(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-7837(P2015-7837A)
(43)【公開日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】ユーザ端末、セキュリティセット選択方法、ユーザ端末用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20141212BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20141212BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20141212BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20141212BHJP
【FI】
G06F21/20 131D
G06F13/00 500A
H04M1/00 R
G06F21/24 162
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-132100(P2013-132100)
(22)【出願日】2013年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【テーマコード(参考)】
5B084
5K127
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AB38
5B084BA09
5B084BB16
5B084CD09
5B084CD23
5B084CD24
5K127AA21
5K127BA03
5K127FA07
5K127GB31
5K127GE01
5K127GE11
5K127JA05
5K127JA07
5K127JA09
5K127JA14
5K127JA32
5K127LA03
(57)【要約】
【課題】端末の利用シーンに応じたセキュリティを自動的かつ適切に設定する。
【解決手段】ユーザ端末10によって取得された、日付、時刻、位置情報といった利用シーンに関する情報は、利用シーンとして分析され、分類される。その分析結果である利用シーンに応じた適切なセキュリティセットが、セキュリティセットリストから自動的に選択され、ユーザ端末10自身に適用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末であって、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得する利用シーン情報取得手段と、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析する利用シーン分析手段と、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するセキュリティセット選択手段と、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うセキュリティセット適用手段と、
を備えることを特徴とするユーザ端末。
【請求項2】
前記記憶部に記憶された二以上のセキュリティセットが、制限度の低いものから高いものへと段階的に定義されていることを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項3】
ユーザの予定を時系列に基づいて管理するスケジュール管理機能を備え、
前記利用シーン分析手段において、現在時刻における予定も前記利用シーン情報の一部とみなして、利用シーンを分析することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のユーザ端末。
【請求項4】
機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末が実行するセキュリティセット選択方法であって、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得するステップと、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析するステップと、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するステップと、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うステップと、
を備えることを特徴とするセキュリティセット選択方法。
【請求項5】
機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末に、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得するステップ、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析するステップ、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するステップ、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うステップ、
を実行させる事を特徴とするユーザ端末用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末の利用シーンに応じて適切なセキュリティセットを選択するユーザ端末、セキュリティセット選択方法、及びユーザ端末用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆回線網に接続された携帯端末をWebサーバ等と接続することで、ユーザに様々なサービスが提供されている。特に、スマートフォン(高機能携帯電話)の登場により、従来、パソコンに対して行われていた高度なサービスを、携帯電話で行うことが可能になってきた。
【0003】
そのため、企業においては、従業員にスマートフォンを初めとする高機能端末を支給することで、業務効率を改善する動きが見られる。しかしながら、高機能な端末は自由度もまた高いため、従業員は業務に関係がない機能を発揮させたり、あるいは本人すら予測出来ない結果として、情報流出といった不都合な結果を引き起こしてしまったりする場合がある。
【0004】
そこで、こうした端末には、利用する環境に応じて適切なセキュリティを設定することで、利便性を可能な限り損なわずに、危険を回避する必要がある。
【0005】
このような課題に対して、位置情報によって機能制限が掛けられた場所を確認しやすく、且つ、他人が容易に認識することを防ぐ携帯電話機が開示されている。
