(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-765(P2015-765A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】容器に充填物を充填する装置および方法
(51)【国際特許分類】
B67C 3/26 20060101AFI20141202BHJP
【FI】
B67C3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-120644(P2014-120644)
(22)【出願日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】10 2013 106 104.4
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーシュル ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マインジンガー ルパート
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AA02
3E079AB01
3E079BB03
3E079CC11
3E079DD02
3E079DD50
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加圧ガスの逃散を防止して炭酸飲料を含む充填物を容器に充填する装置を提供する。
【解決手段】装置1は、容器の口部に封止スリーブ3を装着する駆動部5を備えている。駆動部は、ピストン54を備えている。ピストンは、当該ピストンを復帰させる予圧力を付与可能な予圧室56から作動室58を分離している。予圧室と作動室との間に圧力補償装置7が設けられている。圧力補償装置は、予圧室内で上限値と下限値との間の所定の予圧力範囲を保持するように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料充填工場を含む設備において炭酸飲料を含む充填物を容器に充填する装置(1)であって、
前記容器の口部に封止スリーブ(3)を装着する駆動部(5)を備えており、
前記駆動部(5)は、ピストン(54)を備えており、
前記ピストン(54)は、当該ピストン(54)を復帰させる予圧力を付与可能な予圧室(56)から作動室(58)を分離しており、
前記予圧室(56)と前記作動室(58)との間に圧力補償装置(7)が設けられており、
前記圧力補償装置(7)は、前記予圧室(56)内で上限値と下限値との間の所定の予圧力範囲を保持するように形成されている、
装置(1)。
【請求項2】
前記圧力補償装置(7)は、第1逆止弁(70)と第2逆止弁(72)を備えており、
前記第1逆止弁(70)と前記第2逆止弁(72)は、前記予圧室(56)と前記作動室(58)との間で逆方向の気流を許容している、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記第1逆止弁(70)は、換気された前記作動室(58)に対して前記予圧室(56)に正圧が付与されるように、前記予圧力範囲の前記下限値で予圧されている、
請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第2逆止弁(72)は、前記予圧力範囲を上回る圧力が前記予圧室(56)内で減圧されるように、前記予圧力範囲の前記上限値で予圧されている、
請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記圧力補償装置(7)は、初期位置への前記ピストン(54)の復帰を可能にするとともに、前記口部への前記封止スリーブ(3)の確実な装着も可能にする予圧力範囲を前記予圧室(56)内に形成するように構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記駆動部(5)は、気密隔壁(6)によって前記封止スリーブ(3)から分離されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記圧力補償装置(7)は、少なくとも1つの絞り逆止弁を備えている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記駆動部(5)と前記封止スリーブ(3)がそれぞれ永久磁石(30、50)を備えることにより、前記駆動部(5)と前記封止スリーブ(3)が磁気結合可能である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記封止スリーブ(3)は、シールリング(32)を有しており、
