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特開2015-781物流支援方法、システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-781(P2015-781A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】物流支援方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20141202BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20141202BHJP
【FI】
   B65G61/00 530
   G06Q50/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-125282(P2013-125282)
(22)【出願日】2013年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】596165947
【氏名又は名称】鍵和田 芳光
(71)【出願人】
【識別番号】501045881
【氏名又は名称】株式会社キーソフト
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【弁理士】
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】鍵和田 芳光
(57)【要約】
【課題】例えば少量の低額商品を直販で購入する場合であっても、中間流通を介する場合に比べ、商品取得にかかるコストを低減することが可能な新しい流通形態の提供を課題とする。
【解決手段】 物流情報システム1は、輸送情報を記憶する。輸送情報は、荷物識別情報と、当該荷物の届先識別情報と、当該荷物の輸送関連情報とを含む。物流情報システム1は、複数の輸送情報を比較し、届先識別情報が一致すると共に輸送関連情報から見て同じ輸送拠点に同時に滞在している又は同じ輸送拠点に同時に滞在する見込みである荷物に対応する輸送情報を検索する。そして、検索した複数の輸送情報に対応する荷物を一つの便に混載させるために、各荷物識別情報を輸送拠点端末4に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも輸送拠点端末とコンピュータネットワークを介して通信する物流情報システムを備えた物流支援システムにおいて、前記輸送拠点端末は、複数の輸送拠点にそれぞれ設けられ、
前記物流情報システムは、少なくとも輸送情報を記憶装置に記憶し、当該輸送情報は、少なくとも、荷物を一意に特定可能な荷物識別情報と、当該荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報と、当該荷物の輸送に関する輸送関連情報とを関連付けた情報であり、当該輸送情報は、荷物毎に複数記憶され、
前記物流情報システムが、前記複数の輸送情報を比較することにより、前記届先識別情報が一致すると共に前記輸送関連情報から見て同じ輸送拠点に同時に滞在している又は同じ輸送拠点に同時に滞在する見込みである複数の荷物に対応する複数の輸送情報を前記記憶装置から検索し、当該検索した複数の輸送情報に対応する荷物を一つの便に混載させるために、当該各輸送情報に含まれる各荷物識別情報を前記同時に滞在する輸送拠点に設けられた輸送拠点端末に送信する、物流支援方法。
【請求項2】
前記荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報に代えて、荷物の届先エリアを一意に特定可能な届先エリア識別情報とした、請求項1に記載の物流支援方法。
【請求項3】
少なくとも輸送拠点端末とコンピュータネットワークを介して通信する物流情報システムを備えた物流支援システムにおいて、前記輸送拠点端末は、複数の輸送拠点にそれぞれ設けられ、
