【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記目的を達成するためになされた本発明は、ユーザの本人認証処理を行う認証装置と通信可能に接続され、この本人認証処理に必要なワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行装置である。なお、認証装置とワンタイムパスワード発行装置とは、インターネット網や電話回線等のネットワークを通じて接続される構成であってもよいし、例えば通信ケーブルや通信バスを介して接続される構成であってもよい。また、認証装置は、インターネット上のサーバに限らず、例えば、現金自動預け払い機(Automated Teller Machine:ATM)であってもよい。
【0014】
本発明のワンタイムパスワード発行装置は、受信手段と、抽出手段と、記憶手段と、通知手段と、判定手段と、送信手段と、を備える。
受信手段は、ユーザが所有する電話機の電話番号を示す登録番号情報を認証装置から受信する。例えば、インターネット網を通じたオンライン取引等を行うユーザが、認証装置としてのインターネット上のサーバにアクセスし、ユーザの本人認証が必要になったタイミングで、予め登録されていたユーザの電話番号(登録電話番号)を示す情報(登録番号情報)がサーバから送信され、このサーバから送信されてくる登録番号情報を受信する。また例えば、ATM操作を行うユーザが、認証装置としてのATMにキャッシュカードを挿入したタイミングで、登録番号情報がATMから送信され、このATMから送信されてくる登録番号情報を受信する。
【0015】
抽出手段は、受信手段により登録番号情報を受信すると、当該ワンタイムパスワード発行装置が電話回線を介して受信可能な複数の電話番号から、一つの電話番号をワンタイムパスワードとして抽出する。例えば、国から使用の認可を受けた上4桁の固定数字および自由に変更可能な下8桁の可変数字とからなる全12桁の電話番号のなかから、一つの電話番号を抽出する。
【0016】
記憶手段は、受信手段により受信した登録番号情報と、抽出手段により抽出した電話番号を示すワンタイム番号情報と、を対応づけて所定の記憶装置に記憶する。すなわち、ユーザの電話番号(登録電話番号)を示す情報と、ワンタイムパスワードとして抽出した電話番号(以下「ワンタイム電話番号」という)を示す情報と、の組み合わせを記憶しておく。
【0017】
通知手段は、記憶手段により記憶されるワンタイム番号情報を、ユーザに通知する。これにより、ユーザはワンタイム電話番号を知得すると、登録電話番号の電話機(例えば、携帯電話器)からこのワンタイム電話番号に電話をかけることになる。
【0018】
判定手段は、通知手段により通知を受けたワンタイム番号情報に基づいて当該ワンタイムパスワード発行装置への電話回線接続があった場合に、その電話の着信番号に対応する登録番号情報と、その電話の発信番号に対応するワンタイム番号情報との組み合わせが、記憶装置に記憶されているか否かを判定する。すなわち、ユーザが上記のようにワンタイム電話番号に電話をかけると、ワンタイムパスワード発行装置が、その着信番号に相当する登録電話番号と、発信番号に相当するワンタイム電話番号と、の組み合わせを照合する。
【0019】
送信手段は、判定手段による判定結果を示す判定結果情報を、認証装置に送信する。これにより、認証装置は、判定結果情報に基づいて登録電話番号とワンタイム電話番号との組み合わせが正しいと確認できた場合に、ユーザが登録者本人であると認証することになる。
【0020】
このように、電話回線を通じて一対一に直接接続可能なワンタイムパスワード発行装置にユーザ側から電話をかける構成によれば、悪意のある第三者は、ユーザが所持する電話機(例えば携帯電話器)から、不正な認証を試みなければならないため、自動プログラム等によるハッキングのみでのなりすましが不可能になり、これにより抑止力が働くことになる。
【0021】
また、このような構成によれば、ユーザは、ワンタイム電話番号に電話をかけるだけで本人認証を済ませることが可能となり、しかもその電話回線接続には、ワンタイムパスワード発行装置に複数割り当てられたうちの一つの電話番号が使用されるので、複数のユーザによる同時アクセスによって繋がらない事態が起こりにくい分、手間や時間を無用にかけずに済むことができる。
【0022】
したがって、本発明のワンタイムパスワード発行装置によれば、第三者による不正な認証を抑制するとともに、ユーザの利便性をより向上させることができる。また、認証装置は、ワンタイムパスワード発行装置から送信される判定結果情報に基づいて、ユーザが登録者本人であるか否かを直ちに判断することが可能となり、本人認証処理の負担を軽減することができる。
【0023】
(2)なお、本発明のワンタイムパスワード発行装置は、一つの認証装置に接続される構成であってもよいし、例えば各社のサーバやATM等、複数の認証装置に接続される構成であってもよい。後者のように複数の認証装置に対応する場合、本発明のワンタイムパスワード発行装置において、記憶手段は、受信手段により受信した登録番号情報の送信元である認証装置を特定可能な送信元情報に対応づけて、登録番号情報とワンタイム番号情報とを記憶装置に記憶するとよい。
【0024】
このような構成では、送信手段によって、送信元情報が示す認証装置に判定結果情報を送信することが可能となるため、送信元情報を基にして、複数の認証装置のそれぞれに対応する判定結果情報を効率よく送信することができる。また、各認証装置による本人認証処理の負担を軽減できることから、認証装置の数に応じてこれらのスケールメリットを増大させることができる。
【0025】
(3)なお、ワンタイム番号情報のユーザへの通知方法については、例えば、EメールやSMS等を利用し、ユーザが所持する端末に送信することが考えられる。しかし、ユーザが所持する端末と電話機とが別構成である場合、ユーザは端末に表示されたワンタイム番号情報が示す電話番号(ワンタイム電話番号)を、電話機で入力する手間が生じることになる。
