【課題】1種類で引戸への引手の片面取付、或いは両面取付を可能にし、しかも長尺の引手であっても反り、変形等の不安定な要素を解消して引戸に引手を強固に取り付けることができる建具用引手を提供する。
【解決手段】引戸5の片面または両面に選択的に形成された引手嵌着部6に取り付けられる建具用引手1である。本体2は、指掛用の凹部11aが形成された引手本体10、及び該引手本体10の開口周辺に延出されたフランジ20とで構成されている。引手本体10の両外側面11dには第2係合部15が所定間隔で設けられている。アタッチメント3は引手本体10の底壁11bに反転可能にて取り付けられ、引手本体10の第2係合部15に係合する係止片33が突設され、且つ、引戸5への片面取り付けの場合、引戸5に凹設した有底の引手嵌着部6に固定可能となっている。
引手本体の両外側面には、該引手本体の底壁よりも背方に突出し、該突出部分に前記アタッチメントの側縁部に形成した側縁係合部の凸部が挟着されるコ形部を前記底壁に沿わせて形成した係止部材で構成した第1係合部が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具用引手。
【背景技術】
【0002】
従来、引手は様々な種類の建具に用いられており、引手の形状も方形、円形、長円形等が用いられ、さらに用途に応じた向きに取り付けられる。また、引戸の表裏両面に取り付けられる両面取付型と、引戸の片面に取り付けられる片面取付型との2種類が採用されている。
【0003】
例えば、両面取付型の一例として特許文献1(
図6)に開示されている引手の場合、引戸の開閉操作部位に貫通孔を開口し、その開口部を貫通する両側から連結用の波形取付部を内端部に有する介助板を取り付け、その内端部で両側から臨ませた互いの波形取付部を連結させて引戸の両側に引手取付用の凹状空間を構成し、ここに両側から各引手を押し込むだけで引手の両面取り付けを可能にしている。しかし、この場合は引戸の表裏に取り付けられる両面取付専用となり、引戸への片面取り付けができなかった。
【0004】
一方、片面取付型の一例として特許文献2(
図2)に開示されている引手の場合は、縦長の引手本体の背面側上部と下部に、引戸の引手嵌着部に食い込ませる弾性係止部材を付設することにより、引戸の片面に引手を取り付ける引手が提案されており、両面への取り付けは出来ず、いずれの場合でも1種類の引手で両面取付型と片面取付型の共用ができなかった。
【0005】
その他、上記片面取付型引手では、弾性係止部材の弾性力に抗する外力、例えば引戸の反りに伴って引手が変形する場合、或いは弾性係止部材の弾性力(喰い込み力)が不十分な場合は引戸への取付後において、開閉時に意図せず引手が離脱するおそれがあった。
【0006】
特に、長尺引手の場合は、長尺引手の背面側上部と下部のみが弾性係止部材で支持されることになり、長尺引手の中央部を保持する力がないので外れ易く、該長尺引手の変形、反り、及び長尺引手の側部で浮き等の不安定な取付状態となってしまう問題も有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような問題に鑑み本発明は、1種類で引戸への引手の片面取付、或いは両面取付を可能にし、しかも長尺引手であっても、反り、変形、浮き、離脱等の不安定な要素を解消して長尺引手を安定して取り付けることができる建具用引手を提供することを主たる目的とする。また、上記建具用引手を利用した引戸の提供を従たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明は、引戸5の片面または両面に選択的に形成された引手嵌着部6に取り付けられる建具用引手1であって、
指掛用の凹部11aが形成された引手本体10、及び該引手本体10の開口周辺に延出されたフランジ20とで構成され、引手本体10の両外側面11dに第2係合部15が所定間隔で設けられた本体2と、
引手本体10の底壁11bに反転可能にて取り付けられ、引手本体10の第2係合部15に係合する係止片33が突設され、且つ、引戸5への片面取り付けの場合、引戸5に凹設した有底の引手嵌着部6に固定可能なアタッチメント3とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の建具用引手1に関し、
