(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-79503(P2015-79503A)
(43)【公開日】2015年4月23日
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20150327BHJP
【FI】
G06F3/041 450
G06F3/041 495
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-206976(P2014-206976)
(22)【出願日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0122125
(32)【優先日】2013年10月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0035516
(32)【優先日】2014年3月26日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】リ,テ キョン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ボム ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,キ ス
(72)【発明者】
【氏名】シン,マン ショップ
(57)【要約】
【課題】ウィンドウ基板のベゼル層の薄型化を図るとともに、様々な色をより容易に実現し、ウィンドウ基板一体型の場合における作動信頼性および作動性能をより向上させることができるタッチセンサを提供する。
【解決手段】本発明のタッチセンサは、ウィンドウ基板10と、ウィンドウ基板10の一面の外周縁上に形成されたベゼル層20と、を含み、ベゼル層20は、ウィンドウ基板10上に形成された印刷層21と、印刷層21上に形成され、印刷層21より屈折率が低い媒質層22と、媒質層22上に形成された反射層23と、を含むものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンドウ基板と、
前記ウィンドウ基板の一面の外周縁上に形成されたベゼル層と、を含み、
前記ベゼル層は、
前記ウィンドウ基板上に形成された印刷層と、
前記印刷層上に形成され、前記印刷層より屈折率が低い媒質層と、
前記媒質層上に形成された反射層と、を含む、タッチセンサ。
【請求項2】
前記反射層上に形成された黒色印刷層をさらに含む、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記黒色印刷層は、カーボン系物質(Graphene Oxide、DLC:Diamond Line Carbon)、クロム系酸化物(CrO、CrO2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS2、Co3S4)、ニッケル系酸化物(Ni2O3)またはその組み合わせからなる、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記ベゼル層の内側に形成された電極パターンと、
前記ベゼル層の反射層上に形成された絶縁層と、
前記電極パターンの一端に連結され、前記絶縁層上に設けられて電気的連結を形成する電極配線と、をさらに含む、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記印刷層は、可視光領域において屈折率が1.3〜2.7以上の物質を含む、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記媒質層は、可視光領域において屈折率が1以上2.7未満の物質を含む、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記媒質層は、光学透明接着剤(OCA)からなる、請求項6に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記反射層は金属層に形成され、前記金属層の反射率が0.8以上である、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記反射層は金属層に形成され、前記金属層の比抵抗(ρ)が20℃で10以下である、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
前記ベゼル層の積層方向の厚さが10μm以下である、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項11】
前記印刷層は、二酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(Ce2O3)、酸化インジウム(In2O3)、インジウムスズ酸化物(ITO)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、(Ba、Sr)TiO3またはその組み合わせからなる、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項12】
前記反射層は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)またはその組み合わせからなる、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項13】
