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特開2015-74831TDMAT又はTDEATを用いてPEALDによりTi含有膜を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-74831(P2015-74831A)
(43)【公開日】2015年4月20日
(54)【発明の名称】TDMAT又はTDEATを用いてPEALDによりTi含有膜を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20150324BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20150324BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20150324BHJP
【FI】
   C23C16/455
   H01L21/31 C
   C23C16/509
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2014-205548(P2014-205548)
(22)【出願日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】14/050,150
(32)【優先日】2013年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】高牟礼 昇
(72)【発明者】
【氏名】岡部 経弘
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA18
4K030BA35
4K030BA38
4K030BA41
4K030BA46
4K030BB03
4K030BB05
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030FA03
4K030FA10
4K030HA01
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB40
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC11
5F045AC14
5F045AC15
5F045DC65
5F045DP03
5F045EE19
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH14
5F045HA16
(57)【要約】
【課題】テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)及び/又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)によりTi含有膜を形成する。
【解決手段】テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)により基板にTi含有膜を形成する方法は、基板が配置される反応空間にパルス状のTDMAT及び/又はTDEATを導入するステップと、NHフリーの反応ガスを反応空間に連続的に導入するステップと、TDMATのパルス及び/又はTDEATのパルスが重複せずに、RFパワーを反応空間にパルス状に印加するステップと、上記のステップを繰り返して、基板にTi含有膜を堆積するステップと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)により基板にTi含有膜を形成する方法であって、
(i)前記基板が配置される反応空間にパルス状に前記TDMAT及び/又は前記TDEATを導入するステップと、
(ii)NHフリーの反応ガスを前記反応空間に連続的に導入するステップと、
(iii)前記TDMATのパルス及び/又は前記TDEATのパルスと重複せずに、RFパワーを前記反応空間にパルス状に印加するステップと、
(iv)前記ステップ(i)から(iii)を繰り返して、前記基板に前記Ti含有膜を堆積するステップと、を備える方法。
【請求項2】
前記NHフリーの反応ガスは、H及び/又はNである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NHフリーの反応ガスは、窒素又は酸素を含まない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記NHフリーの反応ガスは、酸素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記NHフリーの反応ガスは、H及び希ガスからなり、それにより、前記ステップ(iv)の前記Ti含有膜としてTiN結晶膜を堆積する請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記NHフリーの反応ガスは、H、N及び希ガスからなり、それにより、前記ステップ(iv)の前記Ti含有膜としてTiCNアモルファス膜を堆積する請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記Ti含有膜は、−2,500MPaから800MPaの膜応力を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(ii)の前記反応ガスで用いられるHの基準流量、前記ステップ(iii)で用いられる基準RFパワー、及び前記ステップ(i)から(iii)にわたる基準堆積温度を含む堆積条件下で前記ステップ(i)から(iv)により堆積されるTiN結晶膜の膜応力よりも大きい前記Ti含有膜に対して対象となる膜の応力を設定するステップと、
前記ステップ(ii)の前記反応ガスで用いられるHの基準流量、前記ステップ(iii)で用いられる基準RFパワー、及び前記ステップ(i)から(iii)にわたる堆積温度を設定するステップと、をさらに備え、
前記Hの基準流量、前記基準RFパワー及び前記堆積温度の一又はそれ以上のみが前記膜応力を変化させるための制御パラメータとして用いられ、かつ前記Hの基準流量、前記基準RFパワー及び前記基準堆積温度とは異なっており、
その後に、前記Ti含有膜を堆積する前記ステップ(i)から(iv)を処理する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記Ti含有膜は、引っ張り膜応力を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
設定された前記Hの流量は、前記TiN結晶膜に用いられるHの前記基準流量よりも低い請求項9に記載の方法。
【請求項11】
設定された前記RFパワーは、前記TiN結晶膜に用いられる前記基準RFパワーよりも低い請求項9に記載の方法。
【請求項12】
