(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-80470(P2015-80470A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】冷菓製造装置
(51)【国際特許分類】
A23G 9/04 20060101AFI20150331BHJP
【FI】
A23G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-221373(P2013-221373)
(22)【出願日】2013年10月24日
(71)【出願人】
【識別番号】508231256
【氏名又は名称】株式会社西研デバイズ
(71)【出願人】
【識別番号】513267903
【氏名又は名称】株式会社ユナイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】西 進
(72)【発明者】
【氏名】村田 敬治
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GB21
4B014GK12
4B014GP12
4B014GT12
(57)【要約】
【課題】冷却効率が高く、冷却板全面を速やかに冷却することができる冷菓製造装置を提供する。
【解決手段】冷菓を調理する金属によって構成される冷却板2と、冷却板2の底面側に設けられたグラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成される伝熱部材3と、伝熱部材3の下部に設けられた冷媒通路4と、冷媒通路4を流れる冷媒を冷却する冷却装置5とを備え、冷媒通路4は、伝熱部材3の下面に設けられた冷媒通路用溝3aに格納され、冷媒通路用溝3aと冷媒通路4との間には、樹脂と金属とを含む混合体によって構成される充填剤11が充填され、冷却板2の底面は、伝熱部材3と接触するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属によって構成される冷却板と、前記冷却板の底面側に設けられたグラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成される伝熱部材と、前記伝熱部材の下部に設けられた冷媒通路と、前記冷媒通路を流れる冷媒を冷却する冷却装置とを備え、
前記冷媒通路は、伝熱部材の下面に設けられた冷媒通路用溝に格納され、
前記冷媒通路用溝と冷媒通路との間には、樹脂と金属とを含む混合体によって構成される充填剤が充填され、前記冷却板の底面は、前記伝熱部材の上面と接触する
ことを特徴とする冷菓製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリームやシャーベット等の冷菓を調理製造する冷菓製造装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイスクリームやシャーベット等を、店頭において調理の実演を行いながら販売ができるようにするための冷菓製造装置が公知となっている(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば、特許文献1に記載の冷菓製造装置は、冷菓を調理する冷却板と、冷却板の底面側に設けられた冷媒が循環する冷媒通路と、冷媒通路を通過した冷媒を冷却する冷凍装置と、を備えている。前記冷菓製造装置は、液体のアイスクリームやシャーベット等の材料に果実やチョコレートなどのフレーバーを加えて、冷却板に広げるようにして注入すると、速やかに材料が凍結し、容易にアイスクリームやシャーベットを形成することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−78333号公報
【特許文献2】特開2013−92311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷菓製造装置では、冷媒通路と冷却板との間の熱伝達効率が悪く、液体のアイスクリームやシャーベットを凍結するのに時間がかかっていた。また、特許文献2に示す冷菓製造装置は、冷媒通路と冷却板との間に、伝熱セメントを設けることにより熱伝達効率を上げているが、伝熱セメントの周囲を断熱材で囲んでいるため、冷却板を冷却するのは冷却板と伝熱セメントとの接触点のみとなってしまい、冷却板全面を冷却することが難しかった。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、冷却効率が高く、冷却板全面を速やかに冷却することができる冷菓製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、金属によって構成される冷却板と、前記冷却板の底面側に設けられたグラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成される伝熱部材と、前記伝熱部材の下部に設けられた冷媒通路と、前記冷媒通路を流れる冷媒を冷却する冷却装置とを備え、前記冷媒通路は、伝熱部材の下面に設けられた冷媒通路用溝に格納され、前記冷媒通路用溝と冷媒通路との間には、樹脂と金属とを含む混合体によって構成される充填剤が充填され、前記冷却板の底面は、前記伝熱部材の上面と接触するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、冷却板底面全面から伝熱部材の上面を介して冷媒通路へと熱が伝達するので、冷却効率が高くなり、冷却板の表面を冷却する時間を短くし、冷菓を速やかに冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷菓製造装置を示す正面図。
【
図2】(a)同じく伝熱部材及び冷媒通路を示す底面図。(b)同じくA−A線断面図。
【
図3】同じく伝熱部材及び冷媒通路を示す
図2における範囲Bの断面一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
冷菓製造装置1は、液体のアイスクリームやシャーベット等の材料に果実やチョコレートなどのフレーバーを加えて、冷却板2に広げるようにして注入すると、速やかに材料が凍結し、容易にアイスクリームやシャーベットを形成することができるものである。