前記絶縁層は、クロム系酸化物(CrO、CrO2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS2、Co3S4)、ニッケル系酸化物(Ni2O3)、またはその組み合わせからなる、請求項4に記載のタッチセンサ。
【請求項14】
前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、多孔性の構造を有する、請求項12に記載のタッチセンサ。
【請求項15】
前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、表面抵抗が1kΩ以下である、請求項12に記載のタッチセンサ。
【請求項16】
前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、透過率が5%以上である、請求項12に記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル技術を用いるコンピュータが発達するにつれて、コンピュータの補助装置もともに開発されており、パソコン、携帯用送信装置、その他の個人用の情報処理装置などは、キーボード、マウスなどの様々な入力装置(Input Device)を利用してテキストおよびグラフィック処理を行う。
【0003】
しかし、情報化社会の急速な進行により、コンピュータの用途が益々拡大する傾向にあるため、現在、入力装置の役割を担当しているキーボードおよびマウスだけでは、効率的な製品の駆動が困難であるという問題点がある。従って、簡単で誤操作が少なく、誰でも簡単に情報を入力することができる機器の必要性が高まっている。
【0004】
また、入力装置に関する技術は、一般的な機能を満たす水準を超えて、高信頼性、耐久性、革新性、設計および加工に関する技術などが注目されており、このような目的を達成するために、テキスト、グラフィックなどの情報入力が可能な入力装置として、タッチセンサ(touch sensor)が開発された。
【0005】
タッチセンサは、電子手帳、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display Device)、PDP(Plasma Display Panel)、El(Electroluminescence)などの平板ディスプレイ装置およびCRT(Cathode Ray Tube)などの画像表示装置の表示面に設けられ、ユーザが画像表示装置を見ながら所望の情報を選択するようにするために利用される機器である。
【0006】
タッチセンサの種類は、抵抗膜方式(Resistive Type)、静電容量方式(Capacitive Type)、電磁方式(Electro−Magnetic Type)、表面弾性波方式(SAW Type;Surface Acoustic Wave Type)および赤外線方式(Infrared Type)に区分される。
【0007】
このような様々な方式のタッチセンサは、信号増幅の問題、解像度の差、設計および加工技術の難易度、光学的特性、電気的特性、機械的特性、耐環境特性、入力特性、耐久性および経済性を考慮して電子製品に採用されるが、現在、最も幅広い分野で用いられている方式は、抵抗膜方式タッチセンサおよび静電容量方式タッチセンサである。
【0008】
このようなタッチセンサは、例えば、透明基板と検知部が接着剤を介して接合された構造からなってもよく、特許文献1のように透明基板の周縁に沿って形成されたベゼル部が検知部のバスライン(Bus Line)を隠すように形成されてもよい。
【0009】
最近、IT機器において、外観デザインの重要性が益々高まっており、ディスプレイ画面も大型化している。特に、特許文献1のように、単純に黒色を適用したベゼルだけでなく、機器の外観の大きさが増加することなくディスプレイ画面を拡大し、実物に近い色であるフルカラー(Full color)を実現するために、ベゼル部の厚さの薄型化を図るための努力がなされている。
【0010】
しかし、このようなベゼル部の面積や厚さは、実現しようとするベゼル部の色に応じて異なることがあり、特に、白色(white)のように光の透過性の高い明るいトーンの色の場合には、光の透過を最小化するためにベゼル部の厚さが必然的に厚くなるという問題点があるため、小型化および薄型化しつつあるIT機器の傾向に逆らう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0053940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、ウィンドウ基板のベゼル層の薄型化を図るとともに様々な色をより容易に実現し、ウィンドウ基板一体型のタッチセンサにおける作動信頼性および作動性能をより向上させるためのタッチセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、ウィンドウ基板と、前記ウィンドウ基板の一面の外周縁上に形成されたベゼル層と、を含み、前記ベゼル層は、前記ウィンドウ基板上に形成された印刷層と、前記印刷層上に形成され、前記印刷層より屈折率が低い媒質層と、前記媒質層上に形成された反射層と、を含むものである。
【0014】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層上に形成された黒色印刷層をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記黒色印刷層は、カーボン系物質(Graphene Oxide、DLC:Diamond Line Carbon)、クロム系酸化物(CrO、CrO
