【課題】締付スリーブ2及びインターロック機構21を備えるドリルチャック1において、工具シャンクに締付あごが未だ突き当てられる前にクリック音が生じるのを防ぐとともに、ドリリングの位置・姿勢と締付の位置・姿勢との間の切換が確実に行われるようにする。
【解決手段】チャック駆幹体3に案内されるネジ切リング13の歯切部が、締付あご4の歯列15に噛み合わされている。締付スリーブ2は、ネジ切リング13に、トルク伝達を行うように連結可能であり、また、インターロック機構21を介して、チャック駆幹体3に連結可能である。インターロック機構21は、ネジ切リング13に回転不能に連結された掛け止めスリーブ16と、チャック駆幹体3の対向歯切部19からなる。掛け止めスリーブ16は、掛け止め歯切部18を備え、ドリリングの位置・姿勢と締付の位置・姿勢との間にて、ネジ切リング13及び締付スリーブ2に対して軸方向にスライド可能である。
掛け止めスリーブ(16)の掛け止め歯切部(18)と、対向歯切部(19)とは、軸方向に突き当てられて、歯切部同士が互いに噛み合わせられることを特徴とする請求項1に記載のドリルチャック。
掛け止めスリーブ(16)には、少なくとも1つの調整・切替カム部(23)が備え付けられ、締付スリーブ(2)には、調整・切替カム面(24)が、間接的または直接的に備え付けられ、調整・切替カム部(23)には、掛け止めスリーブ(16)の軸方向の位置をシフトさせるべく、調整・切替カム面(24)による作用が加えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドリルチャック。
調整・切替カム面(24)は、ドリリングの位置・姿勢及び/または締付の位置・姿勢を規定する少なくとも1つの嵌合座部(28)に接するまで延びていることを特徴とする請求項5に記載のドリルチャック。
対向歯切部(19)は、チャック駆幹体(3)に回転不能に接続された歯切リング(20)に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のドリルチャック。
歯切リング(20)は、チャック駆幹体(3)により支持されるバネ部材(43)へと向かって軸方向に位置シフト節可能であることを特徴とする請求項7に記載のドリルチャック。
ネジ切リング(13)は、複数の互いに別体の部材からなるものであり、リングが半分に分割された形の2つのリング構成部材(41)と、リング構成部材(41)を互いに接続する歯切スリーブ(40)とを有してなり、これらリング構成部材(41)には内向きネジ切部(39)が形成されており、歯切スリーブ(40)は掛け止めスリーブ(16)に回転不能に連結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のドリルチャック。
掛け止めスリーブ(16)に形成された掛け止め歯切部(18)と、チャック駆幹体(3)に備え付けられて、掛け止め歯切部(18)に対応する対向歯切部(19)とは、いずれも、掛け止め歯面(37)及び追い締め歯面(38)を有する複数の掛け止め歯(36)により形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のドリルチャック。
掛け止め歯切部(18)と対向歯切部(19)との間に形成された歯切部同士の噛み合わせ部にあって、掛け止め歯面(37)の傾斜は、追い締め歯面(38)の傾斜よりも大きいか、または等しいことを特徴とする請求項10に記載のドリルチャック。
掛け止め歯(36)における掛け止め歯面(37)と、追い締め歯面(38)とが、互いに平行に延びることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のドリルチャック。
チャック軸(12)に対する締付あご(4)の傾斜は、15°と25°との間の領域から選ばれた値であるか、18〜22°の領域の領域から選ばれた値であるか、または20°であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のドリルチャック。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明にしたがうドリルチャック(第1の実施形態)についての側面図である。
【
図2】
図1のドリルチャックの平面図であり、締付あごが閉じている状態を示す。
【
図3】
図2の断面III−IIIに沿った縦断面図(ドリルチャックの中心軸(チャック軸)方向の断面図)である。
【
図4】
図3のドリルチャック(第1の実施形態)についての分解図である。
【
図5】
図3のドリルチャック(第1の実施形態)についてのもう一つの分解図である。
【
図6】
図3のドリルチャック(第1の実施形態)におけるチャック駆幹体についての半断面半側面図である。
【
図7】
図6のチャック駆幹体についての側面図である。
【
図8】
図7のVIII−VIII線に沿って切断した断面斜視図である。
【
図9】
図6のチャック駆幹体についての斜視図である。
【
図10】本発明にしたがうドリルチャック(第1の実施形態)についての半断面半側面図である。
【
図12】
図3のドリルチャック(第1の実施形態)についての、締付スリーブ及び固定スリーブを省いた、
図10と同様の半断面半側面図である。
【
図13】ドリリングの位置・姿勢にある
図12の詳細部XIIIについての拡大図である。
【
図14】
図3のドリルチャック(第1の実施形態)について、締付の位置・姿勢にある場合を示す、
図10と同様の半断面半側面図である。
【
図16】第1の実施形態のドリルチャックにおける根元側(スピンドル側)の端部を示す部分破断図である。
【
図17】掛け止めリングと歯切リングとで歯切部同士が噛み合わされた様子を示す側面図である。詳細部XVIIIが表示されている。