前記シールリング(32)は、気密隔壁(6)により区画される直径よりも大きな直径を有しており、
前記シールリング(32)は、前記封止スリーブ(3)と同心状に配置されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記シールリング(32)は、テフロン化合物を含んでいる、
請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記封止スリーブ(3)は、前記駆動部(5)の前記ピストン(54)と同心状に配置されており、
前記駆動部(5)と前記封止スリーブ(3)は、永久磁石(30、50)を有しており、当該永久磁石(30、50)を介して前記駆動部(5)と前記封止スリーブ(3)が結合されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記封止スリーブ(3)は、バックグラウンド洗浄可能に配置されており、
バックグラウンド洗浄通路(34)が設けられている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
飲料充填工場を含む設備で炭酸飲料を含む充填物を容器に充填する方法であって、
封止スリーブ(3)に結合された駆動部(5)の動作によって容器の口部に封止スリーブ(3)を装着する工程を含み、
前記駆動部(5)は、ピストン(54)を備えており、
前記ピストン(54)は、当該ピストン(54)を復帰させる予圧力を付与可能な予圧室(56)から作動室(58)を分離しており、
前記予圧室(56)内の予圧力は、圧力補償装置(7)によって上限値と下限値の間の所定の予圧力範囲内に保持される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に充填物を充填する装置および方法、好ましくは、瓶詰め工場において容器に炭酸充填物を充填する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶詰め工場において容器内に炭酸飲料を充填するために、各容器の容器口部を充填エレメントに押し付け、当該充填エレメントで容器の気密封止部を形成し、炭酸飲料の充填時に必須の背圧を高める加圧ガスの逃散を防止することが知られている。
【0003】
容器もしくは容器口部を各充填エレメントに押し付けて気密封止するために、各容器をリフト板上に導き、当該リフト板によって容器を持ち上げて容器口部を上方の充填エレメントに押し付ける技術が知られている。このためには、充填対象である容器の上方の充填エレメントに対する相対移動が求められる。また、リフト板ごとに対応するリフト装置が必要である。このようなリフト要素を設けるにあたっては、充填機全体を非常に堅牢に構成することで発生する力を逃がすことが求められる。
【0004】
別の公知例においては、被充填容器の口部の上方に位置する面にジャッキが設けられている。当該口部の上方には、他の部品も設けられており、水蒸気の凝結が生じることがある。例えば凝結した水が開口した容器内に滴下する可能性があるため、衛生対策が求められる。
【0005】
代案として、特許文献1に記載の充填機の構想が知られている。当該構想においては、被充填容器の封止は、可動センタリングベルにより行なわれる。具体的には、センタリングベルが被充填容器に向かって下降して気密封止がなされる。充填後にセンタリングベルは再び上昇される。センタリングベルのリセットは、圧縮ばねか圧力パッドの付勢によりなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案 20 2006 001 234号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の先行技術に鑑み、本発明の課題は、信頼性のよい長期動作を可能にする容器を充填する装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。有利な諸改良は従属請求項において明らかとなる。
【0009】
したがって、容器に充填物を充填する、好ましくは、飲料充填工場において容器に炭酸飲料を充填する装置が提案される。当該装置は、容器の口部に封止スリーブを装着する駆動部を備えている。当該駆動部は、ピストンを備えている。当該ピストンは、作動室を予圧室から分離している。当該予圧室は、ピストンを復帰させるために予圧力を付与可能である。本発明によれば、予圧室と作動室との間に圧力補償装置が設けられている。当該圧力補償装置は、好ましくは上限値と下限値との間の所定の予圧力範囲を予圧室内で保持するように形成されている。
