特開2015-76480(P2015-76480A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-76480(P2015-76480A)
(43)【公開日】2015年4月20日
(54)【発明の名称】パージ装置及びパージ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20150324BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-211253(P2013-211253)
(22)【出願日】2013年10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA02
5F131GA14
5F131GB02
5F131GB14
5F131GB29
5F131JA05
5F131JA14
5F131JA24
5F131JA40
5F131KA25
(57)【要約】

【課題】 パージガスの昇温を許容範囲内に抑制する。
【構成】 配管を流れるパージガスの流量を流量制御装置により制御すると共に、流量制御装置からの熱を放熱部材により放熱し、パージガスの昇温を抑制する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管からパージガスを供給するパージ装置において、
前記配管を流れるパージガスの流量を制御する流量制御装置と、
前記流量制御装置で発生した熱を放熱する放熱部材、とを有することを特徴とする、パージ装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記流量制御装置の背面と金属フレームとの間に、かつ前記背面と前記金属フレームの双方に密着するように配置されている熱伝導シートから成ることを特徴とする、請求項1のパージ装置。
【請求項3】
前記金属フレームが、前記流量制御装置を取り付けるためのフレームであることを特徴とする、請求項2のパージ装置。
【請求項4】
前記パージ装置は半導体ウェハーを収容する容器のストッカに設けられて、前記容器内へ前記配管からパージガスを供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかのパージ装置。
【請求項5】
配管からパージガスを供給するパージ方法において、
前記配管を流れるパージガスの流量を流量制御装置により制御すると共に、
前記流量制御装置からの熱を放熱部材により放熱し、パージガスの昇温を抑制することを特徴とする、パージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はストッカ、ロードポート、半導体の処理装置、等で用いるパージ装置と、パージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハーを収容する容器を、窒素ガスあるいは清浄乾燥空気等のパージガスでパージしながら、保管することが知られている(特許文献1 特開2013-133194)。特許文献1では、パージガスの流量を一定に保つため、パージガスを供給する間口毎に、マスフローコントローラ等の流量制御装置を設けることを記載している。
【0003】
関連する先行技術を示す。マスフローコントローラでは、メイン流路から一部のガスをセンサ流路へ分岐させ、センサ流路で流量を測定する。特許文献2(特開2009-300403)は、メイン流路とセンサ流路との分岐部に放熱体を設けることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-133194
【特許文献2】特開2009-300403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、マスフローコントローラを経由することにより、パージガスが昇温することを見出した。パージガスが昇温すると、容器内の半導体ウェハー等も昇温し、製造した半導体の性質に影響が生じることがある。このためマスフローコントローラ等の流量制御装置により、パージガスが昇温することを、許容範囲内に抑制する必要がある。
【0006】
この発明の課題は、パージガスの昇温を許容範囲内に抑制することにより、パージ対象の物品への影響を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、配管からパージガスを供給するパージ装置において、
配管を流れるパージガスの流量を制御する流量制御装置と、
流量制御装置で発生した熱を放熱する放熱部材、とを有することを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、配管からパージガスを供給するパージ方法において、
配管を流れるパージガスの流量を流量制御装置により制御すると共に、
流量制御装置からの熱を放熱部材により放熱し、パージガスの昇温を抑制することを特徴とする。
【0009】
