【課題】良品のみの箱詰めが容易にでき、X線検査部の簡素な構造を実現して全体の大きさを縮小化して、既存の折り畳箱詰め装置の設置エリア内に簡易に設置できるX線検査機能付き折畳み箱詰め装置を提供する。
【解決手段】箱詰め装置において、搬送する連続包装体の個装部が良又は不良かを当該連続包装体へのX線照射に基づき検査するX線検査部と、前記X線検査部で検査された前記連続包装体を折り畳んで収容容器に収容する折り畳み部と、前記連続包装体がX線検査部のX線照射位置を通過する際、前記搬送部の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体を搬送し、連続包装体の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部とを備え、前記搬送部は、前記X線検査部で上下に沿って前記連続包装体を搬送させる機能を有し、前記X線検査部から折り畳み部の間に不良品を切断するスペースを設けた。
内容物を収納する個装部と横シール部とが交互に並ぶ連続包装体を搬送部によって搬送して、搬送された連続包装体を折り畳み部によって折り畳んで箱状の収容容器に収容する箱詰め装置において、
搬送されている前記連続包装体の個装部が良又は不良かを当該連続包装体へのX線照射に基づき検査するX線検査部と、
前記X線検査部で検査された前記連続包装体を折り畳んで収容容器に収容する折り畳み部と、
前記連続包装体がX線検査部のX線照射位置を通過する際、前記搬送部の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体を搬送し、連続包装体の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部と、を備え、
前記搬送部は、前記X線検査部で上下に沿って前記連続包装体を搬送させる機能を有し、
前記X線検査部から折り畳み部の間に不良品を切断するスペースを設けたことを特徴とするX線検査機能付き折畳み箱詰め装置。
前記X線検査部に送出する連続包装体を貯留するプールボックスと、プールボックスから出てくる連続包装体を誘導するガイドロールユニットと、ガイドロールユニットの上方であって前記連続包装体に引っ張り力を付与して上方向きに引き上げるフィードユニットとを設け、
ガイドロールユニットおよびフィードユニットの間の経路内で上方向きに搬送される連続包装体を検出可能に前記X線検査部を設置したことを特徴とする請求項1に記載のX線検査機能付き折畳み箱詰め装置。
前記連続包装体の個装部と横シール部との境界検出信号を生成する境界検出部を設け、前記搬送制御部はこの境界検出信号に基づき、個装部領域と横シール部領域との区分を示す信号を生成し、この生成信号を連続包装体の搬送と同期させるように前記搬送部の駆動を制御することを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載のX線検査機能付き折畳み箱詰め装置。
【背景技術】
【0002】
店頭等に陳列される各種商品では、調味料の小袋(「パウチ」ともいう)が商品包装内に同封されている。前記の小袋は、スープや薬味等の粉末や液体の被包装物が充填装置によって充填・封入される。
【0003】
一般に、小袋が、商品包装体に同封される前は、各小袋同士が所定の間隔をおいて繋がった状態(「連包状」ともいう)に連続した連続包装体となっている。なお、この種の連続包装体では、内容物を収容する個装部と横シール部が交互に並ぶ構成を有し、横シール部を切断することにより、各個装部が小袋となる。
【0004】
ここで、充填装置によって個装部に内容物が充填・封入された後の連続包装体は、連包状のまま連続的に箱詰め装置に供給されて、この箱詰め装置では、連続包装体を折り畳んだ状態で収容箱に箱詰めする。
【0005】
特開2007−8487号公報(特許文献1)に記載の「量目測定機能付折り畳み箱詰め装置」では、箱詰め途中で「充填量不足(パウチの内容量の量目不足)」を台車部に取付けた重量検出センサー(ウェイトチェッカー)で確認し、箱詰め後の重量測定工程をなくす生産性の改善できる装置を提案している。
【0006】
この装置の改善点は、箱単位の測定をしており、良品と不良品の混入する虞がある。つまり、量目の不足品があっても、量目過多があることで相殺され良品になる。一袋単位で量目不足の不良品が商品に混入してしまう。このように、箱単位で不良になった場合に、良品と不良品との区分けができない。この場合、良品の再利用が困難であり、無駄が発生してしまう。
【0007】
