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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-81185(P2015-81185A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】カード用両面プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 15/02 20060101AFI20150331BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20150331BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20150331BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20150331BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20150331BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20150331BHJP
   B65H 1/02 20060101ALN20150331BHJP
【FI】
   B65H15/02 A
   B65H9/00 K
   B41J11/70
   B41J3/20 109Z
   B41J3/20 117C
   B41J3/00 S
   B65H1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-220732(P2013-220732)
(22)【出願日】2013年10月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】福谷 惇史
(72)【発明者】
【氏名】上之薗 剛
【テーマコード(参考)】
2C058
2C062
2C065
3F102
3F343
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AC06
2C058AE02
2C058AE17
2C058AF04
2C058AF15
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA22
2C058LB09
2C058LB17
2C062RA06
2C065AA01
2C065AB03
2C065AC01
2C065CZ06
2C065CZ09
2C065CZ13
2C065DC07
2C065DC19
2C065DC26
3F102AA01
3F102AB05
3F102BA06
3F102BA11
3F102BB15
3F102EB01
3F343FA15
3F343FB04
3F343FC21
3F343GA04
3F343GB01
3F343GD01
3F343HA14
3F343HD15
3F343KB03
3F343KB18
3F343LA13
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の表面側と裏面側とを同じ手順で印刷でき、表裏面間の印刷に位置ずれが生じないカード用両面プリンタを提供することである。
【解決手段】印刷部30を設けた搬送路20に供給される印刷媒体50の表裏面を反転させる反転手段を、印刷媒体50が送り込まれる回転ドラム42を搬送路20の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させる反転装置40とすることにより、搬送路20上での印刷媒体50の前後の向きが表面側を印刷するときと裏面側を印刷するときとで同じになるようにし、印刷媒体50の表面側と裏面側とを同じ手順で印刷でき、表裏面間の印刷に位置ずれが生じないようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状の印刷媒体を収納する収納部と、
前記収納部から供給される印刷媒体を搬送する直線状の搬送路と、
前記搬送路を搬送される印刷媒体の片面側に印刷を施す印刷部と、
前記搬送路を搬送される印刷媒体の表裏面を反転させる反転手段とを備え、
前記印刷媒体の表裏面に前記印刷部で印刷を施すカード用両面プリンタにおいて、
前記反転手段を、前記印刷媒体を前記搬送路の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものとしたことを特徴とするカード用両面プリンタ。
【請求項2】
前記搬送路の搬送方向を横方向に向けて、前記印刷部を前記搬送路の上側に配置し、
前記収納部を前記印刷媒体を厚み方向に積層して縦向きに収納するカセットとして、前記カセットを前記搬送路の下側に搬送路と平行な向きに配置し、
前記カセットの一端側から前記縦向きに収納された印刷媒体を上方へ送り出し、送り出された前記縦向きの印刷媒体を横向きに方向転換して、前記搬送路に供給するようにした請求項1に記載のカード用両面プリンタ。