開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−4990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1において開示される手法では、携帯電話機の記憶部に位置情報付き画像ファイルと、自機の機能を制限する内容を示すセキュリティ設定情報とが関連付けて記憶されており、位置情報取得部によって取得された自機の現在位置と、上記位置情報が示す位置との距離が所定の条件を満たす位置情報付き画像ファイルを検索、抽出して識別情報とともに表示部に表示する。この手法により、位置情報によって機能を制限するとともに、その内容が関連付けられた画像によって示されることで、分かり易く、かつ他人によって容易に識別されないという利点がある。
【0008】
しかしながら、この手法は単に特定の機能が制限される場所を設定できるに過ぎず、ユーザや端末の状態を反映したセキュリティポリシーの変化という概念が考慮されていない。そのため、端末から取得可能な情報を十分に活用できず、適切な機能制限を設定することができないという課題がある。
【0009】
本発明は、これらの課題に鑑み、ユーザ端末から利用シーンに関する情報を収集し、その情報から利用シーンを分析し、その分析結果である利用シーンに応じた適切なセキュリティセットを自動的に選択し、適用するユーザ端末、セキュリティセット選択方法、及びユーザ端末用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末であって、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得する利用シーン情報取得手段と、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析する利用シーン分析手段と、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するセキュリティセット選択手段と、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うセキュリティセット適用手段と、
を備えることを特徴とするユーザ端末を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末は、前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得し、前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析し、前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択し、前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行う。
【0013】
第1の特徴に係る発明はユーザ端末のカテゴリであるが、セキュリティセット選択方法及び、ユーザ端末用プログラムであってもカテゴリに応じた同様の作用、効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、前記記憶部に記憶された二以上のセキュリティセットが、制限度の低いものから高いものへと段階的に定義されていることを特徴とする第1の特徴に係る発明であるユーザ端末を提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明であるユーザ端末において、前記記憶部に記憶された二以上のセキュリティセットは、制限度の低いものから高いものへと段階的に定義されている。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、ユーザの予定を時系列に基づいて管理するスケジュール管理機能を備え、
前記利用シーン分析手段において、現在時刻における予定も前記利用シーン情報の一部とみなして、利用シーンを分析することを特徴とする第1又は第2の特徴に係るユーザ端末を提供する。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、第1又は第2の特徴に係るユーザ端末は、ユーザの予定を時系列に基づいて管理するスケジュール管理機能を備え、現在時刻における予定も前記利用シーン情報の一部とみなして、利用シーンを分析する。
【0018】
第4の特徴に係る発明は、機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末が実行するセキュリティセット選択方法であって、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得するステップと、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析するステップと、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するステップと、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うステップと、
を備えることを特徴とするセキュリティセット選択方法を提供する。
【0019】
第5の特徴に係る発明は、機能制限に係る複数のセキュリティパラメータの組み合わせであるセキュリティセットについて、二以上のセキュリティセットが、それぞれ一以上の利用シーンと対応付けられて記憶部に記憶されたユーザ端末に、
前記ユーザ端末の利用シーンに係る情報として、現在の日付、現在の時刻、前記ユーザ端末の位置、又は前記ユーザ端末の通信状態のうち少なくともいずれかを取得するステップ、
前記取得した利用シーン情報から、利用シーンを分析するステップ、
前記分析した利用シーンに基づいて、対応する前記セキュリティセットを選択するステップ、
前記選択したセキュリティセットに基づいて機能制限を行うステップ、
を実行させる事を特徴とするユーザ端末用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザ端末から利用シーンに関する情報を収集し、その情報から利用シーンを分析し、その分析結果である利用シーンに応じた適切なセキュリティセットを自動的に選択し、適用するユーザ端末、セキュリティセット選択方法、及びユーザ端末用プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態であるセキュリティセット選択システム1の概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、ユーザ端末10の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【
