【解決手段】本発明は、アミノ変性シリコーン、カチオン界面活性剤、高級アルコール及びカチオン化セルロースが配合され、上記アミノ変性シリコーンの配合量が3質量%以上の毛髪処理剤である。上記カチオン化セルロースの配合量としては、上記アミノ変性シリコーン100質量部に対して2質量部以上40質量部以下が好ましい。当該毛髪処理剤は、剤型がクリーム状であり、塗布後に洗い流す用途で用いられるものが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の毛髪処理剤は、アミノ変性シリコーン、カチオン界面活性剤、高級アルコール及びカチオン化セルロースが配合されるものである。当該毛髪処理剤は、ノニオン界面活性剤、アミノ変性シリコーン以外のシリコーン、多価アルコール、低級アルコールが配合されていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含んでいてもよい。以下、これらの成分について詳説する。
【0012】
[アミノ変性シリコーン]
アミノ変性シリコーンとは、シリコーン骨格に直接あるいは置換基を介してアミノ基を有するシリコーンである。このアミノ変性シリコーンとしては、例えば一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
【0014】
上記一般式(1)中、x及びyは1〜5の整数を示し、m及びnは分子量に依存する整数を示す。
【0016】
上記一般式(2)中、v及びwは1〜5の整数を示し、p及びqは分子量に依存する整数を示す。
【0017】
一般式(1)に示す化合物としては、例えば、x=3及びy=2であるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体((アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー)が挙げられる。また、一般式(2)に示す化合物としては、例えば、v=3及びw=2であるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)が挙げられる。
【0018】
アミノ変性シリコーンの具体例(化粧品の表示名称を含む)としては、上記化合物以外に、例えばアミノプロピルジメチコン(アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、高重合アミノプロピルジメチコン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アクリル・アミノ変性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーン等が挙げられる。これらのアミノ変性シリコーンは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0019】
当該毛髪処理剤におけるアミノ変性シリコーンの配合量の下限は、3質量%である。この配合量であっても、カチオン化セルロースが配合されるから、当該毛髪処理剤を水洗する際の流し感が向上する。一方、アミノ変性シリコーンの配合量の上限としては、特に限定されないが、8質量%が好ましく、7質量%がより好ましく、6質量%がさらに好ましい。このように、アミノ変性シリコーンの配合量を上記範囲とすることで、処理後の毛髪に十分なコンディショニング効果を付与することができると共に、毛髪の硬さやべたつきの発生を低減することができる。
【0020】
アミノ変性シリコーンのアミノ含量(アミノ変性シリコーン中の窒素の含有量)は、0.5質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.7質量%以上2.2質量%以下がより好ましい。このようにアミノ変性シリコーンのアミノ含量を上記範囲とすることで、上述のコンディショニング効果及び流し感の改善効果を好適に奏することができる。
【0021】
[カチオン界面活性剤]
カチオン界面活性剤としては、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる(上記ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩及びモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩における「長鎖アルキル」の炭素数は、例えば12以上22以下である。)。これらのカチオン界面活性剤は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。当該毛髪処理剤におけるカチオン界面活性剤の配合量としては、適宜設定されるものであるが、例えば1質量%以上7質量%以下である。
【0022】
[高級アルコール]
高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられ、炭素数16〜22の直鎖状飽和アルコールが好ましい。これらの高級アルコールは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。当該毛髪処理剤における高級アルコールの配合量としては、適宜設定されるものであるが、例えば5質量%以上15質量%以下である。
【0023】
[カチオン化セルロース]