前記物流情報システムは、少なくとも輸送情報を記憶装置に記憶し、当該輸送情報は、少なくとも、荷物を一意に特定可能な荷物識別情報と、当該荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報と、当該荷物の輸送に関する輸送関連情報とを関連付けた情報であり、当該輸送情報は、荷物毎に複数記憶され、
前記物流情報システムは、前記複数の輸送情報を比較することにより、前記届先識別情報が一致すると共に前記輸送関連情報から見て同じ輸送拠点に同時に滞在している又は同じ輸送拠点に同時に滞在する見込みである複数の荷物に対応する複数の輸送情報を前記記憶装置から検索し、当該検索した複数の輸送情報に対応する荷物を一つの便に混載させるために、当該各輸送情報に含まれる各荷物識別情報を前記同時に滞在する輸送拠点に設けられた輸送拠点端末に送信する、物流支援システム。
【請求項4】
前記荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報に代えて、荷物の届先エリアを一意に特定可能な届先エリア識別情報とした、請求項3に記載の物流支援システム。
【請求項5】
少なくとも輸送拠点端末とコンピュータネットワークを介して通信する物流情報システムを備えた物流支援システムにおいて、前記輸送拠点端末は、複数の輸送拠点にそれぞれ設けられ、
前記物流情報システムは、少なくとも輸送情報を記憶装置に記憶し、当該輸送情報は、少なくとも、荷物を一意に特定可能な荷物識別情報と、当該荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報と、当該荷物の輸送に関する輸送関連情報とを関連付けた情報であり、当該輸送情報は、荷物毎に複数記憶され、
前記物流情報システムに、前記複数の輸送情報を比較することにより、前記届先識別情報が一致すると共に前記輸送関連情報から見て同じ輸送拠点に同時に滞在している又は同じ輸送拠点に同時に滞在する見込みである複数の荷物に対応する複数の輸送情報を前記記憶装置から検索し、当該検索した複数の輸送情報に対応する荷物を一つの便に混載させるために、当該各輸送情報に含まれる各荷物識別情報を前記同時に滞在する輸送拠点に設けられた輸送拠点端末に送信する、処理を実行させる物流支援プログラム。
【請求項6】
前記荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報に代えて、荷物の届先エリアを一意に特定可能な届先エリア識別情報とした、請求項5に記載の物流支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直販に適した物流支援方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、中間流通が多いほど商品の購入にかかるコストが高くなると考えられており、当該コストを低減するために中間流通を省いた直販の浸透が進んでいる。しかし、直販の方がコスト高になってしまう場合がある。例えば、50円の商品を中間流通業者が一度に大量に仕入れ、この商品の1個を需要者に100円で対面販売すれば、当該需要者は当該商品を100円で取得することができる。一方、同じ50円の商品を1つだけ直販で購入し、送料が500円であれば、需要者は同じ商品を1個取得するために550円のコストを要する。この場合、前者よりも後者の方が商品購入にかかるコストが増大する結果となる。
しかし、時代は直販流通の方向へ進んでいる。そこで、本願発明者は、上記のように少量の商品を直販で購入するケースを考慮した新しい流通の形態を創出する必要があると考えている。
物流コストの低減を課題とした先行技術文献として、例えば、特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−215952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば少量の低額商品を直販で購入する場合であっても、中間流通を介する場合に比べ、商品取得にかかるコストを低減することが可能な新しい流通形態の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
