特開2015-80396(P2015-80396A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-80396改善したI字型負荷構造のサージ保護器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-80396(P2015-80396A)
(43)【公開日】2015年4月23日
(54)【発明の名称】改善したI字型負荷構造のサージ保護器
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20150327BHJP
【FI】
   H02H9/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-235206(P2013-235206)
(22)【出願日】2013年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0122456
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513286236
【氏名又は名称】サージ ラボ コリア 株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513286247
【氏名又は名称】キム ソン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン ホ
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013AA05
5G013BA02
5G013CB05
5G013DA12
(57)【要約】
【課題】I字型負荷の端部と接地間に強誘電体を充填して誘電率に比例する負荷延長效果を提供することによって、I字型負荷の長さを著しく短縮させることができるI字型負荷構造のサージ保護器を提供する。
【解決手段】本発明による改善したI字型負荷構造のサージ保護器は、両側部に入出力端子が具備された外部導体と、外部から高周波信号が入力される入力端子と、高周波信号が出力される出力端子と、入出力端子を電気的に連結させるためにハウジング内部に設置された内部導体と、外部導体の中央で下端が内部導体に接続され、上端が外部導体に接続されるI字型負荷と、を含み、I字型負荷の下端から上端方向に一定の高さまで誘電体隔壁が形成されたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側部に入出力端子が具備された外部導体と、
外部から高周波信号が入力される入力端子と、
前記高周波信号が出力される出力端子と、
前記入出力端子を電気的に連結させるためにハウジング内部に設置された内部導体と、
前記外部導体の中央で下端が前記内部導体に接続され、上端が前記外部導体に接続されるI字型負荷と、を含み、
前記I字型負荷の下端から上端方向に一定の高さまで誘電体隔壁が形成されたことを特徴とする改善したI字型負荷構造のサージ保護器。
【請求項2】
前記誘電体隔壁の高さが高いほど前記I字型負荷の長さが減少されることを特徴とする請求項1に記載の改善したI字型負荷構造のサージ保護器。
【請求項3】
前記誘電体隔壁の高さは、誘電体隔壁が高くなっても前記I字型負荷の長さが短縮されない飽和地点の高さにまで形成されたことを特徴とする請求項2に記載の改善したI字型負荷構造のサージ保護器。
【請求項4】
前記内部導体のまわりには第1誘電率を持つ第1誘電体が充填され、前記第1誘電体と前記I字型負荷の上端との間に第1誘電率より高い第2誘電率を持つ第2誘電体が充填されたことを特徴とする請求項1に記載の改善したI字型負荷構造のサージ保護器。
【請求項5】
導電体として、前記外部導体と結合される第1結合部と、前記第1結合部と前記I字型負荷との間に結合され、前記I字型負荷との結合深みが調節可能になるように前記I字型負荷と結合される第2結合部が形成された周波数特性補償部がさらに含まれたことを特徴とする請求項1に記載の改善したI字型負荷構造のサージ保護器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善したI字型負荷構造のサージ保護器に係り、より詳しくは、同軸ケーブル用サージ保護器の内部導体に繋がれてサージ周波数信号を接地された外部導体を通じて放電させるI字型短絡負荷の長さを著しく減少させることができる改善したI字型負荷構造のサージ保護器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、平衡線路は、二つの線路の特性インピーダンスが同じで雷サージ(lightning surge)に暴露しても二つの線路に誘起されるエネルギーが同じで線路間に作用する雷サージの被害は大きくなく、線路と大地間に作用する雷サージ電圧が問題となる。
