【解決手段】DDNP(ジアゾジニトロフェノール)24重量%〜40重量%と、硝酸カリウム30重量%〜46重量%と、比重4以上の金属元素を含まない珪化カルシウム5重量%〜24重量%及び比重4以上の金属元素を含まないガラス粉1.5重量%〜15重量%からなる増感剤と、アルミニウム0.5重量%〜15重量%及び/又はテトラセン0.5重量%〜5重量%からなる可燃剤と、アラビアゴム又はグアゴムの水溶性ゴムからなるバインダー0.5重量%〜8重量%と有し、前記比重4以上の金属元素を含まない珪化カルシウムと前記比重4以上の金属元素を含まないガラス粉との配合量比の総和が、11.5重量%〜30重量%であることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛を含まない雷管用起爆剤組成物は、知られている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
しかし、鉛を含む起爆薬よりも鈍感になり、不発火が発生し易いという問題があった。
そこで、この問題点を解決するために、特許文献4には、DDNP(ジアゾジニトロフェノール)とホウ素とを組合せてなるボクサー型の撃発式雷管に用いるための無毒性雷管混合物が提案されている。
【0003】
特許文献4に開示されている組成物は、酸化剤としての炭酸カルシウム又は硝酸ストロンチウム、燃料としての硝酸エステル、及び第2爆薬としてテトラセンを含む。
爆粉、起爆薬は、極めて感度が高く特殊な火薬類であり、爆粉はわずかな衝撃的エネルギーで容易に発火する混合物である。
【0004】
一方、起爆薬は一度エネルギーを受け反応が開始すると容易に燃焼から爆轟へと転移する性質を持つ化合爆薬であり、従来、両者とも火薬類に欠かせないものとして使用されてきた。
ところが、従来の点火薬、爆粉、或いは起爆薬等は、鉛化合物が含まれており、環境保護の観点から考えると問題であった(例えば、特許文献5、6参照)。
また、作業者保護の観点から考慮すると、人体に有害な物質を含んでおり、取扱上、製造上問題であった。
【0005】
近年、このような理由から火薬類においても、無鉛化及び無害化が要求されている。また、重金属(比重4〜5以上の金属元素)を含まないことも要求されている。
この人体に有害な物質については、化学物質管理促進法(PRTR法)で指定されており、環境と人体に影響の虞のある化学物質に対しての管理義務が定められている。
火薬類に関しても、同法の適応範囲であり、組成成分から有害物質を除外することが望ましく、将来は完全に除外要求がされると予想される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
本実施形態では、本実施形態に係る雷管用起爆薬組成物を銃用撃発雷管1の起爆薬3に適用した場合について説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に用いられる銃用撃発雷管(12.7mm弾用雷管(P50雷管))1を示す。
【0015】
銃用撃発雷管1は、銅、銅合金又はアルミニウム合金製のカップ形状の雷管体2と、雷管体2内に必要量秤量して充填される起爆薬3と、充填された起爆薬3上に載置される紙箔及び耐水性紙箔製のディスク4と、ディスク4上に載置される銅、銅合金又はアルミニウム合金製の発火金5とで構成されている。
なお、本実施形態では、12.7mm弾用雷管(P50雷管)について説明したが、本発明は、これに限定することなく、銃用撃発雷管であれば良い。ここで言う「銃用」とは、口径12.7mm以下を指す。また、「P50雷管」の「P」は、Percussion(撃発)を意味し、「50」は、0.5インチ(12.7mm)を意味する。
【0016】
次に、本実施形態に用いられる銃用撃発雷管1の組立手順を説明する。
(1)雷管体2に起爆薬3を乾燥重量として70mg〜100mg(12.7mm弾用雷管の場合)量秤量してん薬する。
(2)てん薬した雷管体2にディスク4を挿入する。
(3)ディスク4挿入後、杵を用いて起爆薬3を仮圧填する。
(4)仮圧填後、プレスにて本圧填をする。
(5)本圧填後、雷管体2に発火金5を挿入し、プレスにて圧入する。
