【解決手段】基板に対する電子部品の搭載において行われる検査方法は、基板の搭載領域に対する電子部品の搭載前に、撮像素子により搭載領域及び搭載領域の周辺の基板の周辺領域を含む画像データを取得するステップと、搭載領域に対する電子部品の搭載後に、搭載領域及び周辺領域を含む画像データを取得するステップと、搭載前の画像データと搭載後の画像データとを比較するステップと、比較の結果に基づいて、搭載領域及び周辺領域の少なくとも一方の異常の有無を判定するステップと、を含む。
前記搭載前の前記画像データと前記搭載後の前記画像データとを比較するステップは、前記搭載領域を含む第1ウィンドウにおいてテンプレートマッチング処理により前記搭載前の前記画像データと前記搭載後の前記画像データとを位置合わせするステップと、前記搭載領域を含み前記第1ウィンドウよりも小さい第2ウィンドウにおいて前記テンプレートマッチング処理により前記搭載前の前記画像データと前記搭載後の前記画像データとを位置合わせするステップと、を含む請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0022】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。XY平面は、水平面である。XZ平面及びYZ平面のそれぞれは、XY平面と垂直に交わる。
【0023】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る実装装置100の一例を示す斜視図である。実装装置100は、基板3に電子部品18を実装するものであって、基板3を搬送する搬送装置2と、電子部品18を供給する供給部4と、電子部品18を保持するノズル10を有し、電子部品18を供給部4から基板3に移送して搭載する移載ヘッド7とを備えている。本実施形態において、電子部品18は、所謂、チップ型電子部品(搭載型電子部品)であり、基板3に搭載されて実装される。また、実装装置100は、ノズル10(移載ヘッド7)を移動する駆動システム10Dと、移載ヘッド7の移動経路に配置され、移載ヘッド7の画像データを取得するカメラ9と、基板3に対する電子部品18の搭載において、電子部品18及び基板3の少なくとも一部の画像データを取得する撮像素子を含む撮像装置14とを備えている。実装装置100は、基台1を有し、搬送装置2及び駆動システム10Dの少なくとも一部は、基台1に支持される。
【0024】
搬送装置2は、基板3を保持する基板保持部と、X軸方向に延在し、基板保持部が移動する搬送路2Rとを含み、基板3を搬送するとともに、保持した基板3を位置決めする。供給部4は、基板3に搭載される電子部品18を供給する。本実施形態において、供給部4は、Y軸方向に関して搬送路2Rの両側に配置される。供給部4は、X軸方向に配置された複数のパーツフィーダ5を有する。パーツフィーダ5は、複数の電子部品18が保持するキャリアテープを収納し、そのキャリアテープを送り出すことにより、電子部品18を順次供給する。
【0025】
駆動システム10Dは、移載ヘッド7を支持してX軸方向に移動するX軸テーブル6と、X軸テーブル6を支持してY軸方向に移動するY軸テーブル8Aと、Y軸テーブル8Aと対向するように配置され、X軸テーブル6をY軸方向にガイドするガイド部材8Bとを有する。X軸テーブル6は、搬送路2Rの上方においてX軸方向に延在する。X軸テーブル6の−X側の端部がY軸テーブル8Aに支持され、X軸テーブル6の+X側の端部がガイド部材8Bに支持される。Y軸テーブル8A及びガイド部材8Bは、基台1の上面に配置される。本実施形態において、Y軸テーブル8Aの少なくとも一部は、搬送路2Rの−X側の端部の上方に配置され、ガイド部材8Bの少なくとも一部は、搬送路2Rの+X側の端部の上方に配置される。
【0026】
移載ヘッド7は、電子部品18をリリース可能に保持するノズル10を有する。ノズル10は、電子部品18を保持して基板3に搭載可能である。移載ヘッド7は、X軸テーブル6の下面側に配置される。Y軸テーブル8AがX軸テーブル6をY軸方向に移動すると、そのX軸テーブル6に支持されている移載ヘッド7がX軸テーブル6と一緒にY軸方向に移動する。また、移載ヘッド7は、X軸テーブル6によりX軸方向に移動可能である。すなわち、本実施形態においては、X軸テーブル6及びY軸テーブル8Aの作動により、ノズル10を含む移載ヘッド7はX軸方向及びY軸方向に移動可能である。
【0027】
なお、上記構成では、Y軸テーブル8Aとガイド部材8Bにより、X軸テーブル6がY軸方向に移動可能とされていた。これに代えて、駆動機構とガイド機構を備えた、周知の一対のY軸ガイドテーブルにより、X軸テーブルをY軸方向に移動させることも容易に考えられる。
【0028】
カメラ9は、移載ヘッド7及びノズル10を下方から撮影する。カメラ9は、搬送路2Rと供給部4との間の移載ヘッド7の移動経路に配置されており、電子部品18を保持した状態の移載ヘッド7(ノズル10)の画像データを取得可能である。電子部品18を保持した状態の移載ヘッド7の画像データが取得されることにより、電子部品18の識別及び位置ずれ検出が行われる。
【0029】
撮像装置14は、光学系及び撮像素子を含み、基板3の少なくとも一部の画像データを取得可能である。本実施形態において、撮像装置14は、移載ヘッド7に取り付けられ、移載ヘッド7と一緒に移動可能である。
【0030】
図2は、本実施形態に係る移載ヘッド7の一例を示す斜視図である。移載ヘッド7は、電子部品18をリリース可能に保持するノズル10と、ノズル10を支持するノズルシャフト11と、ノズルシャフト11を保持するホルダ54と、ホルダ54を支持するベース部材52と、ベース部材52に支持され、ホルダ54をZ軸方向に移動するZ軸モータ13と、ホルダ54に支持され、ノズルシャフト11をθZ方向に移動(回転)するθ軸モータ12とを備えている。
【0031】
本実施形態において、ノズル10及びノズル10を支持するノズルシャフト11はそれぞれ複数(4つ)設けられる。なお、ノズル10及びノズルシャフト11は、単数設けられてもよい。ノズル10は、電子部品18を吸着する吸着ノズルであり、ノズルシャフト11の下端部に配置される。ノズル10の下端部には、気体を吸引する吸着孔が設けられている。ノズル10の下端部と電子部品18とが接触した状態で、吸着孔から気体が吸引されることにより、ノズル10は、電子部品18を保持する。また、吸着孔からの気体の吸引が停止されることにより、電子部品18はノズル10からリリースされる。
【0032】
θ軸モータ12は、ノズルシャフト11の上端部に接続されており、ノズルシャフト11をθZ方向に移動(回転)する。ノズルシャフト11がθZ方向に移動すると、そのノズルシャフト11に支持されているノズル10は、ノズルシャフト11と一緒にθZ方向に移動(回転)する。Z軸モータ13は、ボールねじ56を介してホルダ54に接続されており、ホルダ54をZ軸方向に移動する。ホルダ54がZ軸方向に移動すると、そのホルダ54に保持されているノズルシャフト11及びノズル10は、ホルダ54と一緒にZ軸方向に移動する。すなわち、本実施形態においては、θ軸モータ12及びZ軸モータ13の作動により、ノズル10はZ軸方向及びθZ方向に移動可能である。
【0033】
本実施形態においては、複数のノズル10及びノズルシャフト11のそれぞれに対して、ホルダ54、θ軸モータ12、及びZ軸モータ13が配置される。複数のノズル10は、Z軸及びθZの2つの方向に関して個別に移動可能である。
【0034】
駆動システム10Dは、X軸テーブル6、Y軸テーブル8A、θ軸モータ12、及びZ軸モータ13を含む。本実施形態においては、駆動システム10Dの作動により、ノズル10は、X軸、Y軸、Z軸、及びθZの4つの方向に移動可能である。
【0035】
図3は、本実施形態に係る撮像装置14の一例を示す正面図である。撮像装置14は、複数のカメラ15を備える。複数のカメラ15のそれぞれは、光学系及び撮像素子を有する。撮像装置14は、基板3に対する電子部品18の搭載において、基板3の少なくとも一部の画像データを取得する。本実施形態において、撮像装置14は、基板3を斜め上方から撮像する。なお、カメラ15は、1つのノズル10に対して1つだけ設けられてもよいし、複数のノズル10に対して1つだけ設けられてもよい。なお、撮像装置14で撮像される基板3を照明する照明装置が設けられてもよい。撮像装置14は、照明装置で照明された基板3の少なくとも一部の画像データを取得してもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る実装装置100の動作の一例について説明する。
図4は、電子部品18が基板3に搭載される前の状態を示す図である。ノズル10に保持された電子部品18が、基板3の搭載領域40に搭載される。基板3の搭載領域40には半田ペースト16が印刷されている。本実施形態においては、基板3の搭載領域40に電子部品18が搭載される前に、基板3の搭載領域40と、その搭載領域40の周辺の基板3の周辺領域50とを含む画像データが撮像装置14によって取得される。
【0037】
基板3の上面の搭載領域40及び周辺領域50の画像が撮像された後、電子部品18を保持したノズル10が下降し、基板3の搭載領域40に電子部品18を搭載する。電子部品18は、基板3上に印刷された半田ペースト16と接続される。電子部品18は、ボディ部18Aと、ボディ部18Aの両端に形成された電極部18Bを含み、電極部18Bの少なくとも一部と半田ペースト16とが接続される。
【0038】
図5は、電子部品18が基板3に搭載された後の状態を示す図である。基板3に電子部品18が搭載された後、ノズル10が上昇し、基板3及び電子部品18から離れる。本実施形態においては、基板3の搭載領域40に電子部品18が搭載された後に、基板3の搭載領域40と周辺領域50とを含む画像データが撮像装置14によって取得される。
図5に示す例では、基板3の搭載領域40に電子部品18が搭載され、搭載領域40の画像データは、その搭載領域40に搭載された電子部品18の画像データを含む。
【0039】
図6は、本実施形態に係る実装装置100の機能ブロック図である。
図6に示すように、実装装置100は、撮像装置14と、CPU(Central Processing Unit)25を含み、実装装置100を制御するメイン制御装置26と、基板3及び電子部品18の少なくとも一方を検査する検査装置37とを備えている。撮像装置14は、メイン制御装置26と接続され、メイン制御装置26からの指令信号に基づいて作動する。検査装置37は、メイン制御装置26と接続され、メイン制御装置26とデータ通信可能である。また、検査装置37は、撮像装置14と接続され、撮像装置14とデータ通信可能である。
