油を使用する,油冷式圧縮機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油冷式圧縮機,一例として油冷式スクリュ圧縮機では,噛み合い状態で回転するオスロータとメスロータから成る一対のスクリュロータをシリンダ内に収容した圧縮機本体を備え,スクリュロータがシリンダ内で回転して被圧縮気体を圧縮する際に作用空間内に潤滑油を供給することで,ロータ間,及びロータとシリンダ内壁間の密封や冷却,潤滑を行うことができるように構成されている。
【0003】
このような圧縮機本体を備えた油冷式圧縮機において,圧縮機本体は作用空間に供給された潤滑油を被圧縮気体と共に圧縮して気液混合流体として吐出することから,空気作業機等が接続された消費側に圧縮気体を供給する前に圧縮気体中の油分を除去すべく,圧縮機本体が吐出した圧縮気体をレシーバタンクやセパレータ等の気液分離器に導入して圧縮気体と潤滑油との分離を行い,このようにして油分が除去された圧縮気体をアフタクーラ等に導入した後,空気作業機等が接続された消費側に供給することが行われている。
【0004】
一方,レシーバタンク内で圧縮気体より分離された潤滑油は,これをオイルクーラに導入して冷却した後,再度,圧縮機本体の作用空間内に供給して,圧縮機本体の潤滑,冷却,密封に使用される。
【0005】
従って,前述した圧縮機本体,レシーバタンク,オイルクーラ及びこれらの間を連通する配管,バルブ,オイルフィルタ,その他の附属機器によって潤滑油の循環系が形成されている。
【0006】
そして,これらの機器は,圧縮機本体を駆動するエンジンやモータ等の駆動源と共に防音箱内に収容されて,パッケージ型の油冷式圧縮機として構成されている。
【0007】
このような油冷式圧縮機を構成する機器の防音箱内における配置については種々のものが提案されているが,前述したオイルクーラは,空気との熱交換によって潤滑油の冷却を行うものであることから,防音箱内に設けた送風器によってオイルクーラのコアに向かう冷却風流を発生させると共に,オイルクーラのコアを通過した熱交換後の冷却風を,防音箱外に排気することが必要となる。
【0008】
一方,このような排気を,防音箱の側面より行えば,冷却風が排気される側の油冷式圧縮機の側方に,排気の妨げにならないように,また,作業者や他の機器に高温の冷却風が当たらないように広いスペースを必要とするため,例えば屋内などの狭い場所に設置する油冷式圧縮機の排気は通常,防音箱の天板に設けた排気口を介して上向きに行われる。
【0009】
そのため,このような油冷式圧縮機100では,
図7に示すようにオイルクーラ114を防音箱160の天板に設けた排気口163に対峙して設けることが多く,その結果,オイルクーラ114は,潤滑油を貯留するタンク113等の他の構成機器に比較して防音箱160内の比較的高い位置に設置される構成となり易い(特許文献1における従来技術の構成,特に
図3,[0009]欄)。
【0010】
なお,このようにオイルクーラ114を防音箱160内の高所に配置する構成では,オイルクーラ114の配置が潤滑油を貯留するタンク113よりも高所に配置されることなるために,油冷式圧縮機100が停止すると,オイルクーラ114からオイルタンク113内に潤滑油が逆流する現象が生じ,運転を停止した直後にはオイルタンク113内の潤滑油の残量を正確に確認することができない点に鑑み,運転を停止した直後であってもタンク113内の潤滑油の残量を正確に把握することができるようにするための構成機器の配置も提案されている。
【0011】
このような構成として,
図8に示すようにオイルクーラ114を防音箱160の底板フレーム162上に載置して,潤滑油を貯留するタンク113よりもオイルクーラ114を低い位置に配置することで,油冷式圧縮機100の停止後にオイルクーラ114内の潤滑油がオイルタンク113内に逆流しないようにした構成も提案されている(特許文献1の
図1)。
【0012】
なお,このようにオイルクーラ114を底板フレーム162上に載置した構成では,オイルクーラ114の底部に設けられたドレン口131と底板フレーム162間に,ドレン口131の開閉作業をするためのスペース,オイル受け皿の配置スペースが確保し難い点に鑑み,
