【解決手段】 障子5に連結されて開閉力を障子5に伝達するとともに、障子5が窓開口を閉じる向きに変位したときに、当該変位を妨げる向きの力を障子5に作用させる緩衝器13を設ける。これにより、障子5と緩衝器13とは常に連結した構成となるとともに、開閉力は緩衝器13を介して障子5に伝達される構成となる。つまり、緩衝器13は、開閉力を障子5に伝達する伝達機構を担う。そして、緩衝器13は、常に障子5に対して減衰力を作用させることが可能な状態となる。このため、強風時等の障子5に大きな力が作用したときであっても、障子5が変位し始めると同時に障子5に減衰力が作用し始めるので、衝撃力を軽減できる。
前記緩衝器は、粘性流体が封入された容器、及び当該容器内を前記障子の変位と連動して変位する可動部材を有する粘性ダンパーであることを特徴とする請求項1に記載の窓開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態は、排煙窓用の窓開閉装置に本発明を適用したものである。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0015】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
1.窓開閉装置の概略構成
図1に示す排煙窓1は窓枠3及び障子5を有している。窓枠3は、外壁等の建築物(図示せず)の壁に設けられた窓開口1Aを縁取る枠体である。因みに、本実施形態に係る窓開口1Aは矩形状であるため、窓枠3も矩形枠状に形成されている。
【0017】
窓枠3はアルミニウム合金等の軽金属製である。当該窓枠3は一対の縦枠部3A及び一対の横枠部3Bを有する。一対の縦枠部3Aは障子5を挟んで水平方向両側に位置する。一対の横枠部3Bは障子5を挟んで鉛直方向両側に位置する。
【0018】
障子5は矩形枠状の枠部5Cを有している。枠部5Cには、ガラス板や金属板等の板状部材が嵌め込まれている。なお、枠部5Cはアルミニウム合金等の軽金属製である。障子5は窓枠3に対して変位可能である。
【0019】
すなわち、障子5は、窓開口1Aを閉じた状態(
図2参照)と窓開口1Aを開いた状態(
図3及び
図4参照)との間で変位できる。障子5は、
図1に示す一対の揺動軸5Aを介して窓枠3に対して揺動可能に組み付けられている。つまり、本実形態に係る障子5は、閉状態と開状態との間で揺動可能である。
【0020】
各揺動軸5Aは、各縦枠部3Aに組み付けられ、かつ、その揺動中心軸線L1は、水平方向に平行となっている。そして、各揺動軸5Aは障子5の上端側に設けられている。このため、窓開口1Aが開かれた状態では、
図3に示すように、障子5の下端が窓枠3より室外側に変位する。
【0021】
窓開口1Aが閉じられた状態では、
図2に示すように、障子5は、縦枠部3Aと略平行となるとともに、障子5の少なくとも一部が窓枠3内に収納された状態となる。障子5には錘部5Bが設けられている。錘部5Bは、重力を利用して障子5を開いた状態側に変位させる。
【0022】
このため、錘部5Bは、障子5に対して障子5の変位方向にずれた位置に設けられている。障子5の変位方向とは、閉じた状態にある障子5に対してずれた位置をいう。なお、本実施形態では、揺動中心軸線L1の位置、つまり揺動軸5Aの位置は、縦枠部3Aの長手方向寸法中央より上側に設定されている。
【0023】
このため、障子5それ自体は、枠部5C及び枠部5Cに嵌め込まれた板状部材に作用する重力により、窓開口1Aを閉じた状態とする向きに揺動変位する。一方、錘部5Bは、障子5の上端側であって、閉じた状態にある障子5に対して室内側にずれた位置に設けられている。したがって、錘部5Bに作用する重力は、窓開口1Aを開いた状態とする向きのモーメントを障子5に作用させる。
【0024】
2.開閉機構
開閉機構7は障子5を強制的に開閉作動させる。当該開閉機構7は、
図1に示すように、動力部9及び伝達機構11を有している。動力部9は障子5を窓枠3に対して変位させる開閉力を発生する。
【0025】
本実施形態に係る動力部9は電動モータ(図示せず。)により開閉力を発生する。操作パネル9Aは、動力部9の作動、つまり電動モータの回転及び停止等を指示するための第1操作部9B〜第3操作部9Dを有する。なお、操作パネル9Aの詳細は後述する。
【0026】
伝達機構11は、動力部9で発生した開閉力(本実施形態では回転力)を障子5に伝達することにより、障子5を強制的に開閉作動させる。具体的には、伝達機構11は緩衝器13及び作用部15を有している。作用部15は緩衝器13に開閉力を作用させる。
【0027】
