【解決手段】先導管2と、軸体4と、軸体4の周囲に設けられたらせん状羽根5と、軸体4の長さ方向に沿って軸体4の内部に設けられた土壌改良材注入管と、土壌改良材注入管に垂直な横管と、横管の先端に設けられた土壌改良材吐出ノズル7とを有し、軸体4でらせん状羽根5が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなった土壌改良体造成工具1を使用し、らせん状羽根5が下降する方向に軸体4を回転させるとともに先導管2から空気を吐出しながら土壌改良体造成工具1を地中に下降させ、土壌改良体造成工具1が所定の深さに達したら軸体4を逆方向に回転させ、土壌改良体造成工具1を引き上げながら地上に排泥が排出される量の土壌改良材を地中に土壌改良材を吐出し、地中に土壌改良体を造成する。
先導管と、軸体と、当該軸体の周囲に設けられたらせん状羽根と、軸体の長さ方向に沿って軸体の内部に設けられた土壌改良材注入管と、土壌改良材注入管に垂直な横管と、横管の先端に設けられた土壌改良材吐出ノズルとを有し、前記軸体でらせん状羽根が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなるように構成された土壌改良体造成工具を使用し、
らせん状羽根が下降する方向に軸体を回転させるとともに先導管から空気を吐出しながら土壌改良体造成工具を地中に下降させ、
土壌改良体造成工具が所定の深さに達したら軸体を逆方向に回転させ、土壌改良体造成工具を引き上げながら地上に排泥が排出される量の土壌改良材を土壌改良材注入管に供給して土壌改良材吐出ノズルより地中に土壌改良材を吐出し、地中に土壌改良体を造成する土壌改良体造成工法。
土壌改良材注入管の下端に設けられた複数の縦管と、縦管に垂直な横管と、縦管と横管の間に設けられた曲線状管と、縦管の上端部に設けられたテーパ部とを有する土壌改良体造成工具を使用し、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に2000リットル以上2400リットル以下の土壌改良材を注入する請求項2に記載の土壌改良体造成工法。
軸体と、当該軸体の周囲に設けられたらせん状羽根と、軸体の長さ方向に沿って軸体の内部に設けられた土壌改良材注入管と、土壌改良材注入管の下端に設けられた複数の縦管と、縦管に垂直な横管と、縦管と横管の間に設けられた曲線状管と、縦管の上端部に設けられたテーパ部と、横管の先端に設けられた土壌改良材吐出ノズルとを有し、前記軸体でらせん状羽根が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなるように構成された土壌改良体造成工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の大型クローラー杭打機によるオーガー撹拌工法においては、施工機械が大型であり、施工できる場所が限定されるという問題と、施工のため大型プラントの運搬、設置を必要とするため、広い場所を構えなければならず、その費用も高額であるという問題がある。
【0006】
超高圧噴射撹拌工法では比較的コンパクトな機械による工事が可能であるが、一回の施行で造成できる地中杭の大きさに限界があり、一定の範囲を地盤改良するためには、多数の地中杭しなければならず、施工時間が長い上に費用がかかる。また、多量の排泥(排出スライム)が発生する。
【0007】
一方、特許文献1や特許文献2の土壌改良体造成工法は、簡易な構成で小型の装置により実施できる。しかも、注入量を所定量以下に設定することにより、排泥を出すことなく地盤改良が行え、排泥の処理のための費用がかからなくなる。そして、造成された地中杭は十分な強度を有する。しかし、特許文献1や特許文献2の土壌改良体造成工法も一回の掘削によって造成できる地中杭の多きさに限界があり、超高圧噴射撹拌工法による地中杭と同程度である。
【0008】
この発明は、大きな地中杭が形成でき、低い費用で実施できる土壌改良体造成工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、この発明の土壌改良体造成工法は、先導管と、軸体と、当該軸体の周囲に設けられたらせん状羽根と、軸体の長さ方向に沿って軸体の内部に設けられた土壌改良材注入管と、土壌改良材注入管に垂直な横管と、横管の先端に設けられた土壌改良材吐出ノズルとを有し、前記軸体でらせん状羽根が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなるように構成された土壌改良体造成工具を使用し、
らせん状羽根が下降する方向に軸体を回転させるとともに先導管から空気を吐出しながら土壌改良体造成工具を地中に下降させ、
