特開2015-80441(P2015-80441A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-80441(P2015-80441A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】シュー用乳化油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/16 20060101AFI20150331BHJP
   A21D 2/26 20060101ALI20150331BHJP
   A21D 13/08 20060101ALI20150331BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20150331BHJP
【FI】
   A21D2/16
   A21D2/26
   A21D13/08
   A23D7/00 506
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-219460(P2013-219460)
(22)【出願日】2013年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】本山 貴康
【テーマコード(参考)】
4B026
4B032
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG02
4B026DG03
4B026DG04
4B026DH01
4B026DH02
4B026DH03
4B026DH05
4B026DK01
4B026DK05
4B026DL04
4B026DX05
4B032DB20
4B032DE01
4B032DK10
4B032DK18
4B032DK21
4B032DK26
4B032DL06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボリュームや形状が良好で、食感・風味に優れたシュー皮が得ることができる乳化油脂組成物を提供する。
【解決手段】緑豆蛋白質を含有するシュー用乳化油脂組成物、緑豆蛋白質をシュー用乳化油脂組成物の重量に対して1〜10重量%含有し、さらに、カゼインナトリウムを含有し、緑豆蛋白質とカゼインナトリウムの配合比率として、緑豆蛋白質の配合比率が20重量%以上であるシュー用乳化油脂組成物を使用することで、ボリュームや形状が良く、従来の蛋白質を使用したときよりも食感、風味に優れるシュー皮を得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑豆蛋白質を含有することを特徴とするシュー用乳化油脂組成物。
【請求項2】
緑豆蛋白質をシュー用乳化油脂組成物の重量に対して1〜10重量%含有する、請求項1記載のシュー用乳化油脂組成物。
【請求項3】
緑豆蛋白質が分離緑豆蛋白質である、請求項1又は2記載のシュー用乳化油脂組成物。
【請求項4】
さらに、カゼインナトリウムを含有し、緑豆蛋白質とカゼインナトリウムの配合比率として、緑豆蛋白質の配合比率が20重量%以上である、請求項1〜3何れか1項に記載のシュー用乳化油脂組成物。
【請求項5】
請求項1記載のシュー用油脂組成物を含有するシュー皮。
【請求項6】
緑豆蛋白質をシュー皮の重量に対して0.2〜2.2重量%含有する、請求項5記載のシュー皮。
【請求項7】
緑豆蛋白質を添加することを特徴とする、シュー皮の製造方法。
【請求項8】
緑豆蛋白質を乳化油脂組成物として添加する、請求項7記載のシュー皮の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュークリーム類の外皮部分であるシュー皮を製造するときに使用する油脂組成物及びシュー皮に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシュー用油脂組成物では、シュー皮の良好なボリュームや形状を保つために、食品添加物である合成のカゼインナトリウムが一般的に配合されている。しかし、シュー皮の食感が硬く、口どけは悪く、また、カゼイン特有の風味がシュー皮の風味を損ねるという欠点があった。
【0003】
これを解決するために種々検討がなされ、特許文献1には、ホエー蛋白質:カゼイン蛋白質の重量比率が4:6〜5:5である乳蛋白質を固形分換算で0.5〜4.5重量%含有することを特徴とするシュー用乳化油脂組成物が記載されている。同様に、特許文献2には、シュー用乳化油脂組成物中に乳酸発酵およびプロテアーゼ処理した乳蛋白質を含有することが記載されている。しかし、これら乳蛋白質を含有してもカゼイン蛋白質の比率が低くなるためシュー皮のボリュームはカゼインNaと比較して小さくなる。
【0004】
特許文献3には乳化油脂組成物中にカラギーナン、ジェランガム、HMペクチン、アルギン酸から選ばれる少なくとも1種の増粘多糖類を含有することを特徴とするシュー皮用乳化油脂組成物が記載されている。しかし、増粘多糖類特有の風味によりシュー皮の風味を損ねる問題がある。