個人規模で直販を利用する場合、購入する個々の商品の量は通常は少量である。しかし、個人規模であっても一日に消費ないし使用する様々な商品の量を合算して考え、その総量の物流があると仮定すると、個人規模であっても物流の量は決して少なくないと言える。例えば、個人商店の物流を考えてみると、三面等価の原則から類推するに、その商店の物流量と、その個人の家全体の物流量とは、ほぼ等しいと考えることができる。今までは、個々の「物」をキーとした物流が行われてきたが、本願発明者は、これを「人(届先)」をキーとした物流に変更することによって、直販における商品取得にかかるコストを今まで以上に低減することができると考えた。
本願発明では、届先が一致する複数の荷物を物流経路上で混載させることにより、届先へ一度に届ける荷物の物流量を増大させる。これにより、物流コストの低減を図る。
【0006】
そこで、本願発明は、以下の構成を採る。
少なくとも輸送拠点端末とコンピュータネットワークを介して通信する物流情報システムを備えた物流支援システムにおいて、前記輸送拠点端末は、複数の輸送拠点にそれぞれ設けられ、
前記物流情報システムは、少なくとも輸送情報を記憶装置に記憶し、当該輸送情報は、少なくとも、荷物を一意に特定可能な荷物識別情報と、当該荷物の届先を一意に特定可能な届先識別情報と、当該荷物の輸送に関する輸送関連情報とを関連付けた情報であり、当該輸送情報は、荷物毎に複数記憶され、
前記物流情報システムは、前記複数の輸送情報を比較することにより、前記届先識別情報が一致すると共に前記輸送関連情報から見て同じ輸送拠点に同時に滞在している又は同じ輸送拠点に同時に滞在する見込みである複数の荷物に対応する複数の輸送情報を前記記憶装置から検索し、当該検索した複数の輸送情報に対応する荷物を一つの便に混載させるために、当該各輸送情報に含まれる各荷物識別情報を前記同時に滞在する輸送拠点に設けられた輸送拠点端末に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば少量の低額商品を直販で購入する場合であっても、商品取得にかかるコストを従来よりも低減することが可能な、新しい流通形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態である物流支援システムの構成図
図2】発注情報の流れ図
図3】荷物の流れ図
図4】輸送情報の構造図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である物流支援システムの全体構成図である。コンピュータネットワーク6には、複数の発注者端末2と、複数の商品提供者端末3と、複数の輸送拠点端末4と、複数の届先端末5と、これらの各端末2〜5と通信する物流情報システム1とが接続されている。
【0010】
発注者端末2は、商品を発注する者又はその代理人が操作する端末であって、本システムを利用する発注者が複数存在することから、複数の発注者端末2が存在する。
【0011】
商品提供者端末3は、商品を提供する者又はその代理人が操作する端末であって、本システムを利用する商品提供者が複数存在することから、複数の商品提供者端末3が存在する。商品提供者とは、流通の下流側に商品を提供する者をいい、生産者に限らず、卸売業者や小売業者も含まれる。
【0012】
輸送拠点端末4は、輸送拠点のオペレータ又はその代理人が操作する端末であって、本システムを利用する輸送拠点が複数存在することから、複数の輸送拠点端末4が存在する。各輸送拠点は、特定の業者の輸送拠点に限らず、異なる業者の輸送拠点が含まれていてもよい。輸送拠点間を運送する運送業者も、特定の運送業者に限らず、異なる運送業者が含まれていてもよい。また、卸売業者や小売業者の拠点も輸送拠点となり得る。物流の上流から提供された商品が卸売業者や小売業者の拠点を経由して下流の拠点へと流通するとき、卸売業者や小売業者の拠点も輸送拠点として考えられる。よって、卸売業者や小売業者のように、商品提供者と輸送拠点とを兼ねる業者が存在し、商品の在庫を持つ輸送拠点が存在する。
【0013】