【0017】
次に、本実施形態に係る起爆薬3の組成について説明する。
起爆薬3は、DDNP(起爆剤)24重量%〜40重量%、硝酸カリウム(酸化剤)30重量%〜46重量%、アルミニウム粉(可燃剤)0重量%〜15重量%、テトラセン(可燃剤)0重量%〜5重量%、珪化カルシウム(増感剤)5重量%〜24重量%、ガラス粉(増感剤)1.5重量%〜15重量%、ゴム液(バインダー)0.5重量%〜8重量%(外割)で構成されている。
【0018】
次に、起爆薬3の配合手順を
図3に基づいて説明する。
(1)硝酸カリウム、アルミニウム粉、珪化カルシウム、ガラス粉を秤量する。
(2)(1)で秤量した材料を混和する。
(3)ゴム液、テトラセンを秤量する。
(4)(2)で混和した材料に秤量したゴム液、テトラセンを加え、混和する。
(5)DDNPを秤量する。
(6)(4)で混和した材料に秤量したDDNPを加え、混和する。
(7)(6)で混和した材料を収函する。
【0019】
次に、銃用撃発雷管1の起爆薬3の組成幅の検証試験を行った。
組成幅の検証試験は、組成成分の許容範囲を落球感度試験により検証する。
試験方法は、組成成分の許容範囲を落球感度試験により検証する。
落球感度試験の試験方法は、下記の通りである。
(1)
図4に示す試験装置10の撃針11と電磁石17が垂直線上になるようにする。
(2)
図5に示すように、着管した雷管ホルダー13を雷管ホルダー支持具14に取り付ける。
【0020】
(3)
図4に示すように、閉鎖栓12を閉じ、鋼球(重量225g、直径38mm)16を電磁石17に取り付ける。
(4)取り付けた鋼球16を落下させ、雷管1の発火・不発火を記録する。
(5)落下させた鋼球16を取り除き、閉鎖栓12を開いて雷管ホルダー13を取り出す。
【0021】
(6)8インチの落高で50個の試験が終了するまで(2)〜(5)までの手順を繰り返し、発火数・不発火数を記録する。
(7)上記の方法で、9、10、11インチ・・・・と落高を1インチずつ上げていき、50個の試料が全数発火する落高まで上げていく。
(8)次に、落高を7、6、5インチ・・・・と落高を1インチずつ下げていき、50個の試料が全数不発火となる落高まで下げていく。
【0022】
評価方法は、下記の通りである。
(1)上述した落球感度試験の記録より、平均臨界落高(H50)と標準偏差(S)を求める。
(2)12.7mm雷管の感度規格は、表1に示す通りである。
【0024】
(3)(1)で求めた平均臨界落高(H50)と標準偏差(S)を表1に示す式(H50+5S)及び(H50−2S)に代入し、規格を満足するか否かを評価する。
なお、落球感度試験の試験方法及び評価方法は、MIL−P−749に準ずる。ここで、「MIL」=「MILITARY SPECIFICATION」(米軍仕様書)の略語である。製品により仕様書の番号が取得されている。「MIL−P−749」は、「PRIMERS,PERCUSSION,FOR SMALL ARMS AMMUNITION」小火器弾薬用雷管の仕様書の番号である。
次に、実験No.について、表2に基づいて説明する。
【0026】
実験No.1〜実験No.10では、増感剤であるガラス粉の配合比が0重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%、7重量%、9重量%、15重量%の試料の感度に差があるか否かを確認する。
また、もう一つの増感剤である珪化カルシウムの配合比が5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、22重量%、24重量%の試料の感度に差があるか否かを確認する。
【0027】
さらに、増感剤以外の役割を有する成分については、DDNPの配合比が24重量%、25重量%、28重量%、30重量%、40重量%、硝酸カリウムの配合比が30重量%、32重量%、35重量%、40重量%、43重量%、45重量%、45.5重量%、46重量%、アルミニウム粉の配合比が0重量%、0.5重量%、2重量%、3重量%、7重量%、9重量%、15重量%、テトラセンの配合比が0重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、4.5重量%、5重量%、ゴム液の配合比が外割0.5重量%、外割2重量%、外割4重量%、外割5重量%、外割6重量%、外割8重量%の範囲で変動させて、試料の感度に差があるか否かを確認する。