設定された前記堆積温度は、前記TiN結晶膜に用いられる前記基準堆積温度よりも高い請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記Ti含有膜は、約4%から約9%の炭素を含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記Ti含有膜は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)のグラフにおいて2,000cm−1でピークを示し、1,400cm−1でほぼピークを示さない請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記NHフリーの反応ガスは、酸素を含まない反応ガス及び酸素を含む反応ガスを含み、前記ステップ(iv)では、前記ステップ(i)から(iii)が繰り返される場合、NHフリーで酸素フリーの反応ガス及びNHフリーで酸素を含む反応ガスは、設定された間隔で交互に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記NHフリーで酸素フリーの反応ガスは、窒素ガスを含まない水素ガスであり、前記NHフリーで酸素を含む反応ガスは、酸素ガスであり、それにより、設定された間隔で交互に堆積されたTiO膜及びTiN膜からなるTiON膜を形成する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記NHフリーで酸素フリーの反応ガスは、水素ガス及び窒素ガスであり、前記NHフリーで酸素を含む反応ガスは、酸素ガスであり、それにより、設定された間隔で交互に堆積されたTiO膜及びTiCN膜からなるTiOCN膜を形成する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(iv)における前記Ti含有膜としてアナターゼ型の結晶を有するTiO膜を形成するように、前記ステップ(iv)の後に、酸素雰囲気で前記基板の前記Ti含有膜をアニールするステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)及び/又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)によりTi含有膜を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Tiベース膜は、長い間、スパッタリング法、PVD法及びCVD法により形成されてきており、例えば、低シート抵抗を有するTiNは、銅拡散ブロッキング膜として商業的に用いられてきた。また、近年のデバイスノードの縮小化により、spacer−defined double patterning(SDDP)は、微細化のための技術として徐々に用いられ始めており、TiO及びTiNは、SDDPのハードマスク用にふさわしい候補であると考えられている。SDDPハードマスクにとって、良好なステップカバレッジを有するコンフォーマルな膜は、ハードマスクの性質の観点から必要であり、したがって、当業者は、一般的に良好なステップカバレッジを提供するALD法により形成されるTiO及びTiNベースのコンフォーマルな膜を使用及び評価している。特に、TiNは、一般的に、ストレス制御が困難であり、強圧縮状態になりやすく、そのため、ストレス制御は、課題の1つである。また、デバイスノードの微細化によって、スパッタリング法、PVD法及びCVD法による良好なステップカバレッジを有するコンフォーマルな膜を形成することが困難であり、そのため、代替手法として、良好なステップカバレッジ及び低シート抵抗を有する膜を形成する方法が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の一部の実施形態によれば、プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)のための前駆体としてテトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いて、単に反応ガスを変化させることにより、TiN、TiCN、TiO、TiON及びTiOCN膜のような様々なタイプの膜を形成することができ、また、膜に対して典型的な各膜の品質を制御することができる。一部の実施形態では、TDMAT又はTDEATはアンモニアと反応しやすいが、アンモニアは、TDMAT又はTDEATと同時に使用されず、前駆体と、前駆体と共に用いられるアンモニアとの反応を回避することができる。
【0004】
様々なタイプの膜のうち、TiN膜及び熱アニールされたTiO膜は、結晶性の成分により構成される。TiCN膜は、結晶性及びアモルファス成分の混合物により構成されてもよく、TiCN膜の炭素含有量が高い場合、膜は、全体的にアモルファス成分により構成される。他のタイプの膜は、アモルファス成分により構成される。TiN及びTiCN膜の形成では、窒素供給ガスは、窒化のためにしばしば用いられる。しかし、一部の実施形態では、TiN膜の形成において、窒素供給ガスであるアンモニアは、用いられないが、水素が反応ガスとして用いられ、それにより、前駆体自体に含まれる窒素を用いることによりTiN膜を形成する。一部の実施形態では、窒素ガスのみがTiN膜を形成するための反応ガスとして用いられる。一部の実施形態では、窒素ガスは、用いられてもよいが、しかし、窒素ガスは、実質的に、窒素供給ガスとして用いられるのではなく、炭素濃度、膜応力及び/又はシート抵抗を制御するために使用される。よって、一部の実施形態は、TiN膜は、窒素−チタン結合を有するメチルアミン種である前駆体を用いて形成されることができ、パラメータとしての水素流量、窒素流量及び/又はRFパワーを他の膜形成条件と組み合わせることにより、膜品質を効果的に制御することができることを特徴とする。
【0005】
関連する分野に含まれる課題及び解決手段の説明は、単に本発明の文脈を提供する目的で本開示に含まれているものであり、説明のいずれか又は全てが、本発明がなされたときに既知であることを認めるものとして受け取られるべきではない。
【0006】
本発明の態様および関連分野に対して達成された利点を要約する目的のために、本発明の特定の目的および利点が本開示に記載されている。もちろん、全てのこのような目的または利点は本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得ることを必ずしも必要としないことは理解される。したがって、例えば、当業者は、本明細書に教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成しなくても、本明細書に教示されている1つの利点または1群の利点を達成または最適化するように本発明が具現化され得るかまたは実施され得ることを認識するであろう。
【0007】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
ここで、本発明のこれらおよび他の特徴を好ましい実施形態の図面を参照して記載するが、それらは本発明を例示するためであり、本発明を限定するものではない。図面は例示目的のために非常に簡略化しており、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態で使用可能な誘電体膜を堆積するPEALD装置の概略図である。