図9(A),(B)に示すように,油冷式圧縮機100を移動等する際にフォークリフトの爪が挿入される爪挿入用穴164の形成位置において底板フレーム162に防音箱160内部と爪挿入用穴164とを連通する連通孔165を設け,この連通孔165の上部にオイルクーラ114のドレン口131を配置することで,オイルクーラ114内に残留している潤滑油を抜き取る際,爪挿入用穴164を介してドレン口131の開閉作業を可能と成すと共に,この爪挿入用穴164内にオイル受け皿を差し入れて排出された潤滑油を受けることで,オイルクーラ114の底部と底板フレーム162間に作業用の間隔を設けることを不要とすることも提案されている(特許文献2の
図1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−88859号公報
【特許文献2】特開平9−96287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述したように,油冷式圧縮機100では冷却,密封,潤滑のために使用する潤滑油を循環して使用していることから,経時と共に酸化や汚染が進むことで潤滑油の性能は低下する。そのため,油冷式圧縮機の潤滑油は,所定の整備時間毎に交換を行う必要がある。
【0015】
一方,劣化した潤滑油と新しい潤滑油とを混合して使用すると,新しい潤滑油は,劣化した潤滑油の性状に影響されて劣化が早まることから,油冷式圧縮機100の潤滑油を交換する際には,タンク113内に貯留されている潤滑油だけでなく,オイルクーラ114内にある潤滑油についても抜き取ることが必要となる。
【0016】
ここで,特許文献1において従来技術として紹介されている,
図7を参照して説明した油冷式圧縮機100の構成では,オイルクーラ114を,潤滑油を貯留するタンク113よりも高所に配置していることから,油冷式圧縮機100を停止して圧縮機本体112が圧縮気体の吐出を停止してタンク113内の圧力が低下すると,オイルクーラ114内の潤滑油は重力によって落下してタンク113内に逆流する。
【0017】
しかし,オイルクーラ114の内部形状,配管の取り回し等により,この様な逆流が生じてもオイルクーラ114内の潤滑油の全量がタンク113内に戻ることはなく,依然としてオイルクーラ114内には潤滑油が残留していることから,残留する潤滑油を抜き取る作業が必要となる。
【0018】
このような潤滑油の抜き取りに際し,オイルクーラ114を防音箱160の天板161近くに設けた構成では,何等の手当を行うことなくオイルクーラ114に設けられている油抜き用のドレン口を開放すれば,防音箱160内に収容された機器上に潤滑油をまき散らすこととなる。そのため,オイルクーラ114の油抜きに際しては,オイル受け皿を予めドレン口の下に持ち上げて配置し,あるいは,ホース等を介して下端が床面上に設置したオイル受け皿に連通された漏斗をドレン口の下に配置しておき,この状態でオイルクーラ114に設けられているドレン口を開放すると共に,オイルクーラ114内の潤滑油の排出が完了する迄,オイル受け皿や漏斗を捧げ持った姿勢を維持する必要がある。
【0019】
一方,
図8,
図9を参照して説明した特許文献1,2に記載の発明のように,オイルクーラ114を防音箱160の底板フレーム162上に載置した構成にあっては,オイルクーラ114は防音箱160内の低所に配置されるため,オイルクーラ114を高所に配置した場合のように,潤滑油を抜き取る際にオイル受け皿や漏斗を潤滑油の排出が完了するまで捧げ持つ作業は不要となり,この点に関しては作業者の負担が軽減される。
【0020】
しかし,このようにオイルクーラ114を底板フレーム162上に載置した構成では,オイルクーラ114の低部と底板フレーム162間の間隔に手や工具を挿入する等してドレン口131を開放する作業を行う必要があり,また,オイルクーラ114内の潤滑油は油冷式圧縮機100を停止させてもタンク113側に流れることがなく,オイルクーラ114内には多量の潤滑油が残留することとなるために,その排出に際しては,これを受け入れることができる容量の大きなオイル受け皿をオイルクーラ114のドレン口131の下に配置しておく必要がある。
【0021】
そのため,オイルクーラ114を底板フレーム上に載置した構成にあっては,前述した作業スペース,オイル受け皿の配置スペースを確保するために,底板フレーム162とオイルクーラ114の底部間に比較的大きな間隔を空ける必要がある。
【0022】
このような問題に対し,特許文献2に記載の発明では,底板フレーム162に設けられたフォークリフトの爪が挿入される爪挿入用穴164を,ドレン口131着脱のための作業スペースや,オイル受け皿の配置スペースとして利用できるようにすることで,オイルクーラ114と底板フレーム162間に間隔を設けることを不要としている。