【0040】
検査装置37は、CPUを含み、検査装置37を制御する制御装置35と、撮像装置14で取得された画像データを記憶する書き換え可能なメモリをそれぞれ含む搭載前画像データ記憶部30及び搭載後画像データ記憶部31と、検査に使用される各種のデータを処理して基板3及び電子部品18の状態を判定する検査処理部32と、検査処理部32から出力される差分画像データを記憶する差分画像データ記憶部33と、検査処理部32による判定結果を記憶する書き換え可能なメモリを含む判定結果記憶部34と、判定結果記憶部34に記憶された判定結果に基づいて処理を行う判定結果処理部36と、を有する。
【0041】
検査処理部32は、撮像装置14で取得された画像データを処理する画像解析処理部32Aと、搭載領域40の異常の有無を判定する搭載領域判定処理部32Bと、周辺領域50の異常の有無を判定する周辺領域判定処理部32Cと、を含む。
【0042】
検査処理部32(画像解析処理部32A、搭載領域判定処理部32B、周辺領域判定処理部32C)、及び判定結果処理部36は、CPUとソフトウェア(プログラム)で実現することもできるし、ハードワイヤード回路で実現することもできる。ソフトウェア(プログラム)は、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録しておいても良いし、LAN(Local Area Network)やインターネット経由でダウンロードしてもよい。
【0043】
次に、基板3に対する電子部品18の搭載において行われる検査方法の一例について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
電子部品18を基板3の搭載領域40に搭載するために、メイン制御装置26は、駆動システム10Dを制御して、供給部4の電子部品18をノズル10で保持し、搬送装置2の基板3まで搬送する。メイン制御装置26は、電子部品18が基板3に搭載される前に、撮像装置14に対して撮像開始の指令信号を送信する。指令信号を受信した撮像装置14は、基板3の搭載領域40に対する電子部品18の搭載前に基板3を撮像して、基板3の搭載領域40及び周辺領域50を含む画像データを取得する(ステップSA1)。以下の説明においては、電子部品18の搭載前に取得された搭載領域40及び周辺領域50の画像データを適宜、搭載前画像データDAa、と称する。
【0045】
本実施形態においては、撮像装置14及び基板3のそれぞれが静止した状態で搭載前画像データDAaが取得される。すなわち、撮像装置14と基板3との相対位置が固定された状態で搭載前画像データDAaが取得される。撮像装置14は、搭載領域40の画像データ及び周辺領域50の画像データを同時に取得する。搭載領域40及び周辺領域50の画像が撮像装置14の撮像素子によって同時に取得されるように、撮像装置14の光学系の視野領域が定められる。撮像装置14の撮像素子は、複数の画素を有し、搭載前画像データDAaが複数の画素ごとに取得される。
【0046】
図8は、搭載前画像データDAaの一例を示す図である。
図8において、搭載領域40には電子部品18が搭載されていない。搭載領域40の外形及び大きさは、電子部品18の外形及び大きさとほぼ等しい。本実施形態において、基板3の表面と平行なXY平面内における搭載領域40の外形は、四角形(長方形)である。なお、搭載領域40の外形は、正方形でもよいし、平行四辺形でもよいし、ひし形でもよい。電子部品18の電極部18Bと接続されるように搭載領域40に半田ペースト16が配置されている。搭載領域40の中心位置17を目標にして電子部品18が搭載される。
【0047】
周辺領域50は、搭載領域40の周辺の領域である。搭載領域40の周囲には、他の搭載領域(周辺搭載領域)40Eが配置される。
図8に示す例では、周辺搭載領域40Eのそれぞれに電子部品18が搭載されている。周辺領域50は、周辺搭載領域40E、周辺搭載領域40Eに搭載された電子部品18、搭載領域40と周辺搭載領域40Eとの間の非搭載領域、及び周辺搭載領域40Eとその周辺搭載領域40Eに隣接する周辺搭載領域40Eとの間の非搭載領域を含む。非搭載領域は、電子部品18が搭載されない領域である。なお、周辺領域50が、搭載領域40と周辺搭載領域40Eとの間の非搭載領域のみを含む概念でもよい。中心位置17に対する放射方向に関して、周辺領域50の寸法は、搭載領域40の寸法よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0048】
撮像装置14により取得された搭載前画像データDAaは、検査装置37に送信される。検査装置37は、搭載前画像データDAaを、画像データ記憶部(搭載前画像データ記憶部)30に記憶する(ステップSA2)。
【0049】
搭載前画像データDAaが取得された後、電子部品18が基板3の搭載領域40に搭載される(ステップSA3)。基板3に電子部品18が搭載され、基板3及び電子部品18から離れるようにノズル10が上昇するとき、メイン制御装置26は、撮像装置14に対して撮像開始の指令信号を送信する。指令信号を受信した撮像装置14は、基板3の搭載領域40に対する電子部品18の搭載後に基板3を撮像して、基板3の搭載領域40及び周辺領域50を含む画像データを取得する(ステップSA4)。以下の説明においては、電子部品18の搭載後に取得された搭載領域40及び周辺領域50の画像データを適宜、搭載後画像データDAb、と称する。
【0050】
本実施形態においては、撮像装置14及び基板3のそれぞれが静止した状態で搭載後画像データDAbが取得される。すなわち、撮像装置14と基板3との相対位置が固定された状態で搭載後画像データDAbが取得される。また、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで、撮像装置14及び基板3の位置は同一であり、撮像装置14と基板3との相対位置が固定された状態で搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれが取得される。撮像装置14は、搭載領域40の画像データ及び周辺領域50の画像データを同時に取得する。搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで、撮像装置14の光学系の視野領域は同一であり、搭載後画像データDAbが撮像素子の複数の画素ごとに取得される。
【0051】
図9は、搭載後画像データDAbの一例を示す図である。
図9において、搭載領域40には電子部品18が搭載されている。上述したように、基板3の搭載領域40に電子部品18が搭載されているとき、基板3の搭載領域40の画像データは、電子部品18の画像データを含む。また、
図9に示す例では、搭載後画像データDAbの取得時における周辺領域50の状態は、搭載前画像データDAaの取得時における周辺領域50の状態と同一である。すなわち、周辺領域50の電子部品18の位置及び数は、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで同一である。
【0052】
撮像装置14により取得された搭載後画像データDAbは、検査装置37に送信される。検査装置37は、搭載後画像データDAbを、画像データ記憶部(搭載後画像データ記憶部)31に記憶する(ステップSA5)。
【0053】
検査処理部32は、搭載前画像データ記憶部30に記憶されている搭載前画像データDAaと、搭載後画像データ記憶部31に記憶されている搭載後画像データDAbとを比較する(ステップSA6)。検査処理部32は、その比較の結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50の少なくとも一方の異常の有無を判定する(ステップSA7)。
【0054】
上述のように、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれは、撮像素子の複数の画素ごとに取得される。本実施形態においては、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの取得において、撮像素子の画素ごとの輝度値が検出される。本実施形態において、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれは、撮像素子の複数の画素ごとの輝度値に関する情報を含む。
【0055】
図10は、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するために出力された画像データである。
図10に示す画像データは、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbそれぞれの画素ごとの輝度値の差分値を使って作成された差分画像データDSである。差分画像データDSとは、搭載前画像データDAaの輝度値から搭載後画像データDAbの輝度値を差分して、その絶対値(正の値)を画像化したものである。
【0056】
本実施形態においては、複数の画素ごとに輝度値の差分値が算出される。搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とにおいて基板3の同一位置を撮像した画素(同一位置からの光が入射した画素)により検出された輝度値の差分値が算出される。
【0057】
図11は、差分画像データDSの作成方法の一例を説明するための模式図である。
図11に示すように、搭載前画像データ記憶部30には搭載前画像データDAaが記憶され、搭載後画像データ記憶部31には搭載後画像データDAbが記憶されている。搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれは、画素px(px1、px2、…、pxn)ごとの輝度値に関する情報を含む。
【0058】
検査処理部32は、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。例えば、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17とが一致するように位置合わせする。そして、検査処理部32は、搭載前画像データDAaの画素pxにおける輝度値maと、その搭載前画像データDAaの画素pxに一致する搭載後画像データDAbの画素pxにおける輝度値mbとの差分値Δmを算出する。例えば、