箱単位で測定する場合、箱自体の重量バラツキがあり、これより圧倒的に軽量な一袋単位の量目過不足はチェックできないことになり、複数の量目不足が混入した一箱単位の場合にしか有効でない。
【0008】
また、特開2002−173116号公報(特許文献2)に記載の「連続包装体のシール部検知装置」では、連続包装体の横シール部分に噛みこんだ内容物を検知するユニットを提案している。
【0009】
この検知装置においては、一対のシール部保持ローラーにて、シール部分を挟み込み、その間隔を増幅しセンサーで検出する。シールだけの場合の厚みと異物を噛みこんだ場合の厚み差でシールの異物噛み込みを判定する。
【0010】
しかしながら、この検知装置では、接触式につきその感度に限界があるため、薄い物品が噛みこまれた場合、検出不可能になる。また、タイミングを取って、横シール部分にのみシール部保持ローラーをタッチさせる構造のため、高速化への対応に限界がある。
【0011】
なお、出願人は、実願2013−004567号の「連包品検査装置」(未公知)によって、折畳箱詰め装置へ供給する連包小袋の一袋づつの内容量の過不足と、横シール部分への異物噛み込みを検出し、不良パウチにマーク付け後、カット排出を自動的に行う装置を提案している。
【0012】
この未公知の連包品検査装置の要請には、下記のものがある。
【0013】
(1)水平搬送タイプの検査装置を使用しており、かつカット装置も組合せている関係上、折り畳み箱詰め装置に連包パウチを供給するまでの距離が長い。
【0014】
現状の装置構成では、最小でも、充填機出口から折り畳み装置の入口プールボックスまで3600mm必要となり、ユーザーにとって現在使用中の折り畳み箱詰め装置からの置換えが困難な場所がある。
【0015】
(2)水平搬送の場合、パウチの中身格納部分内で内容物が拡散し、内容物が均一に存在しにくい。このため、内容量を測定するさいに誤差が大きくなる。特に、内容物が液体の場合に、この誤差が顕著に表れる。
【0016】
(3)水平搬送でX線照射部の上流側に、連続包装体の縦シール部分を挟んで誘導するピンチローラー4a、境界検出部18を設けた構成では、連続包装体を座屈させずに真直ぐ搬送するためには、X線検査部内部を貫通する搬送手段(例えば、ベルトコンベア)が必要になる。
【0017】
(4)この構成にて、ピンチローラー4a及び搬送手段を非同期なモーターで駆動する場合、境界検出部18からX線照射部までの搬送距離と搬送速度にて到達時間を算出し、一定速度にて搬送されている条件から個装(中身)部を特定することになる。さらに、X線検査後その良否判定に基づき、不良品がマーク付け位置を通過する時間を求めて(マーク付け位置からX線照射位置までの距離を搬送速度で除することで求めた時間)、不良となった個装(中身)部にマークを付ける。
【0018】
それぞれの駆動部の回転抵抗の変化が原因で、搬送速度が変化すると到達時間も変化し、個装(中身)部の位置がずれると、測定精度を悪くする可能性がある。
【0019】
常に、ベルトコンベアの搬送速度>ピンチローラーの搬送速度の関係が保たれないと成り立たない。
【0020】
この場合、ある位置への到達が、搬送速度基準になっており、これにバラツキができると測定精度を悪くなる。
【0021】
(5)不良パウチへのマーク付けの不具合を回避するため、境界検知部にて個装(中身)部の通過をカウントし、不良品の発生したカウント値をパウチの切断装置にシフト情報として送り、切断装置側に設けた境界検出部にてパウチの通過をカウントすることで、マーク付けしたパウチと照合して、不良品を切断する構成になっている。
【0022】
この場合、誤りなく不良パウチを切断するには、マーク付けユニットと2重の境界検出部が必要であり、構成が複雑になる。
【0023】
また、それぞれの駆動用モーターをACサーボモーターのような同期モーターにすれば、連続包装体の実体の搬送とこれと同期してシフトする個装(中身)部と横シール部の信号の一致を保証することは可能であるが、高価な構成になってしまう。
【0024】
ただし、この構成では切断装置の直前にプールボックスがあるため、連続包装体の搬送と同期して良不良信号をシフトさせ、所定位置で搬送を停止させた時、その位置に不良パウチが存在する構成にできない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0035】
図1〜
図4は、実施形態に係るX線検査機能付き折り畳み箱詰め装置(以下「折り畳み箱詰め装置」という)の説明図である。
【0036】
この折り畳み箱詰め装置は、
