【解決手段】自動駐車制御装置は、認識された駐車スペースに向かって自車両が目標経路に沿って移動するように操舵制御と速度制御を行い、自車両が駐車スペースに向かって移動するとき、自車両に接近する障害物を検知したときは、自車両が障害物と衝突する衝突位置を演算し、自車両が前進中か後進中かに応じて設定されている余裕距離と衝突位置とに基づいて、目標経路上での停止位置を演算し、演算された停止位置で自車両が停止するように速度制御を行う。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による自動駐車制御装置の概略構成図である。
図1に例示される制御装置100aは、自車両を制御するコンピュータであって、不図示の記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することにより、周辺環境認識部1、駐車経路生成部2、衝突予測部3、自車移動方向判定部4、車両制御部5、警報制御部6として機能する。
【0010】
制御装置100aは、自車両の操舵装置102、駆動装置103、および制動装置104と、自車両に設けられた外環境認識装置101、音発生装置105、表示装置106、および自動駐車ボタン107とに接続されている。また、制御装置100aは、自車両のCAN(不図示)などに接続されており、自車両の車速、舵角、ヨーレート、ギア位置などの車両情報が入力される。
【0011】
外環境認識装置101は、自車両の周囲環境に関する情報を取得するものであって、たとえば、自車両の前方、後方、右側方、左側方の周囲環境をそれぞれ撮影する4個の車載カメラである。車載カメラにより得られた画像は、アナログデータのまま、もしくはA/D変換して、専用線などを用いて制御装置100aに出力される。
【0012】
操舵装置102は、外部からの駆動指令により電動や油圧のアクチュエータなどで舵角を制御することの可能な電動パワーステアリング、油圧パワーステアリング等で構成される。
【0013】
駆動装置103は、外部からの駆動指令により電動のスロットルなどでエンジントルクを制御することの可能なエンジンシステムや、モータなどで外部からの駆動指令により駆動力を制御することが可能な電動パワートレインシステム等で構成される。
【0014】
制動装置104は、外部からの駆動指令により電動や油圧のアクチュエータなどで制動力を制御することの可能な電動ブレーキや油圧ブレーキ等で構成される。
【0015】
音発生装置105は、スピーカー等で構成され、運転者に対する警報等の出力に用いられる。
表示装置106は、ナビゲーション装置等のディスプレイ、メーターパネル、警告灯等で構成される。表示装置106には、制御装置100aの操作画面のほか、自車両が障害物に衝突する危険があることなどを運転者に視覚的に伝える警告画面が表示される。
【0016】
自動駐車ボタン107は、運転者が操作可能な位置に設けられた操作部材であって、運転者の操作に応じて制御装置100aの動作を開始させる開始信号を制御装置100aへ出力する。
【0017】
周辺環境認識部1は、外環境認識装置101から入力された自車両の周囲を撮像した画像データを用いて、自車両周辺の静止立体物、移動体、駐車枠線等の路面ペイント、標識等の物体の形状や位置を検出する。静止立体物とは、たとえば、駐車車両、壁、ポール、パイロン、縁石、車止めなどである。また、移動体とは、たとえば、歩行者、自転車、バイク、車両などである。以降、静止立体物と移動体の二つをまとめて障害物と呼ぶ。物体の形状や位置は、パターンマッチング手法やその他の公知技術を用いて検出される。物体の位置は、たとえば、自車両の前方を撮影する車載カメラの位置に原点を有する座標系を用いて表現される。
【0018】
また、周辺環境認識部1は、検出した物体の形状や位置に関する情報に基づいて、自車両を駐車させることができる空間、駐車可能スペースを検出する。たとえば、平行な駐車枠線に挟まれた空間を駐車可能スペースとして検出する。
【0019】
駐車経路生成部2は、自車両と障害物との位置関係から自車両を駐車する目標駐車位置を駐車可能スペース内に設定し、現在の自車位置から目標駐車位置に駐車するための目標経路を生成する。
【0020】
衝突予測部3は、駐車経路生成部2が生成した経路に沿って自車両が走行したときに障害物と衝突するか否かを判断する。衝突予測部3は、周辺環境認識部1の認識結果に基づいて、移動体の移動経路を推測し、自車両の経路と移動体の予測経路との交点で自車両が移動体と衝突するか否かを判定する。
【0021】
自車移動方向判定部4は、駐車経路生成部2で生成した駐車経路に基づいて、障害物と衝突するときの自車両の移動方向を判定する。自車移動方向判定部4が判定する自車両の移動方向には、自車両が前進中か後進中かという判定の結果と、自車両が直進中か旋回中かという判定の結果とを含む。すなわち、自車移動方向判定部4は、自車両の進行方向が(前進,直進)、(後進,直進)、(前進,旋回)、(後進,旋回)のいずれの組み合わせであるかを少なくとも判定する。
【0022】
車両制御部5は、駐車経路生成部2で生成した駐車経路に沿って自車両を制御する。車両制御部5は、駐車経路に基づいて目標舵角と目標速度を演算する。そして、車両制御部5は、その目標舵角を実現するための目標操舵トルクを操舵装置102へ出力する。また、車両制御部5は、目標速度を実現するための目標エンジントルクや目標ブレーキ圧を駆動装置103や制動装置104へ出力する。また、車両制御部5は、衝突予測部3で自車両と障害物との衝突が予測された場合、自車が障害物に衝突しないように目標舵角と目標速度を演算して、その目標舵角や目標速度に基づいた制御パラメータを操舵装置102、駆動装置103、および制動装置104へ出力する。