【0028】
次に、各水準試料のH50及び標準偏差より、H50+5σ=15インチ以下、H50−2σ=2.5インチ以上の範囲にあることを判定した。
ここで、判定基準は、MIL−P−749による。
次に、配合比と試験結果を表3に示す。
【0030】
図6、
図7は、感度試験の結果を示す図である。
図6に示すガラス粉比率変化の感度試験データによれば、実験No.1と実験No.10を除いた実験No.2〜実験No.9は、感度規格を満足することから、ガラス粉の組成範囲は、1.5重量%〜15重量%であることが確認できる。
【0031】
もう一つの増感剤である珪化カルシウムと、ガラス粉の増感剤トータルの比率によれば、増加するほど、当然感度が鋭感となるが、ガラス粉の方が増感剤としての効果が高い。
その理由として、実験No.2、実験No.6では、増感剤トータル30重量%であるが、ガラス粉の割合が多い実験No.2の方が感度が鋭感にとなることが挙げられる。感度規格を満足する増感剤トータルの比率は、11.5重量%〜30重量%が好ましく、珪化カルシウムの比率は、少なくとも、5重量%〜24重量%であることが確認できる。
配合比と試験結果を表4、
図7に示す。
【0033】
表4によると、実験No.1と実験No.10を除いた実験No.2〜実験No.9は感度規格を満足することから、増感剤の役割を有しない、残りの成分であるDDNP、硝酸カリウム、アルミニウム粉、テトラセンの比率については、少なくとも、DDNPの比率は24重量%〜40重量%、硝酸カリウムの比率は30重量%〜46重量%、アルミニウム粉の比率は0重量%〜15重量%、テトラセンの比率は0重量%〜5重量%、ゴム液の比率は外割0.5重量%〜8重量%であることが確認できる。
【0034】
以上の結果、本発明の実施形態で感度規格を満足する起爆薬3の組成は、少なくとも、DDNPの配合比が24重量%〜40重量%、硝酸カリウムの配合比が30重量%〜46重量%、珪化カルシウムの配合比が5重量%〜24重量%、アルミニウム粉の配合比が0重量%〜15重量%、テトラセンの配合比が0重量%〜5重量%、ガラス粉の配合比が1.5重量%〜15重量%、ゴム液の配合比が外割0.5重量%〜8重量%であることが確認された。
【0035】
次に、銃用撃発雷管の発射性能を確認するために、銃用撃発雷管1を用いた12.7mm弾の発射試験を行った。試験方法は、米国ORD−M608−PM(Ordnance Proof Manual Vol.III, Test Methods for Small Arms Ammunition)に準じて実施した。
【0036】
発射試験に用いた銃用撃発雷管1の実験No.11〜実験No.22について、表5に基づいて説明する。
実験No.11〜実験No.13はアルミニウム粉とテトラセンとを含まない試料、実験No.14〜実験No.16はアルミニウム粉が5重量%、3重量%、0.5重量%である試料、実験No.17〜実験No.19はテトラセンが5重量%、3重量%、0.5重量%である試料、実験No.20〜実験No.22はアルミニウム粉とテトラセンとが共存する試料とする。
なお、実験No.11〜実験No.22の試料は、感度規格を満足した実験No.2〜実験No.9の配合比に包括されるものとしている。
【0037】
12.7mm弾としての本実施形態における起爆薬3の組成は、DDNPの配合比が24重量%〜30重量%、硝酸カリウムの配合比が40重量%〜46重量%、珪化カルシウムの配合比が14重量%〜24重量%、アルミニウム粉の配合比が0重量%〜5重量%、テトラセンの配合比が0重量%〜5重量%、ガラス粉の配合比が4重量%〜8重量%、ゴム液の配合比が0.5重量%〜8重量%である。
【0038】
本実施形態中においては、ゴム液の配合比を外割5重量%としているが、各成分の配合比が有効範囲内であれば、同様の結果となる。