届先端末5は、商品の届け先となる者又はその代理人が操作する端末であって、本システムを利用する届け先が複数存在することから、複数の届先端末5が存在する。
【0014】
コンピュータネットワーク6は、本実施形態においてインターネットを含み、物流情報システム1は、各端末2〜5をクライアントとするサーバ機能を備えている。各端末2〜5及び物流情報システム1は、コンピュータであり、入力装置、出力装置、記憶装置、処理装置及び通信装置を備えている。各コンピュータの処理装置は、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。各端末2〜5の通信装置は、無線通信装置でもよい。また、各端末2〜5は、タブレット端末やスマートフォン等でもよい。なお、本願発明におけるコンピュータネットワークは、インターネットを含まないものでもよい。
【0015】
物流情報システム1及び商品提供者端末3は、発注者端末2から送信された発注情報を取得し、それぞれの記憶装置に記憶する。発注情報の取得経路としては2通り考えられる。
【0016】
第1の経路は、図2に実線の矢印で示す経路であり、先ず発注情報を発注者端末2から物流情報システム1に受信し、更に物流情報システム1から所定の商品提供者端末3に発注情報を転送する経路である。
【0017】
第2の経路は、図2に点線で示す経路であり、先ず発注情報を発注者端末2から商品提供者端末3に受信し、更に商品提供者端末3から物流情報システム1に発注情報を転送する経路である。
【0018】
ここで、転送される発注情報は転送前の発注情報と完全に一致している必要はなく、転送先で必要とされる情報だけが抜粋されて転送されてもよい。
【0019】
第1の経路を採る場合、物流情報システム1は、発注情報の転送先となる商品提供者又は在庫を有する輸送拠点(以下「商品提供者等」という)を選択する必要がある。発注情報に商品提供者等の識別情報が含まれている場合、当該識別情報により特定される商品提供者等の端末3,4に発注情報を転送すればよい。一方、発注情報に商品提供者等の識別情報が含まれていない場合、物流情報システム1は、発注情報に含まれる商品識別情報に基づいて当該商品を提供する商品提供者等を選択する。この場合、物流情報システム1は、当該商品の商品識別情報と、当該商品を在庫する商品提供者等の識別情報とを関連付けた転送先情報を記憶装置に予め記憶しておく。そして、物流情報システム1は、発注情報に含まれる商品識別情報に対応する転送先情報を記憶装置から検索し、その検索の結果から当該商品を在庫する商品提供者等の識別情報を取得する。物流情報システム1は、商品提供者等の端末3,4に対するプッシュ配信又はプル配信に必要な情報は、商品提供者等の識別情報に関連付けて記憶装置に記憶しておく。
【0020】
図3において、発注情報に基づき、商品提供者Aから輸送拠点Eに商品を含む荷物が入荷すると、輸送拠点Eの輸送拠点端末4は、当該荷物の送り状情報を物流情報システム1に送信する。物流情報システム1は、当該送り状情報を記憶装置に記憶する。送り状情報には、少なくとも、当該送り状に対応する荷物を一意に特定可能な荷物識別情報(送り状番号等)と、当該送り状情報を送信した輸送拠点Eの識別情報(拠点コード等)と、当該荷物の届け先を一意に特定可能な届先識別情報(住所又は住所を一意に特定可能なコード等)とを含むものとする。
【0021】
物流情報システム1は、受信した送り状情報に基づいて、輸送拠点Eから届け先までに荷物が経由する輸送拠点の経路(輸送経路情報)を設定すると共に、当該荷物を当該経路上の各輸送拠点に入荷すべき日時及び各輸送拠点から出荷すべき日時(輸送スケジュール情報)を設定し、当該輸送経路情報と輸送スケジュール情報とを荷物識別情報に関連付けて記憶装置に記憶する。また、物流情報システム1は、当該荷物が現在、輸送拠点Eに滞在しているという現在ステータス情報と、当該荷物の届先識別情報とを、当該荷物の荷物識別情報に関連付けて記憶装置に記憶する。これにより、物流情報システムの記憶装置には、図4に示す構造の輸送情報が荷物毎に記憶される。ここで、輸送経路情報及び輸送スケジュール情報は、コンピュータの演算処理により自動的に設定されることが望ましい。輸送経路情報及び輸送スケジュール情報を自動的に設定する一例として、例えば、特開平08−235263号公報によって開示された技術がある。ここで、「輸送経路情報」、「輸送スケジュール情報」及び「現在ステータス情報」は、それぞれ、特許請求の範囲に記載した「輸送関連情報」に該当する。