【0005】
特許文献4には、グロブリンおよび/またはアルブミンをグロブリンとアルブミンの合計量で50重量%以上含む植物性タンパク質を全組成物に対して0.3〜3重量%、カゼインナトリウムを全組成物に対して3〜7重量%となるように水相部に添加したシュー皮用油脂組成物の記載がある。しかし、植物性タンパク質に緑豆蛋白質は記載されておらず、また、植物性タンパク質に記載のある大豆蛋白質では大豆特有の風味がしシュー皮の風味を損ねる等の問題がある。
【0006】
このように、従来技術ではシュー皮のボリューム、形状、食感、風味とも満足できる品質のものは得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−224308号公報
【特許文献2】特開2007−185177号公報
【特許文献3】特開2006−191873号公報
【特許文献4】特開平6−22680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ボリュームや形状が良好で、食感・風味に優れたシュー皮を得ることができる乳化油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、緑豆蛋白質を含有するシュー用乳化油脂組成物を使用することで、ボリュームや形状が良く、従来の蛋白質を使用したときよりも食感、風味に優れるシュー皮を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は
(1)緑豆蛋白質を含有することを特徴とするシュー用乳化油脂組成物、
(2)緑豆蛋白質をシュー用乳化油脂組成物の重量に対して1〜10重量%含有する、(1)記載のシュー用乳化油脂組成物、
(3)緑豆蛋白質が分離緑豆蛋白質である、(1)又は(2)記載のシュー用乳化油脂組成物、
(4)さらに、カゼインナトリウムを含有し、緑豆蛋白質とカゼインナトリウムの配合比率として、緑豆蛋白質の配合比率が20重量%以上である、(1)〜(3)何れか1つに記載のシュー用乳化油脂組成物、
(5)(1)記載のシュー用油脂組成物を含有するシュー皮、
(6)緑豆蛋白質をシュー皮の重量に対して0.2〜2.2重量%含有する、(5)記載のシュー皮、
(7)緑豆蛋白質を添加することを特徴とする、シュー皮の製造方法、
(8)緑豆蛋白質を乳化油脂組成物として添加する、(7)記載のシュー皮の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の緑豆蛋白質を含有するシュー用乳化油脂組成物を用いれば、ボリュームや形状が良好で、従来の蛋白質を使用した場合よりも食感、風味に優れたシュー皮を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(シュー用乳化油脂組成物)
本発明のシュー用乳化油脂組成物は、緑豆蛋白質を含有することを特徴とする。緑豆蛋白質の含有量は、シュー用乳化油脂組成物の重量に対して、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1.5〜8重量%である。緑豆蛋白質の含有量が1重量%未満であるとシュー皮のボリューム、形状の改善効果が得られない場合がある。また、10重量%を超えると粘度の上昇で作業性が悪くなる等製造上支障をきたす場合がある。
また、本発明のシュー用乳化油脂組成物には、油脂、乳化剤、リン酸塩、食塩、糖類、着色料、酸化防止剤等を添加することができる。
【0013】
(緑豆蛋白質)
本発明で使用する緑豆蛋白質は緑豆豆乳、脱澱粉緑豆豆乳、分離緑豆蛋白質等を用いることができ、これらをそのまま利用しても良く、これらを乾燥したものを利用してもよく、これらを殺菌後に乾燥したものを利用してもよい。緑豆豆乳及び脱澱粉緑豆豆乳は、丸緑豆又は脱澱粉緑豆から得ることができる。分離緑豆蛋白質は緑豆豆乳から得ることができる。この中でも、生地配合や焼成ラインに合わせて細かく蛋白質濃度を調整できる点で分離緑豆蛋白質を使用することが好ましい。
【0014】
(油脂)
本発明のシュー用乳化油脂組成物に使用される油脂としては、特に限定されず、食用として供される、菜種油、大豆油、綿実油、米油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂等の各種植物油脂、牛脂、豚脂、魚油等の動物油脂、乳脂または、これらの分別、硬化あるいはエステル交換した油脂等が挙げられ、これらの油脂を単独で用いることもでき、または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0015】
本発明のシュー用乳化油脂組成物の調製法は、以下に示すような、一般的な方法を採用することができる。
まず、油相および水相をそれぞれ準備する。