【0023】
しかし,底板フレーム162に設けられる爪挿入用穴164は狭く,且つ,防音箱160の底板フレーム162の裏面に設けられているために,この爪挿入用穴164を介してドレン口131の開閉作業を行おうとすれば,作業者は大きく屈み込み,又は,地面に寝そべる等の無理な姿勢での作業を強いられることとなる。
【0024】
また,作業者はこの狭い爪挿入用穴164に手を入れて,目視できない状態のまま手探りでドレン口131の開閉作業を行う必要があること,レンチ等の工具の揺動幅が爪挿入用穴164の幅によって制約されるために何度もドレンボルトにレンチを掛け直す必要があることから,作業性が悪いだけでなく,ボルト頭をなめてしまってドレン口131を開けることができなくなるといった不都合の発生も予想される。
【0025】
しかも,前述したように爪挿入用穴164は狭いため,比較的小さなオイル受け皿しか内部に挿入できない一方,オイルクーラ内に残っている潤滑油量は比較的多いため,排油の全てをオイル受け皿で受け切れず溢れさせてしまうおそれがあり,このような問題を解消するためには,高さが低く,幅が狭いが,長さだけは突出して長い,爪挿入用穴164に挿入して使用するためだけの,専用のオイル受け皿が準備することが必要となる。
【0026】
加えて,爪挿入用穴164は狭いため,爪挿入用穴164に作業者が手を入れているときにはオイル受け皿を挿入することが困難であることから,作業者がドレン口131を開放して,爪挿入用穴164より手を抜いた後にオイル受け皿の挿入が行われることになると共に,オイル受け皿を抜き取った後に爪挿入用穴164に手を入れてドレン口131を塞ぐ作業が行われることとなるため,潤滑油の抜き取り作業の開始時及び終了時に,オイル受け皿に受け入れられずに漏れ出た潤滑油が周囲を汚染することは必至である。
【0027】
このような問題を回避するために,底板フレーム162に設けた爪挿入用穴164を,フォークリフトのフォーク(爪)を挿入可能な寸法を超えて,高く,且つ幅広に形成することも考えられるが,このような構成の採用は装置全体の大型化につながることとなる。
【0028】
なお,前述した従来の油冷式圧縮機100にあっては,いずれの構成を採用した場合であっても,油抜きに際しては,オイルタンク113内の潤滑油の抜き取りと,オイルクーラ114内の潤滑油の抜き取りを,それぞれ別々に行う必要があり,それぞれのドレン口を開閉する作業,潤滑油抜き取り後のドレン口周辺に付着した潤滑油の除去,ドレン口のシールの交換やドレンボルトに対するシールテープの付け替え,オイル受け皿の移動と設置等の作業が,オイルタンク113及びオイルクーラ114毎にそれぞれ必要となり,この点においても作業性が悪いものとなっていた。
【0029】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたものであり,油冷式圧縮機の潤滑油の略全量の抜き取りを,少ない作業工程数で,簡単,且つ短時間に行うことができる構造を備えた油冷式圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0031】
上記目的を達成するために,本発明の油冷式圧縮機1は,
作用空間内に供給された潤滑油と共に圧縮された圧縮気体を吐出する圧縮機本体12と,前記圧縮機本体12が吐出した圧縮気体を導入して気液分離するレシーバタンク13と,前記レシーバタンク13で分離された潤滑油を冷却するオイルクーラ14を備え,前記オイルクーラ14で冷却された潤滑油を前記圧縮機本体12に再度供給する,潤滑油の循環系が形成された油冷式圧縮機1において,
前記オイルクーラ14の底部が前記レシーバタンク13の油面上限位置よりも高所となるよう前記オイルクーラ14を配置し,
前記レシーバタンク13の内部空間と連通する,前記レシーバタンク13の底部に設けたタンク排油口21と,前記タンク排油口21を開閉するタンク排油口開閉手段23を備えた,タンク側排油手段20を設けると共に,
前記オイルクーラ14に設けた潤滑油の入口14a及び出口14bとは別に該オイルクーラ14の底部に設けたクーラ排油口31と,前記クーラ排油口31の下方において前記クーラ排油口31を開閉するクーラ用ドレンバルブ32を備えた,クーラ側排油手段30を設け,
前記クーラ側排油手段30に設けた前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,該クーラ用ドレンバルブ32と同一高さ又はそれよりも低い位置の前記レシーバタンク13内の空間に連通したことを特長とする(請求項1)。
