特開2015-82327(P2015-82327A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-82327光情報再生装置、光情報再生方法および光情報記録方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-82327(P2015-82327A)
(43)【公開日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】光情報再生装置、光情報再生方法および光情報記録方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/0065 20060101AFI20150331BHJP
   G11B 7/135 20120101ALI20150331BHJP
【FI】
   G11B7/0065
   G11B7/135 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-217991(P2013-217991)
(22)【出願日】2013年10月21日
(71)【出願人】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(71)【出願人】
【識別番号】509189444
【氏名又は名称】日立コンシューマエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】西村 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】井手 達朗
【テーマコード(参考)】
5D090
5D789
【Fターム(参考)】
5D090BB16
5D090CC04
5D090CC18
5D090EE11
5D090JJ20
5D090LL03
5D090LL06
5D789AA13
5D789CA20
5D789DA05
5D789EC15
5D789JA63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録媒体上のホログラムの再生時に参照光照射位置に精度良くブックを位置付ける。
【解決手段】光情報記録媒体1から情報を再生する光情報再生装置は、参照光を発射する光源と、前記光源から発射された参照光の光情報記録媒体への入射角度を調整する角度調整部319と、前記角度調整部で調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の不要光を抑制するフィルタ部314と、前記角度調整部で調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の少なくとも一部を検出する光検出部201と、前記フィルタ部を制御する制御部と、を備え、前記光情報記録媒体には、隣接するブックでは少なくともブック内の一部のページデータが参照光の角度多重方向の入射角度をずらして情報が記録されており、前記制御部は、前記光検出部で検出した信号に基づいて、前記フィルタ部を制御する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生装置であって、
参照光を発射する光源と、
前記光源から発射された参照光の光情報記録媒体への入射角度を調整する角度調整部と、
前記角度調整部で調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の不要光を抑制するフィルタ部と、
前記角度調整部で調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の少なくとも一部を検出する光検出部と、
前記フィルタ部を制御する制御部と、を備え、
前記光情報記録媒体には、隣接するブックでは少なくともブック内の一部のページデータが参照光の角度多重方向の入射角度をずらして情報が記録されており、
前記制御部は、前記光検出部で検出した信号に基づいて、前記フィルタ部を制御する、光情報再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報再生装置であって、
前記光検出部は、参照光の照射位置と再生目標ブックの記録位置の相対位置ずれ量を検出し、
前記制御部は、前記検出された相対位置ずれ量に基づいて、前記フィルタ部を制御する、光情報再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光情報再生装置であって、
前記フィルタ部はポリトピックフィルタであり、
前記制御部は、前記検出された相対位置ずれ量に基づいて、前記ポリトピックフィルタを駆動する、光情報再生装置。
【請求項4】
信号光と参照光を用いて光情報記録媒体に情報を記録する光情報記録方法であって、
参照光角度を変化させるステップと、
第1の参照光角度に対応する第1のページデータを含む第1のブックを記録するステップと、
第2の参照光角度に対応する第2のページデータを含む、前記第1のブックと隣接する第2のブックを記録するステップと、を有し、
前記第1の参照光角度と前記第2の参照光角度は異なる参照光角度であり、
前記第1のページデータと前記第2のページデータは、それぞれ前記第1のブックと前記第2のブックに再生位置づけを行うためのサーボページである、光情報記録方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光情報記録方法であって、
前記サーボページは既知の固定パターンである、光情報記録方法。
【請求項6】
請求項4に記載の光情報記録方法であって、
前記サーボページは輝度が所定値以上のパターンである、光情報記録方法。
【請求項7】
信号光と参照光を用いて光情報記録媒体に情報を記録する光情報記録方法であって、
参照光角度を変化させるステップと、
第1の参照光角度に対応する第1のページデータと第2の参照光角度に対応する第2のページデータを含む第1のブックを記録するステップと、
第3の参照光角度に対応する第3のページデータと第4の参照光角度に対応する第4のページデータを含む、前記第1のブックと隣接する第2のブックを記録するステップと、を有し、
前記第1のページデータ及び/または前記第2のページデータを用いて前記第1のブックに再生位置づけが行われ、
前記第3のページデータ及び/または前記第4のページデータを用いて前記第2のブックに再生位置づけが行われ、
前記第1の参照光角度と前記第2の参照光角度は、前記第3の参照光角度と前記第4の参照光角度よりも高角度側または低角度側に配置される、光情報記録方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光情報記録方法であって、
前記第1のページデータ及び前記第2のページデータは、ユーザデータを含むページデータよりも低角度側に配置されており、