図1に示すように、内容物を収納する個装部と横シール部とが交互に並ぶ連続包装体10を搬送部12によって搬送して、搬送された連続包装体10を折り畳み部14によって折り畳んで箱状の収容容器16に収容するものである。
【0037】
そして、この折り畳み箱詰め装置では、搬送されている前記連続包装体10の前記の個装部と横シール部との境界を検出して、境界検出信号を生成する境界検出部18と、搬送されている前記連続包装体10の個装部が良又は不良かを当該連続包装体10へのX線照射に基づき検査するX線検査部20と、前記X線検査部20で検査された前記連続包装体10を折り畳んで収容容器16に収容する折り畳み部14と、前記連続包装体10がX線検査部20のX線照射位置を通過する際、前記搬送部12の搬送速度を制御し一定速度で連続包装体10を搬送し、連続包装体10の特定の個装部の位置を認識する搬送制御部22とを備え、前記搬送部12は、前記X線検査部20で上下に沿って前記連続包装体10を搬送させる機能を有し、前記X線検査部20から折り畳み部14の間に不良品を切断するスペースを設けたものである。
【0038】
また、前記境界検出部18及びX線検査部20に送出する連続包装体10を貯留するプールボックス24が設けられる。
【0039】
また、搬送部12として、プールボックス24から出てくる連続包装体10を誘導するガイドロールユニット26と、ガイドロールユニット26の上方であって前記連続包装体10に引っ張り力を付与して上方向きに引き上げるフィードユニット28とを設けている。ガイドロールユニット26およびフィードユニット28の間の経路内で上方向きに搬送される連続包装体10を検出可能に前記前境界検出部18と前記X線検査部20を設置したものである。
【0040】
また、前記フィードユニット28の出側の下方にアキュームボックス30を備えている。
該アキュームボックス30には、下方向きに導入された連続包装体10を上方向きに折り畳み部14に導く錘付のパイプ32を設けている。
【0041】
前記錘付のパイプ32の移動位置の上限を検出する上限センサー34を設け、前記搬送制御部22は、該センサー34の上限検出信号が出力されたときに、前記折り畳み部14の動作を停止する。
【0042】
前記搬送制御部22は、前記連続包装体10の個装部と横シール部との境界検出信号に基づき、個装部領域と横シール部領域との区分を示す信号を生成し、この生成信号を連続包装体10の搬送と同期させるように前記搬送部12の駆動を制御するものである。
【0043】
実施形態の折り畳み箱詰め装置の構成をさらに詳しく説明する。
【0044】
図1に示すように、折り畳み箱詰め装置においては、連続包装体10の上流側から下流側に向けてのユニットの並びは、下記のプールボックス24、ガイドロールユニット26、境界検出部18、X線検査部20、フィードユニット28、切断位置A、アキュームボックス30、折り畳み部14の順に設けたものである。折りたたみ箱詰め装置では、各機器が後方側のフレーム36に支持設置されている(
図2参照)。
【0045】
(1)プールボックス24
プールボックス24は連続包装体10を収容する箱であり、その上流側には、チューブ状に形成したフィルム内の所定量の内容物を収容して、横シール部を封入して個装部を区分けした連続包装体10の充填機(図示省略)が設けられる。その充填機からプールボックス24に送り込まれる連続包装体10の搬入速度と、X線検査部20を連続包装体10が通過する速度の不一致を吸収する。
【0046】
個装部の不良品を切除し連続包装体10の切断部をテープ繋ぎする間、X線検査部20へ連続包装体10の送り込みを中断する。ただし、この間も充填機からは新たな連続包装体10が送り込まれるため、プールボックス24は、これを貯留する。
【0047】
プールボックス24には、上限センサー(図示料略)が付いており、連続包装体10の溜まり込みが少なくなり、この上限センサー位置を超えると、フィードユニット28の搬送が停止する。その後、充填機より連続包装体10がプールボックス24に送り込まれ、下限センサーを超えると、フィードユニット28の搬送が再開する。
【0048】
(2)ガイドロールユニット26
このガイドロールユニット26は、プールボックス24出口に配置し、2本のガイドロールにて構成する。
【0049】
ガイドロールユニット26においては、連続包装体10を2本のガイドロール間でS字状に通すことで、下流側から連続包装体10が引っ張られたときに、抱き角により巻付き抵抗が発生する。
【0050】