【0010】
所定の予圧力範囲を予圧室内で保持するための圧力補償装置が設けられていることにより、予圧室は常に所定圧力範囲内に保持されうる。これにより、好ましくは上限値と下限値との間の所定の圧力範囲が予圧室内で得られる。例えば、封止スリーブの初期位置への確実な復帰を達成するような圧力値を、予圧室内に常時確保できる。予圧室内の所定の予圧力範囲によって、封止スリーブは、常に所定の押付け力で各容器口部に完全に押し付けられうる。これにより、例えば容器に炭酸飲料を充填するときの確実な封止の達成を保証できる。ポンピング作用もしくはシリンダスペースとピストンとの間の圧漏れに基づいて予圧室内で圧力が制御不能に上昇することが従来から知られているが、このような事態が回避されうる。これに伴い、予圧室内の予圧力が過度に高くなることで生ずる反力によって封止スリーブの確実な圧着が妨げられる事態も回避されうる。
【0011】
好ましくは、前記圧力補償装置は、第1逆止弁と第2逆止弁を備えており、前記第1逆止弁と前記第2逆止弁は、前記予圧室と前記作動室との間で逆方向の気流を許容している。逆方向の気流によって所定の予圧力範囲が保持されうる。予圧室内の過度に低い圧力を高めるために超過圧力を作動室から予圧室に流入させることができ、あるいは、予圧室内で過度に高い超過圧力が形成された場合に超過圧力を予圧室から作動室へと放出させることができるからである。好ましくは、前記第1逆止弁は、換気された前記作動室に対して前記予圧室に正圧が付与されるように予圧されている。好ましくは、前記第2逆止弁は、前記予圧力範囲を上回る圧力が前記予圧室内で減圧されるように、予圧されている。
【0012】
好ましくは、作動室から予圧室への気流を許容する第1逆止弁が設けられており、当該第1逆止弁の予圧力により、作動室内の圧力よりも予圧室内の圧力を低くできる。また、好ましくは、予圧室から作動室への気流を許容する第2逆止弁が設けられており、当該第2逆止弁は、作動室の排気時に予圧室内の圧力を所定の初期レベルに低下させるような予圧力を有する。換言すると、例えばポンピング作用や漏れに基づいて予圧室内に過度な圧力が形成される事態が回避される。
【0013】
好ましくは、第1逆止弁の予圧により、予圧力範囲の下限値に一致した予圧力が予圧室内に生成される。好ましくは、第2逆止弁の予圧により、予圧力範囲の上限値に一致した予圧力が予圧室内に生成される。各圧力は、初期状態におけるピストン位置、つまり作動室排気時のピストン位置に常に基づいている。
【0014】
特に好ましくは、初期位置へのピストン復帰を可能とする予圧力範囲を圧力補償装置が予圧室内に形成するように圧力補償装置が構成されている。これにより、封止スリーブも初期位置へと動かされる。
【0015】
逆方向の気流を許容する第1逆止弁と第2逆止弁を設けることによって、圧縮空気が加えられて作動室が加圧されると、予圧室への気流が生じ、逆止弁の予圧力によって、予圧室内の圧力が所定値に至るまで高まることを確実にできる。なお、作動室内の圧力が予圧室内の圧力よりも高くなることにより、ピストンが予圧室に向かって動かされ、予圧室内に収容されたガスは圧縮される。これにより、予圧室内の圧力はさらに上昇する。このように構成された圧力パッド(形成された予圧室内の圧力)は、充填プロセスの終了後に封止スリーブを初期位置に押し戻すように機能する。
【0016】
作動室内の圧力の上昇と予圧室へ向かうピストンの動きは、封止スリーブを容器の口部に圧着させる。第1逆止弁もしくはその予圧力を介して調整される予圧室内の圧力は、封止スリーブを装着するピストンの動きに抗いつつ、予圧室内の圧力が容器の口部に対して封止スリーブを所定の力で押し付けできるように定められる。換言すると、第1逆止弁を介して調整可能な圧力は、作動室の換気時、好ましくは作動室を排気して大気圧力とするときに封止スリーブの完全復帰もしくは後退を可能とする圧力パッドが予圧室内で形成されるように定められる。確実な復帰を可能とするために、封止スリーブを完全に復帰させたときにも一定の超過圧力が予圧室内に存在していることを要する。
【0017】
封止スリーブが完全復帰位置にあるときに予圧室内で大気圧が優勢になると、ピストンのシリンダスペースに対する不可避的な摩擦とピストンの自重により、封止スリーブを完全に復帰させることができない事態がありうる。したがって、第1逆止弁に関しては、少なくともピストンの摩擦と自重に係る問題に対処するために、ピストンが初期位置にあるときにも一定の超過圧力が予圧室内に存在していることが特に好ましい。
