(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-81407(P2015-81407A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット。
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20150331BHJP
E02D 27/08 20060101ALI20150331BHJP
E04G 17/14 20060101ALI20150331BHJP
【FI】
E02D27/01 102Z
E02D27/08
E04G17/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-217957(P2013-217957)
(22)【出願日】2013年10月21日
(11)【特許番号】特許第5445988号(P5445988)
(45)【特許公報発行日】2014年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000253466
【氏名又は名称】萬谷 淳致
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 淳致
【テーマコード(参考)】
2D046
2E150
【Fターム(参考)】
2D046BA33
2D046BA41
2E150AA40
2E150HC02
2E150HC03
2E150MA42Z
(57)【要約】
【課題】
適宜な網目間隔幅のスラブ用補強鉄筋27を、何時でも任意なときに配筋でき、更に基礎幅決め兼鉄筋支持板80を下側生コン堰止板88の任意の個所に、何時でも配設結合可能とする、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットを、より安価に得る。
【解決手段】
傾斜部補強鉄筋96の上側に、鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板87を、横幅値を、用いるスラブ用補強鉄筋27の網目内幅寸法とし、上端側を適宜に上側堰止板支持棒86に支持させて設け、下側に下側生コン堰止板88を設ける。更に、内側型枠幅決め壁面下点81からの垂下線と基礎幅決め兼鉄筋支持板80の他方の縦端壁面79間の該支持板80内に、傾斜部補強鉄筋96の下辺を上限とし、該支持板80の下端面92側を開放底辺とする縦長台形状の、下側堰止板挿入結合溝孔84を開溝し、該結合溝孔84内に下側生コン堰止板88を挿入し、該支持板80と交叉結合させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットにおいて、下端面から一方の縦端壁面の適宜な高さを用いて垂直な外側型枠固定壁面とし、下端面から所定の基礎高を用いて上端面とし、他方の縦端壁面と下端面とを結んで、略台形の適宜な厚みを有する平板状のPCaでなる基礎幅決め兼鉄筋支持板を形成させ、外側型枠固定壁面から他方の縦端壁面方向の該上端面上に、必要とする所定の基礎幅値を確保した点を内側型枠幅決め壁面下点として、適宜な壁面高さと横幅を用いた内側型枠固定突起板面を、該幅決め兼鉄筋支持板と一体的に形成させ、外側型枠固定壁面と内側型枠幅決め壁面下点との間の縦中心線上の下端面からの所定の鉄筋かぶり高さ位置と、外側型枠固定壁面の上端と内側型枠固定突起板面の外側型枠固定壁面側の上端との双方とを直線で結び、該直線外の該幅決め兼鉄筋支持板を切断除去して、立ち上り部補強鉄筋支持台を形成させ、内側型枠幅決め壁面下点からの垂下線と該幅決め兼鉄筋支持板の他方の縦端壁面間の該幅決め兼鉄筋支持板内に、傾斜部補強鉄筋の下辺を上限とし、該幅決め兼鉄筋支持板の下端面側を開放底辺とする縦長台形状の、下側堰止板挿入結合溝孔を、下側生コン堰止板の長さ方向の切断面に合致する形状と寸法を用いて開溝し、内側型枠幅