引手本体10の両外側面11dには、該引手本体10の底壁11bよりも背方に突出し、該突出部分14cに前記アタッチメント3の側縁部31に形成した側縁係合部32の凸部32bが挟着されるコ形部14bを前記底壁11bに沿わせて形成した係止部材14aで構成した第1係合部14が複数設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載の建具用引手1に関し、
前記アタッチメント3を長手方向に対して直交する方向にて分割し、その一方の分割面41と他方の分割面42とを突き合わせて連結する突合連結部4を該分割面41,42に形成し、
分割された上・下部アタッチメント3a,3bの側縁部31に形成した側縁係合部32の凸部32bが挟着されるコ形部14bを引手本体10の長辺方向端部16a,16b側に開口するように形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の建具用引手1を具備した引戸5に関し、
引戸5の片面に建具用引手1が装着された場合は、引戸5の片面に形成された有底の引手嵌着部6の開口方向に向けて係止片33を立設した状態で引手嵌着部6の底部にアタッチメント3が固定され、引手嵌着部6に装着された引手本体10の第2係合部15にアタッチメント3の係止片33が係合され、
引戸5の両面に建具用引手1が装着された場合は、引手本体10の底壁11bから背方に向けて係止片33が立設するようにアタッチメント3が一方の引手本体10の底壁11bに固定され、
この状態で、アタッチメント3付きの引手本体10が引戸5に貫通して形成された引手嵌着部6の一方から装着され、
他の本体2を引手嵌着部6の他方から装着し、該他の本体2の第2係合部15にアタッチメント3の係止片33を係合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1は、アタッチメント3が引手本体10の底壁11bに反転可能に取り付けでき、且つ、引戸5に凹設した有底の引手嵌着部6に固定可能であるので、引戸5の片面だけに装着する場合は、アタッチメント3を有底の引手嵌着部6に固定し、この固着されたアタッチメント3の係止片33を引手本体10の両外側面11dの第2係合部15に係止する。
【0014】
両面装着の場合は、アタッチメント3付きの本体2を引戸5に形成した貫通状態の引手嵌着部6の一方の面に装着し、アタッチメント3のない他の本体2を引手嵌着部6の他方の面に装着し、アタッチメント3の係止片33を他の本体2の第2係合部15に係止する。これにより1種類の建具用引手1で、引戸5の片面装着と両面装着の共用が可能となる。
【0015】
また、第2係合部15と係止片33とが本体2の外側面11d及びアタッチメント3に所定間隔で設けられているので、仮に建具用引手1が長尺であったとしても全体が引手嵌着部6に浮き上がりなく装着される。
【0016】
請求項2に記載した発明は、引手本体10の底壁11bよりも背方に突出したコ形部14bにより、アタッチメント3の凸部32bが挟着されるようになっているので、アタッチメント3を底壁11bに沿ってスライドさせるだけで引手本体10にアタッチメント3を固定できる。換言すれば、アタッチメント3を反転させたとしても底壁11bに装着でき、上記引戸5の片面装着と両面装着の共用が可能となる。
【0017】
請求項3に記載した発明は、アタッチメント3が分割され、且つ、分割された上・下部アタッチメント3a,3bの側縁部31に形成した側縁係合部32の凸部32bが挟着されるコ形部14bを引手本体10の長辺方向端部16a,16b側に開口するように形成されているので、上・下部アタッチメント3a,3bを引手本体10の長辺方向端部16a,16b側から中央方向にスライドさせて分割面41,42の突合連結部4を結合させれば、上・下部アタッチメント3a,3bは底壁11bから脱落することはない。換言すれば、アタッチメント3を正転時または反転させて底壁11bに装着した時、上・下部アタッチメント3a,3bの底壁11bからの脱落はなく、これによって引戸5の片面装着と両面装着の共用が可能となる。
【0018】
請求項4に記載した発明は、建具用引手1を具備した引戸5に、本発明のアタッチメント3を使用することで、1種類の建具用引手1で片面装着と両面装着のいずれでも任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A)は本発明の両面取付型として用いられる建具用引手の背面側を示す斜視図、(B)はその正面側を示す斜視図である。