なお、出口側のガイドロールには鍔(フランジ)が付いている。この鍔とフィードユニット入口側のガイドロールのロールの鍔で、連続包装体10の幅方向をX線検査部20の幅位置に対して一定になるようにガイドする。
【0051】
(3)境界検出部18
境界検出部18には、超音波式の検出器を使用することで、連続包装体10の外包みである2枚重ねのフィルムが密着した部分(横シール)と2枚のフィルムが分離し中間に空間のある中身格納部分を検出することができる。
【0052】
連続包装体10の横シールと中身格納部の境界信号から、搬送制御部22において個装(中身)領域と横シール領域の区分を表す信号を生成する。
【0053】
(4)X線検査部20
X線検査部20は、連続包装体10にX線を照射して、透過したX線を受光して画像解析することにより、異物混入、欠品、質量検査(内容物の占有面積等の検査)等による個装部の不良や、異物の噛み込等の横シール部領域の異常を検出する、通常の異物検出装置と同じ機能を有するが、小型化し搬送手段を取り除いた構成になっている。
【0054】
X線検査部20では、異物混入や欠品、質量検査等の個装(中身)領域の不良や、異物の噛み込等の横シール領域の不良を検出して、良又は不良の判定信号を出力することができる。
【0055】
なお、X線検査部20は、
図1に示すように、プールボックス24の奥側に検査制御部20bが設けられ上部にモニタ画面20cが設けられている。符号20dが信号ケーブルである。
【0056】
また、X線検査部20は、
図3に示すように、外周が箱型であって、内部に下から上向きに連続包装体10が搬送される。符号20aの部分がX線を照射して検査するX線検査位置である。
【0057】
また、前面には開閉式の蓋20bが設けられ、開くことで連続包装体10を前面から装着し易くなっている。
【0058】
(5)フィードユニット28
境界検出部18とフX線検査部20の上方であって、後流のアキュームボックス30との中間部分に、連続包装体10の縦シール部分を挟んで誘導する複数のニップローラーが配置されたフィードユニット28が設けられる。
【0059】
図3に示すように、フィードユニット28は、軸両端にフランジのあるロールに連続包装体10を載せてニップローラー28aの縦シールを挟み付け、搬送用のロールをタイミングベルト28bで繋いでニップローラー28aと同期回転する構成を有している。
ニップローラー28aの駆動は、AC(交流)サーボモーター28cを用いている。
【0060】
ニップローラー28aの前後は水平搬送するため、中身格納部分の曲がりを防止するため、複数のタイミングベルト28bの例えば丸ベルトがほぼ等間隔にローラー間に配置されている。なお、ベルトも、ニップローラー28aと同じ周速で動く。
【0061】
(6)切断位置
フィードユニット28の出口部分から、アキュームボックス30の高さの中間位置付近までを切断位置(符号Aで示す)として設定できる。
【0062】
設定した切断位置に、不良品が到達すると、フィードユニット28の連続包装体10の送りが停止する。
【0063】
(7)アキュームボックス30
アキュームボックス30には、フィードユニット28から送り出された連続包装体10をパイプ32に巻いて下方向きに当該パイプ32に錘の重量をかけた状態で折り畳み部14側に送り出している。当該パイプ32の上下動によって、前記フィードユニット28から送り込まれる連続包装体10の搬入速度と、折り畳み箱詰め装置の処理速度の不一致を吸収する。パイプ32は錘を付けたり、樹脂製や金属製としてそれ自体を錘の重量としても良い。
【0064】
アキュームボックス30には、パイプ32の移動範囲について、設定された上限位置を検出する上限センサー34と下限位置を検出する下限センサー(図示省略)が付いている。アキュームボックス30内に連続包装体10の溜まり込むとパイプ32が下方に移動し、一方、少なくなるとパイプ32が上方に移動する。そのパイプ32の移動範囲の上限を上限センサーで検出する。
【0065】
アキュームボックス30内の連続包装体10の溜まり込みが少なくなり、設定された上限位置を超えると、上限センサー34が検出し、折り畳み箱詰め装置は作業を中断し、待ちの状態になる。
【0066】
一方、連続包装体10の溜まり込みが多くなり、設定された下限位置に達すると下限センサーが検出し、フィードユニット28の送りが停止する。
【0067】
(8)搬送制御部22
搬送制御部22は、連続包装体10の横シールと中身格納部の境界信号に基づき、個装(中身)領域と横シール領域の区分を示す信号を生成する。
【0068】
この信号は、連続包装体10の搬送と同期させ、連続包装体10の個装(中身)部と横シールの実体の送りに合わせてしてシフトさせる。