【請求項3】
前記搬送路の一端側に前記表裏面に印刷を施された印刷媒体を排出するカード排出口を設け、前記カセットを前記カード排出口が設けられた側に引き出し可能とした請求項2に記載のカード用両面プリンタ。
【請求項4】
前記印刷媒体の前記搬送方向の一端側に掴み代部を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のカード用両面プリンタ。
【請求項5】
前記掴み代部の切断手段を設けた請求項4に記載のカード用両面プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード状の印刷媒体の表裏面に印刷を施すカード用両面プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ゲームカード等のカードを作成する際には、カード状の印刷媒体を収納する収納部と、収納部から供給される印刷媒体を搬送する直線状の搬送路と、搬送路を搬送される印刷媒体の片面側に印刷を施す印刷部と、搬送路を搬送される印刷媒体の表裏面を反転させる反転手段とを備え、印刷媒体の表裏面に印刷を施すカード用両面プリンタが用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載されたカード用両面プリンタは、いずれもカード状の印刷媒体を厚み方向に積層して収納部に縦向きに収納し、収納部の一端側から縦向きに送出される印刷媒体を、印刷部の搬送路と直交する軸方向の回りに回転する回転装置で横向きに方向転換したのち、水平な横方向に向けた直線状の搬送路に供給して、その片面側に印刷部で印刷を施すようにしている。印刷媒体の反対側の面に印刷を施すときは、印刷媒体を回転装置に戻して、回転装置を搬送路の搬送方向と直交する軸方向の回りに180°回転させ、印刷媒体の表裏面を反転させるようにしている。
【0004】
なお、特許文献1、2に記載されたものは、いずれも印刷部に中間転写フィルムを配設し、印刷される画像をインクリボンから中間転写フィルムに転写したのち、中間転写フィルムに転写された画像を印刷媒体に再転写するようにしている。また、表裏面に印刷を施されたカードは、直線状の搬送路の一端側から、外部または外付けされた排出スタッカに排出される。さらに、特許文献1、2に記載されたものは、印刷部のほかに磁気情報を記録する磁気書込部を備え、特許文献2に記載されたものは、IC書込部とバーコード書込部も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3625206号公報
【特許文献2】特開2011−136783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されたカード用両面プリンタは、いずれも表裏面を印刷するために、印刷媒体を搬送路の搬送方向と直交する軸方向の回りに180°回転させて表裏面を反転するので、搬送路上での印刷媒体の前後の向きが、表面側を印刷するときと裏面側を印刷するときとで逆になる。このため、共通の印刷部で表裏面を印刷する際に、表面側と裏面側とで印刷媒体の印刷方向が前後逆方向となり、表面側と裏面側とで印刷手順を変える必要があるとともに、表裏面間の印刷に位置ずれが生じやすい問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、印刷媒体の表面側と裏面側とを同じ手順で印刷でき、表裏面間の印刷に位置ずれが生じないカード用両面プリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、カード状の印刷媒体を収納する収納部と、前記収納部から供給される印刷媒体を搬送する直線状の搬送路と、前記搬送路を搬送される印刷媒体の片面側に印刷を施す印刷部と、前記搬送路を搬送される印刷媒体の表裏面を反転させる反転手段とを備え、前記印刷媒体の表裏面に前記印刷部で印刷を施すカード用両面プリンタにおいて、前記反転手段を、前記印刷媒体を前記搬送路の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものとした構成を採用した。
【0009】
すなわち、印刷媒体の表裏面を反転させる反転手段を、印刷媒体を搬送路の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものとすることにより、搬送路上での印刷媒体の前後の向きが表面側を印刷するときと裏面側を印刷するときとで同じになるようにし、印刷媒体の表面側と裏面側とを同じ手順で印刷でき、表裏面間の印刷に位置ずれが生じないようにした。
【0010】
前記搬送路の搬送方向を横方向に向けて、前記印刷部を前記搬送路の上側に配置し、前記収納部を前記印刷媒体を厚み方向に積層して縦向きに収納するカセットとして、前記カセットを前記搬送路の下側に搬送路と平行な向きに配置し、前記カセットの一端側から前記縦向きに収納された印刷媒体を上方へ送り出し、送り出された前記縦向きの印刷媒体を横向きに方向転換して、前記搬送路に供給することにより、印刷部の消耗品交換やメンテナンスを容易に行うことができるとともに、多数の印刷媒体をカセットにコンパクトに収納して、効率よく印刷部に供給することができる。