決め壁面下点から僅かの間隔を隔てた下方の該幅決め兼鉄筋支持板に、上側堰止板支持棒用孔を適宜な口径で開孔し、該支持棒用孔内に適宜な長さと太さの鉄筋でなる上側堰止板支持棒を水平状に挿入し、鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板を、横幅値を、用いるスラブ用補強鉄筋の網目内幅寸法とし、上端側を適宜に該支持棒に支持させ、上側生コン堰止板の下端が下側生コン堰止板の上端側を適宜に超える長さとして、スラブ用補強鉄筋の網目内ごとに挿入配設し、内側型枠幅決め壁面点から他方の縦端壁面方向の上端面上に、用いる内側用型枠の奥行き幅値を確保した上に、更に固定用楔の挿入幅値を確保して、適宜な高さと横幅を用いて内側型枠止め板面を該幅決め兼鉄筋支持板と一体的に形成させ、尚更に、外側型枠固定壁面側の下端面に適宜な、支持板兼外側型枠固定具を備え、複数枚の基礎幅決め兼鉄筋支持板の、下側堰止板挿入結合溝孔内に、適宜な長さのPCaでなる下側生コン堰止板を挿入し、下側生コン堰止板の長さ方向の任意の位置に、複数の該幅決め兼鉄筋支持板を交叉結合させてなることを特長とする、ベタ基礎の外周囲の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット。
【請求項2】
ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット二組の、双方の外側型枠固定壁面を対向させて立設し、双方の内側型枠幅決め壁面点間の横幅値に、必要とする所定の基礎幅値を確保して、該双方の外側型枠固定壁面側を均等幅に垂直切除し、切除後の該双方の該切除面を一体的に結合させて、立ち上り部補強鉄筋支持台を形成させて、合体基礎幅決め兼鉄筋支持板となしたことを特長とする、ベタ基礎のスラブ内の立ち上り部に用いる、請求項1記載のベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベタ基礎の立ち上り部の形成に関し、概略には、適宜な網目間隔幅のスラブ用補強鉄筋を、何時でも任意なときに配筋でき、更に基礎幅決め兼鉄筋支持板を、下側生コン堰止板の任意の個所に何時でも交叉結合可能とする、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットが提案されている。(特許文献1ご参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5164294号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットは、ベタ基礎の立ち上り部とスラブとのL状接続部や逆T状接続部に打ち継ぎ面が生じず、また立ち上り部から打設した生コンがスラブ側に流出せず、ベタ基礎作業効率が向上する特長を有している。
【0005】
しかし、特許文献1では、平板状の生コン堰止板55の長さ方向に、所定の幅寸法内の適宜な間隔を用いてスラブ用補強鉄筋27を挿入する、縦長状の上端側を開口した補強鉄筋縦溝貫通孔26を複数開溝して用い、その上に、溝間隔が相違する複数種の生コン堰止板55を用いる必要がある。
【0006】
更に、スラブ用補強鉄筋27を配筋施工するに際し、複数の生コン堰止板55と幅決め板兼支持板56とを交叉結合させ、地盤上の基礎基準線に沿って連結配設した後に、補強鉄筋縦溝貫通孔26内にスラブ用補強鉄筋27を挿入配筋するのが、適する配設順序となっている。
【0007】
また、生コン堰止板55の長さ方向の両端近辺側の補強鉄筋縦溝貫通孔26間と、幅決め板兼支持板56の横幅中央辺との双方に、開口部が対向する相互嵌め込縦溝孔57を設け、双方の相互嵌め込縦溝孔57同士を直角十文字状に交叉結合させて、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットを形成させている。
【0008】
