【解決手段】医療用流体加温装置1は、加温装置本体2と、加温装置本体2の発熱体5により医療用流体を加温するための加温バッグ10と、を備えており、加温バッグ10は、樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとが貼り合わされた第一シート部11と、樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとが貼り合わされた第二シート部12と、により内部に医療用流体の流路βが形成されている。そして、金属フィルム11b又は金属フィルム12bが発熱体5に接触するように、加温バッグ10が加温装置本体2に収容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような発熱体と加温バッグで流体を加温する装置において、その加温効率を高めるためには、発熱体と加温バッグとの接触面積をできるだけ大きくし、また、加温バッグ自体の熱抵抗を小さくすることが必要である。しかしながら、上述の加温装置および加温バッグにおいては以下のような問題があった。
【0006】
すなわち、加温バッグを熱溶着で貼り合わせると、バッグ表面に凹凸が生じるため、発熱体との間に空気層が形成されて実効的な接触面積が低下する。このような空気層を少なくするためには、一定値以上の圧力を加えて加温バッグと発熱体との密着性を上げる方法が考えられる。しかしながら、加温バッグの内圧は輸血回路や輸液回路に流れる流体の流速等で変化するため、高い圧力を保って密着性を維持することは困難である。
【0007】
また、加温バッグを構成するシートをできるだけ薄くすれば、比較的低い圧力でも密着性を高めることができ、また、熱抵抗を小さくすることができる。しかしながら、塩化ビニル等の生体適合性を有する実用的な材料においては、耐久性の問題で限界がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、流体の加温効率が高い加温容器及び医療用流体加温装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加温容器は、医療用流体加温装置の発熱体により医療用流体を加温するための加温容器であって、金属フィルムと樹脂フィルムとが貼り合わされたラミネートシート部を備え、ラミネートシート部は、加温容器の内側に樹脂フィルムが配置され、加温容器の外側に金属フィルムが配置されている。
【0010】
本発明に係る加温容器によれば、樹脂フィルムと金属フィルムとが貼り合わされたラミネートシート部を備えるとともに、当該ラミネートシート部において、加温容器の内側に樹脂フィルムが配置されているとともに、加温容器の外側に金属フィルムが配置されているため、加温容器としての生体適合性を満たしつつ、発熱体から伝熱される熱の熱抵抗を小さくすることができる。これにより、ラミネートシート部の金属フィルムを発熱体に接触させることで、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0011】
この場合、第一シート部と、第一シート部に部分的に貼り合わされた第二シート部と、を備えており、第一シート部及び第二シート部の少なくとも一方に、ラミネートシート部が形成されており、第一シート部と第二シート部とが貼り合わされたシール部により医療用流体の流路が形成されていることが好ましい。このように、第一シート部と第二シート部とを貼り合わせることで、医療用流体の流路を容易に形成することができる。そして、第一シート部及び第二シート部の少なくとも一方にラミネートシート部が形成されているため、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0012】
また、医療用流体の流路となる窪みが形成された樹脂パネルを備え、ラミネートシート部は、樹脂パネルに部分的に貼り合わされて窪みを覆っていることが好ましい。このように、ラミネートシート部が樹脂パネルに貼り合わされて医療用流体の流路となる窪みが覆われているため、医療用流体の流路を確実に確保しつつ、医療用流体の加温効果を高めることができる。
【0013】
本発明に係る医療用流体加温装置は、上記の何れかの加温容器と、加温容器を加温する発熱体と、を備え、金属フィルムが発熱体に接触する。
【0014】
本発明に係る医療用加温装置によれば、上記の加温容器の金属フィルムが発熱体に接触するため、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0015】
この場合、発熱体は、複数のフィンを有しており、加温容器は、複数のフィンの間に挿入されていることが好ましい。このように、加温バッグ部が複数のフィンの間に挿入されることで、加温バッグ部が表裏面において発熱体のフィンと当接するため、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流体の加温効率を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る加温バッグ及び医療用流体加温装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下左右等の方向は、図面における方向、つまり、医療用流体加温装置を設置した際の方向をいう。また、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0019】
本実施形態に係る医療用流体加温装置は、透析治療等に用いる薬液や血液等の医療用流体を加温する装置である。医療用流体加温装置は、透析装置等の医療装置に組み込まれて用いられる場合や、単体で用いられる場合がある。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係る医療用流体加温装置を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る医療用流体加温装置1は、加温装置本体2と、加温バッグ10と、を備えている。
【0021】
加温装置本体2は、収容部3と、蓋部4と、を備えている。
【0022】