【0011】
前記搬送路の一端側に前記表裏面に印刷を施された印刷媒体を排出するカード排出口を設け、前記カセットを前記カード排出口が設けられた側に引き出し可能とすることにより、印刷媒体の補給と印刷後のカードの取り出しを同じ側から好便に行うことができる。特に、ゲーム機の前面側に組み込まれ、ゲームの結果に応じて異なるキャラクタ等を印刷するゲームカード用の両面プリンタは、カード排出口とカセット引き出し口をゲーム機の前面側に設けるとよい。
【0012】
前記印刷媒体の前記搬送方向の一端側に掴み代部を設けることにより、印刷方向の先端側に向けた掴み代部をフィードローラで挟持して、印刷媒体の印刷すべき本体部に最先端から印刷を施すことができる。また、先端側の掴み代部をフィードローラで引張りながら印刷媒体を印刷部に送給することになるので、紙製や薄厚等の比較的剛性の低い印刷媒体も、撓みを生じさせることなく良好に印刷することができる。さらに、印刷媒体を前記カセットに収納する場合は、印刷媒体の前後の向きを容易に揃えることができ、掴み代部を左右非対称に設ければ、印刷媒体の表裏の向きも容易に揃えることができる。
【0013】
前記掴み代部の切断手段を設けることにより、掴み代部を後で切断する手間を不要とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るカード用両面プリンタは、印刷媒体の表裏面を反転させる反転手段を、印刷媒体を搬送路の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものとしたので、搬送路上での印刷媒体の前後の向きが表面側を印刷するときと裏面側を印刷するときとで同じとなり、印刷媒体の表面側と裏面側とを同じ手順で印刷できるとともに、表裏面間の印刷に位置ずれが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】カード用両面プリンタの実施形態を示す概略縦断面図
図2図1のカセットにカード状の印刷媒体を収納した状態を示す横断面図
図3図1の位置決め爪の近傍を拡大して示す縦断面図
図4】(a)〜(c)は図3の位置決め爪の作用を説明する縦断面図
図5図1の印刷部を拡大して示す一部省略縦断面図
図6図1の反転装置を示す斜視図
図7図6の正面図
図8図6の平面図
図9図6の縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このカード用両面プリンタは、カード状の印刷媒体50の表裏面に印刷を施すものであり、図1に示すように、ケース1の中に、印刷媒体50を厚み方向に積層して縦向きに収納する収納部としてのカセット2と、カセット2の一端側から縦向きに送り出される印刷媒体50を横向きに方向転換する方向転換装置10と、横向きに方向転換された印刷媒体50を水平な横方向に搬送する直線状の搬送路20と、搬送路20を搬送される印刷媒体50の上面側に印刷を施す印刷部30と、搬送路20を搬送される印刷媒体50の表裏面を反転させる反転装置40とを備えている。
【0017】
前記ケース1は、前面側に印刷後の印刷媒体50を排出するカード排出口1aが設けられ、搬送路20の下側に搬送路20と平行な向きに配置されたカセット2は、図1中に矢印Aで示すように、ケース1の前面側へ引き出し可能とされている。また、図1中に1点鎖線で示すように、ケース1の上蓋1bは、前面側が持ち上がるように傾動可能とされており、搬送路20の上側に配置された印刷部30のメンテナンスや消耗品等の交換を前面側から行うことができる。したがって、印刷媒体50の補給、印刷後のカードの取り出し、印刷部30のメンテナンス等を全てケース1の前面側から行うことができるので、ゲーム機の前面側に組み込まれるゲームカード用等の両面プリンタに好適である。
【0018】
図2に示すように、前記印刷媒体50は、印刷が施されるカード状の本体部50aの前端側とされる長手方向の一端側に掴み代部50bが設けられており、搬送路20の下側に配置されたカセット2に、掴み代部50bを下側に向けて収納されている。後述するように、掴み代部50bは、本体部50aに印刷が施されたのち、図中に二点鎖線で示す切断線に沿ってカッタ25で切断される。
【0019】
前記掴み代部50bは、幅方向の片側へずらして左右非対称に形成されており、カセット2の底には掴み代部50bが嵌り込む凹部2aが設けられている。したがって、印刷媒体50の印刷方向とされる前後の向きのほかに、表裏の向きも揃えて収納することができる。なお、掴み代部50bは一方の幅端に寄せて形成してもよい。また、幅中央部に左右対称に形成することもできる。
【0020】
前記カセット2に収納された印刷媒体50は、図1中に矢印Bで示すように、ケース1の奥側の一端側から繰出し爪3で上方へ繰り出されて、搬送ローラ4に縦向きに挟持され、方向転換装置10に送り込まれる。
【0021】