油相とは、設定された配合において、油脂を融解して混合し、さらに油脂に溶解する成分、例えば油溶性乳化剤を油脂に溶解された状態としたものである。これは、油脂の融点に依存し、概ね55〜75℃である。
【0016】
水相は、水へ水溶性成分を溶解したものであり、緑豆蛋白質等の水溶性成分を溶解する。水相粘度が高くなる場合には予め油相に分散させておき、水相を添加混合し作成することもできる。また、蛋白質として緑豆蛋白質の他、カゼインナトリウムも併用することができる。併用する場合の緑豆蛋白質とカゼインナトリウムの配合比率は、緑豆蛋白質の配合比率が20重量%以上であり、50重量%以上であることが好ましい。緑豆蛋白質の配合比率が20重量%未満であるとシュー皮を食べた際の風味、食感面での改善効果が得られない場合がある。
【0017】
油相を攪拌しながら水相を添加し、油中水型に乳化した調合液を得る。更に、必要により油相、水相へ添加しなかった原料は、油相と水相を混合した後の調合液の段階で添加することもできる。
【0018】
調合液はポンプにより送液し、適宜殺菌装置等を通過させた後、油脂組成物の製造装置へ供される。当該製造装置へ供される直前の段階で、調合液は40〜80℃であることが必要であり、より望ましくは50〜70℃であり、さらに望ましくは55〜65℃である。油脂組成物の製造装置へ供される直前の調合液の温度が低すぎる場合は、その段階で油脂結晶が発生し、最終製品に粒状結晶が存在することがある。また、温度が高すぎる場合は、乳化油脂組成物の製造装置において余分の冷却エネルギーが必要となる場合がある。
【0019】
シュー用乳化油脂組成物の製造装置としては、冷却機能を有する各種のものを使用することができる。具体的には、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の掻き取り式急冷混和機を備えた装置を挙げることができる。調合液をこれら油中水型乳化油脂組成物製造装置へ通すことで、容易にシュー用乳化油脂組成物を得ることができる。得られたシュー用乳化油脂組成物は適宜包装容器へ充填し、必要によりテンパリング等の加熱処理を行った後、冷蔵ないし、冷凍保管される。
【0020】
(シュー皮)
本発明のシュー皮は、本発明のシュー用乳化油脂組成物に由来する緑豆タンパク質を含有することを特徴とする。シュー皮中の緑豆蛋白質の含有量はシュー皮の重量に対して、好ましくは0.2〜2.2重量%、より好ましくは0.3〜1.6重量%となるように配合される。シュー皮中の緑豆蛋白質の含有量が0.2重量%未満であると、シュー皮の形状や食感改善効果が得られない場合がある。また、原料の乳化油脂組成物の製造時の作業性が悪くなる観点から、2.2重量%を超えて配合することが困難な場合がある。
本発明のシュー皮は、緑豆蛋白質を添加することにより製造することができる。緑豆蛋白質を添加する方法は限定されないが、緑豆蛋白質を乳化油脂組成物として添加する方法が生地中に容易に分散することができる点で好ましい。
本発明のシュー皮の製造方法を以下に説明する。
シュー皮の生地の配合は、一般的なものを採用することができる。たとえば、シュー用乳化油脂組成物、薄力粉、強力粉、全卵、炭酸アンモニウム等である。
製造方法の一例は、以下の通りである。
1、ボウルに本発明のシュー用乳化油脂組成物、水等を混合し、沸騰するまで加熱し融解する。
2、これに、事前にふるいを通した薄力粉、強力粉を入れ、ヘラでなめらかになるまで混ぜ合わせる。
3、混ぜながら全卵を徐々に加える。途中、膨張剤(炭酸アンモニウム等)を加えた少量の全卵を加える。更に全卵を加えて硬さを調整し、シュー皮生地を作成する。こうして得られたシュー皮生地を天板に絞り、窯にて焼成してシュー皮を製造する。
【0021】
本発明の緑豆蛋白質を含有するシュー用乳化油脂組成物を用いて製造したシュー皮はボリューム、形状が良好な上、従来用いられてきたカゼインナトリウムや大豆蛋白質を使用する場合よりも、風味が良好で、歯切れや口溶け等の食感も良好であり優れた品質のものである。
【0022】
以下、実施例により本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、%及び部はいずれも重量基準を意味する。
【0023】
(製造例)分離緑豆蛋白質の調製
緑豆をコロイドミル(特殊機化工業株式会社製)を用いて粉砕を行い、pHを8.5に調整後、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で撹拌しながら50℃、30分間抽出を行い、3,000×gで遠心分離して澱粉を除き、脱澱粉緑豆豆乳を得た。これを塩酸でpH4.5に調整して等電点沈殿させ、遠心分離して沈殿物を酸沈カードとして得た。酸沈カードに4倍量の水を加えて水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、分離緑豆蛋白質を含有する溶液を得た。得られた溶液を120℃でそれぞれ10秒間、連続式直接加熱方式殺菌機(アルファ・ラバル株式会社製)で加熱を行い、スプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、分離緑豆蛋白質Aを得た。