土壌改良体造成工具が所定の深さに達したら軸体を逆方向に回転させ、土壌改良体造成工具を引き上げながら地上に排泥が排出される量の土壌改良材を土壌改良材注入管に供給して土壌改良材吐出ノズルより地中に土壌改良材を吐出し、地中に土壌改良体を造成する。土壌改良材として1m
3当たりに700kg以上800kg以下のセメントを含むセメントミルクを使用し、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に1000リットル以上の土壌改良材を注入することが好ましく、土壌改良材注入管の下端に設けられた複数の縦管と、縦管に垂直な横管と、縦管と横管の間に設けられた曲線状管と、縦管の上端部に設けられたテーパ部とを有する土壌改良体造成工具を使用し、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に2000リットル以上2400リットル以下の土壌改良材を注入することが特に好ましい。
【0010】
また、この発明の土壌改良体造成工具は、軸体と、当該軸体の周囲に設けられたらせん状羽根と、軸体の長さ方向に沿って軸体の内部に設けられた土壌改良材注入管と、土壌改良材注入管の下端に設けられた複数の縦管と、縦管に垂直な横管と、縦管と横管の間に設けられた曲線状管と、縦管の上端部に設けられたテーパ部と、横管の先端に設けられた土壌改良材吐出ノズルとを有し、前記軸体でらせん状羽根が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
この発明の土壌改良体造成工法および土壌改良体造成工具によれば、一度に大きな径の地中杭を形成することができる。したがって、少ない費用で短期間に地盤改良工事を施工できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
図1は土壌改良体造成工具を示す斜視図、
図2は同一部断面正面図、
図3は同底面図である。この土壌改良体造成工具は、特開2003−90189号に記載されたものと同様なものである。
【0014】
本発明に係る土壌改良体造成工具1は軸体のまわりにらせん状羽根を有するループ式ビットである。先端に先導管2を有し、切削チップ3が設けられている。切削チップ3により地盤を切削しながら、先導管2が地中に入っていく。先導管2に続いて軸体4が設けられ、その周囲にらせん状羽根5が設けられている。軸体4は中空となっているが、
図2に示すようにらせん状羽根5が設けられている部分は、軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなるように構成されている。ここでは、
図2に示すように円筒の両側に円錐を接続したような形状になっており、両端部から中央部へ向かって径が大きくなっている。そして、らせん状羽根5を含む全体の形状で見ても、両端部から中央部へ向かって全体として径が大きくなっている。らせん状羽根5の最大径は、400mm以上であることが好ましく、設備の規模を余り大きくしないためには2000mm以下であることが好ましい。本例においてらせん状羽根5の最大径は1100mmである。また、軸体4の中央部分は一定の太さとなっており、その上下において軸径は一定の割合で変化しており、そのテーパ角は22°程度である。後述するように軸体4のテーパ角はらせん状羽根5が地中を進行する場合にスムーズに土砂を後方に送るため有用な機能を有するが、かかる機能を十分に発揮するためには22°程度にするのが好ましい。らせん状羽根5は軸方向に160mm進むごとに一周するようなピッチになっており、軸体4の長さに沿って周回している。軸体4がテーパ状になっている範囲ではらせん状羽根5の外径は中央部に向かって一定の割合で大きくなっている。一方、軸体4の太さが一定である範囲では、らせん状羽根5の外径も一定となっている。本例においてはらせん状羽根5は外径が最大の状態で完全に一周しており、底面図で見れば外形は完全な円形を形成しているため、掘り進めていくときに軸はぶれることなく真直ぐに進んでいく。
【0015】
軸体4は中空となっているが、内部には内管が設けられており、内管は土壌改良材吐出ノズル7(注入剤排出口)へつながる土壌改良材注入管となっている。土壌改良材吐出ノズル7は軸体4の最も径が大きい位置において外へ向かって設けられている。本例では土壌改良材吐出ノズル7は複数本設けられている。軸体と内管の間の隙間は圧縮空気の通路となり、先導管2の先端より圧縮空気が噴出できるようになっている。
【0016】
らせん状羽根5の上下面にはそれぞれ板状の爪6が複数取り付けられている。爪6は軸体4を中心とする円周に接する方向に、すなわち、爪6の板厚の方向が半径方向になるように設けられている。掘り進めるときはらせん状羽根5の下面に設けられた爪6aが鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌する。