上述の配設順序を必要とする理由は、用いるスラブ用補強鉄筋27は、補強鉄筋縦溝貫通孔26の間隔幅に合致した、溶接済みのスラブ補強鉄筋のみを用いるのに限られず、直線の単体補強鉄筋を縦横に組合せて用いる場合もあり、直線の単体補強鉄筋を用いた場合では所定の網目幅寸法の範囲内で、結束線で結束してなる補強鉄筋間隔幅は大小不揃に仕上り、よつて、該所定の幅寸法の補強鉄筋縦溝貫通孔26の孔口に上記スラブ用補強鉄筋27の先端が合致しない状況となり、スラブ用補強鉄筋27と立ち上り部用補強鉄筋33とを連結するのに不都合が生じる場合があるからである。
【0009】
スラブ用補強鉄筋27を挿入配筋するのに、配設に前後の順序の制約があると、配筋作業効率が低下する難点があり、更に、間隔幅が相違するごとの複数種の生コン堰止板55を用意せねばならない不経済性があり、尚更に、複数の補強鉄筋縦溝貫通孔26と相互嵌め込縦溝孔57を開溝してなる生コン堰止板55の形状は複雑化し、生コン堰止板55の製品費が高額となる不経済性の難点がある。
【0010】
また、生コン堰止板55と幅決め板兼支持板56との双方に、開口部が対向する相互嵌め込縦溝孔57を設け、双方の相互嵌め込縦溝孔57同士を交叉結合させることにより、双方が強固に結合できる利点があるが、生コン堰止板55の長さ方向の特定個所のみに幅決め板兼支持板56を結合させて用いるよう、結合位置が固定されているため、立ち上り部用型枠70.72及び立ち上り部用補強鉄筋33の、支持位置の移動や増設に対する対応が困難である難点があり、更に、生コン堰止板55と幅決め板兼支持板56との双方に、相互嵌め込縦溝孔57を設けることにより、該双方の形状が複雑化し、該双方の製品費が高額となる不経済性の難点がある。
【0011】
本発明は、上記の特許文献1のベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットの難点に鑑みてなされたもので、適宜な網目間隔幅のスラブ用補強鉄筋を、何時でも任意なときに配筋でき、更に基礎幅決め兼鉄筋支持板を下側生コン堰止板の任意の個所に、何時でも交叉結合可能とする、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットを、より安価に提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に記載のPCaとは、プレキャストコンクリートの略称である。所定の寸法とは、建築基準法及びそれに基づく告示等、更に建設関係団体等の規定に基づく寸法である。
【0014】
本発明の第1の解決手段は、下端面から一方の縦端壁面の適宜な高さを用いて垂直な外側型枠固定壁面とし、下端面から所定の基礎高を用いて上端面として、他方の縦端壁面と下端面とを結んで、略台形の適宜な厚みを有する平板状のPCaでなる基礎幅決め兼鉄筋支持板を形成させる。
【0015】
基礎幅決め兼鉄筋支持板の適宜な厚みとしては、基礎幅決め兼鉄筋支持板が上部荷重を分担支持して直立可能な厚みが必要である。安全面から厚く作り過ぎると重量が増し作業性が低下し、薄過ぎると破損する恐れがある。これ等を勘案して選定する。
【0016】
外側型枠固定壁面から他方の縦端壁面方向の該上端面上に、必要とする所定の基礎幅値を確保した点を内側型枠幅決め壁面下点として、適宜な壁面高さと横幅を用いた内側型枠固定突起板面を、該幅決め兼鉄筋支持板と一体的に形成させる。
【0017】
適宜な壁面高さと横幅を用いた内側型枠固定突起板面は、用いる内側用型枠を固定させることができる強度が得られる面積を備え、且つ内側型枠固定突起板面の壁面高は内側用型枠を確実に支持可能な高さを要する。
【0018】
外側型枠固定壁面と内側型枠幅決め壁面下点との間の縦中心線上の下端水平面からの所定の鉄筋かぶり高さ位置と、外側型枠固定壁面の上端と内側型枠固定突起板面の外側型枠固定壁面側の上端との双方とを直線で結び、該直線外の該幅決め兼鉄筋支持板を切断除去して、立ち上り部補強鉄筋支持台を形成させる。