2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO
2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS
2、Co
3S
4)、ニッケル系酸化物(Ni
2O
3)またはその組み合わせからなることができる。
【0016】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記ベゼル層の内側に形成された電極パターンと、前記ベゼル層の反射層上に形成された絶縁層と、前記電極パターンの一端に連結され、前記絶縁層上に設けられて電気的連結を形成する電極配線と、をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記印刷層は、可視光領域において屈折率が1.3〜2.7以上の物質を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記媒質層は、可視光領域において屈折率が1以上2.7未満の物質を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記媒質層は、光学透明接着剤(OCA)からなることができる。
【0020】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は金属層に形成され、前記金属層の反射率が0.8以上に形成されることができる。
【0021】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は金属層に形成され、前記金属層の比抵抗(ρ)が20℃で10以下であることができる。
【0022】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記ベゼル層の積層方向の厚さが10μm以下であることができる。
【0023】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記印刷層は、二酸化チタン(TiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(Ce
2O
3)、酸化インジウム(In
2O
3)、インジウムスズ酸化物(ITO)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、タンタル酸カリウム(KTaO
3)、(Ba、Sr)TiO
3またはその組み合わせからなることができる。
【0024】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)またはその組み合わせからなることができる。
【0025】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記絶縁層は、クロム系酸化物(CrO、CrO
2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO
2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS
2、Co
3S
4)、ニッケル系酸化物(Ni
2O
3)、またはその組み合わせからなることができる。
【0026】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、多孔性の構造を有することができる。
【0027】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、表面抵抗が1kΩ以下であることができる。
【0028】
本発明の一実施例によるタッチセンサにおいて、前記反射層は、非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))により形成され、透過率が5%以上であることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によれば、ウィンドウ基板上に形成されたベゼル層の薄型化を図るとともに、様々な色をより容易に実現することができる。
【0030】
また、ベゼル層の印刷層上に印刷層より屈折率が低い媒質層を形成し、媒質層上に反射層を形成することで、薄膜の印刷層だけでもベゼル層の色をより効果的に実現することができる。
【0031】
また、ベゼル層の薄型化を図るとともに、ウィンドウ基板上に電極パターンが直接形成されたウィンドウ基板一体型のタッチセンサにおいて、より高い電気的信頼性を確保し、タッチセンサの作動性能を向上させることができる。
【0032】
また、ベゼル層の最外層に絶縁層を形成することで、ベゼル層の遮蔽機能の信頼性をより向上させることができる。
【0033】
また、反射層を非伝導性の薄膜フィルムに形成することで、適用されるデバイスの種類およびスペックに応じて発生しうるアンテナの受信妨害などを予め防止することができる。
【0034】
また、反射層を非伝導性の薄膜フィルムに形成することで、適用されるデバイスに応じたWi−Fiのような無線周波数(RF)信号の妨害を最小化することができる。
【0035】
また、反射層を形成する金属層を非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))で形成することで、伝導性を低減するとともに透過率および反射率を効果的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施例によるベゼル層が形成されたウィンドウ基板の断面図である。
【
