【解決手段】照明装置100は、照明用モジュール1と、無線通信用モジュール2と、電源部3とを備える。搬送波周波数fにおける、コイルL1、L2、L3の誘導リアクタンスを高インピーダンスとすることで、照明用モジュール1の回路は、高周波信号に対して、第1アンテナ部A11、第2アンテナ部A12によりダイポールアンテナ回路として機能し、直流成分の信号に対しては、発光素子LE1〜LEnを発光させる回路として機能する。
前記第1回路および前記第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、前記搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、前記第1導体パターン部および前記第2導体パターン部が設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとし、前記第1導体パターン部の長さをd1とし、前記第2導体パターン部の長さをd2とすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0/2±0.4×(λ0/2)
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、前記第1導体パターン部および前記第2導体パターン部が形成されている、
請求項3又は4に記載の照明用モジュール。
前記第1回路および前記第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、前記搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、前記第1導体パターン部および前記第2導体パターン部が設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとし、前記第1導体パターン部の長さをd1とし、前記第2導体パターン部の長さをd2とすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0±0.4×λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、前記第1導体パターン部および前記第2導体パターン部が形成されている、
請求項3又は4に記載の照明用モジュール。
前記第1回路および前記第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、前記搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、
前記第2コンデンサの第2端、前記第3コンデンサの第2端、前記第3コンデンサの第1端、前記複数の発光素子、および、前記第1コンデンサの第2端により形成されるループの全長をd3とし、前記ループが設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d3=λ0±0.4×λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たす前記ループが形成されるように、前記第1回路および前記第2回路が構成されている、
請求項7又は8に記載の照明用モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記システムでは、無線通信機能を実現するために、照明機器の外部に、無線通信用アンテナを設置する必要がある。このため、上記システムでは、無線通信用アンテナを設置するためのスペースを、照明機器を設置するスペース以外に別途設ける必要があり、照明機器の設置スペースに制限がある場合、上記システムのように、無線通信用アンテナを設置するためのスペースを確保することが困難である場合がある。また、上記システムでは、照明機器外に大きな無線通信用アンテナが設置されるため、外観も損ねる。
【0008】
一般に、照明機器の設置スペースは制限を受けることが多いので、照明機器の照明性能を確保しつつ、かつ、照明機器の外観を損ねることなく、照明機器に、信頼性の高い無線通信を実現する無線通信用モジュールや無線通信用アンテナを取り付けることは困難である。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、照明機器の外観を損ねず、照明機器の照明性能を確保し、かつ、信頼性の高い無線通信を実行する照明用モジュール、無線通信用モジュール、照明装置、および、照明制御システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の発明は、無線通信用モジュールと接続可能な照明用モジュールであって、第1回路部と、第1コンデンサと、第2コンデンサと、第2回路部と、を備える照明用モジュールである。
【0011】
第1回路部は、発光素子を含む。
【0012】
第2回路部は、第1回路および無線通信用モジュールと接続され、第1コンデンサと、第2コンデンサと、第1コイルとを備える。
【0013】
第1コンデンサは、無線通信用モジュールの第1接続端子に、第1端が接続されている。
【0014】
第2コンデンサは、無線通信用モジュールの第2接続端子に、第1端が接続されている。
【0015】
第1コイルは、第1端が第1コンデンサの第2端に接続されており、かつ、第2端が第2コンデンサの第2端に接続されている。
【0016】
そして、第1回路部に直流電源を接続し、無線通信用モジュールの第1接続端子と第2接続端子間に、第1周波数の交流信号が入力された場合、第1回路および第2回路により形成される回路は、第1周波数の交流信号に対して、アンテナ回路として機能するとともに、直流電源から第1回路に供給される直流信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能する。
【0017】
この照明用モジュールでは、第1回路および第2回路により形成される回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能し、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、アンテナを構成する回路として機能する。つまり、この照明用モジュールでは、1つの回路で、照明用の回路と、無線通信のためのアンテナ用の回路との両方を実現することができる。
【0018】
したがって、この照明用モジュールでは、無線通信機能を実現させるために、従来のように、照明装置の外部に大きなアンテナを設置する必要がないので、この照明用モジュールを用いて実現される照明機器では、その外観を損ねることがない。
【0019】
このように、この照明用モジュールを用いた照明機器では、照明機器の外観を損ねず、照明機器の照明性能を確保し、かつ、信頼性の高い無線通信を実行することができる。
【0020】
なお、第1の発明の照明用モジュールは、「前記第1回路部に直流電源を接続し、前記無線通信用モジュールの前記第1接続端子と前記第2接続端子間に、第1周波数の交流信号が入力された場合、
前記第1回路および前記第2回路により形成される回路は、
前記第1周波数の前記交流信号に対して、アンテナ回路として機能するとともに、
前記直流電源から前記第1回路に供給される直流信号に対して、前記発光素子を点灯させる回路として機能する」ものである。つまり、第1の発明の照明用モジュールは、
(1)第1回路部に直流電源を接続し、無線通信用モジュールの第1接続端子と第2接続端子間に、交流信号(例えば、アンテナ送信のための搬送波信号)を入力することで、送信用アンテナ回路、および、発光素子点灯用回路として機能し、
(2)第1回路部に直流電源を接続し、無線通信用モジュールの第1接続端子と第2接続端子間に、例えば、アンテナ受信用回路を接続することで、受信用アンテナ回路、および、発光素子点灯用回路として機能する。
【0021】
すなわち、第1の発明の照明用モジュールは、発光素子点灯用回路として機能しつつ、送信アンテナとしても、受信アンテナとしても機能することができる。
【0022】
第2の発明は、第1の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcにおける、第1コイルの誘導リアクタンスをXL(L1)とし、搬送波周波数fcにおける、第1コンデンサの容量リアクタンスをXc(C1)とし、第2コンデンサの容量リアクタンスをXc(C2)とすると、
XL(L1)≧500[Ω]
Xc(C1)≦10[Ω]
Xc(C2)≦10[Ω]
を満たすように、第1コイルのインダクタンス値、第1コンデンサのキャパシタンス値、および、第2コンデンサのキャパシタンス値が設定されている。