【0019】
内側型枠幅決め壁面下点からの垂下線と、該幅決め兼鉄筋支持板の他方の縦端壁面間の該幅決め兼鉄筋支持板内に、傾斜部補強鉄筋の下辺を上限とし、該幅決め兼鉄筋支持板の下端面側を開放底辺とする縦長台形状の、下側堰止板挿入結合溝孔を、下側生コン堰止板の長さ方向の切断面に合致する形状と寸法を用いて開溝する。
【0020】
内側型枠幅決め壁面下点から僅かの間隔を隔てた下方の該幅決め兼鉄筋支持板に、上側堰止板支持棒用孔を適宜な口径で開孔し、該支持棒用孔内に適宜な長さと太さの鉄筋でなる上側堰止板支持棒を水平状に挿入する。
【0021】
鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板を、横幅値を、用いるスラブ用補強鉄筋の網目内幅寸法とし、上端側を適宜に該支持棒に支持させ、上側生コン堰止板の下端が下側生コン堰止板の上端側を適宜に超える長さとして、スラブ用補強鉄筋の網目内ごとに挿入配設する。
【0022】
鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板としては、鋼金網、鋼ラス金網、鋼パンチング穴網、または穴あきコンクリート板等々が用いるのに適する。生コンを堰止させ、生コンの流動力に抵抗でき、生コンが立ち上り部側からスラブ側に多量に流出することを防止できる穴または網目を備えた、生コンと結合性の良い板等であれば何れも適宜に用いられる。
【0023】
内側型枠幅決め壁面下点から他方の縦端壁面方向の上端面上に、用いる内側型枠の奥行き幅値を確保した上に、更に固定用楔の挿入幅値を確保して、適宜な高さと横幅を用いて内側型枠止め板面を該幅決め兼鉄筋支持板と一体的に形成させる。
【0024】
適宜な高さと横幅を用いた内側型枠止め板面は、用いる内側用型枠を固定させることができる強度が得られる面積を備え、且つ内側型枠止め板面の高さは内側用型枠を確実に支持可能な高さを要する。
【0025】
複数枚の基礎幅決め兼鉄筋支持板の、下側堰止板挿入結合溝孔内に、縦長台形状でなり、適宜な長さのPCaでなる、下側生コン堰止板を挿入し、下側生コン堰止板の長さ方向の任意の位置に、複数の該幅決め兼鉄筋支持板を交叉結合させる。
【0026】
更に外側型枠固定壁面側で立ち上り部補強鉄筋支持台下側の下端面に、適宜な固定具挿入溝を開溝し、固定具挿入溝内に、適宜な、支持板兼外側型枠固定具を設けて、該固定具の一端を挿入して備える、ベタ基礎の外周囲の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットの構成である。
【0027】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段のベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット二組の、双方の外側型枠固定壁面を対向させて立設し、双方の内側型枠幅決め壁面点間の横幅値に、必要とする所定の基礎幅値を確保して、該双方の外側型枠固定壁面側を均等幅に垂直切除し、切除後の該双方の該切除面を一体的に結合させて、立ち上り部補強鉄筋支持台を形成させて、合体基礎幅決め兼鉄筋支持板となした、ベタ基礎のスラブ内の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットの構成である。
【発明の効果】
【0028】
第1の解決手段では、傾斜部補強鉄筋を中間にして、上側に上側生コン堰止板を、下側に下側生コン堰止板を配設し、配筋したスラブ用補強鉄筋間の網目内幅寸法とした上側生コン堰止板を、網目ごとに挿入して用いることにより、適宜なスラブ用補強鉄筋を、何時でも任意なときに配筋して用いられ、配筋施工効率が向上する。
【0029】
