【解決手段】薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50と、磁性体本体50の内部に埋め込まれたコイル導体パターン部42、44と、磁性体本体50の外側に形成されて上記コイル導体パターン部42、44と連結される外部電極80と、を含む。絶縁基板23の中央部は貫通されてホールを形成し、ホールはフェライト又は金属系軟磁性材料等の磁性体で充填されてコア部を形成する。
前記コイル導体パターン部の上部表面に形成された酸化絶縁膜の表面粗度(Ra)は、前記コイル導体パターン部の側部表面に形成された酸化絶縁膜の表面粗度(Ra)より大きい、請求項1から4の何れか1項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターン部の上部表面に形成された酸化絶縁膜の平均厚さは、前記コイル導体パターン部の側部表面に形成された酸化絶縁膜の平均厚さより厚い、請求項1から6の何れか1項に記載のチップ電子部品。
前記第2の絶縁膜は高分子を含み、前記第2の絶縁膜の表面は前記コイル導体パターン部の表面の形状に沿って形成される、請求項14または15に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターン部の上部表面に形成された酸化絶縁膜の表面粗度(Ra)は、前記コイル導体パターン部の側部表面に形成された酸化絶縁膜の表面粗度(Ra)より大きい、請求項14から17の何れか1項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターン部の上部表面に形成された前記第1の絶縁膜の平均厚さは、前記コイル導体パターン部の側部表面に形成された前記第1の絶縁膜の平均厚さより厚い、請求項14から18の何れか1項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターン部の上部表面には、前記コイル導体パターン部の側部表面に比べて酸化絶縁膜を厚く形成する、請求項21から24の何れか1項に記載のチップ電子部品の製造方法。
前記酸化絶縁膜は、コイルを高温又は高湿の環境に露出させるか又は化学的エッチング(etching)により酸化して形成する段階を含む方法により製造される、請求項26に記載のチップ電子部品。
前記第1の絶縁膜は、コイルを高温又は高湿の環境に露出させるか又は化学的エッチング(etching)により酸化して形成する段階を含む方法により製造される、請求項28に記載のチップ電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0011】
[チップ電子部品]
以下、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、これに限定されない。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるチップ電子部品のコイル導体パターン部を示す概略斜視図であり、
図2は
図1のI‐I'線に沿う断面図である。
【0013】
図1及び
図2を参照すると、チップ電子部品の一例として電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型インダクタ100が示されている。
【0014】
本発明の一実施形態による薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50と、上記磁性体本体50の内部に埋め込まれたコイル導体パターン部42、44と、上記磁性体本体50の外側に形成されて上記コイル導体パターン部42、44と連結される外部電極80と、を含む。
【0015】
上記磁性体本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば特に制限されず、例えば、フェライト又は金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0016】
上記フェライトとして、Mn‐Zn系フェライト、Ni‐Zn系フェライト、Ni‐Zn‐Cu系フェライト、Mn‐Mg系フェライト、Ba系フェライト又はLi系フェライト等の公知のフェライトを含むことができる。
【0017】
上記金属系軟磁性材料として、Fe、Si、Cr、Al及びNiからなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む合金、例えば、Fe‐Si‐B‐Cr系非晶質金属粒子を含むことができるが、これに限定されない。
【0018】
上記金属系軟磁性材料は、粒径が0.1μm〜30μmであり、エポキシ(epoxy)樹脂又はポリイミド(polyimide)等の高分子上に分散された形で含まれることができる。
【0019】
上記磁性体本体50は、六面体状であればよい。本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、
図1に表示されているL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向である。
【0020】
上記磁性体本体50の内部に形成される絶縁基板23は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板等で形成されることができる。
【0021】
上記絶縁基板23の中央部は貫通されてホールを形成し、上記ホールはフェライト又は金属系軟磁性材料等の磁性体で充填されてコア部55を形成することができる。このように磁性体で充填されるコア部55を形成することによりインダクタンス(Inductance、L)を向上させることができる。
【0022】
上記絶縁基板23の一面にコイル状のパターンを有するコイル導体パターン部42が形成され、上記絶縁基板23の反対面にもコイル状のパターンを有するコイル導体パターン部44が形成される。
【0023】
上記コイル導体パターン部42、44は、らせん(spiral)状にコイルパターンが形成されることができる。上記絶縁基板23の一面と反対面に形成されるコイル導体パターン部42、44は、上記絶縁基板23に形成されるビア電極46を介して電気的に接続される。
【0024】
上記コイル導体パターン部42、44及びビア電極46は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0025】
図3は、
図2のA部分の一実施形態を拡大して示す概略図である。
【0026】
図3を参照すると、上記コイル導体パターン部42、44の表面には酸化絶縁膜31が形成される。