図2図2(a)は、テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)の化学式を示す。図2(b)は、本発明の実施形態に係る水素プラズマを用いて形成される結晶性TiN膜のマトリックス構造を示す概略図であり、ここで、N−C結合は切断され、炭素はマトリックスに入っていない。図2(c)は、水素プラズマを用いずに形成されるアモルファスTiCN膜のマトリックス構造を示す概略図であり、ここで、N−C結合は維持され、炭素はマトリックスに入っており、結晶構造の形成を妨げている。
図3図3は、本発明の実施形態に係る、膜がアナターゼ型結晶を形成することを示す、アニールされた膜のX線回折分析の結果を示す。
図4図4は、本発明の実施形態に係るコンフォーマルなTiCN膜の断面図の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る反応ガスとしてアンモニアを用いる誘電体膜を堆積するPEALD法のプロセスステップを示す。
図6図6は、本発明の一部の実施形態に係る誘電体膜を堆積するPEALD法のプロセスステップを示す。
図7図7は、本発明の実施形態に係るTiN及びTiO膜、又はTiCN及びTiO膜からなる積層構造を示す概略図である。
図8図8は、本発明の一部の実施形態に係るTiN膜、TiO膜及びTiON膜のドライエッチング速度を示すグラフである。
図9図9は、本発明の一部の実施形態に係るTiN膜、TiO膜及びTiON膜のウェットエッチング速度を示すグラフである。
図10図10は、本発明の一部の実施形態に係るTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示す。
図11図11は、本発明の一部の実施形態に係るTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示す。
図12図12は、本発明の一部の実施形態に係るTiN/TiCN膜の結晶性に関する膜応力の範囲を示すグラフである。
図13図13は、本発明の一部の実施形態に係るTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示す。
図14図14は、本発明の一部の実施形態に係る、(a)TiCN膜(炭素含有量:6%)のX線回折分析の結果、及び(b)TiCN膜(炭素含有量:16%)のX線回折分析の結果を示す。
図15図15は、本発明の一部の実施形態に係る、(a)TiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトル、及び(b)TiCN膜のX線回折分析の結果を示す。
図16図16は、本発明の一部の実施形態に係る、(a)TiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトル、及び(b)TiCN膜のX線回折(XRD)分析の結果を示す。
図17図17は、本発明の一部の実施形態に係る膜応力と水素フローとの関係を示すグラフ、及び膜応力とRFパワーとの関係を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において、「ガス」は、蒸発した固体および/または液体を含んでもよく、単一のガスまたはガスの混合物により構成されてもよい。同様に、「一つ」の物品は、一つの種類または複数の種類を含む属を指す。本開示において、前駆体ガス及び反応ガスのようなプロセスガスは、シャワーヘッドを通じて反応チャンバへ導入され、プロセスガスは、活性ガス及び不活性ガスを含む、実質的に活性ガス及び不活性ガスからなる、又は活性ガス及び不活性ガスからなるものであってもよい。すなわち、本開示では、「前駆体ガス」は、希ガスのようなキャリアガスと導入されてもよく、同様に、「反応ガス」は、希ガスのようなキャリアガスと導入されてもよい。それに替えて、前駆体又は反応ガスは、活性ガスからなってもよい。希ガスは、パージガスとして、シャワーヘッドを通じて間欠的又は連続的に導入されることができる。プロセスガス以外のガス、すなわちシャワーヘッドを介する通過によらないで導入されるガスは、例えば、反応空間をシールするために使用されてもよく、それらのガスは希ガスなどのシールガスを含む。一部の実施形態では、「膜」は、ターゲットとなる表面もしくは対象となる表面全体を覆うためにピンホールを有さずに実質的に厚さ方向に垂直な方向に連続して延びる層、またはターゲットとなる表面もしくは対象となる表面を単に覆う層を指す。一部の実施形態において、「層」は、表面上に形成される特定の厚さを有する構造または膜の同義語を指す。膜または層は、特定の性質を有する別個の単一の膜もしくは層または複数の膜もしくは層により構成されてもよく、隣接する膜または層の間の境界は明確であってもよく、または明確でなくてもよく、物理的、化学的および/もしくは任意の他の特性、形成プロセスもしくは順序、ならびに/または隣接する膜もしくは層の機能もしくは目的に基づいて規定されてもよい。さらに、本開示において、任意の2つの数の変数は、その変数の実行可能な範囲を構成でき、実行可能な範囲は通常作業に基づいて決定でき、示された任意の範囲はエンドポイントを含んでいてもよく、または除外していてもよい。さらに、示された変数の任意の値(それらが「約」と共に示されているか否かに関わらず)は、正確な値またはおおよその値を指し、同値を含んでもよく、一部の実施形態において、平均値、中央値、代表値、多数値などを指してもよい。
【0011】
条件および/または構造が特定されていない本開示において、当業者は、通常の実験として、本開示を考慮してそのような条件および/または構造を容易に得ることができる。
【0012】
開示された実施形態の全てにおいて、一実施形態において使用されている任意の要素は、意図される目的のために本明細書に明確、必然的または本質的に開示されている要素を含む、要素と等価の任意の要素と置き換えられてもよい。さらに、本発明は装置および方法に同様に適用されてもよい。
【0013】
本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態において、通常および慣例の意味を必ずしも除外しているわけではない。
【0014】
一部の実施形態では、テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)又はテトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム(TDEAT)を用いてプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)により基板にTi含有膜を形成する方法は、(i)基板が配置される反応空間にパルス状のTDMAT及び/又はTDEATを導入するステップと(ii)NHフリーの反応ガスを反応空間に連続的に導入するステップと、(iii)TDMATのパルス及び/又はTDEATのパルスが重複せずに、RFパワーを反応空間にパルス状に印加するステップと、(iv)ステップ(i)から(iii)を繰り返して、基板にTi含有膜を堆積するステップと、を備える。
【0015】
一部の実施形態では、TDMAT及びTDEATは、それと同等の誘導体を含んでもよく、ここで、メチル基及びエチル基は、ほとんど同じ意味で使用できる。
【0016】