カチオン化セルロースとしては、例えばヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体である塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。当該カチオン化セルロースは市販されており、例えば、ダウ・ケミカル日本社の「UCARE Polymer JR−30M」、東邦化学工業社の「カチナールHC−200」、東邦化学工業社の「カチナールLC−200」、東邦化学工業社の「カチナールLC−100」、KCI社の「POLYQUTA 3000KC」、花王社の「ポイズC−80M」が挙げられる。
【0024】
カチオン化セルロースは、2質量%水溶液にしたときの粘度が10,000mPa・s以上40,000mPa・s以下のものを選定すると良く、20,000mPa・s以上40,000mPa・s以下のものを選定するのが好ましい。この粘度が高くなるほどに、当該毛髪処理剤の粘度も高くなる傾向にある。なお、カチオン化セルロースの2質量%水溶液の粘度については、B型粘度計を用いて、25℃、M4ロータ、12rpmの条件で測定開始から60秒後の値を採用する。
【0025】
カチオン化セルロースのカチオン化度(カチオン化セルロースにおける窒素含量の百分率)は、特に限定されないが、1.0%以上2.0%以下が好ましい。窒素含量は、カチオン化セルロースに含まれる窒素原子の含有量であり、医薬部外品原料規格において定められている窒素定量法に基づく値を採用する。但し、医薬部外品原料規格に窒素定量法が定められていない場合には、ケルダール法に基づく値を採用する。
【0026】
当該毛髪処理剤におけるカチオン化セルロースの配合量としては、例えば上記アミノ変性シリコーン100質量部に対して2質量部以上40質量部以下であり、上記アミノ変性シリコーン100質量部に対して6質量部以上20質量部以下が好ましい。このようにカチオン化セルロースの配合量を上記範囲とすることで、塗布後の水洗時における油っぽい指通りの悪さをより改善し流し感をより改善できる。
【0027】
[ノニオン界面活性剤]
ノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。当該毛髪処理剤におけるノニオン界面活性剤の配合量としては、適宜設定されるものであるが、例えば5質量%以上10質量%以下である。
【0028】
[シリコーン]
シリコーンとしては、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン;ジメチコノール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチコンが挙げられる。これらのシリコーンは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。当該毛髪処理剤におけるシリコーンの配合量としては、適宜設定されるものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0029】
[多価アルコール]
多価アルコールとしては、例えば1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。当該毛髪処理剤における多価アルコールの配合量としては、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0030】
[低級アルコール]
低級アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールが挙げられ、イソプロピルアルコールが好ましい。当該毛髪処理剤における低級アルコールの配合量としては、例えば0.5質量%以上3質量%以下である。
【0031】
[任意成分]
当該毛髪処理剤に配合される任意成分は、公知の毛髪処理剤原料から適宜選択される。その任意原料は、両性界面活性剤、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0032】
[pH]
当該毛髪処理剤のpHとしては、4以上7以下であると良い。当該毛髪処理剤のpHが7を超えると、当該毛髪処理剤を毛髪に塗布したときに毛髪が膨潤するために好ましくない。
【0033】
[剤型]
当該毛髪処理剤の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられ、クリーム状が好ましい。当該毛髪処理剤をクリーム状の剤型とする場合の粘度としては、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値で4,000mPa・s以上50,000mPa・s以下が好ましく、20,000mPa・s以上40,000mPa・s以下がより好ましい。当該毛髪処理剤の剤型を例示したものとする観点から、水の配合量としては、50質量%以上85質量%以下が好ましい。
【0034】
[用途]
当該毛髪処理剤は、毛髪に塗布した後に洗い流す態様で用いられるものであることが好ましく、ヘアケア剤、パーマ剤、カラーリング剤、ブリーチ剤等として使用可能なものである。「ヘアケア剤」とは、毛髪の手入れ、手当て等を行うために用いられる毛髪処理剤である。ヘアケア剤としては、例えば、コンディショナー、トリートメント(例えば、シャンプー後に使用するトリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの前処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの前処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント)が挙げられる。
【0035】
当該毛髪処理剤を多剤式トリートメントの一構成剤として使用する場合、例えば2剤式毛髪処理剤の第2剤、3剤式毛髪処理剤の第3剤として使用すると良い。
【実施例】
【0036】