図3】
図3は、ユーザ端末10が実行するセキュリティセット選択処理のフローチャート図である。
【
図4】
図4は、ユーザ端末10が実行する利用シーン分析処理のフローチャート図である。
【
図5】
図5は、ユーザ端末10によって管理されているスケジュールの一例である。
【
図6】
図6は、選択されたセキュリティセットが適用されているユーザ端末10の画面の一例である。
【
図7】
図7は、ユーザ端末10の記憶部に記憶されたセキュリティセットリスト20の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0023】
[セキュリティセット選択システム1の概要]
図1は、本発明の好適な実施形態であるセキュリティセット選択システム1の概要を説明するための図である。この
図1に基づいて、セキュリティセット選択システム1の概要を説明する。
【0024】
セキュリティセット選択システム1は、ユーザが利用する情報端末であるユーザ端末10、一台により構成される。ユーザ端末10の記憶部には、後述のセキュリティセットが複数記憶されている。
【0025】
初めに、ユーザ端末10は、利用シーンに係る情報を取得する(ステップS01)。ここで、利用シーンとは、端末を利用する環境を指し、端末内外の情報をカテゴライズしたものである。具体例としては、端末の「休日の利用」や、「業務時間内、社外におけるインターネット非接続時の利用」といった利用シーンが挙げられ、決まった粒度は存在しない。本発明において、利用シーンは、セキュリティポリシーと関連して決定されると考えてよい。
【0026】
すなわち、各利用シーンにおいて、それぞれ要求されるセキュリティポリシーがあるため、セキュリティポリシー毎に利用シーンをまとめて列挙していくのが効率的である。ただし、同一のセキュリティポリシーを持ちながら、状況的にかけ離れた利用シーンも存在するため、一概にセキュリティポリシーと利用シーンとが同数になるとは限らない。
【0027】
また、利用シーンに関する情報とは、ユーザ端末10によって取得可能な端末内外の情報であって、端末外については、日付や曜日、時刻、位置情報等が、端末内については、インターネットの接続状況等が挙げられる。また、ユーザ端末10がスケジュール管理機能を備えるときは、スケジュールも利用シーンに関する信頼度の高い情報として利用可能である。
【0028】
次に、ユーザ端末10は、取得した利用シーンに係る情報を分析する(ステップS02)。ここで分析とは、取得した情報から利用シーンを推定することであって、
図1では、分類器による分析が図示されている。分類器の例としては、ベイズ分類器、SVM(サポートベクターマシン)、決定木等が挙げられ、限られた情報から高精度な推定を行うのに役立つ。なお、分類器を用いない場合でも、条件が単純である場合には条件分岐によって利用シーンを推定することが可能である。
【0029】
次にユーザ端末10は、分析結果である利用シーンに基づいて、対応するセキュリティセットを選択する(ステップS03)。ここで利用シーンは、それぞれ一のセキュリティセットと対応関係にある。すなわち、利用シーンが決まれば、対応するセキュリティセットが一意に決まる関係にある。
【0030】
ここで、セキュリティセットとは、ユーザ端末10の各機能の制限に係るセキュリティパラメータについて、複数のセキュリティパラメータの任意の組み合わせを指す。すなわち、セキュリティポリシーをセキュリティパラメータの組み合わせで表したものが、セキュリティセットであると言える。例えば
図1では、レベル3のセキュリティセットとして、ゲームアプリの起動禁止と、カメラの起動禁止というパラメータが、セキュリティパラメータとして記憶されている。
【0031】
ユーザ端末10は、最後に、選択されたセキュリティセットを自身に適用する(ステップS04)。以上の処理により、ユーザ端末10が利用シーンに係る情報を取得することで、自動的に適切なセキュリティセットを選択し、適用することが可能となる。以上が、セキュリティセット選択システム1の概要である。
【0032】
[セキュリティセット選択システム1のシステム構成]
セキュリティセット選択システム1は、一台のユーザ端末10によって構成される。
【0033】
ここでユーザ端末10は、ユーザが利用する一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。ユーザ端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、複合型プリンタ、テレビ、ルータ又はゲートウェイ等のネットワーク機器、コンピュータに加えて、冷蔵庫、洗濯機等の白物家電であってもよいし、電話機、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、電子辞書端末、携帯型音楽プレーヤ、携帯型コンテンツ再生・録画プレーヤ等の一般的な情報家電であってよい。
【0034】
[各機能の説明]
図3は、ユーザ端末10の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0035】
ユーザ端末10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、記憶部12として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備える。また、ユーザ端末10は入出力部13として、位置情報を初めとした、外部情報の入力を受け付けるデバイスを備える。ユーザ端末10は、記憶部12にセキュリティセットリスト20を備える。
【0036】
ユーザ端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、記憶部12と協働して、利用シーン分析モジュール14、セキュリティセット選択モジュール15、セキュリティセット適用モジュール16を実現する。また、ユーザ端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、入出力部13と協働して、利用シーン情報取得モジュール17を実現する。
【0037】
[セキュリティセット選択処理]
図3は、ユーザ端末10が実行するセキュリティセット選択処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0038】
初めに、ユーザ端末10の利用シーン情報取得モジュール17は、利用シーンに係る情報を取得する(ステップS11)。ここで、利用シーンに係る情報は端末内外を問わず、ユーザ端末10が時計機能を備える場合は日付や曜日、時刻を、位置情報取得機能を備える場合は位置情報を、インターネット等の通信機能を備える場合には通信状況を、それぞれ取得する。ここで、必ずしも全ての種類の情報を取得する必要はないが、情報が増加するほど次の利用シーンの分析において、精度が向上する。