上記では、「連続的」は、一部の実施形態において、真空を破壊しない、タイムラインとしての中断をしない、処理条件を変えない、又は直後に行うことを指す。
【0017】
一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、H及び/又はNである。一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、窒素、酸素又は炭素を含まない。一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、H及び希ガス(例えば、He、Ar)からなり、それによって、ステップ(iv)でTi含有膜としてTi結晶膜を堆積する。それに替えて、一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、H、N及び希ガス(例えば、He、Ar)からなり、それによって、ステップ(iv)でTi含有膜としてTiアモルファス膜を堆積する。それに替えて、一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、酸素を含み、それによって、ステップ(iv)でTi含有膜としてTiO膜を堆積する。一部の実施形態では、前記方法は、ステップ(iv)のTi含有膜としてアナターゼ型結晶を有するTiO膜を形成するように、ステップ(iv)の後、酸素雰囲気中で基板上のTi含有膜をアニールするステップをさらに備え、ここで、アモルファスTiOは、アナターゼ型結晶に変わる。アナターゼ型結晶を有するTiO膜は、光触媒活性を示す。アニール後、TiO膜の表面は、親水性を得て、これは、TiO光触媒活性に特有の超親水性である。
【0018】
一部の実施形態では、NHフリーの反応ガスは、酸素を含まない反応ガスと、酸素を含む反応ガスとを含み、ステップ(iv)では、ステップ(i)から(iii)が繰り返される場合、NHフリーで酸素フリーの反応ガス及びNHフリーで酸素を含むガスは、設定された間隔で交互に使用される。例えば、NHフリーで酸素フリーの反応ガスは、窒素ガスを含まない水素ガスであり、NHフリーで酸素を含むガスは、酸素ガスであり、それにより、設定された間隔で交互に堆積されるTiO膜及びTiN膜からなるTiON膜を形成する。それに替えて、一部の実施形態では、NHフリーで酸素フリーの反応ガスは、水素ガス及び窒素ガスであり、NHフリーの酸素を含むガスは、酸素ガスであり、それにより、設定された間隔で交互に堆積されるTiO膜及びTiCN膜からなるTiOCN膜を形成する。図7は、本発明の実施形態に係る基板71に形成されたTiN又はTiCN膜72、74、76及び78及びTiO膜73、75及び77からなるTiON又はTiOCN膜79の積層構造を示す概略図である。この実施形態では、先ず、TiN又はTiCNサブレイヤーを形成するサイクルは、基板71にTiN又はTiCN膜72を形成するために5から100回行われ、その後、TiOサブレイヤーを形成するサイクルは、TiN又はTiCN膜72の上にTiO膜73を形成するために1回行われる。同様に、TiN又はTiCN膜74、TiO膜75、TiN又はTiCN膜76、TiO膜77及びTiN又はTiCN膜78は、積層体79を形成するためにこの順序で堆積される。一部の実施形態では、TiO膜を形成するサイクルの数は、TiN又はTiCN膜を形成するサイクルよりもかなり少ない、すなわち、TiO膜の厚さは、TiN又はTiCN膜の厚さよりもかなり小さい。一部の実施形態では、積層(膜が一又はそれ以上のTiN/TiCNサブレイヤーからなってもよい単一のTiN/TiCN膜及び膜が一又はそれ以上のTiOサブレイヤーからなってもよいTiO膜により構成される各積層)の数は、約3から200であり、典型的には5から100である。一部の実施形態では、一回の積層でTiN/TiCN膜を形成するサイクルに対するTiO膜を形成するサイクルの数の比は、1:1から1:200であってもよく、典型的には1:5から1:25である。さらに、図5は、反応ガスとしてアンモニアを用いる誘電体膜を堆積するPEALD法のプロセスステップを示す。図6は、本発明の一部の実施形態に係る誘電体膜を堆積するPEALD法のプロセスステップを示す。図6に図示された実施形態では、反応ガスとしてアンモニアを用いないため、反応ガス(窒素、水素及び/又は酸素)は、連続的に供給されることができ、前駆体供給のパルスとRFパワー印加のパルスとの間のパージガスとしても機能することができる。上記では、反応ガスは、キャリアガスとして用いられる希ガス(図示せず)と共に供給される。これに対して、図5では、アンモニアが反応ガスとして用いられるため、反応ガスは、前駆体供給のパルスとは異なるパルスで供給されなければならず、これは、互いに重複してはならず、より複雑な制御システムを必要とする。
【0019】
本開示では、TiN、TiON、TiCN、TiOCN、TiO及び他のTi含有膜は、上記に示した元素により、マトリックスが実質的に又は主に構成される膜を指すが、不純物、水素のような本質的でない元素、材料元素の本質的ではない量を排除するものではなく、又は上記で示された元素により主に特徴付けられる膜、上記で示された元素により表される膜、又は当業者がそのように認識する膜を指す。
【0020】
一部の実施形態では、TiN膜は、以下の表1に示す条件下で形成されることができる。ALDが自己制限吸収反応プロセスであるため、堆積される前駆体分子の量は、反応表面サイトの数により求められ、飽和後の前駆体露出とは独立しており、前駆体の供給は、サイクルごとに反応表面サイトが飽和するように行われる。
【表1】
【0021】
一部の実施形態では、TiCN膜は、以下の表2に示される条件下で形成されることができる。
【表2】
【0022】
一部の実施形態では、TiON膜は、以下の表4に示される条件下で形成されることができる。
【表3】
【0023】
一部の実施形態では、TiOCN膜は、以下の表5に示される条件下で形成されることができる。
【表4】
【0024】
一部の実施形態では、膜の組成、膜の使用目的などに応じて、Ti含有膜の厚さは、約0.3nmから約60nmの範囲内であってもよく、典型的には、約0.06nmから約300nmであってもよい。
【0025】
一部の実施形態では、TiO膜は、アナターゼ型結晶を形成するように以下の表6で示される条件下でアニールされる。
【表5】
【0026】
アニールを導入することによって、アニール温度に応じて、アナターゼ型結晶、ルチル型結晶又はブルッカイト型結晶を形成することができる。例えば、膜が約600℃でアニールされるとき、アナターゼ型結晶が形成される。アニールについては、酸素雰囲気を提供できさえすれば任意のガスを使用することができる。
【0027】
