【課題】入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることのできるリニア駆動装置、当該リニア駆動装置を用いた電子機器及び身体装着品を提供する。
【解決手段】軸方向に変位する駆動軸と、前記駆動軸に連結されていて前記駆動軸に前記軸方向の変位を生じさせる微振動発生部材と、前記駆動軸の前記軸方向の変位によって前記駆動軸の軸方向に移動可能に前記駆動軸と結合する移動体と、を備え、前記移動体は、径方向で内側に位置する前記駆動軸に対して移動可能に結合された環状の支持部と、前記支持部を外周側から締め付ける締め付け手段と、を有することを特徴とするリニア駆動装置。当該リニア駆動装置を用いた電子機器及び身体装着品。
前記移動体が前記駆動軸の前記他端側に移動した際に、前記移動体の前記一端とは反対側の他端側に向いた面を構成する部材の少なくとも前記他端側が、前記他端側の前記筐体の端面と同一の高さレベルで前記筐体から露出することを特徴とする請求項1記載のリニア駆動装置。
前記移動体が前記駆動軸の前記他端側に移動した際に、前記移動体の前記一端とは反対側の他端側に向いた面を構成する部材の少なくとも前記他端側が、前記他端側の前記筐体の端面から突出することを特徴とする請求項1記載のリニア駆動装置。
前記移動体は、前記駆動軸と結合する支持部と、前記支持部とは別体で構成された錘部と、前記支持部と前記錘部とを連結する板状体とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリニア駆動装置。
前記微振動発生部材は、弾性薄板と前記弾性薄板の少なくとも一面に配置された伸縮薄板とを備えている薄板からなり、前記伸縮薄板に駆動電圧を印加することによりおわん型に変形するものであり、
前記微振動発生部材は周縁部が点で周方向に等間隔に前記筐体に固定されたことを特徴とする請求項1記載のリニア駆動装置。
前記微振動発生部材に印加する駆動電圧を制御することにより、前記移動体が前記駆動軸の前記他端側に移動した際に、前記移動体の前記一端とは反対側の他端側に向いた面を構成する部材の前記他端側が、前記他端側の前記筐体の端面と同一の高さレベルに達しない領域で前記駆動軸の軸方向に往復移動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のリニア駆動装置。
前記移動体の前記一端の側の面又は前記移動体の前記一端の側の面に対向する前記筐体の面に防音部材が配備されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載のリニア駆動装置。
前記筐体の外部側と、前記駆動軸及び前記移動体が配置されている前記筐体の内部側とを連通する空隙部を前記筐体が備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載のリニア駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、本発明はかかる実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【0012】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるリニア駆動装置について、図面を参照しながら説明する。図面において、紙面の上方を上、下方を下として説明する。
【0013】
図5に示すリニア駆動装置1は、表示装置にタッチパネル機能を組み込んだ電子機器や操作キーを用いた入力装置といった電子機器に用いられる。これらの電子機器本体の中には、リニア駆動方式の振動装置を予め内蔵しておき、操作者が指やペンで押圧して情報を入力したときに、振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与えるものがある。
【0014】
図1〜
図7に示すように、本実施の形態1のリニア駆動装置1は、駆動軸9と、微振動発生部材8と、筐体3と、移動体14とを備えている。
【0015】
筐体3は駆動軸9が軸方向に変位自在となるように駆動軸9又は微振動発生部材8の少なくとも一方を支持するものである。図示の実施形態では、筐体3は、駆動軸9が軸方向に変位自在となるように駆動軸9を支持している。
【0016】
なお、
図1〜
図7の形態1では、駆動軸9の一端である下端が微振動発生部材8に連結されている。微振動発生部材8は駆動軸9を介してのみ筐体3に支持されている構造になっている。
【0017】
移動体14は、駆動軸9の軸方向の変位によって駆動軸9の軸方向に移動可能に駆動軸9と結合しており、駆動軸9の軸方向に駆動軸9上を往復移動する。
【0018】
図1〜
図7の形態1では、筐体3は筒状で、上端側にカバー4を備えている。筐体3の上端側の端面に相当するカバー4の上側面が電子機器本体の下側面2bに当接する。
図1〜