図11において、搭載前画像データDAaの第1領域を撮像した画素px1における輝度値ma1と、搭載後画像データDAbの第1領域を撮像した画素px1における輝度値mb1との差分値Δm1が算出される。搭載前画像データDAaの第2領域を撮像した画素px2における輝度値ma2と、搭載後画像データDAbの第2領域を撮像した画素px2における輝度値mb2との差分値Δm2が算出される。搭載前画像データDAaの第i領域を撮像した画素pxiにおける輝度値maiと、搭載後画像データDAbの第i領域を撮像した画素pxiにおける輝度値mbiとの差分値Δmiが算出される。以下同様に、全ての画素px(px1、px2、…、pxi、…、pxn)それぞれにおける搭載前画像データDAaの輝度値ma(ma1、ma2、…、mai、…、man)と、搭載後画像データDAbの輝度値mb(mb1、mb2、…、mbi、…、mbn)との差分値Δm(Δm1、Δm2、…、Δmi、…、Δmn)がそれぞれ算出される。
【0059】
このように、本実施形態においては、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの撮像素子の複数の画素pxごとの輝度値maと輝度値mbの差分値Δm(Δm1、Δm2、…、Δmi、…、Δmn)が算出される。
【0060】
なお、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせは、所謂、テンプレートマッチング処理により行われてもよい。例えば、検査処理部32(画像解析処理部32A)は、搭載前画像データDAaをテンプレートとして、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出し、相関値が最も高くなるように搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。検査処理部32は、相関値が最も高い搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの位置を、それら搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する位置と判断する。このとき、位置合わせ精度を高めるために、サブピクセル演算が実施されてもよい。また、演算時間を短縮するために、全ての画素について位置合わせのための演算を行うのではなく、一部の画素について位置合わせのための演算が行われてもよい。
【0061】
検査処理部32は、画素pxごとに求められた差分値Δmをプロットして、差分画像データDSを作成する。作成された差分画像データDSは、差分画像データ記憶部33に記憶される。
【0062】
本実施形態において、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップSA6は、差分値Δmと予め定められた閾値Rとを比較することを含む。差分値Δmと閾値Rとを比較した結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無が判定される。
【0063】
本実施形態において、搭載領域40の異常は、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態の異常を含み、搭載領域40の異常の有無の判定は、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態の異常の有無の判定を含む。搭載領域40の異常は、搭載動作が行われたにもかかわらず搭載領域40に電子部品18が搭載されていない状態、搭載動作が行われていないにもかかわらず搭載領域40に電子部品18が搭載されている状態、搭載領域40の少なくとも一部に電子部品18が搭載されているものの、搭載領域40と電子部品18との位置がずれている状態の少なくとも一つを含む。本実施形態において、周辺領域50の異常は、周辺領域50(周辺搭載領域40E)に搭載された電子部品18の位置がずれた状態、及び周辺領域50(周辺搭載領域40E)に搭載された電子部品18の位置がずれてその電子部品18の少なくとも一部が搭載領域40に配置された状態の少なくとも一つを含む。なお、周辺領域50(周辺搭載領域40E)に搭載された電子部品18の位置がずれてその電子部品18の少なくとも一部が搭載領域40に配置された状態を、搭載領域40の異常とみなしてもよい。
【0064】
本実施形態においては、搭載前画像データDAaの搭載領域40と搭載後画像データDAbの搭載領域40との撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値の合計値と、閾値R40とが比較される。また、本実施形態においては、搭載前画像データDAaの周辺領域50と搭載後画像データDAbの周辺領域50との撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値の合計値と、閾値R50とが比較される。
【0065】
例えば、搭載領域40を撮像した画素がpxa、pxb、…、pxeであり、搭載前画像データDAaの搭載領域40を撮像した複数の画素pxa、pxb、…、pxeそれぞれにおける輝度値がmaa、mab、…、maeであり、搭載後画像データDAbの搭載領域40を撮像した複数の画素pxa、pxb、…、pxeそれぞれにおける輝度値がmba、mbb、…、mbeであり、画素pxa、pxb、…、pxeごとの差分値がΔma、Δmb、…、Δmeである場合、本実施形態においては、Δma+Δmb+Δmc+Δmd+Δmeと、予め定められた閾値R40と、が比較される。なお、説明を簡単にするため、搭載領域40を撮像した画素をpxa、pxb、…、pxeとしたが、実際には搭載領域40を撮像した画素の数は多く、例えば数十個、数百個、或いは数千個である。
【0066】
例えば、周辺領域50を撮像した画素がpxq、pxr、…、pxuであり、搭載前画像データDAaの周辺領域50を撮像した複数の画素pxq、pxr、…、pxuそれぞれにおける輝度値がmaq、mar、…、mauであり、搭載後画像データDAbの周辺領域50を撮像した複数の画素pxq、pxr、…、pxuそれぞれにおける輝度値がmbq、mbr、…、mbuであり、画素pxq、pxr、…、pxuごとの差分値がΔmq、Δmr、…、Δmuである場合、本実施形態においては、Δmq+Δmr+Δms+Δmt+Δmuと、予め定められた閾値R50と、が比較される。なお、説明を簡単にするため、周辺領域50を撮像した画素をpxq、pxr、…、pxuとしたが、実際には周辺領域50を撮像した画素の数は多く、例えば数十個、数百個、或いは数千個である。
【0067】
搭載領域40及び周辺領域50のそれぞれに異常が無い場合、
図10に示すように、搭載領域40における差分値Δmは大きく、周辺領域50における差分値Δmは小さい(零を含む)。すなわち、電子部品18が搭載領域40に正しく搭載される場合、搭載前においては基板3(半田ペースト16)に基づく搭載領域40の輝度値maが検出され、搭載後においては電子部品18に基づく搭載領域40の輝度値mbが検出されるため、搭載前の搭載領域40の輝度値maと、搭載後の搭載領域40の輝度値mbとの差は大きくなる。したがって、差分画像データDSにおいて、搭載領域40の差分値Δmは大きくなる。また、電子部品18が搭載領域40に正しく搭載され、周辺領域50にも異常が生じていない場合、搭載前においては基板3(非搭載領域)及び周辺搭載領域40E(電子部品18)に基づく周辺領域50の輝度値maが検出され、搭載後においても基板3(非搭載領域)及び周辺搭載領域40E(電子部品18)に基づく周辺領域50の輝度値mbが検出されるため、搭載前の周辺領域50の輝度値maと、搭載後の周辺領域50の輝度値mbとの差は小さい。したがって、差分画像データDSにおいて、周辺領域50の差分値Δmは小さい(零を含む)。すなわち、搭載領域40及び周辺領域50のそれぞれに異常が無い場合、搭載領域40における差分値Δmの合計値は、閾値R40よりも大きく、周辺領域50における差分値Δmの合計値は、閾値R50よりも小さい。この場合、搭載領域40及び周辺領域50のそれぞれにおいて、異常は生じていないと判定される。
【0068】
図12は、周辺搭載領域40Eを含むように周辺領域50が定められている場合において、その周辺領域50に異常が生じた例を示す。
図12に示す例では、搭載領域40に電子部品18が正しく搭載されているものの、搭載領域40に関する搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時との間の期間において、周辺搭載領域40Eに搭載された電子部品18の位置が周辺搭載領域40Eからずれてしまった例を示す。例えば、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時との間の期間において、基板3に外力が作用したり、基板3が振動したり、周辺搭載領域40Eの電子部品18に搭載領域40に搭載される電子部品18が接触したりした場合、周辺搭載領域40Eに搭載された電子部品18の位置がずれてしまう可能性がある。
【0069】
図13は、
図12に示した例の差分画像データDSを示す。
図13に示すように、搭載領域40に対する電子部品18の搭載前と搭載後とにおいて、周辺領域50の輝度値が変化し、差分画像データDSにおいて、周辺領域50の一部の差分値が大きくなる。すなわち、
図12及び
図13に示す例では、搭載領域40における差分値Δmの合計値は、閾値R40よりも大きく、周辺領域50における差分値Δmの合計値も、閾値R50よりも大きい。この場合、搭載領域40に電子部品18が正しく搭載されて搭載領域40においては異常が生じていないものの、周辺領域50において異常(周辺搭載領域40Eと電子部品18との位置ずれ)が生じたと判定される。
【0070】
図14は、周辺領域50及び搭載領域40に異常が生じた例を示す。
図14に示す例では、搭載領域40には電子部品18が未だ搭載されてなく、搭載領域40に関する搭載前画像データDAaの取得前において、周辺搭載領域40Eに搭載された電子部品18の位置が周辺搭載領域40Eからずれてその電子部品18の少なくとも一部が搭載領域40に配置されてしまった例を示す。また、
図14に示す例は、搭載領域40に対する電子部品18の搭載動作(ノズル10の駆動など)が行われたにもかかわらず、何らかの原因で電子部品18が搭載されなかった例を示す。この場合においても、搭載領域40に対する電子部品18の搭載動作が行われる前と、電子部品18の搭載動作が行われた後とのそれぞれにおいて、搭載領域40及び周辺領域50の画像データが取得される。
【0071】
図15は、
図14に示した例の差分画像データDSを示す。
図15に示すように、搭載領域40に対する電子部品18の搭載動作の前と搭載動作の後とにおいて、周辺領域50の輝度値が変化し、差分画像データDSにおいて、周辺領域50の一部の差分値が大きくなる。一方、搭載領域40に対する電子部品18の搭載動作の前と搭載動作の後とにおいて、搭載領域40の輝度値はあまり変化せず、差分画像データDSにおいて、搭載領域40の差分値は小さい。すなわち、