【
図18-1】歯切部同士の噛み合わせの一つの形態を示す
図17の詳細部XVIIIの拡大図である。
【
図18-2】歯切部同士の噛み合わせの別の形態を示す
図18-1と同様の拡大図である。
【
図18-3】歯切部同士の噛み合わせのさらに別の形態を示す
図18-1と同様の拡大図である。
【
図18-4】歯切部同士の噛み合わせの他の形態を示す
図18-1と同様の拡大図である。
【
図19】本発明にしたがうドリルチャックの第2の実施形態を示す部分破断・分解斜視図である。
【
図20】
図19のドリルチャック(第2の実施形態)の平面図である。
【
図21-1】
図19のドリルチャック(第2の実施形態)についての、
図20の断面XXI−XXIに沿った縦断面図である。
【
図21-2】本発明にしたがうドリルチャックの第3の実施形態についての、
図21-1と同様の縦断面図である。
【
図21-3】本発明にしたがうドリルチャックの第4の実施形態についての、
図21-1と同様の縦断面図である。
【
図22】本発明にしたがうドリルチャックの第5の実施形態についての、締付スリーブを省いた、部分破断・斜視図である。
【
図23-1】締付の位置・姿勢にある
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての部分破断・斜視図である。
【
図23-2】締付の位置・姿勢にある際の、
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての平面図である。
【
図23-3】締付の位置・姿勢にある際の、
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての側面図である。
【
図24-1】ドリリングの位置・姿勢にある際の、
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての斜視図である。
【
図24-2】ドリリングの位置・姿勢にある際の、
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての平面図である。
【
図24-3】ドリリングの位置・姿勢にある際の、
図21-2のドリルチャック(第3の実施形態)についての側面図である。
【
図25】締付あごの断面が台形である別の実施形態についての平面図である。
【
図27】チャック駆幹体、及び断面が台形である締付あごについての側面図である。
【
図28】
図27の断面XXVIII−XXVIIIに沿った断面図である。
【
図29】
図27の方向XXIXから見たチャック駆幹体及び締付あごについての斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
掛け止めスリーブの掛け止め歯切部と、対向歯切部との間での歯切部同士の噛み合わせが、軸方向で行われるのであれば、特に好ましいことを知るに至った。すなわち、掛け止め歯切部と、対向歯切部とが軸方向に突き当てられて、歯切部同士が互いに噛み合わせられるのであれば、特に好ましいことを知るに至った。このようであることで、特には、次のことが確実に実現される。すなわち、対向歯切部及び掛け止め歯切部が適した形状であるならば、ドリリングの位置・姿勢にて、締付あごを追い締め可能なままに保つということが確実に実現される。というのは、ユーザーが介入することなしに、掛け止め歯切部が、対向歯切部との噛み合わせから、軸方向に容易に外れ出ることができるからである。また、インターロック機構が軸方向に作動することにより、次のことも確実に実現される。すなわち、強い振動が生じたときや、動力が大きいときでも、インターロック機構が常に確実に閉じたままに保たれる。
【0011】
また、それによって簡単な具合に追い締めを行うことも可能となる。しかしながら本発明の枠内において、半径方向に歯切部同士を噛み合わせることも想定されている。この場合、ドリリングの位置・姿勢にて追い締めを行う可能性は与えられない。というのは、対向歯切部から掛け止め歯切部が外れ出るようにすることは、ユーザーの介入なしには不可能だからである。
【0012】
掛け止めスリーブに、弾性的な復帰部材によって弾性力が加えられているならば、好ましいことが確かめられた。このようであると、特には、掛け止めスリーブに対して、常に、対向歯切部の側へと作用する力を加えているということが、確実に実現される。これにより、本発明にしたがうドリルチャックの動作確実性が高くなる。これに関連して、弾性的な復帰部材が波形バネを用いて形成されているなら、特に好ましいことも確かめられた。特に、波形バネを選択することにより、例えば追い締めの際における、締付あごをクランプするために必要な力、及び、インターロック機構を解除するために必要な力について、目的に合わせて特定のレベルに調整することができる。ここで、波形バネは、好ましくは、板状鋼線をらせん状に巻きながら波を加えることで得られるウェーブスプリング((coiled) wave spring)であり、各種のウェーブスプリングを用いて形成することができる。しかし、場合によっては、各種の波形バネワッシャーまたはその積層体などであっても良い。
【0013】
