(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-7677(P2015-7677A)
(43)【公開日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20141212BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20141212BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-132130(P2013-132130)
(22)【出願日】2013年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 隆男
(72)【発明者】
【氏名】山本 睦
(72)【発明者】
【氏名】松井 謙治
(72)【発明者】
【氏名】田原 幸雄
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA14
2H092JA26
2H092JA34
2H092JA46
2H092JB05
2H092NA04
2H092NA07
2H092QA06
2H192AA24
2H192BB13
2H192BB84
2H192BB86
2H192BC31
2H192CB05
2H192CC04
2H192EA66
2H192JA33
(57)【要約】
【課題】画素の開口率を向上させるとともに、ラビング工程における配向不良を低減することができる液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板11上に第1方向に延在するゲート配線12と、基板11上に第2方向に延在するドレイン配線13と、第2方向に延在するとともにコモン電極19に電気的に接続されるコモン配線20と、を含み、コモン配線20は、平面視で、絶縁膜18を介してドレイン配線13と重畳し、ドレイン配線13における、隣り合うゲート配線12の間に配置される部分は、ゲート配線12と同層に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1方向に延在する複数のゲート配線と、
前記基板上に、前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数のドレイン配線と、
前記第2方向に延在するとともに、コモン電極に電気的に接続される複数のコモン配線と、を含み、
前記複数のコモン配線のそれぞれは、平面視で、少なくとも一部が第1絶縁膜を介して前記複数のドレイン配線のうち少なくとも1本のドレイン配線と重畳し、
前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線における、隣り合う前記ゲート配線の間に配置される部分は、前記ゲート配線と同層に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数のゲート配線を覆うように形成される第2絶縁膜をさらに含み、
前記第1絶縁膜は、前記複数のドレイン配線及び前記第2絶縁膜を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜には、前記ドレイン配線の幅よりも大きい刳り抜き部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線は、前記刳り抜き部内で露出される前記基板上に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記コモン電極は、前記第1絶縁膜上に形成され、
前記複数のコモン配線は、前記コモン電極上に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記複数のコモン配線は、前記コモン電極における前記ドレイン配線の形成領域を覆う平坦部上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記ドレイン配線における、平面視で前記ゲート配線と交差する部分は、前記第2絶縁膜を介して前記ゲート配線と重畳していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記コモン配線の幅は、前記ドレイン配線の幅以下であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記複数のドレイン配線は、平面視で前記コモン配線と重畳する第1ドレイン配線と、平面視で前記コモン配線と重畳しない第2ドレイン配線とに分類され、
前記第1ドレイン配線は、前記ゲート配線と同層に形成され、前記第2ドレイン配線は、前記第2絶縁膜上に形成されていることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
隣り合う2つの画素列の間に前記ドレイン配線が2本設けられており、
平面視で、前記2つの画素列の間に配置される2本の前記ドレイン配線に、1本の前記コモン配線が重畳していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
基板上に、第1方向に延在するように複数のゲート配線を形成するゲート配線形成工程と、
前記複数のゲート配線を覆うように第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
前記第2絶縁膜の一部を刳り抜き、ドレイン配線を前記基板上に配置するための配置領域を形成するエッチング工程と、