【0069】
(9)折り畳み部14
フィードユニット28が連続包装体10に送り込みを停止すると、折り畳み箱詰め装置の定量送り部も連続包装体10の搬送を中断する。
【0070】
折り畳み部14の構造は、
図1に示すように、上側から下方に向けてローラーに誘導されて、連続包装体10の厚みを検出する厚み検知ユニット14a、定量送りする手送りユニット14b、スイングシュート14cが設けられる。下方に配置された収容容器16に連続包装体10を送り込む際に、前記スイングシュート14cが図の左右方向に振り(振り方向を符号14dで示す)ながら送り込むので、連続包装体10は収容容器16内に折り畳んだ状態で収容されることになる。なお、収容容器16は台車部16aに支持される。
【0071】
上記構成の本実施形態の折り畳み箱詰め装置には以下の特徴がある。
【0072】
1.レイアウト(機器配置)
X線検査部20の連続包装体10の搬送方向は鉛直方向である(連続包装体10の搬送方向が、下側から上側に向かう流れとなっている)。
【0073】
フィードユニット(ニップローラー)28がX線検査部20の下流側にあり、上流側にガイドロールユニット(走行抵抗)26がある。
【0074】
フィードユニット28下流のアキュームボックス30内に錘のパイプ(ローラーでもよい)32が設けられる。
【0075】
機器配置において、このようにX線検査部20の連続包装体10の搬送方向は鉛直方向であることから、次の特徴的な作用が生じる。
【0076】
仮に、連続包装体10を水平搬送した場合、当該連続包装体10の個装(中身格納部)に入っている内容物は、粗密具合や重なり具合が不均一な状態で格納部全域に存在することになる。
【0077】
これに対して、連続包装体10を垂直搬送すると、内容物は重力の作用により中身格納部の下部に集まることになる(搬送による振動も、内容物を下方に移動させる)。このように垂直搬送するので、下部に内容部物が集中して、X線で中身の重量を検出する場合、拡散しているより集中した状態の方が、測定精度が高いので好ましい。
【0078】
2.各機器
フィードユニット28はサーボモーター28cで駆動し、駆動を同期制御する。
【0079】
境界検出部18は超音波式センサーを有し、連続包装体10の横シール部と中身格納部(個装部)とを区分して認識する。
【0080】
フィードユニット28のニップローラー28aをACサーボモーター28cで駆動することで、搬送される連続包装体10は位置認識(搬送距離)できる。
【0081】
また、上流側のプールボックス24出口に配置したガイドロールユニット26で、連続包装体10をS字掛けすることで、搬送抵抗が生じる。この搬送抵抗によって連続包装体10は、ニップローラー28aによって滑りのない連続包装体10の搬送ができる。
【0082】
搬送制御部22によってACサーボモーター28cで駆動されるニップローラー28aの回転を制御するパルス信号と境界検出部18で検出した内容物を収納する個装(中身)部と横シール部の信号を同期し、連続包装体10の送りと一緒にシフトすることで、マークを付けることなく、個装(中身)部の良否を認識できるようにしている。
【0083】
上記機器構成では、フィードユニット(ニップフィードロール)28がX線検査部20の下流側にあり、上流側にガイドロールユニット(走行抵抗)26がある。
【0084】
上流側のプールボックス24出口に配置したガイドロールユニット26で、上記のように、連続包装体10をS字掛けすることで、搬送抵抗が生じる。
【0085】
X線検査部20の下流側に配置したフィードユニット28で、連続包装体10を鉛直下方から引き上げるように上方に搬送する際、ガイドロールユニット26の抵抗が張力になり、連続包装体10は座屈することなく真直ぐ、上方向きにX線検査部20内で搬送できる。
【0086】
このため、境界検出部18にて生成した個装(中身)部と横シール部の信号は、連続包装体10の搬送と同期してシフトさせた時、連続包装体10の実体の個装(中身)部と横シール部とずれることはない。
【0087】
また、境界検出部18からX線検査部20のX線照射位置までの距離L1、そのX線照射部からフィードユニット28のニップローラー28a位置までの距離L2が決まっていると、ニップローラー28aの回転数(ACサーボモーターのパルス数)にて搬送距離が計算でき、境界検出部18の超音波検査位置を起点としたときの、連続包装体10の搬送位置が求められる。
【0088】
3.フィードユニット下流のアキュームボックス30内に錘がある.