【0017】
図4は土壌改良体造成工具の別の例を示す一部断面正面図である。特許文献2に記載の土壌改良体造成工具と同様のものである。この例では、らせん状羽根5の上下面の他に、らせん状羽根5の外周部にも爪6が設けられている。この外周部の爪により、さらに効果的に土砂を切削することができる。
【0018】
図5は土壌改良体造成工具の爪の例を示す平面図である。板状の金属で形成されており、中央部は幅が一定である。そして、その両側には、尖った先端部が設けられており、全体で六角柱の形状となっている。この尖った先端部によって、らせん状羽根5がどちらの方向に回転したときも、爪6は土砂を効果的に切削することができる。
【0019】
図6は土壌改良材注入管の下端の例を示す平面図、
図7は同断面図である。この土壌改良材注入管の下端部は本発明の土壌改良体造成工具に特徴的なものである。特許文献1や特許文献2では、土壌改良材注入管8の下端において、土壌改良材注入管8に対して直角に2本の横管10が接続され、T字の形状が形成されていた。そして、その横管10に土壌改良材吐出ノズル7が接続されている。一方、
図6、
図7の例では、土壌改良材注入管8の下端には複数の縦管12と、この縦管12に垂直な横管10が設けられ、さらに縦管12と横管10の間には曲線状管11が設けられている。ここでは、3本の縦管12が束状になって土壌改良材注入管8に接続されるが、その接続部分において、土壌改良材注入管8はテーパ状に径が狭くなっている。また、縦管の上端部にも下に向かって内径が狭くなるようなテーパ部が設けられている。
【0020】
特許文献1や特許文献2の土壌改良体造成工具では、土壌改良材注入管8と横管10が直角に接続されているので、この直角な折れ曲がりにおいて流れる土壌改良材は大きな抵抗を受ける。したがって、高い流速を得ることが困難となる。一方、
図6、
図7の例では、土壌改良材注入管8の下端および縦管12の入口にテーパが設けられ、さらに縦管12と横管10が曲線状管11によって接続されているので、土壌改良材注入管8から横管10までの間に土壌改良材は大きな抵抗を受けることがなく、スムーズに流れる。したがって、高い流速を得ることができる。
【0021】
図8は、土壌改良体造成工具を備えた建設機械を示す正面図である。作業台車23は無限軌道24を備えて自走可能であり、工事現場において装置全体を容易に移動させることができるものである。作業台車23には上下動可能なアーム25を介してリーダー26が取り付けられている。リーダー26はチャック27を上下に移動可能に取り付けるスライド式の取り付け装置である。この作業台車23にスィベルおよび中間ロッドを取り付け、その先端に土壌改良体造成工具1が取り付けられている。
【0022】
中間ロッドは土壌改良体造成工具の軸体と同様に中空な管であり、内管と外管を備えた三重管構造になっている。6m、4m、2mなど複数の長さのものがあり、相互に接続・切離しができる。また、スィベルも同様に三重管構造であり、注入剤ホース28と空気ホース29を接続して、土壌改良材および圧縮空気を導入できる。
【0023】
次に、土壌改良体造成工具を用いた土壌改良体造成工法について説明する。施工場所に作業台車23を移動させたら、アーム25の角度を調整してリーダー26を垂直に立てる。チャック27に最上段の中間ロッドを通し、チャック27で中間ロッドをつかむ。最上段の中間ロッドの上にスィベル9がつながれ、最下段の中間ロッドの下に土壌改良体造成工具1が接続される。チャック27は油圧駆動により中間ロッド22を正逆両方向に回転させることができる。すなわち、中間ロッド22はチャック27の回転を先端の土壌改良体造成工具1に伝達する駆動軸の働きをする。スィベル9に注入剤ホース28と空気ホース29とが接続され、それぞれのホースは図示しないプラントのグラウトポンプとコンプレッサーにつながれる。スィベル9、中間ロッド22および土壌改良体造成工具1は、それぞれ三重管構造であるが、接続された時には、空気および注入剤の通路がつながるようになっている。
【0024】