掛け止めスリーブに、調整・切替カム面(位置・姿勢の調整または切替を行うためのカム面)からの作用を受ける少なくとも1つの調整・切替カム部(位置・姿勢の調整または切替を行うためのカム部)が備え付けられるならば、すなわち、掛け止めスリーブまたはこれに接続する部材に備えられるならば、好ましいことをも知るに至った。ここで、調整・切替カム面は、掛け止めスリーブの位置を軸方向へシフトさせるべく締付スリーブに間接的または直接的に備え付けられている。このようであることにより、締付スリーブを回転させたならば、ネジ切リングから保持された掛け止めスリーブについて、調整・切替カム面を介して、軸方向にて、締付の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢との間で容易に切り換えることができる。締付の位置・姿勢にある際、ネジ切リングとチャック駆幹体との間の相対回転が可能であり、この相対回転により、チャック駆幹体中に案内される締付あごが、軸方向に位置をシフトされる。このことは、チャック駆幹体に連結されたドリリング機械の駆動装置によって行うか、または、締付スリーブを回すことによって行うことができる。
【0014】
調整・切替カム面が、ドリリングの位置・姿勢及び/または締付の位置・姿勢を規定する少なくとも1つの嵌合座部(すなわち、これらの位置・姿勢のいずれかを規定する嵌合座部、または、これらをそれぞれ規定する2つの嵌合座部)に接するまで延びるのであると、好ましいことも明らかになった。このようであると、掛け止めスリーブに備え付けられた調整・切替カム部を、嵌合座部に噛み合わせることができ、この噛み合わせにより、掛け止めスリーブには、いずれも良好に規定されたところの終端の位置・姿勢が存在する。嵌合座部により、例えば、次のことが確実に実現される。すなわち、ドリルチャックが締付の位置・姿勢からドリリングの位置・姿勢へとシフトする際、言い換えれば、ワークを締め付ける際、規定された締付トルクに達した後で初めて、調整・切替カム部が嵌合座部から外れ出る。また、締付スリーブに間接的または直接的に備え付けられた調整・切替カム面によって、軸方向に対向歯切部の側へと位置シフトする。そして、このことにより、歯切部同士の噛みあわせが実現される。以上のことが確実に実現される。この後、調整・切替カム部について、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部に差し込んで、この中に固定することができる。また、この嵌合座部により、ドリリングの位置・姿勢において、調整・切替カム部と組み合わさって、締付あごの追い締めを可能にする突き当てストッパー面が与えられるということも確実に実現される。追い締めの際、ドリリングの位置・姿勢において、インターロック機構は容易に解除される。すなわち、掛け止めスリーブが、ユーザーの介入なしに弾性的な復帰部材に向かって変位して、締付あごが追い締めされる。
【0015】
さらに組立上の理由から、カップリング部に備え付けられた歯切リングに対向歯切部が形成されているならば、好ましいということを知るに至った。このようであると、歯切リングを、カップリング部に容易に、嵌め合わせて、セレーションその他の歯切部同士の噛み合わせ、または、摩擦や歯切部の食い込みなどにより回転不能に接続することができる。また、これにより、ネジ切リングに回転不能に連結された掛け止めスリーブについて、軸方向での固定を実現することができる。
【0016】
また、歯切リングが、チャック駆幹体に保持されたバネ部材へと向かって軸方向に位置シフト可能であるなら好ましい。このようであると、特には、次のことが確実に実現される。すなわち、掛け止め歯切部と対向歯切部との間の歯切部同士の噛み合わせが、次の場合にも完全に行われるということが確実に実現される。すなわち、掛け止め歯切部へと作用する弾性的な復帰部材が、歯切部同士の噛み合わせがなされる方向に向けて配置されており、チャック駆幹体と締付スリーブとの間に生じるトップクリアランスが、歯切部同士の噛み合わせを部分的に解消させた場合にも、歯切部同士の噛み合わせが完全に行われるということが保証される。
【0017】
次のようであると好ましいことも明らかになった。すなわち、ネジ切リングは、複数の別体の部材からなり、リングを半分に分割してなり内向きネジ切部を有するリング構成部材と、掛け止めスリーブに回転不能に連結されるとともに、リング構成部材同士を接続する歯切スリーブとを有してなるならば、好ましいことも明らかになった。このようであると、ネジ切リングを簡単な具合に掛け止めスリーブに接続することができる。このようにして、特には、ドリリングの位置・姿勢において、ネジ切リングとチャック駆幹体との間の相対回転を防止することができる。このような相対回転は、締付あごの締付を意図せずに緩めるか解除するという結果となりうるものである。また、リングを半分に分割してなるリング構成部材はチャック駆幹体に形成された溝へ容易に挿入することができ、次いで、歯切スリーブがネジ切リングに接続するようにすることができる。しかしながら本発明の枠内において、内向きネジ切部を有するリングが一体に形成されており、特には、このリングと歯切スリーブとが、(すなわちネジ切リングが、)同様に一体に形成されることも想定されている。また、本発明の変形実施形態において、締付あごに噛みあうネジ切部は、外向きネジ切部として形成されることが想定されている。
【0018】
高出力等級のドリリング機械に用いるためには、次のようであっても好ましいことを知るに至った。すなわち、掛け止めスリーブに形成された掛け止め歯切部と、チャック駆幹体に備え付けられ掛け止め歯切部に一致・対応する対向歯切部とが、いずれも、掛け止め歯面と追い締め歯面とを有する多数の掛け止め歯で形成されているのであっても好ましいことを知るに至った。掛け止め歯面及び追い締め歯面の傾斜(チャック軸に垂直な平面に対する角度)を適切に選択することで、追い締めや緊急開放のために必要な力を調整することができる。掛け止め歯面の傾斜が急であればあるほど、解除のために必要な消費エネルギーは大きくなる。これに関連して、掛け止め歯切部と対向歯切部との間で形成された歯切部同士の噛み合わせにおける掛け止め歯面の傾斜が、追い締め歯面の傾斜よりも大きいか、またはこれに等しいならば好ましいことを知るに至った。このようであると、ドリルチャックの追い締めが常に可能である。