【
図2】(A)は本発明の本体を示す斜視図、(B)は本発明のフランジを示す斜視図である。
【
図3】(A)は本発明の本体を示す底面図、(B)は同本体の
図3(A)のa−a線矢視断面図である。
【
図4】(A)は本発明の建具用引手を示す平面図、(B)は同建具用引手の
図4(A)のa−a線矢視断面図、(C)は本発明の本体の要部拡大底面図である。
【
図5】(A)は本発明のアタッチメントの分割された一方を示す平面図、(B)はアタッチメントの分割された他方を示す平面図である。
【
図6】(A)は本発明のアタッチメントの一方を示す側面図、(B)は
図6(A)の左側から見た側面図である。
【
図7】(A)は本発明のアタッチメントの連結前を示す平面図、(B)はそのアタッチメントの連結後を示す平面図である。
【
図8】本発明の本体と両面取付型として用いられる向きのアタッチメントとを示す斜視図である。
【
図9】本発明の建具用引手の本体が引戸の両面に取り付けられる両面取付型を示す斜視図である。
【
図10】本発明の建具用引手の本体が引戸の片面に取り付けられる片面取付型を示す斜視図である。
【
図11】本発明の建具用引手の本体が引戸の片面に取り付けられる片面取付型の使用状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。
図1〜
図9は引戸5の両面に本体2を取り付ける両面取付型の建具用引手1の一例を示し、
図10と
図11は引戸5の片面に本体2を取り付ける片面取付型の建具用引手1の一例を示している。まず、両面取付型の建具用引手1を選択した場合について説明する。
【0021】
図1(A)は長尺の建具用引手1を示す背面側の外観を示し、
図1(B)はその正面側の外観を示している。建具用引手1は船形状の本体2と、平板状のアタッチメント3とを組み合わせて構成される。
【0022】
本体2は、長尺の引手本体10と、これに取り付けられる長尺のフランジ20とから構成される。このうち、引手本体10は合成樹脂材を用いて一体成形され、その内・外表面にメッキや塗装等の表面処理を施したものであり、
図2にも示すように大別して船形部11と、被係止部12と、船形部結合片13と、第1係合部14と、第2係合部15とを備えて構成したものである。
【0023】
まず、船形部11は、長円形の凹部11aを有し、この長円形の凹部11aは親指以外の指先が一列に揃えて入り、その入る領域が長辺方向に十分に長くとった長尺形状を有しており、長円形の両端部は該凹部11aの底壁11bから開口縁部11cに向かって外広がりに傾斜し、底壁11bは水平な平坦面を有している。
【0024】
被係止部12は、船形部11の長辺方向両外側面(以下「外側面」と称す)11dに突設したものであり、本実施例では3個1組(勿論、3個には限られない。)の小さな縦向きで平行な突片12aで構成している。突片12aの基部には突片12aを安定して形成するための補強部12bを有している。また、被係止部12は船形部11の外側面11dの長辺方向に沿って3個1組の複数個を略一定間隔毎(図では一側面に8組)に突出させて設けており、後述するフランジ20の係着片23に結合される。
【0025】
船形部結合片13は、船形部11の長辺方向端部16a,16bに突出させたものであり、長辺方向に平行させた3枚の樹脂板13a,13b,13cを突出させている。3枚の樹脂板13a,13b,13cの上縁は船形部11の開口に一致し、下縁は長辺方向端部16a,16bの中央部分に位置し、この内、中央に突出させた樹脂板13bの下縁は両側の樹脂板13a,13cより一段低くし(換言すれば、上下の幅を小さくし)、後述するアタッチメント3の両端部(取着部34)を支持する高さに設定している。
【0026】
第1係合部14は、船形部11の外側面11dに沿い該船形部11の開口縁部11cから底壁11b側に突出し、且つ底壁11bよりも背方に突出させた係止部材14aで構成している。この係止部材14aはその先端の突出部分14cに後述するアタッチメント3とのスライド係合を許容するコ形部14b(換言すれば、船形部11の底面に一致させて設けた水平溝)を形成しており、本体長辺方向に沿って複数形成している。なお、コ形部14bの形成方向は第2係合部15との関係において説明する。