【0023】
これにより、この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcの信号に対して、第1コイルの第1端と第2端との間が十分高いインピーダンスとなり、第1コイルの第1端と第2端との間が電気的に切断されている状態と近似することができる。また、搬送波周波数fcの信号に対して、第1コンデンサおよび第2コンデンサは、十分低いインピーダンスとなるので、第1コンデンサおよび第2コンデンサが直結されている状態と近似することができる。
【0024】
一方、直流成分の信号に対して、第1コイルのインピーダンス(誘導リアクタンス)は、0Ωとなり、第1コンデンサおよび第2コンデンサのインピーダンス(容量リアクタンス)は、無限大となる。したがって、直流成分の信号に対して、第1コイルL1の両端は、直結されているのと等価であり、第1コンデンサの両端および第2コンデンサ両端は、電気的に切断されているのと等価である。
【0025】
このように、この照明用モジュールでは、上記のように第1コイル、第1コンデンサ、第2コンデンサのインダクタンス値、キャパシタンス値を設定することで、第1回路と第2回路とにより、異なる接続を実現でき、その結果、1つの回路で、異なる機能を実現することができる。つまり、この照明用モジュールでは、上記のように第1コイル、第1コンデンサ、第2コンデンサのインダクタンス値、キャパシタンス値を設定することで、第1回路および第2回路により形成される回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能し、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、アンテナを構成する回路として機能させることができる。
【0026】
第3の発明は、第1または第2の発明であって、第1回路部は、複数の発光素子と、第2コイルと、第3コイルと、第1導体パターン部と、第2導体パターン部と、を備える。
【0027】
第1回路部の複数の発光素子と、第2コイルと、第1導体パターン部と、第2回路部の第1コイルと、第1回路部の第2導体パターンと、第3コイルとは、直列に接続されている。
【0028】
第1導体パターン部は、第2コイルと第1コイルとの間に配置されている。
【0029】
第2導体パターン部は、第1コイルと第3コイルとの間に配置されている。
【0030】
複数の発光素子は、第1回路部に直流電源を接続され、所定量以上の直流電流が流れた場合、発光するように直列に接続されている。
【0031】
これにより、この照明用モジュールでは、第1回路および第2回路により形成される回路を、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能させ、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、第1導体パターンおよび第2導体パターンがダイポールアンテナを構成する回路として機能させることができる。
【0032】
第4の発明は、第3の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcにおける、第2コイルの誘導リアクタンスをXL(L2)とし、第3コイルの誘導リアクタンスをXL(L3)とすると、
XL(L2)≧500[Ω]
XL(L3)≧500[Ω]
を満たすように、第2コイルのインダクタンス値、および、第3コイルのインダクタンス値が設定されている。
【0033】
この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcにおいて、第2コイルおよび第3コイルのインピーダンス(誘導リアクタンス)が十分高いインピーダンスであるので、搬送波周波数fcの信号に対して、当該第2コイルおよび第3コイルの部分で、電気的に切断されているのと近似の状態であるとみなすことができる。したがって、この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcの高周波信号に対して、第1コイルと第2コイル間に設置されている第1導体パターンが、ダイポールアンテナの一方のアンテナ素子部として機能し、第1コイルと第3コイル間に設置されている第2導体パターンが、ダイポールアンテナの他方のアンテナ素子部として機能する。その結果、この照明用モジュールでは、第1回路および第2回路により形成される回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能させ、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、第1導体パターンおよび第2導体パターンがダイポールアンテナを構成する回路として機能させることができる。
【0034】
第5の発明は、第3または第4の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、第1導体パターン部および第2導体パターン部が設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとし、第1導体パターン部の長さをd1とし、第2導体パターン部の長さをd2とすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0/2±0.4×(λ0/2)
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、第1導体パターン部および第2導体パターン部が形成されている。
【0035】
これにより、この照明用モジュールでは、波長短縮効果を考慮して、より精度の高い半波長ダイポールアンテナ回路を実現させることができる。
【0036】
波長短縮効果とは、高周波信号(高周波数の電磁波)が誘電体を通過する場合、通過する物質の比誘電率の影響を受けて、導体部分を通過する高周波信号の波長が短縮する効果をいう。
この現象は導体周辺に誘電体が配置されている状況で、高周波信号が導体を通過する場合にも当てはめられる。波長短縮効果を考慮した波長λ0は、通過する導体部分の周辺の物質の比誘電率をεrとすると、λ0=λ/sqrt(εr)
により算出される。
【0037】
また、「第1導体パターン部および第2導体パターン部が設置されている周辺領域の物質」とは、例えば、プリント基板上に第1導体パターン部および第2導体パターン部が形成されている場合、当該プリント基板の素材である物質の比誘電率である。
【0038】
第6の発明は、第3または第4の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、第1導体パターン部および第2導体パターン部が設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとし、第1導体パターン部の長さをd1とし、第2導体パターン部の長さをd2とすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0±0.4×λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、第1導体パターン部および第2導体パターン部が形成されている。
【0039】
これにより、この照明用モジュールでは、波長短縮効果を考慮して、より精度の高い全波長ダイポールアンテナ回路を実現させることができる。
【0040】
第7の発明は、第1または第2の発明であって、第1回路部は、複数の発光素子と、第3コンデンサと、第4コイルと、第5コイルと、を備える。
【0041】
第1回路部の第4コイルと、複数の発光素子と、第2回路部の第1コイルと、第1回路部の第5コイルとは、直列に接続されている。
【0042】
第1回路部の第4コイルは、一端が、第1回路部に直流電源を接続した場合、第1電位に設定される端子に接続されており、他端が、複数の発光素子の1つの発光素子と、第3コンデンサの第1端に接続されている。
【0043】
第1回路部の第5コイルは、一端が、第1回路部に直流電源を接続した場合、第2電位に設定される端子に接続されており、他端が、第3コンデンサの第2端に接続されている。
【0044】
これにより、この照明用モジュールでは、第1回路および第2回路により形成される回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能させ、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、第1導体パターンおよび第2導体パターンがループアンテナを構成する回路として機能させることができる。
【0045】