【0032】
上記構成の油冷式圧縮機1において,前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,例えば配管41等の合流流路40を介して前記レシーバタンク13の内部空間に連通するものとしても良い(請求項2:
図3参照)。
【0033】
また,油冷式圧縮機1が,前記レシーバタンク13より吐出された圧縮気体を導入する導入路52と,前記導入路52に連通し,該導入路52を介して導入された圧縮気体中の油分を除去する油分離室55’と,前記油分離室55’で油分が除去された圧縮気体を消費側に供給する導出路53を備えたセパレータ50を備える場合,
前記導入路52が前記クーラ用ドレンバルブ32と同一高さ又はそれよりも低い位置となるよう前記セパレータ50を配置すると共に,
前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,前記導入路52を介して前記レシーバタンク13内の空間に連通するものとしても良い(請求項3)。
【0034】
更に,前記タンク排油口21と前記タンク排油口開閉手段23を連通するタンク排油配管22を設けると共に,前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,前記タンク排油配管22を介して前記レシーバタンク内の空間に連通するものとしても良い(請求項4;
図5参照)。
【0035】
更に別の構成としては,前記クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,前記クーラ用ドレンバルブ32と同一高さ又はそれよりも低い位置における前記レシーバタンク13と前記オイルクーラ14の入口14a間を連通する給油配管71を介して前記レシーバタンク内の空間に連通するものとしても良い(請求項5;
図6参照)。
【0036】
なお,前記タンク排油口開閉手段23は,防音箱60に設けた開閉扉を開いた際に目視可能な位置に設けることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0037】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の油冷式圧縮機1では,油冷式圧縮機1の停止後,クーラ用ドレンバルブ32とタンク排油口開閉手段23を開放するという極めて簡単な作業により,タンク側排油手段20に設けた単一のオイル排出口24を介して,オイルクーラ14及びレシーバタンク13の双方から潤滑油を円滑に抜き取ることができた。
【0038】
その結果,オイルクーラ14,レシーバタンク13のそれぞれから別々に潤滑油を抜き取る場合に比較して,作業工程数を大幅に減少させることができ,簡単,且つ,短時間で,レシーバタンク14とオイルクーラ13の双方より潤滑油を抜き取ることができた。
【0039】
また,本発明の油冷式圧縮機1では,オイルクーラ14内の潤滑油は,レシーバタンク13内の潤滑油と合流されて,タンク側排油手段20に設けた共通のオイル排出口24を介して一緒に抜き取られることから,オイル受け皿をレシーバタンク13の下方とオイルクーラ14の下方のそれぞれの位置に配置する作業が不要で,従って,オイルクーラ14を防音箱60内の比較的高所に配置した構成を採用しても,オイルクーラ14からの潤滑油の抜き取りに際し,オイル受け皿や漏斗等を捧げ持つ必要がなく,作業が楽になった。
【0040】
更に,比較的簡単な操作によってレシーバタンク13とオイルクーラ14内の潤滑油,従って,油冷式圧縮機1内の潤滑油の略全てを抜き取ることができるために,油冷式圧縮機1内に残留する劣化した潤滑油と,交換後の新しい潤滑油とが混ざることで交換したばかりの新しい潤滑油の性能低下を可能な限り防止することができた。
【0041】
また,特許文献2を参照して説明した,爪挿入用穴を介して潤滑油の抜き取りを行う従来の油冷式圧縮機の構成にあっては,狭い爪挿入用穴内において作業が必要であることから,目視し難く,作業が困難であると共に,排油量が見え難く,オイル受け皿から潤滑油の溢れ出す迄気付かない等の作業性の悪さがあっただけでなく,作業後のドレンボルトの閉め忘れ,シール不良による潤滑油の漏出等が生じていた場合であっても気付き難いものとなっていた。
【0042】