図3】本発明の他の実施例によるベゼル層の部分拡大断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例によるベゼル層が形成されたウィンドウ基板の断面図である。
【
図5】本発明の一実施例によるウィンドウ基板一体型に形成されたタッチセンサの断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例によるタッチセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の目的、特定の長所および新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明および好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0038】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施例によるベゼル層20が形成されたウィンドウ基板10の断面図であり、
図2は、
図1のA部分の部分拡大図であり、
図3は、本発明の他の実施例によるベゼル層の部分拡大断面図である。
【0040】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、ウィンドウ基板10と、前記ウィンドウ基板10の一面の外周縁上に形成されたベゼル層20と、を含み、前記ベゼル層20は、前記ウィンドウ基板10上に形成された印刷層21と、前記印刷層21上に形成され、前記印刷層21より屈折率が低い媒質層22と、前記媒質層22上に形成された反射層23と、を含むものである。
【0041】
特に、
図3に示されたように、前記反射層23上に黒色印刷層21aをさらに含んでもよい。印刷層21が形成された部分に対応するように黒色印刷層21aを形成することで、タッチセンサが含まれたディスプレイ領域の視認領域の周縁部分に黒色の帯を形成して、ディスプレイの視認領域に対するユーザの認識度をより効果的に向上させることができる。
【0042】
前記黒色印刷層21aは、カーボン系物質(Graphene Oxide、DLC:Diamond Line Carbon)、クロム系酸化物(CrO、CrO
2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO
2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS
2、Co
3S
4)、ニッケル系酸化物(Ni
2O
3)またはその組み合わせからなってもよい。その他の構成および作用については後述する。
【0043】
ウィンドウ基板10は、タッチセンサの最外側に形成されて、タッチセンサを外部環境から保護する役割を同時に行える。ユーザの視認性のために透明な材質からなってもよく、例えば、ガラスや強化ガラスのように、所定以上の強度を有する材質であれば特に限定されない。本発明の一実施例によれば、ウィンドウ基板10に形成されるベゼル層20とともに電極パターン30がウィンドウ基板10上に直接形成されることで、タッチセンサの薄型化および小型化を図ることができるだけでなく、タッチ感度を向上させることができる。
【0044】
ただし、ウィンドウ基板10上に電極パターン30が直接形成される構造以外にも、別のベース基板40上に電極パターン30が形成され、ウィンドウ基板10と結合される様々なタッチセンサの構造が選択および適用されることができることは当業者によって自明である。詳細な内容については後述する。
【0045】
ベゼル層20は、ウィンドウ基板10の一面上に形成され、外周縁に沿って形成させることができる。ベゼル層20は、通常、タッチセンサにおいてユーザのタッチが入力されない非活性領域として形成される。また、ベゼル層20は、タッチセンサに形成された電極パターン30の電気的連結のための電極配線30aが視認されることを防止するか、外部に様々なロゴを形成するなど、ベゼル層20が適用された様々なデバイスの外観を装飾する機能を果たすことができる。
【0046】
特に、従来、単純に黒色のベゼル層20を使用していたこととは異なり、より多様な色を実現する近年の傾向に応じて色を実現するために、ベゼル層20が益々厚くなる問題が提起されている。ベゼル層20が電極配線30aの視認を防止するための遮蔽機能を行う点からみて、白色やピンク色などの明るいトーンの色でも同一厚さまたはより薄いベゼル層20でもこのような機能を効果的に実現する必要がある。
【0047】
本発明の一実施例において、ベゼル層20は、
図2に示されたように、前記ウィンドウ基板10上に形成された印刷層21と、前記印刷層21上に形成され、前記印刷層21より屈折率が低い媒質層22と、前記媒質層22上に形成された反射層23と、を含むことができる。
【0048】
ここで、印刷層21は、実質的にベゼル層20の色を表す層であって、印刷層21の形成方法としては、選択される材質に応じて、スクリーンプリンティング、蒸着、スピンコーティングなどの様々な方法が適用されてもよい。特に、本発明の一実施例では、ベゼル層20を白色(white)に実現するために、二酸化チタン(TiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(Ce
2O
3)、酸化インジウム(In
2O
3)、インジウムスズ酸化物(ITO)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、タンタル酸カリウム(KTaO
3)、(Ba、Sr)TiO
3またはその組み合わせからなる材質を選択的に適用してもよい。
【0049】