すなわち、作用部15はシャフト15A〜15D及び転向ユニット15E等を有している。シャフト15A〜15Dは、動力部9で発生した回転力を受けて回転する。転向ユニット15Eは、シャフト15A〜15Cにより伝達される回転力の向きを転向させる。
【0028】
なお、本実施形態に係る転向ユニット15Eは、ベベル歯車、フェース歯車、ヘリカル歯車又はウォーム等を有して回転力の向きを転向させる歯車機構により構成されている。
図2に示すように、縦枠部3Aと平行に延びるシャフト15Dは、その長手方向一端側がねじシャフト15Fに連結されている。ねじシャフト15Fは、外周に雄ねじが形成された雄ねじ軸である。ねじシャフト15Fには、当該雄ねじと噛み合う雌ねじが形成された可動ナット15Gが嵌め込まれている。
【0029】
緩衝器13は、シリンダ13A、ロッド13B及びばね13Cを有している。シリンダ13Aは、一端側が閉塞され、かつ、他端側が開放された筒状の部材である。ロッド13Bは、シリンダ13Aの開放端側からシリンダ13A内に出没変位可能に収納された棒状の部材である。
【0030】
ロッド13Bの長手方向端部のうちシリンダ13A内に位置する部位には、ロッド13B全体がシリンダ13Aから抜け出ることを防止する鍔状のストッパ部(図示せず。)が設けられている。シリンダ13A内の開放端側には、当該ストッパ部に引っ掛かって係合する被ストッパ部(図示せず。)が設けられている。
【0031】
ばね13Cは、シリンダ13A内のうち閉塞端側とロッド13Bとの間に配設された弾性体であって、自然長に対して圧縮変形した状態で収納されている。このため、ばね13Cは、常に、ロッド13Bをシリンダ13Aから押し出す弾性力をロッド13Bに作用させる。
【0032】
そして、緩衝器13の長手方向一端側(本実施形態ではシリンダ13Aの閉塞端側)Aは障子5に対して揺動可能に連結されている。緩衝器13の長手方向他端側(本実施形態では、ロッド13Bの長手方向他端側)Bは可動ナット15Gに対して揺動可能に連結されている。
【0033】
なお、緩衝器13と障子5との連結部Aは、
図2〜
図4に示すように、障子5の位置に依らず、常に、緩衝器13と可動ナット15Gとの連結部Bより揺動軸5A側(本実施形態では上側)に位置する。
【0034】
可動ナット15Gは緩衝器13に連結されているため、可動ナット15Gは、ねじシャフト15Fを中心として回転できない。このため、ねじシャフト15Fが回転すると、可動ナット15Gは、回転することなく、ねじシャフト15Fの回転角に比例して、ねじシャフト15Fの長手方向(本実施形態では、上下方向)に沿って平行移動する。
【0035】
3.窓開閉機構の作動
本実施形態に係る動力部9は電動モータにより回転力を発生する。
図1に示す操作パネル9Aは、作業者等により操作される第1操作部9B〜第3操作部9Dを有する。第1操作部9B〜第3操作部9Dは、動力部9の作動、つまり電動モータの回転及び停止等を指示する際に作業者等により操作される。
【0036】
電動モータが回転すると、当該回転力は伝達機構11を介してねじシャフト15Fに伝達される。このため、可動ナット15Gは、ねじシャフト15Fの回転の向きに応じていずれかの向きに平行移動する。
【0037】
<閉鎖状態>
窓開口1Aが開いた状態(例えば、障子5が
図4に示す状態)にあるときに第1操作部9Bが操作されると、電動モータが回転して可動ナット15Gが揺動軸5Aから離間する向き(以下、下向きともいう。)に平行移動する。
【0038】
これにより、連結部Bが連結部Aに対して離間していくので、
図3の実線で示すように、ロッド13Bがシリンダ13Aから出ていき、緩衝器13の全長(連結部Aから連結部Bまでの長さ)が伸張していく。
【0039】
そして、可動ナット15Gが更に下向きに平行移動して、ロッド13Bのストッパ部とシリンダ13Aの被ストッパ部とが係合すると、緩衝器13の伸張が停止する。緩衝器13の伸張が停止した状態で可動ナット15Gが更に下向きに平行移動すると、
図2に示すように、可動ナット15Gの下方向き変位に連動して、障子5は窓開口1Aを閉じる向きに変位する。
【0040】
つまり、少なくとも緩衝器13の伸張が停止した状態では、緩衝器13は、動力部9で発生した障子5を窓枠3に対して変位させる力(以下、開閉力ともいう。)を障子5に伝達する。なお、可動ナット15Gが下方向き変位するときには、開閉力のうち窓開口1Aを閉じる向きの力が緩衝器13を介して障子5に伝達される。
【0041】
なお、緩衝器13の伸張が停止する前、つまり、ストッパ部と被ストッパ部とが係合する前においては、ロッド13Bとシリンダ13Aとが擦れ合う(摺接ともいう。)部分で発生する摩擦力により開閉力が障子5に伝達される。このため、緩衝器13の伸張が停止する前であっても、当該摩擦力により障子5は変位する。