【0022】
図3において、商品提供者Bからの荷物が輸送拠点Eに入荷した場合も同様に、当該荷物の送り状情報が輸送拠点端末4から物流情報システム1に送信され、物流情報システム1は、当該荷物について輸送情報を生成し、記憶装置に記憶する。同様に、任意の商品提供者からの荷物が任意の輸送拠点に入荷した場合、当該荷物の送り状情報が輸送拠点端末4から物流情報システム1に送信され、物流情報システム1は、当該荷物について輸送情報を生成し、記憶装置に記憶する。
【0023】
また、図3において、輸送拠点Eが、在庫を有する輸送拠点であって、当該在庫を商品として出荷する場合も同様に、当該荷物の送り状情報が輸送拠点端末4から物流情報システム1に送信され、物流情報システム1は、当該荷物について輸送情報を生成し、記憶装置に記憶する。同様に、任意の輸送拠点が在庫を商品として出荷する場合、当該荷物の送り状情報が輸送拠点端末4から物流情報システム1に送信され、物流情報システム1は、当該荷物について輸送情報を生成し、記憶装置に記憶する。
【0024】
物流情報システム1は、第1の混載判定処理として、記憶装置に記憶した輸送情報の中から、現在ステータス情報と届先識別情報との両方が一致する輸送情報を検索する。現在ステータスと届先識別情報との両方が一致する輸送情報を見つけた場合、即ち、同じ輸送拠点に届け先が同じ荷物があることを見つけた場合、当該輸送拠点の輸送拠点端末に、該当する荷物の荷物識別情報を送信し、同じ届け先の荷物が複数滞在していることを通知する。
【0025】
当該通知を受信した輸送拠点端末4は、当該輸送拠点に現に滞在している同じ届け先の荷物の荷物識別情報を出力装置に出力する。当該輸送拠点では、出力装置に出力された荷物識別情報を確認した作業者が、当該荷物識別情報に対応する複数の荷物を同じ便に混載する。当該複数の荷物は商品提供者が異なっていてもよい。
【0026】
同じ届け先の荷物が一輸送拠点に同時に滞在する場合としては、図3の例では、商品提供者Aが出荷した荷物と、商品提供者Bが出荷した荷物とが同時に滞在する場合の他、商品提供者A又はBが出荷した荷物と、上流の輸送拠点C又はDから輸送拠点Eに着荷した荷物とが同時に滞在する場合がある。更に、それらのA、B,C,Dからの荷物と、輸送拠点Eが持つ在庫を商品として出荷する場合の荷物とが同時に滞在する場合がある。
【0027】
また、物流情報システム1は、第2の混載判定処理として、記憶装置に記憶した複数の輸送情報から、届先識別情報が共通し、かつ、輸送経路上の少なくとも1の輸送拠点が共通し、かつ、当該輸送拠点に同時に滞在する見込みの複数の荷物を検索する。輸送経路上の少なくとも1の輸送拠点が共通するか否かは、対比する各輸送情報に含まれる各輸送経路情報の値を比較することにより判断する。当該輸送拠点に同時に滞在するか否かは、対比する各輸送情報に含まれる各輸送スケジュール情報のうち、当該輸送拠点に荷物が滞在する期間(当該輸送拠点に入荷すべき日時(滞在開始時期)から出荷すべき日時(滞在終了時期)までの期間)に重複する期間があるか否かで判断する。
【0028】
物流情報システム1は、届先識別情報が共通し、かつ、輸送経路上の少なくとも1の輸送拠点が共通し、かつ、当該輸送拠点に同時に滞在する見込みの複数の荷物を見つけた場合、当該輸送拠点の輸送拠点端末に、当該複数の荷物の荷物識別情報を送信し、同じ届け先の荷物が同時に複数滞在する見込みがあることを通知する。
【0029】
当該通知を受信した輸送拠点端末4は、当該輸送拠点に同時に滞在する見込みの同じ届け先の荷物の荷物識別情報を出力装置に出力する。当該輸送拠点では、出力装置に出力された荷物識別情報を確認した作業者が、当該荷物識別情報に対応する複数の荷物を同じ便に混載する。当該複数の荷物は商品提供者が異なっていてもよい。