図7の形態1では、カバー4は、内側環状部4aと外側環状部4e、そして、これらを連結する3本の連結腕4b、4c、4dを備えている。外側環状部4eは筒状の筐体3の上端に配置される。連結腕4b、4c、4dは内側環状部4aから外側環状部4eに向かって放射状に伸びている。隣接する連結腕4b、4c、4d同士の間にカバー開口部15a、15b、15cが形成されている。
【0019】
筐体3の底面中央部及びこの位置に対応するカバー4の内側環状部4aの中心にはそれぞれ貫通孔が形成されている。各貫通孔にはブッシュ10、5を介して駆動軸9が挿入される。
【0020】
このため、図示の形態1では、筐体3の底面中央部及びカバー4中央部に形成されている貫通孔の中心を結ぶ線は筐体3の底面及びカバー4と垂直になるように設けられる。
【0021】
移動体14を移動させる駆動機構は、微振動発生部材8と駆動軸9とで構成される。
【0022】
微振動発生部材8は、弾性薄板6と、弾性薄板6の少なくとも一面に配置した伸縮薄板7a、7bとを備えている薄板からなる。図示の実施形態では、弾性薄板6の上下両面にそれぞれ伸縮薄板7a、7bが固着されているバイモルフ型になっている。
【0023】
伸縮薄板7a、7bに駆動電圧を印加することで伸縮薄板7a、7bが伸縮して伸縮薄板7a、7bが固着している弾性薄板6の中央部と周縁部とが弾性薄板6の法線方向に相対変位する。これによって微振動発生部材8がおわん型に変形する。
【0024】
伸縮薄板7a、7bは両面に電極材料を付着させた圧電材料、電歪材料で構成される。電極材料としては、例えば、銅や銅合金等が用いられる。圧電材料、電歪材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、鉛ニオブ酸マグネシウム等がある。伸縮薄板7a、7bは円形状や多角形状に形成される。
【0025】
弾性薄板6は、例えば、銅や銅合金等の弾性材料が用いられる。なお、図示していないが、伸縮薄板7aあるいは、7bのみを弾性薄板6の片面に設けるユニモルフ型にしてもよい。また、弾性薄板6は、伸縮薄板7aあるいは、7bに対応した外形を持つことが好ましいが、対応させなくても構わない。
【0026】
伸縮薄板7a、7bは弾性薄板6に、例えば、導電性接着剤で固着され、微振動発生部材8の両面の各々に伸縮薄板7a、7bに電圧を印加するための配線が設けられる。図示していないが、この配線は駆動制御部に接続される。
【0027】
駆動軸9は軽量で剛性が高い、例えば、炭素系の材料が用いられ、柱状に形成される。
【0028】
駆動軸9は、その一端が微振動発生部材8に連結される。図示の実施形態では、駆動軸9の一端である軸先端部が微振動発生部材8の中心軸に固定されている。固定する形態としては、例えば、軸先端部の先端面を微振動発生部材8の表面に接着剤で固定することができる。図示の形態1で駆動軸9の微振動発生部材8との接着部分が太くなっているのは、この接着剤である。駆動軸9自身は先端面まで同じ太さ、または先端面の面積を駆動軸9本体部の断面積より小さくしている。駆動軸9の先端を細くすることで、実際の変形に寄与する微振動発生部材8の面積を大きくすることができる。
【0029】
なお、駆動軸9の軸先端部を微振動発生部材8に固定する構造に替えて、微振動発生部材8に貫通孔を設け、軸先端部の側面部を固定する構成としても良い。
【0030】
上述したように、駆動軸9はブッシュ5、10を介して、軸方向に変位自在に、筐体3に支持される。
【0031】
ブッシュ5、10は、駆動軸9を支持するためのゴム等の弾性部材であり、駆動軸9を挿通するための中心孔を有している。
【0032】
カバー4の中央部の貫通孔に配置されるブッシュ5は、微振動発生部材8に固定した一端側とは反対側である他端側の駆動軸9の先端部を中心孔の内面で接着固定する。
【0033】
一方、筐体3の底面中央部の貫通孔に配置されるブッシュ10は、中心孔の内面で駆動軸9を接着固定せずに、外側から加圧支持するのみである。
【0034】
この構成により、駆動軸9は軸方向に変位するが、その変位によって駆動軸9自身が移動体14のように長い距離を移動することはない。
【0035】
移動体14は、駆動軸9の軸方向の変位によって駆動軸9の軸方向に移動可能に駆動軸9と結合している。
【0036】
この実施の形態1では、移動体14は、駆動軸9に対して移動可能に結合されている環状の支持部11と、支持部11とは別体で構成された環状の錘部14a、14bと、支持部11と錘部14a、14bとを連結する板状体13とで構成されている。
【0037】
駆動軸9に対して環状の支持部11を軸方向に移動可能に結合する形態としては、摩擦結合を採用することができる。
【0038】
摩擦結合の形態1としては、環状の支持部11を、環状の締め付け手段12によって外周側から絞めつけることにより、環状の支持部11を駆動軸9に対して摩擦結合するものがある。
【0039】