【0019】
掛け止め歯面の傾斜が45°よりも大きいか、またはこれに等しいのであれば好ましいことを知るに至った。ここで、掛け止め歯面の傾斜は、好ましくは60°よりも大きく、特に好ましくは80°よりも大きい。掛け止め歯面の傾斜が大きくなるにつれて、ドリリングの位置・姿勢において、本発明にしたがうドリルチャックの緊急開放を可能にするために大きいエネルギーが必要になるものの、傾斜を大きくするほど、使用するドリリング機械による動力学的な影響を、より多く吸収することができる。
【0020】
使用するドリリング機械の動力学的な影響を、なるべく多く吸収できるようにするためには、掛け止め歯の掛け止め歯面が追い締め歯面と平行に向いているならば好ましいことも明らかになった。このようであると、生じる90°の傾斜により、特には、ドリルチャックの意図しない掛け止め解除及び/または追い締め(すなわち、これらのうちの少なくとも一方)を確実に防止することができる。
【0021】
チャック軸を基準としたときの締付あごの傾斜が、ある領域内から選ばれるならば好ましいことも明らかになった。この領域は、好ましくは15°と25°との間の領域であり、特に好ましくは20°前後の領域、例えば18〜22°の領域である。このようであると、特にコンパクトなドリルチャックを実現することができ、このことにより、ドリルチャックを取り付けたドリリング機械における頭部重量、ないしトップヘビー性を著しく低減することができる。すなわち、基台部または根元の取り付け部を基準とした、ドリルチャックの先端部の重量を著しく減らすことができる。
【0022】
次に、図面に示されている実施例を参照して本発明を詳しく説明する。
【0023】
図1には、本発明にしたがう、第1の実施形態のドリルチャック1についての側面図を示す。
図1には、この図に表れていないチャック駆幹体3をぐるりと取り囲む締付スリーブ2とともに、複数の締付あご4も示されている。これら締付あご4は、チャック駆幹体3中にて、案内受入部5中に案内されている。締付スリーブ2における、締付あご4の側の端面には、リングフランジ6を有する固定スリーブ7が、軸方向から取り付けられている。
【0024】
図2の平面図には、ドリルチャック1における締付あご4を有する端部を示す。
図2の平面図から、締付スリーブ2とともに、特にはチャック駆幹体3及び固定スリーブ7も見て取ることができる。この固定スリーブ7における、内周面側に軸方向に形成された歯切部8(
図4〜5)が、チャック駆幹体3に押し付けられて食い込んでいる。ここで、歯切部は、好ましくは、セレーションからなる。すなわち、断面が鋸歯状の規則正しい凹凸からなる。また、この固定スリーブ7におけるリングフランジ6が、締付スリーブ2を軸方向に固定している。さらに固定スリーブ7により、チャック駆幹体3の前方部分が補強されている。
【0025】
図3には、第1の実施形態についての、
図2のIII−IIIの線に沿った軸方向断面図を示す。
図3から知られるように、チャック駆幹体3は、複数の別体の部分からなり、スピンドル受入部9を有するカップリング部10と、樹脂製の締付あご案内部11とからなる。この締付あご案内部11中には、案内受入部5が締付あご4を案内するべくチャック軸12に対して傾いて延びている。締付あご4の位置・姿勢をシフトさせるべく、図示の実施例では、ネジ切リング13が備えられ、このネジ切リング13の外向きネジ切部14が、締付あご4に備え付けられた歯列15に噛み合わされる。ネジ切リング13には、これと回転不能に接続され軸方向へスライド可能な掛け止めスリーブ16が取り付けられて支持されている。この掛け止めスリーブ16は、第1の実施形態では、掛け止めリング17として設けられている。掛け止めリング17は、軸方向に突き当てられて噛み合わせられる掛け止め歯切部18を備える。この掛け止め歯切部18は、チャック駆幹体3に備え付けられた対向歯切部19との、歯切部同士の噛み合わせを形成するためのものである。対向歯切部19は、図示の実施例では、カップリング部10に備え付けられた歯切リング20に設けられている。掛け止め歯切部18と、これに対応する対向歯切部19とによってインターロック機構21が得られている。このインターロック機構21により、チャック駆幹体3とネジ切リング13とを回転不能に連結することができる。このようにして、締付あご4の締付が意図せずに解除されるのを防止する。軸方向へズレ動き可能なようにネジ切リング13に取り付けられて保持された掛け止めリング17は、弾性的な復帰部材22を介してネジ切リング13から支持されている。図示の例で、弾性的な復帰部材22は、ウェーブスプリングである。
【0026】
掛け止めリング17の掛け止め歯切部18が、歯切リング20に備え付けられた対向歯切部19との噛み合いから外れた締付の位置・姿勢から、掛け止め歯切部18と対向歯切部19との間の、歯切部同士の噛み合いが行われるドリリングの位置・姿勢へと、掛け止めリング17の位置・姿勢をシフトさせるべく、掛け止めリング17には、調整・切替カム部23が備え付けられている。この調整・切替カム部23には、締付スリーブ2に備え付けられた閉じ止め部材25に設けられている調整・切替カム面24が突き当てられて作用を行う。閉じ止め部材25に設けられている各調整・切替カム面24は、図示の実施例において、ドリリングの位置・姿勢と、締付の位置・姿勢とをそれぞれ規定する、2つの嵌合座部28によって周方向の範囲が限られている。締付スリーブ2を回すことで、インターロック機構21は、ドリリングの位置・姿勢と締付の位置・姿勢との間で容易に位置・姿勢がシフトされる。チャック軸12に対する締付あご4の傾斜は、図示の実施例では20°になっている。この結果、ドリルチャックは非常にコンパクトになっている。歯切リング20の軸方向位置を固定すべく、カップリング部10には、第1の取り付け固定溝26が備え付けられている。この第1の取り付け固定溝26には、歯切リング20の軸方向位置を固定する第1のスナップリング27が差し込まれている。閉じ止め部材25は、図示の実施例において、締付スリーブ2に、回転不能に接続されており、第2のスナップリング45によって軸方向に固定されている。第2のスナップリング45は、ネジ切リング13に設けられた第2の取り付け固定溝44に差し込まれている。