一部の実施形態では、Ti含有膜は、2,500Mpaから800Mpaの膜応力を有する。図12は、本発明の一部の実施形態に係るTiN/TiCN膜の結晶性に関する膜応力の範囲を示すグラフである。図12に示されるように、膜が高度に結晶化されるとき、つまり、炭素含有量が少ないとき、膜は、高圧縮応力を有し、膜が全体的にアモルファスであるとき、膜は、約−400Mpaの圧縮応力を有する。膜の炭素含有量が約4%から約9%の間であるとき、膜は、膜に含まれる結晶構造の型に応じて引っ張り応力を有することができる。つまり、膜応力は、2又はそれ以上の結晶構造に関連して生じ、結晶構造の割合に応じて、膜は、高い又は低い膜応力を示す。しかし、膜の炭素含有量が約4%以下又は約9%以上であるとき、引っ張り応力を示す結晶構造を形成することが困難になる。一部の実施形態では、膜の炭素含有量が約6%であるとき、膜は、約800MPaの最も高い引っ張り応力を有する。膜の最も低い圧縮応力は、約−2500MPa又はそれ以下であってもよく、膜の炭素含有量が検出できない(not detectable(ND))であるとき、膜は、最も低い圧縮応力を示す。膜の炭素含有量が約6%以上であるときに、膜は、最も低い圧縮応力を示さない場合もある。
【0028】
膜の結晶性は、形成パラメータを変化させることにより調整することができる。一部の実施形態では、本方法は、(a)Ti含有膜に対して対象となる膜応力を設定するステップであって、対象となる膜応力は、ステップ(ii)での反応ガスとして使用されるHの基準流量、ステップ(iii)で使用される基準RFパワー及びステップ(i)から(iii)での基準堆積温度を含む堆積条件下でステップ(i)から(iv)により堆積されるTiN結晶膜の膜応力よりも大きい、ステップと、(b)ステップ(ii)で反応ガスとして使用されるHの流量、ステップ(iii)で使用されるRFパワー及びステップ(i)から(iii)での堆積温度を設定するステップであって、Hの流量、RFパワー及び堆積温度の一又はそれ以上のみが、膜応力を変化させるための制御パラメータとして使用され、Hの基準流量、基準RFパワー及び基準堆積温度とは異なる、ステップと、をさらに備え、その後に、Ti含有膜を堆積するためのステップ(i)から(iv)を処理する。一般的に、RFパワーが大きくなると、膜応力が低くなり、温度が高いと、膜応力が高くなり、水素含有量が増えると、膜応力が高くなる。制御パラメータの基準値を参照すると、制御パラメータを調整することにより、Ti含有膜は、引っ張り膜応力を有するように構成することができる。例えば、引っ張り膜応力を提供するために、Hの流量は、TiN結晶膜で使用されるHの基準流量よりも少なくなるように設定されることができ、RFパワーは、TiN結晶膜で使用される基準RFパワーよりも小さくなるように設定されることができ、及び/又は堆積温度は、TiN結晶膜で使用される基準堆積温度よりも高くなるように設定されることができる。一部の実施形態では、Ti含有膜が約4%から約9%の炭素を含むとき、膜は、引っ張り膜応力を有する。
【0029】
膜応力は、膜の結合状態に応じて変化する。一部の実施形態では、Ti含有膜は、フーリエ変換赤外顕微鏡(FT−IR)グラフにおいて2,000cm−1及び1,400cm−1でピークを示す。一般的に、2,000cm−1でのピークは、引っ張り応力を表す一方で、1,400cm−1でのピークは、圧縮応力を表す。これらの応力の合計値は、膜の応力を表す。2,000cm−1及び1,400cm−1でのピークが存在しない場合には、膜は、膜がTiN結晶により構成されることを示す、強い圧縮応力を示す。反応ガスとして使用される水素ガス流量が増加したとき、先ず、1,400cm−1でのピークが消え、膜は、引っ張り応力を有する膜となる。この状態で、RFパワーが増加したとき、2,000cm−1でのピークが消え、膜の結晶性が増加したことを示し、膜は、強い圧縮応力を有する膜となる。よって、2つのパラメータ(水素ガス流量及びRFパワー)を調整することにより、FT−IRグラフでのピークを制御することができる、つまり、膜応力を制御することができる。どの結合が各ピークに対応するかわかっていないが、ピークが炭素に関連すると思われる。なぜなら、2,000cm−1及び1,400cm−1でのピークのいずれかが減少するとき、膜の炭素含有量が減少するからである。一部の実施形態では、FT−IRグラフの1,400cm−1でのピークの高さに基づいて、水素流量と膜応力との関係が求められる。1,400cm−1でのピークは、水素流量及びRFパワーを操作することにより、2,000cm−1でのピークよりも容易に消えやすくすることができる。一部の実施形態では、2,000cm−1でのピークは、膜形成のための温度によって制御することができる。温度が高いとき、2,000cm−1でのピークは、高くなる。
【0030】
一部の実施形態では、反応ガスとしての水素ガスを次第に増加することにより、1,400cm−1でのピークは、低くなり、2,000cm−1でのピークのみが維持され、それにより、結果として膜の引っ張りが表される。この状態では、RFパワーを増加することにより、2,000cm−1でのピークも消え、それにより、結果として膜の圧縮が表され、この膜はTiN結晶により構成される。水素ガス流を使用せずにRFパワーが増加するとき、1,400cm−1でのピークは、高くなり、膜応力は、より高い圧縮となる。一部の実施形態では、1,400cm−1でのピークは、複数の結合に対応することができる、つまり、複数のピークは、1,400cm−1でのピークを一括して構成し、当該ピークは、圧縮応力及び引っ張り応力を表し、水素ガス流量が増加したとき、先ず、引っ張り応力を示すピークが消え、その後、圧縮応力を示すピークが消え、それにより、1,400cm−1でのピークが存在しなくなり、引っ張り応力を表す2,000cm−1でのピークのみが残る。その結果、引っ張り応力を有する膜が得られる。一部の実施形態では、RFパワーを増加することは、RFパワーを印加する期間を長くすることと等価であり、それらは、同じように使用することができる。
【0031】
TDMAT及びTDEATの構造的に重要な特徴は、チタンでのTi−C及びTi−Hのような結合がないが、Tiの4つ全ての手がTi−N結合であることである。図2(a)は、テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム(TDMAT)の化学式を示す。この特徴により、分子構造に含まれる窒素は、効果的に膜に組み込まれることができ、ジメチルアミンの形態で存在する炭素は、水素プラズマにより容易に除去することができ、それにより、不純物である炭素を除去し、TiNの結晶性を高めることができる。図2(b)は、本発明の実施形態に係る水素プラズマを用いて形成される結晶性TiN膜のマトリックス構造を示す概略図であり、ここで、N−C結合は切断され、炭素はマトリックスに入っていない。水素プラズマによる炭素の還元は、膜結晶のマトリックス構造を示し、マトリックス構造を形成する窒素は、反応ガスからではなく、前駆体から提供される。図2(c)は、水素プラズマを用いずに形成されるアモルファスTiCN膜のマトリックス構造を示す概略図であり、ここで、N−C結合は維持され、炭素はマトリックスに入っており、結晶構造の形成を妨げている。一方、水素プラズマの効果を弱め、反応ガスとして窒素を用いることにより、炭素は膜に存在し、それにより、膜の不純物である炭素が残り、よって、TiCNによって構成されるアモルファス膜を形成する。
【0032】