前記方向転換装置10は、印刷媒体50を挟持する搬送ローラ11を、図1中に矢印Cで示すように、搬送路20の搬送方向と直交する軸方向の回りに90°旋回させるものであり、搬送ローラ11の両側には、印刷媒体50をロールギャップに案内するガイド板12a、12bが設けられている。搬送ローラ4の出口側には、印刷媒体50を検出するセンサ5aが設けられている。センサ5aで印刷媒体50の通過が検出されると、方向転換装置10は、搬送ローラ11を左方へ90°旋回して、下向きとされた印刷媒体50の前端側の掴み代部50bを、右方の印刷部30の方に向け、搬送ローラ11を駆動して搬送路20に供給する。
【0022】
前記搬送路20には、印刷媒体50が前進する右方のカード排出口1aに向けて、搬送ローラ21a、クリーニングローラ22、図1中に矢印Dで示すように搬送路20に起伏して印刷媒体50の後端を位置決めする位置決め爪23、搬送ローラ21b、印刷部30、フィードローラ24、搬送ローラ21c、印刷媒体50の掴み代部50bを切断するカッタ25、搬送ローラ21dが順に配設されている。また、搬送路20には、印刷媒体50を検出する複数のセンサ5b、5c、5d、5e、5fが設けられ、方向転換装置10の左方には後述する反転装置40が配設されている。各センサ5a〜5fは、いずれも投光部と受光部からなる非接触の光学式センサとされている。なお、印刷媒体50を挟持する各搬送ローラ4、11、21a〜21d、フィードローラ24および反転装置40の搬送ローラ46は、いずれも一方がステッピングモータで駆動される駆動ローラ、他方が従動のピンチローラとされている。
【0023】
前記センサ5bは、印刷媒体50の反転装置40への受渡し用に用いられ、水平方向に向けた方向転換装置10の搬送ローラ11を逆転させる。センサ5cは、後述するように、印刷媒体50の位置決め確認と位置決め爪23の作動に用いられる。センサ5d、5eは印刷部30の制御用に用いられ、センサ5dの検出信号に基づいて、後述するインクリボン31やプラテンローラ33がスタンバイ状態とされ、センサ5eの検出信号に基づいて印刷が開始される。また、センサ5fは、カッタ25の作動用に用いられる。
【0024】
前記搬送路20に供給された印刷媒体50は、掴み代部50bを前方へ向けて搬送ローラ21aで搬送され、クリーニングローラ22で上側の印刷面を清浄化されて、印刷部30の入口の位置決め爪23に到達する。
【0025】
図3は、前記位置決め爪23の近傍を拡大して示す。位置決め爪23は、矢印Dで示すように回動して起伏する爪部23aと、爪部23aの下端を支持するカム部23bと、爪部23aを起立するように付勢する引張スプリング23cとからなる。
【0026】
図4(a)に示すように、前記位置決め爪23に到達した印刷媒体50は、引張スプリング23cで付勢された爪部23aを押し倒して前進し、位置決め爪23を通過する。図4(b)に示すように、位置決め爪23を通過した印刷媒体50は少し後退し、引張スプリング23cの付勢で再び起立する爪部23aに後端を押し当てられて位置決めされる。センサ5cで位置決めされた印刷媒体50が検出されると搬送ローラ21bが正転駆動され、印刷媒体50が印刷部30に送り込まれる。なお、図4(c)は、後述するように、片面が印刷された印刷媒体50を反転装置40に送り込むときの作用を示すものである。
【0027】
図5に示すように、前記印刷部30は、インクリボン31のインクをサーマルヘッド32で加熱して印刷媒体50に転写する熱転写式のものである。印刷媒体50は、前端側の掴み代部50bをフィードローラ24に挟持された状態で、サーマルヘッド32とプラテンローラ33の間で本体部50aに印刷を開始され、フィードローラ24によって所定の印刷速度で右方の印刷方向に送給される。したがって、本体部50aの最先端から印刷を施すことができる。
【0028】
前記インクリボン31は、供給側コア31aと巻取側コア31bを有し、図示は省略するが、色の3原色であるイエローY、マゼンタM、シアンCの各インクの塗布領域と、印刷面を保護する透明なオーバーコート材OPの塗布領域が繰り返し設けられている。これらの塗布領域は順次サーマルヘッド32の位置に送り出され、印刷媒体50の上側の表面にカラー印刷が施される。インクリボン31はモノクロ印刷用の黒色単色のものとしてもよい。
【0029】
このように表面に印刷を施された印刷媒体50は、前端側の掴み代部50bを右方の前方に向けた状態で、搬送路20を後退するように図1の左方へ搬送される。このとき、センサ5cで印刷媒体50が検出されると、図4(c)に示したように、位置決め爪23のカム部23bが回動して爪部23aが倒され、印刷媒体50が位置決め爪23を通過する。位置決め爪23を通過した印刷媒体50は、センサ5bで検出されたのち、方向転換装置10の搬送ローラ11の逆転によって反転装置40に送り込まれる。
【0030】
図6乃至図9に示すように、前記反転装置40は、搬送路20から送り込まれる印刷媒体50を受け取る受板41が前面側に取り付けられた回転ドラム42を、背面側の基板43に立設された転接ローラ44によって、外周面の周方向に等間隔な3箇所で支持し、歯車機構45によって、図1中に矢印Eで示すように、搬送路20の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものである。