図14及び
図15に示す例では、搭載領域40における差分値Δmの合計値は、閾値R40よりも小さく、周辺領域50における差分値Δmの合計値は、閾値R50よりも大きい。この場合、搭載領域40において異常(電子部品18の非搭載)が生じたと判定されるとともに、周辺領域50において異常(他の搭載領域40Eと電子部品18との位置ずれ)が生じたと判定される。
【0072】
また、図面を参照しての説明は省略するが、搭載領域40における差分値Δmの合計値が、閾値R40よりも小さく、周辺領域50における差分値Δmの合計値が、閾値R50よりも小さい場合が生じる。この場合、搭載領域40において異常(電子部品18の非搭載)が生じたと判定されるとともに、周辺領域50においては異常が生じていないと判定される。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbを取得するようにしたので、搭載領域40の異常の有無、及び周辺領域50の異常の有無を判定することができる。上述したように、搭載前後における搭載領域40の輝度値の差分値(差分値の合計値)が予め定められた閾値R40よりも大きい場合、電子部品18が搭載領域40に正しく搭載され、搭載領域40においては異常が生じていないと判定できる。搭載前後における搭載領域40の輝度値の差分値が予め定められた閾値R40よりも小さい場合、電子部品18が搭載領域40に搭載されず、搭載領域40においては異常が生じていると判定できる。また、搭載前後における周辺領域50の輝度値の差分値が予め定められた閾値R50よりも小さい場合、周辺領域50において電子部品18の位置ずれなどの異常が生じていないと判定できる。搭載前後における周辺領域50の輝度値の差分値が予め定められた閾値R50よりも大きい場合、周辺領域50において電子部品18の位置ずれなどの異常が生じたと判定できる。
【0074】
例えば、搭載領域40の輝度値の差分値(輝度値の変化量)を算出し、周辺領域50の輝度値の差分値(輝度値の変化量)を算出しない場合、何らかの原因で搭載領域40に電子部品18が搭載されず、かつ、周辺搭載領域40Eに搭載されるべき電子部品18が位置ずれなどにより搭載領域40に配置されてしまうと、正しい電子部品18が搭載領域40に搭載されていないにもかかわらず、電子部品18が搭載されたと誤判定(誤検査)されてしまう可能性がある。特に、隣接する搭載領域40と周辺搭載領域40Eとの間隔が小さい場合(所謂、狭ピッチの場合)、上述のような誤判定が発生する可能性が高くなる。本実施形態によれば、搭載領域40の輝度値の差分値のみならず、周辺領域50の輝度値の差分値も算出するようにしたので、その算出結果に基づいて、上述のような誤判定の発生が抑制される。
【0075】
また、本実施形態によれば、周辺領域50の状態を撮像装置14で検出するようにしたので、周辺領域50の周辺搭載領域40Eに搭載された電子部品18の異常(位置ずれなど)を検出することができる。
【0076】
このように、本実施形態によれば、電子部品18の搭載(実装)の段階で、異常が生じたか否かを判定することができる。したがって、異常が生じた基板3についての各種の処理が継続されてしまうといった不具合の発生が抑制されるため、歩留まりの低下、及び生産性の低下が抑制される。
【0077】
なお、本実施形態においては、搭載領域40の異常の有無の判定において、搭載領域40からの光が入射した複数の画素それぞれの輝度値の差分値の合計値を算出した。搭載前後の搭載領域40を撮像した複数の画素それぞれの輝度値の差分値の平均値に基づいて、搭載領域40の異常の有無の判定が行われてもよい。同様に、搭載前後の周辺領域50を撮像した複数の画素それぞれの輝度値の差分値の平均値に基づいて、周辺領域50の異常の有無の判定が行われてもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0078】
なお、本実施形態においては、搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定において、画素ごとの輝度値の差分値を求めることとした。複数の画像を含む微小領域を複数定め、その微小領域ごとの輝度値の差分値を求めることとしてもよい。換言すれば、輝度値(差分値)を求める単位は、画素でもよいし、複数の画素を含む微小領域でもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0079】
なお、本実施形態において、輝度値の差分値が、複数の画素(微小領域)ごとの輝度値の差分値の合計値を含む概念でもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0080】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0081】
図16は、本実施形態に係る基板3に電子部品18を実装する方法の一例を示すフローチャートである。
【0082】
上述の実施形態と同様、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとのそれぞれが取得される。検査処理部32は、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする(ステップSB1)。上述の実施形態で説明したように、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを位置合わせする処理は、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17とを一致させる処理でもよいし、所謂、テンプレートマッチング処理を含む処理でもよい。
【0083】
上述のように、本実施形態においては、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで、撮像装置14及び基板3の位置は同一であり、撮像装置14と基板3との相対位置が固定された状態で搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれが取得される。また、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで、撮像装置14の光学系の視野領域は同一である。しかしながら基板3に対する電子部品18の搭載により基板3に力が加わったり、基板3が振動したりする可能性がある。その場合、既知の画像処理アルゴリズムであるテンプレートマッチング処理により、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせ処理が実施されてもよい。
【0084】
次に、検査処理部32は、上述の実施形態に従って、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbに基づいて、差分画像データDSを作成する(ステップSB2)。作成された差分画像データDSは、差分画像データ記憶部33に記憶される。
【0085】
次に、検査処理部32は、差分画像データDSのノイズを除去する処理を行う(ステップSB3)。例えば、基板3(電子部品18)のコントラストが高い部分を撮像素子で撮像した場合、そのコントラストが高い部分についての画像データはノイズ成分を多く含む可能性がある。なお、コントラストが高い部分として、例えば電子部品18と基板3との境界部や、基板3に設けられているパターンや文字のエッジ部などが挙げられる。そのため、検査処理部32は、例えば、複数の画素のそれぞれが検出した輝度値のうち、予め定められた所定範囲外の輝度値を検出した画素からのデータを除外して、差分画像データDSを作成する。なお、ノイズを除去する処理として、既存の画像処理アルゴリズムである侵食処理又は膨張処理が使用されてもよい。
【0086】
次に、本実施形態において、検査処理部32は、搭載前の搭載領域40の画像データと、搭載後の搭載領域40の画像データとの撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値を算出する(ステップSB4)。すなわち、搭載前画像データDAaの搭載領域40と搭載後画像データDAbの搭載領域40との撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値の合計値が算出される。なお、検査処理部32は、画素ごとの輝度値の差分値の合計値を算出するかわりに、画素ごとの輝度値を二乗するなどの強調処理を行った後、その強調処理後の値の差分値の合計値を算出してもよい。これにより、差分値が強調される。差分値の合計値が算出された後、その差分値の合計値と、閾値R40とが比較される。
【0087】
次に、検査処理部32は、搭載領域40及び周辺領域50の両方の異常の有無を判定するか、又は搭載領域40の異常の有無を判定して周辺領域50の異常の有無は判定しないか、を選択する(ステップSB5)。周辺領域50の異常の有無の判定をするか否かの選択は、搭載前の周辺領域50の画像データと、搭載後の周辺領域50の画像データとの撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値(差分値の合計値)を算出するか否かの選択を含む。
【0088】
例えば、搭載領域40と周辺搭載領域40Eとの間隔(周辺搭載領域40Eとその周辺搭載領域40Eに隣接する周辺搭載領域40Eとの間隔)が大きい場合(狭ピッチでない場合)、上述したような誤判定が発生する可能性は低くなると考えられる。そのような場合、搭載領域40の異常の有無を判定して周辺領域50の異常の有無は判定しないことにより、処理時間(演算時間)が短縮される。一方、狭ピッチの場合、上述したような誤判定が発生する可能性が高くなると考えられる。そのような場合、搭載領域40及び周辺領域50の両方の異常の有無を判定することにより、誤判定の発生が抑制される。
【0089】
本実施形態においては、搭載領域40と周辺搭載領域40Eとの間隔(周辺搭載領域40Eとその周辺搭載領域40Eに隣接する周辺搭載領域40Eとの間隔)に関する情報(狭ピッチであるか否かに関する情報)は、例えば設計値情報のような既知情報である。検査処理部32は、その既知情報に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50の両方の異常の有無を判定するか、又は搭載領域40の異常の有無を判定して周辺領域50の異常の有無は判定しないか、を選択する。
【0090】