しかし,本発明の油冷式圧縮機では,全ての作業を防音箱60内において行うことができ,特に,防音箱60の開閉扉を開いた際に目視し得る位置にタンク排油口開閉手段23を設けた構成では,作業時の目視性が良好で,オイル受け皿が溢れる迄気付かないといったことは生じ難く,また,タンク排油口開閉手段23やその周辺の状態を目視によって確認するこことができることから,潤滑油抜き取り後におけるバルブの閉め忘れや,潤滑油交換後の潤滑油の漏出等の確認を容易に行うことができた。
【0043】
なお,前述した合流流路40の少なくとも一部を,油冷式圧縮機1に元々備わっている潤滑油の循環系(例えば,給油配管71)によって構成することにより,あるいは,タンク側排油手段20の一部によって構成することにより,部品点数の増加を避け,構造を簡略化することができかた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】防音箱の側壁を取り除いた本発明の油冷式圧縮機の正面図。
【
図2】防音箱の側壁を取り除いた本発明の油冷式圧縮機の右側面図。
【
図6】本発明の更に別の実施形態を示す概略回路図。
【
図7】従来の油冷式圧縮機の説明図(特許文献1の
図3に対応)。
【
図8】従来の油冷式圧縮機の説明図(特許文献1の
図1に対応)。
【
図9】従来の油冷式圧縮機の説明図であり,(A)は縦断面側面図,(B)は背面図(特許文献2の
図1,2に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の油冷式圧縮機について説明する。
【0046】
図1及び
図2において符号1は,本発明の油冷式圧縮機を示し,この油冷式圧縮機1は,被圧縮気体を潤滑油と共に圧縮して吐出する圧縮機本体12,前記圧縮機本体12より吐出された圧縮気体を導入して圧縮気体と潤滑油とに分離(一次分離)するレシーバタンク13,前記レシーバタンク13内に回収された潤滑油を冷却するオイルクーラ14を備え,このオイルクーラ14によって冷却された後の潤滑油が,再度,圧縮機本体12の作用空間内に給油できるようになっている。
【0047】
従って,圧縮機本体12,レシーバタンク13,オイルクーラ14,及びこれを連通する配管(71〜73)やオイルフィルタ74などの附属機器によって,本発明の油冷式圧縮機1における潤滑油の循環系が形成されている。
【0048】
また,前述した圧縮機本体12の吸気口には,エアフィルタ83及び吸入弁84を介して被圧縮気体である空気を導入する吸気系が形成されていると共に,前述したレシーバタンク13によって気液分離(一次分離)がされた後の圧縮気体は,セパレータ50によって更に圧縮気体中に残存する潤滑油が除去された後,アフタクーラ16等を備えた供給配管81を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に圧縮気体を導入する,圧縮気体の供給系が形成されており,これらの構成機器が,圧縮機本体12を駆動するモータやエンジン等の駆動源19(図示の例ではモータ)と共に防音箱60内に収容されて,パッケージ化された油冷式圧縮機1が形成されている。
【0049】
なお,図示の実施形態にあっては,圧縮機本体12とレシーバタンク13とをそれぞれ別体として構成した装置構成を示しているが,この構成に代えて,レシーバタンクが一体化した圧縮機本体の構成を採用するものとしても良い。
【0050】
また,図示の実施形態にあっては,セパレータ50をレシーバタンク13に外付けした構成としているが,この構成に代え,レシーバタンク13内にフィルタエレメントが収容された,タンクとセパレータとが一体化したレシーバタンク(セパレータレシーバタンク)を使用しても良く,この場合,レシーバタンク13に対するセパレータ50の外付けは省略するものとしても良い。
【0051】
このような油冷式圧縮機1の基本構成については既知の油冷式圧縮機と同様であり,また,これらの構成を油冷式圧縮機の構成として既知の各種の構成に置換することも可能である。
【0052】
なお,図示の実施形態において使用している前述のセパレータ50の構造について
図4を参照して説明すると,このセパレータ50はレシーバタンク13内の空間と連通し,レシーバタンク13内の油分を含んだ圧縮気体が導入される導入路52,油分を除去した後の圧縮気体を図示せざる空気作業機等が接続された消費側に導出するための導出路53,及び分離した潤滑油を例えば圧縮機本体に設けた回収口に排出する回収路54を備えた基台51を備えており,この基台51上にカバー55を取り付けることで,このカバー55内に,前述した導入路52,導出路53,及び回収路54と連通した油分離室55’が形成されており,この油分離室55’内においてレシーバタンク13からの圧縮気体中に含まれる油分を分離する気液分離を行うことができるようになっている。