【0030】
また、物流情報システム1は、第3の混載判定処理として、届先識別情報が共通し、かつ、輸送経路上の少なくとも1の輸送拠点が共通する複数の荷物が存在するが、当該荷物が当該共通する輸送拠点に同時に滞在しない場合、当該複数の荷物のうち当該輸送拠点に先に滞在する荷物の滞在終了時期と、当該輸送拠点に後に滞在する荷物の滞在開始時期との差が、予め設定されたオプション期間以内(例えば2日以内)である場合には、それらの荷物の届先識別情報に対応する届先端末5に、「当該輸送拠点に先に滞在する荷物の滞在終了時期を当該輸送拠点に後に滞在する荷物の滞在開始時期以降に延期するか否か」の問い合わせメッセージを送信する。物流情報システム1は、当該届先端末5から上記問い合わせに対する「延期する」旨のメッセージを受信すると、上記先に滞在する荷物の滞在終了時期を上記後に滞在する荷物の滞在開始時期よりも所定期間遅い時期に変更すると共に、当該先に滞在する荷物の輸送スケジュール情報を再計算して更新する。物流情報システム1は、この更新した輸送スケジュール情報に基づき、上述した第2の混載判定処理を実行する。
【0031】
そして、同じ届け先の荷物を混載した便は、現在の輸送拠点から次の輸送拠点又は届け先へと出荷される。出荷の際、現在の輸送拠点の輸送拠点端末4は、出荷する荷物の荷物識別情報を物流情報システムに送信する。この情報を受信した物流情報システムは、荷物識別情報が一致する輸送情報の現在ステータス情報を更新する。
【0032】
図3において、現在の輸送拠点Eから次の輸送拠点に荷物が着荷した場合、着荷した輸送拠点を図3の輸送拠点Eとして、上記の処理が繰り返される。各輸送拠点において、上記と同一の処理が繰り返される。
【0033】
これにより、様々な商品提供者等から様々なタイミングで出荷された届け先の同じ荷物が輸送経路上の各輸送拠点で可能な限り同じ便に混載され、まとめて届け先に届けられる。このように同じ届け先への物流を物流経路の上流側から徐々にまとめることにより、各荷物が個別の物流経路で輸送される場合に比べ、輸送コストを低減することが可能となる。よって、個人等が少量の商品を直販で購入する場合であっても、商品取得にかかるコストを従来よりも低減することが可能となる。
【0034】
ここで上記実施形態では、物流情報システム1が、発注情報に含まれる商品識別情報に基づいて当該商品を提供する商品提供者等を選択することを記載した。この場合、物流情報システム1は、商品の識別情報と当該商品を提供する商品提供者等の識別情報とを関連付けた転送先情報を記憶装置に予め記憶する。この転送先情報は、一の商品識別情報に対して複数の商品提供者等の識別情報を関連付けたものとしてもよい。
【0035】
転送先情報の構造として、一の商品識別情報に対して複数の商品提供者等の識別情報を関連付けると共に、当該一の商品識別情報に対応する商品の各商品提供者等における在庫情報を各商品提供者等の識別情報に関連付ける。また、各商品提供者等の識別情報に、各商品提供者等の出荷場所の識別情報を関連付けると共に、各商品提供者等の最寄りの輸送拠点の識別情報を関連付けた出荷場所情報を予め登録しておく。物流情報システム1は、これらの転送先情報及び出荷場所情報を予め記憶装置に記憶する。
【0036】
各商品提供者等における商品の在庫情報(在庫状況、在庫数量)を取得する方法としては種々考えられるが、例えば、ある商品提供者等における当該商品の入荷数量と出荷数量とに基づいて、物流情報システム1において、その商品提供者等における当該商品の現在の在庫数量を算定することができる。商品Aが商品提供者等Bに入荷した数量は、その荷物の発注情報と輸送情報とを関連付けて記憶装置に記憶することにより、当該発注情報に含まれる当該商品Aの数量と当該輸送情報に含まれる配達完了を表す現在ステータス情報とから確定することができる。また、商品Aが商品提供者等Bから出荷された数量は、その荷物の発注情報と輸送情報とを関連付けて記憶装置に記憶することにより、当該発注情報に含まれる当該商品Aの数量と当該輸送情報に含まれる受付済みを表す現在ステータス情報とから確定することができる。勿論、商品提供者等が、自社の在庫管理用コンピュータに記録している在庫データを物流情報システム1に送信することにより、物流情報システム1が当該在庫データを取得するようにしてもよい。