前記第3のページデータ及び前記第4のページデータは、前記ユーザデータを含むページデータよりも高角度側に配置されている、光情報記録方法。
【請求項9】
請求項8に記載の光情報記録方法であって、
前記第1のブックと前記第2のブックは、前記光情報記録媒体の半径方向に隣り合っている、光情報記録方法。
【請求項10】
信号光と参照光を用いて光情報記録媒体に情報を記録する光情報記録方法であって、
参照光角度を変化させるステップと、
第1の参照光角度に対応する第1のページデータと、第2の参照光角度に対応する第2のページデータと、第3の参照光角度に対応する第3のページデータと、第4の参照光角度に対応する第4のページデータと、を含むブックを記録するステップと、を有し、
前記第1のページデータ及び/または前記第2のページデータを用いて前記ブックに再生位置づけが行われ、
前記第3のページデータと前記第4のページデータはユーザデータを含み、
前記第1の参照光角度と前記第2の参照光角度は、前記第3の参照光角度と前記第4の参照光角度よりも高角度側または低角度側に配置され、
前記第1の参照光角度と前記第2の参照光角度の角度間隔は、前記第3の参照光角度と前記第4の参照光角度の角度間隔よりも大きい、光情報記録方法。
【請求項11】
請求項4記載の光情報記録方法において、
前記サーボページから得られる回折光量は、ユーザデータを含むページデータから得られる回折光量よりも大きいことを特徴とする光情報記録方法。
【請求項12】
請求項4記載の光情報記録方法において、
前記第2のブックの前記第1の角度にページデータがすべてゼロであるデータを記録するステップと、備える、光情報記録方法。
【請求項13】
信号光と参照光を用いて光情報記録媒体に情報を記録する光情報記録方法であって、
参照光角度を変化させるステップと、
第1の参照光角度に対応する第1のページデータと第2の参照光角度に対応する第2のページデータを含む第1のブックを記録するステップと、
第3の参照光角度に対応する第3のページデータと第4の参照光角度に対応する第4のページデータを含む、前記第1のブックと隣接する第2のブックを記録するステップと、を有し、
前記第1のページデータを用いて前記第1のブックに再生位置づけが行われ、
前記第3のページデータを用いて前記第2のブックに再生位置づけが行われ、
前記第2のページデータと前記第4のページデータはユーザデータを含み、
前記第1の参照光角度と前記第3の参照光角度は、異なる参照光角度であり、
前記第2の参照光角度と前記第4の参照光角度は、同一の参照光角度である、光情報記録方法。
【請求項14】
光情報記録媒体から情報を再生する光情報再生方法であって、
参照光を発射する発射ステップと、
前記発射された参照光の光情報記録媒体への入射角度を調整する角度調整ステップと、
前記調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の不要光をフィルタにより
抑制する抑制ステップと、
前記調整された参照光を光情報記録媒体に照射したときに得られる回折光の少なくとも一部を検出する光検出ステップと、
前記フィルタを制御する制御ステップと、を備え、
前記光情報記録媒体には、隣接するブックでは少なくともブック内の一部のページデータが参照光の角度多重方向の入射角度をずらして情報が記録されており、
前記制御ステップでは、前記検出された信号に基づいて、前記フィルタを制御する、光情報再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを用いて記録媒体に情報を記録する方法、記録媒体にホログラフィを用いて記録された情報を再生する装置、方法、特に再生位置ずれの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、特開2006−208921号公報(特許文献1)と特開2009−87448号公報(特許文献2)がある。特許文献1には、「本発明のホログラフィー媒体は、複数の情報データページ各々が参照光の角度を変えて記録されている情報データスタックの位置を示す位置検出情報が、情報データの書込み時に、所定の情報データページに記録されている。」と記載されている。また、特許文献2には「角度多重記録方式でホログラムを記録する時の参照光のディスクへの入射角度の集合を{θ}=[θ1,θ2,・・・,θM]と表すとき、光情報記録媒体1上の位置又はトラック位置に応じて参照光の入射角度{θ}を切り替える。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208921号公報
【特許文献2】特開2009−87448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホログラム記録媒体上にホログラムを高密度に記録する場合、角度多重するページデータ数(多重数)を増加させると同時に、多重記録されたページデータ(以降これをブックと呼ぶ)をホログラム記録媒体上により密に敷き詰めることが必要となる。ホログラム記録媒体上にブックを密に記録する場合、隣接ブック間の間隔が微小となるため、クロストークを防止する観点から再生時に参照光照射位置に精度良くブックを位置付けることが必要となる。
【0005】
特許文献1は、隣接ブックからの再生光の漏れこみについて考慮されていない。また、特許文献2は、再生位置ずれの検出について考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ホログラム記録媒体に記録された情報を再生する際に、安定した再生位置ずれが検出可能になり、大容量のホログラム記録を実現することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、一例として、隣接するブックで少なくともブック内の一部のページデータを、参照光の角度多重方向の入射角度をずらして記録することにより解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安定して再生位置ずれを検出することが可能になり、大容量のホログラム記録を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】光情報記録再生装置の再生位置ずれを検出するページ画像データを表す概略図
図2】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
図5】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
図6】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
図7】光情報記録再生装置内の信号処理回路の実施例を表す概略図
図8】信号生成回路及び信号処理回路の動作フローの実施例を表す概略図
図9】光情報記録再生装置の再生位置ずれを検出するポリトピックフィルタと回路を示す概略図
