特開2015-746(P2015-746A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015000746-薬液容器の中栓 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-746(P2015-746A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】薬液容器の中栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/18 20060101AFI20141202BHJP
【FI】
   B65D47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-126467(P2013-126467)
(22)【出願日】2013年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000190068
【氏名又は名称】伸晃化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】上坊寺 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀樹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB05
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EB02
3E084EB03
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC01
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB12
3E084HA03
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD04
3E084KB02
3E084LA17
3E084LA21
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】中栓10を硬質合成樹脂のみで一体成形する。
【解決手段】硬質合成樹脂製の薬液容器20の口部21に装着する硬質合成樹脂製の中栓10であって、ノズル部11、フランジ部12、スカート部13を一体成形し、スカート部13は、上部の小径部13a、中間の膨出部13b、下部のテーパ部13cを順に滑らかに連続させて形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に装着する硬質合成樹脂製の中栓であって、ノズル孔を有するノズル部と、該ノズル部の基部のフランジ部と、該フランジ部に垂設するスカート部とを一体成形してなり、前記スカート部は、上部の小径部と、薬液容器の口部の内径より大きい最大外径を有する中間の膨出部と、外径を下向きに滑らかに縮径させる下部のテーパ部とを順に滑らかに連続させて形成することを特徴とする薬液容器の中栓。
【請求項2】
薬液容器の口部の内径cmm、前記膨出部の最大外径bmm、前記小径部の外径dmmとして、d≦c≦20、c+0.1≦b≦c+0.6に設定することを特徴とする請求項1記載の薬液容器の中栓。
【請求項3】
前記フランジ部の下面から前記膨出部の最大外径の位置までの距離e>1.5mmに設定することを特徴とする請求項2記載の薬液容器の中栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に装着する硬質合成樹脂製の薬液容器の中栓に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に装着する中栓は、ノズル部の変形を防止して薬液滴下量の安定性を図ったり、薬液の有効成分の吸着等を防止したりするために、硬質合成樹脂製とすることが好ましいが、優れた液密性を確保するために、軟質合成樹脂を介して薬液容器の口部に嵌合させるのが一般的である。
【0003】
そこで、従来の薬液容器の中栓は、たとえば硬質合成樹脂製の内筒に対して軟質合成樹脂製の外筒を組み合わせ、後者を介して薬液容器の口部に圧入する構造である(たとえば特許文献1、2)。なお、硬質合成樹脂製、軟質合成樹脂製の各部材は、二色成形により一体成形することも可能である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−124663号公報
【特許文献2】特開平11−130118号公報
【特許文献3】特開平10−203546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、中栓は、硬質合成樹脂製、軟質合成樹脂製の各部材を組み合わせ、または、これらの部材を二色成形によって製作するから、製造工程が煩雑であり、製造コストが過大になりがちであるという問題が避けられない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、薬液容器の口部に圧入するスカート部の外形を適切に設定することによって、硬質合成樹脂のみで一体成形し、製造コストを低減させることができる薬液容器の中栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に装着する硬質合成樹脂製の中栓であって、ノズル孔を有するノズル部と、ノズル部の基部のフランジ部と、フランジ部に垂設するスカート部とを一体成形してなり、スカート部は、上部の小径部と、薬液容器の口部の内径より大きい最大外径を有する中間の膨出部と、外径を下向きに滑らかに縮径させる下部のテーパ部とを順に滑らかに連続させて形成することをその要旨とする。
【0008】
なお、薬液容器の口部の内径cmm、膨出部の最大外径bmm、小径部の外径dmmとして、d≦c≦20、c+0.1≦b≦c+0.6に設定することができ、フランジ部の下面から膨出部の最大外径の位置までの距離e>1.5mmに設定することができる。
【発明の効果】
【0009】
かかる発明の構成によるときは、硬質合成樹脂製の中栓は、スカート部の中間の膨出部の最大外径を適切に設定することにより、スカート部の全長を硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に圧入して装着し、膨出部を介して口部内に液密状態に保持することができ、薬液容器の口部に有害なクラックを生じるおそれもない。一般に、軟質合成樹脂製の中栓は、硬質合成樹脂製の薬液容器の口部に圧入すると、圧入応力を緩衝するが、硬質合成樹脂製の中栓は、薬液容器の口部に圧入応力を負荷し続けるため、時間の経過とともに口部の上端部にクラックを生じ易い。しかし、スカート部の上部の小径部は、口部の内径と同一、または、それより小さい外径であって、口部の上端部に圧入応力を負荷させることがなく、クラックの発生を有効に防止することができる。そこで、中栓は、硬質合成樹脂だけで一体成形することができ、軟質合成樹脂製の部材と組み合わせたり、二色成形したりする煩雑さや、そのための製造コストなどの問題を一掃することができる。