【0023】
警報制御部6は、衝突予測部3で自車両と障害物との衝突が予測される場合に、後述するタイミングで運転者に注意を促すための警報発生指令を音発生装置105や表示装置106などに出力する。音発生装置105は、警報発生指令に基づいて、所定の警報を音声出力する。表示装置106は、警報発生指令に基づいて、所定の警告画面を表示する。
【0024】
以下、自車両を駐車場の駐車枠内に後ろ向きに駐車する場合の制御装置100aの動作について説明する。駐車場に進入した自車両の運転者が自動駐車ボタン107を操作すると、周辺環境認識部1が動作を開始して、駐車可能スペースの検出を開始する。
【0025】
周辺環境認識部1には、毎フレームごとに外環境認識装置101から自車両の周囲を撮像した画像データが入力される。周辺環境認識部1は、外環境認識装置101、たとえば、自車両の四方の周囲環境をそれぞれ撮影する4個の車載カメラから入力された画像データを用いて、公知の手法により、自車両の周囲環境に関する俯瞰画像を生成する。周辺環境認識部1は、その俯瞰画像から駐車可能スペースを検出する。
【0026】
図2(a)は、周辺環境認識部1が生成した自車両の周囲環境に関する俯瞰画像の一例である。
図2(a)に例示する俯瞰画像300では、自車両301の右側に駐車枠線303で区切られ、車止め304が設けられた3台分の並列駐車用の駐車スペースが存在している。3台分の駐車スペースのうち左側と右側の駐車スペースにはそれぞれ駐車車両302が存在する。中央の駐車スペースには、駐車車両が存在せず、自車両301を駐車することができる。自車両301の左側には5個のパイロン305が存在しており、自車両301の前方左側には自車両301に近づく歩行者306が存在している。
【0027】
周辺環境認識部1は、俯瞰画像300に対して公知のパターンマッチング手法等を用いて、駐車車両302と、駐車枠線303と、車止め304と、パイロン305と、歩行者306とを検出して、それらの位置に関する情報を取得する。たとえば、周辺環境認識部1は、駐車車両302、パイロン305をそれぞれ矩形312、矩形315として認識し、それらの角の座標を取得する。また、周辺環境認識部1は、駐車枠線303、車止め304をそれぞれ線分313、線分314として認識し、その両端の座標を取得する。さらに周辺環境認識部1は、歩行者306を点316として認識し、その座標を取得する。
【0028】
また、周辺環境認識部1は、複数フレーム分の俯瞰画像から歩行者306の移動方向を検出して、その移動方向を表すベクトル318を取得する。周辺環境認識部1には、自車両301の形状に関する情報が予め設定されている。たとえば、周辺環境認識部1には、自車両301を表す矩形310の角の座標が予め設定されている。なお、以降の説明では、自車両301を表す矩形310のことを自車両310と略記し、駐車車両302を表す矩形312のことを駐車車両312と略記することがある。
【0029】
周辺環境認識部1は、たとえば、俯瞰画像に基づいて、駐車枠線303で挟まれており、かつ車止め304が検出されており、かつ自車両301よりも大きな領域を駐車可能スペース317として検出する。駐車車両312が存在する駐車スペースは、駐車車両312により車止め314が隠れるため駐車可能スペースとして検出されない。
図2(b)では、駐車可能スペース317は、矩形の領域として検出される。周辺環境認識部1は、その領域の角の位置情報を算出する。
【0030】
制御装置100aは、駐車可能スペース317が検出されると、運転者に対して自動駐車制御に切り替え可能であることを報知する。たとえば、制御装置100aは、「自動駐車可能です。停止してください。」というメッセージを音発生装置105や表示装置106から出力する。この報知を受けて運転者が自車両301を停止させると、制御装置100aは、駐車経路生成部2の処理を開始する。駐車経路生成部2は、周辺環境認識部1が検出した駐車可能スペース317の中に目標駐車位置を設定して、自車両301が停止した位置から目標駐車位置までの目標経路を演算する。以降、駐車運転開始に際して自車両301が停止した位置を誘導開始位置と呼ぶ。
【0031】
図3は、自車両301が
図2(a)に示す位置に停止した場合に駐車経路生成部2が設定した目標駐車位置411と、その目標駐車位置411までの目標経路を示す図である。駐車経路生成部2は、目標駐車位置411を
図2(b)に示した駐車可能スペース317の内側に設定する。
【0032】
また、駐車経路生成部2は、自車両310を目標駐車位置411に後ろ向きに駐車するため、切り返し位置410を設定する。駐車経路生成部2は、自車両310の誘導開始位置から切り返し位置410まで自車両310を前進させる前進経路400と、切り返し位置410から目標駐車位置411まで自車両310を後進させる後進経路401とを目標経路として設定する。
【0033】
図3に示す前進経路400は、自車両310を左側に幅寄せするための旋回区間と、旋回を開始する旋回開始位置421まで誘導開始位置から直進する直進区間とを有する。駐車経路生成部2は、直進区間の経路を直線で表し、旋回区間の経路をクロソイド曲線と円弧とを組み合わせて近似する。クロソイド曲線は、自車両310の速度を一定にし、自車両310の舵角を一定の角速度で変化させたときに自車両が描く軌跡を表す。円弧は、自車両310の速度を一定にし、自車両310の舵角を所定値(自車両が直進する舵角を除く)に固定して運転したときに自車両が描く軌跡を表す。