ステップSB5において、搭載領域40及び周辺領域50の両方の異常の有無を判定すると選択された場合(ステップSB5:Yes)、検査処理部32は、搭載前の周辺領域50の画像データと、搭載後の周辺領域50の画像データとの撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値を算出する(ステップSB6)。すなわち、搭載前画像データDAaの周辺領域50と搭載後画像データDAbの周辺領域50との撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値の合計値が算出される。なお、検査処理部32は、画素ごとの輝度値の差分値の合計値を算出するかわりに、画素ごとの輝度値を二乗するなどの強調処理を行った後、その強調処理後の値の差分値の合計値を算出してもよい。これにより、差分値が強調される。差分値の合計値が算出された後、その差分値の合計値と、閾値R50とが比較される。
【0091】
検査処理部32は、周辺領域50における差分値の合計値と閾値R50とを比較し、その比較の結果に基づいて、周辺領域50の異常の有無を判定する(ステップSB7)。上述の実施形態と同様、周辺領域50における差分値の合計値が閾値R50よりも小さい場合、周辺領域50には異常が生じていないと判定され、周辺領域50における差分値の合計値が閾値R50よりも大きい場合、周辺領域50には異常が生じていると判定される。
【0092】
ステップSB7において、周辺領域50における差分値の合計値が閾値R50よりも大きい(周辺領域50には異常が生じている)と判定された場合(ステップSB7:Yes)、エラー処理が実行される(ステップSB8)。エラー処理は、周辺領域50に異常が生じている旨の情報をメイン制御装置26に伝達する処理、及び表示装置や報知装置を使って周辺領域50に異常が生じている旨を作業者に伝達する処理を含む。表示装置は、異常が生じている旨の情報を画面表示により伝達可能であり、報知装置は、異常が生じている旨の情報を音や光を使って伝達可能である。メイン制御装置26は、検査処理部32から周辺領域50に異常が生じている旨の情報を受信した場合、電子部品18の搭載動作を中止する。
【0093】
ステップSB5において、搭載領域40の異常の有無を判定して周辺領域50の異常の有無は判定しないと選択された場合(ステップSB5:No)、又は、ステップSB7において、周辺領域50における差分値の合計値が閾値R50よりも小さい(周辺領域50には異常が生じていない)と判定された場合(ステップSB7:No)、検査処理部32は、搭載領域40における差分値の合計値と閾値R40とを比較し、その比較の結果に基づいて、搭載領域40の異常の有無を判定する(ステップSB9)。上述の実施形態と同様、搭載領域40における差分値の合計値が閾値R40よりも大きい場合(ステップSB9:Yes)、搭載領域40には異常が生じていない(搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は正常である)と判定される(ステップSB10)。一方、搭載領域40における差分値の合計値が閾値R40よりも小さい場合(ステップSB9:No)、搭載領域40には異常が生じている(搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は異常である)と判定される(ステップSB11)。搭載領域40に異常が生じていると判定された場合、搭載領域40に異常が生じている旨の情報をメイン制御装置26に伝達する処理、及び表示装置や報知装置を使って搭載領域40に異常が生じている旨を作業者に伝達する処理が行われてもよい。メイン制御装置26は、検査処理部32から搭載領域40に異常が生じている旨の情報を受信した場合、電子部品18の搭載動作を中止する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態においては、隣接する搭載領域40の間隔(ピッチ)に関する情報に基づいて、周辺領域50の異常の有無を判定する処理を行うか否かが選択される。隣接する搭載領域40の間隔が小さい場合、搭載領域40及び周辺領域50の両方の異常の有無を判定することで、誤判定(誤検査)の発生が抑制される。隣接する搭載領域40の間隔が大きい場合、周辺領域50の異常の有無を判定せず、搭載領域40の異常の有無のみを判定することで、処理時間(演算時間)を短縮することができる。
【0095】
上述の実施形態においては、ステップSB7において、周辺領域50における輝度値の差分値と、予め定められている閾値R50とを比較することとしたが、ステップSB6で算出された差分値に関する情報に基づいて、閾値R50が更新されてもよい。すなわち、第1の基板3について、周辺領域50に異常が生じていない状況において撮像装置14により検出された差分値(複数の差分値の合計値)を、次の第2の基板3の周辺領域50の異常の有無を判定するときの閾値として使用してもよい。また、周辺領域50に異常が生じていない状況において撮像装置14により検出された差分値(複数の差分値の合計値)を複数蓄積して、N数の差分値が得られたときに標準偏差を求め、その標準偏差の値を、周辺領域50の異常の有無を判定するときの閾値として使用してもよい。
【0096】
同様に、上述の実施形態においては、ステップSB9において、搭載領域40における輝度値の差分値と、予め定められている閾値R40とを比較することとしたが、ステップSB4で算出された差分値に関する情報に基づいて、閾値R40が更新されてもよい。すなわち、第1の基板3について、搭載領域40に異常が生じていない状況において撮像装置14により検出された差分値(複数の差分値の合計値)を、次の第2の基板3の搭載領域40の異常の有無を判定するときの閾値として使用してもよい。また、搭載領域40に異常が生じていない状況において撮像装置14により検出された差分値(複数の差分値の合計値)を複数蓄積して、N数の差分値が得られたときに標準偏差を求め、その標準偏差の値を、搭載領域40の異常の有無を判定するときの閾値として使用してもよい。
【0097】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0098】
図17は、本実施形態に係る搭載前画像データDAaの一例を示す図である。
図18は、本実施形態に係る搭載後画像データDAbの一例を示す図である。
図17は、
図8の変形例であり、搭載前画像データDAaがノズル10の画像を含む例である。
図18は、
図9の変形例であり、搭載後画像データDAbがノズル10の画像を含む例である。
【0099】
搭載前画像データDAaは、ノズル10により電子部品18が基板3に搭載される直前に取得される。搭載後画像データDAbは、ノズル10により電子部品18が基板3に搭載された直後に取得される。例えば、搭載動作においてノズル10が高速で移動した場合、
図17に示すように、搭載前画像データDAaの取得において、ノズル10が撮像装置14に撮像される可能性がある。
図18に示すように、搭載後画像データDAbの取得において、ノズル10が撮像装置14に撮像される可能性がある。
図17は、電子部品18を基板3に搭載するために高速で下降するノズル10が、搭載前画像データDAaに含まれた例を示す。
図18は、基板3に電子部品18を搭載した後、上昇するノズル10が、搭載後画像データDAbに含まれた例を示す。
【0100】
搭載前画像データDAaに含まれるノズル10の画像、及び搭載後画像データDAbに含まれるノズル10の画像は、ノイズ成分として機能する可能性が高い。そのため、ノズル10が含まれる搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbを使って相関値を算出した場合、搭載領域40及び周辺領域50の少なくとも一方の異常の有無を精確に判定できなくなる可能性がある。
【0101】
本実施形態においては、ノズル10が搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbに含まれる場合、
図19に示すテンプレート画像データのように、検査処理部32は、ノズル影響範囲42を除去する(マスクする)。ノズル影響範囲42は、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbにおいて、ノズル10が配置される可能性が高い範囲(写り込んでしまう可能性が高い範囲)である。ノズル影響範囲42は、ノズル10の移動条件(移動速度及び移動経路)又は実験などに基づいて事前に取得することができる既知情報である。
【0102】
検査処理部32は、ノズル影響範囲42をマスク領域に設定し、そのノズル影響範囲42を除去した後、そのノズル影響範囲42が除去された搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを、テンプレートマッチング処理により位置合わせする。検査処理部32は、搭載前画像データDAaをテンプレートとして、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出し、相関値が最も高くなるように搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。すなわち、検査処理部32は、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれからノズル10を含む一部のデータ(ノズル影響範囲42に含まれるデータ)を除去し、その一部のデータを除去した後、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較して相関値を算出する。検査処理部32は、相関値が最も高い搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの位置を、それら搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する位置と判断する。
【0103】
位置合わせが行われた後、上述の実施形態に従って、画素pxそれぞれにおける搭載前画像データDAaの輝度値maと、搭載後画像データDAbの輝度値mbとの差分値Δmが算出され、差分値Δmと閾値Rとが比較され、その比較した結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無が判定される。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、ノズル影響範囲42が相関値の演算に含まれないように、ノズル10を含む一部のデータの除去処理(マスク処理)を行うようにしたので、搭載領域40及び周辺領域50の少なくとも一方の異常の有無を精確に判定することができる。