なお、銃用撃発雷管1の起爆薬3の填薬量は、本実施形態中においては、乾燥質量で70mg〜100mgの範囲内で行い、この範囲内であれば、同様の結果となる。
【0040】
次に、実験No.11〜実験No.22の銃用撃発雷管1の感度試験データを表6に示す。感度試験の試験方法は、先に説明した方法と同様である。参考として、鉛を含むトリシネートを用いたトリシネート系撃発雷管のデータも併記する。
実験No.11〜実験No.22の銃用撃発雷管の発火感度は、感度規格を満足することがわかる。
【0042】
次に、実験No.11〜実験No.22の銃用撃発雷管1を12.7mm実包に組み込んだ場合の発射試験を実施した。発射試験は、12.7mm実包を高温(+51℃)、常温(+21℃)、低温(−40℃)の3種類の温度で8時間保温後に、各実験No.11〜実験No.22に対して10発のデータを取得した。参考として、鉛を含むトリシネートを用いたトリシネート系撃発雷管のデータも併記する。
なお、本実施形態中では、発射薬量を15.2gに固定した同一ロット品を使用しているが、撃発雷管と発射薬の各ロットの燃焼性能を反映させて、適正値となるように発射薬量を調整して使用してもよい。
【0043】
実包発射試験で取得した速度データを表7に基づいて説明する。速度は、砲口前方23.8m点で取得した。
保温温度が異なる場合においても、実験No.11〜実験No.22の平均値と標準偏差が、トリシネート系雷管と同等であることがわかる。
【0045】
実包発射試験で取得した最大圧力データを表8に基づいて説明する。最大圧力は、薬きょうと飛翔体の結合部位置で取得した。
保温温度が異なる場合においても、実験No.11〜実験No.22の平均値と標準偏差が、トリシネート系雷管と同等であることがわかる。
【0047】
実包発射試験で取得した作動時間データを表9に基づいて説明する。作動時間は、撃針による雷管打撃から飛翔体射出までの時間とする。
保温温度が異なる場合においても、実験No.11〜実験No.22の平均値と標準偏差が、トリシネート系雷管と同等であることがわかる。
【0049】
実包発射試験で取得した速度、最大圧力、作動時間のデータから、実験No.11〜実験No.22の銃用撃発雷管は、保温温度が異なる場合においても、12.7mm実包の発射性能を満足することがわかる。
【0050】
次に、実包発射試験に用いた実験No.12,15,18,21の銃用撃発雷管1を12 .7mm空包に組み込んだ場合の発射試験を実施した。発射試験は、12.7mm実包を高温(+51℃)、常温(+21℃)、低温(−40℃)の3種類の温度で8時間保温後に、各実験No.12,15,18,21に対して10発のデータを取得した。参考として、鉛を含むトリシネートを用いたトリシネート系撃発雷管のデータも併記する。
なお、本実施形態中では、発射薬量を3.5gに固定した同一ロット品を使用しているが、撃発雷管と発射薬の各ロットの燃焼性能を反映させて、適正値となるように発射薬量を調整して使用してもよい。
【0051】
空包に使用する発射薬は、実包に使用する発射薬と異なり、一般的に燃焼速度が大きいものを使用する。以下に示す空包の発射性能データから、燃速の異なる発射薬に対応できるか否かを確認する。
空包発射試験で取得した最大圧力データを表10に基づいて説明する。最大圧力は、実包と同じ位置で取得した。
保温温度が異なる場合においても、実験No.12,15,18,21の平均値と標準偏
差が、トリシネート系雷管と同等であることがわかる。
【0053】
空包発射試験で取得した圧力立上時間データを表11に基づいて説明する。圧力立上時間は、撃針による雷管打撃から最大圧力に達するまでの時間とする。
保温温度が異なる場合においても、実験No.12,15,18,21の平均値と標準偏差が、トリシネート系雷管と同等であることがわかる。
【0055】
空包発射試験で取得した最大圧力、圧力立上時間のデータから、実験No.12,15,18,21の銃用撃発雷管は、保温温度が異なる場合においても、12.7mm空包の性能を満足することがわかり、実験No.11〜実験No.22の残りの実験No.11,13,1 4,16,17,19,20,22についても同様の結果となる。