なお、「第1電位」は、例えば、プラス電位であり、「第2電位」は、例えば、GND電位である。つまり、「第1電位」および「第2電位」は、上記のように複数の発光素子を接続した場合、当該複数の発光素子に順方向バイアスがかかるような電位の組み合わせであればよい。
【0046】
第8の発明は、第7の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcにおける、第4コイルの誘導リアクタンスをXL(L4)とし、第5コイルの誘導リアクタンスをXL(L5)とし、搬送波周波数fcにおける、第3コンデンサの容量リアクタンスをXc(C3)とすると、
XL(L4)≧500[Ω]
XL(L5)≧500[Ω]
Xc(C3)≦10[Ω]
を満たすように、第4コイルのインダクタンス値、第5コイルのインダクタンス値、および、第3コンデンサのキャパシタンス値が設定されている。
【0047】
この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcにおいて、第4コイルおよび第5コイルのインピーダンス(誘導リアクタンス)が十分高いインピーダンスであるので、搬送波周波数fcの信号に対して、当該第4コイルおよび第5コイルの部分で、電気的に切断されているのと近似の状態であるとみなすことができる。また、この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcにおいて、第3コンデンサのインピーダンス(容量リアクタンス)が十分低いインピーダンスであるので、搬送波周波数fcの信号に対して、当該第3コンデンサの部分で、電気的に直結されているのと近似の状態であるとみなすことができる。
【0048】
したがって、この照明用モジュールでは、搬送波周波数fcの高周波信号に対して、第2コイルと、第3コイルと、複数の発光素子と、第1コイルとにより形成されるループにより、第1回路および第2回路を、ループアンテナとして機能させることができる。
【0049】
つまり、この照明用モジュールでは、第1回路および第2回路により形成される回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能させ、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、第1導体パターンおよび第2導体パターンがループアンテナを構成する回路として機能させることができる。
【0050】
第9の発明は、第7または第8の発明であって、第1回路および第2回路により形成される回路をアンテナ回路として機能させる場合に、送受信する無線信号の搬送波周波数をfcとし、搬送波周波数fcの電磁波の波長をλとし、第2コンデンサの第2端、第3コンデンサの第2端、第3コンデンサの第1端、複数の発光素子、および、第1コンデンサの第2端により形成されるループの全長をd3とし、ループが設置されている周辺領域の物質の比誘電率をεrとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d3=λ0±0.4×λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすループが形成されるように、第1回路および第2回路が構成されている。
【0051】
これにより、この照明用モジュールでは、波長短縮効果を考慮して、より精度の高いループアンテナ回路を実現させることができる。
【0052】
なお、「ループが設置されている周辺領域の物質の比誘電率」とは、例えば、当該ループがプリント基板上に形成されている場合、当該プリント基板を構成している物質の比誘電率である。
【0053】
第10の発明は、第7から第9のいずれかの発明であって、第1回路部の複数の発光素子の少なくとも1つの発光素子と並列に、コンデンサが接続されている。
【0054】
これにより、この照明用モジュールでは、所望のアンテナ特性が得られない場合であっても、発光素子と並列に、コンデンサを挿入することにより、所望のアンテナ特性に近づけることができる。
【0055】
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明であって、照明用モジュールと脱着可能な無線通信用モジュールであって、照明用モジュールの第2回路部に接続することで、照明用モジュールの第1回路および第2回路により形成されるアンテナ回路を介して、無線通信を行う無線通信部を備える。
【0056】
これにより、この無線通信用モジュールを、照明用モジュールとともに使用することで、照明用モジュールの第1回路および第2回路により形成される回路を、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能させ、(2)高周波成分の信号(例えば、第1周波数の交流信号)に対しては、アンテナを構成する回路として機能させることで、無線通信を行うことができる。
【0057】
第12の発明は、第1から第10のいずれかの発明である照明用モジュールと、照明用モジュールの第2回路部に接続することで、照明用モジュールの第1回路および第2回路により形成されるアンテナ回路を介して、無線通信を行う無線通信用モジュールと、を備える照明装置である。
【0058】
これにより、上記照明用モジュールと、上記無線通信用モジュールとを備える照明装置を実現することができる。
【0059】
第13の発明は、第1から第10のいずれかの発明である照明用モジュールと、第11の発明である無線通信用モジュールと、を備える照明装置である。
【0060】
これにより、上記照明用モジュールと、上記無線通信用モジュールとを備える照明装置を実現することができる。
【0061】
第14の発明は、マスター装置と、第12または第13の発明である照明装置と、無線通信ネットワークを介して照明装置の無線通信用モジュールと通信するとともに、有線ネットワークを介して、マスター装置と通信するスレーブ装置と、を備える照明制御システムである。
【0062】
これにより、第12または第13の発明である照明装置を用いた照明制御システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、照明機器の外観を損ねず、照明機器の照明性能を確保し、かつ、信頼性の高い無線通信を実行する照明用モジュール、無線通信用モジュール、照明装置、および、照明制御システムを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0066】
<1.1:照明装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る照明装置100の概略構成図である。
【0067】
照明装置100は、
図1に示すように、照明用モジュール1と、無線通信用モジュール2と、電源部3とを備える。なお、電源部3は、照明用モジュール1に含まれるものであってもよい。
【0068】
照明用モジュール1は、第1回路部11と、第2回路部12とを備える。
【0069】
第1回路部11は、
図1に示すように、n個(n:自然数)の発光素子(例えば、発光ダイオード(LED))LE1〜LEnと、コイルL2と、コイルL3とを備える。以下では、説明便宜のために、一例として、発光素子が発光ダイオードであるものとして説明する。
【0070】
n個の発光ダイオードLE1〜LEnは、
図1に示すように、アノードが、直流電源供給端子であるVdc端子側となるように、直列に接続されている。
【0071】
コイルL2の一端は、
図1に示すように、発光ダイオードLEnのカソードに接続されおり、コイルL2の他端は、第2回路部12の第1コイルL1の一端および第1コンデンサC1の一端に接続されている。
【0072】
コイルL3の一端は、
図1に示すように、第2回路部12の第1コイルL1のb点側の端部および第2コンデンサC2のb点側の端部に接続されている。コイルL3の他端は、
図1に示すように、GND(GND用端子)に接続されている。
【0073】
第2回路部12は、
図1に示すように、第1コイルL1と、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC2とを備える。
【0074】
第1コイルL1のa点側の端部は、
図1に示すように、コイルL2の一端および第1コンデンサのa点側の端部に接続されている。第1コイルL1のb点側の端部は、
図1に示すように、コイルL3の一端および第2コンデンサのb点側の端部に接続されている。
【0075】
第1コンデンサC1は、
図1に示すように、一端(a点側の端部)がコイルL1のa点側の端部およびコイルL2の一端に接続されており、他端が無線通信用モジュール2との接続用端子T11と接続されている。