【0031】
前記回転ドラム42の内部には、図9に示すように、受板41に受け取られる印刷媒体50を回転ドラム42の奥に送り込む搬送ローラ46と、送り込まれる印刷媒体50を上下の隙間に保持する保持部材47が組み込まれている。搬送ローラ46と方向転換装置10の搬送ローラ11との間のスパンは、掴み代部50bを含む印刷媒体50の全長よりも短くなっている。
【0032】
前記受板41は、印刷媒体50の幅よりも少し広く形成され、両側が前方へ張り出すコ字状とされており、その先端部に印刷媒体50を受板41上に案内する下向きの傾斜部41aが設けられるとともに、印刷媒体50の左右両側を案内するサイドガイド41bが設けられている。
【0033】
前記回転ドラム42の外周面の奥側には、歯車機構45と噛み合う歯45aが歯切りされ、図7に示すように、外周面の斜め45°方向となる左下部、右下部および右上部には、検知バー48が突出している。また、基板43の左下部と右下部には、光学式のセンサ49a、49bが取り付けられており、反転前の状態では、センサ49aで左下部の検知バー48が検知され、センサ49bで右下部の検知バー48が検知されている。
【0034】
前記掴み代部50bを右方の前方に向けた印刷媒体50が回転ドラム42の奥まで送り込まれると、回転ドラム42は歯車機構45によって回転駆動され、センサ49aで右上部にあった検知バー48が検知され、センサ49bでは検知バー48が検知されないと回転が停止され、回転ドラム42が搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転することになる。従って、回転ドラム42に送り込まれた印刷媒体50が、掴み代部50bを前方に向けたままの状態で表裏面を反転される。
【0035】
前記表裏面を反転された印刷媒体50は、搬送ローラ46によって方向転換装置10の搬送ローラ11に送り込まれる。このとき、回転ドラム42と一緒に回転する受板41は印刷媒体50の上側に来るが、搬送ローラ46と保持部材47に後端側を支持され、掴み代部50bを前方へ向けたカード状の印刷媒体50は、ある程度の剛性を有するので、図9に示すように、大きく上下に開口する方向転換装置10のガイド板12bに案内されて、搬送ローラ11に送り込まれる。なお、回転ドラム42に取り付けた受板41を2枚構造として、その間に印刷媒体50を受け取るようにしてもよい。
【0036】
前記表裏面を反転して上面を裏面とした印刷媒体50は、掴み代部50bを前方に向けて、搬送ローラ11から搬送路20に送り込まれ、上述した表面を印刷する場合と同じ手順によって印刷部30で裏面に印刷を施される。
【0037】
前記表裏面に印刷を施された印刷媒体50は、図1に示した搬送ローラ21cでカッタ25に搬送され、前端側の掴み代部50bをカッタ25で切断されたのち、カード排出口1aからケース1の前面側に排出される。
【0038】
上述した実施形態では、印刷部でインクリボンのインクを印刷媒体に直接熱転写するようにしたが、インクリボンから中間転写フィルムに転写したのち、印刷媒体に再転写するようにしてもよい。また、印刷部は熱転写式のものに限定されることはなく、インクジェット式等の他の形式のものとしてもよい。さらに、印刷部のほかに、磁気書込部やIC書込部等を設けてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、印刷媒体の表裏面を反転する反転手段を、印刷媒体が送り込まれる回転ドラムを180°回転させるものとしたが、反転手段は実施形態のものに限定されることはなく、印刷媒体を搬送路の搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させるものであればよい。
【0040】
上述した実施形態では、表裏面の印刷方向を印刷媒体の長手方向としたが、印刷方向は印刷媒体の幅方向とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 ケース
1a カード排出口
1b 上蓋
2 カセット
2a 凹部
3 繰出し爪
4 搬送ローラ
5a、5b、5c、5d、5e、5f センサ
10 方向転換装置
11 搬送ローラ
12a、12b ガイド板
20 搬送路
21a、21b、21c、21d 搬送ローラ
22 クリーニングローラ
23 位置決め爪
23a 爪部
23b カム部
23c 引張スプリング
24 フィードローラ
25 カッタ
30 印刷部
31 インクリボン
31a、31b コア
32 サーマルヘッド
33 プラテンローラ
40 反転装置
41 受板
41a 傾斜部
41b サイドガイド
42 回転ドラム
43 基板
44 転接ローラ
45 歯車機構
45a 歯
46 搬送ローラ
47 保持部材
48 検知バー
49a、49b センサ
50 印刷媒体
50a 本体部
50b 掴み代部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9