【0056】
12.7mm実包と空包の発射試験の結果から、12.7mm弾としての本実施形態で発射性能を満足する起爆薬3の組成は、少なくとも、DDNPの配合比が24重量%〜30重量%、硝酸カリウムの配合比が40重量%〜46重量%、珪化カルシウムの配合比が5重量%〜28重量%、アルミニウム粉の配合比が0重量%〜5重量%、テトラセンの配合比が0重量%〜5重量%、ガラス粉の配合比が4重量%〜8重量%、ゴム液の配合比が0.5重量%〜8重量%であることが確認された。
なお、起爆薬3の填薬量は、乾燥質量で70mg〜100mgの範囲内であることが好ましい。
【0057】
本発明において、バインダー(ゴム液)の組成範囲は、0.5重量%〜8重量%とする。
バインダーの役割は、配合した爆粉を雷管に安定保持することにある。
下限値で示した0.5重量%未満の場合、安定保持ができなくなる。安定保持できない場合、輸送等の衝撃で発火の危険性が高まり、安全上の問題が生じる。
上限値で示した8重量%以上の場合、安定保持の問題はないが、粘性が大きくなり、製造上の問題が生じる。
【0058】
本発明において、アルミニウム粉の役割は、発射薬へ安定着火することにあり、雷管発火時の火炎量に影響を与える効果がある。
本発明におけるアルミウム粉の組成範囲は、使用する発射薬の燃焼特性に左右されることになるが、発射薬の不着火が発生する場合はアルミニウム粉を0.5重量%以上含有させることで不着火を改善する効果があり、アルミニウム粉を15重量%超えで含有させた場合は発射薬の爆燃現象が発生することから、0.5重量%〜15重量%とする。
【0059】
本発明において、テトラセンの役割は、爆粉を安定燃焼させることにあり、発火点が起爆剤であるDDNP(180℃)よりもテトラセン(140℃)と低いことから、テトラセンを添加することにより、撃針による撃発エネルギーを、雷管中の爆粉全体へ継続的に供給できる効果がある。
本発明におけるテトラセンの組成範囲は、雷管に作用する撃発エネルギーの大きさに左右されることになるが、爆粉の燃焼中断が発生する場合はテトラセンを0.5重量%以上含有させることで燃焼中断を改善する効果があり、テトラセンを5重量%超えで含有させた場合は爆粉の燃焼速度が必要以上に大きくなり雷管体2の許容強度を超えることから、0.5重量%〜5重量%とする。
【0060】
本発明において、アルミニウム粉とテトラセンとが共存する場合の効果については、感度試験と実包と空包の発射試験の結果から、少なくとも本発明の組成範囲においては、銃用雷管としての機能を有することが確認できる。
同様に、アルミニウム粉とテトラセンとを含まない場合の効果については、感度試験と実包と空包の発射試験の結果から、少なくとも本発明の組成範囲においては、銃用雷管としての機能を有することが確認できる。
【0061】
本発明に使用するガラス粉は、成分中に鉛及び重金属を含まず、人体に有害な物質を含まないケイ酸塩ガラスを用いる。
SiO
298%以上の含有するケイ酸ガラス(SiO
2)系、ソーダ石灰ガラス(Na
2O−CaO−SiO
2)系又はカリ石灰ガラス(K
2O−CaO−SiO
2)系である。
ソーダ石灰ガラス(Na
2O−CaO−SiO
2)系としては、SiO
265重量%〜75重量%、Na
2O10重量%〜20重量%、CaO5重量%〜15重量%、Al
2O
30.5重量%〜4重量%、MgO0.5重量%〜4重量%、Fe
2O
32重量%未満のガラスがある。
【0062】
カリ石灰ガラス(K
2O−CaO−SiO
2)系としては、SiO
265重量%〜75重量%、K
2O10重量%〜20重量%、CaO5重量%〜15重量%、Na
2O15重量%未満、Al
2O
30.5重量%〜4重量%、MgO0.5重量%〜4重量%、Fe
2O
22重量%未満のガラスがある。
本実施形態で使用したガラス粉は、ポッターズ・バロティ株式会社製のグレードGP105(250μm〜106μm)で、その組成は、SiO
272重量%、Al
2O
32.0重量%、CaO9重量%、MgO3.4重量%、Na
2O13重量%である。粒子径150μm〜100μm(市販ガラス粉を篩通しで粒度調整後に使用している。)である。