基礎幅決め兼鉄筋支持板内のみに、該幅決め兼鉄筋支持板の下端面側を開放溝端として、下側堰止板挿入結合溝孔を開溝して用いることにより、配設した下側生コン堰止板の任意の個所に、何時でも容易に脱着可能に、下側生コン堰止板の、下側堰止板挿入結合溝孔を上から被せるようにして、該幅決め兼鉄筋支持板と下側生コン堰止板とを容易に結合させることができ、立ち上り部用型枠及び立ち上り部用補強鉄筋の支持位置の移動や増設に対応して、何時でも容易に下側生コン堰止板上の必要とする任意の個所に該幅決め兼鉄筋支持板を結合させて用いることができる。
【0030】
該幅決め兼鉄筋支持板内のみに開放溝の下側堰止板挿入結合溝孔を開溝して用いることにより、該幅決め兼鉄筋支持板と下側生コン堰止板との形状が単純化し、よって、該幅決め兼鉄筋支持板と下側生コン堰止板との製品費が安価となり経済性が向上する。
【0031】
該幅決め兼鉄筋支持板と下側生コン堰止板とを、PCaで形成させることにより、PCaでなる該幅決め兼鉄筋支持板と下側生コン堰止板は、地盤からの水分により腐食せず、該幅決め兼鉄筋支持板に接触支持される立ち上り用及びスラブ用補強鉄筋は、腐食の伝染の危険性はなく、立ち上り用及びスラブ用補強鉄筋の耐久性は低下しない。
【0032】
第2の解決手段では、第1の解決手段に用いる基礎幅決め兼鉄筋支持板や下側生コン堰止板を容易に転用して用いられる経済性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】(a) PCaでなる平板状の基礎幅決め兼鉄筋支持板を複数枚並べた斜視図。(b) PCaでなる下側生コン堰止板を連結した斜視図。(c)スラブ用補強鉄筋の網目内幅に合わせた横幅の上側生コン堰止板を複数枚並べた斜視図。(d)ベタ基礎の外周囲の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAfの斜視図。
【
図2】ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAfの、立ち上り部補強鉄筋支持台上に立ち上り部用補強鉄筋を載置した状態を示す斜視図。
【
図3】ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAfを建物基礎位置に配設した状態を示す縦断面図。
【
図4】(a) 二組のベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAfの、外側型枠固定壁面を対向させて立設した縦断面図。(b) 合体基礎幅決め兼鉄筋支持板を用いてなる、ベタ基礎のスラブ内の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAgの縦断面図。(c)ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAgを建物基礎位置に配設した状態を示す縦断面図。
【
図5】該キットAfと該キットAgとを建物基礎位置に配設した状態を示す、一部分の概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図を用いて本発明の実施形態を説明する。図中の白抜き矢印は結合することを示す。
【0035】
図1から
図3及び
図5に基づいてベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAfを説明すれば、下端面92から一方の縦端壁面の適宜な高さを用いて垂直な外側型枠固定壁面77とし、下端面92から所定の基礎高を用いて上端面78とし、他方の縦端壁面79と下端面92とを結んで、略台形の適宜な厚みを有する平板状のPCaでなる基礎幅決め兼鉄筋支持板80を形成させる。
【0036】
基礎幅決め兼鉄筋支持板80の適宜な厚みは、基礎幅決め兼鉄筋支持板80が上部荷重を分担支持して直立可能な厚みが必要である。安全面から厚く作り過ぎると重量が増し作業性が低下し、薄過ぎると破損する恐れがある。これ等を勘案して選定する。
【0037】