【0034】
図3に示す後進経路401は、切り返し位置410から目標駐車位置411までクロソイド曲線と円弧とを組み合わせた曲線で表される。後進経路401の終点は、自車両310の後輪が車止め314に接触する位置に設定される。
【0035】
制御装置100aは、前進経路400と後進経路401とを演算すると、所定時間後に「自動駐車開始ボタンを押してください。」というメッセージを音発生装置105や表示装置106から出力する。運転者が自動駐車ボタン107を操作すると、制御装置100aは、衝突予測部3の処理を開始する。衝突予測部3は、自車両が前進経路400および後進経路401に沿って移動したときに障害物と衝突するか否かを判定する。衝突予測部3は、周辺環境認識部1が検出した移動体の移動方向、たとえば歩行者306の移動方向に基づいて、歩行者306が通過すると推測される推測経路を演算する。
【0036】
図4は、衝突予測部3が生成した歩行者306の推測経路431の一例を示す。推測経路431は、歩行者306がベクトル318の示す方向にそのまま直進すると仮定した場合の推測経路である。
【0037】
衝突予測部3は、自車両301が障害物に衝突するおそれがある位置として、前進経路400と推測経路431との交点432を算出する。衝突予測部3は、自車両301の目標経路と歩行者306の推測経路の交点432に自車両と歩行者がそれぞれ到達するまでの時間を算出し、両者がそれぞれ交点432に到達したときの位置関係から自車両301と歩行者306とが衝突するか否かを判定する。衝突予測部3は、後進経路401についても同様に推測経路431との交点を算出して、自車両301と歩行者306とがその交点に到達するまでの時間を算出し、自車両301と歩行者306とが衝突するか否かを判定する。衝突予測部3は、自車両301が障害物に衝突すると判定した交点の位置を予想衝突位置として車両制御部5に出力する。
【0038】
車両制御部5は、自車両301が障害物と衝突しないことを衝突予測部3が判定した場合、すなわち予想衝突位置が出力されていない場合、駐車経路生成部2が生成した前進経路400と後進経路401とに沿って自車両301を誘導する。車両制御部5は、自車両301が前進経路400および後進経路401に沿って移動するように目標速度と目標舵角とを決定して、その目標舵角を操舵装置102へ出力し、目標速度を駆動装置103および制動装置104に出力する。
【0039】
図5(a)は、前進経路上で自車両301が障害物と衝突しないことを衝突予測部3が判定した場合に実施される車両制御部5による目標速度制御の一例を示す図である。
図5(a)の横軸は、前進経路400に沿った位置を表し、縦軸はその位置での目標速度を表す。横軸の左端は誘導開始位置である。車両制御部5は、切り返し位置410の手前の減速開始位置から徐々に目標速度を低下させ、自車両301を切り返し位置410で停止させる。
【0040】
車両制御部5は、前進経路上で自車両301が障害物と衝突することを衝突予測部3が判定した場合、前進経路400上の衝突位置から余裕距離DISTだけ手前で自車両301を停止させて障害物との衝突を回避する。
【0041】
図5(b)は、自車両301が障害物と衝突すると衝突予測部3が判定した場合に実施される車両制御部5による目標速度制御の一例を示す図である。
図5(b)の横軸は、前進経路400に沿った位置を表し、縦軸はその位置での目標速度を表す。
図5(b)の横軸の左端は誘導開始位置である。
図5(b)では、障害物との予想衝突位置から余裕距離DISTだけ手前の目標停止位置で自車両301が停止するように自車両301の目標速度を低下させる。
【0042】
たとえば、
図6(a)のように自車両301が前進経路400に沿って前方に直進している場合、すなわち自車両の移動方向が(前進,直進)の場合に、交点432で衝突することが予想される場合、
図6(b)に示すように交点432から余裕距離DISTだけ手前の前進経路400上の位置で自車両が停止するように自車両301の目標速度を低下させる。
【0043】
余裕距離DISTは、予想衝突位置における自車両301の進行方向に基づいて変化させて、運転者が慎重に運転する状況ほど大きく設定される。すなわち、運転者が慎重に運転する状況ほど予想衝突位置よりも手前で停止する。
【0044】
たとえば、
図7(a)に示すように、自車両301が後進しているとき、運転者は、自車両301の後方側を歩く歩行者802が死角に存在するおそれがあるため、自車両301を慎重に運転する傾向にある。
図7(b)に示すように、予想衝突位置において自車両301が後進している場合には、前進している場合よりも余裕距離DISTを大きい値に設定して、自車両301と障害物との間の距離を大きくすることで、運転者に違和感を覚えさせることなく自車両301を停止させることができる。また、歩行者802から離れた位置で自車両301が停止するため、歩行者802の安全性も向上する。
【0045】
また、たとえば、
図8(a)に示すように、自車両301が旋回しているとき、運転者は、自車両301の動きを予測することが難しいため、自車両301を慎重に運転する傾向にある。そこで、
図8(b)に示すように、予想衝突位置において自車両301が旋回している場合には、直進している場合よりも余裕距離DISTを大きい値に設定して、自車両301と障害物との間の距離を大きくすることで、運転者に違和感を覚えさせることなく自車両301を停止させることができる。また、歩行者902から離れた位置で自車両301が停止するため、歩行者902の安全性も向上する。