【0042】
なお、窓開口1Aが障子5により閉じられると、図示しないロック機構により障子5が窓枠3に対して変位することを規制された閉じた状態が保持されるとともに、電動モータが停止する。なお、電動モータの停止は、以下のいずれかの手法により停止させられる。
【0043】
すなわち、(a)第1操作部9Bが操作されて電動モータへの通電が開始された時から予め決められた第1所定時間が経過したとき、(b)電動モータに流れる電流値が予め決められた所定電流値を超えたとき、(c)図示しない検出部により窓開口1Aが閉じた状態であることが検知されたときに電動モータへの通電が停止する。
【0044】
<換気状態>
窓開口1Aが閉じた状態、つまり障子5が
図2に示す状態にあるときに、第2操作部9Cが操作されると、電動モータが回転して可動ナット15Gは、
図3の実線及び
図5(a)に示すように、揺動軸5Aに近接する向き(以下、上向きともいう。)に平行移動する。
【0045】
可動ナット15Gが上向きに移動すると、ロッド13Bには、連結部Bを連結部A側(障子5側)に押圧する押圧力が作用する。ロッド13は、当該押圧力によりシリンダ13A内に没するとともに、ばね13Cが圧縮変形する。因みに、ばね13Cを圧縮変形させる力は、障子5に作用する重力が緩衝器13に作用させる力(以下、閉力ともいう。)である。
【0046】
なお、錘部5Bに作用する重力によるモーメントは、窓開口1Aを開く向きのモーメントを障子5作用させるので、当該モーメントは上記閉力を相殺するように減少させる。このため、本実施形態では、ばね13Cが大きく圧縮変形することなく、可動ナット15Gの上向き変位に応じて、窓開口1Aを開く向きに障子5が揺動変位する。
【0047】
つまり、可動ナット15Gが上向き変位するときには、開閉力のうち窓開口1Aを開く向きの力が緩衝器13を介して障子5に伝達される。そして、換気状態においては、ばね13Cが更なる圧縮変形をすることが可能な状態で可動ナット15Gが停止する。
【0048】
このため、強風等により障子5に大きな力が作用して閉力が大きくなった場合には、ばね13Cが更に圧縮変形して、
図3の二点鎖線及び
図5(b)で示すように、ロッド13Bがシリンダ13A内に没するとともに、窓開口1Aが閉じる向きに障子5が変位する。
【0049】
このとき、可動ナット15Gは停止したままであるので、ばね13Cが更に圧縮変形すると、緩衝器13は、障子5の変位を妨げる向きの力(以下、減衰力ともいう。)を障子5に作用させる。
【0050】
なお、
図4に示す排煙状態にあるときに、第2操作部9Cが操作されると、可動ナット15Gが下向きに変位して換気状態となる。つまり、排煙状態では、可動ナット15Gは、排煙状態と閉鎖状態との中間に位置する。
【0051】
<排煙状態>
窓開口1Aが閉じた状態又は換気状態にあるときに、第3操作部9Dが操作されると、電動モータが回転し、可動ナット15Gは、
図4に示すように、換気状態にあるときよりも揺動軸5A側(上方側)の位置まで平行移動する。これにより、動力部9で発生した開閉力は緩衝器13を介して障子5に伝達される。
【0052】
そして、排煙状態では、ロッド13Bがシリンダ13Aに対して変位不可となるまで、ロッド13Bがシリンダ13A内に没した状態となる。このため、排煙状態では、緩衝器13はその全長が変化しないリンク棒のようになるので、障子5の位置は、
図4に示す位置に保持される。したがって、強風等が障子5に作用しても、窓開口1Aを閉じる向きに障子5が変位してしまうことが規制される。
【0053】
なお、本実施形態では、障子5の位置を検知する検出部(図示せず。)が設けられている。閉鎖状態、換気状態及び排煙状態のいずれの状態に障子5が位置するかは、当該検出部からの信号を利用して判断される。
【0054】
3.本実施形態に係る窓開閉装置の特徴
本実施形態では、障子5と緩衝器13とは常に連結した構成となるとともに、開閉力は緩衝器13を介して障子5に伝達される構成となる。つまり、本実施形態に係る緩衝器13は、開閉力を障子5に伝達する伝達機構を担う。
【0055】
そして、本実施形態では、緩衝器13は、常に障子5に対して減衰力を作用させることが可能な状態となる。このため、強風時等の障子5に大きな力が作用したときであっても、障子5が変位し始めると同時に障子5に減衰力が作用し始めるので、衝撃力を軽減できる。
【0056】
本実施形態では、緩衝器13は、開閉力を障子5に伝達する伝達機構を担っているので、緩衝器13と伝達機構とが別々に設けられた従来型の排煙窓に比べて単純な構造とすることができる。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る排煙窓1は、障子5が窓枠3に対して揺動する方式であったが、本実施形態は、いわゆる「滑り出し窓」に本発明を適用したものである。「滑り出し窓」とは、例えば、