【0018】
予圧室から作動室への気流を許容する第2逆止弁は、封止スリーブが完全復帰位置(すなわち初期位置)にあるとき、上限値を上回る圧力が予圧室内で形成されないようにしている。換言すると、作動室の排気時において予圧室内の圧力は、封止スリーブの完全復帰に不可欠な圧力が予圧室内に残存する程度まで解放される。第2逆止弁は、大気圧をわずかに上回る圧力が予圧室内に残存するように、予圧力の調整を通じて予圧室から圧力を放出させる構成とされている。
【0019】
上記の例のように構成される圧力補償装置によって、封止スリーブの完全制御と容器の完全封止を可能とする圧力が、予圧室内に常に存在するようにできる。
【0020】
よって、充填プロセス毎に、封止スリーブを下降させて容器の口部を封止し、容器に炭酸飲料を充填し、封止スリーブを後退させて各充填装置から容器を取り外す際に、所定の初期圧力、加圧力、および最終圧力が、それぞれ予圧室内で形成されうる。
【0021】
好ましくは、封止スリーブが駆動部と磁気的に結合されている。ここで、駆動部と封止スリーブが衛生上分離されるために、ピストンと封止スリーブとの間は気密に分離されることが特に好ましい。
【0022】
圧力補償装置は、少なくとも1つの絞り逆止弁を備えている構成としてもよい。
【0023】
また、上記のように構成された予圧室によれば、摩耗に供される部品である復帰ばねの使用を省略できる。換言すると、所定の予圧力範囲がピストンを初期位置へと付勢する。よって、その他の付勢手段は適宜に省略できる。
【0024】
封止スリーブの摩耗を抑制するため、前記封止スリーブは、シールリングを有している。当該シールリングは、気密隔壁により区画される直径よりも大きな直径を有している。当該シールリングは、封止スリーブと同心状に配置されていることが好ましい。シールリングが変形することにより、確実な封止がなされる。特に好ましくは、シールリングは、テフロン化合物を含んでいる。これにより、従来のシールに見られた過度な摩耗が回避される。
【0025】
また、上記の課題は、請求項13に記載の特徴を有する容器充填方法によって解決される。
【0026】
したがって、容器に充填物を充填する、好ましくは、飲料充填工場において容器に炭酸飲料を充填する方法が提案される。当該方法は、封止スリーブに結合された駆動部の動作によって容器の口部に封止スリーブを装着する工程を含んでいる。前記駆動部は、ピストンを備えている。前記ピストンは、当該ピストンを復帰させる予圧力を付与可能な予圧室から作動室を分離している。前記予圧室内の予圧力は、圧力補償装置によって上限値と下限値の間の所定の予圧力範囲内に保持される。
【0027】
本発明のさらに好ましい別実施形態および態様は、図面についての以下の説明により、さらに示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】容器に充填物を充填するための装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、好ましい実施形態が説明される。異なる図面間で同一、同様、同等の要素は同一の参照番号により指示され、そのような要素について繰り返しとなる説明は、冗長性を避けるために一部省略される。
【0030】
図1と
図2は、容器を充填物で充填する(特に、飲料充填システムにおいて容器を炭酸飲料で充填する)装置1を模式的に示している。飲料は、模式的に示された製品バルブ2が有する出口スリーブ20を通じて図示しない被充填容器に放出される。
図2において模式的に示されるように、製品バルブ2は、放出流量または放出流速を制御するために弁体22を備えている。充填物は、開口24からほぼ自由噴流として流出する。
【0031】
矢印に沿って上下に変位可能な封止スリーブ3が設けられている。
図1と
図2に示されているのは封止スリーブ3の上側位置である。当該位置は初期位置であり、このとき新たな被充填容器は、装置1の下方に配置されうる。封止スリーブ3は、下方に変位した位置において、被充填容器の口部に押し付けられ、製品バルブ2の出口スリーブ20の開口24を基準にしたセンタリングと気密封止の双方がなされる。よって、炭酸飲料が充填される容器は、充填物が製品バルブ2を通過する前に、予圧ガスで予圧されうる。容器の予圧によって、充填時における過度の発泡が回避されうる。さらに、容器への突然の圧力付加が回避されうることにより、容器の欠陥(特に容器の開き)が回避されうる。さらに、封止スリーブ3による気密封止を利用して、充填前の被充填容器は、ガスで洗浄されうる。これは、例えば酸素に敏感な製品の場合に重要でありうる。例えば、容器内部から空気中酸素が実質的に押し出されるように、二酸化炭素で容器を洗浄できる。