前記基板上の前記配置領域に、前記第1方向とは異なる第2方向に延在するように複数の前記ドレイン配線を形成するドレイン配線形成工程と、
前記第2方向に延在するとともに、コモン電極に電気的に接続するように複数のコモン配線を形成するコモン配線形成工程と、を含み、
前記コモン配線形成工程において、前記複数のコモン配線のそれぞれを、平面視で、少なくとも一部が第1絶縁膜を介して前記複数のドレイン配線のうち少なくとも1本のドレイン配線と重畳するように形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記ドレイン配線形成工程において、前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線における、隣り合う前記ゲート配線の間に配置される部分を、前記ゲート配線と同層に形成することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数のゲート配線及び前記複数のドレイン配線を、互いに異なる工程において、前記基板上に形成することを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、各画素におけるバックライトの光の透過/非透過を制御することにより画像を表示する構成であるため、表示品位を向上させるためには、各画素において光が透過する領域(有効表示領域)を広くする、換言すると、画素の開口率を高めることが重要である。従来、液晶表示装置において、画素の開口率を向上させるための様々な技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、対向電極に基準信号を供給する対向電圧信号線(コモン配線ともいう。)を、ゲート信号線の走行方向に沿って、かつゲート信号線に重畳して形成する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−122299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゲート信号線上には、薄膜トランジスタ(TFT)やスペーサの台座などが設けられるため、コモン配線をゲート信号線の走行方向に沿って重畳して形成するためには、薄膜トランジスタなどを避けてコモン配線を形成するか、又はゲート信号線の幅を広げて出来たスペースにコモン配線を形成する必要がある。前者の場合は、コモン配線の形成が複雑になり断線の可能性が増大するという問題があり、後者の場合は、画素の開口率が低下するという問題がある。
【0006】
これらの問題を解決するための構成として、例えば、コモン配線をデータ信号線(ドレイン配線)の走行方向に沿って重畳して形成する構成が考えられる。しかし、この構成では、コモン配線とドレイン配線との重畳部分がTFT基板表面で段差となって表れ、ラビング工程において配向不良が生じるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記種々の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素の開口率を向上させるとともに、ラビング工程における配向不良を低減することができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、基板上に、第1方向に延在する複数のゲート配線と、前記基板上に、前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数のドレイン配線と、前記第2方向に延在するとともに、コモン電極に電気的に接続される複数のコモン配線と、を含み、前記複数のコモン配線のそれぞれは、平面視で、少なくとも一部が第1絶縁膜を介して前記複数のドレイン配線のうち少なくとも1本のドレイン配線と重畳し、前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線における、隣り合う前記ゲート配線の間に配置される部分は、前記ゲート配線と同層に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の第2絶縁膜を覆うように形成されるゲート絶縁膜をさらに含み、前記第1絶縁膜は、前記複数のドレイン配線及び前記第2絶縁膜を覆うように形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2絶縁膜には、前記ドレイン配線の幅よりも大きい刳り抜き部が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線は、前記刳り抜き部内で露出される前記基板上に形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置では、前記コモン電極は、前記第1絶縁膜上に形成され、前記複数のコモン配線は、前記コモン電極上に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数のコモン配線は、前記コモン電極における前記ドレイン配線の形成領域を覆う平坦部上に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置では、前記ドレイン配線における、平面視で前記ゲート配線と交差する部分は、前記第2絶縁膜を介して前記ゲート配線と重畳していることが好ましい。
【0015】