図9図示の実施形態はこの一例である。環状の支持部11を二つの同じ形状の分割体11a、11bを組み合わせて構成している。各分割体11a、11bの駆動軸9に対応する位置には、駆動軸9を収容する開口11c、11dが形成されている。駆動軸9を間に挟んで分割体11a、11bを組み合わせたときに、分割体11aの合わせ面11eと、分割体11bの合わせ面11fとの間には隙間が空くように構成しておく。そして、環状の締め付け手段12によって外周側から絞めつけることによって環状の支持部11は駆動軸9に対して摩擦結合される。
【0040】
支持部11を構成する分割体11a、11bは、例えば、ステンレスなどの金属製にすることができる。これにより、支持部11の耐久性を向上させることができる。
【0041】
環状の支持部11の外周に装着されて、支持部11を、駆動軸9を中心とする半径方向で内側方向に向かって外周側から絞めつける環状の締め付け手段12としては、例えば、コイルばねを用いることができる。
【0042】
また、合わせ面11eと合わせ面11fとの間に熱収縮性樹脂を充填し、熱収縮性樹脂の熱収縮力で締め付けても良い。
【0043】
また、駆動軸9と支持部11との接触部分は
図9のような断面で見ると点接触とすることが好ましい。安定した摩擦結合状態を保ちやすい。
【0044】
摩擦結合の形態2としては、支持部11を中央に駆動軸9が挿通する支持部貫通孔を有する形態とし、当該、支持部貫通孔に熱収縮した熱収縮性樹脂が充填されている形態を採用することができる。
【0045】
支持部貫通孔に充填された熱収縮性樹脂の熱収縮力が、駆動軸9を外側から加圧する摩擦力となる。
【0046】
支持部11には板状体13の内周側が固定されており、板状体13の外周側に環状の錘部14a、14bが結合されている。
【0047】
図示の形態では、板状体13の外周側で上下面に、それぞれ、環状の錘部14a、14bが取り付けられている。
【0048】
上側の錘部14bは、カバー4が備えている開口部15a、15b、15cを挿通する段部14cを上側(駆動軸9の一端とは反対側の他端側)に備えている。図示の形態では、筐体3のカバー4が備えている3個のカバー開口部15a、15b、15cのそれぞれに対応する位置で合計3個の段部14cを錘部14bは備えている。
【0049】
移動体14を構成する上側の錘部14bの上側(駆動軸9の一端とは反対側の他端側)の面が駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面になる。そして、移動体14を構成する錘部14bが駆動軸9の一端側から他端側に向かって移動した際に、移動体14の駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面を構成する部材である上側の錘部14bが、移動体14の移動を停止させる部材に対して衝突する。この実施の形態では、移動体14の移動を停止させる部材は電子機器本体の下側面2bである。
【0050】
図1〜
図7図示の実施の形態では、上側の錘部14bが備えている段部14cの上側面14dが、移動体14の移動を停止させる部材である電子機器本体の下側面2bに対して衝突する。
【0051】
なお、カバー4が開口部15a、15b、15cを備えておらず、カバー4の上側面が電子機器本体の下側面2bに当接している構造にすることもできる。この場合には、移動体14を構成する錘部14bが駆動軸9の一端側から他端側に向かって移動した際に、移動体14の駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面を構成する部材である上側の錘部14bは、移動体14の移動を停止させる部材であるカバー4の下側面に対して衝突する。
【0052】
いずれにしても、上述した、移動体14が駆動軸9の一端側から他端側に向かって移動した際に、移動体14を構成する錘部14bの上側面14dが、移動体14の移動を停止させる部材に衝突する。これにより、強い衝撃を生じさせることができる。
【0053】
これにより、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることができる。
【0054】
上側面を電子機器本体の下側面2bに当接させているカバー4が開口部15aなどを備えていて、上側の錘部14bが、開口部15aなどを挿通する段部14cを上側(駆動軸9の一端とは反対側の他端側)に備えている構造の場合、段部14cの形態としては以下のものがある。
【0055】
上側の錘部14bが備えている段部14cの形態1では、段部14cはその上端側が、移動体14が駆動軸9の上側に移動した際に、少なくとも、筐体3の上側の端面と同一の高さレベルで筐体3から露出するようになっている。
【0056】
図示の形態では、
図2、
図4図示のように、移動体14が駆動軸9の上側に移動した際に、段部14cの上側面14dの高さレベルが、カバー4の上側面(駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面)の高さレベルと同一になっている。