【0010】
なお、薬液容器用の硬質合成樹脂としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリアリレート(PAR)、環状オレフィンコポリマー(COC)などが好適である。また、中栓用の硬質合成樹脂としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが好適に使用可能である。
【0011】
スカート部の膨出部の最大外径bmmは、薬液容器の口部の内径c≦20mmに対し、c+0.1≦b≦c+0.6に設定することにより、最も良好な圧入特性を実現することができる。b<c+0.1mmでは、中栓の機械的な安定性や液密性が不十分になるおそれがあり、b>c+0.6mmでは、薬液容器の口部に過大な圧入応力を生じ、薬液容器の口部に有害なかじりやクラックを生じるおそれがある。
【0012】
フランジ部の下面から膨出部の最大外径の位置までの距離e>1.5mmとすると、小径部により薬液容器の口部の上端部に形成される圧入応力を受けない部位の範囲を必要十分に広くすることができ、口部におけるクラックの発生を一層有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】使用状態を示す組立説明図
図2】使用状態を示す分解断面説明図
図3】使用状態を示す分解斜視説明図
図4】要部拡大動作説明図
図5】他の実施の形態を示す図1相当説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0015】
中栓10は、ノズル部11、フランジ部12、スカート部13を備えてなる(図1図2)。ただし、中栓10は、硬質合成樹脂により一体成形されており、硬質合成樹脂製の薬液容器20の口部21にスカート部13の全長を圧入して装着するものとする。
【0016】
薬液容器20は、硬質合成樹脂により一体成形されている。薬液容器20は、有底円筒状の胴部22の上端に上向きの口部21を形成し、口部21の外周には、図示しないねじ式のキャップ用の雄ねじ23が形成されている。
【0017】
中栓10は、円錐台状のノズル部11の基部にフランジ部12を形成し、フランジ部12の下面には、スカート部13が垂設されている。ノズル部11の内部は、スカート部13を介して薬液容器20の内部に連通しており、ノズル部11の先端には、ノズル孔11aが形成されている。ノズル部11、フランジ部12、スカート部13は、全体として軸対称の回転体状に形成されている。
【0018】
スカート部13の外形は、上部の小径部13a、中間の膨出部13b、下部のテーパ部13cが順に滑らかに連続して形成されている。小径部13aの外径は、上下方向にほぼ一定であり、膨出部13bの外径は、上下方向の中間部に最大外径を含むように滑らかに膨出しており、テーパ部13cの外径は、下向きに滑らかに縮径している。スカート部13は、薬液容器20の口部21の内径cmm、膨出部13bの最大外径bmm、小径部13aの外径dmmとして、d≦c≦20、c+0.1≦b≦c+0.6に設定され、フランジ部12の下面から膨出部13bの最大外径の位置までの距離e>1.5mmに設定されている。また、スカート部13の下端の最小外径fmmとすると、f≪cに設定されている。ただし、図1図2において、スカート部13内の横向き三角形のマークは、膨出部13b内の最大外径の位置を示す。
【0019】
中栓10は、スカート部13の全長を薬液容器20の口部21に圧入して取外し不能に装着する(図1図3)。また、中栓10は、薬液容器20の雄ねじ23に適合する雌ねじ付きのねじ式のキャップ30を介して着脱自在に中栓10をカバーすると同時にノズル孔11aを封止することができる。薬液容器20内の薬液を使用するときは、キャップ30を外して薬液容器20を倒立させ、手指で胴部22を押して弾性変形させてノズル孔11aから薬液を排出させる。なお、ノズル孔11aからの薬液は、薬液容器20の胴部22を押圧する都度、ほぼ一定量ずつが排出される。
【0020】
中栓10のスカート部13は、薬液容器20の口部21内において、フランジ部12の下面からほぼ小径部13aの範囲に亘り、口部21の内面との間に隙間δ=c−d≧0を形成する(図4(A))。そこで、口部21の上端部には、中栓10による圧入応力が圧入時を除いて負荷されることがなく、圧入後の時間の経過により口部21にクラックを生じるおそれもない。これに対し、スカート部13の上部に小径部13aを形成せず、スカート部13の上半部を膨出部13bの最大外径b相当の一定外径に形成すると(図4(B))、圧入後の時間の経過により口部21の上端部に有害なクラックが発生する傾向が顕著である。ただし、図4(A)は、図1の要部拡大図であり、同図(B)は、比較例を示す同図(A)相当の要部拡大図である。
【他の実施の形態】
【0021】
中栓10、薬液容器20は、それぞれ任意に変形可能である。
【0022】
たとえば、中栓10のノズル孔11aは、ノズル部11の先端に向けて斜めに開拡する短いテーパ孔とし、直管部11b、小孔の絞り部11cを介してスカート部13、薬液容器20の内部に連通させることができる(図5(A))。絞り部11c、直管部11b、テーパ孔のノズル孔11aにより大径の液滴を形成して薬液を滴下させることができ、試薬用などの中栓10として好適である。
【0023】
また、ノズル孔11aは、ノズル部11の先端から下向きに断面積を連続的に滑らかに縮少させ、下端の小孔の絞り部11dを介してスカート部13、薬液容器20の内部に連通させることができる(図5(B))。薬液容器20の胴部22をたとえば正面視台形状などの弾性変形させ易い偏平容器とすることと相俟って、適切なサイズの液滴として薬液を滴下させる点眼薬用などの中栓10として好適である。
【0024】
以上の説明において、キャップ30は、ねじ式以外の任意の着脱可能な形式であってもよく、そのとき、薬液容器20の口部21には、雄ねじ23を形成する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、任意の薬液を収納する薬液容器20に対し、広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10…中栓
11…ノズル部
11a…ノズル孔
12…フランジ部
13…スカート部
13a…小径部
13b…膨出部
13c…テーパ部
20…薬液容器
21…口部

特許出願人 伸晃化学株式会社
図1
図2
図3
図4
図5