【0105】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0106】
上述の実施形態と同様、本実施形態においても、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbのそれぞれは、撮像素子の複数の画素ごとに取得される。搭載前画像データDAaの取得時及び搭載後画像データDAbの取得時のそれぞれにおいて、基板3の同一位置を撮像した画素(同一位置からの光が入射した画素)ごとに輝度値が検出される。また、それら複数の画素ごとに輝度値の差分値が算出される。
【0107】
上述の実施形態と同様、検査処理部32は、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17とが一致するように位置合わせした後、搭載前画像データDAaの画素pxにおける輝度値maと、その搭載前画像データDAaの画素pxに一致する搭載後画像データDAbの画素pxにおける輝度値mbとの差分値Δmを算出する。
【0108】
検査処理部32は、全ての画素px(px1、px2、…、pxi、…、pxn)それぞれにおける搭載前画像データDAaの輝度値ma(ma1、ma2、…、mai、…、man)と、搭載後画像データDAbの輝度値mb(mb1、mb2、…、mbi、…、mbn)との差分値Δm(Δm1、Δm2、…、Δmi、…、Δmn)を算出する。差分値Δmが算出された後、差分値Δmと予め定められた閾値Rとが比較され、その比較した結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無が判定される。
【0109】
搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するときの位置合わせの精度が不十分である場合、極小チップ部品のような搭載領域40が小さい電子部品18についての差分値Δmに基づく搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定の精度は、搭載領域40が大きい電子部品18についての差分値Δmに基づく搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定の精度に比べて、低下する可能性が高い。
【0110】
上述のように、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの比較において、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17との位置合わせの精度が十分である場合、例えば、搭載前画像データDAaについての画素px1における輝度値ma1と、搭載後画像データDAbについての画素px1における輝度値mb1との差分値が算出される。すなわち、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとにおいて、同一の画素px1の輝度値(ma1、mb1)の差分値が算出される。
【0111】
搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの比較において、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17との位置合わせの精度が不十分である場合、画素px1における輝度値ma1と輝度値mb1との差分値が算出されず、例えば、搭載前画像データDAaについての画素px1における輝度値ma1と、搭載後画像データDAbについての画素px2における輝度値mb2との差分値が算出される可能性がある。すなわち、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとにおいて、異なる画素(px1、px2)の輝度値(ma1、mb2)の差分値が算出される。
【0112】
搭載領域40が小さい電子部品18の画像データを取得するために使用される画素pxの数は、搭載領域40が大きい電子部品18の画像データを取得するために使用される画素pxの数よりも少ない。搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するときの位置合わせが十分に行われず、搭載前画像データDAaと搭載後画素データDAbとを比較するときに、異なる画素の輝度値の差分値が算出された場合、搭載領域40が小さい電子部品18についての搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定の精度は、搭載領域40が大きい電子部品18についての搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定の精度よりも低い可能性がある。
【0113】
すなわち、搭載領域40が小さい電子部品18について、搭載前画像データDAaの画素pxと搭載後画像データDAbの画素pxが1つの画素分だけずれたとしても、算出される差分値Δmの変動量は大きい。つまり、搭載領域40が小さい電子部品18は、搭載領域40が大きい電子部品18に比べて、安定した差分値(評価値)を得ることが困難となる可能性が高い。
【0114】
本実施形態においては、
図20に示すように、検査処理部32は、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップ(
図7のステップSA6参照)において、搭載領域40を含む第1ウィンドウ(演算処理対象領域)において、テンプレートマッチング処理により搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを位置合わせする工程(ステップSC1)と、ステップSC1の後、搭載領域40を含む第2ウィンドウ(演算処理対象領域)において、テンプレートマッチング処理により搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを位置合わせする工程(ステップSC2)と、を実行する。
【0115】
第1ウィンドウは、搭載領域40(電子部品18)を含む大きい領域である。第2ウィンドウは、搭載領域40を含み、第1ウィンドウよりも小さい領域である。第2ウィンドウの画素数は、第1ウィンドウの画素数よりも少ない。ステップSC1において、検査処理部32は、第1ウィンドウにおいて、搭載前画像データDAaをテンプレートとして、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出し、相関値が最も高くなるように搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。検査処理部32は、相関値が最も高い搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの位置を、それら搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する位置と判断する。
【0116】
ステップSC1の後、検査処理部32は、第1ウィンドウよりも小さい第2ウィンドウにおいて、搭載前画像データDAaをテンプレートとして、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出し、相関値が最も高くなるように搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。検査処理部32は、相関値が最も高い搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの位置を、それら搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する位置と判断する。
【0117】
2段階のテンプレートマッチング処理により搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせが行われた後、上述の実施形態に従って、画素pxそれぞれにおける搭載前画像データDAaの輝度値maと、搭載後画像データDAbの輝度値mbとの差分値Δmが算出され、差分値Δmと閾値Rとが比較され、その比較した結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無が判定される。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によれば、異なるウィンドウ(演算処理対象領域)に基づいて2段階でマッチング処理を行うことにより、搭載領域40が小さい電子部品18についての搭載領域40及び周辺領域50の異常の有無の判定の精度の低下が抑制される。
【0119】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0120】
上述の実施形態においては、テンプレートマッチング処理が、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせに使用される例について説明した。本実施形態においては、テンプレートマッチング処理により算出された搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値に基づいて、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態の異常の有無を判定する例について説明する。
【0121】
例えば、
図7を参照して説明したように、搭載前画像データDAaが取得され(ステップSA1)、搭載前画像データDAaが記憶され(ステップSA2)、電子部品18が基板3に搭載され(ステップSA3)、搭載後画像データDAbが取得され(ステップSA4)、搭載後画像データDAbが記憶される(ステップSA5)。ステップSA5の後、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが比較される(ステップSA6)。
【0122】
図21は、本実施形態に係る搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップの一例を示すフローチャートである。
図21に示す処理は、
図7のステップSA6のサブルーチンに相当する。
【0123】