【0027】
第2係合部15は、
図4(C)の本体2の要部拡大底面図にも示すように、平行する2個1組の係止部材14aを外側面11dの本体長辺方向に一定間隔毎に離して形成し、これら2個1組の係止部材14a間である長辺方向の係止部材14a間長さL1の空間と、該係止部材14aの内面と対向する外側面11dとの間にできる幅方向長さL2の空間とで、後述する係止片33を収容させる係止片収容空間15aを形成している。さらに、2個1組の係止部材14a間の中央部に相当する外側面11dには本体対向(本体2の長手水平)方向に沿って小刻みに凹凸形成した外側面噛合部15b(
図2)を形成している。なお、上述した第1係合部14及び第2係合部15は本体長辺方向に一定間隔で複数組形成されている。この実施例では両係合部14,15を外側面11dの両側に4個ずつ(勿論、4個ずつには限られない。)形成した例を示している。
【0028】
フランジ20は、合成樹脂材を用いて一体成形し、そのうち、外表面にメッキや塗装等の表面処理を施したものであり、
図2(B)及び
図3にも示すように、フランジ板21と、フランジ板21に穿設された長円形の開口部25の周囲に形成された長円形の開口縁段部22と、係着片23と、フランジ結合片24(
図3)とが備えられている。
【0029】
本実施例では、フランジ板21を船形部11の開口縁部11cより平面的に大きい長方板状で構成し、その中央の長辺方向に、船形部11に開口された長円形の開口縁部11cの開口形状より小さく開口された前述の長円形の開口部25を形成している。上述の開口縁段部22は、フランジ板21の開口部25に沿う形で下面側に全周に小幅で突設されて形成されるものであり、
図4(B)に示すように既述した船形部11の開口縁部11cの外周と嵌合する段部に形成されている。
【0030】
係着片23は、
図2に示すようにフランジ板21の下面で、開口縁段部22から船形部11の壁厚をあけて引手本体10との結合方向(背面)に向けて突出する長方板であり、長方板の中央には本実施例における被係止部12の3枚の突片12aと対応する大きさにて係着口26が開口されている。また、係着片23は突片12aとの対応位置に対応し、フランジ板21両側の長辺方向に沿って一定間隔に立設させて設けている。
【0031】
ここで被係止部12の突片12a、係着片23、第1係合部14のコ形部14b及び第2係合部15及び係止片33との関係についてさらに説明する。第2係合部15は船形部11の外側面11dに本実施例では4か所(勿論、4か所に限られない。)設けられているが、
図2(A)の手前側である一方の外側面11dでは一方(同図では下側)の長辺方向端部16b寄りに形成され、他方(
図2(A)では向こう側)の外側面11dでは他方(同図では上側)の長辺方向端部16a寄りに形成され、手前側の第2係合部15の間に向こう側の第2係合部15が位置する、所謂千鳥状(点対称)に配置されている。
【0032】
そして、第2係合部15の両サイドに第1係合部14が縦方向に設けられて、第1係合部14の間が前述の係止片33の係止片収容空間15aとなっている。そして、係止片収容空間15aにおける外側面11dに山形状に連続する外側面噛合部15bが刻設され、前述の係止片33には同じく山形状に連続する内側面噛合部33a(
図6(A))が刻設され、外側面噛合部15bと内側面噛合部33aとが係合時に適切な位置で噛合するようになっている。外側面噛合部15bと内側面噛合部33aの凹凸は本体2の長手方向に向けて伸びており、挿入方向で外側面噛合部15bと内側面噛合部33aが噛合するようになっている。第1係合部14のコ形部14bの開口方向は、外側面11dの中央を境にして、本実施例の場合では左右2対の第1係合部14のコ形部14bが外側、すなわち船形部結合片13側に開口している。
【0033】
アタッチメント3は、本実施例では2分割されており、接合することで、合成樹脂材で本体2の取付基板として設けられ、
図1にも示したように本体2に沿う長尺の平板状に形成されている。勿論、アタッチメント3を非分割一体もので形成してもよいが、この場合については後述する。ここでは2分割アタッチメント3について説明するが、その接合については後述する。接合されたこのアタッチメント3の長辺方向は船形部11の底壁11b全長より長くフランジ20の全長より短い長さで、幅方向は船形部11両側の外側面11dに突出形成されている係止部材14a間長さを有し、本体2の背面側の底壁全体をアタッチメント3が面接触にて受け止める支持構造を有している。また、厚さは取付基板として十分な強度が得られる1ミリ強程度の厚さを有している。