【0046】
余裕距離DISTは、たとえば、以下の式(1)を用いて算出される。STDDISTは、所定値であって、たとえば3mである。BACKGAINは、自車両が後進している場合に、余裕距離DISTを大きな値に調整するためのゲインである。TURNGAINは、自車両が旋回している場合に、余裕距離DISTを大きな値に調整するためのゲインである。
DIST=STDDIST×BACKGAIN×TURNGAIN (1)
【0047】
BACKGAINは、たとえば、予想衝突位置において自車両が前進している場合は1に設定され、予想衝突位置において自車両が後進している場合は1.2に設定される。TURNGAINは、たとえば、予想衝突位置において自車両が直進している場合は1に設定され、予想衝突位置において自車両が旋回している場合は1.2に設定される。
【0048】
余裕距離DISTは、予想衝突位置における自車両の進行方向が(前進,直進)の場合に一番小さい値となり、たとえば3mに設定される。余裕距離DISTは、予想衝突位置における自車両の進行方向が(前進,旋回)または(後進、直進)の場合に、小数点以下切り上げて4mに設定される。余裕距離DISTは、予想衝突位置における自車両の進行方向が(後進,旋回)の場合に、小数点以下切り上げて5mに設定される。
【0049】
車両制御部5は、目標停止位置に自車両301を停止させた後に、衝突予測部3が障害物との衝突するおそれがないと判定すると、駐車経路生成部2が生成した目標経路に沿って自車両を制御する。
【0050】
図9および
図10は、制御装置100aの処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS200では、制御装置100aは、自動駐車ボタン107が操作されたか否かを判定する。制御装置100aは、自動駐車ボタン107が操作されるまでステップS200の処理を繰り返し、自動駐車ボタン107が操作された場合、ステップS201の処理に進む。
【0051】
図9のステップ201では、制御装置100aは、外環境認識装置101から画像データの取り込みを開始する。以降、毎フレームごとに外環境認識装置101から画像データを取り込む。
【0052】
ステップ202では、制御装置100aは、ステップ201で取り込んだ画像データを周辺環境認識部1に入力し、駐車可能スペースを検出する。以降、制御装置100aは、外環境認識装置101から画像データを取り込むごとに周辺環境認識部1に入力し、自車両周辺の静止立体物、移動体、駐車枠線等の路面ペイント、標識等の物体の形状や位置を検出する。
【0053】
ステップS203では、制御装置100aは、ステップS202において駐車可能スペースが検出されたか否かを判定する。制御装置100aは、駐車可能スペースが検出された場合、ステップS204の処理に進み、駐車スペースが検出されていない場合、ステップS202の処理に戻る。
【0054】
ステップS204では、制御装置100aは、自車両の停止を促すメッセージ、たとえば、「自動駐車可能です。停止してください。」というメッセージを音発生装置105や表示装置106から出力する。
【0055】
ステップS205では、制御装置100aは、自車両が停止したか否かを判定する。すなわち、制御装置100aは、自車両が誘導開始位置で停止したか否かを判定する。制御装置100aは、自車両が停止した場合、ステップS206の処理に進み、自車両が停止していない場合、ステップS202の処理に進む。
【0056】
ステップS206では、制御装置100aは、ステップS202で検出した駐車可能スペースを駐車経路生成部2に入力するとともに、自車両が停止した位置を誘導開始位置と認識する。そして、駐車可能スペースに目標駐車位置を設定して、自車両が停止している位置、すなわち誘導開始位置から目標駐車位置に到達するまでの目標経路、すなわち上述した前進経路と後進経路を生成する。
【0057】
ステップS207では、制御装置100aは、自動駐車開始ボタンの操作を促すメッセージ、たとえば、「自動駐車開始ボタンを押してください。」というメッセージを音発生装置105や表示装置106から出力する。
【0058】
ステップS208では、制御装置100aは、自動駐車ボタン107が操作されたか否かを判定する。制御装置100aは、自動駐車ボタン107が操作されるまでステップS208の処理を繰り返し、自動駐車ボタン107が操作された場合、ステップS209の処理に進む。
なお、自動駐車ボタン107が操作された場合、「自動走行が開始されます。走行開始後、ハンドル、アクセル、ブレーキの操作が行われると、自動駐車支援処理は終了します」のようなメッセージを音声で案内することが好ましい。
【0059】
ステップS209では、制御装置100aは、ステップS206にて生成した前進経路と後進経路に沿って自車両が移動する場合に、自車両が障害物に衝突するか否かを判定する。制御装置100aは、自車両が障害物に衝突するか否かを判定した後、
図10に示すステップS210の処理に進む。
【0060】