【0032】
封止スリーブ3を下降させて容器口部に押し付けた直後、あるいはガス洗浄後に、容器は加圧ガスで適宜に予圧される。次いで弁体22を持ち上げることによって製品バルブ2が開放され、充填物の流出が可能になる。例えば流量計28により制御された充填動作が完了すると、弁体22が再び下降され、製品バルブ2の出口24からの製品の流れが遮断される。その後、加圧充填された容器は、開放弁40を通じて開放され、封止スリーブ3が
図1と
図2に示された初期位置へ復帰可能とされる。新たな容器が再び封止スリーブ3の下方に配置され、当該初期位置より上記のプロセスが再開する。
【0033】
加圧ガス、洗浄ガス、および製品ガスによる容器の予圧、洗浄、除圧の少なくとも1つは、ガス通路4を通じてなされうる。このガス通路4は、開放弁40および加圧ガス弁42と連通しており、製品出口とも連通している。
【0034】
封止スリーブ3は、駆動部5と結合されている。封止スリーブ3と駆動部5の結合は、磁気的なものである。このため、封止スリーブ3は、第1永久磁石30を有しており、当該永久磁石30は、駆動部5の第2永久磁石50に対向するように配置されている。駆動部5は、封止スリーブ3を環状に囲むように配置されている。駆動部は、図示の実施形態例において環状室として形成されたシリンダスペース52内で動く。駆動部5は、ピストン54を備えている。図示の実施形態例においては、ピストン54も環状に形成されており、封止スリーブ3と同心状にに延びている。ピストン54は、シリンダスペース52を予圧室56と作動室58とに分割する。
【0035】
予圧室56は、ピストン54により気密的に封止されて、作動室58とほぼ対向している。
【0036】
作動室58は、空気圧通路59を介して圧縮空気により加圧され、あるいは、排気により大気圧とされうる。空気圧管路59を介して作動室58に圧力が加えられると、ピストン54が予圧室56の方向に動かされ、予圧室56内の体積が縮小される。ピストン54の予圧室56へ向かう(
図1と
図2における下方)動きにより、両永久磁石30、50を通じてなされる磁気結合を介して封止スリーブ3も下方に引かれることにより、封止スリーブ3が容器の口部に押し付けられうる。
【0037】
環状室の態様のシリンダスペース52と製品スペース62との間において、気密液密な隔壁6が磁気結合を通過している。製品スペース62には、容器内に達する充填物と加圧ガスもしくは洗浄ガスが提供される。これにより、製品領域と駆動領域が衛生的に分離され、浄化が簡易になされうる。
【0038】
シリンダスペース52を作動室58と予圧室56に分割するピストン54は、特別な衛生上の要求を満足できるようにする気密封止を提供するシール540を備えている。
【0039】
作動室58内で空気圧力を形成中に予圧室56内で予圧力を形成できるようにすることにより予圧室56内で一定の超過圧力を得て、当該超過圧力により充填終了後に初期位置へのピストン54の確実な復帰を可能とするために、作動室58から予圧室56への気流を許容する第1逆止弁70が設けられている。
【0040】
第1逆止弁70は、ロック装置内の適当な予圧手段により予圧されることにより、予圧室56に導入される予圧が作動室58に加えられる圧力よりも小さくなるようにしている。作動室58内の空気圧が予圧室56内の空気圧よりも大きいという特徴により、作動室58へ空気圧を加えることによる下向きのピストン54の移動が達成されうる。これにより、封止スリーブ3が下向きに移動され、容器の口部に押し付けられる。
【0041】
作動室58が排気されて大気圧にされると、ピストン54は、予圧室56内の予圧力により
図1と
図2に示された初期位置に戻される。
【0042】
この過程において、予圧室56内で形成されてピストン54をその初期位置へと完全に戻すのに不可欠な予圧力が、複数のプロセスサイクルにわたって上昇することが起こりうる。このような圧力上昇は、例えばシリンダスペース52に対するピストン54のシール540に小さな漏れが発生することによって起こりうる。しかしながら、予圧室56内で予圧力が過度に高くなると、各容器口部への封止スリーブ3の確実な押付けはもはや達成できない。作動室58に加えられる圧力は、もはや予圧室56内で形成される予圧力を上回るのに十分でないからである。
【0043】
