【実施例1】
【0011】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。
図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0012】
光情報記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。記録する場合には、光情報記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。再生する場合には、光情報記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
【0013】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0014】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に照射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0015】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きに光情報記録媒体に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0016】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0017】
キュア光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0018】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0019】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0020】
また、ピックアップ11、そして、ディスクキュア光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0021】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0022】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0023】
再生位置検出回路201は、ピックアップ11で得られる信号に基づいて再生位置ずれを検出する回路であり、検出された再生位置ずれ情報はコントローラ89に入力され、サーボ制御回路84、アクセス制御回路81などに必要な制御情報が展開される。
【0024】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源301を出射した光ビームはコリメートレンズ302を透過し、シャッタ303に入射する。シャッタ303が開いている時は、光ビームはシャッタ303を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子304によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム305に入射する。
【0025】
PBSプリズム305を透過した光ビームは、信号光306として働き、ビームエキスパンダ308によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク309、リレーレンズ310、PBSプリズム311を透過して空間光変調器312に入射する。
【0026】
空間光変調器312によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム311を反射し、リレーレンズ313ならびにポリトピックフィルタ314を伝播する。その後、信号光は対物レンズ315によって光情報記録媒体1に集光する。
【0027】
一方、PBSプリズム305を反射した光ビームは参照光307として働き、偏光方向変換素子316によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー317ならびにミラー318を経由してガルバノミラー319に入射する。ガルバノミラー319はアクチュエータ320によって角度を調整可能のため、レンズ321とレンズ322を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0028】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー319によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0029】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ323によって角度調整可能なガルバノミラー324にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
【0030】
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ315、リレーレンズ313ならびにポリトピックフィルタ314を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム311を透過して光検出器325に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器325としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
【0031】
図5は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0032】
図5(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、
図5(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、
図5(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0033】
図5(a)に示すように媒体を挿入すると(501)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(502)。
【0034】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(503)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0035】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(504)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(505)。
【0036】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは
図6(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(511)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送る。
【0037】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源301のパワー最適化やシャッタ303による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(512)。
【0038】
その後、シーク動作(513)ではアクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびにキュア光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0039】
その後、キュア光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(514)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(515)。
【0040】
データを記録した後は、キュア光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(516)。必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
【0041】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは
図5(c)に示すように、まずシーク動作(521)で、アクセス制御回路81を制御して、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に位置づけする。光情報記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置づけされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置づけする動作を繰り返す。
【0042】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し(522)、再生データを送信する(513)。
【0043】
図8は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、
図8(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信処理511後、空間光変調器312上の2次元データに変換するまでの信号生成回路86での記録データ処理フローを示しており、
図8(b)は光検出器325で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信処理524までの信号処理回路85での再生データ処理フローを示している。
【0044】
図8(a)を用いて記録時のデータ処理について説明する。ユーザデータを受信(801)すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化(802)し、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくし、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的にデータ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル(803)を施した後、再生時エラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化(804)を行う。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データ(805)を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加(806)し、空間光変調器312にデータを転送(807)する。
【0045】
次に
図8(b)を用いて再生時のデータ処理フローについて説明する。光検出器325で検出された画像データが信号処理回路85に転送(811)される。この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出(812)し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正(813)した後、2値化処理(814)を行い、マーカーを除去(815)することで1ページ分の2次元データを取得(816)する。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理(817)を行い、パリティデータ列を取り除く。次にスクランブル解除処理(818)を施し、CRCによる誤り検出処理(819)を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータを入出力制御回路90経由で送信(820)する。
【0046】
図6は、光情報記録再生装置10の信号生成回路86のブロック図である。
【0047】
出力制御回路90にユーザデータの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ89にユーザデータの入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン608を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ601に通知される。本通知を受け、サブコントローラ601は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン608を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路603に、データライン609を介して入出力制御回路90から入力されるユーザデータをメモリ602に格納するよう制御する。メモリ602に格納したユーザデータが、ある一定量に達すると、CRC演算回路604でユーザデータをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路605で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路606でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路607にメモリ602から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器312上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器312に2次元データを転送する。
【0048】
図7は、光情報記録再生装置10の信号処理回路85のブロック図である。
【0049】
コントローラ89はピックアップ11内の光検出器325が画像データを検出すると、信号処理回路85にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン711を経由し、信号処理回路85内サブコントローラ701に通知される。本通知を受け、サブコントローラ701は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン711を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路703に、データライン712を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路710を経由して入力される画像データをメモリ702に格納するよう制御する。メモリ702に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路709でメモリ702に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路708で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路707において“0”、“1”判定する2値化し、メモリ702上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路706で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路705で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路704でメモリ702上のユーザデータ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ702からユーザデータを転送する。
【0050】
ここで、本実施例で実現されるブックの再生位置ずれの検出方法について説明する。
【0051】
図9はポリトピックフィルタ314を用いたブック再生位置ずれ検出機構の詳細を示す図である。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。(a)はポリトピックフィルタ314の光入射面を示す図であり、901は光軸を示す。図のAからDは光検出器であり、ポリトピックフィルタの光情報記録媒体側に図示のように配置される。(b)は光検出器AからDを入力する再生位置ずれ検出回路201の内部構成を示す。905に示す信号線AからDは(a)の光検出器AからDの出力である。
【0052】
図10は再生時のブック再生位置ずれが発生した場合の再生光学系を示す図である。ブック再生位置ずれが発生すると、同図に示す戻り光位置1001が変位し、ポリトピックフィルタ314の開口部とのずれが発生する。このポリトピックフィルタ上に到達する戻り光1001を
図10に示すポリトピックフィルタ上の光検出器AからDで検出し、信号線905を介して再生位置ずれ検出回路201に入力する。
【0053】
これにより戻り光1001が
図9(a)の光検出器Aに入射した場合、再生位置ずれ検出回路201の減算回路902を介して、ΔX出力のプラスの信号が出力され、X軸のプラス方向に位置ずれが発生していることが検出される。同様に戻り光1001が
図9(a)の光検出器Cに入射した場合、再生位置ずれ検出回路201の減算回路903を介して、ΔY出力のプラスの信号が出力され、Y軸のプラス方向に位置ずれが発生していることが検出される。これにより再生位置ずれの方向を検出することができる。