流量制御装置は例えばマスフローコントローラであるが、種類は任意で、パージガスの流量を制御できるものであればよい。放熱部材は実施例の熱伝導シートの他に、熱伝導性のパテ、熱伝導性の接着剤、ヒートパイプ等が好ましく、流量制御装置を取り付ける金属フレーム自体は放熱部材とは見なさない。金属フレームに流量制御装置を固定しても、両者を密着させることは困難で、隙間が残る。この隙間が断熱層として作用し、流量制御装置からの放熱を妨げる。これに対して放熱部材により流量制御装置を冷却すると、パージガスの昇温を許容範囲内に制限できる。なおこの明細書において、パージ装置に関する記載はそのままパージ方法にも当てはまる。
【0010】
好ましくは、放熱部材は、流量制御装置の背面と金属フレームとの間に、かつ背面と金属フレームの双方に密着するように配置されている熱伝導シートから成る。熱伝導シートは、シリコン、アクリル等のプラスチックに、カーボン、金属粉等の熱伝導性の粒子を混和したシートで、流量制御装置の背面と金属フレームとの間に置かれて、双方に密着する。熱伝導シートは空気に比べはるかに熱伝導率が高いので、流量制御装置と金属フレームとの間に空気が残ることによる断熱効果を解消し、流量制御装置から金属フレームへの放熱を促進する。
【0011】
より好ましくは、金属フレームは流量制御装置を取り付けるためのフレームで、中間の金属フレーム(取り付け金具)等を介さずに、流量制御装置を熱伝導シートを介して直接に金属フレームに固定する。従って、流量制御装置から効率的に放熱できる。このような例を図3図4に示す。
【0012】
パージ装置の用途は、ロードポート、半導体の処理装置等、任意で、パージ対象も医薬品、レチクル等、任意である。しかし好ましくはパージ装置は半導体ウェハーを収容する容器のストッカに設けられて、容器内へ配管からパージガスを供給するように構成されている。半導体工場でストッカに保管される仕掛品の半導体ウェハーは温度に敏感で、流量制御装置による僅かな昇温にも影響を受ける。そこでストッカでのパージガスの昇温を防止すると、製造した半導体の特性のバラツキを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例のパージ装置のブロック図
図2】実施例で用いるマスフローコントローラの構造を示す図
図3】実施例でのマスフローコントローラの取付を示す正面図
図4】実施例でのマスフローコントローラの取付を示す側面図
図5】実施例でのストッカの要部側面図
図6】変形例でのマスフローコントローラの取付を示す側面図
図7】第2の変形例でのマスフローコントローラの取付を示す側面図
図8】第3の変形例でのマスフローコントローラの取付を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0015】
図1図8に、実施例のパージ装置1とその変形とを示す。図1において、2はマスフローコントローラで、流量制御装置の例で、放熱部材9が取り付けられている。窒素ガス、清浄乾燥空気等のパージガスは配管3から送られ、手動弁4を経て、レギュレータ5で下流側の圧力を安定にし、制御弁6を経由して、配管7へ送られる。マスフローコントローラ2は、クリーンルーム内におかれた半導体ウェハー用のストッカの間口毎に設けられ、ノズル8から半導体ウェハーを収容するFOUP等の容器へパージガスを導入する。ストッカで半導体ウェハーを収容する容器はFOUPに限らず、可搬な容器に限らず、固定容器でも良い。
【0016】
図2はマスフローコントローラ2の構造を示し、10はプラスチック、金属等のケース、11はガス入口、12はガス出口である。ガス入口11から入ったパージガスを、一定の割合で分岐させ、流量センサ13で分岐させたパージガスの流量を測定する。この測定値に基づき、制御弁14で流量を制御し、ガス出口12から排気する。なお分岐させたパージガスはガス出口12の手前で合流させる。15は基板で、制御回路等を搭載し、端子16から外部と通信すると共に電源の供給を受ける。17,18は入口側と出口側の配管で、前記の配管7の一部である。流量センサ13では僅かな発熱があるが、発熱量は僅かで、パージガスの昇温への影響は無視できる。
【0017】
マスフローコントローラ2での発熱の多くは、基板15と制御弁14とによるもので、そのときの流量にもよるが、対策を施さないと、マスフローコントローラ2により、パージガスは例えば1〜2℃程度昇温する場合がある。そしてこの程度の昇温でも、半導体の製造品質のバラツキ要因となることがある。
【0018】
図3図4に、熱伝導シート25,26を放熱部材とする、マスフローコントローラ2の取り付けを示す。20は例えばアルミニウム製の金属フレームで、マスフローコントローラ2をストッカの棚の金属板30へ取り付ける役割を果たす。金属フレーム20は放熱用のフィン21を備えることが好ましい。クリーンルーム用の通常の材料であるステンレスは熱伝導度が低いので、熱伝導度が高く、かつクリーンルーム内での使用が許されるアルミニウムを、金属フレーム20の材料とすることが好ましい。金属フレーム20の上部を折り曲げて庇22とし、ビス28等により、マスフローコントローラ2を固定する。そして金属フレーム20とマスフローコントローラ2の背面の間に、両者間に隙間が残らないように、熱伝導シート26を配置し、同様に庇22とマスフローコントローラ2の上面との間に、隙間が残らないように、熱伝導シート25を配置する。また金属フレーム20は、ナット29等により、金属板30に固定する。好ましくは金属板30を、ステンレス製ではなく、アルミニウム製とする。