図10のステップ210では、制御装置100aは、ステップS205で生成した目標経路、すなわち前進経路と後進経路に基づき目標舵角と目標速度を演算する。前述したとおり、前進経路と後進経路は、直線とクロソイド曲線と円弧とを組み合わせて構成されている。制御装置100aは、直線の軌跡については、自車両が直進方向に目標速度で走行するように目標舵角と目標速度とを設定する。制御装置100aは、クロソイド曲線の軌跡については、自車両の走行軌跡がクロソイド曲線となるように、目標舵角を所定の角速度で変化させると共に、目標速度を所定の速度に設定する。制御装置100aは、円弧の軌跡については、自車両の走行軌跡が円弧となるように、目標舵角を所定の舵角に設定し、目標速度を所定の速度に設定する。
【0061】
たとえば、制御装置100aは、目標経路に沿って車両が駐車開始位置から駐車終了位置まで移動するように、所定時間ごとの速度と舵角を演算して自動運転制御データとして記憶しておく。自動運転開始後、制御装置100aは、自動運転制御データを用いてフィードフォーワード制御で車両を自動運転する。なお、駐車開始位置から走行を開始した後、自車位置を算出して目標経路との誤差を修正するのが好ましい。
【0062】
ステップS211では、制御装置100aは、
図9のステップS209で障害物に衝突すると予測されたか否かを判定する。制御装置100aは、ステップS209で障害物に衝突すると予測されている場合は、ステップS212の処理に進み、ステップS209で障害物に衝突すると予測されていない場合は、ステップS215の処理に進む。
【0063】
ステップS212では、制御装置100aは、予想衝突位置での自車両の移動方向を判断する。制御装置100aは、予想衝突位置が前進経路上に位置する場合、予想衝突位置での自車両の移動方向を前進と判断し、予想衝突位置が後進経路上に位置する場合、予想衝突位置での自車両の移動方向を後進と判断する。また、制御装置100aは、予想衝突位置が直線で表された経路上に位置する場合は、予想衝突位置での自車両の移動方向を直進と判断し、予想衝突位置がクロソイド曲線または円弧で表された経路上に位置する場合は、予想衝突位置での自車両の移動方向を旋回と判断する。
【0064】
ステップS213では、制御装置100aは、ステップS212で判断された自車両の移動方向に基づいて、余裕距離DISTを演算する。制御装置100aは、予想衝突位置から余裕距離DISTだけ手前の位置に目標停止位置を設定する。
【0065】
ステップS214では、制御装置100aは、
図5(b)に示す減速開始位置と目標停止位置との間の目標速度を演算する。たとえば、制御装置100aは、減速開始位置と目標停止位置との間で等減速度で減速して、目標停止位置で目標速度がゼロとなるように、減速開始位置と目標停止位置との間の目標速度を演算する。
【0066】
ステップS215では、制御装置100aは、目標舵角と目標速度に基づいて、自車両の走行を開始させる。すなわち、制御装置100aは、目標舵角に応じた操舵指令を操舵装置102に送出すると共に、目標速度に応じた制駆動指令を駆動装置103および制動装置104に送出する。
【0067】
ステップS216では、制御装置100aは、
図9のステップS209で障害物に衝突すると予測されたか否かを判定する。制御装置100aは、ステップS209で障害物に衝突すると予測されている場合は、ステップS217の処理に進み、ステップS209で障害物に衝突すると予測されていない場合は、ステップS219の処理に進む。
【0068】
ステップS217では、制御装置100aは、自車両の位置が減速開始位置か否かを判定する。制御装置100aは、自車両の位置が減速開始位置である場合は、ステップS218の処理に進み、自車両の位置が減速開始位置でない場合は、ステップS219の処理に進む。
【0069】
ステップS218では、制御装置100aは、ステップS209で障害物に衝突すると判定されている場合、衝突回避のために減速することについて運転者に注意を促すため警報発生指令を警報制御部6に生成させる。警報制御部6は、その警報発生指令を音発生装置105や表示装置106に出力する。
【0070】
ステップS219では、制御装置100aは、自車両が目標停止位置に到達したか否かを判定する。制御装置100aは、自車両が目標停止位置に到達していない場合、ステップS216の処理に進む。制御装置100aは、自車両が目標停止位置に到達している場合、すなわち自車両が目標停止位置で停止している場合は、処理を終了する。
【0071】
以上で説明した第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)自動駐車制御装置は、認識された駐車スペースに向かって自車両が目標経路に沿って移動するように操舵制御と速度制御を行い、自車両に接近する障害物を検知したときは、自車両が障害物と衝突する衝突位置を演算し、自車両の運転挙動に応じて設定される余裕距離と衝突位置とに基づいて、余裕距離だけ衝突位置の手前に設定される目標経路上での停止位置を演算し、演算された停止位置で自車両が停止するように速度制御を行うものである。したがって、自動駐車制御中に障害物への衝突が予測され、自車両を停止させる際に、運転者に違和感を覚えさせない。
【0072】
(2)制御装置100aは、衝突位置は障害物の予想進行経路と目標経路とが交差する位置であり、さらに、自車両と障害物が略同時にその衝突位置に到達する際の位置である。したがって、駐車運転開始前に衝突する可能性のある障害物をあらかじめ検出できるので、自動駐車運転中に自車両に接近する障害物を検出する必要がない。
【0073】
(3)駐車スペースと障害物は、自車両周囲をカメラで撮像して取得した画像に基づいて検知するようにしたので、レーダなどによる障害物検知装置に比べて装置を安価に構成することができる。
【0074】