【0039】
また、ユーザ端末10がスケジュール管理機能を備える場合には、スケジュール情報は利用シーンに関して信頼度の高い情報となり得る。すなわち、現在の時刻に登録されている予定が存在する場合には、利用シーンは予定の内容そのものとみなすことができるからである。
【0040】
図5は、ユーザ端末10の管理機能によって管理されているスケジュールの一例である。
図5において、日付51について横方向は右に行くほど後の日付を表し、時刻52については下に行くほど後の時刻を表す。また、現在の日付及び時刻は矢印53で表される。このスケジュールにおいて、予定54のように、日付と時刻、及び内容が管理されている。例えば、現在が6月4日の15時である場合は、予定54の範囲内となるので、現在の利用シーンは「企画会議」であると考えられる。スケジュール管理機能は、予定54の内容に「会議」が含まれることによって、「会議」が含まれない予定55と異なる背景色を適用し、区別してよい。また、この区別はユーザの選択によって行っても良い。
【0041】
次に、ユーザ端末10の利用シーン分析モジュール14は、利用シーンの分析を行う(ステップS12)。ここで分析とは、取得した情報から利用シーンを推定することを指す。ここでは、利用シーンごとの条件が明らかである場合の例として、単純な条件分岐による利用シーンの分類の例を示す。
【0042】
[利用シーン分析処理]
図4は、ユーザ端末10が実行するセキュリティセット選択処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0043】
初めに、利用シーン分析モジュール14は、スケジュール管理機能によって記憶された予定を参照し、現在時刻に会議の予定が入っているかを確認する(ステップS21)。予定が入っている時に、それが会議であるか否かは、ユーザの予定に対するタグ付けや、説明文の解析によって行ってよい。ここで、会議の予定が入っている場合(ステップS21:「YES」の場合)には、利用シーン5であるとして分類を行い(ステップS22)、本処理を終了する。
【0044】
一方、会議の予定が入っていなかった場合(ステップS21:「NO」の場合)には、今日は休日か、あるいは現在が勤務時間外であるかを確認する(ステップS23)。確認には、予め入力された出勤日及び勤務時間と、ユーザ端末10が取得した現在の曜日及び時刻を比較する事によって行う。ここで、今日が休日か、現在が勤務時間外である場合(ステップS23:「YES」の場合)には、利用シーン1であるとして分類を行い(ステップS24)、本処理を終了する。
【0045】
一方、今日が休日ではなく、かつ現在時刻が勤務時間内である場合(ステップS23:「NO」の場合)には、当該ユーザ端末10がオフィスで利用されているかを確認する(ステップS25)。当該確認は、予め記憶されたオフィスの位置情報と、GPSによる現在の位置情報との距離を計測することによって可能である。ここで、オフィスにいる場合(ステップS25:「YES」の場合)には、利用シーン2であるとして分類を行い(ステップS24)、本処理を終了する。
【0046】
一方、オフィスにいない場合(ステップS25:「NO」の場合)には、当該ユーザ端末10がインターネット接続されているかを確認する(ステップS27)。ここで、インターネット接続がされている場合(ステップS27:「YES」の場合)には、利用シーン4であるとして分類を行い(ステップS28)、本処理を終了する。一方、ユーザ端末がインターネット接続されていない場合(ステップS27:「NO」の場合)には、利用シーン3であるとして分類を行い(ステップS29)、本処理を終了する。
【0047】
以上が、利用シーン分析処理の処理手順である。なお、利用シーンの分析が上記のような単純なフローチャートでは足りない場合には、ベイズ分類器、SVM、決定木といった分類機を利用することで、利用シーンの分析を行ってよい。
【0048】
セキュリティセット選択処理に戻り、次にユーザ端末10のセキュリティセット選択モジュール15は、分析結果である利用シーンに基づいて、対応するセキュリティセットを選択する(ステップS13)。ここでセキュリティセットは、それぞれが一以上の利用シーンと対応関係にある。すなわち、利用シーンが決まれば、対応するセキュリティセットが一意に決まる関係にある。
【0049】
図7は、セキュリティセットリスト20の一例である。各セキュリティセットについて、セキュリティパラメータの具体的な内容と、対応する利用シーンとが記録されている。例えば、分析結果として利用シーン3が返った時には、セキュリティセット選択モジュール15によって、対応するセキュリティセット「レベル3」が選択される。
【0050】
ここで、セキュリティセットはセキュリティポリシーを具体的な値の組み合わせとして具体化したものである。一方で、利用シーンの変化に伴うセキュリティポリシーの変化は、利用シーンに依存して強弱が一意に決まる事が多い。よって、セキュリティセットリスト内のセキュリティリストを、段階的に制限を強くして記憶させることは、効率的な記述ができるのみならず、万が一利用シーンの分析を誤った場合においても、セキュリティセットがかけ離れた内容になる確率を低くできるという技術上の利点がある。
【0051】
最後に、ユーザ端末10のセキュリティセット適用モジュール16は、選択されたセキュリティセットを自身に適用する(ステップS14)。適用の方法は、ユーザ端末10に依存するが、一例として、MDMのパラメータとしてセキュリティセットを用いる方法が挙げられる。その場合、MDM自体が本発明を機能として実装していてよい。
【0052】
図6は、セキュリティセットが適用されたユーザ端末10の画面の一例である。日付61と、時刻62で示される時間帯、
図5によれば予定は「企画会議」であるから、利用シーン分類処理の結果は「利用シーン5」であって、セキュリティセット「レベル5」が適用されている。その旨がメッセージ63として表示されるとともに、制限機能詳細64も共に表示されている。
【0053】
以上が、セキュリティセット選択処理の手順である。以上の処理により、ユーザの能動的なセキュリティパラメータの入力を必要とせずに、自動的にユーザ端末10に適切なセキュリティを設定することができる。特に、機能の制限を行う場合には、一般ユーザを制約する目的である場合も多いため、本処理のような自動的なセキュリティ設定は、効果が大きいといえる。
【0054】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 セキュリティセット選択システム、10 ユーザ端末、20 セキュリティセットリスト