以下、当該毛髪処理剤を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
本実施例では、第1剤、第2剤及び第3剤をこの順序で塗布する多剤式毛髪処理剤を用いて水洗の時の流し感を評価した。
【0038】
<第1剤の調製>
第1剤は、加水分解ケラチン1質量%、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム0.4質量%、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(20E.O.)2質量%、1,3−ブチレングリコール5質量%、コハク酸ジエトキシエチル0.05質量%、乳酸0.02質量%、防腐剤0.4質量%及び香料0.2質量%を、水と配合することで流動性の高い液状のものを調製した。
【0039】
<第2剤の調製>
第2剤は、ステアリルアルコール2質量%、ベヘントリモニウムクロリド1質量%、クオタニウム−91 1質量%、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸6質量%、ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル0.5質量%、パルミチン酸セチル0.4質量%、イソノナン酸イソノニル0.3質量%、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル0.05質量%、キャンデリラロウ0.1質量%、イソプロパノール0.3質量%、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク0.1質量%、防腐剤0.01質量%及び香料0.3質量%を、水と配合することでクリーム状のものを調製した。
【0040】
<第3剤の調製>
第3剤は、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム3質量%、セタノール7質量%、ベヘニルアルコール1質量%、オクチルドデカノール3質量%、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン1質量%、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(2E.O.)4質量%、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60E.O.)2質量%、1,3−ブチレングリコール3質量%、イソプロパノール1質量%、カチオン化セルロース(配合したカチオン化セルロース及びその配合量は、下記表参照)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体5質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン2質量%、アミノ酸1質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、乳酸0.4質量%及び香料0.3質量%を実施例1〜4及び比較例1の第3剤の共通組成とし、この共通組成に表1に示す成分及び水を配合することで調製した。なお、表1において、「−」は該当成分を配合しなかったことを意味する。
【0041】
[実施例1]
第3剤として、上記共通組成にアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体5質量部、窒素含量が1.6質量%であるカチオン化セルロースA(ダウ・ケミカル日本社の「UCARE Polymer LR−30M」)0.7質量部を配合しクリーム状の剤型としたものを使用した。
【0042】
[実施例2]
第3剤として、実施例1の第3剤におけるカチオン化セルロールAに代えて、カチオン化セルロールB(KCI社の「POLYQUTA 3000KC」)0.7質量部を配合しクリーム状の剤型としたものを使用した。
【0043】
[実施例3]
第3剤として、実施例1の第3剤におけるカチオン化セルロールAに代えて、窒素含量が1.5質量%であるカチオン化セルロールC(花王社の「ポイズC−80M」)0.7質量部を配合しクリーム状の剤型としたものを使用した。
【0044】
[実施例4]
第3剤として、実施例1の第3剤におけるカチオン化セルロールAに代えて、窒素含量が1.1質量%であるカチオン化セルロールC(東邦化学工業社の「カチナールLC−100」)0.7質量部を配合しクリーム状の剤型としたものを使用した。
【0045】
[比較例1]
第3剤として、実施例1の第3剤におけるカチオン化セルロールを配合せずクリーム状の剤型としたものを使用した。
【0046】
<水洗の時の流し感を評価>
水洗の時の流し感は、第1剤、第2剤及び第3剤をこの順序で洗い流さず塗布(重ね塗り)した後に水洗し、この水洗時の指通りとして評価した。この評価においては、比較例1の毛髪処理剤を毛髪の半分に塗布し、残りの半分に実施例1〜4のいずれかの毛髪処理剤を塗布し、比較例1の毛髪処理剤の指通りとの比較により下記の基準で評価した。
【0047】
〇:基準よりも引っ掛かりがない
−:基準と同等の引っ掛かり
×:基準よりも引っ掛かる
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように、実施例1〜4の毛髪処理剤は、比較例1の毛髪処理剤に比べて指通りが良く、水洗時の流し感が良好であった。この結果から、毛髪処理剤にアミノ変性シリコーンを配合した場合、カチオン化セルロールを配合することで、塗布後の水洗時における流し感が改善されることが確認された。