【0057】
図2、
図4では、カバー4の上側面の高さレベルは筐体3の上端側の端面(駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面)の高さレベルと同一である。そこで、段部14cの上側面14dは、筐体3の上端側の端面(他端側の筐体3の端面)と同一の高さレベルで筐体3から露出することができる。
【0058】
本実施の形態1のリニア駆動装置が配備されている電子機器本体の下側面2bが
図2、
図4図示のように筐体3の上端側の端面に当接している場合には、上述したように、段部14cの上側面14dの高さレベルが、筐体3の上端側の端面の高さレベルと同一になっていることにより、段部14cの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突する。
【0059】
このように、本実施形態のリニア駆動装置では、移動体14の上側面が電子機器本体の下側面2bに衝突する。これにより、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることができる。
【0060】
上側の錘部14bが備えている段部14cの形態2では、移動体14が駆動軸9の上側に移動した際に、少なくとも段部14cの上端側が、筐体3の上端側の端面から突出する形態にすることもできる。例えば、リニア駆動装置1を電子機器本体に取り付けずに移動体14を移動させたときに、少なくとも段部14cの上端側が、筐体3の上端側の端面から突出する形態である。
【0061】
このような上側の錘部14bが備えている段部14cの形態2によれば、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックをより一層向上させることができる。
【0062】
以下、本実施の形態1のリニア駆動装置1の動作の一例について説明する。
【0063】
微振動発生部材8の伸縮薄板7aに対して駆動電圧を印加すると、伸縮薄板7aは厚さ方向が伸び、面内方向が縮むが、弾性薄板6はそのような伸縮はしない。そこで、微振動発生部材8は中央部が上方へ変位し周縁部が下方へ変位するように変形する。駆動電圧波形は数十kHz程度の周波数の矩形波、鋸歯状波、立ち上がり時間と立ち下がり時間が異なる三角波等である。
【0064】
微振動発生部材8の中央部に一端が固定されている駆動軸9も上方へ移動し、駆動軸9に結合している移動体14も上方へ移動する。
【0065】
微振動発生部材8が所定の変形をしたところで、駆動電圧を急激に立ち下げると、微振動発生部材8の変形は弾性薄板6の弾性力により急激に元に戻る。
【0066】
それに伴い駆動軸9も元の位置に戻るが、移動体14は、駆動軸9の下方への急激な移動には追随できず、その位置に留まる。
【0067】
結果として、移動体14はわずかに上方へ移動する。
【0068】
駆動軸9のこの往復非対称な軸方向の移動によって、移動体14は1往復当たり上方へ1〜数μm移動する。
【0069】
前述のようにこの動作を数十kHzの周波数で繰り返す。
【0070】
また、移動体14を下方へ移動させるときは、駆動軸9の軸方向の移動が上下逆になるように微振動発生部材8の伸縮部材7bに対して同様の駆動電圧を印加する。このようにして、移動体14は、駆動軸9の軸方向に駆動軸9上を往復移動する。
【0071】
こうして一回あるいは、複数回、移動体14が駆動軸9の軸方向上側へ移動すると、上側の錘部14bが備えている段部14cの上側面14dが、筐体3の上端側の端面に当接している電子機器本体の下側面2bに衝突する。このとき、段部14cの上側面14dは、移動体14が駆動軸9の上側に移動した際にカバー4の上側の面あるいは筐体3の上端側の端面と同一の高さレベルで筐体3から露出している。あるいは、移動体14が駆動軸9の上側に移動した際に少なくとも筐体3の上端側の端面から突出する形態になっている。
【0072】
この実施の形態1においては、錘部14bは板状体13を介して支持部11に連結されている。板状体13を介して支持部11に連結されている錘部14bの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突するので、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることができる。
【0073】
なお、板状体13は単なる板ではなく、支持部11から半径方向外方に伸びる支持腕などで錘部14aとの間の連結を行う板ばねとしても構わない。その場合、錘部14bが備えている段部14cの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに勢いをつけて衝突することができる。これによって、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックをより向上させることができる。
