(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-81640(P2015-81640A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】電磁弁、及び、ダイアフラム組立と駆動軸の連結構造
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20150331BHJP
【FI】
F16K31/06 305S
F16K31/06 305L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-219881(P2013-219881)
(22)【出願日】2013年10月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】末松 修
(72)【発明者】
【氏名】井口 聖士
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC14
3H106DC17
3H106DD07
3H106EE48
3H106GB12
3H106GC03
3H106KK01
(57)【要約】
【課題】固体間でのストロークのバラツキをなくすことができる電磁弁、及び、ダイアフラム組立と駆動軸の連結構造を提供すること。
【解決手段】弁座2cが設けられたバルブボディ2と、弁座2cに当接又は離間するダイアフラム4に軸部材5が固定されるダイアフラム組立3と、バルブボディ2との間でダイアフラム4の外縁部4cを保持するものであって、軸部材5が挿通されるダイアフラム保持部材7と、ダイアフラム保持部材7に当接し、可動鉄心14が第1圧縮ばね18により弁座方向に付勢されるソレノイド10とを備え、可動鉄心14と共に軸部材5を移動させてダイアフラム4を弁座2cに当接又は離間させる電磁弁1に、第1圧縮ばね18より付勢力が小さく、ダイアフラム組立3を反弁座方向に常時付勢する第2圧縮ばね9を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座が設けられたバルブボディと、前記弁座に当接又は離間するダイアフラムに軸部材が固定されるダイアフラム組立と、前記バルブボディとの間で前記ダイアフラムの外縁部を保持するものであって、前記軸部材が挿通されるダイアフラム保持部材と、前記ダイアフラム保持部材に当接し、可動鉄心が第1付勢部材により弁座方向に付勢されるソレノイドとを備え、前記可動鉄心と共に前記軸部材を移動させて前記ダイアフラムを前記弁座に当接又は離間させる電磁弁において、
前記第1付勢部材より付勢力が小さく、前記ダイアフラム組立を反弁座方向に常時付勢する第2付勢部材を有する
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載する電磁弁において、
前記第2付勢部材が前記軸部材の外周に取り付けられる圧縮ばねであり、
前記可動鉄心の弁座側端面に、前記軸部材と前記第2付勢部材を収納する収納孔部を形成する
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項2に記載する電磁弁において、
前記ダイアフラムを前記弁座に当接させた状態で前記軸部材が前記ダイアフラム保持部材のソレノイド側端面からソレノイド側に突出している
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
弁座に当接又は離間するダイアフラムに軸部材が固定されるダイアフラム組立と、第1付勢部材により弁座方向に付勢されて前記ダイアフラム組立に駆動力を伝達する駆動軸とを連結するダイアフラム組立と駆動軸との連結構造において、
前記第1付勢部材より付勢力が小さく、前記ダイアフラム組立を反弁座方向に常時付勢する第2付勢部材を有する
ことを特徴とするダイアフラム組立と駆動軸の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁座が設けられたバルブボディと、弁座に当接又は離間するダイアフラムに軸部材が固定されるダイアフラム組立と、バルブボディとの間でダイアフラムの外縁部を保持するものであって、軸部材が挿通されるダイアフラム保持部材と、ダイアフラム保持部材に当接し、可動鉄心が第1付勢部材により弁座方向に付勢されるソレノイドとを備え、可動鉄心と共に軸部材を移動させてダイアフラムを弁座に当接又は離間させる電磁弁、及び、ダイアフラム組立と駆動軸の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医療装置では、殺菌や洗浄のために、電磁弁で流量制御された次亜塩素酸や酢酸などの薬液が流される。電磁弁は、接液部をメタルフリーにするために、ダイアフラムが用いられる。医療機器は、コンパクト化が進み、電磁弁の設置スペースが狭くなっている。よって、電磁弁には、小型化が要求されている。