さらに、基板の表面で吸着される材料が処理される表面プラズマ処理法であるPEALDによるTDMAT及び/又はTDEATの使用と組み合わせて、気相においてTiとのジメチルアミンのような解離リガンドの再結合によるTi−C及びTi−H結合を形成することによる膜品質を低下するリスクは、気相反応法であるPECVDと比べて低減することができ、炭素は、分子構造のTi−N結合を切断することなく、効果的に除去されることができる。上記は、前駆体としてのTDMAT及びTDEATの優れた特徴であり、膜の様々な堆積が容易になされることの理由である。
【0033】
さらに、Tiの特徴として、酸素と強固な結合をすることができ、そのため、Tiの酸化は、非常に容易であり、それにより、TiO膜を容易に形成することができる。しかし、Tiと酸素との強固な結合は、炭素及び窒素のような他の元素の除去に寄与し、そのため、酸素がTiO膜の形成に使用されるとき、炭素及び窒素は、酸素によって除去され、膜に残存しない。よって、一部の実施形態では、酸素と共に窒素及び/又は炭素を同時に膜に残すとき、つまり、TiON又はTiOCN膜を形成するとき、TiO膜及びTiN又はTiCN膜が交互に積層される積層方法を用いて形成されることができる。
【0034】
一般的に、TiNの結晶は、導電性であり、TiNの結晶性が改善されるとき、シート抵抗は低くなる。炭素又は酸素が膜に含まれるとき、結晶性は低下し、アモルファス構造を示す。一部の実施形態では、水素ガス流量及びRFパワーを制御することにより、膜応力及び炭素濃度を制御することができ、それにより、膜の結晶性を制御し、シート抵抗を制御することができる。炭素濃度と膜応力との間には強い相関が観察されないが、炭素濃度が非常に低く、かつ結晶性が高いとき、膜は、圧縮によって特徴付けられる。これは、炭素濃度の低下により結晶性が改善されるためであり、それにより、膜の圧縮が示される。
【0035】
膜応力を制御する際に、引っ張り応力を有する膜を得るためには、水素供給及びRFパワーの組み合わせを制御することが非常に重要である。引っ張り応力を有する膜を形成する設定と比較して水素流量が低すぎる又はRFパワーが高すぎるとき、膜応力は、圧縮応力に変化し、よって、水素流量及びRFパワーの両方を制御することが非常に重要である。
【0036】
TDMATがアンモニアと同時に供給できないため、アンモニアが膜の堆積に用いられるとき、前駆体の供給後に、前駆体からアンモニアへガスを切り替えるステップが必要となる。しかし、一部の実施形態では、アンモニアは用いられず、そのため、前駆体の供給後に切り替えるステップを必要とせず、それにより、膜の成長速度が向上する。
【0037】
TiON膜を評価している際に、NFによるドライエッチング速度及びフッ化水素によるウェットエッチング速度は、交互に積層されたTiO層とTiN層との間の境界で変化することが発見された。すなわち、積層体がTiO層とTiN層との境界を有するとき、TiO又はTiN単一層と比較して、積層体のNFによるドライエッチングへの抵抗が高くなり、かつ積層体のフッ化水素によるウェットエッチングへの抵抗が低下する。TiO層とTiN層との境界の数が増加したときに、上記の関連性は高まる。すなわち、境界の数が増大し、ドライエッチングへの抵抗が増大し、及びウェットエッチングへの抵抗が低下する。
【0038】
一部の実施形態では、膜のステップカバレッジは、約90%から約105%であり、典型的には約95%又はそれ以上である。
【0039】
実施形態は、好ましい実施形態について説明される。しかし、本発明は、好ましい実施形態に限定されるものではない。
【0040】
図1は、本発明の一部の実施形態で使用可能な、以下に説明されるシーケンスを導入するようにプログラムされた制御と共に望ましい、PEALD装置の概略図である。この図では、反応チャンバ3の内部11で平行かつ互いに対向する一対の電気伝導性の平板電極4,2を設け、HRFパワー(13.56MHz又は27MHz)5及び5MHz又はそれ以下のLRFパワー(400kHz〜500kHz)50を一方側に印加し、かつ他方側をグラウンド12に接地することにより、プラズマは、電極間に励起される。温度レギュレータは、下部ステージ2(下部電極)に設けられ、そこに設置される基板1の温度は、所定の温度で一定に維持される。上部電極4は、同様にシャワープレートとして機能し、反応ガス及び希ガスは、ガスフローコントローラ23、パルスフローコントロールバルブ31及びシャワープレートを通じて反応ガスチャンバ3へ導入される。また、反応チャンバ3では、排気パイプ6が設けられ、これを通じて反応チャンバ3の内部11のガスが排気される。また、反応チャンバには、シールガスを反応チャンバ3の内部11へ導入するためにシールガスフローコントローラ124が設けられる(反応チャンバの内部の反応ゾーンと搬送ゾーンとを隔てるセパレーションプレートは、この図では省略される)。
【0041】
当業者は、上記の装置が、本明細書の他の箇所で説明される堆積及びリアクタクリーニングプロセスを実施するようにプログラムされる又は構成される一又はそれ以上のコントローラ(図示せず)を含むことを理解するであろう。コントローラは、当業者によって理解されるように、各種の電源、加熱システム、ポンプ、ロボット及びガスフローコントローラ又はリアクタのバルブと通信する。
【実施例】
【0042】
実施例1から6
Ti含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表7及び8で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表6】
【表7】
【0043】
得られた膜は、評価され、その結果は、表9に示される。
【表8】
【0044】
表9に示されるように、TiN膜は、窒素流量がなく、相対的に高い水素流量を用いて形成され(実施例5)、相対的に高いRFパワーで相対的に高い水素流量を用いて形成された(実施例4)。窒素流量が水素流量に対して増加したとき、膜の炭素含有量は増加し、それにより、TiCN膜が形成された(実施例1から3)。実施例1から5では、各膜のステップカバレッジは、95%又はそれ以上であり、膜応力は、−3,800MPaから+620MPaの間で変化し、また、各膜は、ウェットエッチングに高い抵抗を示した。実施例6では、高品質なTiO膜が形成された。図4は、実施例3で形成されたコンフォーマルなTiCN膜の断面図の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【0045】
実施例7から10
Ti含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表8及び10で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表9】
【0046】
得られた膜は、評価され、その結果は、表11から13に示される。
【表10】
【表11】
【表12】
【0047】
実施例7から9では、傾向として、RFパワーが低く、かつ温度が高いときに、炭素含有量が多くなった。表11から13に示されるように、RFパワーを低下させ、かつ温度を上昇させることにより、膜の炭素含有量は低減され、膜応力は、圧縮となった(実施例7から9)。実施例7から9では、各膜のステップカバレッジは、約100%であり、膜応力は、−4,500MPaから+2,000MPaの間で変化し、また、各膜は、ウェットエッチングに高い抵抗を示した。実施例10では、高品質なTiO膜が形成され、これは、RFパワー及び温度の変化によってそれほど大きく影響されなかった。