したがって、図示した実施形態においては、予圧室56から作動室への気流を許容する第2逆止弁72が設けられている。この第2逆止弁72は、作動室58の排気後にその予圧に基づいて予圧室56内のガス圧力を放出し、ピストン54の完全復帰用に不可欠な所定の圧力のみが予圧室56内に残存することを可能とする。
【0044】
第1逆止弁70と第2逆止弁72は、それぞれ逆向きの気流を通過させるように圧力補償装置7として形成されている。逆止弁70、72内の各予圧要素は、予圧室56内の圧力が常に所定の予圧力範囲内に保持されるように形成されている。これにより、初期位置への確実な復帰を達成することができ、初期位置のときにも予圧室56内には大気圧をわずかに上回る圧力が存在することになる。しかしながら、予圧室56内のこの予圧力はそれほど高くなく、作動室58に加えられる圧力は、もはや封止スリーブ3を完全に押し付けるのに十分でない。
【0045】
換言すると、圧力補償装置7により予圧室56内の圧力は、封止スリーブ3を確実に容器口部に押し付けることによる封止と、封止スリーブ3の初期位置への確実な復帰とを可能とするような所定の予圧力範囲内で保持されうる。
【0046】
封止スリーブ3は、浄化のために完全にバックグラウンド洗浄できるように形成されていることが好ましい。具体的には、上側シールリング32が設けられている。このシールリング32は、
図1と
図2に示される完全後退位置において、完全なバックグラウンド洗浄を可能にするバックグラウンド洗浄通路34を形成する。このとき、上側シールリング32は、気密隔壁6によって予め定められた直径よりも多少外側に広く延びるように形成されている。封止スリーブ3が下降すると、上側シールリング32は、気密隔壁6と直接に接触してわずかに変形し、流体に対する封止が得られる。加圧ガス、洗浄ガス、および製品が容器に対して加えられる下降位置において、完全な封止が達成されうる。
【0047】
シールリング32は、テフロン化合物を含むことが好ましい。これにより、気密隔壁6での摩耗が最小となり、予圧室56で受容された予圧力によってのみ確実な復帰が可能となる。
【0048】
封止スリーブ3は、さらに下側領域でガイドリング36によって案内される。ガイドリング36は、円滑な動作を提供するために、やはりテフロン化合物材料を含むことが好ましい。また、ガイドリング36は、封止スリーブ3の外径よりも小さな内径を有するのでわずかに圧縮されている。これにより、装置全体の確実な封止が達成されうる。
【0049】
図1と
図2に示された容器を充填するための装置1は、回転式充填機内に収容されることが好ましい。上記のような充填エレメントは、機械ピッチの各位置に設けられている。装置1は、例えば、瓶詰め工場における回転式充填機内の充填エレメントの態様をとりうる。回転式充填機の機械ピッチに対応して多数の充填エレメントが設けられ、各充填エレメントの下方に配置される被充填容器に充填物を充填することが一般的である。
【0050】
上記の充填エレメントは、炭酸飲料の充填も行なえる飲料充填工場でも用いられうる。この場合、封止スリーブ3は、常に被充填容器の容器口部に下ろされる。また、例えば、静水等の非炭酸飲料を自由噴射で充填するために装置1を使用することもできる。図示された装置は、ミネラルウォータを充填するように構成されており、炭酸ミネラルウォータも非炭酸ミネラルウォータも同じ充填エレメントで充填されうる。非炭酸ミネラルウォータの充填中、充填エレメントが基本的に自由噴射式充填器として機能するように、封止スリーブ3の下降は行なわれなくてもよい。
【0051】
さらに、封止スリーブ3が進出していないときにも確実に充填できるようにするため、封止スリーブ3と出口スリーブ20との間に封止装置38が設けられている。この封止装置38は、封止スリーブ3が後退された状態(すなわち
図1と
図2に示す初期位置)において、封止スリーブ3と製品バルブ2の出口スリーブ20との間に封止を提供する。
【0052】
応用可能である限り、様々な実施形態に示された個々の特徴のすべては、本発明の範囲から逸脱することなく互いに組合せたり、置き換えたりできる。
【符号の説明】
【0053】
1:容器に充填物を充填する装置、2:製品バルブ、20:出口スリーブ、22:弁体、24:噴射口、28:流量計、3:封止スリーブ、30:永久磁石、32:シールリング、34:バックグラウンド洗浄通路、36:ガイドリング、38:封止装置、4:ガス通路、40:開放弁、42:加圧ガス弁、5:駆動部、50:永久磁石、52:シリンダスペース、54:ピストン、56:予圧室、58:作動室、59:空気圧通路、540:シール、6:隔壁、7:圧力補償装置、70:第1逆止弁、72:第2逆止弁