【0053】
このカバー55内に形成された油分離室55’ 内には,上端が塞がれた環状のフィルタエレメント56が挿入されていると共に,このフィルタエレメント56の中心にて上端を開口する導出管57が収容されており,カバー55とフィルタエレメント56間の空間に前記導入路52を介してレシーバタンク13からの圧縮気体を導入すると,この圧縮気体はフィルタエレメント56を通過する際に油分が除去された後,導出管57に導入され,この導出管57の下端に連通された前述の導出路53を介して消費側に供給されるようになっている。
【0054】
また,フィルタエレメント56を通過する際に圧縮気体より分離された潤滑油は,フィルタエレメント56と導出管57間の空間における下部に溜まり,この部分と連通する回収路54を介して,圧縮機本体12に設けた回収口(図示せず)に回収することができるように構成されている。
【0055】
以上で説明した各構成要素を備えた本発明の油冷式圧縮機1において,前述したオイルクーラ14は,その底部がレシーバタンク13における油面の上限位置よりも高所となるように配置し,図示の実施形態にあっては防音箱60の天板61に形成した排気口(図示せず)に対峙して,この排気口に向かう冷却風を発生させるファン87を備えたダクト88内において天板61と平行に配置されており,オイルクーラ14を防音箱60内の最も高所に配置している。
【0056】
また,一般的なレシーバタンクでは,レシーバタンク内の潤滑油を抜き取るためのドレン口はドレンボルトによって栓がされており,潤滑油の排油に際しては,レンチ等の工具を使用してこのドレンボルトを外す必要があるものとなっていた。
【0057】
これに対し,本実施例の油冷式圧縮機1では,この様なドレンボルトによる開閉に代え,
図3に示すようにレシーバタンク13の底部に設けたタンク排油口21の下方にタンク排油配管22を連結すると共に,このタンク排油配管22の下端に,開閉バルブによって構成されたタンク排油口開閉手段23を設け,これらによってタンク側排油手段20を形成することで,前述したドレンボルトの着脱を行うことなしに,タンク排油口開閉手段23であるバルブの開閉操作によって極めて簡単にレシーバタンク13のタンク排油口21を開閉することができるようにしている。
【0058】
もっとも,前述のタンク排油口開閉手段23の構成としては,前述した開閉バルブによる構成に代え,又は開閉バルブと共に,例えばオイル排出口24に螺着されたドレンボルトを設けるものとしても良い。
【0059】
前述したようにオイルクーラ14の底部をレシーバタンク13内の油面の上限位置よりも上方に配置した場合,油冷式圧縮機1を停止してレシーバタンク13内の圧力が大気圧,あるいは大気圧に近い圧力に迄低下すると,オイルクーラ14内の潤滑油は,レシーバタンク13とオイルクーラ14間を連通する給油配管71を介してレシーバタンク13内に逆流して回収されることとなるが,給油配管71を介した潤滑油の逆流によってはオイルクーラ14内にある潤滑油の全量を回収することはできず,潤滑油は依然としてオイルクーラ14内に残ることとなる。
【0060】
そこで本発明では,オイルクーラ14に設けられている潤滑油の入口14a及び出口14bとは別に,オイルクーラ14の底部に潤滑油の抜き取りを行うためのクーラ排油口31を設け,このクーラ排油口31の下方に,これを開閉するためのクーラ用ドレンバルブ32を取り付けることで,このクーラ排油口31とクーラ用ドレンバルブ32によって,クーラ側排油手段30を形成している。
【0061】
そして,このクーラ側排油手段30に設けた前述のクーラ用ドレンバルブ32の二次側を,このクーラ用ドレンバルブ32と同一高さ,又はそれよりも低位置におけるレシーバタンク13内の空間に連通することで,油冷式圧縮機1の停止時にクーラ用ドレンバルブ32を開くと,オイルクーラ14内の潤滑油を,レシーバタンク13内の潤滑油と合流させることができるように構成した。
【0062】
このようなレシーバタンク13内の空間に対する連通は,クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,直接レシーバタンク13の内部空間に連通させるものとしても良いが,図示の実施形態にあっては,前述したクーラ用ドレンバルブ32の二次側を,レシーバタンク13内の空間に連通する合流流路40を設け,この合流流路40を介してレシーバタンク13内の空間に連通させている。