【0027】
従来は、一般にコイル導体パターン部の表面に高分子物質をコーティングして絶縁膜を形成させた。しかしながら、このように形成された従来の絶縁膜は、厚さを減少させるのに限界があり、厚さを減少させて薄膜で形成する場合はコイル導体パターン部が部分的に露出するという問題を有する。コイル導体パターン部が露出すると、漏れ電流が発生するため、1MHzではインダクタンス(Inductance)が正常であるが、高周波使用条件下ではインダクタンス(Inductance)が急激に低くなって波形不良が発生する。
【0028】
よって、本発明の一実施形態によれば、コイル導体パターン部42、44の表面に金属酸化物からなる酸化絶縁膜31を形成することにより、絶縁膜が形成されない部分なしに均一に薄膜の絶縁膜を形成させた。
【0029】
上記酸化絶縁膜31は、コイル導体パターン部42、44に含まれる少なくとも一つの金属の酸化物で形成されることができる。コイル導体パターン部42、44を高温又は高湿の環境下で酸化させるか又は化学的エッチング(etching)により酸化させて酸化絶縁膜31を形成することができる。
【0030】
上記酸化絶縁膜31の表面粗度(Ra)は0.6μm〜0.8μmであればよい。
【0031】
化学的エッチング(etching)等で酸化絶縁膜31を形成すると、表面粗度(Ra)が0.6μm〜0.8μmと大きくなり、表面粗度(Ra)の向上による表面積の上昇効果により、酸化絶縁膜31上に形成される第2の絶縁膜との界面接着力が向上するため、信頼性を確保することができる。
【0032】
上記酸化絶縁膜31は、針状構造又はつる構造等の多様な形状を示すことができる。
【0033】
上記酸化絶縁膜31は、0.5μm〜2.5μmの厚さで形成されることができる。
【0034】
酸化絶縁膜31の厚さが0.5μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、2.5μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0035】
図4は本発明の一実施形態によるチップ電子部品のLT方向の断面図であり、
図5は
図4のB部分の一実施形態を拡大して示す概略図である。
【0036】
図4及び
図5を参照すると、上記酸化絶縁膜31が形成されたコイル導体パターン部42、44の隣接したパターン間の領域に磁性体が充填される。
【0037】
上記酸化絶縁膜31の表面はコイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って薄く形成されるため、隣接したパターン間の領域に空間が形成されることができる。上記空間に磁性体が充填されることにより、磁性体が占める体積が増加し、磁性体の体積が増加する分だけインダクタンスが向上する効果が得られる。
【0038】
図6は、
図5のC部分の一実施形態を拡大して示す概略図である。
【0039】
図6を参照すると、上記コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成された酸化絶縁膜31'の平均厚さは、コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成された酸化絶縁膜31''の平均厚さより厚い。
【0040】
コイル導体パターン部42、44の上部表面とは、コイルの幅wから伸びる仮想線A、Bを境にコイルの上部の表面を意味し、コイル導体パターン部42、44の側部表面とは、コイルの幅wから伸びる仮想線A、Bを境にコイルの側面の表面を意味する。
【0041】
コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'は磁性体シート圧着等の工程で外力に相対的に弱いため、コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''より厚く形成することにより絶縁特性を満たすことができる。
【0042】
また、絶縁膜の厚さが厚くなることによりコイルの面積が小さくなり、直流抵抗(Rdc)が増加することを防止するために外力に相対的に弱くないコイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''をコイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'より薄く形成することができる。
【0043】
即ち、コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'の平均厚さをコイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''の平均厚さより厚く形成することにより、優れた絶縁特性を具現し且つ直流抵抗(Rdc)を減少させることができる。
【0044】
上記コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'の厚さは1.8μm〜2.5μmであればよい。
【0045】
上部表面酸化絶縁膜31'の厚さが1.8μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、2.5μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0046】
上記コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''の厚さは0.8μm〜1.8μmであればよい。
【0047】
側部表面酸化絶縁膜31''の厚さが0.8μm未満の場合は、漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、1.8μmを超える場合は、コイルの面積が減少して直流抵抗(Rdc)が増加する可能性がある。
【0048】
また、上記コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成された酸化絶縁膜31'の表面粗度(Ra)は、コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成された酸化絶縁膜31''の表面粗度(Ra)より大きくてもよい。
【0049】
図7は
図2のA部分の他の実施形態を拡大して示す概略図であり、
図8は
図4のB部分の他の実施形態を拡大して示す概略図である。
【0050】
図7を参照すると、上記酸化絶縁膜31上には、酸化絶縁膜31を被覆する高分子絶縁膜32が形成される。
【0051】