しかし、同軸ケーブルのような不平型線路は、平衡線路と違って内部導体と外部導体間の特性インピーダンスが違って雷サージに暴露すれば、二つの線路に誘起されるエネルギーが違って線路の間に作用する雷サージ被害が相対的に大きい。
これによって、雷サージによる過電圧を制限し、サージ電流を放電させるためのサージ保護器(SPD:Surge Protective Device)が利用されている(例えば、引用文献1,2参照)。
【0003】
RF理論で、特定周波数成分を遮断するためのフィルターとしてL字型共振フィルターが知られている。図1図2に開放型及び短絡型のL字型共振フィルターの概略図をそれぞれ示した。
L字型共振フィルターは、主線路100と、主線路100と一定の距離離隔し、垂直線路111と水平線路112がL字型形で繋がれた構造を持つL字型負荷110とで成り立ったフィルターとして、図1は、L字型負荷110の垂直線路111の端部が開放された形態として垂直線路111と水平線路112がそれぞれ1/2λの長さに形成される。 もう一方、図2は、L字型負荷110の垂直線路111の端部が短絡された形態として垂直線路111は1/4λの長さに形成され、水平線路112は1/2λの長さに形成される。
【0004】
このようなL字型共振フィルターは一種の帯域阻止フィルターとして、フィルタリングしようとする周波数に共振を起こすことができる長さでL字型負荷110の長さを形成して標的とする周波数信号を減殺させることができる。
このようなL字型共振フィルターは、一般的な強さの信号ではフィルターとしての性能が優秀なことが知られている。
サージも特定周波数成分で成り立っているので、サージ保護器としてL字型共振フィルターの適用が検討されているが、サージは大きいエネルギーを持つため共振だけでは十分な減殺ができない。特に、理論と異なり、20KHz〜20MHzのサージ周波数をフィルタリングすることができないという問題がある。
【0005】
サージの中心周波数が1MHzと仮定した場合、このようなサージ中心周波数に共振するためには、λ = c/f = 3×108 /106 = 300mとなって、L字型負荷110の垂直線路111が1/4λの長さを持つ場合であっても75mとなり、長さが非常に長くて実際の具現化に困るという問題が発生する。
このため、L字型共振フィルターの垂直線路111に相当するI字型負荷を使用して、特定の周波数帯域の信号のみを通過させる帯域通過フィルターの特性を持つサージ保護器が提案された。
【0006】
図3には従来のI字型負荷構造のサージ保護器の一例の断面斜視図を示した。図3に示したとおり、従来のI字型負荷を利用したサージ保護器は、ハウジング105の両側に形成されて同軸ケーブルや装備などと接続する入力端子101及び出力端子102と、両側の入力端子101と出力端子102を電気的に連結する主線路103と、ハウジングの中央に接続されるI字型負荷104とで構成される。I字型負荷104の周りは空洞となっている。
従来のI字型負荷を利用したサージ保護器は、使用する周波数に共振して特定の周波数だけ通過させ、残り周波数帯域の信号は減殺する特性を持つ。
仮に、使用する周波数帯域が100MHzであり、I字型負荷104の長さがλである場合、λ = c/f = 3×108 /108 = 3m となってL字型共振フィルターに比べて負荷の長さの短くなるが、実際のサージ保護器の適用するにはその長さが相変らず長いという問題がある。
【0007】
I字型負荷104の長さを縮めるために、1/4波長で1波長效果、1/8波長で1/2の波長效果を持つ特性を利用してI字型負荷104の長さを短くすることができる。
I字型負荷104が1/4λの長さを持つ場合は75cmであり、1/8λの長さを持つ場合は37.5cmであり、1/16λの長さを持つ場合は18.75cmとしてその長さを短縮させることができる。
しかし、短い波長を利用してI字型負荷104を具現化する場合、挿入損失が発生するという問題がある。