本発明に係る液晶表示装置では、前記コモン配線の幅は、前記ドレイン配線の幅以下であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数のドレイン配線は、平面視で前記コモン配線と重畳する第1ドレイン配線と、平面視で前記コモン配線と重畳しない第2ドレイン配線とに分類され、前記第1ドレイン配線は、前記ゲート配線と同層に形成され、前記第2ドレイン配線は、前記第2絶縁膜上に形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る液晶表示装置では、隣り合う2つの画素列の間に前記ドレイン配線が2本設けられており、平面視で、前記2つの画素列の間に配置される2本の前記ドレイン配線に、1本の前記コモン配線が重畳していてもよい。
【0018】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記課題を解決するために、基板上に、第1方向に延在するように複数のゲート配線を形成するゲート配線形成工程と、前記複数のゲート配線を覆うように第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、前記第2絶縁膜の一部を刳り抜き、ドレイン配線を前記基板上に配置するための配置領域を形成するエッチング工程と、前記基板上の前記配置領域に、前記第1方向とは異なる第2方向に延在するように複数の前記ドレイン配線を形成するドレイン配線形成工程と、前記第2方向に延在するとともに、コモン電極に電気的に接続するように複数のコモン配線を形成するコモン配線形成工程と、を含み、前記コモン配線形成工程において、前記複数のコモン配線のそれぞれを、平面視で、少なくとも一部が第1絶縁膜を介して前記複数のドレイン配線のうち少なくとも1本のドレイン配線と重畳するように形成することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記ドレイン配線形成工程において、前記複数のドレイン配線のうち前記コモン配線と重畳するドレイン配線における、隣り合う前記ゲート配線の間に配置される部分を、前記ゲート配線と同層に形成することが好ましい。
【0020】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記複数のゲート配線及び前記複数のドレイン配線を、互いに異なる工程において、前記基板上に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法によれば、コモン配線をドレイン配線に重畳しつつ、コモン配線上のTFT基板表面の段差を低く抑えることができる。このため、画素の開口率を向上させるとともに、ラビング工程における配向不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る液晶表示装置に設けられる表示パネルの一部の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図2の表示パネルにおける線A−Bに沿った断面の構造を示す断面図である。
【
図4】TFT基板の断面の構造を示す断面図である。
【
図5】TFT基板の断面の構造を示す断面図である。
【
図6】本実施形態に係るTFT基板の製造工程を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るTFT基板の製造工程を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るTFT基板の製造工程を示す図である。
【
図9】ダブルソースライン構造の表示パネルにおける断面の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置1の一例を示す斜視図である。液晶表示装置1は、画像を表示する縦長形状の表示パネル2(
図2参照)と、表示パネル2の背面側に設けられ、表示パネル2に光を照射するバックライト(図示せず)と、表示パネル2における画像表示を制御する各種駆動回路(図示せず)とを備えている。
【0024】
図2は、本実施形態に係る液晶表示装置1に設けられる表示パネル2の一部の概略構成を示す平面図であり、
図3は、
図2の表示パネル2における線A−Bに沿った断面の構造を示す断面図である。
【0025】
図3に示すように、表示パネル2は、背面側に設けられる薄膜トランジスタ基板(以下、TFT基板という。)10と、前面側に設けられるカラーフィルタ基板(以下、CF基板という。)30と、TFT基板10及びCF基板30の間に挟持される液晶層40とを含んで構成されている。なお、
図2では便宜上、TFT基板10のみを示し、CF基板30及び液晶層40は省略している。
【0026】
図3に示すように、TFT基板10では、無アルカリガラス等からなる基板(透明基板)11上に、Cu等の金属からなる複数のゲート配線12(走査信号線)が、表示パネル2を平面的に視て横(左右、行)方向(第1方向;
図2参照)に延在するように形成されている。また、基板11上に、Cu等の金属からなる複数のドレイン配線13(データ信号線)が、表示パネル2を平面的に視て縦(上下、列)方向(第2方向;
図2参照)に延在するように形成されている。基板11上には、ゲート配線12を覆うようにSiN等の透明な絶縁材料からなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)14(第2絶縁膜)が形成されている。なお、ゲート絶縁膜14は、基板11上におけるドレイン配線13が配置される領域(配置領域14b)が刳り抜かれている。
【0027】