【0076】
第2コンデンサC2は、
図1に示すように、一端(b点側の端部)がコイルL1のb点側の端部およびコイルL3の一端に接続されており、他端が無線通信用モジュール2との接続用端子T12と接続されている。
【0077】
また、第1回路部11および第2回路部12は、
図1にA11で示した部分(導体パターン)が第1アンテナ部A11を形成し、
図1にA12で示した部分(導体パターン)が第2アンテナ部A12を形成するように、構成される。
【0078】
図2に、第1回路部11および第2回路部12における、第1アンテナ部A11、第2アンテナ部A12、コイルL2、コイルL3、第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2の物理構成の一例(概略構成例)を示す。
【0079】
第1アンテナ部A11は、照明用モジュール1において、電子部品を実装するためのプリント基板(不図示)上に、細長い矩形状の導体パターン(例えば、銅箔等の金属箔)を形成することで、構成される。第1アンテナ部A11は、例えば、
図2に示すように、長手方向の長さd1の細長い矩形状の導体パターンとして形成される。
【0080】
第2アンテナ部A12は、照明用モジュール1において、電子部品を実装するためのプリント基板(不図示)上に、細長い矩形状の導体パターン(例えば、銅箔等の金属箔)を形成することで、構成される。第2アンテナ部A12は、例えば、
図2に示すように、長手方向の長さd2の細長い矩形状の導体パターンとして形成される。
【0081】
照明用モジュール1において、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12を半波長ダイポールアンテナとして機能させる場合、第1アンテナ部A11の導体パターンの長手方向の長さd1と、第2アンテナ部A12の導体パターンの長手方向の長さd2は、以下の関係を満たすように決定されることが好ましい。
【0082】
すなわち、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12を半波長ダイポールアンテナとして機能させる場合、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンの周辺の物質(例えば、プリント基板を構成する物質)の比誘電率をεrとし、照明装置100においてアンテナ送受信しようとする電磁波の波長をλとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0/2
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンを形成することが好ましい。
【0083】
また、照明用モジュール1において、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12を全波長ダイポールアンテナとして機能させる場合、第1アンテナ部A11の導体パターンの長手方向の長さd1と、第2アンテナ部A12の導体パターンの長手方向の長さd2は、以下の関係を満たすように決定されることが好ましい。
【0084】
すなわち、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12を全波長ダイポールアンテナとして機能させる場合、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンの周辺の物質(例えば、プリント基板を構成する物質)の比誘電率をεrとし、照明装置100においてアンテナ送受信しようとする電磁波の波長をλとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンを形成することが好ましい。
【0085】
なお、第1アンテナ部A11の一端に接続される第1コイルL1および第1コンデンサC1は、プリント基板上の被覆されたパターンや導線(線材)を介して、第1アンテナ部A11の一端に接続されるものであってもよい。また、第1アンテナ部A11の他端に接続されるコイルL2は、プリント基板上の被覆されたパターンや導線(線材)を介して、第1アンテナ部A11の他端に接続されるものであってもよい。
【0086】
また、第2アンテナ部A12の一端に接続される第1コイルL1および第2コンデンサC2は、プリント基板上の被覆されたパターンや導線(線材)を介して、第2アンテナ部A12の一端に接続されるものであってもよい。また、第2アンテナ部A12の他端に接続されるコイルL3は、プリント基板上の被覆されたパターンや導線(線材)を介して、第2アンテナ部A12の他端に接続されるものであってもよい。
【0087】
無線通信用モジュール2は、
図1に示すように、マッチング部21と、RF部22と、通信制御部23とを備える。
【0088】
マッチング部21は、インピーダンス調整を行う回路(インピーダンス調整回路)等を備える。マッチング部21のインピーダンス調整回路は、照明用モジュール1と無線通信用モジュール2との接続用端子T11、T12を介して、照明用モジュール1の第2回路部12と接続され、インピーダンス調整を行う。照明用モジュール1を送受信アンテナとして機能させる場合、マッチング部21は、送信用インピーダンス調整回路と、受信用インピーダンス調整回路とを備えてもよい。なお、照明用モジュール1を送受信アンテナとして機能させる場合、マッチング部21は、送信用インピーダンス調整回路と、受信用インピーダンス調整回路とを共通化した回路を備えるものであってもよい。
【0089】
マッチング部21は、照明用モジュール1が受信アンテナとして機能している場合、インピーダンス調整後の信号をRF部22に出力する。一方、マッチング部21は、照明用モジュール1が送信アンテナとして機能している場合、RF部22からの信号を入力し、入力された信号に対してインピーダンス調整を行い、インピーダンス調整後の信号を、接続用端子T11、T12を介して、照明用モジュール1の第2回路部12に出力する。
【0090】
RF部22は、アンテナ送信処理部(例えば、アンテナ送信処理用回路)と、アンテナ受信処理部(例えば、アンテナ受信処理用回路)と、備える。RF部22は、通信制御部23からの指令信号(制御信号)を入力し、当該指令信号(制御信号)に基づいた処理を実行する。
【0091】
RF部22は、照明用モジュール1が受信アンテナとして機能している場合、アンテナ受信処理部(例えば、アンテナ受信処理用回路)を動作させ、マッチング部21から出力されるインピーダンス調整後の信号に対して、アンテナ受信処理(例えば、RF復調処理を含む処理)を実行する。そして、RF部22は、アンテナ受信処理(例えば、RF復調処理)により取得した信号(情報)を通信制御部23に出力する。
【0092】
一方、RF部22は、照明用モジュール1が送信アンテナとして機能している場合、アンテナ送信処理部(例えば、アンテナ送信処理用回路)を動作させる。例えば、通信制御部23から出力される信号(情報)をRF変調し、RF変調した信号をマッチング部21に出力する。
【0093】
通信制御部23は、無線通信用モジュール2の各機能部を制御する。通信制御部23は、例えば、マイクロプロセッサ等により実現される。通信制御部23は、RF部22と接続されており、RF部22に制御信号、RF変調させてアンテナ送信するための情報(信号)等を出力する。
【0094】
また、通信制御部23は、RF部22からの信号により、自装置以外の他の照明装置から電波が送信されている状態であることを検出した場合、混信、コリジョン発生等を防止するために、自装置のRF変調処理を停止させるための制御信号をRF部22に出力するようにしてもよい。
【0095】
また、通信制御部23は、RF部22からの信号に基づいて、電源制御信号Ctlを生成し、生成した電源制御信号Ctlを電源部3に出力する。
【0096】
なお、無線通信用モジュール2は、照明用モジュール1とコネクタ等により脱着可能に接続されるものであってもよい。また、無線通信用モジュール2は、電源部3とコネクタ等により脱着可能に接続されるものであってもよい。
【0097】
電源部3は、交流電源(不図示)に接続され、交流電流(あるいは交流電圧)を直流電流(あるいは直流電圧)に変換することで、外部に対して、定電圧源として機能する。電源部3は、無線通信用モジュール2に接続され、無線通信用モジュール2に対して、定電圧DC_Wを供給する直流電源として機能する。
【0098】
また、電源部3は、照明用モジュール1の直流電源供給端子であるVdc端子(およびGND端子)を介して、照明用モジュール1と接続され、照明用モジュール1に対して、電圧DC_Lを供給する直流電源として機能する。