図21に示すように、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップは、テンプレートマッチング処理により搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出するステップ(ステップSD1)と、ステップSD1において算出された相関値が第2閾値以上のとき、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は異常であると判定するステップ(ステップSD3)と、ステップSD1において算出された相関値が第1閾値以下のとき、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は正常であると判定するステップ(ステップSD5)と、を含む。
【0124】
搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとのテンプレートマッチング処理が行われ、相関値が算出される(ステップSD1)。例えば、検査処理部32は、搭載前画像データDAaをテンプレートとして、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの相関値を算出し、相関値が最も高くなるように搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの位置合わせをする。検査処理部32は、相関値が最も高い搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの位置を、それら搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する位置と判断する。
【0125】
相関値が高い場合、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとは一致する可能性が高い。相関値が低い場合、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとは一致しない可能性が高い。搭載領域40に電子部品18が搭載されない場合、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとは一致するため、相関値は高い。搭載領域40に電子部品18が搭載された場合、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとは一致しないため、相関値は低い。
【0126】
相関値が算出された後、その相関値は第2閾値以上か否かが判断される(ステップSD2)。ステップSD2において、相関値が第2閾値以上であると判断された場合(Yesの場合)、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は異常であると判断される(ステップSD3)。
【0127】
ステップSD2において、相関値が第2閾値よりも小さいと判断された場合(Noの場合)、相関値は第1閾値以下か否かが判断される(ステップSD4)。第2閾値は、第1閾値よりも大きい値である。
【0128】
ステップSD4において、相関値が第1閾値以下であると判断された場合(Yesの場合)、搭載領域40に対する電子部品18の搭載状態は正常であると判断される(ステップSD5)。
【0129】
ステップSD4において、相関値が第1閾値よりも大きいと判断された場合(Noの場合)、すなわち、ステップSD1で算出された相関値が第1閾値よりも大きく第2閾値よりも小さいと判断された場合、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップが終了する。その後、
図7に示したステップSA7の処理が実行される。
【0130】
上述したように、
図7に示したステップSA7の処理は、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの撮像素子の画素pxごとの輝度値maと輝度値mbの差分値Δmを算出するステップと、差分値Δmと予め定められた閾値R40及び閾値R50とを比較するステップと、その比較の結果に基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無を判定するステップと、を含む。
【0131】
図22は、第1閾値と、第2閾値と、相関値と、処理の内容との関係を模式的に示す図である。
図22に示すように、第2閾値は、第1閾値よりも大きい。搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致する場合、相関値は高い。搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとが一致しない場合、相関値は低い。そのため、電子部品18が搭載領域40に搭載されなかった場合、相関値は高くなる。電子部品18が搭載領域40に搭載された場合、相関値は低くなる。したがって、ステップSD2において、相関値が第2閾値以上であると判断された場合、搭載状態は異常である(電子部品18は搭載領域40に搭載されていない)と判断することができる。また、ステップSD4において、相関値が第1閾値以下であると判断された場合、搭載状態は正常である(電子部品18は搭載領域40に搭載されている)と判断することができる。
【0132】
一方、相関値が第1閾値よりも大きく第2閾値よりも小さいと判断された場合、テンプレートマッチング処理の結果である相関値を使って搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無を判定することはできない、と判断される。その場合、上述の実施形態で説明したように、画素pxごとの輝度値maと輝度値mbの差分値Δmが算出され、差分値Δmに基づいて、搭載領域40及び周辺領域50それぞれの異常の有無が判定される。
【0133】
以上説明したように、本実施形態によれば、演算に要する時間が短くて済むテンプレートマッチング処理を使って相関値を求め、その相関値が非常に大きい場合(第2閾値以上である場合)、搭載状態は異常であると判断し、その相関値が非常に小さい場合(第1閾値以下である場合)、搭載状態は正常であると判断するようにしたので、搭載状態の異常の有無を短時間で判定することができる。また、相関値が中間値である場合(第1閾値よりも大きく第2閾値よりも小さい場合)、相関値に基づく搭載状態の異常の有無の判定を行わずに、差分値Δmを算出し、その差分値Δmを使って搭載状態の異常の有無を判定するようにしたので、判定を精確に行うことができる。このように、本実施形態によれば、相関値が非常に大きい場合及び小さい場合と、相関値が中間値である場合とで、搭載状態の異常の有無を異なる方法で判定するようにしたので、判定精度の低下を抑制しつつ、判定に要する時間を短くすることができる。
【0134】
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0135】
図23は、本実施形態に係る基板3の一例を示す図である。
図23に示すように、ライン、図形、マーク、パターン、及び文字が基板3に設けられる場合がある。それらライン、図形、マーク、パターン、及び文字は、一般に、シルク43と呼ばれる。基板3の色と、シルク43の色とは異なる。本実施形態において、基板3(下地)は黒色であり、シルク43は白色である。なお、基板3は、黒色のみならず、例えば緑色又は白色である場合もある。シルク43は、白色のみならず、例えば黄色又は黒色である場合もある。
【0136】
例えば、基板3が黒色であり、シルク43が白色である場合、基板3とシルク43とのコントラストが大きくなる可能性がある。その結果、画像データがノイズを含む可能性が高くなる。
【0137】
図16を参照して説明したように、検査処理部32は、差分画像データDSのノイズを除去する処理を行う(ステップSB3)。
図16を参照して説明したように、電子部品18と基板3との境界部など、基板3(電子部品18)のコントラストが高い部分を撮像素子で撮像した場合、そのコントラストが高い部分についての画像データはノイズ成分を多く含む可能性がある。そのため、検査処理部32は、撮像素子の複数の画素のそれぞれが検出した輝度値を取得し、その複数の画素のそれぞれが検出した輝度値のうち、予め定められた閾値以上の輝度値を検出した画素からのデータを除外して、差分画像データDSを作成する。差分画像データDSの作成は、そのデータを除外した後、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとの撮像素子の画素ごとの輝度値の差分値を算出するステップを含む。
【0138】
シルク43と基板3(下地)との境界部のコントラストは、例えば電子部品18と基板3との境界部のコントラストに比べて大きい。そのため、シルク43と基板3との境界部についての画像データは、非常に高いノイズ成分を含む可能性がある。すなわち、シルク43が存在する場合としない場合とで、発生するノイズレベルが変化する。
【0139】
本実施形態においては、シルク43が存在する場合、検査処理部32は、複数の画素のそれぞれが検出した輝度値のうち、予め定められた閾値以上の輝度値を検出した画素からのデータを除外して、差分画像データDSを作成する。シルク43と基板3との境界部の輝度値に関する閾値は、例えば、電子部品18と基板3との境界部の輝度値に関する閾値よりも大きい。このように、検査処理部32は、シルク43の有無に応じて変化するノイズレベルを考慮して、そのノイズをカットするための閾値を変化させる。
【0140】
例えば、
図23に示すように、搭載領域40にシルク43(シルク印刷のハンダ)が存在する場合、検査処理部32は、搭載前画像データDAaに基づいて、搭載領域40におけるシルク43の有無を判定する。検査処理部32は、搭載前画像データDAaの搭載領域40の輝度値を取得し、高い輝度値の画素数の割合が高いと判断した場合、搭載領域40にシルク43が存在すると判定することができる。検査処理部32は、搭載領域40にシルク43が存在すると判断した場合、ノイズをカットするための閾値を大きくする。
【0141】
以上説明したように、本実施形態によれば、ノイズを発生させやすいシルク43が存在する場合、ノイズをカットするための閾値を変化(増大)するようにしたので、ノイズをカットすることができる。
【0142】
なお、ノイズをカットするための閾値を増大させる処理は、シルク43が存在する場合のみならず、基板3に配置される高い輝度値を有する構造体について適用可能である。
【0143】
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0144】
上述の実施形態と同様、検査処理部32は、搭載前画像データDAaと、搭載後画像データDAbとの撮像素子の画素pxごとの輝度値maと輝度値mbとの差分値Δmを算出する。