【0063】
この合流流路40の構成としては,
図3に示すようにクーラ用ドレンバルブ32の二次側をレシーバタンク13内の空間と連通する配管41を設け,この配管41を前述した合流流路40とするものとしても良い。
【0064】
また,油冷式圧縮機1が
図4を参照して説明したセパレータ50を備えており,且つ,このセパレータ50の基台51に設けた前述の導入路52が前述のクーラ用ドレンバルブ32に対し同一の高さあるいはこれよりも低位置となるようにレシーバタンク13に取り付けられている場合には,クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,排油回収孔58(
図4参照)を介してセパレータ50の導入路52に連通し,この導入路52を介してレシーバタンク13内の空間に連通させるものとしても良く,この場合には,セパレータ50の導入路52が前述した合流流路40の少なくとも一部を構成することとなる。
【0065】
更に,前述したクーラ用ドレンバルブ32の二次側をレシーバタンク13内の空間に連通する構成としては,
図5に示すように,クーラ用ドレンバルブ32の二次側に一端を連通する配管41の他端を,タンク排油口開閉手段23の一次側に設けられているタンク排油配管22に連通し,配管41とタンク排油配管22によって,前述した合流流路40を形成するものとしても良い。
【0066】
更には
図6に示すように,クーラ用ドレンバルブ32の二次側を,このクーラ用ドレンバルブ32と同一高さ又はそれよりも低い位置においてレシーバタンク13とオイルクーラ14の入口14a間に設けた給油配管71に連通する配管41を設け,この配管41と給油配管の一部(配管41との連結点よりもレシーバタンク寄りの部分71a)によって前述の合流流路40を形成するものとしても良い。
【0067】
以上のように構成された本発明の油冷式圧縮機1において,潤滑油の交換は,一例として以下の手順により行うことができる。
【0068】
油冷式圧縮機1の運転を停止し,圧縮気体がパージされる等してレシーバタンク13内の圧力が十分に低下すると,潤滑油を交換可能な状態となる。
【0069】
潤滑油の交換に際し,防音箱60に設けられた扉(図示せず)を開くと,レシーバタンク13に設けられたタンク排油口21を開閉するタンク排油口開閉手段23が目視可能な位置に現れる。
【0070】
作業者は,このタンク排油口開閉手段23の二次側にあるオイル排出口24の下方にオイル受け皿を配置して,オイル排出口24からの潤滑油の流出に備える。
【0071】
なお,オイル排出口24には,これを延長する延長ホースを取り付けておくものとしても良く,この場合,防音箱60内より延長ホースを機外に引き出す等して,機外に配置したオイル受け皿内にこの延長ホースの先端を挿入しておくものとしても良い。
【0072】
この状態で作業者は,レシーバタンク13内の圧力が大気圧あるいはそれに近い圧力に迄十分に低下していることを確認した後,本実施形態ではいずれも開閉バルブとして構成したクーラ側排油手段30に設けたクーラ用ドレンバルブ32と,タンク側排油手段20に設けたタンク排油口開閉手段23を開放する。
【0073】
これら2つのバルブ32,23の開放は,先ずクーラ用ドレンバルブ32を開き,オイルクーラ14内の潤滑油をレシーバタンク13側に落下させた後,タンク排油口開閉手段23を開いてレシーバタンク13内の潤滑油を排出するようにしても良く,又は,先にタンク排油口開閉手段23を開いてレシーバタンク13内の潤滑油の排出を開始した後,クーラ用ドレンバルブ32を開いてオイルクーラ14内の潤滑油の落下を開始しても良く,更には,クーラ用ドレンバルブ32と,タンク排油口開閉手段23を略同時に開放して,オイルクーラ14内の潤滑油を落下させながらレシーバタンク13内の潤滑油を排出するようにしても良い。
【0074】
いずれの場合にも,クーラ排油口31は,オイルクーラ14の底部よりオイルクーラ14内の潤滑油を抜き取るものであることから,油冷式圧縮機1の停止後,レシーバタンク13内の圧力が低下することにより給油配管71を介して生じる潤滑油の逆流によってもなおオイルクーラ14内に残留している潤滑油についても確実に排出することができると共に,クーラ用ドレンバルブ32の二次側は,合流流路40によってクーラ用ドレンバルブ32よりも低位置でレシーバタンク13内の空間に連通されていることから,オイルクーラ14より排出された潤滑油を確実にレシーバタンク13内の潤滑油に合流させることができる。