【0027】
図4〜5は、本発明にしたがう第1の実施形態のドリルチャック1についての、それぞれ異なる視角から見た分解図である。特に、
図4からは、金属製のカップリング部10と、樹脂製の締付あご案内部11との、互いに別体の2つの部分からなるチャック駆幹体3についても見て取ることができる。カップリング部10には、締付あご案内部11との連結のために、取り付け固定構造部29が備え付けられている。締付あご案内部11は、この取り付け固定構造部29に、組立の際に押し付けられ、2次的に打ち込みによる成形を受ける。すなわち、取り付け固定構造部29の外周におけるセレーションなどの歯切部が、樹脂製の締付あご案内部11の内周面に食い込んで、特に回転不能な接続を実現している。図示の実施例で用いられている締付あご4は、平型ダイスの形態を有する締付あご4として具現されている。すなわち、一方の平坦面に歯切部が設けられており、好ましくは、締付あごの軸を横切る断面が、矩形状である。また、歯列15とは逆の側に、それぞれ案内用レール部30を有している。具体的には、歯列15が設けられた面とは逆側の面に沿って、周方向へと両側に突き出すように案内用レール部30が備えられている。この案内用レール部30は、図示の実施例において、矩形の横断面を有しており、案内溝31に差し込むことができる。この案内溝31は、樹脂により成形された締付あご案内部11における、案内受入部5の領域中に設けられている。
【0028】
図6は、本発明にしたがう第1の実施形態のドリルチャック1における、カップリング部10と、締付あご案内部11とで形成されるチャック駆幹体3を示す部分破断側面図である。
図5に示されているように、カップリング部10に設けられた取り付け固定構造部29は、軸方向に、カラー部32(
図6)に接するところにまで延びている。すなわち、カップリング部10の下端にある取り付け固定構造部29は、リング状のカラー部32を介して、カップリング部10における他の部分と接続されている。このようであることにより、チャック駆幹体3を組み合わせる際、規定された嵌め合いが確実に実現される。また、
図6には、案内受入部5が、チャック軸12に対して傾いて延びることも示されている。この案内受入部5は、締付あご4を案内するために設けられており、案内溝31を有している。この案内溝31には、締付あご4に設けられている案内用レール部30を差し込むことができる。このようであることにより、特に
図7から知られるように、締付あごを確実に案内するということが保証される。また、
図6からは、締付あご案内部11の詳細な構造を見て取れる。締付あご案内部11は、カップリング部10とは逆側の端部に、円筒状の第1のセグメント33を有している。この第1のセグメント33には、締付あご4のための案内受入部5が形成された円錐台形の第2のセグメント34が、一体成形などにより一体に形成されている。締付あご案内部11におけるカップリング部10の側の端部には、カップリング部10と締付あご案内部11を連結させる役目をする円筒状の第3のセグメント35が形成されている。
【0029】
図8には、
図7のVIII−VIII線に沿った(
図7の紙面に垂直の)断面を示す。この断面図でも、案内受入部5に形成された案内溝31を見て取ることができる。案内溝31は、締付あご4における案内用レール部30のための案内部としての役割を果たすものである。案内溝31及びこれに対応する案内用レール部30は、チャック軸から見て内方または外方へと締付あご4が傾くことについて、効果的に防止している。
【0030】
また、
図9から知られるとおり、円錐台形の第2のセグメント34の径方向寸法(ドリルチャックの中心軸を通る締付あご案内部の差し渡しの寸法)は、締付あご4を受け入れて抱き込む案内受入部5の領域にて、いずれも、局部的に拡大されている。例えば案内受入部の領域の径方向寸法を、他の領域よりも5〜30%、一例にて10〜15%大きくすることができる。このようにして、特には、締付あご案内部11の壁厚が均一に保たれるということが実現される。このことにより、製造の際に応力が生じるのを防ぐことができる。製造の際の応力は、樹脂材料を冷却する際に往々にして生じるものである。
【0031】
図10には、本発明にしたがう第1の実施形態のドリルチャック1について、ドリリングの位置・姿勢にあるときの部分破断・側面図を示す。ドリリングの位置・姿勢において、掛け止めリング17の掛け止め歯切部18は、チャック駆幹体3に備え付けられる対向歯切部19と噛み合っている。締付スリーブ2における閉じ止め部材25とは逆側の端部には、固定スリーブ7が取り付けられている。この固定スリーブ7は、特には
図11の拡大図(
図10のXI部分)に示されたように、内周面側に設けられた歯切部8でもって、締付あご案内部11の円筒状の第1のセグメント33に、固く嵌め込まれて、この第1のセグメント33を局部的に補強している。また、XI部分の拡大図から、やはり見て取れるように、締付スリーブ2は、固定スリーブ7に備え付けられたリングフランジ6によって、軸方向の位置が固定されている。
【0032】
図12、及び、そのXII部分の拡大図である