(4)目標経路は、自車両を現在位置から切り返し位置まで前進する前進経路と、切り返し位置から駐車スペースまで後進する後進経路とを含み、運転挙動は前進中が後進中かである。後進経路上での余裕距離は、前進経路上での余裕距離よりも大きく設定した。したがって、運転者自ら運転して駐車する際と違和感なく障害物に停止する手前の停止位置で車両を停止できる。
【0075】
(5)目標経路は、自車両を現在位置から切り返し位置まで前進する前進経路と、切り返し位置から駐車スペースまで後進しつつ直進と旋回を行う後進経路とを含み、運転挙動は直進中か旋回中かである。旋回経路上での余裕距離は、直進経路上での余裕距離よりも大きく設定した。したがって、運転者自ら運転して駐車する際と違和感なく障害物に停止する手前の停止位置で車両を停止できる。
【0076】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態による駐車支援装置の概略構成図である。
図11に示す制御装置100bは、駆動装置103および制動装置104に接続されておらず、自車両の速度を制御せず、舵角のみを制御する。すなわち、第2の実施の形態では、自車両301の速度は、運転者がアクセルやブレーキを操作して制御する。また、制御装置100bは、自車移動方向判定部4と、車両制御部5と、警報制御部6の代わりに自車移動方向判定部1001と、車両制御部1002と、警報制御部1003とを備える。なお、
図11の構成のうち
図1に示された構成と同一の機能を有する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0077】
自車移動方向判定部1001は、第1の実施の形態の自車移動方向判定部4と同様に、障害物と衝突するときの自車の移動方向(前進中か後進中か、直進中か旋回中か)を判定し、警報制御部1003に判定結果を出力する。第2の実施の形態による制御装置100bは、自車両の速度制御を行わないため、車両制御部1002が余裕距離を算出しない。そのため、自車移動方向判定部1001は、その判定結果を車両制御部1002に送信しない点が第1の実施の形態の自車移動方向判定部4と異なっている。
【0078】
車両制御部1002は、駐車経路生成部2で生成した経路に沿って目標舵角を演算して、その目標舵角を実現するための目標操舵トルクを操舵装置102に出力する。
【0079】
警報制御部1003は、第1の実施の形態における車両制御部5と同様に、自車両の移動方向に基づいて、式(1)を用いて余裕距離DISTを算出する。警報制御部1003は、衝突予測部3が算出した予想衝突位置から余裕距離DISTだけ手前に警報位置を設定する。警報制御部1003は、衝突予測部3で自車両と障害物との衝突が予測された場合、自車両が警報位置に到達したときに音発生装置105や表示装置106に向けて警報発生指令を出力する。
【0080】
制御装置100bが行う処理は、
図9のステップS209までは第1の実施の形態の制御装置100aが行う処理と同様である。
ただし、第1の実施形態では、
図9のステップS208において、自動駐車ボタン107が操作された場合、「自動走行が開始されます。走行開始後、ハンドル、アクセル、ブレーキの操作が行われると、自動駐車支援処理は終了します」のようなメッセージを音声で案内することが好ましいとした。しかし、第2の実施形態は、操舵のみ自動運転であるので、「アクセルペダルが踏み込まれると自動操舵が開始されます」のメッセージを音声で報知する。このメッセージとして、さらに、「走行開始後、ハンドルの操作が行われると、自動駐車支援処理は終了します」のようなメッセージを報知することが好ましい。
【0081】
図12は、制御装置100bが
図9のステップS209の処理を実行した後に行う処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示すステップ、すなわち、各処理のうち、
図10に示した処理と同様の処理については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0082】
ステップS1215では、アクセルペダルが踏み込まれていれば、制御装置100bは、半自動駐車運転、すなわち駐車支援運転を開始して自車両を走行させる。すなわち、運転者がアクセルとブレーキとを操作して走行する車両の制御装置100bは、目標舵角に応じて操舵装置102を制御する。
より具体的に説明すると次のとおりである。第1の実施形態のステップS210では、制御装置100aは、ステップS205で生成した目標経路、すなわち前進経路と後進経路に基づき目標舵角と目標速度を演算するようにしたが、第2の実施形態の半自動駐車運転装置では、ステップ1215で走行が開始されると、たとえば、制御装置100bは、所定時間ごとに自車位置を算出して目標経路との偏差を算出し、その偏差に基づいて目標経路上を自車両が走行するように舵角を計算する。そして、制御装置100bは、計算された舵角の指令を操舵装置102に送出する。このような制御により、車両が目標経路に沿って駐車開始位置から駐車終了位置まで移動する。
【0083】
ステップS1217では、制御装置100bは、自車両の位置が減速開始位置であるか否かを判定する。上述したように、第2の実施形態では、リアルタイムで自車位置を検出して目標経路との偏差を計算しているので、計算された自車位置が減速開始位置に到達したか否かを判定する。制御装置100bは、自車両の位置が減速開始位置である場合、処理を