【0003】
例えば、
図4に示す電磁弁101は、バルブボディ102とダイアフラム保持部材103との間で、弁座111に当接又は離間するダイアフラム104が狭持されている。ソレノイド107は、可動鉄心108がダイアフラム保持部材103内に突出し、圧縮ばね110が弁座111側に向かって可動鉄心108を常時付勢している。
【0004】
小型の電磁弁101は、ダイアフラム104の直径が5mm程度の極小さい。そのため、ダイアフラム104は、可動鉄心108に直接連結して駆動力を伝達されるための強度を十分に確保できない。そこで、ダイアフラム104は、硬い樹脂又は金属からなる軸部材105をインサート成形等で固定され、ダイアフラム組立106を構成している。ダイアフラム組立106は、軸部材105が連結部材109を介してソレノイド107の可動鉄心108に連結されている。
【0005】
図5に示すように、連結部材109は、係合孔109aが外周面から図中水平方向に形成され、その係合孔109aに可動鉄心108の係止凸部108aを嵌め込まれて、可動鉄心108に連結されている。一方、連結部材109は、図中下端面から軸線に沿って形成された挿入孔109bの途中に、中心部へ向かって突出するように楔部109cが設けられている。軸部材105は、楔部109cに圧入するようにして挿入孔109bに挿入され、楔部109cに小径部105aを引っ掛けるようにして係合させることにより、連結部材109に連結されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電磁弁101は、係止凸部108aを係合孔109aにスライドさせて係合させるためのガタを設ける必要があり、
図5に示すように、弁閉時に、係止凸部108aと係合孔109aの内壁との間にクリアランスC1が形成されていた。また、電磁弁101は、軸部材105の先端部を楔部109cに圧入するためのガタを設ける必要があり、
図5に示すように、弁閉時に、小径部105aの内壁と楔部109cの端面との間にクリアランスC2が形成されていた。
【0007】
電磁弁101は、弁閉時にソレノイド107に通電されると、可動鉄心108がクリアランスC1分上昇してから、係止凸部108aを係合孔109aの上側内壁に当接させ、圧縮ばね110に抗して連結部材109を引き上げ始める。連結部材109がクリアランスC2分引き上げられたところで、小径部105aの側壁に楔部109cが当接し、ダイアフラム組立106が連結部材109を介して可動鉄心108に引き上げられ、ダイアフラム104を弁座111から離間させ始める。つまり、電磁弁101は、可動鉄心108が連結部材109を介してダイアフラム組立106に間接的に連結されているので、弁閉状態から弁を開いて設定流量を制御する場合に、可動鉄心108がクリアランスC1,C2分上昇してからダイアフラム組立106を引き上げ始め、設定流量の制御に必要なストロークにクリアランスC1,C2を加えたストロークだけ可動鉄心108を移動させる必要があった。
【0008】
クリアランスC1,C2の大きさは、可動鉄心108と連結部材109と軸部材105の寸法公差の積み重ねにより決まるため、固体間でばらつく。そのため、電磁弁101は、可動鉄心108のストロークが固体間でばらついていた。小型の電磁弁101は、制御流量が微細であるので、固体間でのストロークのばらつきが微小でも、制御流量に10%程度の誤差が生じる。この誤差を解消するために、従来の電磁弁101は、クリアランスC1,C2を大きく見積もってソレノイド107の大きさを決めており、十分な小型化を図ることができなかった。
【0009】
そこで、本出願の発明者らは、
図6に記載するように、ダイアフラム組立206の軸部材205を連結部材209に貫き通し、軸部材205の雄ねじ部205aを可動鉄心208に形成した雌ねじ部208aに螺合させることにより、ダイアフラム組立206と可動鉄心208を直結する電磁弁201を考案した。係る電磁弁201は、連結部材209と軸部材205との間にクリアランスがなく、可動鉄心208と連結部材209との間のクリアランスC1と無関係に可動鉄心208がダイアフラム組立206を直接引き上げるので、設定流量に必要なストロークに則してソレノイド107の大きさを選択でき、電磁弁201の小型化を図ることができる。