上記高分子絶縁膜32は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光、現像による工程、スプレー(spray)塗布、ディッピング(dipping)工程等の公知の方法で形成されることができる。
【0052】
上記高分子絶縁膜32は、酸化絶縁膜31上に薄膜の絶縁膜を形成できるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ(epoxy)系樹脂、ポリイミド(polyimid)樹脂、フェノキシ(phenoxy)樹脂、ポリスルホン(polysulfone)樹脂又はポリカーボネート(polycarbonate)樹脂等を含んで形成されることができる。
【0053】
上記高分子絶縁膜32は、1μm〜3μmの厚さで形成されることができる。
【0054】
高分子絶縁膜32の厚さが1μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良又はコイル間のショート不良が発生する可能性があり、3μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0055】
上記酸化絶縁膜31及び高分子絶縁膜32の平均厚さ比は1:1.2〜1:3であればよい。
【0056】
上記厚さ比を満たす酸化絶縁膜31と高分子絶縁膜32の二重絶縁膜構造を形成することで漏れ電流の発生を防止し、波形不良及びショート不良を減少させ且つ薄膜の絶縁膜を形成することで優れた容量特性も確保することができる。
【0057】
図8を参照すると、高分子絶縁膜32の表面は、上記コイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って形成される。
【0058】
コイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って形成されるとは、
図8に示されているように高分子絶縁膜32の表面の形状がコイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って薄くコーティングされるように形成されることをいう。
【0059】
高分子絶縁膜32の表面がコイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って薄く形成されると、コイル間の領域に空間が形成される。上記空間に磁性体が充填されることにより、磁性体が占める体積が増加し、磁性体の体積が増加する分だけインダクタンスが向上する効果が得られる。
【0060】
図9は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の絶縁膜が形成されたコイル導体パターン部を拡大して観察した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0061】
図9を参照すると、コイル導体パターン部42の表面にはコイル導体パターン部42の表面を酸化させて形成された第1の絶縁膜である酸化絶縁膜31が形成され、酸化絶縁膜31上には第2の絶縁膜である高分子絶縁膜32が形成されたことが確認できる。
【0062】
このような二重構造の絶縁膜を形成することにより、薄膜の絶縁膜を形成し且つ外部磁性体50'との接触を防止し、波形不良及びショート不良を減少させることができる。
【0063】
絶縁基板23の一面に形成されるコイル導体パターン部42の一端部は磁性体本体50の長さ方向の一端面に露出し、絶縁基板23の反対面に形成されるコイル導体パターン部44の一端部は磁性体本体50の長さ方向の他端面に露出することができる。
【0064】
上記磁性体本体50の長さ方向の両端面に露出する上記コイル導体パターン部42、44と接続するよう、長さ方向の両端面には外部電極80が形成されることができる。
【0065】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成され、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等で形成されることができる。
【0066】
[チップ電子部品の製造方法]
図10は、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造工程を示す工程図である。
【0067】
図10を参照すると、まず、絶縁基板23にコイル導体パターン部42、44を形成する。
【0068】
上記絶縁基板23は、特に制限されず、例えば、PCB基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板等であり、厚さが40〜100μmであればよい。
【0069】
上記コイル導体パターン部42、44の形成方法としては、例えば、電気メッキ法が挙げられるが、これに限定されない。
【0070】
コイル導体パターン部42、44は、電気伝導性に優れた金属、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)又はこれらの合金等を含んで形成されることができる。
【0071】
上記絶縁基板23の一部にホールを形成し、伝導性物質を充填してビア電極46を形成し、上記ビア電極46を介して絶縁基板23の一面と反対面に形成されるコイル導体パターン部42、44を電気的に接続させることができる。
【0072】
上記絶縁基板23の中央部にドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工等を施して絶縁基板23を貫通するホールを形成することができる。
【0073】
次に、上記コイル導体パターン部42、44の表面に酸化絶縁膜31を形成する。
【0074】
上記酸化絶縁膜31は、コイル導体パターン部42、44に含まれる少なくとも一つの金属を酸化させて形成されることができる。
【0075】
コイル導体パターン部42、44の表面を酸化させて酸化絶縁膜31を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、コイル導体パターン部42、44を高温又は高湿の環境下で酸化させるか又は化学的エッチング(etching)により酸化させて酸化絶縁膜31を形成する方法を用いることができる。
【0076】
化学的エッチング(etching)によって酸化絶縁膜31を形成する場合は、酸化絶縁膜31の表面粗度値(Ra)が向上する。
【0077】
酸化絶縁膜31の表面粗度(Ra)は0.6μm〜0.8μmであればよい。
【0078】