図10】光情報記録再生装置の再生位置ずれを示す概略図
図11】光情報記録媒体上のブックと参照光照射位置の関係を示す図
図12】光情報記録媒体上の所定参照光角度におけるページデータと参照光照射位置の関係を示す図
図13】光情報記録再生装置の再生位置ずれと光検出器出力の関係を概略図
図14】光情報記録再生装置の再生位置制御シーケンスを示すフロー図
図15】光情報記録再生装置の再生位置ずれ制御を示す概略図
図16】光情報記録再生装置の再生位置制御シーケンスを示すフロー図
図17】光情報記録再生装置のブック記録位置とサーボページ記録参照光角度の関係を示す概略図
図18】光情報記録再生装置の角度多重記録におけるページ間角度配置を示す概略図
図19】光情報記録再生装置のブック記録位置とサーボページ記録参照光角度の関係を示す概略図
図20】光情報記録再生装置の角度多重記録における各ページの角度選択性を示す概略図
図21】光情報記録再生装置の角度多重記録における各ページの角度選択性を示す概略図
図22】光情報記録再生装置の角度多重記録におけるサーボページの記録参照光角度配置を示す概略図
図23】光情報記録再生装置の角度多重記録におけるサーボページの記録参照光角度配置を示す概略図
図24】光情報記録再生装置の角度多重記録におけるサーボページの記録参照光角度配置を示す概略図
図25】光情報記録再生装置の角度多重記録におけるサーボページの記録参照光角度配置を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0012】
光情報記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。再生する場合には、光情報記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0013】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0014】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に照射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0015】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0016】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0017】
キュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0018】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0019】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0020】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0021】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0022】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0023】
再生位置検出回路201は、ピックアップ11で得られる信号に基づいて再生位置ずれを検出する回路であり、検出された再生位置ずれ情報はコントローラ89に入力され、サーボ制御回路84、アクセス制御回路81などに必要な制御情報が展開される。
【0024】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過し、シャッタ303に入射する。シャッタ303が開いている時は、光ビームはシャッタ303を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム305に入射する。
【0025】
PBSプリズム305を透過した光ビームは、信号光306として働き、ビームエキスパンダ308によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク309、リレーレンズ310、PBSプリズム311を透過して空間光変調器312に入射する。
【0026】
空間光変調器312によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム311を反射し、リレーレンズ313ならびにポリトピックフィルタ314を伝播する。その後、信号光は対物レンズ315によって光情報記録媒体1に集光する。
【0027】
一方、PBSプリズム305を反射した光ビームは参照光307として働き、偏光方向変換素子316によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー317ならびにミラー318を経由してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0028】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー319によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0029】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能なガルバノミラー324にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0030】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびにポリトピックフィルタ314を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム311を透過して光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0031】
図5は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0032】
図5(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図5(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図5(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0033】
図5(a)に示すように媒体を挿入すると(501)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(502)。