【0075】
なお,配管の取り回し等の関係で圧縮機本体12内,オイルクーラ14と圧縮機本体12間を繋ぐ配管72,及び吐出配管73内に潤滑油が残る場合,必要に応じて圧縮機本体12に設けられている駆動用のプーリを数回手で回す等して圧縮機本体12内のロータを回転させることにより,又は,数秒〜数十秒程度のごく短い時間,駆動源19を作動させて圧縮機本体12のロータを回転させることで,これらの部分に溜まっている潤滑油をレシーバタンク13に移動させ,タンク側排油手段20を介して排出するようにしても良い。
【0076】
このように,本発明の油冷式圧縮機1にあっては,たった2箇所に設けられたバルブ23,32を開くという極めて簡単な作業により,レシーバタンク13内の潤滑油とオイルクーラ14内の潤滑油を共に,共通のオイル排出口24を介して抜き取ることができ,潤滑油の抜き取り作業が簡単で,これを短時間で完了させることができると共に,潤滑油の潤滑系内にある潤滑油を略完全に排出することが可能であるため,その後に充填する新しい潤滑油に対する,劣化した潤滑油の混入を可能な限り少なくすることができ,このような劣化した潤滑油が混入することにより生じる潤滑油の性能や寿命の低下を防止することができた。
【0077】
以上のようにして,劣化した潤滑油の抜き取りが完了した後,クーラ用ドレンバルブ32とタンク排油口開閉手段23を共に閉じる。
【0078】
タンク排油口21及びクーラ排油口31共に,開閉バルブ23,32によって開閉を行うことができるように構成した本実施形態の構成では,ドレンボルトによってドレン口に栓をしていた従来のレシーバタンクやオイルクーラのように,ドレンボルトを取り付ける際に行うシールテープの付け替えや,ドレンボルトの螺着等の煩雑な作業が不要になると共に,これらのバルブ23,32を防音箱60の扉を開いた際に目視可能な位置に設けておくことで,バルブ23,32の閉め忘れ等についても目視によって容易に確認することができる。
【0079】
このようにしてタンク排油口開閉手段23及びクーラ用ドレンバルブ32を共に閉じた後,レシーバタンク13に設けられている給油口13b(
図1参照)を介して所定量の潤滑油を給油する。
【0080】
給油は,レシーバタンク13に設けられているレベルゲージ13aを目安に必要量の潤滑油の充填を行った後,油冷式圧縮機1を短時間運転して潤滑油を各部に行き渡らせ,レシーバタンク13内より減少した分の潤滑油を補って完了する。
【0081】
このように,本発明の油冷式圧縮機1にあっては,レシーバタンク13とオイルクーラ14内の潤滑油を,共に,タンク側排油手段20に設けた単一のオイル排出口24を介して共に抜き取ることができることから,レシーバタンク13内の潤滑油,オイルクーラ14内の潤滑油を抜き取る際に,それぞれオイル受け皿の移動や設置,ドレンボルトの着脱やシールテープの交換,パッキンの交換等を必要としていた従来の油冷式圧縮機に比較して,少ない工程数及び時間で作業を行うことが可能であると共に,潤滑油が完全に抜け落ちる迄,オイル受け皿や漏斗等を捧げ持つといった作業が不要となると共に,フォークリフトのフォーク(爪)を差し込むために設けられている爪挿入用穴内に手を入れて作業する等の,手探りでの作業に比較して,飛躍的に作業効率を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 油冷式圧縮機
12 圧縮機本体
13 レシーバタンク
13a レベルゲージ
13b 給油口
14 オイルクーラ
14a 入口
14b 出口
16 アフタクーラ
19 駆動源(モータ)
20 タンク側排油手段
21 タンク排油口
22 タンク排油配管
23 タンク排油口開閉手段
24 オイル排出口
30 クーラ側排油手段
31 クーラ排油口
32 クーラ用ドレンバルブ
40 合流流路
41 配管
50 セパレータ
51 基台
52 導入路
53 導出路
54 回収路
55 カバー
55’ 油分離室
56 フィルタエレメント
57 導出管
58 排油回収孔
60 防音箱
61 天板
62 底板フレーム
71 給油配管(レシーバタンク−オイルクーラ間)
72 給油配管(オイルクーラ−圧縮機本体間)
73 吐出配管
74 オイルフィルタ
81 供給配管
83 エアフィルタ
84 吸入弁
87 ファン
88 ダクト
100 油冷式圧縮機
113 タンク(オイルタンク)
114 オイルクーラ
131 ドレン口
160 防音箱
161 天板
162 底板フレーム
163 排気口
164 爪挿入用穴
165 連通孔