しかし、本発明の印刷層21は、このような特定の色に限定されず、光の反射により実現される様々な色がすべて適用されてもよく、そのような選択および適用は、当業者によって容易に実施または設計変更できる範囲内のものである。印刷層21は、可視光領域において屈折率が1.4以上の物質を適用することがより好ましい。これは、後述する媒質層22と反射層23との関係において光がより効果的に分散(scattering)されて印刷層21固有の色が発現されるようにするためである。この場合、可視光領域における屈折率は、波長に対する関数で表現されるため、前記可視光領域における屈折率は、550nm〜600nmの波長領域における屈折率と把握されることが好ましい。
【0050】
媒質層22は、印刷層21より屈折率が低い物質からなってもよい。ここで、媒質層22は、特定の種類の材質に限定されず、印刷層21と後述する反射層23との間で屈折率差を大きくして光が印刷層21上でより多く分散(scattering)されて、印刷層21の色をより効果的に実現できるものでなければならない。媒質層22は、例えば、光学透明接着剤(OCA;Optical Claea Adhesive)を用いてスピンコーティングにより形成してもよく、印刷層21と反射層23との間のギャップを形成して空気層(図示せず)を媒質層22として実現できることは言うまでもない。
【0051】
媒質層22は、印刷層21の屈折率より小さい屈折率を有することが好ましく、特に、可視光領域において屈折率が1以上2.7以下であってもよい。この場合にも前記印刷層21の屈折率と同様に、可視光領域における屈折率は、波長に対する関数で表現されるため、前記可視光領域における屈折率は、550nm〜600nmの波長領域における屈折率と把握されることが好ましい。
【0052】
また、
図4に示されたように、透明接着剤により媒質層22を形成する場合、ベゼル層20部分以外のウィンドウ基板10の全面に塗布することで、ベゼル層20の段差をさらに減少させることができる。ウィンドウ基板10上におけるベゼル層20の段差は、後述するウィンドウ基板10一体型のタッチセンサにおいて、電極パターン30と電極配線30aとの電気的連結信頼性における非常に重要な要素である。詳細については後述する。
【0053】
媒質層22上には、光の分散効果(scattering)を効果的に実現するために、反射層23がさらに形成されてもよい。反射層23は、ウィンドウ基板10上においてユーザによって視認されるベゼル層20の色をより効果的に表すためのものである。すなわち、反射層23によって入射される光が反射されて、内部に分散されることで、印刷層21上に実現される色がよりはっきりと表されることができる。これにより、色実現のためのベゼル層20をより薄型化できるという利点がある。反射層23は、金属材質からなってもよく、必ずしもこれに限定されず、特に、反射率が0.8以上のものを適用することが好ましい。
【0054】
金属の反射率に対する数値は波長に対する関数で表現されることができるため、可視光領域の800nmの波長帯で80%以上に形成されることができる。また、金属の光沢によってもこのような反射率が影響を受けるため、金属の光沢の原因である金属に含まれた自由電子に対する数値で表現されてもよい。すなわち、反射層をなす金属の比抵抗(ρ:Ωm)が20℃で10以下に形成されるものと表現されてもよい。
【0055】
反射層23は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)またはその組み合わせからなってもよく、そのほかにも様々な金属および非金属層が適用されることができることは言うまでもない。
【0056】
また、反射層23は、非伝導性物質で形成させることができる。すなわち、金属であるスズ(Sn)を用いる非伝導性の薄膜フィルムに形成させることができる。反射層23は、上述した伝導性の金属を用いてもよいが、適用されるデバイスのスペックおよび構造に応じて、かかる伝導性の金属層に形成された反射層23により携帯電話などにおけるアンテナの受信を妨害する恐れがあるという問題点が発生しうる。したがって、適用されるデバイスに応じて非伝導性の反射層23を適用することで、前記のような問題点を予め防止し、且つ、タッチセンサにおけるベゼル層の色をもより効果的に実現することができる。
【0057】
ここで、非伝導性の反射層23は、金属層を用いるが、反射効果を維持するために非伝導性コーティング法(Non Conductive Vaccum Metallizing(NCVM))を用いて形成することができる。非伝導性コーティング法を適用したフィルムにより、アルミニウムなどの他の金属化方法を使用する時に比べて、Wi−Fiのような無線周波数(RF)信号があまり妨害されない特性を有する。すなわち、かかる方式で形成された非伝導性の反射層23は、反射効果を有する一方伝導性が現れないようにすることで、適用されるデバイスに応じて発生しうるアンテナの受信などの信頼性をより効果的に確保することができる。
【0058】
このように金属層に形成される反射層23を、非伝導性コーティング方式を用いて形成する場合には、金属層が互いに絶縁されるように形成される多孔性(porous)の構造を有することで、反射層23の表面抵抗が1kΩ以上に形成されて、デバイス内に適用して設けられたアンテナなどの受信を妨害しないという利点がある。金属層をそのまま利用できることで非伝導性を有し、且つ、透過率および反射効果をそのまま維持することができ、より効果的である。これにより、かかる反射層23は、少なくとも5%以上の透過率を維持することができる。
【0059】
本発明の一実施例によるタッチセンサは、