【0099】
また、電源部3は、通信制御部23から出力される電源制御信号Ctlを入力する。電源部3は、電源制御信号Ctlに基づいて、照明用モジュール1に供給(出力)する電圧DC_Lの値を調整する。
【0100】
なお、電源部3は、照明用モジュール1とコネクタ等により脱着可能に接続されるものであってもよい。また、電源部3は、無線通信用モジュール2とコネクタ等により脱着可能に接続されるものであってもよい。
【0101】
<1.2:照明装置の動作>
以上のように構成された照明装置100の動作について、以下、説明する。
【0102】
なお、以下では、搬送波周波数fが920[MHz]である電磁波を送受信するためのアンテナとして、照明装置100を機能させる場合を、一例に、説明する。
【0103】
まず、第1回路部11のコイルL2およびコイルL3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2のインダクタンス値および容量値(キャパシタンス値)を、以下のように設定する。
【0104】
L1=L2=L3=100[μH]
C1=C2=10[μF]
なお、第1コイルL1、コイルL2、コイルL3のインダクタンス値を示す変数を、それぞれ、L1、L2、L3と表記する。
【0105】
また、第1コンデンサC1、第2コンデンサC3のキャパシタンス値を示す変数を、それぞれ、C1、C2と表記する。
【0106】
なお、上記インダクタンス値およびキャパシタンス値は、一例であり、上記の値に限定されない。
【0107】
上記のようにインダクタンス値およびキャパシタンス値を設定した場合、第1回路部11のコイルL2およびコイルL3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2の、周波数f=920[MHz]における誘導リアクタンスXLおよび容量リアクタンスXcは、以下の通りである。
【0108】
XL(L1)=XL(L2)=XL(L3)≒578[kΩ]
Xc(C1)=Xc(C2)≒0.0173[mΩ]
なお、第1コイルL1、コイルL2、コイルL3の誘導リアクタンスXLを、それぞれ、XL(L1)、XL(L2)、XL(L3)と表記する。
【0109】
また、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2の容量リアクタンスXcを、それぞれ、Xc(C1)、Xc(C2)と表記する。
【0110】
上記から分かるように、周波数f=920[MHz]において、誘導リアクタンスXLは、十分高いインピーダンスであり、容量リアクタンスXcは、十分低いインピーダンスである。
【0111】
一方、直流、すなわち、周波数f=0[Hz]において、誘導リアクタンスXLは、「0Ω」であり、容量リアクタンスXcは、無限大である。
【0112】
上記のように、第1回路部11のコイルL2およびコイルL3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2のインダクタンス値および容量値(キャパシタンス値)を、設定することで、照明装置100では、照明制御機能と、アンテナ機能との両方の機能を実現することができる。
【0113】
これについて、
図3〜
図6を用いて、説明する。
【0114】
まず、照明制御機能について説明する。
【0115】
図3は、照明用モジュール1に対して、接続用端子T11、T12間に、周波数f=920[MHz]の交流信号源を接続し、直流電源供給端子であるVdc端子とGND端子との間に電圧DC_Lを供給する直流電源とを接続した場合を示している。
【0116】
直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)に対して、誘導リアクタンスXLは、「0Ω」であり、容量リアクタンスXcは、無限大であるので、直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)について、
図3に示す回路は、
図4に示す回路と等価となる。
【0117】
つまり、
図4から分かるように、直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)に対して、照明装置100の照明用モジュール1は、照明制御機能を実現する回路を構成する。すなわち、
図4に示すように、Vdc端子とGND端子との間にかけられた電圧DC_Lにより、n個の発光素子LE1〜LEnに順方向バイアスがかかり、n個の発光素子LE1〜LEnが発光する。これにより、照明装置100では、照明制御機能を実現することができる。なお、Vdc端子とGND端子との間にかける電圧DC_Lの電圧値を調整することで、n個の発光素子LE1〜LEnの発光量を調整することができる。
【0118】
次に、アンテナ機能について説明する。
【0119】
L1=L2=L3=100[μH]
C1=C2=10[μF]
である場合、
XL(L1)=XL(L2)=XL(L3)≒578[kΩ]
Xc(C1)=Xc(C2)≒0.0173[mΩ]
であるので、周波数f=920[MHz]の信号に対して、第1コイルL1、コイルL2、および、コイルL3の誘導リアクタンスXLは、十分高いインピーダンス(約578[kΩ])であり、近似的に、電気的に接続されていない状態とみなすことができる。
【0120】
一方、周波数f=920[MHz]の信号に対して、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2の容量リアクタンスXcは、十分低いインピーダンス(約0.0173[mΩ])であり、近似的に、直結されている状態とみなすことができる。
【0121】
したがって、周波数f=920[MHz]の信号に対して、
図3に示す回路は、
図5に示す回路と近似的に等価とみなすことができる。つまり、この場合、
図3に示す回路は、
図6に示す回路と近似的に等価とみなすことができる。
図6から分かるように、周波数f=920[MHz]の信号に対して、照明装置100の照明用モジュール1は、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12をアンテナ素子とするダイポールアンテナと略同様の機能を実現することができる。
【0122】
このように、照明装置100の照明用モジュール1の回路は、直流成分の信号に対しては、照明制御機能を実現する回路として機能し、高周波成分の信号(例えば、周波数f=920[MHz]の信号)に対しては、アンテナ機能を実現する回路として機能する。
【0123】
次に、照明装置100の具体的動作について、一例を挙げて、以下、説明する。
【0124】
具体的には、照明装置100において、n個の発光素子LE1〜LEnの全てが消灯している状態(初期状態)において、
(1)外部から無線通信により、照明装置100の照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させるよう指示する情報を含む無線信号(電磁波)を、照明装置100が、受信し(アンテナ受信処理)、
(2)受信した無線信号に含まれる指示情報に従い、照明装置100が、照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させる制御を行い(照明制御処理)、
(3)照明装置100が、照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させた状態であることを示す情報と、当該状態における消費電力を示す情報とを無線信号(電磁波)により、照明装置100から外部へ送信する(アンテナ送信処理)、
場合について、照明装置100の具体的動作を、以下、説明する。
【0125】
なお、照明装置100の第1回路部11のコイルL2およびコイルL3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2のインダクタンス値およびキャパシタンス値は、
L1=L2=L3=100[μH]
C1=C2=10[μF]
に設定されており、アンテナ送受信する無線信号の搬送周波数は、920[MHz]であるものとする。
【0126】
(1.2.1:アンテナ受信処理)
照明装置100は、搬送周波数が920[MHz]であり、照明装置100の照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させるよう指示する情報を含む無線信号(当該情報を示す信号を、搬送周波数920[MHz]の搬送波信号を用いて変調した無線信号)を、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12により受信する。