【0074】
錘部14a、14bは、平面視で、円形状や多角形状の外形を持つ。
【0075】
錘部14a、14bとしてタングステン合金のような密度が大きい材料を用いて同じ体積でも質量を大きくすることにより、錘部14bが備えている段部14cの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突した際の衝撃が大きくなるようにしている。そこで、板状体13として、弾性を有し、支持部11と錘部14a、14bとを弾性的に連結する部材を採用することもできる。例えば、上述のように板ばねを板状体13として用いることができる。
【0076】
図示の形態では、板状体13の上下両面にそれぞれ錘部14a、14bが取り付けられているが、上側の錘部14bのみにすることもできる。図示の形態では、錘部14bが備えている段部14cの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突した際の衝撃が大きくなることを考慮して板状体13の上下両面にそれぞれ錘部14a、14bを取り付けている。
【0077】
本実施の形態1によれば、移動体14を構成する錘部14bの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突して衝撃を生じさせる。本実施の形態では、筐体3とは別体のカバー4が3個の開口部15a〜15cを備えていて、上側の錘部14bは、この3個の開口部15a〜15cを挿通する3個の段部14cを備えている。これに替えて、
図8図示のように、カバー4を筐体3と一体に形成することもできる。
図8図示の実施形態では、筐体3の上外側環状部3cから中心方向に伸びる連結腕3dの先端に貫通孔が形成され、この貫通孔にブッシュ5を介して駆動軸9が挿入されている。上側の錘部14bが備えている上側面14dは筐体3の連結腕3dが配備されている箇所を除く錘部14bの段部14c上に形成されている。
【0078】
本実施の形態1では、移動体14は支持部11と錘部14a、14bとを別体とし、両者を板状体13で連結する構成とした。しかし、移動体14全体を支持部11のように複数の分割体で形成し、環状の締め付け手段で締め付けることによって移動体全体を駆動軸9に対して摩擦結合させても良い。
【0079】
本実施の形態1では、微振動発生部材8は、いわゆるバイモルフ型やユニモルフ型といった板状の部材としたが、いわゆる積層型といったタイプの部材としても構わない。その際、微振動発生部材8のみを筐体3に支持させるような構成としても構わない。
【0080】
(実施の形態2)
本発明が採用可能な他の形態の例を
図10〜
図12を用いて説明する。
【0081】
図1〜
図8を用いて説明した実施の形態1の構成部材と共通する構成部材には同一の符号をつけてその説明を省略する。
【0082】
図示の形態では、移動体14を構成する錘部14bの4つの角部にそれぞれ段部14cが形成されている。一方、筐体3の上端側には、平面視で十字状のカバー4が配備されている。カバー4の上側に、例えば、両面テープ20が装着され、両面テープ20を介して、リニア駆動装置1が電子機器本体の下側面2bに装着される。段部14cの上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突する際、カバー4が、4つの段部14cの間に形成される溝部にはまり込む。
【0083】
実施の形態1と同様に、本実施の形態2のリニア駆動装置1も移動体14が駆動軸9の軸方向に駆動軸9上を往復移動する。移動体14が駆動軸9の上側方向に移動して電子機器本体の下側面2bに衝突した後、駆動軸9の下側方向に向かって移動するときに、移動体14の下側が、筐体3の底面に衝突することがある。この場合には不要な衝突音が発生する。
【0084】
実施の形態2では、筐体3の底面に防音部材21が配備されている。筐体3の、移動体14における駆動軸9の下端側の面に対向する面である筐体3の底面に防音部材21を配備することにより、不要な衝突音の発生を抑制できる。
【0085】
防音部材21は、駆動軸9の下側方向に向かって移動する移動体14の下側が、筐体3の底面に衝突する際に発生する衝突音を抑制する目的で配備される。このため、防音部材21は、移動体14の下側面と筐体3の底面との間に挟まれるように配備される。
【0086】
そこで、筐体3の底面に防音部材21を配備する形態に替えて、あるいは、筐体3の底面に防音部材21を配備すると共に、移動体14の下側面、
図9図示の実施形態では、下側の錘部14bの下側面に、防音部材21を配備する形態にすることもできる。
【0087】
防音部材21は上述した目的を達成できるものであれば十分である。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂からなる厚さ0.1mm程度のシート状のものを採用できる。