【0010】
ところが、係る電磁弁201は、弁開閉動作を繰り返す間に、可動鉄心208の上下動や圧縮ばね110の伸び縮みにより可動鉄心208に回転力が働き、ねじが緩んでストロークを変化させることがあった。電磁弁201に要求される耐久回数は、500万回から1000万回であるが、電磁弁201は、最悪、耐久回数前に弁が開かなくなる恐れがあった。また、軸部材205は、直径が1.8mm程度と非常に細い。そのため、雄ねじ部205aや雌ねじ部208aを非常に小さいピッチで加工しなければならず、ねじ加工しにくかった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、固体間でのストロークのバラツキをなくすことができる電磁弁、及び、ダイアフラム組立と駆動軸の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。
(1)弁座が設けられたバルブボディと、前記弁座に当接又は離間するダイアフラムに軸部材が固定されるダイアフラム組立と、前記バルブボディとの間で前記ダイアフラムの外縁部を保持するものであって、前記軸部材が挿通されるダイアフラム保持部材と、前記ダイアフラム保持部材に当接し、可動鉄心が第1付勢部材により弁座方向に付勢されるソレノイドとを備え、前記可動鉄心と共に前記軸部材を移動させて前記ダイアフラムを前記弁座に当接又は離間させる電磁弁において、前記第1付勢部材より付勢力が小さく、前記ダイアフラム組立を反弁座方向に常時付勢する第2付勢部材を有すことを特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載の構成において、好ましくは、前記第2付勢部材が前記軸部材の外周に取り付けられる圧縮ばねであり、前記可動鉄心の弁座側端面に、前記軸部材と前記第2付勢部材を収納する収納孔部を形成する。
【0014】
(3)(2)に記載の構成において、好ましくは、前記ダイアフラムを前記弁座に当接させた状態で前記軸部材が前記ダイアフラム保持部材のソレノイド側端面からソレノイド側に突出している。
【0015】
(4)弁座に当接又は離間するダイアフラムに軸部材が固定されるダイアフラム組立と、第1付勢部材により弁座方向に付勢されて前記ダイアフラム組立に駆動力を伝達する駆動軸とを連結するダイアフラム組立と駆動軸との連結構造において、前記第1付勢部材より付勢力が小さく、前記ダイアフラム組立を反弁座方向に常時付勢する第2付勢部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記電磁弁及びダイアフラム組立と駆動軸の連結構造では、第1付勢部材より付勢力が小さい第2付勢部材がダイアフラム組立の軸部材を第1付勢部材と反対方向に付勢して可動鉄心(駆動軸)に常時接触させるように、ダイアフラム組立と可動鉄心がガタ無く組み上げる。そして、弁開閉動作時にも、軸部材が可動鉄心に常時接触し、可動鉄心とダイアフラム組立が一体的に変位する。弁開閉動作を繰り返す間に可動鉄心の変位や第1付勢部材の伸び縮みにより可動鉄心が回転しても、第2付勢部材の付勢力でダイアフラム組立を可動鉄心に接触させ続けるので、ストロークが変化することがない。よって、上記電磁弁及びダイアフラム組立と駆動軸の連結構造によれば、固体間でのストロークのバラツキをなくすことができる。
【0017】
また、上記電磁弁によれば、軸部材の外周面に取り付けた第2付勢部材を可動鉄心の収納孔部に収納するので、全高を抑えながらダイアフラム組立と可動鉄心を常時接触させることができ、装置サイズをコンパクトにできる。
【0018】
また、上記電磁弁によれば、ダイアフラムを弁座に当接させた状態で軸部材がダイアフラム保持部材のソレノイド側端面からソレノイド側に突出するので、バルブボディからダイアフラム組立、ダイアフラム保持部材、第2付勢部材、ソレノイドの順に組み上げることができ、組立性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る電磁弁の断面図である。
【
図2】
図1のダイアフラム組立と可動鉄心の連結構造を拡大して示す断面図であって、弁閉状態を示す。
【
図5】
図4のダイアフラム組立と可動鉄心の連結構造を拡大して示す断面図である。
【