【0127】
なお、照明装置100では、上記で説明したように、周波数が約920[MHz]の無線信号に対するアンテナ感度が高くなるように、第1アンテナ部A11の導体パターンの長手方向の長さd1と、第2アンテナ部A12の導体パターンの長手方向の長さd2とが設定されている。以下では、説明便宜のため、照明用モジュール1において、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12が、半波長ダイポールアンテナとして機能するものとする。
【0128】
つまり、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンの周辺の物質(例えば、プリント基板を構成する物質)の比誘電率をεrとし、照明装置100においてアンテナ送受信しようとする電磁波の波長(920[MHz]の電磁波に相当する波長)をλとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d1+d2=λ0/2
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンを形成されているものとする。
【0129】
第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12により受信された無線信号は、無線通信用モジュール2のマッチング部21に入力される。
【0130】
マッチング部21に入力された無線信号は、マッチング部21において、インピーダンス調整処理が実行され、インピーダンス調整処理後の信号が、RF部に出力される。
【0131】
RF部では、マッチング部21から出力された信号に対して、RF信号処理(例えば、RF復調処理等)が実行され、無線信号に含まれる情報(照明装置100の照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させるよう指示する情報)が取得される。
【0132】
RF部22により取得された情報は、通信制御部23に出力される。
【0133】
(1.2.2:照明制御処理)
通信制御部23では、RF部22から出力された情報(照明装置100の照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させるよう指示する情報)に基づいて、照明用モジュール1に電圧値DC_Lの直流電圧をかけるように制御するための制御信号Ctlを電源部3に出力する。
【0134】
電源部3は、無線通信用モジュール2の通信制御部23から出力される制御信号Ctlに基づいて、照明用モジュール1に電圧値DC_Lの直流電圧をかける。
【0135】
これにより、照明用モジュール1の直流電源供給端子であるVdc端子とGND端子との間に電圧値DC_Lの直流電圧がかかる。第1コイルL1、コイルL2、および、コイルL3は、直流成分に対するインピーダンス(誘導リアクタンス)は、0Ωであるので、Vdc端子とGND端子との間に電圧値DC_Lの直流電圧がかかることで、n個の発光素子LE1〜LEnに順方向バイアスがかかり、直流電流が流れ、n個の発光素子LE1〜LEnは、発光する。すなわち、照明装置100は、n個の発光素子LE1〜LEnを点灯させる。
【0136】
(1.2.3:アンテナ送信処理)
無線通信用モジュール2の通信制御部23は、上記照明制御処理を行うとともに、照明装置100が、照明用モジュール1のn個の発光素子LE1〜LEnを点灯させた状態であることを示す情報と、当該状態における消費電力を示す情報とを生成し、生成した情報をRF部22に出力する。
【0137】
RF部22では、通信制御部23から出力された情報を、搬送周波数920[MHz]の搬送波信号を用いてRF変調することで、通信制御部23から出力された情報を含む無線信号を生成する。そして、RF部22は、生成した無線信号をマッチング部21に出力する。
【0138】
マッチング部21では、RF部22から出力された無線信号に対して、インピーダンス調整処理を行い、インピーダンス調整後の無線信号を、照明用モジュール1の第2回路部12に出力する。
【0139】
照明用モジュール1の回路は、上記で説明したように、周波数920[MHz]の高周波信号に対しては、ダイポールアンテナとして機能する。したがって、無線通信用モジュール2から出力された無線信号は、照明用モジュール1の第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12により、電磁波(無線信号)として、外部に放射される。
【0140】
以上のように、照明装置100では、照明用モジュール1の回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能し、(2)高周波成分の信号に対しては、ダイポールアンテナを構成する回路として機能する。つまり、照明装置100では、1つの回路で、照明用の回路と、無線通信のためのアンテナ用の回路との両方を実現することができる。
【0141】
したがって、照明装置100では、無線通信機能を実現させるために、従来のように、照明装置の外部に大きなアンテナを設置する必要がないので、照明機器の外観を損ねることがない。また、内部が空洞の細長い照明用管内に、照明用モジュール1を設置する場合、n個の発光素子を、当該照明用管の長手方向に配置するとともに、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンを形成する領域を容易に確保することができ、さらに、アンテナ感度が良好となる領域(例えば、照明用管の長手方向の略中央部)に、第1アンテナ部A11および第2アンテナ部A12の導体パターンを形成させることも容易となる。
【0142】
このように、照明装置100では、照明機器の外観を損ねず、照明機器の照明性能を確保し、かつ、信頼性の高い無線通信を実行することができる。
【0143】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、説明する。
【0144】
なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0145】
図7は、第2実施形態の照明装置200の概略構成図である。
【0146】
第2実施形態の照明装置200は、
図7に示すように、第1実施形態の照明装置100において、照明用モジュール1を、照明用モジュール1Aに置換した構成を有している。
【0147】
照明用モジュール1Aは、
図7に示すように、第1実施形態の照明用モジュール1において、第1回路部11を、第1回路部11Aに置換した構成を有している。
【0148】
第1回路部11Aにおいて、
図7に示すように、直流電源供給端子であるVdc端子と、
図7のc点との間にコイルL4が設置されており、
図7のc点とd点の間に、コンデンサC3が設置されている。また、第1回路部11Aにおいて、
図7のd点とGND端子との間に、コイルL5が設置されている。
【0149】
以上のように構成された照明装置200の照明用モジュール1Aの回路は、直流成分の信号に対しては、n個の発光素子LE1〜LEnを点灯させる回路として機能し、高周波成分の信号に対しては、ループアンテナを構成する回路として機能する。
【0150】
なお、一例として、照明装置200の第1回路部11AのコイルL4、コイルL5、コンデンサC3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2のインダクタンス値およびキャパシタンス値は、
L1=L4=L5=100[μH]
C1=C2=C3=10[μF]
に設定されており、アンテナ送受信する無線信号の搬送周波数は、920[MHz]であるものとする。
【0151】
上記のようにインダクタンス値およびキャパシタンス値を設定した場合、第1回路部11AのコイルL4およびコイルL5、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2の、周波数f=920[MHz]における誘導リアクタンスXLおよび容量リアクタンスXcは、以下の通りである。
【0152】
XL(L1)=XL(L4)=XL(L5)≒578[kΩ]
Xc(C1)=Xc(C2)=Xc(C3)≒0.0173[mΩ]
なお、第1コイルL1、コイルL4、コイルL5の誘導リアクタンスXLを、それぞれ、XL(L1)、XL(L4)、XL(L5)と表記する。
【0153】
また、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、コンデンサC3の容量リアクタンスXcを、それぞれ、Xc(C1)、Xc(C2)、Xc(C3)と表記する。