従来、挿入損失を減少させながらI字型負荷104の突出した高さを縮めるためにI字型負荷104をコイル形状にすることで対応しているが、I字型負荷104の突出した高さを十分な長さにまで短縮させるには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録実用新案第20−0441342号公報
【特許文献2】特開平06−014454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、I字型負荷の端部と接地間に強誘電体を充填して誘電率に比例する負荷延長效果を提供することによって、I字型負荷の長さを著しく短縮させることができるI字型負荷構造のサージ保護器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的のためになされた本発明の改善したI字型負荷構造のサージ保護器は、両側部に入出力端子が具備された外部導体と、外部から高周波信号が入力される入力端子と、高周波信号が出力される出力端子と、入出力端子を電気的に連結させるためにハウジング内部に設置された内部導体と、外部導体の中央で下端が内部導体に接続され、上端が外部導体に接続されるI字型負荷と、を含み、I字型負荷の下端から上端方向に一定の高さまで誘電体隔壁が形成されたことを特徴とする。
【0011】
ここで、誘電体隔壁の高さが高いほどI字型負荷の長さが減少される。
誘電体隔壁の高さは、誘電体隔壁が高くなってもI字型負荷の長さが短縮されない飽和地点の高さにまで形成されたことが好ましい。
【0012】
内部導体のまわりには第1誘電率を持つ第1誘電体が充填され、第1誘電体とI字型負荷の上端との間に第1誘電率より高い第2誘電率を持つ第2誘電体が充填されたことが好ましい。
導電体として、外部導体と結合される第1結合部と、第1結合部とI字型負荷との間に結合され、I字型負荷との結合深みが調節可能にI字型負荷と結合される第2結合部が形成された周波数特性補償部がさらに含まれたことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非常に短い長さの短絡負荷として、挿入損失がほとんどないサージ阻止性能が高いサージ保護器を具現化することができることから、サージ保護器のコンパクト化を実現することができる。
また、短絡負荷の長さを微細に調節することによって、共振周波数特性を償うことができる。
さらに、短絡負荷の長さ調節を通じて多くの周波数帯域の高周波信号の全てに適用可能であることから、サージ保護器を兼ねるPCI(Pulse Current Injection)保護器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】L字型共振フィルター(開放型)の概略図である。
図2】L字型共振フィルター(短絡型)の概略図である。
図3】従来のI字型負荷構造のサージ保護器の一例を示す断面斜視図である。
図4】本発明の第1実施例による改善したI字型負荷構造のサージ保護器の構造を示した断面図である。
図5】誘電体高さとI字型負荷の長さとの関係を示したグラフである。
図6】本発明の第2実施例による改善したI字型負荷構造のサージ保護器の構造を示した断面図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
図4は本発明の第1実施例による改善したI字型負荷構造のサージ保護器の構造を示した断面図であり、図5は誘電体高さとI字型負荷の長さとの関係を示したグラフである。
【0016】
図4に示したとおり、第1実施例による改善したI字型負荷構造のサージ保護器10は、両側部に入出力端子が具備された外部導体14と、外部導体14の一側に設けられた外部から高周波信号が入力される入力端子11と、外部導体14の他側に設けられた高周波信号が出力される出力端子12と、入出力端子を電気的に連結させるために外部導体14内部に設置された内部導体13と、外部導体14の中央でその下端が内部導体13に接続され、その上端が外部導体14に接続されるI字型負荷15とを含んで構成される。
内部導体13のまわりには第1誘電率を持つ第1誘電体16が充填されており、第1誘電体16の上部にはI字型負荷15のまわりに第2誘電体が充填された誘電体隔壁17が形成される。
【0017】
誘電体隔壁17は、I字型負荷15の下端から上端方向に一定の高さにまで形成される。
本出願人は多数の実験結果によって誘電体隔壁17の高さが高くなるほどI字型負荷15の延長效果をもたらすということを実証した。これは誘電体隔壁17を高く形成するほどI字型負荷15の長さを短くできることを意味した。
