【実施例】
【0015】
図1〜
図8に、実施例のパージ装置1とその変形とを示す。
図1において、2はマスフローコントローラで、流量制御装置の例で、放熱部材9が取り付けられている。窒素ガス、清浄乾燥空気等のパージガスは配管3から送られ、手動弁4を経て、レギュレータ5で下流側の圧力を安定にし、制御弁6を経由して、配管7へ送られる。マスフローコントローラ2は、クリーンルーム内におかれた半導体ウェハー用のストッカの間口毎に設けられ、ノズル8から半導体ウェハーを収容するFOUP等の容器へパージガスを導入する。ストッカで半導体ウェハーを収容する容器はFOUPに限らず、可搬な容器に限らず、固定容器でも良い。
【0016】
図2はマスフローコントローラ2の構造を示し、10はプラスチック、金属等のケース、11はガス入口、12はガス出口である。ガス入口11から入ったパージガスを、一定の割合で分岐させ、流量センサ13で分岐させたパージガスの流量を測定する。この測定値に基づき、制御弁14で流量を制御し、ガス出口12から排気する。なお分岐させたパージガスはガス出口12の手前で合流させる。15は基板で、制御回路等を搭載し、端子16から外部と通信すると共に電源の供給を受ける。17,18は入口側と出口側の配管で、前記の配管7の一部である。流量センサ13では僅かな発熱があるが、発熱量は僅かで、パージガスの昇温への影響は無視できる。
【0017】
マスフローコントローラ2での発熱の多くは、基板15と制御弁14とによるもので、そのときの流量にもよるが、対策を施さないと、マスフローコントローラ2により、パージガスは例えば1〜2℃程度昇温する場合がある。そしてこの程度の昇温でも、半導体の製造品質のバラツキ要因となることがある。
【0018】
図3,
図4に、熱伝導シート25,26を放熱部材とする、マスフローコントローラ2の取り付けを示す。20は例えばアルミニウム製の金属フレームで、マスフローコントローラ2をストッカの棚の金属板30へ取り付ける役割を果たす。金属フレーム20は放熱用のフィン21を備えることが好ましい。クリーンルーム用の通常の材料であるステンレスは熱伝導度が低いので、熱伝導度が高く、かつクリーンルーム内での使用が許されるアルミニウムを、金属フレーム20の材料とすることが好ましい。金属フレーム20の上部を折り曲げて庇22とし、ビス28等により、マスフローコントローラ2を固定する。そして金属フレーム20とマスフローコントローラ2の背面の間に、両者間に隙間が残らないように、熱伝導シート26を配置し、同様に庇22とマスフローコントローラ2の上面との間に、隙間が残らないように、熱伝導シート25を配置する。また金属フレーム20は、ナット29等により、金属板30に固定する。好ましくは金属板30を、ステンレス製ではなく、アルミニウム製とする。
【0019】
熱伝導シート25,26はアクリル、シリコン等のプラスチックに、カーボン、金属粉等の熱伝導材料を混和したシートで、厚さは0.01mm〜3mm程度である。熱伝導シート25,26は非粘着性のシートとし、ビス28でマスフローコントローラ2を固定する。しかし例えば両面が粘着性の熱伝導シートを用いると、ビス28は不要である。熱伝導シート25,26は、マスフローコントローラ2を、金属フレーム20及び庇22に、空気等の隙間無しに密着させ、マスフローコントローラ2から金属フレーム20への放熱を促進する。なおプラスチックに熱伝導材料を混和したパテ、接着剤、あるいはヒートパイプ等を用いても良いが、熱伝導シート25,26は施工が容易で、かつ不要なアウトガスが少ないため、好適である。
【0020】
図5は、
図3,
図4の金属フレーム20を、金属板30に取り付けた状態を示す。金属板30は例えばストッカの棚の背面側の板で、マスフローコントローラ2、図示しない間口毎の弁、等のパージ装置の要素が固定されている。38は支柱で、棚受32が取り付けられ、棚受32上のスペースが間口で、FOUP等の物品34がカップリングピン36により位置決めされて載置され、ノズル8から物品34内へパージガスが供給される。
【0021】
図5の鎖線で示すように、マスフローコントローラ2をストッカの外板40に取り付けても良い。42は金属板30と外板40との隙間で、隙間42にクリーンエアのダウンフローを設けると、マスフローコントローラ2をより効率的に冷却できる。44はマスフローコントローラ2を取り付けるための両面粘着性の熱伝導シートであるが、
図3,
図4のように金属フレーム20とビス28等を用い、非粘着性の熱伝導シートを用いても良い。またマスフローコントローラ2を取り付ける外板40は、ステンレス製ではなく、アルミニウム製が好ましい。
【0022】
図6は、変形例でのマスフローコントローラ2の取り付けを示す。アルミニウム製の取り付け金具50に、熱伝導シート25,26を介して、マスフローコントローラ2をビス止めし、取り付け金具50を、熱伝導シート52を介して、アルミニウム製の金属フレーム54にビス51等で取り付ける。
図6の変形例は、マスフローコントローラ2からの放熱が、
図3,
図4の実施例よりも少ない。
【0023】
図7は第2の変形例を示し、両面粘着性の熱伝導シート44を介して、マスフローコントローラ2が金属板30もしくは外板40に、金属フレーム20等を介さずに、取り付けられている。この場合、金属板30もしくは外板40をアルミニウム製とすることが好ましい。
【0024】
図8は第3の変形例を示し、分流板70を金属板30の上部に設けて、クリーンエアのダウンフローを、金属板30と外板40との隙間42へ導く。この気流により、マスフローコントローラ2,金属板30,外板40等を冷却する。マスフローコントローラ2は金属板30に取り付けても、外板40に取り付けても良く、マスフローコントローラ2を取り付けた側をアルミニウム製とすることが好ましい。なお72は複数の間口から成る棚で、例えば棚72を左右一対設けて、その間をスタッカークレーン等の搬送装置の走行スペース74とし、全体を外板40で囲むと、ストッカ76となる。なお
図8では、一方の棚72のみを示す。
【0025】
実施例には以下の特徴がある。
1) マスフローコントローラ2によるパージガスの昇温を、例えば1℃未満、特に0.5℃未満にできる。
2) マスフローコントローラ2の既存の取り付け方法に比べ、熱伝導シート25,26を追加するだけでよいので、施工が容易である。
3) 金属フレーム20,金属板30,外板40等をアルミニウム製とすることにより、放熱がより容易になる。
4) 金属フレーム20にフィン21を設けても、放熱がより容易になる。
【0026】
なおパージガスを外部から導入する配管3側に冷却装置を設けると、ストッカ76の構造が大形化する。従って、実施例のように熱伝導シート25,26等を用い、マスフローコントローラ2を放熱する方が実施が容易である。