【0088】
また、本実施の形態2では、筐体3が、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部を備えている。
【0089】
筐体3の内部側と外部側とが連通されていない構造では、移動体14が駆動軸9の軸方向に往復移動するときに、筐体3の内部から外部への空気の逃げ道がなくなる。このため移動体14の往復移動に対して空気抵抗が生じる。この空気抵抗により、移動体14の往復移動速度が減速し、移動体14が、駆動軸9の上側に移動して電子機器本体の下側面2bに衝突する衝撃が弱められる。
【0090】
実施の形態2では、筐体3が、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部を備えている。これにより、
図11に示すように、移動体14が上昇する際も、下降する際も、筐体3の内部側と外部側との間で空気が流動する。そこで、筐体3の内部側と外部側とが連通されていない構造に比較して、移動体14の往復移動に対して生じる空気抵抗を小さくすることができる。このため、空気抵抗による移動体14の移動速度の減速が小さい。そこで、移動体14が電子機器本体の下側面2bに衝突する際の衝撃を大きくさせ、入力操作が行われた際に振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることができる。
【0091】
図示の実施形態では、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部として、筐体3の底面に空気抜け用の貫通孔23a、23bを設け、筐体3の上端側に空気抜け用の切欠24a、24b、24c、24dを設けている。切欠24a〜24dについては、筐体3の上端側の面と電子機器本体の下側面2bとが組み合わされることにより、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部として働く。
【0092】
図12(a)に示したように、移動体14が上側方向に移動すると矢印で示したように、空気が、筐体3の内外を流動する。すなわち、移動体14の上面と電子機器本体の下側面2bとの間の空間にある空気は切欠24a〜24dを通って筐体3の外側にスムーズに流出する。また、移動体14の下面と筐体3の底面との間には貫通孔23a、23bを通って筐体3の外側から空気がスムーズに流入する。これによって、移動体14は、空気抵抗による減速をあまり受けることなしに、電子機器本体の下側面2bに衝突することができる。
【0093】
一方、
図12(b)に示したように、移動体14が下側方向に移動すると矢印で示したように、空気が、筐体3の内外を流動する。すなわち、移動体14の下面と筐体3の底面との間の空間にある空気は切欠24a〜24dを通って筐体3の外側にスムーズに流出する。また、移動体14の上面と電子機器本体の下側面2bとの間には貫通孔23a、23bを通って筐体3の外側から空気がスムーズに流入する。これによって、移動体14は、空気抵抗による大きな減速を受けることなしに下降する。そこで、実施の形態1で説明した駆動電圧の切り替えにより、移動体14は、空気抵抗による大きな減速を受けることなしに、上下往復運動を行うことができる。
【0094】
このように、筐体3が、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部を備えている場合、筐体3内で、移動体14は大きな空気抵抗を受けることなしに上下往復動を行うことが可能になる。
【0095】
このため、移動体14が駆動軸9の下側方向に向かって移動し、筐体3の底面に衝突する場合にも大きな空気抵抗を受けることなしに衝突することになる。
【0096】
そこで、筐体3が、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部を備えている構造の場合には、上述したように、移動体14の下側面と筐体3の底面との間に挟まれるように防音部材21を配備しておくことが特に望ましい。この場合には、筐体3の底面に形成されている貫通孔23a、23bの位置、形状に対応させて、防音部材21に空気抜け用の貫通孔22a、22bを形成しておくことが望ましい。これによって、防音部材21が備えられている場合でも、
図11図示のように、移動体14の上下動に応じて、空気が筐体3の内外を流動するようになる。
【0097】
上述したように、筐体3の内部側と外部側とを連通する空隙部は、錘部14a、14bを含んで構成される移動体14が、筐体3内で、駆動軸9の軸上を上下往復動する際の空気抵抗を減じる目的で配備される。そこで、この目的を達成できるものであれば、空隙部は、上述した貫通孔23a、23b、切欠24a〜24dに限られず、種々の形態、構造のものを採用できる。
【0098】