すなわち、例えば、I字型負荷15の長さを1/4波長の長さで形成する場合、挿入損失がほとんどないまま、1波長の效果を得ることができる。
【0018】
しかし、誘電体高さとI字型負荷15の長さとの関係を図示した図5のグラフから分かるとおり、誘電体隔壁17の高さを増加させてもI字型負荷15の延長效果が増加しない飽和地点が存在する。よって、飽和地点にあたる高さ(H)の誘電体隔壁17を形成し、これに対応する長さでI字型負荷15の長さ(L)を形成すれば、最適の效果を得ることができる。
図5のグラフにおいて、飽和地点にあたる高さ(H)とI字型負荷15の長さ(L)は誘電体隔壁17の誘電率によって変化する。誘電体隔壁17の誘電率が高くなるほどグラフが下方に移動する。すなわち、誘電体隔壁17の誘電率が高いほど飽和地点の誘電体隔壁17の高さ(H)に対応するI字型負荷15の長さ(L)が短くなるので、非常に短いI字型負荷15の長さでもサージ周波数遮断性能が優秀なサージ保護器10を具現化することができる。
【0019】
実験の結果から、第1誘電体と第2誘電体との誘電率を等しく2.2とし、飽和地点にあたる高さ(H)の誘電体隔壁17を形成した場合、1/4波長の長さを持つI字型負荷15で挿入損失がほとんどない1波長の效果を得ることができた。
また、図5のグラフ特性を利用して第2誘電体の誘電率を第1誘電体の誘電率より大きい誘電体を使った場合、非常に短い長さのI字型負荷15でも優秀な性能のサージ保護器10を具現化することができた。
【0020】
図6は本発明の第2実施例による改善したI字型負荷構造のサージ保護器10の構造を示した断面図である。
第1実施例と同様、誘電体隔壁17によってI字型負荷15の延長效果をもたらすことができるが、誘電体隔壁17を形成してもI字型負荷15の長さが短くなれば、共振特性が鈍くなって帯域幅が広くなる。
そこで、第2実施例では、鈍くなった周波数特性を償うための周波数特性補償部20をさらに追加した。
周波数特性補償部20は、導電体で形成され、外部導体14と結合される第1結合部21と、第1結合部21とI字型負荷15間に結合されてI字型負荷15の長さを延長させる第2結合部22とを含む。
【0021】
第2実施例で、外部導体14とI字型負荷15には、第1結合部21と第2結合部22と結合するための結合手段が形成された。以下では結合手段としてねじの螺合によるねじ結合手段を例に説明する。
第1結合部21は、全体的に下部が開放されたキャップ形状に形成され、内周面にめねじ21aが形成され、外部導体14の中央突出部の外周面に形成されたおねじ14aとねじ結合する。
第2結合部22は、第1結合部21の底面中心から下部に突出形成され、その外周面におねじ22aが形成され、I字型負荷15の内周面に形成されためねじ15aとねじ結合する。
これによって、第1結合部21を回転させる方向によって第2結合部22とI字型負荷15との結合位置が調節されてI字型負荷15の高さが変化する。すなわち、第2結合部22とI字型負荷15との結合深みを微細に調節することによって、鈍くなった共振特性を償うことができる。
【0022】
また、周波数特性補償部20の結合深さの調節により共振周波数を変化させることが可能であり、望む周波数帯域によって周波数特性補償部20の結合深みを調節することによって、多くの周波数帯域信号に対するサージ保護器10の使用が可能となる長所がある。
上記では、結合深さ調節手段としてねじ結合を例示的に説明したが、その外に多様な方式の結合深さ調節手段を使用することができる。
【0023】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記請求範囲により解釈され、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈される。
【符号の説明】
【0024】
10 サージ保護器
11,101 入力端子
12,102 出力端子
13 内部導体
14 外部導体
14a,22a おねじ
15,104 I字型負荷
15a,21a めねじ
16 第1誘電体
17 誘電体隔壁
20 周波数特性補償部
21 第1結合部
22 第2結合部
100,103 主線路
105 ハウジング
110 L字型負荷
111 垂直線路
112 水平線路
H (飽和地点にあたる)高さ
L (飽和地点にあたるI字型負荷の)長さ
λ 長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6