下端面92の幅長は、基礎幅決め兼鉄筋支持板80が安定直立して上部荷重を分担支持できる幅長を必要とし、分担支持できる適宜な最小限の幅長を用いる。
【0038】
外側型枠固定壁面77から他方の縦端壁面79方向の該上端面78上に、必要とする所定の基礎幅値を確保した点を内側型枠幅決め壁面下点81として、適宜な壁面高さと横幅を用いた内側型枠固定突起板面82を、該幅決め兼鉄筋支持板80と一体的に形成させる。
【0039】
適宜な壁面高さと横幅を用いた内側型枠固定突起板面82は、用いる内側用型枠70を固定させることができる強度が得られる面積を備え、且つ内側型枠固定突起板面82壁面高は内側用型枠70を確実に支持可能な高さを要する。
【0040】
外側型枠固定壁面77と内側型枠幅決め壁面下点81との間の縦中心線上の下端面92からの所定の鉄筋かぶり高さ位置と、外側型枠固定壁面77の上端と内側型枠固定突起板面82の外側型枠固定壁面77側の上端との双方とを直線で結び、該直線外の該幅決め兼鉄筋支持板80を切断除去して、立ち上り部補強鉄筋支持台83を形成させる。
【0041】
なお、適宜な高さとしての外側型枠固定壁面77の高さとして、上記の縦中心線上の下端水平面からの所定の鉄筋かぶり高さ位置よりも、適宜な高さだけ高くして用いると、立ち上り部補強鉄筋支持台83は、該幅決め兼鉄筋支持板80の中心方向に傾斜した立ち上り部補強鉄筋支持台83が得られ、壁面との交点の窪みに立ち上り部用補強鉄筋33の横筋が安定して納まり、立ち上り部用補強鉄筋33の配設が容易となる。
【0042】
内側型枠幅決め壁面下点81からの垂下線と該幅決め兼鉄筋支持板80の他方の縦端壁面79間の該幅決め兼鉄筋支持板80内に、傾斜部補強鉄筋96の下辺を上限とし、該幅決め兼鉄筋支持板80の下端面92側を開放底辺とする縦長台形状の、下側堰止板挿入結合溝孔84を、下側生コン堰止板88の長さ方向の切断面に合致する形状と寸法を用いて開溝する。
【0043】
内側型枠幅決め壁面下点81から僅かの間隔を隔てた下方の該幅決め兼鉄筋支持板80に、上側堰止板支持棒用孔85を適宜な口径で開孔し、該支持棒用孔85内に適宜な長さと太さの鉄筋でなる上側堰止板支持棒86を水平状に挿入する。
【0044】
鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板87を、横幅値を、用いるスラブ用補強鉄筋27の網目内幅寸法とし、上端側を適宜に該支持棒86に支持させ、上側生コン堰止板87の下端が下側生コン堰止板88の上端側を適宜に超える長さとして、スラブ用補強鉄筋27の網目内ごとに挿入配設する。なお、上側生コン堰止板87の横幅値は、一枚の上側生コン堰止板87に網目内幅寸法を形成させても、また複数枚の上側生コン堰止板87に網目内幅寸法を形成させて用いてもよい。尚更に、上側生コン堰止板87の長さ(高さ)を、下端が基礎基盤上面に当接するような長さにして用いてもよい。
【0045】
内側型枠幅決め壁面下点81からの僅かな間隔とは、上側堰止板支持棒用孔85を、広い間隔で下方の位置に開孔して用いると、該上端面78と上側堰止板支持棒用孔85との間隔が開き過ぎ、立ち上り部側から打設した生コンを、上側堰止板支持棒86の上端側となる上側生コン堰止板87が支えることが困難となり、生コンがスラブ側に流出する恐れがあるためである。
【0046】
鋼材質でなり、適宜な網目孔を備えた上側生コン堰止板87としては、鋼金網、鋼ラス金網、鋼パンチング穴網、または穴あきコンクリート板等々が用いるのに適する。立ち上り部から打設した生コンを堰止めることができる、穴または網目を備えた、生コンと結合性の良い板等であれば何れも適宜に用いられる。
【0047】
内側型枠幅決め壁面下点81から他方の縦端壁面79方向の上端面78上に、用いる内側用型枠70の奥行き幅値を確保した上に、更に固定用楔89の挿入幅値を確保して、適宜な高さと横幅を用いて内側型枠止め板面90を該幅決め兼鉄筋支持板80と一体的に形成させる。
【0048】