【0034】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(503)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0035】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(504)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(505)。
【0036】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図6(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(511)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送る。
【0037】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源301のパワー最適化やシャッタ303による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(512)。
【0038】
その後、シーク動作(513)ではアクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびにキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0039】
その後、キュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(514)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(515)。
【0040】
データを記録した後は、キュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(516)。必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0041】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図5(c)に示すように、まずシーク動作(521)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0042】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(522)、再生データを送信する(513)。
【0043】
図8は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、図8(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信処理511後、空間光変調器312上の2次元データに変換するまでの信号生成回路86での記録データ処理フローを示しており、図8(b)は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信処理524までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0044】
図8(a)を用いて記録時のデータ処理について説明する。ユーザデータを受信(801)すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化(802)し、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくし、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的にデータ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル(803)を施した後、再生時エラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化(804)を行う。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データ(805)を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加(806)し、空間光変調器312にデータを転送(807)する。
【0045】
次に図8(b)を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(811)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(812)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(813)した後、2値化処理(814)を行い、マーカーを除去(815)することで1ページ分の2次元データを取得(816)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(817)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(818)を施し、CRCによる誤り検出処理(819)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(820)する。
【0046】
図6は、光情報記録再生装置10の信号生成回路86のブロック図である。
【0047】
出力制御回路90にユーザデータの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ89にユーザデータの入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン608を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ601に通知される。本通知を受け、サブコントローラ601は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン608を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路603に、データライン609を介して入出力制御回路90から入力されるユーザデータをメモリ602に格納するよう制御する。メモリ602に格納したユーザデータが、ある一定量に達すると、CRC演算回路604でユーザデータをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路605で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路606でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路607にメモリ602から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器312上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器312に2次元データを転送する。