【0034】
そして、アタッチメント3の両側縁部31に長辺方向に沿って平面視凹凸状の側縁係合部32(
図5)を切り欠いて設けている。この側縁係合部32の凹部32aは上述した係止部材14aとの平面対向方向での組立時の接触を避けるための切り欠きであり、凸部32bはアタッチメント3を長辺方向にスライドした時にコ形部14bに係合させる係合鍔となるものである。
【0035】
また、アタッチメント3の両側縁部31には
図6(A)に示すように長辺方向に沿う複数の箇所で平面より垂直に起立する係止片33を突出させている。この係止片33は上述した船形部11の外側面11dに形成されている係止片収容空間15aに差し込まれる大きさに設けられ、前述のように突出した内側面には上述した外側面噛合部15bと凹凸対応して噛合する内側面噛合部33aが形成されている。これらの噛合部15b,33aは双方の噛合面間で係止片33が差し込まれる係止方向での移動を許容しつつ噛合を確保できるように一方の凹凸を大きく他方を小さく設定して凹凸差をつけるとよい。本実施例では山形状の外側面噛合部15bの凹凸よりも内側面噛合部33aの凹凸を小さくして凹凸差をつけることにより噛合状態からのアタッチメント3の挿脱方向の移動を可能にしている。
【0036】
さらに、アタッチメント3は
図5にも示すように、その中央で上部アタッチメント3aと下部アタッチメント3bとに長辺方向に直角にて2分割して着脱自在に構成している。これら上下部のアタッチメント3a,3bは同一部品であり、共通部品として用いられ、使用時に上下に向きを変えて連結した2個1組が一部品として用いられる。
【0037】
アタッチメント3の着脱構造は、一端が半円形を有する上部アタッチメント3aの場合、他端が着脱される凹凸状の分割面41となり、同形状の下部アタッチメント3bの分割面42とを突き合わせて連結する突合連結部4を有している。この突合連結部4は、分割面41,42において、係合凸部43aと係合凹部43bとを隣接して形成しており、一方の分割面41を180度反転させて対向させた時、互いの係合凸部43aと係合凹部43bとが相対向することになり、突き合わせて行くと凹凸対応して連結されることになる。この凹凸対応は、嵌め殺しでもよいが、本実施例では着脱可能に係合凸部43aをU字形に突出させて幅方向に弾性変位機能を持たせている。前記係合凸部43aは、幅狭U形の弾性片43a1に外鍔43a2が形成され、係合凹部43bは幅広U形の嵌合凹部43b1の開口縁に内鍔43b2が突設されている。
【0038】
さらに、本実施例では係止片33の突出側をアタッチメント3の表面側とし、この半円状の端部の表面側の中央に該アタッチメント固定用の取着部34(
図6)を突設している。取着部34はアタッチメント3の表面に突出させた突部に釘やビス等の取着部材35(
図11)を挿通させる挿通孔36を有し、取着部材35の取り付けを容易にしている。即ち、引戸5の引手嵌着部6に該アタッチメント3のみを取着部材35にて取着させることが可能な構成(片面取付型で適用)としている。
【0039】
また、アタッチメント3には平面部の一部に長方形状に貫通して開口した表示開口窓37を有しており、この表示開口窓37を通して船形部11の底壁11bに記載されている表示情報38(実施例ではアタッチメント3の上下位置の向きを特定する下向き矢印を示している)を本体2との組立後に視認できるようにしている。なお、アタッチメント3の裏面側は、表面側の係止片33と取着部34がない平坦面である。
【0040】
非分割一体型アタッチメント3は図示していないが、分割型と異なり、コ形部14bに対して一方向からしか装着できないので、コ形部14bの開口方向は全て同一方向を向くことになる。コ形部14bに嵌め込めば嵌め殺しになるように、例えばコ形部14bに鏃状の戻りを構成しておくことが好ましい。
【0041】
このアタッチメント3は、アタッチメント3の表裏両面に一対の本体2を取り付ける両面取付型と、アタッチメント3の片面(表面)のみに本体2を取り付ける片面取付型との2種類の異なる連結機能を有しており、これらのいずれかを選択して取り付けることができる。この際、取付手順は異なる。なお、前記取り付けに先立ってフランジ20が船形部11の開口側に嵌め込まれ、