【0019】
熱伝導シート25,26はアクリル、シリコン等のプラスチックに、カーボン、金属粉等の熱伝導材料を混和したシートで、厚さは0.01mm〜3mm程度である。熱伝導シート25,26は非粘着性のシートとし、ビス28でマスフローコントローラ2を固定する。しかし例えば両面が粘着性の熱伝導シートを用いると、ビス28は不要である。熱伝導シート25,26は、マスフローコントローラ2を、金属フレーム20及び庇22に、空気等の隙間無しに密着させ、マスフローコントローラ2から金属フレーム20への放熱を促進する。なおプラスチックに熱伝導材料を混和したパテ、接着剤、あるいはヒートパイプ等を用いても良いが、熱伝導シート25,26は施工が容易で、かつ不要なアウトガスが少ないため、好適である。
【0020】
図5は、図3図4の金属フレーム20を、金属板30に取り付けた状態を示す。金属板30は例えばストッカの棚の背面側の板で、マスフローコントローラ2、図示しない間口毎の弁、等のパージ装置の要素が固定されている。38は支柱で、棚受32が取り付けられ、棚受32上のスペースが間口で、FOUP等の物品34がカップリングピン36により位置決めされて載置され、ノズル8から物品34内へパージガスが供給される。
【0021】
図5の鎖線で示すように、マスフローコントローラ2をストッカの外板40に取り付けても良い。42は金属板30と外板40との隙間で、隙間42にクリーンエアのダウンフローを設けると、マスフローコントローラ2をより効率的に冷却できる。44はマスフローコントローラ2を取り付けるための両面粘着性の熱伝導シートであるが、図3図4のように金属フレーム20とビス28等を用い、非粘着性の熱伝導シートを用いても良い。またマスフローコントローラ2を取り付ける外板40は、ステンレス製ではなく、アルミニウム製が好ましい。
【0022】
図6は、変形例でのマスフローコントローラ2の取り付けを示す。アルミニウム製の取り付け金具50に、熱伝導シート25,26を介して、マスフローコントローラ2をビス止めし、取り付け金具50を、熱伝導シート52を介して、アルミニウム製の金属フレーム54にビス51等で取り付ける。図6の変形例は、マスフローコントローラ2からの放熱が、図3図4の実施例よりも少ない。
【0023】
図7は第2の変形例を示し、両面粘着性の熱伝導シート44を介して、マスフローコントローラ2が金属板30もしくは外板40に、金属フレーム20等を介さずに、取り付けられている。この場合、金属板30もしくは外板40をアルミニウム製とすることが好ましい。
【0024】
図8は第3の変形例を示し、分流板70を金属板30の上部に設けて、クリーンエアのダウンフローを、金属板30と外板40との隙間42へ導く。この気流により、マスフローコントローラ2,金属板30,外板40等を冷却する。マスフローコントローラ2は金属板30に取り付けても、外板40に取り付けても良く、マスフローコントローラ2を取り付けた側をアルミニウム製とすることが好ましい。なお72は複数の間口から成る棚で、例えば棚72を左右一対設けて、その間をスタッカークレーン等の搬送装置の走行スペース74とし、全体を外板40で囲むと、ストッカ76となる。なお図8では、一方の棚72のみを示す。
【0025】
実施例には以下の特徴がある。
1) マスフローコントローラ2によるパージガスの昇温を、例えば1℃未満、特に0.5℃未満にできる。
2) マスフローコントローラ2の既存の取り付け方法に比べ、熱伝導シート25,26を追加するだけでよいので、施工が容易である。
3) 金属フレーム20,金属板30,外板40等をアルミニウム製とすることにより、放熱がより容易になる。
4) 金属フレーム20にフィン21を設けても、放熱がより容易になる。
【0026】
なおパージガスを外部から導入する配管3側に冷却装置を設けると、ストッカ76の構造が大形化する。従って、実施例のように熱伝導シート25,26等を用い、マスフローコントローラ2を放熱する方が実施が容易である。
【符号の説明】
【0027】
1 パージ装置
2 マスフローコントローラ
3,7 配管
4 手動弁
5 レギュレータ
6 制御弁
8 ノズル
9 放熱部材
10 ケース
11 ガス入口
12 ガス出口
13 流量センサ
14 制御弁
15 基板
16 端子
17,18 配管
20 金属フレーム
21 フィン
22 庇
25,26 熱伝導シート
28 ビス
29 ナット
30 金属板
32 棚受
34 物品
36 カップリングピン
38 支柱
40 外板
42 隙間
44 熱伝導シート
50 取り付け金具
51 ビス
52 熱伝導シート
54 金属フレーム
70 分流板
72 棚
74 走行スペース
76 ストッカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8