図13に示されるように、図示されたドリリングの位置・姿勢にある際、掛け止め歯切部18と、対応する対向歯切部19との間で歯切部同士の噛み合わせが行われており、調整・切替カム部23は、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部28に差し込まれている。
【0033】
図14に示す締付の位置・姿勢においては、特には
図14のXV部分の拡大図である
図15に示されるように、掛け止め歯切部18と、チャック駆幹体3に備え付けられる対向歯切部19との間の歯切部同士の噛み合わせが解除されている。掛け止めリング17は、閉じ止め部材25に設けられた調整・切替カム面24により、弾性的な復帰部材22に抗して締付あご4の側へと位置シフトされている。特には、ネジ切リング13の内面に沿って、また、調整・切替カム部23が差し込まれた軸方向の切り欠きに沿って、締付あご4の側へと位置シフトされている。この際、調整・切替カム部23は、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28に差し込まれている。
【0034】
図16は、インターロック機構21の主要部分を示す部分破断斜視図である。特には、閉じ止め部材25に設けられた嵌合座部28と、2つの嵌合座部28の間に延びる調整・切替カム面24とについての形状・形態が示されている。ここで、これら嵌合座部28には、調整・切替カム部23が、ドリリングの位置・姿勢及び締付の位置・姿勢にて差し込まれる。
【0035】
図17には、掛け止めリング17が示されており、掛け止めリング17の掛け止め歯切部18は、チャック駆幹体3に備え付けられた歯切リング20に備えられる対向歯切部19に噛み合わされている。
図18-1〜18-4は、掛け止め歯切部18及びこれに対応する対向歯切部19についての、種々の形態を示すための、
図17のXVII部分の拡大図である。
図18-1〜18-4に示す、掛け止め歯切部18及び対向歯切部19の形態様式は、いずれも、掛け止め歯面37と追い締め歯面38とをそれぞれ有する多数の掛け止め歯36から形成されている。掛け止め歯面37の傾斜は、
図18-1〜18-4では、いずれも、追い締め歯面38の傾斜に等しいか、またはこれよりも大きい。追い締め歯面38の傾斜は、
図18-1及び18-3では、いずれも、45°である。掛け止め歯面37の傾斜は、
図18-1では80°であり、
図18-2では60°であり、
図18-3では45°である。掛け止め歯面37の傾斜が急であればあるほど、インターロック機構21の緊急開放を確実に実現するために必要な力の投入量は大きくなる。追い締め歯面38傾斜が、かなり低いことにより、ドリリングの位置・姿勢にある際、ドリルチャック1の追い締めが、小さな力の投入によって可能である。
図18-4に示す掛け止め歯では、掛け止め歯面37は追い締め歯面38と平行になっており、90°の傾斜を有している。この場合には、追い締めを行うことも、インターロックがなされたドリルチャック1を緊急に開放することもできない。
【0036】
図19には、本発明にしたがうドリルチャック1の第2の実施形態を示す。ここでは、チャック駆幹体3が一体に形成されている。チャック駆幹体3の案内受入部5中に案内されている締付あご4の位置・姿勢をシフトさせるべく、ネジ切リング13が備えられ、このネジ切リング13の内向きネジ切部39が、締付あご4に設けられた歯列15に噛み合わされている。ネジ切リング13には、外周面の側から、歯切スリーブ40が取り付けられている。この歯切スリーブ40は、掛け止めスリーブ16に、回転不能に連結されている。掛け止めスリーブ16は、それ自体、歯切スリーブ40に沿って軸方向にスライド可能である。図示の実施例において、掛け止めスリーブ16に調整・切替カム部23が設けられ、この調整・切替カム部23には、締付スリーブ2に設けられた調整・切替カム面24が作用可能である。ここでも、
図16について説明したと同様に、調整・切替カム面24は、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部28と、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28との間に延びている。すなわち、これら嵌合座部28に、調整・切替カム面24の両端が接している。このようであるので、締付スリーブ2を回すことにより、掛け止めスリーブ16を、ウェーブスプリング43として形成された弾性的な復帰部材22の側へと軸方向に位置シフトすることができる。このような位置シフトによって、締付の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢の間で切り換えが行われる。ドリリングの位置・姿勢にあって締付あご4が閉じられた状態から出発すると、まず、掛け止めスリーブ16の掛け止め歯切部18と、歯切リング20に備え付けられる対向歯切部19との間の歯切部同士の噛み合わせが解除される。この際に、嵌合座部28により制限される相対回転が、締付スリーブ2と、掛け止めスリーブ16との間で引き起こされ、調整・切替カム部23が、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28に押し込まれる。このようにして、ドリルチャック1は締付の位置・姿勢となる。そして、ドリルチャック1に連結されたドリリング機械の駆動装置が作動するか、または、この締付の位置・姿勢にて締付スリーブ2がさらに手動で位置・姿勢をシフトされるならば、ネジ切リング13とチャック駆幹体3との間で相対回転が生じる。これにより、チャック駆幹体3中に案内される締付あご4が開放される。
【0037】
図20の平面図には、
図19のドリルチャック1(第2の実施形態)について、締付あご4が閉じられた状態にて示す。