また、移動体14そのものに、空気抵抗を減少させるための構造を具備させることもできる。例えば、上側面14dの平坦部分に移動体14を構成する錘部14a及び/または14bの上面から下面まで貫通する孔を形成して、移動体14が上下方向に貫通されている空気抜け孔を備えている構造にすることができる。また、錘部14a及び/または14bで形成される移動体14の外周面に上下方向に上面から下面まで伸びる空気抜け溝を形成し、この溝を介して、上下方向に空気が抜けていく構造にすることもできる。
【0099】
これらの空気抜け孔や空気抜け溝は、移動体14の上面と電子機器本体の下側面2bとの間の空間と、移動体14の下面と筐体3の底面との間の空間と、の間で空気がスムーズに行き来することができるようにしたものである。それによって移動体14が大きな空気抵抗を受けることなく上下往復動が可能となる。
【0100】
(実施の形態3)
図1〜
図12に示した実施の形態1、2では、駆動軸9の下端が微振動発生部材8に連結され、微振動発生部材8は駆動軸9を介してのみ筐体3に支持されている構造になっている。
【0101】
図13図示の本実施の形態3は、微振動発生部材8が、その周縁部が点で周方向に等間隔に筐体3に固定される実施形態である。微振動発生部材8は、実施の形態1で説明したように、弾性薄板6と弾性薄板6の少なくとも一面に配置された伸縮薄板7a、7bとを備えている薄板からなり、伸縮薄板7a、7bに駆動電圧を印加することによりおわん型に変形するものである。
【0102】
図13(a)図示の形態では、筐体3は平面視で角筒状、微振動発生部材8は平面視で円形状である。
【0103】
筐体3の筒部の下端部3aは外周側の縁よりも内周側の縁の方を一段上方に設け、微振動発生部材8の固定部3bとしている。
【0104】
微振動発生部材8は周縁部8aを筐体3の固定部3bに点(小面積)で固定した。
【0105】
図13(a)の実施形態では、筐体3が下方向から見て四角形とし、微振動発生部材8は筐体3の固定部3bに周縁部8aの四箇所がわずかに載るような円形状とした。
【0106】
弾性薄板6の方を伸縮薄板7a、7bよりも外周側に張り出させて形成することによって筐体3の固定部3bに点で固定する周縁部8aを形成することができる。伸縮薄板7a、7b、弾性薄板6のうち、筐体3の固定部3bに固定する方を外側に張り出させて周縁部8aとすることにより、電気配線を容易にすることができる。
【0107】
微振動発生部材8が直接筐体3に固定されるので、微振動発生部材8による安定した駆動が得られる。また、周縁部8aの全体ではなく点で固定されているので、微振動発生部材8の発生する微振動が筐体3に吸収されたり、変形が阻害されたりする量は大きくなく、微振動発生部材8による駆動能力は大きい。また、実施の形態1よりも重い錘部14a、14bを移動させることができる。
【0108】
なお、下端部3aは外周側の縁よりも内周側の縁の方を一段上方に設けた固定部3bにしている。そこで、固定部3bの段差を微振動発生部材8の厚さよりも深くすることにより、微振動発生部材8は筐体3の下端部3aからはみ出さずに筐体3に囲まれる。これにより、リニア駆動装置1の組立中、組立後に微振動発生部材8は外部からの力によって破壊されにくい。
【0109】
なお、本実施の形態の筐体3と微振動発生部材8の形状の組合せは上述以外にもある。
【0110】
例えば、
図13(b)は
図13(a)とは逆に筐体3が円形状、微振動発生部材8が四角形である。
【0111】
図13(c)は筐体3も微振動発生部材8も四角形である。この場合、微振動発生部材8の四角形の角部の周縁部8aが筐体3の四角形の辺部の固定部3bに載置される。
【0112】
図13(d)は筐体3が八角形で微振動部材8が四角形である。
【0113】
この形状は
図13(c)の四角形の筐体3の角部が面取りされた形状と考えても良い。したがって、筐体3は八角形でなくて角丸四角形としても良い。
【0114】
図13(e)は
図13(d)の微振動発生部材8の形状が円形状としたものである。
【0115】
図13(f)は微振動発生部材8が円形状や四角形ではなく、六角形状としたものである。このような形状でも構わない。
【0116】
このように筐体3と微振動発生部材8の形状は多様な形状を組合せることができる。
【0117】
なお、本実施の形態3に示した、微振動発生部材8が、その周縁部が点で周方向に等間隔に筐体3に固定されるという実施形態は、移動体14の上端面(駆動軸9の一端とは反対側の他端側に向いた面)に突起部15が配備されている構成にのみ適用されるものではない。
【0118】
例えば、移動体14の上端面には突起部15が配備されないような構成に対しても何ら問題無く適用できる。そのような構成の移動体14としては例えば、レンズを搭載することのできるレンズ支持体等があり、その場合、リニア駆動装置はレンズ駆動装置として機能する。
【0119】
(実施の形態4)