土壌改良体造成工具1により掘り進めるときには、コンプレッサーで空気を送り土壌改良体造成工具1の先端より噴出するとともに、土壌改良体造成工具1のらせん状羽根が下向きに進行するよう回転させる。ある程度掘り進めたら、中間ロッド22を継ぎ足して、さらに深く掘り進める。切削した土砂を滑らかに後方に送るために、らせん状羽根のループは先端から中央部にむかって径が広がり、また上部へ向かって径が小さくなる形状になっている。ここで、らせん状羽根は大きい方が土砂を押さえる力は強く有利であるが、らせん状羽根には地中で抵抗がかかり、特に中央部のループの径の大きい部分での抵抗は大きくなる。軸体が一定の太さであると中央部において羽根は大きく突き出した形状になり、大きな力がかかるとともに、羽根は破損しやすい。また、軸体にかかる力も大きくなり破損しやすい。本発明の土壌改良体造成工具1では、前記軸体4でらせん状羽根5が取り付けられる部分は軸方向に沿って中央部が太く両端部が細くなる。そのため、中央部においてもらせん状羽根および軸体は強固であり、また掘り進みながらスムーズに土砂を後方に送るため、施工中に土壌改良体造成工具1が地中で破損しにくくなり、比較的硬い地盤や粘土質の場所でも施工ができる。
【0025】
最終深さまで掘り進めたら、チャック27の回転方向を逆にして、らせん状羽根が上向きに進行するよう回転させながら、土壌掘削工具1を引き上げる。この際、注入剤ホース28より注入剤を導入し、土壌改良体造成工具1の注入剤排出口より注入剤を地中に注入する。引き上げ時にはらせん状羽根の上面の爪が土砂を撹拌する。らせん状羽根の下面の爪は逆回転時における進行方向側が切りかかれているので、同様に土砂を滑らかに後方へ送る。そして、本発明に係る土壌改良体造成工法においては、土砂の機械的撹拌と注入剤の噴出による土砂の撹拌が同時に行われ、切削された土砂と注入剤は効率的に混合され、注入材は良好に地中に取り込まれ、切削された土砂と注入剤が排泥として地上に排出される量は極めて少なくなる。引き上げるときは、掘り進めるときとは逆に、中間ロッドを順次取り外しながら作業を進める。所定の高さまで引き上げたら注入剤の注入を停止して、土壌改良体造成工具1を引き上げる。このようにして一つの穴の施工が完了したら、作業台車23を次の位置に移動させ、同様の施工を繰り返す。
【0026】
ここで、この土壌改良体造成工法で土壌改良材として使用される注入剤について説明する。土壌改良材として1m
3当たりに700kg以上800kg以下のセメントを含むセメントミルクを使用する。特許文献1や特許文献2の土壌改良体造成工法では、1m
3当たりに1000kgのセメントが使用されるので、これに比較して、本例の土壌改良材ではセメントの使用量が著しく減少する。JSG工法やCJG工法と呼ばれる超高圧噴射撹拌工法で使用される1m
3当たりに760kgのセメントを含むセメントミルクと同程度かそれより低いセメント濃度である。
特に、次の例の配合が適している。
高炉セメント700kg,水667kg,混和剤(商品名サンフローSW−2000S:日本製紙株式会社)5kg
この配合により、1m
3当たりに700kgのセメントを含むセメントミルクが得られる。これは、超高圧噴射撹拌工法の場合よりもセメントの使用量が小さく、材料費を大幅に軽減できる。特に、特許文献1や特許文献2の工法に比べて、材料費を30%減少させることができる。
【0027】
ここで、土壌改良材の注入量について説明する。特許文献1や特許文献2の発明では、土壌改良材の注入量を所定値以下にすることにより、地上に排泥が排出されない工法を実現した。ループ径が1100mm程度のらせん状羽根を使用した場合、1mの土壌改良材の引き上げるに対して800リットルまでの注入であれば、らせん状羽根の強力な撹拌および土砂取り込み作用により、排泥を全く排出することなく、地中杭を造成することができる。したがって、特許文献1や特許文献2の発明では、注入量はそれ以下に押さえていた。本発明の工法では、あえてこの所定値を超えて注入剤を注入し、排泥を地上に排出させることに特徴がある。1mの土壌改良材の引き上げるに対して800リットルまでの注入剤を地上に排出することなく土壌中に取り込むことができるとき、たとえば、1000リットル以上の注入剤を注入する。大きい地中杭を得るためには、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に2000リットル以上2400リットル以下の土壌改良材を注入することが好ましく、これを超えて注入しても杭径はさほど広がらなくなる。
【0028】
図9は地中杭を示す断面図である。右図は特許文献1や特許文献2の工法による地中杭を示し、左図はこの発明の工法による地中杭を示す。どちらも、外径1100mmのらせん状羽根を使用し、圧力180kg/m
2で注入する。土壌改良体造成工具1は1m当たり7分(特許文献1や特許文献2)または11.5分(本発明)の速度で引き上げる。また、土質はN≦10の砂質土である。
【0029】
図9の内側の円は、らせん状羽根5の外径1100mmを示し、この部分をらせん状羽根5が通過する。そして、その外側の円が形成される地中杭の外形を示す。特許文献1や特許文献2の発明の工法では、土壌改良材として1m