【0145】
図24に示すように、基板3の半田ペースト16の表面の一部の領域45で反射した光の進行方向が、例えば基板3の撓み及び傾きに起因して変化する可能性がある。領域45で反射した光の進行方向が変化すると、その光が撮像装置14の撮像素子に高い輝度値(強度)で入射したり、撮像素子に低い輝度値で入射したり、撮像素子に入射しなかったりする可能性がある。そのため、撮像装置14は、基板3の同一位置(同一部位)を撮像しているにもかかわらず、搭載前画像データDAaの取得時と搭載後画像データDAbの取得時とで、撮像素子に入射する光の輝度値が変化する可能性がある。その結果、例えば、搭載領域40に電子部品18が搭載されていないにもかかわらず(搭載状態が異常であるにもかかわらず)、検査処理部32は、搭載領域40に電子部品18が搭載された(搭載状態が正常である)と誤判断してしまう可能性がある。
【0146】
そこで、本実施形態においては、輝度値の上限値が設定され、その上限値に基づいて、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbが補正される。
【0147】
図25は、輝度値の上限値を説明するための図である。
図25に示すグラフにおいて、横軸は、撮像装置14の検出結果から導出された搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの輝度値を示す。縦軸は、補正後の搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの輝度値を示す。
【0148】
図25に示す例において、輝度値の上限値は、約180に定められている。
図25に示す例において、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbの輝度値190及び輝度値230のような輝度値は全て、輝度値180に補正される。
【0149】
このように、本実施形態においては、輝度値の上限値が設けられ、輝度値が上限値以上のとき、その輝度値が上限値に補正される。これにより、搭載状態の異常の有無に関する誤判断の発生を抑制することができる。
【0150】
なお、基板3の同一部位についての搭載前画像データDAaの取得と搭載後画像データDAbの取得とにおいて、撮像素子に入射する光の輝度値の変化に起因する搭載状態の異常の有無に関する誤判断の発生を抑制するために、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbそれぞれの画素pxごとの輝度値の差分値Δm(差分画像データDS)が一定値を超えたとき、その差分値Δmを2で割った値を、搭載前画像データDAaの輝度値に加算して、補正後の搭載後画像データDAbの輝度値を求めてもよい。
【0151】
図26は、差分値Δmを2で割る処理を説明するための模式図である。
図26に示すグラフにおいて、横軸は、差分画像データDSの輝度値を示す。縦軸は、補正後の搭載後画像データDAbの輝度値を示す。
【0152】
1つの画素の輝度の差分値が一定値を超えた場合、基板3に対する電子部品18の搭載前と搭載後とにおいて、撮像素子に入射する光の輝度値に急激な変化があったとみなすことができる。
【0153】
本実施形態においては、差分値が一定値よりも大きくなった場合、その差分値(差分値を算出するための搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAb)は除去されず、その差分値の1/2の値が算出される。その差分値の1/2の値が、搭載前画像データDAaの輝度値に加算される。これにより、補正後の搭載後画像データDAbの輝度値が導出される。
【0154】
上述のように、上限値は、例えば180に設定される。一定値は、例えば120に設定される。1つの画素の輝度値の差分値が120を超えた場合、搭載前と搭載後とにおいて、輝度値に急激な変化があったとみなすことができる。その画素の輝度値の重みを低くする効果として、差分値の1/2の値が加算される。
【0155】
なお、基板3の同一部位についての搭載前画像データDAaの取得と搭載後画像データDAbの取得とにおいて、撮像素子に入射する光の輝度値の変化に起因する搭載状態の異常の有無に関する誤判断の発生を抑制するために、上述したような、輝度値が上限値以上のときにその輝度値を上限値に補正する処理と、搭載前画像データDAa及び搭載後画像データDAbそれぞれの画素pxごとの輝度値の差分値Δm(差分画像データDS)が一定値を超えたときにその差分値Δmを2で割ってその割った値を加算する処理と、を組み合わせてもよい。
【0156】
<第8実施形態>
第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0157】
搭載動作において、搬送装置2の基板保持部に保持された基板3が変形する可能性がある。例えば、基板保持部に保持された状態で、基板3の上面が上方に突出するように、基板3が撓み変形(上反り変形)する可能性がある。
【0158】
なお、基板3の下面は、基板保持部で保持されているため、基板3の下面が下方に突出するように基板3が撓み変形(下反り変形)する可能性は低い。
【0159】
図27は、撮像装置14と基板3との関係の一例を示す図である。
図27において、基板3は変形していない。基板3の上面は平坦である。
図27に示すように、本実施形態において、撮像装置14は、基板3の上面よりも上方に配置される。撮像装置14は、基板3の上面の法線に対して傾斜する方向から基板3の上面を撮像する。撮像装置14のウィンドウの中心と、搭載領域40の中心位置17とが一致するように、撮像装置14と基板3を保持した基板保持部との位置関係が調整される。
【0160】
図28は、撮像装置14と基板3との関係の一例を示す図である。
図28において、基板3は、上反り変形している。撮像装置14のウィンドウの中心と搭載領域40の中心位置17とが一致するように、撮像装置14と基板3を保持した基板保持部との位置関係が調整されたとしても、
図28に示すように、基板3の上反り変形により、撮像装置14のウィンドウの中心と搭載領域40の中心位置17とがずれる可能性がある。
【0161】
なお、本実施形態において、ウィンドウの中心と搭載領域40の中心位置17とがずれるとは、基板3の上面と平行な面内(本実施形態においては水平面内)における位置関係が変化することをいう。本実施形態においては、基板3の上反り変形により、水平面内における撮像装置14のウィンドウの中心と搭載領域40の中心位置17とがずれる可能性がある。
【0162】
図29は、撮像装置14によって撮像された搭載領域40の一例を示す図である。基板3が変形していない状態において、ウィンドウに搭載領域40が配置される。
図29において、基板3が変形していないときの搭載領域40を点線で示す。
【0163】
基板3が上反り変形した場合、搭載領域40は、ウィンドウの中心からある方向にずれる。
図29にいて、基板3が上反り変形したときの搭載領域40を実線で示す。
【0164】
本実施形態においては、
図29に示すように、そのずれ量を考慮して、ウィンドウ(演算処理対象領域)が設定される。すなわち、基板3の上反り変形に起因する搭載領域40のずれ量を考慮して、搭載領域40がずれたとしても、搭載領域40がウィンドウに配置され続けるように、ウィンドウが設定される。
【0165】
なお、水平面内における基板3のずれ量(シフト量)は、基板3の上反り変形量から幾何学的に算出することができる。
【0166】
基板3の上反り変形に起因して、水平面内における搭載領域40の位置がずれる場合、その搭載領域40の少なくとも一部が撮像装置14のウィンドウの外側に出てしまう可能性がある。ウィンドウの大きさを大きくすることによって、搭載領域40の位置がずれても、搭載領域40がウィンドウの外側に出てしまうことを防止することができる。しかし、上述の実施形態で説明したように、ウィンドウを大きくすると、画像データにノイズ成分が多く含まれる可能性がある。
【0167】
本実施形態においては、ウィンドウの大きさを変えずに、搭載領域40のずれ量を考慮して、ウィンドウが設定される。すなわち、基板3が変形しない状態と、基板3が上反り変形した状態との両方で、搭載領域40がウィンドウに配置され続けるように、ウィンドウが設定される。
【0168】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板保持部に保持された基板3が撓み変形(上反り変形)した状態と変形しない状態のそれぞれにおいて、演算処理対象領域である撮像素子のウィンドウに搭載領域40が配置され続けるように、ウィンドウが設定される。そのため、ノイズが画像データに含まれることを抑制できる。
【0169】
<第9実施形態>
第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0170】
上述の実施形態と同様、搭載前画像データDAaと搭載後画像データDAbとを比較するステップ(
図7のステップSA6参照)が行われる。その比較するステップにおいて、上述の実施形態と同様、検査処理部32は、搭載前画像データDAaの中心位置17と搭載後画像データDAbの中心位置17とが一致するように位置合わせする。そして、検査処理部32は、搭載前画像データDAaの画素pxにおける輝度値maと、その搭載前画像データDAaの画素pxに一致する搭載後画像データDAbの画素pxにおける輝度値mbとの差分値Δmを算出する。
【0171】
図30は、本実施形態に係る搭載前画像データDAaの一例を示す図である。
図31は、本実施形態に係る差分画像データDSの一例を示す図である。
【0172】
図30に示すように、搭載前画像データDAaにおいて、搭載領域40が、実際には正しい搭載領域からずれてしまった状態で、上述の差分値Δmが算出されてしまう可能性がある。その場合、そのずれてしまった領域において、差分値が小さくなる。その結果、搭載状態は、正常であるにもかかわらず、異常と判断(誤判断)されてしまう可能性がある。
【0173】
そのような誤判断を防止するため、差分値Δmに偏りがある場合には、閾値R40を小さくしてもよい。例えば、
図30及び
図31に示すように、図中、搭載領域40の上側に電子部品18が搭載されると、搭載領域40の上半分の領域(上半分領域)44において、差分値Δmが大きくなる。そのため、全体の搭載領域40に対して差分値Δmが大きい上半分領域44の割合が高いと判断された場合、実際の搭載領域が画像データにおける搭載領域40からずれていると判断される。搭載領域40の異常の有無の判断は、閾値R40を半分にした新たな閾値に基づいて行われる。