図12のステップS218に進め、自車両の位置が減速開始位置でない場合、処理をステップS1219に進める。自車位置は、車速による移動きりと操舵量に基づいて検出できる。
【0084】
ステップS1219では、制御装置100bは、計算された自車位置が目標停止位置に到達したか否かを判定する。目標停止位置に到達したら音声にて、「目標停止位置に到達しました」のような音声案内を行う。
なお、減速開始位置および目標停止位置の検出は、外環境認識装置101から取得した撮像画像に基づいて俯瞰画像を生成し、その俯瞰画像における自車両の現在位置に基づいて、目標停止位置に到達したか否かを判定するようにしてもよい。
【0085】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)自動駐車制御装置は、認識された駐車スペースに向かって自車両を目標経路に沿って移動するように操舵制御を行い、自車両に接近する障害物を検知したときは、自車両が障害物と衝突する衝突位置を演算し、目標経路上の衝突位置よりも手前の位置であって、自車両の運転挙動に応じて設定される余裕距離だけ手前の警報位置に到達したときに警報を出力するようにした。したがって、自動駐車制御中に障害物への衝突が予測され、自車両を停止させる際に、運転者に違和感を覚えさせないように警報を出力することができる。
【0086】
(2)制御装置100bは、衝突位置は障害物の予想進行経路と目標経路とが交差する位置であり、さらに、自車両と障害物が略同時にその衝突位置に到達する際の位置である。したがって、駐車運転開始前に衝突する可能性のある障害物をあらかじめ検出できるので、自動駐車運転中に自車両に接近する障害物を検出する必要がない。
【0087】
(3)駐車スペースと障害物は、自車両周囲をカメラで撮像して取得した画像に基づいて検知するようにしたので、レーダなどによる障害物検知装置に比べて装置を安価に構成することができる。
【0088】
(4)目標経路は、自車両を現在位置から切り返し位置まで前進する前進経路と、切り返し位置から駐車スペースまで後進する後進経路とを含み、運転挙動は前進中が後進中かである。後進経路上での余裕距離は、前進経路上での余裕距離よりも大きく設定した。したがって、運転者自ら運転して駐車する際と違和感なく障害物に停止する手前の停止位置で車両を停止できる。
【0089】
(5)目標経路は、自車両を現在位置から切り返し位置まで前進する前進経路と、切り返し位置から駐車スペースまで後進しつつ直進と旋回を行う後進経路とを含み、運転挙動は直進中か旋回中かである。旋回経路上での余裕距離は、直進経路上での余裕距離よりも大きく設定した。したがって、運転者自ら運転して駐車する際と違和感なく障害物に停止する手前の停止位置で車両を停止できる。
【0090】
以上で説明した実施形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例1)上記の実施の形態では、外環境認識装置101は、4個の車載カメラとしたが、他の物を用いて構成してもよい。たとえば、ミリ波やレーザーを用いて物体との距離を計測するレーダ、超音波を用いて自車両の周囲に存在する物体との距離を計測するソナーなどでもよい。外環境認識装置101としてレーダやソナーを用いる場合、計測された物体との距離とその方角に関する情報を専用線などを用いて制御装置100aに出力することにすればよい。また、外環境認識装置101として車載カメラを用いる場合であっても、その個数は4個だけに限定されない。自車両の全周囲を撮像可能であれば1個以上のいかなる個数であってもよい。
【0091】
(変形例2)上記の実施の形態では、自車移動方向判定部4は、自車両の移動方向として、自車両の前進、後進、直進、旋回に関する情報を検出することにした。しかし、自車移動方向判定部4が自車両の移動方向として旋回を検出する場合は、右旋回と左旋回とを区別して検出することにしてもよい。車両制御部5は、自車両が予想衝突位置において右旋回しているか左旋回しているかに基づいて、TURNGAINの値を変更することにしてもよい。たとえば、自車両が右ハンドルの場合に自車両が左旋回するとき、運転者は、自車両の左側面周辺を視認することが困難である。そのため、車両制御部5は、左旋回時のTURNGAINの値を右旋回時のTURNGAINの値よりも大きく設定することにすればよい。一方、自車両が左ハンドルの場合に自車両が右旋回するときは、車両制御部5は、右旋回時のTURNGAINの値を左旋回時のTURNGAINの値よりも大きく設定することにすればよい。
【0092】
(変形例3)上記の実施の形態では、駐車場に進入した自車両を後ろ向きに駐車する場合を例に本発明に係る自動駐車制御装置の動作を説明した。しかし、本発明に係る自動駐車制御装置は、自車両を他の条件で駐車する場合であっても、同様の処理を用いて運転者に違和感を覚えさせないように自車両を停止させることができる。たとえば、縦列駐車を行う場合、自車両を前向きに駐車する場合、自車両を自宅の車庫に駐車する場合などであっても、駐車経路を設定することができる環境であれば、自車両を誘導することができる。また、自車両を他の条件で駐車する場合であっても、自車両の進行方向に応じて余裕距離を変更することにより、運転者に違和感を覚えさせないように自車両を停止させることができる。
【0093】
(変形例4)上記の実施の形態では、周辺環境認識部1は、駐車車両302およびパイロン305を矩形として認識し、駐車枠線303および車止め304を線分として認識し、歩行者306を点316として認識した。しかし、周辺環境認識部1による各物体の認識方法は、これらの方法に限定しない。たとえば、駐車車両を矩形以外の多角形や楕円などの任意形状で認識してもよいし、歩行者を点ではなく円で認識することにしてもよい。