図21-1は、第2の実施形態についての
図20に示す断面XXI−XXIに沿った縦断面図である。この縦断面図から特に明らかなとおり、ネジ切リング13は、複数の別体の部材からなり、半分に分割されて内向きネジ切部39を有する2つのリング形成部材41と、半分に分割された、これらリング形成部材41を互いに接続する1つの歯切スリーブ40とで形成されている。歯切スリーブ40は、図示の実施例において、弾性的な復帰部材22が、掛け止めスリーブ16を常に歯切リング20の側へと位置シフトさせるように配置されている。これにより、掛け止め歯切部18と、対応する対向歯切部19との間で形成される歯切り部同士の噛み合わせが強化される。
【0038】
図21-2には、本発明にしたがうドリルチャック1の第3の実施形態についての、
図21-1と同様の縦断面図である。すなわち
図20のXXI−XXI線に沿った断面を示す。第3の実施形態では、歯切リング20に備え付けられる対向歯切部19と、掛け止め歯切部18との軸方向の配置が、第2の実施形態の逆になっている。ところが、
図21-2に示す第3の実施形態における噛み合わせは、締付スリーブ2の軸方向のトップクリアランスのために損なわれ易い。というのは、ドリリングの位置・姿勢にある際、弾性的な復帰部材22が、掛け止め歯切部18を、歯切り部同士の噛み合わせから外れるように押すからである。
【0039】
図21-3に示す第4の実施形態であると、歯切リング20には、チャック駆幹体3に支持されるバネ部材42によって軸方向にバネ力が加えられる。これにより、存在しているトップクリアランスを除去するとともに、噛み合わせを強化する。
【0040】
図22には、本発明にしたがうドリルチャック1の第5の実施形態が示されている。ここでは、インターロック機構21が半径方向に作用する。
図22から見て取ることができるように、チャック駆幹体3に備え付けられる対向歯切部19は、ここでは半径方向を向いている。掛け止めスリーブ16は、歯切スリーブ40を介してネジ切リング13により案内されており、軸方向へ位置シフトされることで、すでに説明した方式により、ここでもネジ切リング13をチャック駆幹体4と回転不能に連結することができる。
【0041】
図23-1〜23-3には、本発明にしたがうドリルチャック1の第3の実施形態について、締付の位置・姿勢にある場合の部分破断図を示す。ここで、ドリルチャックの先端側の半部にて、締付スリーブは、外側部分が省かれており、内側のカム面形成部分だけ示されている。
図23-1は斜視図を示しており、
図23-2は平面図を示しており、
図23-3には、部分破断された第3の実施形態の側面図が示されている。特に
図23-1および
図23-3から見て取ることができるように、掛け止めスリーブ16に備え付けられる調整・切替カム部23は、締付スリーブ2に形成された、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28に押し込まれている。締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28は、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部28よりも深い。
【0042】
締付あご4が互いに引き離されている際に、工具シャンクをクランプしようとするならば、チャック駆幹体3と、ネジ切リング13との間で相対回転を行うことによって、チャック駆幹体3中を案内される締付あご4について位置シフトさせる。ここで、ネジ切リング13は、掛け止めスリーブ16を介して締付スリーブ2と噛み合わされている。締付あご4が、クランプされるべき工具シャンクに突き当てられると、掛け止めスリーブ16に備え付けられる調整・切替カム部23は、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28から出るように位置・姿勢がシフトするようになり、また、締付スリーブ2に形成された調整・切替カム面24に接して動くことで、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部28へと移る。この際、弾性的な復帰部材22の側へと、軸方向に位置シフトが行われる。調整・切替カム部23は、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部に差し込まれて噛み合い、ドリルチャックは、
図24-1〜24-3に示すドリリングの位置・姿勢となる。掛け止め歯切部18と、対応する対向歯切部19とが噛み合わされており、したがって、ネジ切リング13とチャック駆幹体3との間の相対回転は防がれている。
【0043】
図25の平面図には、本発明にしたがうドリルチャック1の別の実施形態であって、複数の締付あご4が横断面にて台形状であるものについて示す。これら締付あご4は、ここでも同様に、チャック駆幹体3中に形成された案内受入部5中を案内されている。
図26には、断面が台形状の締付あご4を備える
図25のドリルチャックについて、側面図にて示す。特に、この側面図では、チャック駆幹体3に押し嵌められた固定スリーブ7における、締付スリーブ2を軸方向に固定するためのリングフランジ6も見て取ることができる。
【0044】
図27には、台形状の締付あご4を備えたチャック駆幹体3の側面図を示す。ここで、各締付あご4は、チャック駆幹体3の締付あご案内部11中に案内されている。
【0045】
図28には、
図27のXXVIII−XXVIII線に沿った、チャック駆幹体3の断面を示す。