【0048】
図7は、光情報記録再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0049】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン711を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ701に通知される。本通知を受け、サブコントローラ701は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン711を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路703に、データライン712を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路710を経由して入力される画像データをメモリ702に格納するよう制御する。メモリ702に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路709でメモリ702に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路708で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路707において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ702上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路706で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路705で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路704でメモリ702上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ702からユーザデータを転送する。
【0050】
ここで、本実施例で実現されるブックの再生位置ずれの検出方法について説明する。
【0051】
図9はポリトピックフィルタ314を用いたブック再生位置ずれ検出機構の詳細を示す図である。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。(a)はポリトピックフィルタ314の光入射面を示す図であり、901は光軸を示す。図のAからDは光検出器であり、ポリトピックフィルタの光情報記録媒体側に図示のように配置される。(b)は光検出器AからDを入力する再生位置ずれ検出回路201の内部構成を示す。905に示す信号線AからDは(a)の光検出器AからDの出力である。
【0052】
図10は再生時のブック再生位置ずれが発生した場合の再生光学系を示す図である。ブック再生位置ずれが発生すると、同図に示す戻り光位置1001が変位し、ポリトピックフィルタ314の開口部とのずれが発生する。このポリトピックフィルタ上に到達する戻り光1001を図10に示すポリトピックフィルタ上の光検出器AからDで検出し、信号線905を介して再生位置ずれ検出回路201に入力する。
【0053】
これにより戻り光1001が図9(a)の光検出器Aに入射した場合、再生位置ずれ検出回路201の減算回路902を介して、ΔX出力のプラスの信号が出力され、X軸のプラス方向に位置ずれが発生していることが検出される。同様に戻り光1001が図9(a)の光検出器Cに入射した場合、再生位置ずれ検出回路201の減算回路903を介して、ΔY出力のプラスの信号が出力され、Y軸のプラス方向に位置ずれが発生していることが検出される。これにより再生位置ずれの方向を検出することができる。
【0054】
図11は光情報記録媒体上に複数のブックを記録した際の、対物レンズ315の焦点面でのブック記録位置と参照光照射位置の関係を示す図である。1101は再生する当該ブックの記録位置、1102は隣接ブックの記録位置、1103は参照光照射位置を示す。該ブックと隣接ブックにおいて同一角度位置にページデータが記録されている場合、図のように当該ブックと参照光照射位置がずれた際に、両ブックに跨って参照光が照射され、両ブックのページから再生光量が得られる。そのため、図9の光検出器AからDで戻り光を検出する際、再生位置ずれに対する光量変化が得られず、再生位置ずれ検出感度が得られなくなる。
【0055】
上記を回避するための再生位置ずれが検出可能なブックの記録方法を図12に示す。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。1101、1103は図11と同様だが、隣接するX,Y方向のブック1204のページデータは、いずれもブック1101のデータページとは異なる参照光角度で記録されている。そのため、再生する当該ブック1101と参照光1103との位置ずれによる隣接ブックからの再生光量は検出されず、位置ずれに伴って得られる再生光量は低下する。これにより、図9で示した再生位置ずれ検出信号ΔX,ΔYからは、図13の1301に示すような再生位置ずれ検出信号を得ることができる。
【0056】
図14に再生時のブック記録位置付けとデータ再生開始までのシーケンスの一例を示す。
情報記録媒体内の座標情報などにより再生ブック位置情報を取得することにより、ブック位置付けを開始する(1401)とまず機械精度での位置付けを実施する(1402)。次に当該ブックの再生するデータページの参照光角度を設定し、ページデータを再生する(1403)。この時点では情報記録媒体内の記録剤、例えばポリマーの重合反応、もしくは温度変化による収縮などで、参照光角度の設定値でページデータが再生不良となることが想定される。前述の再生位置ずれ検出は情報記録媒体から再生される光量の差分で再生位置ずれを検出するため、再生される光量が大きいことが望ましい。これにより、例えばページデータから得られる光量が最大となる参照光角度位置を検出することで、ページデータの検出完了を確認する(1404)。ページデータが検出された後、前述の手法を用いて再生位置ずれ検出を行う(1405)。再生位置ずれが所定量以上の場合(1406)は、再位置づけを実施する(1407)。再位置付けの手法としては、例えば図15に示すようにポリトピックフィルタ314の位置を図の矢印で示す方向に動かして1501の位置にすることで、戻り光を光検出器325まで到達させることができる。ポリトピックフィルタ314の位置ずらし量は再生位置ずれ検出結果を元に決定する。位置付けが完了したら(1408)、そのままページデータの再生を開始する。