【0048】
実施例11から16
積層体によって構成されるTi含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表14及び15で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表13】
【表14】
【0049】
実施例16では、各TiCN層は、実施例1と同一の条件下で形成された。
【0050】
得られた膜は、評価され、その結果は、表16に示される。
【表15】
【0051】
表16に示されるように、実施例13から16の積層体のウェット及びドライエッチング速度特性は、実施例11及び12の2つのベース膜のものの範囲内ではなかったが、それらとは異なっていた。Ti膜とTiO膜との境界の数が増加すると、ドライエッチング速度は、低下した一方で、ウェットエッチング速度は、増加した(実施例13から15)。
【0052】
実施例17から19
膜は、実施例11、12及び14と同一の条件下で形成され、ドライエッチング速度及びウェットエッチング速度は、膜ごとに測定された。図8は、実施例18で形成されたTiN膜、実施例17で形成されたTiO膜及び実施例19で形成されたTiON膜のドライエッチング速度を示すグラフである。TiON膜のドライエッチング速度は、TiN膜及びTiO膜のドライエッチング速度よりも著しく低かった。図9は、実施例18で形成されたTiN膜、実施例17で形成されたTiO膜及び実施例19で形成されたTiON膜のウェットエッチング速度を示すグラフである。TiON膜のウェットエッチング速度は、TiN膜及びTiO膜のウェットエッチング速度よりも著しく高かった。
【0053】
実施例20
膜は、膜形成プロセスの後に、膜を約600℃で、約2時間アニールしたことを除いて実施例6と同一条件下で形成された。図3は、アニールされた膜のX線回折分析の結果を示し、膜がアナターゼ型結晶であることを示す。
【0054】
実施例21−32
Ti含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表8及び17で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表16】
【0055】
得られた膜は、評価され、その結果は、表18に示される。
【表17】
【0056】
図10は、実施例21から25で形成されたTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示し、実施例21は、基準例(“POR”、process of record)である。膜応力は、膜の結合状態に応じて変化した。一般的に、2,000cm−1でのピークは、引っ張り応力を示す一方で、1,400cm−1でのピークは圧縮応力を示す。これらの応力の合計は、膜の応力を示す。実施例21から23において反応ガスとして用いられる水素ガスの流量が減少したとき、1,400cm−1でのピークは増加し、膜は圧縮となった。実施例21では、RFパワーが実施例24で増加したとき、2,000cm−1でのピークが減少し、膜の結晶性の低下を示し、膜は、より高い圧縮となった。
【0057】
図11は、実施例26から29で形成されたTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示す。実施例26から29で温度が高くなったとき、2,000cm−1でのピークが高くなった。2,000cm−1でのピークは、膜形成のための温度によって制御されることができる。
【0058】
図13は、実施例30から32で形成されたTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルを示す。実施例30から32でRFパワーが、水素ガスを用いずに増加したとき、1,400cm−1でのピークは高くなり、2,000cm−1でのピークは低くなり、膜応力は、より圧縮になった。
【0059】
図14は、(a)実施例21で得られたTiCN膜(炭素含有量:6%)のX線回折分析の結果、及び(b)実施例23で得られたTiCN膜(炭素含有量:16%)のX線回折分析の結果を示す。図14の(a)で示されるように、低い炭素含有量(6%)を有する膜は、結晶性である(実施例21)一方で、図14の(b)で示されるように、高い炭素含有量(16%)を有する膜は、アモルファスであった(実施例23)。膜を構成する結晶は、NaClと略同一のfcc(面心立方)構造を有するオスボルナイト構造のTiNであった。膜は、複数の結晶を含んでいたが、それらは、主に(111)面で成長した。
【0060】
図15は、(a)実施例21から23で形成されたTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトル、及び(b)実施例21から23で形成されたTiCN膜のX線回折分析の結果を示す。図15の(a)及び(b)に示されるように、1,400cm−1でのピークが減少したとき、XRDにおける(111)のピークは増大し、1,400cm−1でのピークが(111)結晶面での原子配列と関連付けられることを示す。
【0061】
図16は、(a)実施例21及び24で形成されたTiCN膜のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトル、及び(b)実施例21及び24で形成されたTiCN膜のX線回折(XRD)分析の結果を示す。図16の(a)及び(b)に示されるように、2,000cm−1でのピークが減少したとき、XRDにおける(200)のピークは増大し、2,000cm−1でのピークが(200)結晶面での原子配列と関連付けられることを示す。一般的に、(1,400cm−1及び2,000cm−1での)FT−IRピークが減少したとき、膜の結晶性は向上する。
【0062】
実施例33から40
Ti含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表8及び19で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表18】
【0063】
得られた膜は、評価され、その結果は、図17に示される。図17は、実施例33から36の膜応力と水素流量との関係を示すグラフ、及び実施例37から40の膜応力とRFパワーとの関係を示すグラフを示す。図17に示されるように、膜応力は、水素流量により制御され、水素流量が増加したとき、膜応力は、引っ張りとなった(実施例35及び36)。さらに、RFパワーが増加したとき、膜応力は、圧縮になった(実施例40)。制御パラメータとして水素流量及びRFパワーの組み合わせを用いることにより、膜応力は、約−2,500MPaから+1,000MPaの間で調整されることができる。
【0064】
実施例41から44
Ti含有膜は、図6に図示されたシーケンス及び図1に図示された装置を用いて、以下の表8及び20で示される条件下でパターン(アスペクト比:2:1)を有する基板に堆積された。
【表19】
【0065】
得られた膜は、評価され、その結果は、表21に示される。
【表20】
【0066】