【0094】
(変形例5)第1の実施の形態では、車両制御部5は、目標舵角を実現するための目標操舵トルクを操舵装置102へ出力し、目標速度を実現するための目標エンジントルクや目標ブレーキ圧を駆動装置103や制動装置104へ出力することにした。しかし、車両制御部5は、目標舵角をそのまま操舵装置102へ出力し、目標速度をそのまま駆動装置103や制動装置104へ出力することにしてもよい。第2の実施の形態の車両制御部1002についても同様に、目標舵角をそのまま操舵装置102へ出力することにしてもよい。
【0095】
(変形例6)第1の実施の形態では、車両制御部5は、自車両が直進している場合にTURNGAINを1に設定し、自車両が旋回している場合はTURNGAINを1.2に設定することにした。しかし、TURNGAINの設定方法は、この方法だけに限定されない。たとえば、自車両の舵角が5度未満の場合はTURNGAINを1に設定し、自車両の舵角が5度以上20度未満の場合はTURNGAINを1〜1.2に線形的に増加させ、自車両の舵角が20度以上の場合はTURNGAINを1.2に設定することにしてもよい。第2の実施の形態の警報制御部1003も同様に、自車両の舵角が5度未満の場合はTURNGAINを1に設定し、自車両の舵角が5度以上20度未満の場合はTURNGAINを1〜1.2に線形的に増加させ、自車両の舵角が20度以上の場合はTURNGAINを1.2に設定することにしてもよい。
【0096】
また、上記の実施の形態では、余裕距離DISTは、STDDISTとBACKGAINとTURNGAINの積として算出することとしたが、STDDISTとBACKGAINとTURNGAINの和として算出することにしてもよい。
【0097】
(変形例7)第2の実施の形態では、警報制御部1003は、衝突予測部3が算出した予想衝突位置から余裕距離DISTだけ手前に警報位置を設定して、自車両が警報位置に到達したときに警報発生指令を出力することにした。しかし、警報制御部1003が警報発生指令を出力するタイミングは、余裕距離DIST以外の方法で指定することにしてもよい。たとえば、自車両が予想衝突位置に到達する予想衝突時刻を算出して、その予想衝突時刻から所定時間前に警報発生指令を出力することにしてもよい。
【0098】
(変形例8)上記の実施の形態では、衝突予測部3が予想衝突位置を算出する際、障害物が一定方向に直進するものと仮定して推測経路を演算した。しかし、障害物は、必ずしも一定方向に直進するとは限らない。たとえば、歩行者は、自車両を避けるために進行方向を変える可能性があり、一定速度で同じ方向に移動し続ける可能性は高くない。そこで、歩行者の移動する範囲を予測して、自車両との衝突を予測することにしてもよい。
【0099】
また、歩行者などの障害物は、ステップS215における自動駐車運転を開始した後に現れるおそれがある。衝突予測部3は、ステップS209の処理後もリアルタイムに自車両が障害物に衝突するか否かを判定することにしてもよい。自車両が障害物に衝突すると衝突予測部3が予測した場合は、制御装置100aは、割り込み処理により、ステップS210の処理に戻ることにしてもよい。
【0100】
また、衝突予測部3がリアルタイムに障害物との衝突予測、予想衝突位置の算出、目標停止位置の算出を行う場合、余裕距離DISTは、現在の自車両の移動方向に基づいて変化させることにしてもよい。現在の自車両の移動方向は、自車両から取得したギア位置や舵角、ヨーレート等の情報を用いて判定すればよい。たとえば、自車両のギア位置が「R(Reverse)」の場合は、自車両が後進していると判定することにしてもよい。また、たとえば、自車両のギア位置が「P(Parking)」、「N(Neutral)」、「R(Reverse)」のいずれでも無い場合は、自車両が前進していると判定することにしてもよい。
【0101】
(変形例9)第2の実施の形態では、制御装置100bは、自車両の速度を制御せず、舵角のみを制御することにしたが、舵角についても制御装置100bで制御しないことにしてもよい。たとえば、自車両が目標経路に沿って進行するように。進行方向と、車速と、操舵方向と、操舵量とを音声案内するような駐車支援装置に本発明を適用することもできる。この場合、目標経路上を進行する自車両に接近する障害物が所定時間後に自車両に衝突する可能性があると判定したとき、前進中、後進中、直進中、旋回中に応じて設定された余裕距離だけ衝突予想位置の手前の位置で警報を報知する。あるいは、自動的に制動をかけて衝突を回避するようにしてもよい。
【0102】
(変形例10)上記の実施の形態では、自車両が障害物に衝突することを衝突予測部3が予測し、かつ自車両の位置が減速開始位置であるときに警報発生指令を警報制御部6に生成させることにした。しかし、警報発生指令を警報制御部6に生成させるタイミングは、自車両の位置が減速開始位置であるときだけに限定しない。たとえば、制御装置100aおよび制御装置100bは、自車両の位置が減速開始位置に到達する直前に警報発生指令を警報制御部6に生成させることにしてもよい。
【0103】
以上で説明した実施の形態や変形例はあくまで例示に過ぎず、発明の特徴が損なわれない限り本発明はこれらの内容に限定されない。また、以上で説明した実施の形態や変形例は発明の特徴が損なわれない限り組み合わせて実行してもよい。