適宜な高さと横幅を用いた内側型枠止め板面90は、用いる内側用型枠70を固定させることができる強度が得られる面積を備え、且つ内側型枠止め板面90の高さは内側用型枠70を確実に支持可能な高さを要する。
【0049】
内側型枠止め板面90は、PCaでなる該幅決め兼鉄筋支持板80と一体的に形成されており、ベタ基礎が完成した時点では、建物床下のベタ基礎上に突出した状態で残存する。建物床下内に内側型枠止め板面90が残存しても別段に支障が出ず、残存させてもよいが、内側型枠止め板面90が埋没するようモルタルで覆ってもよく、更にPCaでなる内側型枠止め板面90は容易に破壊させることができるため、破壊除去してもよい。
【0050】
固定用楔89は、用いる内側用型枠70を内側型枠固定突起板面82の壁面に押し付け固定させるため、内側用型枠70と内側型枠止め板面90との間に挿入するものであり、内側型枠固定突起板面82の壁面に内側用型枠70を強固に押し付けることができる剛体であれば適宜な材質で形成させて用いることができる。スラブ用補強鉄筋27の端材等、適宜な材料が用いられる。
【0051】
複数枚の基礎幅決め兼鉄筋支持板80の、下側堰止板挿入結合溝孔84内に、下側堰止板挿入結合溝孔84の溝孔に合致する縦長台形状でなり、適宜な長さのPCaでなる、下側生コン堰止板88を挿入し、下側生コン堰止板88の長さ方向の任意の位置に、複数の該幅決め兼鉄筋支持板80を交叉結合させる。
【0052】
下側生コン堰止板88の形状と寸法は、建物基礎位置に下側生コン堰止板88を載置配設するに際し、下側生コン堰止板88が安定自立するに適する形状がよく、縦長台形状は安定自立するに適する形状である。自立に適するなら他の何れの形状も用いられる。
【0053】
下側生コン堰止板88の縦長台形状の高さは、傾斜部補強鉄筋96の下辺を上限とし、縦長台形状の底辺や上辺の寸法は、該幅決め兼鉄筋支持板80の支持強度を低下させない範囲内で適宜に用い、更に下側生コン堰止板88が、立ち上り部66から打設される生コンを堰止ることができる支持強度を必要とする寸法である。傾斜部補強鉄筋96を中間に、上側を上側生コン堰止板87が、下側を下側生コン堰止板88が、立ち上り部66から打設される生コンがスラブ側に多量に流出することを防止する。
【0054】
PCaでなる下側生コン堰止板88の適宜な長さとしては、用いる建築基準寸法による建物基礎の内側寸法に、連結した下側生コン堰止板88が納まる寸法の、適宜な均等分割寸法で、その上に、配設作業が容易となる重量の範囲内の長さを選定して用いる。なお、PCaでなる下側生コン堰止板88は容易に切断可能であり、適宜な長さの下側生コン堰止板88を用い、必要な長さに切断して用いることができる。
【0055】
該下側生コン堰止板88の長さ方向の両端は、直接の切断面でよいが、接続する双方の該下側生コン堰止板88の両端が適宜に交差結合できる形状にして用いてもよい。
【0056】
なお、スラブ用補強鉄筋27の太さ分だけ、上側生コン堰止板87相互間に間隙が出来るが、この間隙からの生コンの流出量は少量であり、悪影響は出ない。
【0057】
外側型枠固定壁面77側で立ち上り部補強鉄筋支持台83下側の下端面92に、適宜な固定具挿入溝97を開溝し、固定具挿入溝97内に、適宜な、支持板兼外側型枠固定具98を設けて、該固定具98の一端を挿入して備える。更に外側型枠固定壁面77と内側型枠幅決め壁面下点81との間の縦中心線が交叉する該幅決め兼鉄筋支持板80の下端面92に基礎幅中心指示頂93を適宜な形状で設けるとよい。
【0058】
適宜な、支持板兼外側型枠固定具98としては、適宜な剛体でなる金属板を用い、該幅決め兼鉄筋支持板80を固定するよう一端側を折り曲げて固定具挿入溝97に挿入し、該固定具98の両側に固定穴73を開穴し、基礎幅中心指示頂93を建物基礎中心線に合致させ、固定穴73にコンクリート釘等で該固定具98を基礎盤に固定させ、他端側を外側用型枠72の下端側に折曲げることで、外側用型枠72の下端側が外側型枠固定壁面77に固定されると共に、該幅決め兼鉄筋支持板80も定位置に固定される。