図7及び
図8に示すように、障子5の揺動軸5Aが窓枠3に対して変位する窓装置である。
【0058】
以下、第1実施形態に係る排煙窓及び窓開閉装置と異なる部位のみを説明する。なお、第1実施形態に係る窓開閉装置等と同一の定義で特定される部位には、第1実施形態と同一の符号が付されている。
【0059】
1.窓開閉装置の構成
図6に示すように、揺動軸5Aは、窓枠3に連結された第1アーム4Aの長手方向一端側に設けられ、かつ、障子5の枠部5Cに揺動可能に連結されている。第1アーム4Aの長手方向他端側は、窓枠3又はその周囲(以下、窓枠3等ともいう。)に揺動可能に連結されている。
【0060】
第2アーム4Bの長手方向一端側は、
図7に示すように、障子5の枠部5Cに揺動可能に連結されている。第2アーム4Bの長手方向他端側は、窓枠3又はその周囲に揺動可能に連結されている。
【0061】
第2アーム4Bと枠部5Cとの連結部は、第1アーム4Aと揺動軸5Aとの連結部から少なくとも上下方向にずれた位置である。第2アーム4Bと窓枠3等との連結部Dは、第1アーム4Aと窓枠3等との連結部Cから少なくとも上下方向にずれた位置である。
【0062】
第2アーム4Bの長手方向中間部には、第3アーム4Cの長手方向一端が揺動可能に連結されている。第3アーム4Cの長手方向他端側は窓枠3又はその周囲に揺動可能に連結されている。因みに、本実施形態では錘部5Bが設けられておらず、障子5の自重を利用している。しかし、第1実施形態と同様に錘部5Bを設けてもよい。
【0063】
そして、第1アーム4Aと窓枠3等との連結部C、及び第2アーム4Bと窓枠3等との連結部Dは、連結部C、D間の距離を保持したままねじシャフト15Fと平行な方向(本実施形態では上下方向)に変位できる。第2アーム4Bと窓枠3等との連結部Dの位置は、窓枠3等に対して不動である。
【0064】
なお、本実施形態では、後述するように、窓開口1Aを開く向きに障子5を変位させる際には、可動ナット15Gは下向きに変位する。窓開口1Aを閉じる向きに障子5を変位させる際には、可動ナット15Gは上向きに変位する。このため、緩衝器13と障子5との連結部Aは、緩衝器13と可動ナット15Gとの連結部Bより下側に設けられている。
【0065】
2.窓開閉装置の作動
<閉鎖状態>
窓開口1Aが開いた状態(例えば、障子5が
図8に示す状態)にあるときに第1操作部9Bが操作されると、電動モータが回転して可動ナット15Gが上向きに移動する。これにより、障子5は
図7の実線で示す状態を経て
図6に示す状態に変位する。つまり、第1操作部9Bが操作されると、窓開口1Aを閉じる向きに障子5が変位する。
【0066】
なお、
図8に示す排煙状態では、ロッド13Bがシリンダ13Aに対して変位不可となっている。このため、排煙状態から可動ナット15Gが上向きに移動すると、概ね
図7の実線で示す状態までは、ロッド13Bがシリンダ13Aから出ていき、緩衝器13の全長が伸張していく。そして、緩衝器13の全長が伸張していく過程においては、ロッド13Bとシリンダ13Aとの摺接部分で発生する摩擦力により開閉力が障子5に伝達される。
【0067】
そして、可動ナット15Gが更に上向きに平行移動して、ロッド13Bのストッパ部とシリンダ13Aの被ストッパ部とが係合すると、緩衝器13の伸張が停止する。緩衝器13の伸張が停止した状態で可動ナット15Gが更に上向きに平行移動すると、
図6に示すように、可動ナット15Gの上方向き変位に連動して窓開口1Aを閉じる向きに障子5が変位する。
【0068】
<換気状態>
窓開口1Aが閉じた状態にあるときに、第2操作部9Cが操作されると、電動モータが回転して可動ナット15Gが下向きに移動する。これにより、
図7に示すように、錘部5B及び障子5に作用する重力により第1アーム4Aと障子5との連結部、つまり揺動軸5Aが下方側に移動するように、第1アーム4Aが外側に揺動するとともに、窓開口1Aを開く向きのモーメントが障子5に作用する。
【0069】
このため、障子5は窓開口1Aが開く向きに変位するとともに、緩衝器13は、ロッド13Bがシリンダ13Aから延びた状態となる。そして、強風等により障子5に大きな力が作用して閉力が大きくなった場合には、ばね13Cが更に圧縮変形して、
図7の二点鎖線で示すように、ロッド13Bがシリンダ13A内に没するとともに、窓開口1Aが閉じる向きに障子5が変位する。
【0070】