3当たりに1000kgのセメントを含む高濃度のセメントミルクを使用し、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に800リットルの土壌改良材を注入する。これにより、らせん状羽根5の先端から400mmの距離まで土壌改良材が浸透する。また、この土壌改良材はらせん状羽根5の回転によって中心部にも取り込まれ、土砂とともに均一に撹拌される。こうして、直径1900mmの地中杭が造成される。この地中杭は、30kg/m
2以上の強度を有する。
【0030】
一方、この発明の工法である左図の例では、土壌改良材として1m
3当たりに700kgのセメントを含むセメントミルクを使用し、土壌改良体造成工具を1m引き上げる間に2300リットルの土壌改良材を注入する。このとき、らせん状羽根5の先端から1000mmの距離まで土壌改良材が浸透し、直径3100mmの大きな地中杭が造成される。この地中杭も、30kg/m
2以上の十分な強度を有する。
【0031】
2300リットルの土壌改良材を注入することにより、地上に排泥が排出される。しかし、この工法においてもらせん状羽根5の回転による土砂の取込み作用により、800リットル分は地中に吸収されるので、それを超えた1500リットル分のみが土砂とセメントミルクの混合体として排出される。これは、後述の超高圧噴射撹拌工法による排泥と比べるとはるかに少ない量である。
【0032】
以上、本発明の土壌改良体造成工法では、らせん状羽根5を備えた土壌改良体造成工具を使用しながらも、あえて排泥を排出させるだけの土壌改良材を注入することにより、安価なセメントミルクを使用し、しかも、地中杭の大きさを飛躍的に向上させる。したがって、材料費が削減されるほかに、地中杭の造成回数も減少し、施工にかかる費用が大幅に減少する。本発明の工法では排泥が発生するので、廃棄物として処理する費用がかかるが、その分を超える費用の削減がある。また、造成回数が減少するため、工事に必要な時間も短縮される。1本当たりの地中杭の造成に必要な引き上げ時間は、本発明の方が1.6倍程度長いが、地中杭の造成回数の減少により、工事全体の時間は3.1分の1程度まで短縮される。たとえば、体積648mの改良体を造成するために、特許文献1や特許文献2の発明の工法では72日かかるのに対して、本発明では23日程度まで短縮される。
【実施例1】
【0033】
さらに、従来の工法と比較して本発明の土壌改良体造成工法による施工例を説明する。
図10は従来の土壌改良体造成工法による施工例を示す平面図、
図11は本発明の土壌改良体造成工法による施工例を示す平面図である。縦10000mm、横18000mmの長方形の外周に沿ってシートパールを打ち込み、その内部に改良体を造成する。
【0034】
まず、従来の土壌改良体造成工法の例について説明する。JSG工法やCJG工法と呼ばれる超高圧噴射撹拌工法の例である。土壌改良材として1m
3当たりに760kgのセメントを含むセメントミルクを使用する。N≦10の砂質土において、CJG工法では、装置を1m引き上げる間に3600リットルの土壌改良材を注入する。これにより、1777m
3の排泥が産業廃棄物として発生する。JSG工法では、装置を1m引き上げる間に2280リットルの土壌改良材を注入し、1085m
3の排泥が発生する。
【0035】
従来の土壌改良体造成工法では、1回で形成される地中杭の直径は2000mmである。縦10000mm、横18000mmの範囲において、74本の地中杭を形成する必要がある。それでも、周辺部において、改良体ができていないところがあり、ここまでも地盤強化をしようとすれば、さらに薬液注入などを施工する必要がある。なお、先述の特許文献1や特許文献2の発明の工法では、地中杭の径がさらに小さいため、同範囲では80本の地中杭が必要となる。
【0036】
この施工において、CJG工法では削孔に63日、改良材注入に26日の計99日の工期が必要であり、JSG工法では72日の工期となる。また、施工費総額は、CJG工法では66,800,000円、JSG工法では54,280,000円となる。
【0037】
つぎに、本発明の施工例について説明する。使用する土壌改良体造成工具や土壌改良材の配合、注入量は先述の通りである。本例では、同じ範囲を造成するために、37本の地中杭で十分である。周辺部にも改良体のいきわたらない場所はほとんど発生しない。これに要する工期は23.13日である。
【0038】
以上、この発明の工法によれば、施工費を大幅に減少させることができる。これまでの工法のうち、もっとも安価であったJSG工法や先述の特許文献1や特許文献2の工法と比較しても、1800万円も軽減されている。
【0039】
施工期間も3分の1以下に短縮されている。工期の短縮は、費用の軽減につながるだけではなく、早期に施工結果を施工主に提供できるメリットなど計り知れない利点がある。