ゲート絶縁膜14上には、非晶質シリコン(aSi)からなる半導体層15が形成されている。半導体層15上には、ドレイン電極16及びソース電極17が形成されている。これら電極16,17及びドレイン配線13を覆うように、SiN等の透明な絶縁材料からなる絶縁膜(パッシベーション膜)18(第1絶縁膜)が形成されている。なお、ドレイン電極16は、ドレイン配線13に電気的に接続されている。
【0028】
絶縁膜18上には、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜からなるコモン電極19が形成されている。コモン電極19上には、ドレイン配線13と同一方向に延在するように、Cu等の金属からなる複数のコモン配線20が形成されている。なお、コモン電極19及びコモン配線20の形成位置(積層位置)は特に限定されるものではなく、コモン電極19及びコモン配線20が互いに電気的に接続されていればよい。例えば、コモン配線20を覆うようにコモン電極19が形成されていてもよいし、コモン電極19及びコモン配線20が絶縁層を介して積層され、コンタクトホールを介して互いに電気的に接続されていてもよい。ここで、コモン配線20は、表示パネル2を平面的に視て(平面視で)、少なくとも一部がドレイン配線13と重畳して形成されている。
図2及び
図3では一例として、平面視で、1本のコモン配線20の全体が1本のドレイン配線13に重畳して形成されている。
【0029】
コモン電極19及びコモン配線20を覆うように、絶縁膜(パッシベーション膜)21が形成されている。絶縁膜21上には、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜からなる画素電極22が形成されている。画素電極22は、コンタクトホール23を介してソース電極17に電気的に接続されている。なお、
図2では、隣り合うゲート線12と隣り合うドレイン線13とで囲まれた1つの画素領域に画素電極が1つ設けられているが、これに限定されず、1つの画素領域に複数の画素電極が設けられていてもよい。
【0030】
CF基板30には、平面視で、ゲート配線12と、ドレイン配線13及びコモン配線20とに重畳するようにブラックマトリクス31が形成されている。TFT基板10及びCF基板30の液晶層40側の表面にはそれぞれ配向膜(図示せず)が形成されている。
【0031】
上記のように、ドレイン配線13は、基板11上に形成されており、ゲート配線12と同層に配置されている。具体的には、ゲート絶縁膜14には、ドレイン配線13の幅よりも大きい刳り抜き部14aが形成されており、刳り抜き部14aでは基板11表面が露出している。刳り抜き部14aにおいて基板11が露出された領域がドレイン配線13の配置領域14bとなる。ドレイン配線13は、刳り抜き部14a内の配置領域14bに形成されることにより、基板11上において、ゲート配線12と同層に配置される。ドレイン配線13上には、絶縁膜18を介してコモン配線20が形成されている。これにより、ドレイン配線13及びコモン配線20上のTFT基板10表面の段差を低く抑えることができる。なお、ドレイン配線13とゲート配線12とが交差する部分では、ドレイン配線13は、ゲート絶縁膜14を介してゲート配線12に重畳して形成されている。
【0032】
ここで、本実施形態と比較するために、ドレイン配線130をゲート絶縁膜140上に形成した場合のTFT基板100の一構成例を
図4(a)に示す。
図4(b)には、本実施形態のTFT基板10の一部を示している。
図4(a)に示すTFT基板100では、基板110上の全面にゲート絶縁膜140が形成され、ゲート絶縁膜140上にドレイン配線130が形成され、ドレイン配線130上に絶縁膜180を介してコモン配線200が形成されている。この場合、TFT基板100の表面の段差はHaとなる。これに対して、本実施形態のTFT基板10では、
図4(b)に示すように、TFT基板10の表面の段差はHbとなる。上記段差HaとHbを比較すると、本実施形態における段差Hbは、ゲート絶縁膜14に刳り抜き部14aが形成されているため、
図4(a)の構成における段差Haよりもゲート絶縁膜の膜厚分だけ低くなる。これにより、配向膜のラビング工程において、上記段差に起因する配向不良を低減することができる。
【0033】
ここで、本実施形態における、ドレイン配線13とコモン配線20との位置関係について説明する。上述したように、コモン配線20は、平面視で、少なくとも一部がドレイン配線13に重畳して形成されている。コモン配線20がドレイン配線13に重畳する位置は特に限定されるものではないが、画素の開口率を最大限に高めるためには、
図5に示すように、コモン配線20が、ドレイン配線13の形成領域を覆うコモン電極19上における、基板11の表面と平行な領域である平坦部14cに形成されていることが好ましい。すなわち、コモン配線20は、該コモン配線20のコモン電極19への投影領域(コモン電極19に接触する部分)が平坦部14cの領域内に形成されていることが好ましい。また、コモン配線20の幅は、ドレイン配線13の幅以下であることが好ましい。
【0034】
本実施形態によれば、コモン配線20は、液晶表示装置1の縦方向(
図2の第2方向)に延在するドレイン配線13と同一方向に延在して形成されている。このため、TFT基板10において、コモン電極19の材料であるITOの導電性の低さに起因して縦方向に顕著に発生する電位変動が低減され、より良好な表示特性が得られる。また、コモン配線20が縦方向に形成されているため、コモン配線20の駆動回路を、表示パネル2の上側又は下側の領域に設けることが可能となる。従って、本実施形態に係る液晶表示装置1は、特に、縦方向に長い形状を有する液晶表示装置に好適である。