【0024】
(実施例1〜6、比較例1〜5)
(シュー用乳化油脂組成物の調製)
表1の配合にてシュー用乳化油脂組成物を下記の手順で調製した。
油脂と乳化剤を60℃で加熱溶解した後、水に蛋白質、食塩、クエン酸ナトリウムを溶解したものを加え、調合液を得た。調合液をコンビネーターにかけ、シュー用乳化油脂組成物を得た。
【0025】
(シュー皮の調製)
シュー皮の配合は、シュー用乳化油脂組成物を130部、水140部、薄力粉80部、強力粉20部、全卵220部、炭酸アンモニウム1.0部、重曹0.5部とし、以下の手順で調製した。
1、ミキサーボウルにシュー用乳化油脂組成物、水を混合し、沸騰するまで加熱し融解する。
2、沸騰したら、事前にふるいを通した薄力粉、強力粉を入れ、ヘラでなめらかになるまで混ぜ合わせる。ミキサーにて中速1〜2分ミキシングする。
3、全卵をほぐし、その90%を3〜4回に分けて加える。高速で2〜3分ミキシングする。途中、炭酸アンモニウム、重曹を残りの全卵の一部に溶いて加える。更に全卵を加えて、高速で2〜3分ミキシングする。こうして得られたシュー皮生地を天板に30gずつ絞り、窯にて210℃で焼成しシュー皮を得た。
【0026】
出来たシュー皮は一度箱に取り、翌日に高さ、幅を測定した。形状、風味、食感の評価はパネラー5名にて行った。優れている状態を5点、不良な状態を0点で評価し、その平均値を示す。全項目で3点以上であれば総合評価で優れている(○)とし、特に全項目で4点以上であれば非常に優れている(◎)と評価した。また、3点未満が1項目あればやや不良(△)、2項目以上であれば不良(×)と評価した。評価基準は次の通りである。
○形状:外観は高さがあり丸く、内相は巣がなく綺麗な空洞ができている状態を優れているとした。高さがなく潰れた状態、横に生地が流れて三角形状態、内相に巣ができ空洞ができていない状態を不良とした。
○風味:異味異臭を全く感じないものを優れているとした。異味異臭を感じるものを不良とした。
○食感:歯切れ、口どけが良いものを優れているとした。歯切れ、口どけが悪いものを不良とした。
また、高さが5.5cm以上のものはボリュームがあり、良好と判断した。
【0027】
(表1) シュー用乳化油脂組成物の配合
(*1)油脂:パーム油分別油と菜種硬化油をエステル交換した融点46℃の油脂8.9%、パーム分別油とパーム核油をエステル交換した融点32℃の油脂45.5%、 菜種油21%を使用した。
(*2)分離大豆蛋白質:不二製油製「フジプロRJ」を使用した。
(*3)乳化剤:理研ビタミン製「エマルジ―MS」0.4%およびレシチン0.1%を使用した。
【0028】
(表2) 評価結果
【0029】
上記の結果の通り、比較例1、4は形状が不良であった。比較例2は形状、風味は良いものの食感が良くなかった。比較例5は風味、食感が不良であった。比較例3は形状、風味、食感ともに不良であった。一方、緑豆蛋白質を単独で使用した実施例1〜4、緑豆蛋白質とカゼインナトリウムを併用した実施例5〜6はボリューム、形状、風味、食感が優れたものであった。また、緑豆蛋白質とカゼインナトリウムを併用した場合であっても、比較例5のように緑豆蛋白質の比率が低い場合、食感が良くなかった。
緑豆蛋白質を使用することにより、従来のカゼインナトリウムや大豆蛋白質を使用したものよりも風味、食感等が良好なものが得られた。
【0030】
(実施例7、比較例6〜7)
表3の配合にて、実施例1と同様にしてシュー用乳化油脂組成物を調製した。
【0031】
シュー皮の配合は、実施例1〜6、比較例1〜5より卵の配合量を増やした。一般的に、卵の配合量を増やすことによりシュー皮の風味、食感は良くなるが、生地が柔らかくなり過ぎボリューム、形状が不良となる。卵の配合量を増やした場合の各蛋白質の効果について比較した。
シュー皮の配合は、シュー用乳化油脂組成物を130部、水140部、薄力粉80部、強力粉20部、全卵248部、炭酸アンモニウム1.0部、重曹0.5部とし、実施例1と同様にしてシュー皮を得た。
【0032】
出来たシュー皮は一度箱に取り、翌日に高さ、幅を測定した。形状、風味、食感の評価は実施例1と同様に行った。
【0033】
(表3) シュー用乳化油脂組成物の配合
(*1)油脂:パーム油分別油と菜種硬化油をエステル交換した融点46℃の油脂8.9%、パーム分別油とパーム核油をエステル交換した融点32℃の油脂45.5%、 菜種油21%を使用した。
(*2)乳化剤:理研ビタミン製「エマルジ―MS」0.4%およびレシチン0.1%を使用した。
【0034】
(表4) 評価結果
【0035】
上記の結果の通り、比較例6は卵量を上げた配合により、若干風味が良くなるものの、形状、食感が不良であった。また、蛋白質を配合していない比較例7も伸びが悪く、形状、食感が不良であった。一方、実施例7は風味が比較例6〜7よりもさらに良好な上、形状、食感も著しく改善され良好であった。