このとき、可動ナット15Gは停止したままであるので、ばね13Cが更に圧縮変形すると、緩衝器13は、障子5の変位を妨げる向きの力、つまり減衰力を障子5に作用させる。これにより、強風時等の障子5に大きな力が作用したときであっても、衝撃力を軽減できる。
【0071】
なお、
図8に示す排煙状態にあるときに、第2操作部9Cが操作されると、可動ナット15Gが上向きに変位して換気状態となる。
<排煙状態>
窓開口1Aが閉じた状態又は換気状態にあるときに、第3操作部9Dが操作されると、電動モータが回転し、可動ナット15Gは、
図8に示すように、換気状態にあるときよりも下方側の位置まで平行移動する。これにより、動力部9で発生した開閉力は緩衝器13を介して障子5に伝達される。
【0072】
そして、排煙状態では、ロッド13Bがシリンダ13Aに対して変位不可となるまで、ロッド13Bがシリンダ13A内に没した状態となる。このため、排煙状態では、緩衝器13はその全長が変化しないリンク棒のようになるので、障子5の位置は、
図8に示す位置に保持される。したがって、強風等が障子5に作用しても、窓開口1Aを閉じる向きに障子5が変位してしまうことが規制される。
【0073】
(第3実施形態)
本実施形態に係る緩衝器13は、
図9に示すように、粘性流体が封入された容器13A、及び容器13A内を障子5の変位と連動して変位する可動部材13Bを有する粘性ダンパーにて構成したものである。
【0074】
なお、本実施形態では、容器13Aとして上述の実施形態と同様に筒状のシリンダ13Aを用い、可動部材13Bとして上述の実施形態と同様なロッド13Bを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、容器13Aをカップ状とし、可動部材13Bを当該カップ状の容器13A内で回転するベーン状としたロータリ式の粘性ダンパーにて緩衝器13を構成してもよい。
(その他の実施形態)
上述の実施形態の実施形態に係る動力部9は電動モータを利用したものであったが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、ハンドルボックス等の手動ハンドルにて動力を発生させるものであってもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る障子5は、水平方向に延びる揺動中心軸線L1を有して窓枠3に対して揺動する方式であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、鉛直方向に延びる揺動中心軸線L1を有する障子5、又は障子5が窓枠3に対して平行移動する方式であってもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る伝達機構11は、複数のシャフト15A〜15D及び転向ユニット15E等を有して構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、シャフト15A〜15Dに代えてギヤードケーブルとした構成、又は通常のケーブルを用いた構成等であってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、窓開口1Aが開いた状態として、換気状態及び排煙状態が設定されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、換気状態及び排煙状態のうちいずれか一方の状態を窓開口1Aが開いた状態とした窓開閉装置であってもよい。
【0079】
上述の実施形態では、障子5の位置を検知する検出部を設けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、換気状態及び排煙状態にする際には、一度、閉鎖状態にし、電動モータに流れる電流値が予め所定電流値を越えた時に、電動モータの回転を反転させて換気状態又は排煙状態としてもよい。
【0080】
上述の実施形態では、1つの動力部9にて1つ窓開閉装置を作動させるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの動力部9にて複数の窓開閉装置を連動させて作動させてもよい。
【0081】
本発明に係る緩衝器13は、上述の実施形態に示された緩衝器13に限定されるものではない。
上述の実施形態では、窓枠3や枠部5C等の軽金属に構成された部材をアルミニウム製としたが、本発明はこれに限定されものではなく、例えば、枠体3を樹脂、又は樹脂と軽金属との複合材料にて構成してもよい。
【0082】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、第1〜3実施形態のいずれかを組み合わせた形態であっても。