図5に示されたように、ウィンドウ基板10上に電極パターン30を直接形成することで、タッチセンサの感度をより効果的に高めることができる。ウィンドウ基板10上に電極パターン30を形成する場合、単層構造の電極パターン30が適用されてもよく、ウィンドウ基板10上に電極パターン30を形成し、前記電極パターン30に交差する電極パターン30を別のベース基板40に形成して結合することでタッチセンサを実現することができることは言うまでもない。
【0060】
単層構造の電極パターン30の一例は、交差する両電極パターン30が形成される際に、両電極パターン30が交差する部分に絶縁パターンを形成することで、両電極パターン30を絶縁させるとともに、それぞれの電極パターン30間の電気的連結を実現することができる。ウィンドウ基板10上に電極パターン30を形成してタッチセンサを実現する構造としては、その他にも様々な構造が採択されてもよく、ウィンドウ基板10上に電極パターン30がすべて形成される場合またはウィンドウ基板10上に一部電極パターン30が形成される場合の両方が含まれてもよく、そのような設計変更は当業者にとって自明な事項である。
【0061】
本発明の一実施例は、
図5に示されたように、ウィンドウ基板10の一面上に単層構造の電極パターン30が設けられることを示している。この場合、電極パターン30の電気的連結のための電極配線30aがベゼル層20上に形成されてもよい。本発明の一実施例では、ベゼル層20の薄型化を実現することで、電極パターン30において連結される電極配線30a間の段差を著しく減少させることで、電極パターン30と電極配線30aとの電気的連結の信頼性を確保することができる。
【0062】
ここで、電極パターン30は、タッチの入力手段によって信号を発生させ、制御部(図示せず)からタッチ座標を認識できるようにする役割を行うためのものである。電極パターン30は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)またはこれらの組み合わせによりメッシュパターン(Mesh Pattern)に形成することができる。
【0063】
一方、電極パターン30は、上述した金属以外にも銀塩乳剤層を露光/現像して形成された金属銀、ITO(Indium Thin Oxide)などの金属酸化物、または柔軟性に優れ、コーティング工程が単純なPEDOT/PSSなどの伝導性高分子を用いて形成してもよい。
【0064】
図5に示されたように、反射層23を金属材質で形成する場合には、電極配線30aとの電気的短絡を防止するために反射層23上に絶縁層24をさらに具備してもよい。反射層23上に絶縁層24を積層した後、絶縁層24上に電極配線30aを形成してもよい。
【0065】
絶縁層24の材質は特に限定されず、電極配線30aの視認を遮断するために黒色の絶縁層24がベゼル層20上に形成されてもよい。例えば、クロム系酸化物(CrO、CrO
2)、銅系酸化物(CuO)、マンガン系酸化物(MnO
2)、コバルト系酸化物(CoO)、硫化物(CoS
2、Co
3S
4)、ニッケル系酸化物(Ni
2O
3)、またはその組み合わせからなってもよい。また、上述した黒色印刷層21aの場合にも絶縁性材質を使用してもよく、これにより、絶縁層24と置換して形成することができることは当業者による設計変更の範囲に含まれることができる。
【0066】
本発明の他の実施例によるタッチセンサは、
図6に示されたように、別のベース基板40の両面に第1電極パターン31と第2電極パターン32をそれぞれ形成して、ベゼル層20が形成されたウィンドウ基板10を結合することができる。
【0067】
図6に示されたように、本発明の他の実施例によるタッチセンサは、ウィンドウ基板10およびウィンドウ基板10の一面の外周縁に沿って形成されるベゼル層20と別のベース基板40およびベース基板40の一面に形成された第1電極パターン31、ベース基板40の他面に第1電極パターン31と交差する第2電極パターン32を形成した後、ベース基板40とウィンドウ基板10を結合することができる。
【0068】
図5に示されたように、第1電極パターン31とウィンドウ基板10が対向するように結合するにあたり、電極配線31aがウィンドウ基板10上のベゼル層20に対応する位置に配置されるように結合されてもよい。図面には第1電極パターン31と電気的に連結される電極配線31aのみを示しているが、第2電極パターン32との電気的連結のための電極配線(図示せず)がベゼル層20に対応する位置に形成されることができることは自明な事項である。
【0069】
ここで、ベース基板40は、所定以上の強度を有する材質であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)などからなってもよい。
【0070】
第1電極パターン31および第2電極パターン32は、上述した電極パターン30と同一であるため、重複する詳細な説明は省略する。
【0071】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0072】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、タッチセンサに適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 ウィンドウ基板
20 ベゼル層
21 印刷層
21a 黒色印刷層
22 媒質層
23 反射層
24 絶縁層
30 電極パターン
30a、31a 電極配線
40 ベース基板
31 第1電極パターン
32 第2電極パターン
40 ベース基板