上述した実施の形態では移動体14が電子機器本体の下側面2bに衝突する形態、あるいは、移動体14が筐体3に相当するカバー4の下側面に衝突する形態を説明している。
【0120】
以下の本実施の形態4では、微振動発生部材8に印加する駆動電圧を制御することにより、第一のモードである移動体14が電子機器本体の下側面2bなどに衝突する形態と、第二のモードである移動体14が電子機器本体の下側面2bなどに衝突することなしに駆動軸9を軸方向に上下移動する形態とを切り替え可能にしている。
【0121】
図14はこの二つのモードにおける移動体14の位置の時間変化の一例を説明するものである。
【0122】
第一のモードでは、駆動電圧を印加することで移動体14が基準位置から駆動軸9に沿って上方へ移動し(A)、移動体14の上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突する(B)。確実に衝突させるために、衝突後も駆動電圧はそのまま印加されるので移動体14はさらに上昇しようとする(C)が、移動体14は電子機器本体の下側面2bに衝突したままなので、そのままの位置を保つ(D)。
【0123】
移動体14の上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突した後、駆動軸9の軸方向の移動が上下逆になるように駆動電圧波形を変えて駆動電圧を印加することにより、移動体14は駆動軸9の軸方向で下側に向かって移動し(E)、基準位置に戻る。確実に基準位置に戻らせるために、移動体14が基準位置に戻った後も駆動電圧はそのまま印加されるので移動体14はさらに下降しようとする(F)が、移動体14は基準位置から動かない。移動体14は比較的長距離を移動するので一回の動作に要する時間(T1)は比較的長い。
【0124】
一方、第二のモードでは、移動体14の上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突することなしに駆動軸9を軸方向に上下移動する形態にすることができる。
【0125】
この形態では、移動体14が基準位置から駆動軸9の上側に移動した際に(G)、移動体14の上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突する前(H)に駆動電圧波形を移動体14が下方へ移動するように切り替える(I)。さらに移動体14が上方へ移動するように駆動電圧波形を切り替える(J)。(I)と(J)とを繰り返した後、移動体14を基準位置へ戻す(K)。
【0126】
移動体14は、上側面14dが筐体3の上端側の端面と同一の高さレベルに達しない領域で、電子機器本体の下側面2bに衝突すること無く、短い周期(T2)で駆動軸9の軸方向に往復移動して振動を発生させることになる。この振動は、筐体3から電子機器本体に伝わる。
【0127】
移動体14が電子機器本体の下側面2b及び基準位置で筐体3に衝突せずに振動を続けられるように、(G)に要する時間及び(K)に要する時間を(I)に要する時間及び(J)に要する時間より長くしても良い。
【0128】
第一のモードは、例えば、リニア駆動装置1を電子機器に搭載し、操作者が指やペンで押圧して情報を入力したときに、振動を指やペンに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与えるために用いられる。
【0129】
第二のモードは、例えば、電子機器の着信情報を所持者に振動で伝えるために用いられる。
【0130】
このように、本実施の形態4のリニア駆動装置1は、微振動発生部材8に印加する駆動電圧を制御することのみにより、第一のモードである移動体14の上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突する形態と、第二のモードである上側面14dが電子機器本体の下側面2bに衝突することなしに駆動軸9を軸方向に上下移動する形態とを切り替えることができる。すなわち、移動体14を駆動軸9の軸方向の上下に移動させる切替えの周期を長周期(T1)とすると第一のモードが実現でき、短周期(T2)とすると第二のモードが実現できる。
【0131】
上述した実施の形態で説明してきたリニア駆動装置を備える電子機器は、表示装置にタッチパネル機能を組み込んだ電子機器や操作キーを用いた入力装置といった電子機器に限るものではない。例えば、タッチパネルに入力するためのタッチペンに内蔵しても構わないし、腕時計に内蔵しても良い。
【0132】
また、電子機器だけでなく、指輪やブローチ、バンダナといった身体装着品に組み込んでも構わない。
【0133】
上述した電子機器や身体装着品のいずれに組み込んでも、移動体14の上側面14dが、電子機器本体や、身体装着品本体に衝突する。これにより、入力操作が行われた際に振動を指やペンなどに返して確実に操作を行ったという感触を操作者に与える触感フィードバックを向上させることができる。