不良品パウチを正しく切断するには、長さL3(ニップフィードロール位置から手動カット位置)においても、連続包装体10が座屈することなく真直ぐに搬送される条件が必要になる。
【0089】
このため、アキュームボックス30内に錘となる樹脂製等のパイプ32を入れ、その錘となるパイプ32によって連続包装体10に張力を付与している。
【0090】
4.フィードユニット28はサーボモーター28cで駆動し同期制御する。
フィードユニット28のニップローラー28aをACサーボモーター28cで駆動することで、搬送される連続包装体10は位置認識(搬送距離)できる。
【0091】
5.境界検出部18は超音波式センサーで構成する。
超音波検出センサーの特徴から、2枚重ねのフィルムが分離しその中間に空間のある中身格納部(個装部)と、2枚のフィルムが熱シールにて一体化した横シール部を区分できる。
【0092】
6.搬送制御部22
搬送制御部22では、領域信号を作り、これを連続搬送体10の搬送と同期させ、実体の領域の搬送に合わせてシフトさせることで、境界検出部18の超音波検出器位置から任意位置において、どの領域がこの位置にあるのかがわかる。
【0093】
このため、マークを付けることなく一袋単位での良品又は不良品を把握することが可能となる。
【0094】
実施形態に係る折り畳み箱詰め装置の動作概要を説明する。
a)フィードユニット28のニップローラー28aで連続包装体10の縦シール部を挟み込み、一定速度で搬送する。
【0095】
b)境界検出部18を連続包装体10が通過すると、境界検出部18の超音波検出センサーが横シール部分および中身格納部分(個装部)を認識する。
【0096】
c)上記の超音波検出センサーからの信号に基づき、搬送制御部22ではフィルタ&マスキング処理を行い、連続包装体10の横シール領域と中身格納(個装部)領域を表す信号を作成する。
【0097】
d)この領域信号は、連続包装体10の搬送に同期してシフトさせる。
【0098】
e)横シール領域もしくは中身格納領域が、X線検査部20のX線照射位置を通過時に、領域の開始と終了の信号(シフトされてきた領域信号のエッジ)をX線検査部に出力する。
【0099】
f)なお、領域のX線照射位置通過は、境界検出部18の超音波検出器位置からX線照射部までの距離が決められると、ACサーボモーター28cのパルス数とパルスレートより電気的に求めることができる。
【0100】
g)領域の開始位置から終了まで、X線検査部20では、個装(中身)領域に異物混入や欠品、質量の過不足がないかを検査し、横シール領域に異物の噛み込等を検査する。
【0101】
h)検査領域の終了信号が出力されると、X線検査部20では一定時間後に検査結果をパウチ単位で判定(良品/不良品)し、その結果は搬送制御部22に入力される。
【0102】
i)この判定信号は、連続包装体10の搬送と同期させて(つまり、領域信号と同期させて)シフトさせるので、連続包装体10のパウチ(個装部)一袋づつの良・否の位置が電気的に認識できる。
【0103】
j)不良パウチ(個装部)の切除位置まで搬送されると、ニップローラー28aの回転を減速させながら停止させ、連続包装体10に衝撃を与えることなく停止させる。ただし、減速の開始は、X線検査の終了位置からとする。
【0104】
k)なお、ACサーボモーター28c駆動であるため、減速停止するまでの送り量は特定(一袋以下の距離)できるため、停止位置は毎回同じになる。
【0105】
l)作業者は、不良パウチ(個装部)を切除すると同時に切断端をテープでつなぎなおす。
【0106】
m)切除・つなぎ作業後、連続包装体10の搬送を再開するが、減速した間は速度が一定でないため、X線検査が不正確になっている。このため、減速距離+アルファーだけ逆転させる。
【0107】