【0013】
まず、冷菓製造装置1の全体的な構成を、
図1を用いて説明する。
冷菓製造装置1は、冷菓を調理する金属によって構成される冷却板2と、冷却板2の底面側に設けられたグラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成される伝熱部材3と、伝熱部材3の下部に設けられた冷媒通路4と、冷媒通路4を流れる冷媒を冷却する冷却装置5と、伝熱部材3の下面に備えられた断熱部材6と、を備える。
【0014】
冷却板2は、金属によって構成された板状の部材であり、本実施形態においては、ステンレスによって構成されている。冷却板2の表面は、液体のアイスクリームやシャーベット等を注入した場合に、アイスクリームやシャーベットを速やかに冷却する。このとき、冷却板2がステンレスで構成されているので、固体となったアイスクリームやシャーベットは冷却板2の表面にはりつき難く、調理が容易となっている。
【0015】
伝熱部材3は、直方体状の部材であり、冷却板2の底面と伝熱部材3の上面とが接触するように配置されている。伝熱部材3は、グラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成されている。本実施形態においては、伝熱部材3は、直径数μm〜数十μmの細かな孔を多数有している複合体によって構成されており、伝熱効率が高く、冷媒通路4との間で効率よくその熱交換を行うことができる。
また、伝熱部材3は、熱伝導だけでなく放射冷却を行うことにより、冷却板2の上に注入された液体のアイスクリームやシャーベット等を冷却することも可能となっている。
【0016】
冷媒通路4は、金属製のパイプで構成されており、冷媒をその内部に通すように構成されている。冷媒通路4は、一本のパイプを幾重にも折り曲げて構成しており、冷却板2の前後方向の長さよりも短い直線部4aを複数有している。直線部4aと直線部4aとの間には平面視円弧状の屈曲部4bが設けられている。冷媒通路4の冷媒入口4c及び冷媒出口4dは冷却板2の側面と連通している。
【0017】
冷却装置5は、冷媒通路4を通過した冷媒を冷却する装置であり、コンプレッサ21とコンデンサ22、及び膨張弁25を備えており、図示せぬモータにより駆動されたコンプレッサ21により、冷媒が循環する。
【0018】
断熱部材6は、伝熱部材3の下面の設けられており、伝熱部材3の下面からの熱交換を妨げる部材である。断熱部材6は、例えば、ガラスウール等を含む板材で構成されている。
【0019】
伝熱部材3の下面には、冷媒通路4を格納するための冷媒通路用溝3aが設けられている。
冷媒通路用溝3aは、
図2(b)に示すように、冷媒通路4の形に合わせて、直線部3bを複数有している。また、直線部3bの断面が冷媒通路4の直径よりも大きい直径を持つ半円状に形成されている。冷媒通路用溝3aは、伝熱部材3を切削することにより設けられている。
【0020】
冷媒通路4は、冷媒通路用溝3aの上面に接触するように配置されており、冷媒通路用溝3aの冷媒通路4以外の空間には充填剤11が充填されている。充填剤11は、樹脂と金属とを含む混合体によって構成されており、本実施形態においては、樹脂に直径数μmサイズの金属粉末を混合した混合体によって構成される。これにより、充填剤11は、伝熱効率が高くなるように構成されている。充填剤11の伝熱効率は、伝熱部材3の伝熱効率よりも低い。
このように構成することにより、冷却板2の底面全面は、断熱部材3の上面全面と接触する。
【0021】
冷媒通路用溝3aの直線部3bと隣接する直線部3bとの間の幅w1は、
図3に示すように、直線部3bの短手方向の幅w2以上の長さとなるように形成されている。
このように構成することにより、充填剤11よりも伝熱効率の高い伝熱部材3の体積が大きくなるため、伝熱効率が向上する。
【0022】
本実施形態に係る冷菓製造装置1を用いた冷菓製造について説明する。
冷却装置のコンプレッサ21を駆動し、冷媒を圧縮後、コンデンサ22において放熱を行う。放熱された冷媒は、膨張弁25で減圧されて断熱膨張し、低温となる。低温となった冷媒は、冷媒通路4内を移動し冷媒通路4を冷却する。冷媒通路4と接する伝熱部材3と冷媒通路4との間で熱交換が行われ、伝熱部材3が低温となる。そして、伝熱部材3の上面全面と冷却板2の下面全面との間で熱交換が行われ、冷却板2が低温となる。低温となった冷却板2の温度は、摂氏マイナス40度〜45度となる。これにより、液体のアイスクリームやシャーベット等の材料に果実やチョコレートなどのフレーバーを加えて、冷却板2に広げるようにして注入すると、速やかに材料が凍結し、容易にアイスクリームやシャーベットを形成することができるものである。
【0023】
なお、本実施形態において、冷媒通路4は一本のパイプを幾重にも折り曲げて構成したが、これに限定するものではなく、例えば、複数の直線部4aの両端部に連通部を設けて、連通部と各直線部4aの端部とがつながる構成としても良い。
【0024】
また、冷却板2の形状は、板状に形成しているが、これに限定するものではなく、例えば、皿状の縁部を設けた構成としても良い。
【0025】
以上のように、金属によって構成される冷却板2と、冷却板2の底面側に設けられたグラファイトとセラミックスとを含む複合体によって構成される伝熱部材3と、伝熱部材3の下部に設けられた冷媒通路4と、冷媒通路4を流れる冷媒を冷却する冷却装置5とを備え、冷媒通路4は、伝熱部材3の下面に設けられた冷媒通路用溝3aに格納され、冷媒通路用溝3aと冷媒通路4との間には、樹脂と金属とを含む混合体によって構成される充填剤11が充填され、冷却板2の底面は、伝熱部材3の上面と接触するものである。
このように構成することにより、冷却板2底面全面から伝熱部材3の上面全面を介して冷媒通路4へと熱が伝達するので、冷却効率が高くなり、冷却板2の表面を冷却する時間を短くし、冷菓を速やかに冷却することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 冷菓製造装置
2 冷却板
3 伝熱部材
3a 冷媒通路用溝
3b 直線部
4 冷媒通路
5 冷却装置
11 充填剤