【解決手段】本発明は、洗い流す態様で使用される毛髪処理剤であって、アミノ変性シリコーン(直接又は置換基を介してシリコーン骨格に結合するアミノ基を有するシリコーン)及びポリクオタニウム−52(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールの共重合体)が配合され、上記アミノ変性シリコーンの配合量が3質量%以上であることを特徴とする。当該毛髪処理剤は、高級アルコール及びカチオン界面活性剤が配合され、剤型がクリーム状であるとよい。当該毛髪処理剤はヘアケア剤であるとよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の毛髪処理剤は、アミノ変性シリコーン及びポリクオタニウム−52が配合されたものである。当該毛髪処理剤は、高級アルコール及びカチオン界面活性剤が配合されているものが好ましく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含んでいてもよい。以下、これらの成分について詳説する。
【0011】
[アミノ変性シリコーン]
アミノ変性シリコーンは、主に毛髪にコンディショニング効果を付与するために配合される。ここで、アミノ変性シリコーンとは、直接又は置換基を介してシリコーン骨格に結合するアミノ基を有するシリコーンである。このアミノ変性シリコーンとしては、例えば下記式(1)及び下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0013】
上記式(1)中、x及びyは1〜5の整数であり、m及びnは分子量に依存する整数である。
【0015】
上記式(2)中、v及びwは1〜5の整数であり、p及びqは分子量に依存する整数である。
【0016】
上記式(1)で表されるアミノ変性シリコーンとしては、例えばx=3でy=2であるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体((アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー)が挙げられる。また、上記式(2)で表されるアミノ変性シリコーンとしては、例えばv=3でw=2であるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)が挙げられる。
【0017】
アミノ変性シリコーンの他の具体例(化粧品の表示名称を含む)としては、例えばアミノプロピルジメチコン(アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、高重合アミノプロピルジメチコン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アクリル・アミノ変性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーンが挙げられる。これらのアミノ変性シリコーンは、単独で配合してもよく二種以上を配合してもよい。
【0018】
当該毛髪処理剤におけるアミノ変性シリコーンの配合量は3質量%以上である。当該毛髪処理剤は、3質量%以上のアミノ変性シリコーンを配合することで、洗い流される態様で使用される場合に十分なコンディショニング作用を発揮することができる。また、当該毛髪処理剤は、アミノ変性シリコーンの配合量を3質量%以上と比較的に大きくしても、ポリクオタニウム−52が配合されることから、油性感のあるべたつきが効果的に抑制される。一方、アミノ変性シリコーンの配合量の上限としては、特に限定されないが、10質量%が好ましく、8質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましい。
【0019】
アミノ変性シリコーンのアミノ含量(アミノ変性シリコーン中の窒素の含有量)は、例えば0.5質量%以上3.0質量%以下であり、0.7質量%以上2.2質量%以下が良い。
【0020】
[ポリクオタニウム−52]
ポリクオタニウム−52は、主にアミノ変性シリコーンを配合することによるべたつきを抑制し、当該毛髪処理剤により処理した毛髪に触れたときの滑り感(油性感を抑えたコート感)を改善するために配合される。ここで、ポリクオタニウム−52とは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールの共重合体である。ポリクオタニウム−52としては、例えば下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0022】
上記式(3)において、a、b及びcは、それぞれ平均付加モル数を表し、a:b:c=5〜40:60〜100:0.0020〜0.0050である。
【0023】
当該毛髪処理剤に配合するポリクオタニウム−52としては、市販品を使用することができる。ポリクオタニウム−52の市販品としては、例えば「ソフケア KG−301W」、「ソフケア KG−101W−E」(以上、花王社)等が挙げられる。
【0024】
当該毛髪処理剤におけるポリクオタニウム−52の配合量としては、特に限定されないが、例えば0.01質量%以上0.5質量%以下であり、0.04質量%以上0.3質量%以下が通常である。
【0025】
[高級アルコール及びカチオン界面活性剤]
高級アルコール及びカチオン界面活性剤は、主に当該毛髪処理剤の剤型をクリーム状とするために配合される。
【0026】
<高級アルコール>
高級アルコールとしては、例えばセタノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられ、炭素数16〜22の直鎖状飽和アルコールが好ましい。これらの高級アルコールは、単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば5質量%以上15質量%以下である。
【0027】
<カチオン界面活性剤>
カチオン界面活性剤としては、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。ここで「長鎖アルキル」という場合の炭素数は、例えば12以上22以下である。これらのカチオン界面活性剤は、単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば1質量%以上7質量%以下である。
【0028】
[任意成分]
当該毛髪処理剤に配合される任意成分は、公知の毛髪処理剤原料から適宜選択される。任意成分としては、例えばアミノ変性シリコーン以外のシリコーン、油脂、エステル油、低級アルコール、多価アルコール、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、糖類、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0029】
<シリコーン>
シリコーンとしては、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン;ジメチコノール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチコンなどが挙げられる。これらのシリコーンは、単独で配合してもよく二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤におけるシリコーンの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば1質量%以上10質量%以下である。
【0030】
<油脂>
油脂としては、例えばアーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油が挙げられる。これらの油脂は、単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤における油脂の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上7質量%以下である。
【0031】
<エステル油>