n)このプラスアルファーの距離は、連続包装体10の搬送状態が再起動後加速され一定速になるまでの距離である。
【0108】
o)なお、減速、逆転、加速中も、連続包装体10の位置(超音波検出器からの搬送距離)は認識した状態になっている。
【0109】
p)連続包装体10が一定速度で搬送されると、X線検査部20でX線検査を再開する。
【0110】
以上の説明のとおり、実施形態に係るX線検査機能付き折畳み箱詰め装置によれば、下記の優れた効果を奏し得る。
【0111】
1)良品のみを箱詰めすることで無駄がなくなり生産性が向上する。
折り畳み部14に入る前の連続包装体10の搬送途中にX線検査部20を設置することで、該連続包装体10の搬送を止めることなく効率的に中身格納部分の異物混入や内容量の質量と欠品、横シール部分への異物噛みを検査できる。不良品があれば箱詰めする前に袋単位で切除するため、良品のみを箱詰めできる。
【0112】
また、X線検査部20の付いていない既設の折り畳み箱詰め装置を使用した場合、商品を包装する直前の工程で、箱詰めされた連続包装体10を切断投入装置にて一袋ごとに切断し、商品(袋麺やカップ麺)に投入した後、金属探知機やウエイトチェッカーにて商品単位で検品後、出荷包装している。この場合、いろいろな物品を複合した状態でチェックするため、他は良品でもパウチのみが不良品の場合、全てが不良となり無駄が発生する。
【0113】
これに対して、本実施形態においては、商品へ投入する前にそれぞれをチェックし、良品のみにすることが、出荷包装までの生産効率を向上し、無駄をなくすことになる。
【0114】
2)X線検査精度の向上(中身格納部の内容物の分布がほぼ一定化でき、測定精度が向上する)する。
連続包装体10は、X線検査部20を鉛直方向に通過するという搬送ラインを構成している。
【0115】
垂直搬送すると、内容物は重力の作用により中身格納部の下部に集まり、X線で中身の重量を検出する場合、拡散しているより集中した状態の方が、測定精度が高いので、垂直方向搬送が好ましい。
【0116】
3)X線検査部の構造が簡素化する。
X線検査部20の下流側にフィードユニット28を配置し、さらに連続包装体10の流れを鉛直方向にしたため、X線検査部20を貫通するベルトコンベア等の搬送部12を不要にできる。
【0117】
4)不良品へのマーク付けが不要(機構構成の簡素化)になる。
本実施形態において、搬送部12における、連続包装体10の搬送方向が上下に沿うものにした場合、ガイドロールユニット26からフィードユニット28のニップローラー28aまでは、ガイドロールユニット26による抵抗が張力を生むので、連続包装体10は座屈することなく真直ぐに搬送され、また、ニップローラー28aからアキュームボックス30の錘位置までは、錘による張力の付与により座屈することなく真直ぐに搬送される。このように、連続包装体10は常に張力の作用でピンと伸ばされた状態になっているため、各ユニットの位置と切断位置の距離が固定されているので、個装(中身)部と横シール部の実体の搬送と、これと同期してシフトされる個装(中身)部と横シール部を表す信号はずれることがない。不良品を所定の位置で停止させることが可能になるため、マーク付けが不要になった。
【0118】
5)現状の折り畳み箱詰め装置の設置範囲に設置できる
先願の実願2013−004567号「連包品検査装置」では、不良品の切除を自動で行うメリットはあるが、充填機と折り畳み箱詰め装置の間に例えば3m近くのスペースが必要であった。本実施形態では、X線検査部20の小型化と機器構成の簡素化により、従来の折り畳み箱詰め装置の設置範囲でX線検査が可能になった。
【0119】
以上説明したとおり、本発明では、上記した実施形態に限定されず本発明の範囲内で種々の構成を取りうる。