【0057】
本実施例によれば、再生位置ずれに対して、安定した再生位置ずれ信号を検出することができ、精度良く再生位置制御およびページデータ再生を行うことができる。
【0058】
なお、図9(a)に示すAからDの光検出器について、本実施例ではポリトピックフィルタ314上に配置されているが、光検出器はポリトピックフィルタ314上にある必要はなく、ポリトピックフィルタ314と光学的に同一の面に配置してもよい。例えば、対物レンズ315とポリトピックフィルタ314の間にビームスプリッタを配置して再生光の一部をビームスプリッタで分離し、分離された該光をレンズで集光する構成とし、光検出器は該レンズの焦点面に配置してもよい。再生位置ずれ信号を検出方法はこのような検出方法に限られない。
【0059】
なお、再生位置ずれを解消する構成として、ポリトピックフィルタ314の位置を動かす例を説明したが、これに限られず、光情報記録媒体またはピックアップを動かす構成としてもよい。但し、ポリトピックフィルタ314を駆動する構成の方がは高速再生が可能となる。 また、ポリトピックフィルタの代わりに、アングルフィルタを用いてもよい。アングルフィルタとは、所定の角度で入射する光のみを透過させる角度特性を持つフィルタである。アングルフィルタは、再生したいホログラムの回折光がアングルフィルタを透過するよう、角度特性を設計する。この時、設計角度と異なる角度でアングルフィルタに入射する隣接ホログラムの回折光は、フィルタを透過しない。従って本フィルタにより、ポリトピックフィルタ同様に、隣接ホログラムからのクロストークを除去することができる。
【実施例2】
【0060】
実施例1では、再生する当該ブックのページデータを記録する参照光角度と、隣接するすべてのブックのページデータの記録角度を異ならせることで再生位置ずれ検出を可能としたが、隣接するすべてのブックのページデータをクロストークが発生しないように角度分離を実施すると、隣接するブックのページデータに割り当てた角度は、当該ブックのページデータの記録には使用不可となるため、ブック内のページデータ記録可能な角度が減少し、ブック内の多重数が低下して記録容量が低下する。
【0061】
上記課題を解決するため、本発明の第2の実施形態では再生位置ずれを検出するためのページデータ(以降これをサーボページと呼ぶ)を備える。図1に再生する当該ブックのサーボページを記録する参照光角度における、当該ブックのページデータと隣接ブックのページデータの関係を示す。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。図の111は再生する当該ブック、101はこの当該ブックのサーボページデータを示す。このサーボページの記録参照光角度をθsとする。112から115はブック111に隣接するブック、102から105はブック111から115は参照光角度θsのページデータを示す。102から105はいずれも輝度ゼロのページデータ(以降これをブラックページと呼ぶ)とする。ブラックページの実現方法としては、空間光変調器でゼロデータ(全画素ゼロデータ)として記録する、ブックを記録する際に当該参照光角度で記録動作を実施しない、ブックを記録する際に当該参照光角度を除いて記録する、など様々な手法が考えられる。空間光変調器でゼロデータ(全画素ゼロデータ)として記録する場合、他のブックと同じようなシークエンスで記録が可能となり、記録ストラテジの設定が容易となる。
【0062】
サーボページは、例えば、既知の固定パターンで構成してもよいし、輝度が所定値または所定値以上のパターンで構成してもよい。また、ページのヘッダ情報等にサーボページであることを示す情報を記録してもよいし、これらを組合せもよい。
【0063】
また、サーボページは、は再生位置ずれの検出のためだけでなく、例えば、参照光角度の角度調整や光源301のレーザー波長の調整に用いてもよい。また、サーボページの一部にユーザデータを記録してもよいし、記録しなくてもよい。
【0064】
また、サーボページは1つのブックに複数ページ記録してもよい。これにより、より安定した再生位置ずれの検出が可能となる。
【0065】
図16にサーボページを使った再生時ブック記録位置付けシーケンスの一例を示す。図14と同じ処理については同じ符号を付してあり、ここでは説明を省略する。
【0066】
本実施例では、機械精度での位置付け実施後(1402)、次に再生する当該ブックのサーボページが記録させている参照光角度を設定し(1601)、サーボページを検出する(1602)。サーボページの検出方法は、例えば第1の実施例と同様にサーボページから得られる光量が最大となる参照光角度位置を検出することで、検出完了を確認する。サーボページが検出された後、上記の手法を用いて再生位置ずれ検出を行い(1405)、再生位置ずれが所定量以上の場合(1406)は、再位置づけを実施する(1407)。再位置付けの手法は、例えば第1の実施例と同様の手法を用いる。位置付けが完了したら(1408)、再生するデータページの参照光角度設定を行い(1603)、ページデータの再生を開始する。
【0067】
本実施例のように、ブック内の特性のページを再生位置付けのためのサーボページとして位置付けを実施することにより、第1の実施例のように隣接ブック間のデータページの参照光角度位置をずらす必要がなく、第1の実施例と同様のブック位置制御、ページデータ再生の安定性を確保しつつ、ブック内のページデータ多重数を多くする、すなわち情報記録媒体の容量を大きくすることができる。
【0068】
なお、図1の説明において、当該ブックのページデータと隣接ブックのページデータは同一の参照角度による記録としたが、これは同一参照光角度への記録のみならず、同一角度を制御目標として参照光角度が制御されて記録されたページデータ、および同一角度を基準に同一角度間隔で記録されるように参照光角度を制御することにより多重されたブックにおける同一ページのページデータも含まれる。
【実施例3】
【0069】
第2の実施例ではサーボページによる位置付けについて説明したが、サーボページの参照光角度配置について、本実施例で説明する。
【0070】
図17はサーボページの記録参照光角度と情報記録媒体上のブック配置を示す図である。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。図(a)は情報記録媒体上のブック配置を表し、(A)から(D)がブックの記録位置を表す。図(b)はブック(A)から(D)内のデータページとサーボページの参照光角度配置を示す。1701から1704がユーザデータを記録するデータページの参照光角度配置、1711から1714がサーボページの参照光角度配置を示す。サーボページを低角度側の領域1721に配置するとともに、隣り合うブックのサーボページの参照光角度をずらして配置する。なお、サーボページ1711から1714はぞれぞれ複数ページ含んでいてもよい。これにより、より安定した再生位置ずれの検出が可能となる。ユーザデータを記録するデータページについては、隣接ブックで、同一の参照光角度による記録するとしたが、ずらして配置してもよい。なお、ユーザデータを記録するデータページの参照光角度角度位置、および間隔を、隣接ブックと同一とすることで、隣接ブックのページを挿入するための角度ずれを考慮すること必要がなく、ユーザデータの角度間隔を詰めて記録密度を向上させることができる。