図6】ダイアフラム組立と可動鉄心の連結構造に関する参考例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る電磁弁及びダイアフラムと駆動軸の連結構造の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電磁弁1の断面図である。
図2は、
図1のダイアフラム組立3と可動鉄心14の連結構造を拡大して示す断面図であって、弁閉状態を示す。
図3は、
図2に示す拡大断面図の弁開状態を示す
【0021】
電磁弁1は、例えば、医療機器に用いられ、次亜塩素酸や酢酸等の薬液を制御する。電磁弁1は、バルブボディ2にダイアフラム保持部材7を介してソレノイド10が取り付けられている。カバー20は、非磁性材で形成され、ソレノイド10とダイアフラム保持部材7を覆うように取り付けられている。電磁弁1は、バルブボディ2とダイアフラム保持部材7との間で保持されるダイアフラム組立3にソレノイド10の駆動力を付与することにより、流体を制御する。
【0022】
バルブボディ2は、フッ素樹脂等の耐腐食性のある材料で形成され、第1ポート2aと第2ポート2bが弁座2cを介して連通している。ダイアフラム4は、耐腐食性のあるゴムや樹脂等を材質とし、弁座2cに当接又は離間する弁体部4aと、弁体部4aの外周面から外向きに延設された薄膜部4bと、薄膜部4bの外縁部に設けられた外縁部4cを備える。ダイアフラム4は、直径が5mm程度と小さく、ソレノイド10に直接連結できないので、金属や硬い樹脂を材質とする軸部材5が弁体部4aにインサート成形等で固定され、ダイアフラム組立3を構成している。ダイアフラム保持部材7は、フッ素樹脂等の耐腐食性のある材料で形成され、ダイアフラム4の外縁部4cをバルブボディ2との間で気密に狭持している。
【0023】
ソレノイド10は、中空孔12aを備えるコイルボビン12にコイル11を巻回されている。ソレノイド10は、中空孔12aの上端開口部に固定鉄心13が固定され、中空孔12aの下端開口部から可動鉄心14が摺動可能に装填されている。コイル11は、磁性カバー15と磁性プレート16で周囲を覆われ、固定鉄心13が可動鉄心14を吸引するための磁路が形成されやすくなっている。
【0024】
可動鉄心14は、磁性プレート16に貫き通され、先端部がダイアフラム保持部材7側に突出している。可動鉄心14と磁性プレート16との間には、磁性部材17が配設され、磁性プレート16から可動鉄心14の下端部に磁路が形成されるようになっている。可動鉄心14の下端には、フランジ部14cが設けられている。第1圧縮ばね18(第1付勢部材の一例)は、フランジ部14cと磁性部材17との間に縮設され、可動鉄心14を弁座方向に常時付勢している。
【0025】
図2及び
図3に示すように、可動鉄心14の下端部と第1圧縮ばね18は、ダイアフラム保持部材7のソレノイド側端面7dに開設された開口部7aに変位可能に収められている。ダイアフラム保持部材7は、開口部7aと同軸上に設けられた挿通孔7cに軸部材5が貫き通されている。開口部7aの底壁は、挿通孔7cの開口部分にボス部7bが設けられ、軸部材5が軸線に沿って安定して往復直線運動できるようにボス部7bにガイドされている。
【0026】
図2に示すように、軸部材5は、弁体部4aを弁座2cに当接させた状態で、上端部がダイアフラム保持部材7のソレノイド側端面7dから上方に突出している。第2圧縮ばね9(第2付勢部材の一例)は、ボス部7bの端面に設けられたばね受け段差部7eに突き当てるようにして軸部材5に挿通され、軸部材5に止め輪8を取り付けることにより、止め輪8とばね受け段差部7eとの間に縮設される。そのため、軸部材5は、第2圧縮ばね9により反弁座方向に常時付勢されている。ここで、軸部材5は、弁閉時にソレノイド側端面7dから突出する部分の外周面に止め輪8を取り付けられるため、バルブボディ2、ダイアフラム組立3、ダイアフラム保持部材7の順に組み上げる場合に、第2圧縮ばね9を軸部材5に装着しやすい。
【0027】
可動鉄心14は、弁座側端面に収納孔部14aが開設されている。軸部材5の先端部と第2圧縮ばね9は、収納孔部14aの内部に配設されている。第2圧縮ばね9のばね力は第1圧縮ばね18のばね力より小さい。そのため、コイル11に非通電の場合、第1圧縮ばね18が第2圧縮ばね9に抗して可動鉄心14を押し下げ、収納孔部14aの底面14bで軸部材5を弁座方向に押してダイアフラム4を弁座2cに当接させている。このように弁閉時に第2圧縮ばね9が圧縮されているので、コイル11に通電されると、
図3に示すように、第2圧縮ばね9が可動鉄心14の上昇に伴って伸張し、軸部材5を収納孔部14aの底面14bに押し当て続ける。つまり、電磁弁1は、軸部材5と可動鉄心14が常時隙間無く接触するように組み立てられている。