エステル油としては、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、ステアリン酸コレステリルが挙げられる。これらのエステル油は単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤におけるエステル油の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上7質量%以下である。
【0032】
<低級アルコール>
低級アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。これらの低級アルコールは単独で配合してもよく、二種を配合してもよい。低級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上3質量%以下である。
【0033】
<多価アルコール>
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。多価アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0034】
<ノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、単独で配合してもよく、二種以上を配合してもよい。当該毛髪処理剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば5質量%以上15質量%以下である。
【0035】
[pH]
当該毛髪処理剤の25℃におけるpHとしては、3以上7以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。当該毛髪処理剤のpHが7以下であると、毛髪の膨潤抑制に好適である。
【0036】
[剤型]
当該毛髪処理剤の使用時の剤型は、特に限定されないが、濡れた頭髪に塗布することが容易なクリーム状であると良い。当該毛髪処理剤をクリーム状の剤型とする場合の粘度としては、例えば4,000mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、20,000mPa・s以上60,000mPa・s以下がより好ましい。なお、当該毛髪処理剤の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値である。また、当該毛髪処理剤の剤型をクリーム状にする場合、当該毛髪処理剤における水の配合量は、例えば50質量%以上85質量%以下である。
【0037】
[用途]
当該毛髪処理剤は、毛髪に塗布した後に洗い流す態様で用いられるものであり、ヘアケア剤、パーマ剤、カラーリング剤、ブリーチ剤等として使用可能なものである。「ヘアケア剤」とは、毛髪の手入れ、手当て等を行うために用いられる毛髪処理剤である。ヘアケア剤としては、例えばコンディショナー、トリートメント(例えば、シャンプー後に使用するトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント)が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、当該毛髪処理剤を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
下記表1に示す原料を水に配合し、剤型がクリーム状である実施例1の毛髪処理剤を調製した。この実施例1の毛髪処理剤には、アミノ変性シリコーンとして5質量%のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、及び0.1質量%のポリクオタニウム−52を配合した。
【0040】
[比較例1]
下記表1に示す原料を水に配合し、アミノ変性シリコーンとしてアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を配合し、ポリクオタニウム−52を配合していない比較例1のクリーム状毛髪処理剤を調製した。
【0041】
[評価]
実施例1及び比較例1の毛髪処理剤について、「油性感を抑えた滑らかなコート感」、「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」、及び「ハリのある感触」を評価した。これらの評価は、シャンプー後の人頭毛髪の半分に実施例1の毛髪処理剤、残りの半分の毛髪に比較例1の毛髪処理剤を塗布して馴染ませ、その後、水洗した後に乾燥させた毛髪を評価者が触診することで行った。各評価は、評価者の人数を4名〜6名とし、比較例1の毛髪処理剤(基準)との比較とし、半数以上の評価者が基準(比較例1の毛髪処理剤)よりも良いと判断した場合を「○」、半数以上の評価者が悪いと判断した場合を「×」として評価した。評価結果は表1に示す通りである。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から明らかなように、アミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体と共にポリクオタニウム−52を配合した実施例1の毛髪処理剤は、ポリクオタニウム−52を配合しなかった比較例1の毛髪処理剤に比べて、「油性感を抑えた滑らかなコート感」、「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」、及び「ハリのある感触」のいずれも良好な結果が得られた。この結果から、毛髪処理剤にアミノ変性シリコーンを配合する場合、ポリクオタニウム−52を配合することで、油性感のあるべたつきが抑制されるものと考えられる。
【0044】
[実施例2a]
下記表2に示す原料を水に配合し、実施例2aのクリーム状毛髪処理剤を調製した。この実施例2aの毛髪処理剤には、アミノ変性シリコーンとして3質量%のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、及び0.1質量%のポリクオタニウム−52を配合した。
【0045】
[比較例2a]
下記表2に示す原料を水に配合し、アミノ変性シリコーンとして3質量%のアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を配合し、ポリクオタニウム−52を配合していない比較例2aのクリーム状毛髪処理剤を調製した。
【0046】
[比較例2b]
ポリクオタニウム−10を0.1質量%配合した以外は比較例2aと同様にして比較例2bのクリーム状毛髪処理剤を調製した。
【0047】
[比較例2c]
PEG−14Mを0.5質量%配合した以外は比較例2aと同様にして比較例2cのクリーム状毛髪処理剤を調製した。
【0048】
[評価]
実施例2a〜2d及び比較例2a〜2cの毛髪処理剤について、上述の実施例1及び比較例1の場合と同様にして、「油性感を抑えた滑らかなコート感」、「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」及び「ハリのある感触」を評価した。ここでの評価は、比較例2aを基準として行った。評価結果は、表2に示す通りである。なお、比較例2b,2cの毛髪処理剤については、「ハリのある感触」についての評価を行わなかった。
【0049】
【表2】
【0050】
表2から明らかなように、アミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体と共にポリクオタニウム−52を配合した実施例2a〜2dの毛髪処理剤は、ポリクオタニウム−52を配合しなかった比較例2aの毛髪処理剤に比べて、「油性感を抑えた滑らかなコート感」、「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」、及び「ハリのある感触」のいずれも良好な結果が得られた。
【0051】
比較例2b,2cの毛髪処理剤は、ポリクオタニウム−52の代わりにポリクオタニウム−10やPEG−14Mを配合したものであるが、比較例2aの毛髪処理剤に比べて、「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」は優れているが、「油性感を抑えた滑らかなコート感」については劣る結果となった。すなわち、ポリクオタニウム−52の代わりにポリクオタニウム−10やPEG−14Mを配合しても、「油性感を抑えた滑らかなコート感」及び「アミノ変性シリコーンの吸湿によるべたつきの抑制」を両立することができない。