【0071】
本実施例ではサーボページの角度配置を低角度側の領域1721に集中的に配置している。このようにサーボページの配置角度領域を集中させることにより、ブック移動時のサーボページの角度位置検出を容易にし、再生時の位置付け時間の削減、再生データの転送レートの向上を実現することができる。
【0072】
また、図25に示すように、円周方向についてはサーボページを同一の参照光角度で記録し、半径方向については、ずらして記録してもよい。円周方向に隣接するブック(A)、(B)のサーボページ2511,2512を同一の参照光角度で記録し、円周方向に隣接するブック(C)、(D)のサーボページ2513,2514を同一の参照光角度で記録する。半径方向に隣り合う(A)、(C)サーボページ2511,2513は異なる参照光角度で記録する。なお、円周方向に隣接するブックのサーボページを異なる参照光角度で記録し、半径方向に隣接するブックのサーボページを同一の参照光角度で記録してもよい。
【実施例4】
【0073】
本実施例では第3の実施例のサーボページ領域内およびデータページとの記録参照光領域について、図18を用いて説明する。
【0074】
同図の1721はブック内における前述のサーボページ角度領域、1802はユーザデータを記録するデータページ角度領域を示す。本実施例ではサーボページの角度間隔1803とデータページの角度間隔1804について
角度間隔1803>角度間隔1804
となるようにサーボページ角度間隔、およびサーボページ角度領域を配置する。
【0075】
これにより、サーボページ検出時の角度分離性を向上させ、隣接ブックからのクロストークによる再生ブック位置検出感度の低下を防ぐことができ、実施例3と比較してより安定した再生ブック位置制御を実現することができる。
【0076】
なお、サーボページとデータページの角度間隔1805についても
角度間隔1805>角度間隔1804
とすることで、同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、上記サーボページの記録参照光角度間隔は各サーボページ間で異なっていても良く、本実施例の内容に限定されるものではない。
【実施例5】
【0078】
本実施例では第3の実施例とは異なるサーボページ領域配置について、図19を用いて説明する。
【0079】
同図の(c)はブックを円盤状の情報記録媒体に記録する際のブック配置例で、1951、1952を代表に示すトラック上にブックを配置することを考える。
【0080】
同図の1953の領域を拡大した図を同図(a)に示す。中央のトラック1960のブック(A)(B)に対して、両隣のトラック1961、1962のブック(C)、(D)の位置関係はトラックの円周長が異なることから内周側、外周側で異なるため、ブック(A)(B)とブック(C)、(D)のサーボページの記録参照光角度位置を確実に異ならせることが必要となる。また、媒体を円盤中心で保持する場合、半径方向に向かってディスク反りが発生するため、上記のブック(A)(B)と両隣のトラックのブック(C)、(D)の参照光角度位置が近接している場合、サーボページの記録参照光角度を異なる角度位置を設定しても、媒体内では所望の角度間隔を確保できなくなる恐れがある。
【0081】
そこで、同図(b)に示すように、隣接するトラック間のサーボページの記録参照光角度位置を、データページの角度多重範囲の低角度側、高角度側に振り分ける。本実施例では、トラック1960のサーボページを低角度側、隣接するトラック1961、1962のサーボページは高角度側に記録する。トラック1960に配置されるブック(A)(B)については、サーボページ1911,1912をユーザデータを記録するデータページ1901、1902よりも低角度側に配置し、トラック1961、1962に配置されるブック(C)、(D)については、サーボページ1913,1914をユーザデータを記録するデータページ1903、1904よりも高角度側に配置する。
【0082】
これにより、情報記録媒体の傾き、隣接ブックの位置関係に関わらずサーボページの安定した検出と、それによる再生ブック位置制御を実現することができる。
【0083】
また、本実施例では円盤上の情報記録媒体のトラック方向でサーボページの角度配置を低角度側、高角度側に分離したが、情報記録媒体の形状、および角度配置の低角度側、高角度側への分離方法については本実施例に限定されるものではない。
【実施例6】
【0084】
ホログラフィにより情報記録媒体に情報を記録する際に、記録の露光エネルギーの集中を回避するため、前記ブックの記録位置をオーバーラップさせながら位置をずらして記録を行う方法(以降これをショートスタック記録と呼ぶ)がある。本発明の第6の実施例において、前記ショートスタック記録に対応したサーボページ配置について、図22を用いて説明する。本実施例ではブックを円盤状の情報記録媒体に記録する際の例で、ショートスタックは接線方向に4つの角度領域に分けて実施する例を示す。また、再生するブックの隣接ブックについては、接線方向の隣接ブックを代表例として示す。
【0085】
図の2221は当該の再生ブックであり、本ブックのユーザデータを記録するデータページは、記録領域を接線方向に1/4ブックサイズずつずらしながら角度領域を変えた2211、2213、2215、2217の4つのスタックに分けて記録される。このとき、スタック2211の位置制御に利用するサーボページをスタック2211の角度領域近傍の2201に配置する。同様にスタック2213、2215、2217の位置制御に利用するサーボページは、同角度領域の近傍2203、2205、2207に配置する。
【0086】
同様に2222はブック2221に対して接線方向に隣接したブックであり、ブック2221同様に2212、2214、2216、2218の4つのスタックに分けて記録される。サーボページの配置についても、ブック2221同様に各スタックの角度領域2212、2214、2216、2218の近傍2202、2204、2206、2208に記録される。
【0087】
本実施例の構成とすることで、ショートスタック適用時においても、本発明の第2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0088】
本発明の第7の実施例において、前記ショートスタック記録に対応したサーボページ配置の第6の実施例と異なる実施例について、図23を用いて説明する。本実施例の示す媒体形状、隣接条件は第6の実施例と同様とする。