【0026】
このため、本発明のワンタイムパスワード発行装置において、通知手段は、電話機としての機能を有するタッチパネル式の可搬型端末に表示されるようにワンタイム番号情報を送信するとよい。このような構成によれば、ユーザはタッチパネルに表示されたワンタイム電話番号を押下するだけで、可搬型端末とワンタイムパスワード発行装置とが電話回線接続され、本人認証を済ませることが可能となるため、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0027】
(4)また、ワンタイム番号情報のユーザへの通知方法については、既述のとおり、EメールやSMS等を利用する他、ユーザがアクセス中のWEB画面や操作中のATM画面に表示されるように通知してもよい。この場合、本発明のワンタイムパスワード発行装置において、通知手段は、認証装置を介してワンタイム番号情報をユーザに通知するとよい。
【0028】
このような構成では、認証装置によって、ユーザがアクセス中のWEB画面や操作中のATM画面にワンタイム番号情報を容易に表示させることが可能となる。このため、ユーザがEメールやSMS等のアプリケーションを起動することなく、ワンタイム番号情報をスムーズに知得することが可能となり、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0029】
(5)また、本発明のワンタイムパスワード発行装置では、送信手段による判定結果情報の送信後、その判定結果情報に対応する登録番号情報とワンタイム番号情報とを、記憶装置から削除するようにしてもよい。
【0030】
このような構成によれば、判定済みのデータが記憶装置に残らなくなるため、記憶装置のメモリ領域を効率的に使用することができる。
(6)また、本発明のワンタイムパスワード発行装置において、抽出手段は、記憶装置に記憶されているワンタイム番号情報が示す電話番号を除く複数の電話番号から、一つの電話番号をランダムに抽出するようにしてもよい。
【0031】
このような構成によれば、記憶装置において登録番号情報とワンタイム番号情報とが一対一に対応づけられるため、両者の組み合わせをサーチする処理負担が軽減され、しかもランダムにワンタイム電話番号を抽出することにより、悪意のある第三者の予測困難性を高めることができる。
【0032】
(7)また、本発明のワンタイムパスワード発行装置において、判定結果情報には、ユーザの認証装置への登録情報のうち登録番号情報だけが含まれているようにしてもよい。これにより、認証装置が、ワンタイムパスワード発行装置から送られてくる登録番号情報に基づいて、判定結果情報に対応するユーザの登録情報(例えばユーザID等)を特定することになる。
【0033】
このような構成によれば、記憶装置において登録番号情報以外の登録情報が記憶されることがなく、しかも登録番号情報のみからはユーザを特定できないため、ワンタイムパスワード発行装置を運営する運営者側から、ユーザの個人情報が流出される懸念が抑制され、サービス提供者およびユーザに安心して利用してもらうことができる。
【0034】
(8)また、本発明は、プログラムとして市場に流通させることができる。具体的には、コンピュータを、上記の受信手段、抽出手段、記憶手段、通知手段、判定手段および送信手段として機能させるためのプログラムである。
【0035】
このプログラムは、1ないし複数のコンピュータに組み込まれることにより、本発明のワンタイムパスワード発行装置によって奏する効果と同等の効果を得ることができる。なお、本発明のプログラムは、コンピュータに組み込まれるROMやフラッシュメモリ等に記憶され、これらROMやフラッシュメモリ等からコンピュータにロードされて用いられてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにロードされて用いられてもよい。
【0036】
また、上記のプログラムは、コンピュータにて読み取り可能なあらゆる形態の記録媒体に記録されて用いられてもよい。この記録媒体としては、持ち運び可能な半導体メモリ(例えば、USBメモリ)等が含まれる。
【0037】
(9)また、本発明は、受信手段に相当する工程(受信工程)と、抽出手段に相当する工程(抽出工程)と、記憶手段に相当する工程(記憶工程)と、通知手段に相当する工程(通知工程)と、判定手段に相当する工程(判定工程)と、送信手段に相当する工程(送信工程)と、を備えるワンタイムパスワード発行方法として表すことができる。この方法を適用することにより、本発明のワンタイムパスワード発行装置によって奏する効果と同等の効果を得ることができる。
【0038】
(10)以上、上記(1)〜(9)では、認証装置とワンタイムパスワード発行装置とが別構成であることを前提として説明したが、本発明は、ワンタイムパスワード発行装置としての機能が認証装置に組み込まれたものでもよい。
【0039】
このような構成に対応するワンタイムパスワード発行方法では、まず、抽出工程によって、ワンタイムパスワードの発行トリガを検出すると、所定の通信装置が電話回線を介して受信可能な複数の電話番号から、一つの電話番号を前記ワンタイムパスワードとして抽出する。なお、ワンタイムパスワードの発行トリガとしては、例えばインターネット網を通じたオンライン取引におけるログイン時や決済時、ATMにキャッシュカードを挿入したタイミング等が挙げられる。
【0040】
そして、通知工程によって、上記抽出工程により抽出した電話番号を示すワンタイム番号情報をユーザに通知する。続く判定工程では、上記通知工程により通知を受けたワンタイム番号情報に基づいて通信装置への電話回線接続があった場合に、その電話の着信番号が予め登録されていたユーザの電話番号(つまり、登録電話番号)と一致するか否かを判定する。そして、認証工程によって、上記判定工程により着信番号が登録電話番号と一致すると判定した場合に、ユーザが登録者本人であることを認証する。この方法を適用することによっても、不正な認証を抑制するとともに、ユーザの利便性をより向上させることができる。