図4(B)のようにフランジ20の両サイドの係着片23の係着口26に船形部11の突片12aが係合し、且つ、フランジ20の開口縁段部22の外側に船形部11の開口縁が全周に亘って嵌まり込んで一体化する。さらに、フランジ20の両端のフランジ結合片24が、船形部11の長辺方向端部16a,16bの外側の樹脂板13a,13cに係合し、フランジ20の両端を船形部11の長辺方向端部16a,16bに固定する。これにより、フランジ20の全体が船形部11に固定されることになる。
【0042】
両面取付型の取付手順では、一方の本体2とアタッチメント3とを一体化してから引戸5の貫通状態の引手嵌着部6に組み込み、その後、反対面側から同形状の別の本体2(アタッチメント3なし)を結合させるよう押し込んで取り付ける構造となっている(
図9)。
【0043】
この点を詳述すると以下の通りである。上・下部アタッチメント3a,3bの係止片33を、フランジ20付きの本体2の船形部11の底面に対して反対側に突出させた状態で、船形部11の底面に上・下部アタッチメント3a,3bを対面配置する。そして、船形部11の底面に近接するように移動させると外側面11dに設けられ、底面から突出している第1係合部14のコ形部14bがフランジ20の凹部32aに入り込む。上・下部アタッチメント3a,3bは別々に対面配置されるので、この時点では分割面41,42は互いに離間している。
【0044】
この状態で船形部11の底面に沿って半円形の端部16a,16b側から中央に向けて上・下部アタッチメント3a,3bを互いに近接方向にスライドさせる。このスライドによって、上・下部アタッチメント3a,3bの両側縁部31の凸部32bが船形部11の長手方向外側からコ形部14bに嵌まり込む。そして、最終的に上・下部アタッチメント3a,3bの分割面41,42に形成された係合凸部43aが係合凹部43bに嵌まり込み、弾性片43a1の外鍔43a2が嵌合凹部43b1の内鍔43b2に係合して上・下部アタッチメント3a,3bは一体となって一方の船形部11の底面に装着される。その結果、アタッチメント3の係止片33は一方の本体2の船形部11の底面両脇から突出した状態で取り付けられる。
【0045】
次に、引戸5の一方の面から引手嵌着部6に先程組み立てたアタッチメント3付きの本体2を組み込み、反対面側から同形状の別のアタッチメント3なしの本体2を結合させるよう押し込む(
図9)。一方の本体2から突出した係止片33は、反対側の本体2の外側面噛合部15bに噛合し、両フランジ20が挟み込むように引戸5の面に隙間なく当接する。引戸5の厚さの不揃いに対しては係止片33と外側面噛合部15bの噛合深さによって調節される。
【0046】
一方、片面取付型の取付手順では、係止片33を引手嵌着部6の開口方向に向けた状態で上・下部アタッチメント3a,3bを結合させた状態のアタッチメント3を有底の引手嵌着部6(引戸5の一方の面に掘り込み形成された有底の長穴)内に挿入し、取着部34の挿通孔36を利用して引戸5の引手嵌着部6にアタッチメント3を釘等の取着部材35で打ち付けて固定し、その後から本体2を引手嵌着部6に押し込み、アタッチメント3の係止片33を船形部11の外側面噛合部15bに噛合させて取り付ける構造となっている。引手嵌着部6の不揃いは前記噛合深さによって調整される。これによってフランジ20は引戸5の引手嵌着部6周囲の表面に隙間なく当接する。
【0047】
さらに、アタッチメント3の取り付けに際して、アタッチメント3の長辺方向端部16a,16bだけでなく、長辺方向中央部をも取着部材35で取着してアタッチメント3の取着信頼性を高めてもよい。この時は、アタッチメント3の分割面41,42である互いのU字形の弾性片43a1間にできる空間を取着部材35の取着空間とし、ここに取着部材35を打ち付けてアタッチメント3の中央部を固定するとよい。
【0048】
以上説明したように、アタッチメント3の表裏を両面利用するか片面利用するかで両面取付と片面取付とのいずれかを自由に選択することができる。さらに、長尺引手であっても長辺方向の複数の箇所で係合できるので全体に亘り均一な固定を実現できることになり、長尺引手は変形し難く、反り等の不安定要素が解消された高品質の長尺引手が得られる。