【0154】
上記から分かるように、周波数f=920[MHz]において、誘導リアクタンスXLは、十分高いインピーダンスであり、容量リアクタンスXcは、十分低いインピーダンスである。
【0155】
一方、直流、すなわち、周波数f=0[Hz]において、誘導リアクタンスXLは、「0Ω」であり、容量リアクタンスXcは、無限大である。
【0156】
上記のように、第1回路部11AのコイルL4、コイルL5、コンデンサC3、第2回路部12の第1コイルL1、第1コンデンサC1、および、第2コンデンサC2のインダクタンス値および容量値(キャパシタンス値)を、設定することで、照明装置200では、照明制御機能と、アンテナ機能との両方の機能を実現することができる。
【0157】
これについて、
図8〜
図10を用いて、説明する。
【0158】
まず、照明制御機能について説明する。
【0159】
図8は、照明用モジュール1Aに対して、接続用端子T11、T12間に、周波数f=920[MHz]の交流信号源を接続し、直流電源供給端子であるVdc端子とGND端子との間に電圧DC_Lを供給する直流電源とを接続した場合を示している。
【0160】
直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)に対して、誘導リアクタンスXLは、「0Ω」であり、容量リアクタンスXcは、無限大であるので、直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)について、
図8に示す回路は、
図9に示す回路と等価となる。
【0161】
つまり、
図9から分かるように、直流成分の信号(周波数f=0[Hz]の信号)に対して、照明装置200の照明用モジュール1Aは、照明制御機能を実現する回路を構成する。すなわち、
図9に示すように、Vdc端子とGND端子との間にかけられた電圧DC_Lにより、n個の発光素子LE1〜LEnに順方向バイアスがかかり、n個の発光素子LE1〜LEnが発光する。これにより、照明装置200では、照明制御機能を実現することができる。なお、Vdc端子とGND端子との間にかける電圧DC_Lの電圧値を調整することで、n個の発光素子LE1〜LEnの発光量を調整することができる。
【0162】
次に、アンテナ機能について説明する。
【0163】
L1=L4=L5=100[μH]
C1=C2=C3=10[μF]
である場合、
XL(L1)=XL(L4)=XL(L5)≒578[kΩ]
Xc(C1)=Xc(C2)=Xc(C3)≒0.0173[mΩ]
であるので、周波数f=920[MHz]の信号に対して、第1コイルL1、コイルL4、および、コイルL5の誘導リアクタンスXLは、十分高いインピーダンス(約578[kΩ])であり、近似的に、電気的に接続されていない状態とみなすことができる。
【0164】
一方、周波数f=920[MHz]の信号に対して、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、および、コンデンサC3の容量リアクタンスXcは、十分低いインピーダンス(約0.0173[mΩ])であり、近似的に、直結されている状態とみなすことができる。
【0165】
したがって、周波数f=920[MHz]の信号に対して、
図8に示す回路は、
図10に示す回路と近似的に等価とみなすことができる。つまり、この場合、
図8に示す回路は、
図10から分かるように、点b、点d、点c、点aにより形成されるパスが、ループアンテナを構成する。このループアンテナを構成する部分について、例えば、照明用モジュール1Aのプリント基板上に導体パターン(例えば、銅箔等の金属箔)を形成させることで、ループアンテナを構成させるようにすることが好ましい。
【0166】
また、点b、点d、点c、点aにより形成されるループアンテナのパスの長さをd3とし、照明装置200で送受信する無線信号(電磁波)の波長をλとし、照明用モジュール1Aのループアンテナを構成する導体パターンの周辺の物質(例えば、プリント基板を構成する物質)の比誘電率をεrとすると、
λ0=λ/sqrt(εr)
d3=λ0
sqrt(x):xの平方根を取得する関数
を満たすように、照明装置200において、ループアンテナを構成する導体パターンを形成するのが好ましい。
【0167】
このように構成することで、周波数f=920[MHz]の信号に対して、照明装置200の照明用モジュール1Aは、点b、点d、点c、点aにより形成されるパスをアンテナ素子とするループアンテナと略同様の機能を実現することができる。
【0168】
このように、照明装置200の照明用モジュール1Aの回路は、直流成分の信号に対しては、照明制御機能を実現する回路として機能し、高周波成分の信号(例えば、周波数f=920[MHz]の信号)に対しては、アンテナ機能を実現する回路として機能する。
【0169】
なお、照明装置200Aの具体的な動作は、第1実施形態の照明装置100と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0170】
以上のように、照明装置200では、照明用モジュール1の回路が、(1)直流成分の信号に対して、発光素子を点灯させる回路として機能し、(2)高周波成分の信号に対しては、ループアンテナを構成する回路として機能する。つまり、照明装置200では、1つの回路で、照明用の回路と、無線通信のためのアンテナ用の回路との両方を実現することができる。
【0171】
したがって、照明装置200では、無線通信機能を実現させるために、従来のように、照明装置の外部に大きなアンテナを設置する必要がないので、照明機器の外観を損ねることがない。また、内部が空洞の細長い照明用管内に、照明用モジュール1Aを設置する場合、n個の発光素子を、当該照明用管の長手方向に配置するとともに、ループアンテナの導体パターン(の一部)を形成する領域を容易に確保することができ、さらに、アンテナ感度が良好となる領域(例えば、照明用管の長手方向の略中央部)に、ループアンテナの導体パターン(の一部)を形成させることも容易となる。
【0172】
このように、照明装置200では、照明機器の外観を損ねず、照明機器の照明性能を確保し、かつ、信頼性の高い無線通信を実行することができる。
【0173】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、説明する。
【0174】
なお、本実施形態において、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0175】
図11は、第3実施形態に係る照明制御システム3000の概略構成図である。
【0176】
照明制御システム3000は、
図11に示すように、ネットワークN1(有線ネットワークN1)に接続されたマスター装置M1と、第1スレーブ装置S1と、第2スレーブ装置S2と、第3スレーブ装置S3とを備える。ネットワークN1は、例えば、専用線による有線ネットワークや、電力線に信号を変調して重畳させて通信するネットワーク(例えば、電力線搬送通信ネットワーク(PLCネットワーク))等である。
【0177】
また、照明制御システム3000は、
図11に示すように、第1スレーブ装置S1に無線通信ネットワークW1により接続される脱着式無線通信用モジュールWM11と、脱着式無線通信用モジュールWM12に接続されている照明用モジュールLM12とを備える。
【0178】
また、照明制御システム3000は、
図11に示すように、第2スレーブ装置S2に無線通信ネットワークW2により接続される脱着式無線通信用モジュールWM21と、脱着式無線通信用モジュールWM22に接続されている照明用モジュールLM22とを備える。
【0179】
また、照明制御システム3000は、
図11に示すように、第3スレーブ装置S3に無線通信ネットワークW3により接続される照度センサSS31と、人感センサSS32とを備える。
【0180】
なお、
図11の場合、照明制御システム3000は、1つのマスター装置と、3つのスレーブ装置とを備えているが、照明制御システム3000は、この構成に限定されることはなく、複数のマスター装置と、複数のスレーブ装置とを備えるものであってもよい。
【0181】
脱着式無線通信用モジュールWM11、WM12、WM21、WM22は、上記実施形態で説明した無線通信用モジュール2と同様のものであり、コネクタ等により、照明用モジュールと脱着可能である。
【0182】
照明用モジュールLM11、LM12、LM21、LM22は、上記実施形態で説明した照明用モジュール1または1Aと同様のものである。なお、電源部3については、図示を省略している。