【0028】
尚、収納孔部14aは、内周面がボス部7bの外周面に摺接するように、ボス部7bに嵌め合わせられている。そのため、可動鉄心14は、第1及び第2圧縮ばね18,9のばね力が強く作用する下端部をボス部7bに支持され、磁性部材17に接触せずに軸方向へ安定して移動できる。
【0029】
上記電磁弁1は、コイル11に通電されると、固定鉄心13が励磁され、第1圧縮ばね18に抗して可動鉄心14を吸引する。可動鉄心14が上昇するのに追従して、第2圧縮ばね9が軸部材5を押し上げながら伸張し、軸部材5を底面14bに接触させ続ける。これに伴い、ダイアフラム4は、弁体部4aが軸部材5と共に上昇し、弁座2cから離間する。よって、電磁弁1は、弁開動作時に、可動鉄心14とダイアフラム組立3が一体的に所定のストローク上昇する。
【0030】
その後、コイル11への通電を停止されると、可動鉄心14が第1圧縮ばね18に付勢されて下降する。このとき、第1圧縮ばね18のばね力が第2圧縮ばね9のばね力より大きいため、応答性良く、可動鉄心14が下降し始める。可動鉄心14は、底面14bで軸部材5を押し下げながら下降し、弁体部4aを弁座2cに当接させる。弁体部4aが弁座2cに当接すると、可動鉄心14は軸部材5を介して動きを止められる。つまり、電磁弁1は、ダイアフラム組立3と可動鉄心14が接触した状態で弁閉状態となる。
【0031】
以上説明したように、電磁弁1は、第1圧縮ばね18より付勢力が小さい第2圧縮ばね9がダイアフラム組立3の軸部材5を第1圧縮ばね18と反対方向に付勢して可動鉄心14(駆動軸の一例)に常時接触させるように、ダイアフラム組立3と可動鉄心14がガタ無く組み上げられる。そして、弁開閉動作時にも、軸部材5が可動鉄心14に常時接触し、可動鉄心14とダイアフラム組立3が一体的に変位する。弁開閉動作を繰り返す間に可動鉄心14の変位や第1圧縮ばね18の伸び縮みにより可動鉄心14が回転しても、第2圧縮ばね9の付勢力で軸部材5を可動鉄心14に接触させ続けるので、ストロークが変化することがない。よって、上記電磁弁1及びダイアフラム組立3と可動鉄心14の連結構造によれば、固体間でのストロークのバラツキをなくすことができる。
【0032】
また、電磁弁1は、ダイアフラム4と軸部材5と可動鉄心14が一体的に上下動するので、設計上のストロークが得られるようにソレノイド10を選択すれば良い。よって、電磁弁1によれば、ソレノイド10を小型にできる。
【0033】
また、電磁弁1は、軸部材5の外周面に取り付けた第2圧縮ばね9を可動鉄心14の収納孔部14aに収納するので、全高を抑えながらダイアフラム組立3と可動鉄心14を常時接触させることができ、装置サイズをコンパクトにできる。
【0034】
また、電磁弁1は、ダイアフラム4を弁座2cに当接させた状態で軸部材5がダイアフラム保持部材7のソレノイド側端面7dからソレノイド10側に突出するので、バルブボディ2からダイアフラム組立3、ダイアフラム保持部材7、第2圧縮ばね9、ソレノイド10の順に組み上げることができ、組立性が良い。すなわち、電磁弁1は、バルブボディ2にダイアフラム組立3を置いた後、軸部材5をボス部7bに挿通しながらダイアフラム保持部材7をバルブボディ2に当接させ、第2圧縮ばね9をばね受け段差部7eに突き当てるようにして軸部材5に挿通し、止め輪8を軸部材5に装着して第2圧縮ばね9を固定し、その後、ソレノイド10をダイアフラム保持部材7に載置して固定部材で、ソレノイド10とダイアフラム組立3とバルブボディ2を固定すれば、カバー20内の部品を組み立てられる。
【0035】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
上記実施形態の電磁弁1のダイアフラム4と可動鉄心14(駆動軸の一例)の連結構造を、エアオペレイトバルブのダイアフラムと駆動軸の連結構造に適用しても良い。
上記実施形態では、電磁弁1を医療機器に使用したが、他の用途に使用しても良いことは言うまでもない。
上記実施形態の第2圧縮ばね9を板ばね等の付勢部材にして、第2付勢部材を構成しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 電磁弁
2 バルブボディ
2c 弁座
3 ダイアフラム組立
4 ダイアフラム
4c 外縁部
5 軸部材
7 ダイアフラム保持部材
7d ソレノイド側端面
9 第2圧縮ばね(第2付勢部材の一例)
10 ソレノイド
14 可動鉄心
14a 収納孔部
18 第1圧縮ばね(第1付勢部材の一例)