実施例41から44では、TDEATは、TDMATに代わって用いられた。表21に示されるように、TDEATから得られた膜でのRFパワーの効果は、TDMATから得られた膜での効果とは非常に異なっていた。窒素が用いられたとき(実施例41)、RFパワーが低くなると、炭素含有量は低くなり、その一方で、水素が用いられた又は含まれたとき(実施例42及び43)、RFパワーが低くなると、炭素含有量は高くなった。酸素が用いられたとき(実施例44)、RFパワーは炭素含有量に影響を与えなかった。実施例41から44では、各膜のステップカバレッジは、約100%であり、膜応力は、約−5,000MPaから+2,000MPaの間で変化し、また、各膜は、ウェットエッチングに高い抵抗を示した。実施例41から44では、膜応力は、RFパワーが400Wから600Wの間で劇的に変化し、RFパワーの機能として結晶状態を変化させることを示した。
【0067】
本発明は、上述した実施形態及び以下の事項を含む別の様々な実施形態を含む。
【0068】
1)TDMAT又はTDEATを用いるALDによるTi含有膜を形成する方法では、当該方法は、堆積温度が50℃から250℃の範囲であり(例えば、150℃以下)、単に、反応ガスを変化させることを特徴とし、95%又はそれ以上のステップカバレッジを有するTiO、TiON、TiN、TiCN及びTiOCNから選択された各種の膜を基板上に堆積することができる。特に、前記方法は、TiN膜が、アンモニア及び窒素のような窒素を含む反応物質を使用せず、前駆体自体に含まれる窒素と共に水素を含む反応物質を用いて堆積されうることを特徴とする。前記方法は、また、圧縮応力を有するTiNが、膜応力及びシート抵抗制御を制御する目的で、RFパワーと組み合わせて、反応ガスとして水素を用いることにより堆積されうることを特徴とする。
【0069】
2)1)に記載の方法において、TiCN膜は、反応物質として窒素又は窒素と水素とを組み合わせたときに堆積されることを特徴とする。
【0070】
3)1)に記載の方法では、TiON膜及びTiOCN膜は、酸素を、それぞれTiN及びTiCNによって主に構成される膜に加えることによって堆積されることができ、積層構造は、TiO層とTiN又はTiCN層とを交互に堆積することにより形成される。特に、前記方法は、TiON膜が形成されたとき、NFを用いるドライエッチング速度、フッ化水素を用いるウェットエッチング速度及びシート抵抗を制御することができる。
【0071】
4)1)に記載の方法は、TiO膜は、酸素と共にTDMAT又はTDEATを用いることにより堆積されることができることを特徴とする。
【0072】
5)1)に記載の方法では、反応ガスは、TiO、TiON、TiN、TiCN又はTiOCN膜を形成するためにHe、Ar、H、N、O、NO及びHOからなる群から選択された1つのガス又は混合ガスであり、ここで、Heの流量は、0から8000sccmであり、Arの流量は、0から8000sccmであり、Hの流量は、0から5000sccmであり、Nの流量は、0から5000sccmであり、Oの流量は、0から5000sccmであり、NOの流量は、0から5000sccmであり、HOの流量は、0から5000sccmである。
【0073】
6)1)に記載の方法では、堆積される膜の組成は、C:0原子%から25原子%;Ti:10原子%から40原子%;N:0原子%から50原子%;O:0原子%から70原子%;H:3原子%から25原子%のように制御されることができる。
【0074】
7)1)に記載の方法は、膜応力は、プロセス温度、反応ガスとして使用されるHの流量及びRFパワーの少なくともいずれか1つを変化させることにより制御されうることを特徴とする。
【0075】
8)7)に記載の方法では、膜応力は、−5,000MPaから+1,500MPaの範囲で制御されることができる。
【0076】
9)7)に記載の方法では、引っ張り応力は、基板温度が70℃から250℃、Hの流量が50sccmから2000sccm、及びRFパワーが150Wから500Wの条件下で得られることができる。
【0077】
10)1)に記載の方法では、シート抵抗は、10Ω/sqから5,000Ω/sqの範囲で制御されることができる。
【0078】
11)3)に記載の方法では、TiO及びTiN又はTiCNの各層の厚さは、0.06nmから10nmの範囲である。
【0079】
12)3)に記載の方法では、TiN又はTiCN層の数に対するTiO層の数の比は、例えば、20nmの厚さを有する積層体について、1:333から333:1の範囲である。
【0080】
13)3)に記載の方法において、全体の酸素濃度は、TiO層の厚さを減少又は増加させる、つまり、TiN又はTiCN層の厚さを相対的に増加又は減少させることにより制御されることができる。上記の方法は、炭素濃度及び窒素濃度を制御するためにも用いられることができる。
【0081】
14)3)に記載の方法では、TiON膜が形成され、NFを用いるドライエッチング速度及びフッ化水素を用いるウェットエッチング速度は、積層されるTiO層及びTiN層の数を変化させることにより制御されることができる。
【0082】
15)14)に記載の方法では、NFを用いるドライエッチング速度は、TiO単一層の0.03倍から1倍の低さで制御されることができ、積層体を構成する層の数が増加したとき、ドライエッチングに対する抵抗が向上、つまり、増大する。
【0083】
16)14)に記載の方法では、フッ化水素を用いるウェットエッチング速度は、TiO単一層の1倍から10倍の高さで制御されることができ、積層体を構成する層の数が増加したとき、ドライエッチングに対する抵抗が低下、つまり、減少する。
【0084】
17)1)に記載の方法において、アモルファスTiO膜は、酸化しやすいというTiの特性によって、PEALDだけではなく、熱ALDによって形成されることができることを特徴とする。
【0085】
18)1)に記載の方法において、TiO膜の形成後に400℃から1,000℃の温度で熱アニールを行うことにより、アニール温度に応じて、アナターゼ型TiO結晶、ルチル型TiO結晶又はブルッカイト型TiO結晶を形成することができる。
【0086】
19)18)に記載の方法において、アナターゼ型TiO結晶又はルチル型TiO結晶は、光触媒活性を示し、さらに、アナターゼ型TiO結晶は、超親水性を示すことを特徴とする。
【0087】
20)1)に記載の方法では、RFパワーは、10Wから2000Wの範囲である。
【0088】
21)1)に記載の方法において、膜のステップカバレッジは、95%又はそれ以上であることを特徴とする。
【0089】
22)1)に記載の方法において、シリコン基板を保持するサセプタの温度は、0℃から600℃の範囲であり、装置に搭載されるプラズマ発生器は、1MHzから60MHzの任意の周波数を有することを特徴とする。
【0090】
複数のおよび様々な変更が本発明の精神から逸脱せずになされ得ることは当業者により理解されるであろう。したがって、本発明の形態は例示のみであり、本発明の範囲を限定することを意図するわけではないことが明確に理解されるべきである。
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