【0183】
例えば、照明制御システム3000において、照度センサSS31により検出されている照度が低い(暗い)状態であり、人感センサSS32により、人を検知し、消灯している照明用モジュールLM11の複数の発光素子を点灯させる場合の制御について、以下、説明する。
【0184】
まず、照度センサSS31は、照度センサSS31により検出されている照度が低い(暗い)ことを示す情報を含む信号を、無線通信ネットワークW3を介して、第3スレーブ装置S3に送信する。
【0185】
第3スレーブ装置S3は、無線通信ネットワークW3を介して、照度センサSS31から取得した情報を含む信号を、有線ネットワークN1を介して、マスター装置M1に送信する。
【0186】
マスター装置M1は、第3スレーブ装置S3から、有線ネットワークN1を介して受信した照度センサSS31が検知した照度についての情報を取得し、当該情報を保持する。
【0187】
次に、人感センサSS32が、人を検知すると、人感センサSS32は、人を感知したことを示す情報を含む信号を、無線通信ネットワークW3を介して、第3スレーブ装置S3に送信する。
【0188】
第3スレーブ装置S3は、人感センサSS32から、無線通信ネットワークW3を介して受信した情報(人を検知したことを示す情報)を、有線ネットワークN1を介して、マスター装置M1に送信する。
【0189】
マスター装置M1は、第3スレーブ装置S3から、有線ネットワークN1を介して受信した信号により、人感センサSS32により、人が検知されたという情報を取得する。そして、マスター装置M1は、照明用モジュールLM11の複数の発光素子の点灯を指示する信号を、有線ネットワークN1を介して、第1スレーブ装置S1に送信する。
【0190】
第1スレーブ装置S1は、マスター装置M1から、有線ネットワークN1を介して送信された信号を受信し、受信した信号を、無線通信ネットワークW1を介して、脱着式無線通信用モジュールWM11に送信する。
【0191】
脱着式無線通信用モジュールWM11は、第1スレーブ装置S1からの信号を、無線通信ネットワークW1を介して受信する。具体的には、第1スレーブ装置S1からの無線信号を、照明用モジュールLM11の回路を受信アンテナとして動作させることで、受信する。そして、受信した信号に対して、脱着式無線通信用モジュールWM11のマッチング部21(または21A)、および、RF部22(または22A)による処理を実行する。これにより、脱着式無線通信用モジュールWM11の通信制御部23(または23A)は、照明用モジュールLM11の複数の発光素子の点灯を指示する信号を取得する。そして、通信制御部23(または23A)は、電源部3が、照明用モジュール1に供給する電圧を、照明用モジュール1の発光素子LE1〜LEnを点灯させることができる所定の電圧(所定の調光率を実現するための電圧)とするよう指示する制御信号Ctlを、電源部3に出力する。
【0192】
これにより、照明用モジュールLM11の複数の発光素子が点灯する。
【0193】
なお、脱着式無線通信用モジュールWM11の通信制御部23(または23A)は、照明用モジュールLM11の複数の発光素子が点灯することで消費される電力の情報を含む信号を、照明用モジュールLM11の回路を送信アンテナとして動作させることで、無線通信ネットワークW1を介して、第1スレーブ装置S1に送信されるように、制御するようにしてもよい。
【0194】
この場合、第1スレーブ装置S1は、脱着式無線通信用モジュールWM11から送信された信号を受信し、受信した信号を、有線ネットワークN1を介して、マスター装置M1へ送信する。
【0195】
そして、マスター装置M1は、第1スレーブ装置S1から、有線ネットワークN1を介して受信した信号より、照明用モジュールLM11が点灯していることで消費されている電力量を把握することができる。
【0196】
照明制御システム3000では、このような処理を行うことで、各スレーブ装置から取得した電力消費量を把握し、省エネを実現させるために、不要な点灯を消灯させる等の制御を行うこともできる。
【0197】
さらに、
図11に示すように、マスター装置M1を、ネットワークN2を介して、ホストシステムH1に接続するようにし、マスター装置M1で収集した情報を、ホストシステムH1に送信するようにしてもよい。ホストシステムH1では、収集した情報に基づいて、マスター装置M1に対して、所定の制御を行うように指示するようにしてもよい。
【0198】
なお、上記では、照明制御システム3000での通信方式の詳細については、説明しなかったが、通信方式としては、例えば、特開2011−233995号に開示されている通信方式を採用するようにしてもよい。
【0199】
また、上記では、脱着式無線通信用モジュールおよび照明用モジュールは、スレーブ装置とのみ無線通信する場合について、説明したが、これに限定されることはなく、脱着式無線通信用モジュールおよび照明用モジュール同士で、無線通信するようにしてもよい。この場合、無線マルチホップ通信方式により、無線通信を行うようにしてもよい。
【0200】
以上のように、照明制御システム3000では、第1〜第2実施形態の照明装置100、200に相当する、脱着式無線通信用モジュールおよび照明用モジュールを用いて、照明制御システムを構成することができる。照明制御システム3000では、スレーブ装置のみが有線ネットワークおよび無線通信ネットワークの両方の通信機能を備えていればよく、脱着式無線通信用モジュールおよび照明用モジュールは、無線通信機能のみを備えていればよい。これにより、照明制御システム3000では、システムを構築するときにトータルコストを安くすることができる。
【0201】
さらに、無線通信用モジュールは、照明用モジュールに脱着可能であるので、照明用モジュールのコストを安くすることができる。そして、無線通信機能を付加したい照明用モジュールに対してのみ、脱着可能な無線通信用モジュールを装填すればよいので、柔軟、かつ、高い拡張性を有する照明制御システム3000を、容易に構築することができる。
【0202】
[他の実施形態]
上記実施形態では、コイル、コンデンサを1つの素子として、説明しているが、例えば、1つのコイルを、直列接続した複数のコイル、または、並列接続した複数のコイルで実現するようにしてもよい。また、例えば、1つのコンデンサを、直列接続した複数のコンデンサ、または、並列接続した複数のコンデンサで実現するようにしてもよい。
【0203】
また、上記実施形態では、コイルのインダクタンス値、コンデンサのキャパシタンス値、無線信号の周波数、波長等は、一例を挙げているだけであり、所定の許容範囲や誤差範囲を含むように、その値を設定するようにしてもよい。
【0204】
また、上記実施形態では、照明装置100、200において、照明用モジュール1、1Aに設置されている全ての発光素子LE1〜LEnを直列接続して構成する場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、一部の発光素子を、直流電源と並列に接続するようにしてもよい。
【0205】
また、発光素子間を接続するパターンは、上記実施形態に限定されることはなく、他の接続パターンにより発光素子間を接続するようにしてもよい。
【0206】
特に、第2実施形態の照明装置200において、ループアンテナ長を調整するために、例えば、
図12に示すような接続パターンにより、隣接する発光素子を接続するようにしてもよい。
【0207】
また、上記実施形態の照明装置100、200において、所望のアンテナ特性を得ることが困難である場合、コイル、コンデンサ等の電子部品を追加し、所望のアンテナ特性を実現するようにしてもよい。
【0208】
例えば、第2実施形態において、高周波信号が、発光素子を通過することで、所望のアンテナ特性が得られない場合、例えば、
図13に示すように、照明装置100、200の全部または一部の発光素子に、並列にコンデンサを挿入し、所望のアンテナ特性に近づくように調整するようにしてもよい。
【0209】
また、上記実施形態において、構成部材のうち、上記実施形態に必要な主要部材のみを簡略化して示している。したがって、上記実施形態において明示されなかった任意の構成部材を備えうる。また、上記実施形態および図面において、各部材の寸法は、必ずしも実際の寸法および寸法比率等を忠実に表しているわけではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で寸法や寸法比率等の変更は可能である。
【0210】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。