【0037】
そして、物流情報システム1は、発注情報に含まれる商品識別情報に基づいて当該商品を提供する商品提供者等を選択する場合、第1の方法としては、発注情報に含まれる届先識別情報に基づいて取得した当該届け先の住所と、当該商品を現に在庫している商品提供者等の出荷場所とが最も近い商品提供者等を選択するようにしてもよい。物流情報システム1は、当該商品の在庫状況を転送先情報に含まれる在庫情報に基づいて判定し、出荷場所の住所を出荷場所情報に含まれる出荷場所の識別情報に基づいて判定する。届け先の住所と出荷場所の住所とが最も近いか否かは、住所間の地図上の直線距離で判定してもよいし、出荷場所の住所から届け先の住所までの道路を経路探索した結果の距離で判定してもよいし、出荷場所から届け先までの探索した経路による輸送にかかる推定時間で判定してもよい。
【0038】
このようにすると、発注された商品が届け先に最も近い商品提供者の在庫から出荷されるので、最短の輸送経路とすることができ、輸送コストの更なる低減に寄与することができる。
【0039】
また、物流情報システム1は、発注情報に含まれる商品識別情報に基づいて商品Aを提供する商品提供者等を選択する場合、第2の方法としては、当該発注情報に含まれる届先識別情報が一致する輸送情報を記憶装置から検索し、検索した輸送情報に含まれる輸送経路情報から今後通過する各輸送拠点を特定し、当該各輸送拠点を最寄とする商品提供者等の中から商品Aを在庫している商品提供者等のうち最寄の輸送拠点に最も近い商品提供者等を選択するようにしてもよい。「今後通過する各輸送拠点」の情報は、輸送情報に含まれる輸送経路情報と現在ステータス情報とに基づいて特定することができる。また、「最寄の輸送拠点」の情報は、上述した「出荷場所情報」に基づいて取得することができる。「最も近い」か否かの判定は、上述した第1の方法と同様に行うことができる。
【0040】
これによると、届け先を共通にする荷物を、先に輸送中の荷物が通過する輸送拠点に速やかに届けて混載することができる。また、卸売業者等においては、在庫が売れ残り、古くなって廃棄するケースもあるが、本実施形態によれば、市場にある古い在庫が出荷される機会が増え、廃棄される商品が減り、卸売業者等の在庫の回転がよくなる。在庫も新しいものに一新されやすくなり、食品の賞味期限切れも抑制される。また、在庫の回転がよくなることにより、卸売業者等における商品発注の機会が増え、今まで単独で発注していた商品も他の商品と共に発注して同送できる機会が増え、これにより、物流の効率化と物流コストの削減に寄与する。
【0041】
また、上記実施形態の変形例として、「届先識別情報」に代えて「届先エリア識別情報と」し、この「届先エリア識別情報」を近隣の複数の届け先に割り当て、この届先エリア識別情報が共通する荷物を輸送経路上で混載するようにしてもよい。このようにすると、近隣の届け先への荷物を輸送経路上で混載することができ、1か所の届け先への物流量に比べ、届け先エリアへのより大きな物流量をまとめて輸送することができるので、更なる物流効率化と物流コストの低減を図ることができる。
【0042】
ここで、本願発明は、上記の実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した発明の範囲のものである。例えば、複数の情報の関連付けは一のテーブルによって関連付けられる場合に限らず、当該複数の情報が関連付けられた状態にあれば、関連付けの形式は問わない。また、上記実施形態では、発注情報の発生の段階から記述したが、同じ届け先又は近隣の届け先に配達する荷物を流通過程において混載することによる効果は、発注情報の取り扱いに関わらず得られるので、発注情報の取り扱いは本願発明の必須の要件ではない。
【符号の説明】
【0043】
1 物流情報システム
2 発注者端末
3 商品提供者端末
4 輸送拠点端末
5 届先端末
6 コンピュータネットワーク
図1
図2
図3
図4