【0035】
[製造方法]
次に、本実施形態に係る液晶表示装置1におけるTFT基板10の製造方法を説明する。
図6から
図8は、本実施形態に係るTFT基板10の製造工程を示す図である。
図6から
図8では、
図2における線A−Bに沿った断面の構造を示している。
【0036】
まず
図6(a)に示すように、基板11上に、横方向(第1方向;
図2参照)に延在するようにゲート配線12を形成する(ゲート配線形成工程)。具体的には、基板11上にスパッタリングによりCuの膜を形成した後、フォトリソ工程(フォトレジストの塗布、フォトマスクを使用した選択的な露光、および現像)、及びエッチングによりCuの不要な部分を除去することにより、ゲート配線12を形成する。
【0037】
次に
図6(b)に示すように、基板11上にゲート配線12を覆うように、例えばCVD法によりゲート絶縁膜14を形成する(ゲート絶縁膜形成工程)。次に
図6(c)に示すように、ドレイン配線13を配置するための配置領域14bを形成するために、ゲート絶縁膜14をエッチングする(エッチング工程)。なお、エッチング工程では、ゲート配線12の端子部となる端子部領域(図示せず)を露出させる処理も行う。
【0038】
次に
図6(d)に示すように、フォトリソ工程およびエッチングにより、配置領域14bにドレイン配線13を形成するとともに、ゲート配線12の上方に、半導体層15、ドレイン電極16及びソース電極17を形成する。次に
図7(a)に示すように、例えばCVD法によって、基板全体を覆うようにSiN等の透明な絶縁材料からなる絶縁膜18を形成する。
【0039】
次に
図7(b)に示すように、スパッタリングにより、絶縁膜18上に、ITO等の透明導電膜とCu等の金属薄膜を形成し、フォトリソ工程およびエッチングによりコモン電極19を形成する(コモン電極形成工程)。次に、フォトリソ工程およびエッチングにより、コモン電極19上に、ドレイン配線13と同一方向に延在するように、金属薄膜の一部を使ってコモン配線20を形成する(コモン配線形成工程)。コモン配線20は、平面視で、少なくとも一部がドレイン配線13に重畳するように形成される。
【0040】
次に
図7(c)に示すように、例えばCVD法によって、基板全体を覆うようにSiN等の透明な絶縁材料からなる絶縁膜21を形成し、その後、ソース電極17を露出させるために、絶縁膜18及び絶縁膜21を刳り抜き、コンタクトホール23を形成する。次に
図8に示すように、フォトリソ工程およびエッチングにより、コンタクトホール23内及び絶縁膜21上に、ITO等の透明導電膜からなる金属膜を成膜して画素電極22を形成する。
【0041】
以上の工程により、本実施形態に係るTFT基板10が製造される。なお、本実施形態に係るCF基板30は、周知の方法により製造することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、1本のドレイン配線13に対して1本のコモン配線20が設けられているが、これに限定されず、n本(nは2以上の整数)のドレイン配線13に対して1本のコモン配線20が設けられていてもよい。例えば、2本のドレイン配線13に対して1本のコモン配線20が設けられていてもよい。具体的には、全ドレイン配線13のうち奇数列目(又は偶数列目)に配列されているドレイン配線13に重畳するようにコモン配線20が設けられている構成とすることができる。
【0043】
他の構成としては、隣り合う2つの画素列の間に2本ドレイン配線が設けられた、いわゆるダブルソースライン構造において、隣り合う2つの画素列の間に配置される2本のドレイン配線13を1本のコモン配線20が共有して重畳する構成とすることができる。この場合には、例えば、
図9に示すように2つの画素列の間に配置された左右2本のドレイン配線13において、1本のコモン配線20が、左側ドレイン配線13の右側領域に重畳するとともに、右側ドレイン配線13の左側領域に重畳するように形成されていてもよいし、1本のコモン配線20が、左右2本のドレイン配線13を完全に覆うように重畳して形成されていてもよい。なお、
図9では、ダブルソースライン構造の表示パネルにおける、
図3に対応する断面の構造を示している。
【0044】
また、n本(nは2以上の整数)のドレイン配線13に対して1本のコモン配線20が設けられる上記構成では、全ドレイン配線13は、コモン配線20と重畳するドレイン配線13(第1ドレイン配線)と、コモン配線20と重畳しないドレイン配線13(第2ドレイン配線)とに分類される。この場合、第1ドレイン配線をゲート配線12と同層に形成し、第2ドレイン配線をゲート絶縁膜14上に形成することが好ましい。これにより、第1ドレイン配線の上方のTFT基板表面の段差と、第2ドレイン配線の上方のTFT基板表面の段差とを均等化することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 液晶表示装置、2 表示パネル、10 薄膜トランジスタ基板、11 基板、12 ゲート配線(走査信号線)、13 ドレイン配線(データ信号線)、14 ゲート絶縁膜、14a 刳り抜き部、14b 配置領域、14c 平坦部、15 半導体層、16 ドレイン電極、17 ソース電極、18 絶縁膜(パッシベーション膜)、19 コモン電極、20 コモン配線、21 絶縁膜(パッシベーション膜)、22 画素電極、23 コンタクトホール、30 カラーフィルタ基板、31 ブラックマトリクス、40 液晶層。