図28から、特には、締付あご4の台形状の断面、及び、これに一致・対応するように締付あご案内部11に設けられた案内受入部5の断面が示されている。案内用レール部30としての役目をする締付あご4の台形状の断面により、また、案内溝31として作用するところの、案内受入部5に備えられた同一の台形状の断面形状により、特には、締付あご4が傾くのが防止される。
【0046】
さらには、
図29に示すチャック駆幹体3の斜視図から見て取れるように、この実施形態においても、締付あご案内部11は、台形状の締付あご4を受け入れて抱え込んでいる案内受入部5の領域にて局部的に外へ広げられている。すなわち、円錐台形の第2のセグメント34がは、案内受入部5の領域にて、局部的に径方向寸法が大きくなっている。
【0047】
次に、本発明にしたがうドリルチャックの作動方式について再度説明する。
【0048】
締付の位置・姿勢にある際、掛け止めリング17として設けられた掛け止めスリーブ16、またはその他の掛け止めスリーブ16は、弾性的な復帰部材22の側へと軸方向に位置がシフトされており、掛け止め歯切部18は、未だ対向歯切部19と噛み合わさっていない。この際、調整・切替カム部23は、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28に差し込まれている。ドリルチャック1に連結されたドリリング機械の駆動装置をユーザーが作動させると、チャック駆幹体3とネジ切リング13との間で相対回転が生じる。これにより、ドリリング機械の作動方向に応じて、締付あご4が閉じられるか、または開かれる。上記に代えて、次のとおりとすることもできる。すなわち、ユーザーは、締付あご4の位置・姿勢をシフトさせるべく締付スリーブを手動で回すこともできる。このようにして相対回転が生じると、締付スリーブ2の回転は、掛け止めスリーブ16ないしは掛け止めリング17を介して、ネジ切リング13へと伝達される。締付あご4が、つかんで締め付るべき工具シャンクに突き当たると、抵抗が高くなり、調整・切替カム部23は、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28から外れ出る。また、嵌合座部28間に範囲を制限された相対回転が、締付スリーブ2とネジ切リング13との間で生じる。この相対回転の際、調整・切替カム部23は、それぞれの嵌合座部28の間に形成された調整・切替カム面24に沿って案内され、弾性的な復帰部材22により、ドリリングの位置・姿勢へとシフトする。このドリリングの位置・姿勢では、ドリリングの位置・姿勢を規定する嵌合座部28に、調整・切替カム部23が差し込まれている。このようにシフトすることにより、掛け止め歯切部18が、対向歯切部19に噛み合うこととなる。駆動装置をさらに操作するか、または、締付スリーブ2をさらに締め付ける方向へ回すならば、掛け止め歯切部18及び対向歯切部19における傾斜などについて適宜に選択しておくことにより、追い締めを行うことができる。すなわち、掛け止め歯切部18が押し下げられることによって歯切り部同士の噛み合わせが解除され、掛け止め歯切部18が対向歯切部19に接して滑り動く。締付あご4を開くときは、上記と逆の順序で位置・姿勢のシフトが行われる。
【0049】
掛け止め歯切部18が対向歯切部19に噛み合わされているドリリングの位置・姿勢から出発するなら、締付スリーブ2が回転すると、掛け止め歯切部18と対向歯切部19との間の歯切り部同士の噛み合わせが解消される。また、掛け止めスリーブ16ないし掛け止めリング17の位置が、ネジ切リング13の調整・切替カム面24によって軸方向にシフトされる。また、この際、調整・切替カム部23が、締付の位置・姿勢を規定する嵌合座部28に差し込まれる。このようになると、チャック駆幹体3に連結されているドリリング機械の駆動装置を作動させることで、締付あご3を開くことができる。この際、ドリリング機械の駆動装置は、作動方向が締付の工程とは逆に切り替えられている。上記に代えて、チャック駆幹体とネジ切リングとの間の相対回転について、締付スリーブ2を手動で回転することによって行うこともできる。
【0050】
締付あご4が締付状態にある際、インターロックの噛み合わせを解除すべく締付スリーブ2を手動で回転させることができないことがある。このようなことは、特には、衝撃ドリリング作動にて起こり得る。このように手動で回転させられない場合、掛け止め歯面37の傾斜を適宜に選択することで、チャック駆幹体3と連結されているドリリング機械の駆動装置により、緊急解除を実現することができる。上記に代えて、ユーザーが締付スリーブ2に一層大きな力を加えることにより、手動で回すことができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ドリルチャック; 2…締付スリーブ; 3…チャック駆幹体;
4…締付あご; 5…案内受入部; 6…リングフランジ;
7…固定スリーブ; 8…歯切部; 9…スピンドル受入部;
10…カップリング部; 11…締付あご案内部; 12…チャック軸
13…ネジ切リング; 14…外向きネジ切部; 15…歯列;
16…掛け止めスリーブ; 17…掛け止めリング; 18…掛け止め歯切部;
19…対向歯切部; 20…歯切リング; 21…インターロック機構;
22…弾性的な復帰部材; 23…調整・切替カム部;
24…調整・切替カム面; 25…閉じ止め部材; 26…第1の取り付け固定溝;
27…第1のスナップリング; 28…嵌合座部;
29…取り付け固定構造部; 30…案内用レール部;
31…案内溝; 32…カラー部; 33…円筒状の第1のセグメント;
34…円錐台形の第2のセグメント; 35…円筒状の第3のセグメント;
36…掛け止め歯; 37…掛け止め歯面; 38…追い締め歯面;
39…内向きネジ切部; 40…歯切スリーブ; 41…リング;
42…バネ部材; 43…波形バネ; 44…第2の取り付け固定溝;
45…第2のスナップリング