【0059】
外側型枠固定壁面77側で立ち上り部補強鉄筋支持台83下側の該幅決め兼鉄筋支持板80に適宜な内径の生コン連結穴94を開穴して用いるとよい。建物基礎の横方向が該幅決め兼鉄筋支持板80を介して生コンが連続し、建物基礎が強固となる。なお、生コン連結穴94を他の適宜な位置の該幅決め兼鉄筋支持板80に開穴して用いてもよい。また、該幅決め兼鉄筋支持板80の適宜な位置に、支持針金用の固定穴を開穴して用いるとよい。固定穴内に支持針金を通し、立ち上り部用補強鉄筋33等を支持することができる。
【0060】
図5の該キットAfと該キットAgとを建物基礎位置上に配設した状態を示す概略平面図の図中で示す実線斜線入り矩形は、該幅決め兼鉄筋支持板80の当初の配設位置を示し、点線斜線入り矩形は、任意の位置に移動または増設した、任意位置の該幅決め兼鉄筋支持板95の位置を示すものである。
【0061】
なお、該キットAfにおいて、立ち上り部用補強鉄筋キット33と一体的に形成された傾斜部補強鉄筋96の形状は、建物基礎設計上、各種の形状が用いられる。従って、基礎幅決め兼鉄筋支持板80の形状は、上述の基礎幅決め兼鉄筋支持板80の形状に限定されるものではなく、適宜に各種の形状の傾斜部補強鉄筋96等に対応した、基礎幅決め兼鉄筋支持板80の形状が用いられる。
【0062】
図4に基づいてベタ基礎のスラブ内の立ち上り部形成用PCaでなるキットAg を説明すれば、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキットAf二組の、双方の外側型枠固定壁面77を対向させて立設し、双方の内側型枠幅決め壁面点81間の横幅値に、必要とする所定の基礎幅値を確保して、該双方の外側型枠固定壁面77側を均等幅に垂直切除し、切除後の該双方の該切除面を一体的に結合させて、立ち上り部補強鉄筋支持台83を形成させて、合体基礎幅決め兼鉄筋支持板91を形成させる。
【0063】
合体基礎幅決め兼鉄筋支持板91と下側生コン堰止板88との高さは、基礎盤の深さ高から、基礎幅決め兼鉄筋支持板80と下側生コン堰止板88とを、適宜に高さを調整して用いる。
【0064】
立ち上り部補強鉄筋支持台83の縦中心線が交叉する合体基礎幅決め兼鉄筋支持板91の下端面92に基礎幅中心指示頂93を適宜に設けるとよい。基礎幅中心指示頂93を建物基礎中心線に合致させることが容易となる。
【0065】
上述以外でも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、他の構成等を用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
Af ベタ基礎の外周囲の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット。
Ag 合体基礎幅決め兼鉄筋支持板を用いてなる、ベタ基礎のスラブ内の立ち上り部に用いる、ベタ基礎の立ち上り部形成用PCaでなるキット。
27 スラブ用補強鉄筋。
33 立ち上り部用補強鉄筋。
66 立ち上り部。
70 内側用型枠。
72 外側用型枠。
73 固定穴。
77 外側型枠固定壁面。
78 上端面。
79 他方の縦端壁面。
80 基礎幅決め兼鉄筋支持板。
81 内側型枠幅決め壁面下点。
82 内側型枠固定突起板面。
83 立ち上り部補強鉄筋支持台。
84 下側堰止板挿入結合溝孔。
85 上側堰止板支持棒用孔。
86 上側堰止板支持棒。
87 上側生コン堰止板。
88 下側生コン堰止板。
89 固定用楔。
90 内側型枠止め板面。
91 合体基礎幅決め兼鉄筋支持板。
92 下端面。
93 基礎幅中心指示頂。
94 生コン連結穴。
95 任意位置の該幅決め兼鉄筋支持板。
96 傾斜部補強鉄筋。
97 固定具挿入溝。
98 支持板兼外側型枠固定具。