化学的エッチング(etching)等で酸化絶縁膜31を形成すると、表面粗度(Ra)が0.6μm〜0.8μmと大きくなり、表面粗度(Ra)の向上による表面積の上昇効果により、酸化絶縁膜31上に形成される第2の絶縁膜との界面接着力が向上するため、信頼性を確保することができる。
【0079】
上記酸化絶縁膜31は、針状構造又はつる構造等の多様な形状を示すことができる。
【0080】
高温の環境下で酸化させて酸化絶縁膜31を形成する場合は、コイル導体パターン部42、44のコイル間の優れた洗浄効果を示すことができる。
【0081】
上記酸化絶縁膜31は、0.5μm〜2μmの厚さで形成されることができる。
【0082】
酸化絶縁膜31の厚さが0.5μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、2μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0083】
酸化絶縁膜31の形成時、酸化層形成溶液の濃度、酸化温度、時間等を調節して、酸化絶縁膜31の厚さを調節することができる。
【0084】
上記コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成された酸化絶縁膜31'の平均厚さは、コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成された酸化絶縁膜31''の平均厚さより厚くてもよい。
【0085】
コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'の平均厚さをコイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''の平均厚さより厚くすることにより、優れた絶縁特性を具現し且つ直流抵抗(Rdc)を減少させることができる。
【0086】
上記コイル導体パターン部42、44の上部表面に形成される酸化絶縁膜31'の厚さは1.8μm〜2.5μmであればよい。
【0087】
上部表面酸化絶縁膜31'の厚さが1.8μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、2.5μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0088】
上記コイル導体パターン部42、44の側部表面に形成される酸化絶縁膜31''の厚さは0.8μm〜1.8μmであればよい。
【0089】
側部表面酸化絶縁膜31''の厚さが0.8μm未満の場合は、漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良が発生する可能性があり、1.8μmを超える場合は、コイルの面積が減少して直流抵抗(Rdc)が増加する可能性がある。
【0090】
次に、上記酸化絶縁膜31を被覆する高分子絶縁膜32を形成する。
【0091】
上記高分子絶縁膜32は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光、現像による工程、スプレー(spray)塗布、ディッピング(dipping)工程等の公知の方法で形成されることができる。
【0092】
上記高分子絶縁膜32は、酸化絶縁膜31上に薄膜の絶縁膜を形成できるものであれば特に制限されず、例えば、フォトレジスト(PR)、エポキシ(epoxy)系樹脂、ポリイミド(polyimid)樹脂、フェノキシ(phenoxy)樹脂、ポリスルホン(polysulfone)樹脂又はポリカーボネート(polycarbonate)樹脂等を含んで形成されることができる。
【0093】
上記高分子絶縁膜32は、1μm〜3μmの厚さで形成されることができる。
【0094】
高分子絶縁膜32の厚さが1μm未満の場合は、絶縁膜の損傷によって漏れ電流が発生し、高周波でインダクタンスが低くなる波形不良又はコイル間のショート不良が発生する可能性があり、3μmを超える場合は、容量特性が低下する可能性がある。
【0095】
上記高分子絶縁膜32の表面は、上記コイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って形成されることができる。
【0096】
上記高分子絶縁膜32を形成する方法は、高分子絶縁膜32の表面がコイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って薄膜で形成されることができる方法であれば特に制限されず、例えば、化学蒸着法(Chemical Vapor Depsition、CVD)又は低粘度の高分子コーティング液を用いたディッピング(dipping)法であればよい。
【0097】
高分子絶縁膜32の表面がコイル導体パターン部42、44の表面の形状に沿って薄く形成されると、コイル間の領域に空間が形成されることができる。上記空間に磁性体が充填されることにより、磁性体が占める体積が増加し、磁性体の体積が増加する分だけインダクタンスが向上する効果が得られる。
【0098】
本発明の一実施形態により二重構造の絶縁膜を形成することにより、薄膜の絶縁膜を形成し且つ磁性体材料との接触を防止し、波形不良及びショート不良を減少させることができる。
【0099】
次に、上記コイル導体パターン部42、44が形成された絶縁基板23の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体50を形成する。
【0100】
磁性体層を絶縁基板23の両面に積層し、ラミネート法や静水圧プレス法により圧着して磁性体本体50を形成することができる。この際、上記ホールに磁性体を充填してコア部55を形成することができる。
【0101】
次に、上記磁性体本体50の端面に露出するコイル導体パターン部42、44と接続する外部電極80を形成する。
【0102】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含むペースト、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)又は銀(Ag)等の単独又はこれらの合金等を含む伝導性ペーストを用いて形成されることができる。外部電極80を形成する方法としては、外部電極80の形状によってプリンティング及びディッピング(dipping)法等を用いることができる。
【0103】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同じ部分については、その詳細な説明を省略する。
【0104】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。