【0089】
図の2321は当該の再生ブックであり、本ブックのユーザデータを記録するデータページは、記録領域を接線方向に1/4ブックサイズずつずらしながら角度領域を変えた2311、2313、2315、2317の4つのスタックに分けて記録される。各スタックのサーボページ2301、2303、2305、2307は、前記スタック2311の低角度側に集中的に配置する。
【0090】
同様に2322はブック2321に対して接線方向に隣接したブックであり、ブック2321同様に2312、2314、2316、2318の4つのスタックに分けて記録される。サーボページの配置についても、ブック2321同様に各スタックのサーボページ2302、2304、2306、2308を、サーボページ2301、2303、2305、2307とは異なる角度で、ブック2331同様に前記スタック2312の低角度側に記録する。
【0091】
本実施例の構成とすることで、ショートスタック適用時においても、本発明の第3の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0092】
なお、本実施例ではサーボページは対応するスタックの低角度側に配置したが、サーボページをスタックの高角度側に配置してもよく、サーボページをスタックの角度位置の関係は上記に限定されるものではない。また、上記サーボページとスタックの関係が異なる条件のスタックが同一ブック内に存在してもよく、隣接ブックの同一記録角度にページデータが記録されていなければよい。
【実施例8】
【0093】
本発明の第8施例において、前記ショートスタック記録に対応したサーボページ配置の第6、第7の実施例と異なる実施例について、図24を用いて説明する。本実施例の示す媒体形状、隣接条件は第6の実施例と同様とする。
【0094】
図の2421は当該の再生ブックであり、本ブックのユーザデータを記録するデータページは、記録領域を接線方向に1/4ブックサイズずつずらしながら角度領域を変えた2411、2413、2415、2417の4つのスタックに分けて記録される。各スタックのサーボページ2401、2403、2405、2407は、前記スタック2411の低角度側に集中的に配置する。
【0095】
同様に2422はブック2421に対して接線方向に隣接したブックであり、ブック2421同様に2412、2414、2416、2418の4つのスタックに分けて記録される。サーボページの配置は、ブック2321のサーボページとの干渉を避けるため、各スタックのサーボページ2302、2304、2306、2308を、スタック2418の高角度側に配置する。
【0096】
本実施例の構成とすることで、ショートスタック適用時においても、本発明の第4の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0097】
なお、前記第3の実施例から第8の実施例における隣接ブックとサーボページの位置については、実施例記載の内容に限定されるものではない。
【0098】
また、前記第2の実施例から第8の実施例では、媒体形状を円盤形状、隣接ブック位置条件を接線方向隣接位置、もしくは接線、半径方向隣接位置で説明したが、複数のブックが隣接して記録されたホログラムを利用した角度多重記録媒体においては、前記実施例はすべて適用可能であり、前記の記録媒体形状、隣接ブック位置条件に限定されるものではない。
【実施例9】
【0099】
本発明の第9の実施例を図20を用いて説明する。本図において、図18と同一の内容を示すものについては同一の番号を付してある。
【0100】
同図の2001に代表される山形は角度選択性、またはブラグ選択性と呼ばれ、ページデータを再生する際に参照光照射で得られる回折光量の参照光角度依存性を示したものである。角度選択性の山の幅が細いほど、隣接する参照角度で記録されたページデータへの漏れこみ、所謂クロストークが少なくなり、角度多重数を増加させることができる。一方、度選択性の山を高くすると得られる回折光量は増加しSNR(信号ノイズ比)が良好となるが、記録媒体中のホログラムを形成するモノマの消費が多くなり、記録多重数が低下する。
【0101】
本実施例では、サーボページの角度領域1721で得られる回折光量を、ユーザデータを記録するデータページ角度領域1802で得られる回折光量よりも大きくなるように記録する。具体的には、例えば、光源のレーザのパワー及び/又は照射時間を増やすことで、回折光量を増やすことが出来る。これにより、サーボページの検出SNRを向上させ、安定した再生ブック位置制御を実現できる。なお、サーボページの数はデータページ数より十分少ないため、記録多重数の低下に対する影響は微小となる。
【実施例10】
【0102】
本発明の第10の実施例を図21を用いて説明する。本図において、図20と同一の内容を示すものについては同一の番号を付してある。
【0103】
本実施例では、サーボページの角度領域1721の角度選択性の幅を、ユーザデータを記録するデータページ角度領域1802ので得られる角度選択性の幅よりも大きくなるように記録する。これにより、参照光角度の設定がずれた際のサーボページの検出を容易にし、安定した再生ブック位置制御を実現できる。なお、サーボページの角度選択性の幅を大きくする方法としては、例えば記録波長を大きくする、狭い角度間隔で同じページデータを複数記録することで擬似的に角度選択性の幅を大きくする、などの方法が考えられる。
【0104】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0105】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・再生用参照光光学系、13・・・ディスクCure光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、81・・・アクセス制御回路、
82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・入出力制御回路、91・・・外部制御装置、
201・・・再生画像コントラスト検出回路、
301・・・光源、303・・・シャッタ、306・・・信号光、307・・・参照光、
308・・・ビームエキスパンダ、309・・・フェーズ(位相)マスク、
310・・・リレーレンズ、311・・・PBSプリズム、
312・・・空間光変調器、313・・・リレーレンズ、314、1501・・・空間フィルタ、
315・・・対物レンズ、316・・・偏光方向変換素子、320・・・アクチュエータ、
321・・・レンズ、322・・・レンズ、323・・・アクチュエータ、
324・・・ミラー、325・・・光検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25