【0054】
図11は光情報記録媒体上に複数のブックを記録した際の、対物レンズ315の焦点面でのブック記録位置と参照光照射位置の関係を示す図である。1101は再生する当該ブックの記録位置、1102は隣接ブックの記録位置、1103は参照光照射位置を示す。該ブックと隣接ブックにおいて同一角度位置にページデータが記録されている場合、図のように当該ブックと参照光照射位置がずれた際に、両ブックに跨って参照光が照射され、両ブックのページから再生光量が得られる。そのため、
図9の光検出器AからDで戻り光を検出する際、再生位置ずれに対する光量変化が得られず、再生位置ずれ検出感度が得られなくなる。
【0055】
上記を回避するための再生位置ずれが検出可能なブックの記録方法を
図12に示す。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。1101、1103は
図11と同様だが、隣接するX,Y方向のブック1204のページデータは、いずれもブック1101のデータページとは異なる参照光角度で記録されている。そのため、再生する当該ブック1101と参照光1103との位置ずれによる隣接ブックからの再生光量は検出されず、位置ずれに伴って得られる再生光量は低下する。これにより、
図9で示した再生位置ずれ検出信号ΔX,ΔYからは、
図13の1301に示すような再生位置ずれ検出信号を得ることができる。
【0056】
図14に再生時のブック記録位置付けとデータ再生開始までのシーケンスの一例を示す。
情報記録媒体内の座標情報などにより再生ブック位置情報を取得することにより、ブック位置付けを開始する(1401)とまず機械精度での位置付けを実施する(1402)。次に当該ブックの再生するデータページの参照光角度を設定し、ページデータを再生する(1403)。この時点では情報記録媒体内の記録剤、例えばポリマーの重合反応、もしくは温度変化による収縮などで、参照光角度の設定値でページデータが再生不良となることが想定される。前述の再生位置ずれ検出は情報記録媒体から再生される光量の差分で再生位置ずれを検出するため、再生される光量が大きいことが望ましい。これにより、例えばページデータから得られる光量が最大となる参照光角度位置を検出することで、ページデータの検出完了を確認する(1404)。ページデータが検出された後、前述の手法を用いて再生位置ずれ検出を行う(1405)。再生位置ずれが所定量以上の場合(1406)は、再位置づけを実施する(1407)。再位置付けの手法としては、例えば
図15に示すようにポリトピックフィルタ314の位置を図の矢印で示す方向に動かして1501の位置にすることで、戻り光を光検出器325まで到達させることができる。ポリトピックフィルタ314の位置ずらし量は再生位置ずれ検出結果を元に決定する。位置付けが完了したら(1408)、そのままページデータの再生を開始する。
【0057】
本実施例によれば、再生位置ずれに対して、安定した再生位置ずれ信号を検出することができ、精度良く再生位置制御およびページデータ再生を行うことができる。
【0058】
なお、
図9(a)に示すAからDの光検出器について、本実施例ではポリトピックフィルタ314上に配置されているが、光検出器はポリトピックフィルタ314上にある必要はなく、ポリトピックフィルタ314と光学的に同一の面に配置してもよい。例えば、対物レンズ315とポリトピックフィルタ314の間にビームスプリッタを配置して再生光の一部をビームスプリッタで分離し、分離された該光をレンズで集光する構成とし、光検出器は該レンズの焦点面に配置してもよい。再生位置ずれ信号を検出方法はこのような検出方法に限られない。
【0059】
なお、再生位置ずれを解消する構成として、ポリトピックフィルタ314の位置を動かす例を説明したが、これに限られず、光情報記録媒体またはピックアップを動かす構成としてもよい。但し、ポリトピックフィルタ314を駆動する構成の方がは高速再生が可能となる。 また、ポリトピックフィルタの代わりに、アングルフィルタを用いてもよい。アングルフィルタとは、所定の角度で入射する光のみを透過させる角度特性を持つフィルタである。アングルフィルタは、再生したいホログラムの回折光がアングルフィルタを透過するよう、角度特性を設計する。この時、設計角度と異なる角度でアングルフィルタに入射する隣接ホログラムの回折光は、フィルタを透過しない。従って本フィルタにより、ポリトピックフィルタ同様に、隣接ホログラムからのクロストークを除去することができる。
【実施例2】
【0060】
実施例1では、再生する当該ブックのページデータを記録する参照光角度と、隣接するすべてのブックのページデータの記録角度を異ならせることで再生位置ずれ検出を可能としたが、隣接するすべてのブックのページデータをクロストークが発生しないように角度分離を実施すると、隣接するブックのページデータに割り当てた角度は、当該ブックのページデータの記録には使用不可となるため、ブック内のページデータ記録可能な角度が減少し、ブック内の多重数が低下して記録容量が低下する。
【0061】
上記課題を解決するため、本発明の第2の実施形態では再生位置ずれを検出するためのページデータ(以降これをサーボページと呼ぶ)を備える。
図1に再生する当該ブックのサーボページを記録する参照光角度における、当該ブックのページデータと隣接ブックのページデータの関係を示す。同図において光情報記録媒体が円盤ディスクの場合、X方向は円周方向、Y方向は半径方向を示す。図の111は再生する当該ブック、101はこの当該ブックのサーボページデータを示す。このサーボページの記録参照光角度をθsとする。112から115はブック111に隣接するブック、102から105はブック111から115は参照光角度θsのページデータを示す。102から105はいずれも輝度ゼロのページデータ(以降これをブラックページと呼ぶ)とする。ブラックページの実現方法としては、空間光変調器でゼロデータ(全画素ゼロデータ)として記録する、ブックを記録する際に当該参照光角度で記録動作を実施しない、ブックを記録する際に当該参照光角度を除いて記録する、など様々な手法が考えられる。空間光変調器でゼロデータ(全画素ゼロデータ)として記録する場合、他のブックと同じようなシークエンスで記録が可能となり、記録ストラテジの設定が容易となる。
【0062】
サーボページは、例えば、既知の固定パターンで構成してもよいし、輝度が所定値または所定値以上のパターンで構成してもよい。また、ページのヘッダ情報等にサーボページであることを示す情報を記録してもよいし、これらを組合せもよい。
【0063】
また、サーボページは、は再生位置ずれの検出のためだけでなく、例えば、参照光角度の角度調整や光源301のレーザー波長の調整に用いてもよい。また、サーボページの一部にユーザデータを記録してもよいし、記録しなくてもよい。
【0064】
また、サーボページは1つのブックに複数ページ記録してもよい。これにより、より安定した再生位置ずれの検出が可能となる。
【0065】
図16にサーボページを使った再生時ブック記録位置付けシーケンスの一例を示す。
図14と同じ処理については同じ符号を付してあり、ここでは説明を省略する。
【0066】
本実施例では、機械精度での位置付け実施後(1402)、次に再生する当該ブックのサーボページが記録させている参照光角度を設定し(1601)、サーボページを検出する(1602)。サーボページの検出方法は、例えば第1の実施例と同様にサーボページから得られる光量が最大となる参照光角度位置を検出することで、検出完了を確認する。サーボページが検出された後、上記の手法を用いて再生位置ずれ検出を行い(1405)、再生位置ずれが所定量以上の場合(1406)は、再位置づけを実施する(1407)。再位置付けの手法は、例えば第1の実施例と同様の手法を用いる。位置付けが完了したら(1408)、再生するデータページの参照光角度設定を行い(1603)、ページデータの再生を開始する。
【0067】
本実施例のように、ブック内の特性のページを再生位置付けのためのサーボページとして位置付けを実施することにより、第1の実施例のように隣接ブック間のデータページの参照光角度位置をずらす必要がなく、第1の実施例と同様のブック位置制御、ページデータ再生の安定性を確保しつつ、ブック内のページデータ多重数を多くする、すなわち情報記録媒体の容量を大きくすることができる。
【0068】
なお、
図1の説明において、当該ブックのページデータと隣接ブックのページデータは同一の参照角度による記録としたが、これは同一参照光角度への記録のみならず、同一角度を制御目標として参照光角度が制御されて記録されたページデータ、および同一角度を基準に同一角度間隔で記録されるように参照光角度を制御することにより多重されたブックにおける同一ページのページデータも含まれる。