収容部3は、内部に加温バッグ10を収容する収容空間αが形成されており、収容部3の収容空間αに、加温バッグ10を加温する発熱体5が取り付けられている。発熱体5の発熱構造は、特に限定されるものではないが、例えば、通電により発熱する構造とすることができる。発熱体5の形状は、特に限定されるものではないが、加温バッグ10を効率的に加温する観点から、平板状とすることができる。
【0023】
蓋部4は、収容部3の収容空間αを覆うように、収容部3に対して開閉可能に取り付けられており、収容空間αを覆う面に、加温バッグ10を加温する発熱体6が取り付けられている。発熱体6の発熱構造は、特に限定されるものではないが、例えば、通電により発熱する構造とすることができる。発熱体6の形状は、特に限定されるものではないが、加温バッグ10を効率的に加温する観点から、平板状とすることができる。収容部3に対する蓋部4の取り付けは、特に限定されるものではないが、例えば、ヒンジにより取り付けることができる。
【0024】
そして、加温装置本体2は、蓋部4を閉めた際に、蓋部4が収容空間αに収容された加温バッグ10を発熱体5側に押圧するように構成されている。また、加温装置本体2は、収容部3及び蓋部4の少なくとも一方に、蓋部4を閉じた状態で保持するロック機構(不図示)が取り付けられている。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る加温バッグを示す正面図である。
図3は、第1の実施形態に係る加温バッグを示す断面図である。
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係る加温バッグ10は、表裏一対の第一シート部11及び第二シート部12が部分的に貼り合わされることにより、内部に医療用流体の流路βが形成されたバッグである。
【0026】
第一シート部11は、流路β側に配置される樹脂フィルム11aと、加温バッグ10の外側に配置される金属フィルム11bと、の二層構造となっている。
【0027】
樹脂フィルム11aは、樹脂により薄いシート状に形成されている。樹脂フィルム11aは、流路βを流れる医療用流体に触れることから、耐薬品性や生体適合性を有する樹脂で形成されることが好ましい。樹脂フィルム11aを形成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。樹脂フィルム11aの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、50μm以上200μm以下とすることができる。
【0028】
金属フィルム11bは、金属により薄いシート状に形成されている。金属フィルム11bは、熱抵抗の小さい金属で形成されることが好ましい。金属フィルム11bを形成する金属としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。金属フィルム11bの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、20μm以上100μm以下とすることができる。
【0029】
第一シート部11は、このような樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとが貼り合わされる(ラミネートされる)ことにより、1枚のシート状に形成されている。このため、第一シート部11は、ラミネート部ともいう。樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとの貼り合わせは、特に限定されるものではないが、例えば、一般的なラミネート加工のように、樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとの間に接着剤や粘着剤を塗布して樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとを貼り合わせることにより行うことができる。第一シート部11の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、100μm以上300μm以下とすることができる。
【0030】
第二シート部12は、流路β側に配置される樹脂フィルム12aと、加温バッグ10の外側に配置される金属フィルム12bと、の二層構造となっている。
【0031】
樹脂フィルム12aは、樹脂により薄いシート状に形成されている。樹脂フィルム12aは、流路βを流れる医療用流体に触れることから、耐薬品性や生体適合性を有する樹脂で形成されることが好ましい。樹脂フィルム12aを形成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。樹脂フィルム12aの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、50μm以上200μm以下とすることができる。
【0032】
金属フィルム12bは、金属により薄いシート状に形成されている。金属フィルム12bは、熱抵抗の小さい金属で形成されることが好ましい。金属フィルム12bを形成する金属としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。金属フィルム12bの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、20μm以上100μm以下とすることができる。
【0033】
第二シート部12は、このような樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとが貼り合わされる(ラミネートされる)ことにより構成されている。このため、第二シート部12は、ラミネート部ともいう。樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとの貼り合わせは、特に限定されるものではないが、例えば、一般的なラミネート加工のように、樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとの間に接着剤や粘着剤を塗布して樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとを貼り合わせることにより行うことができる。第二シート部12の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、100μm以上300μm以下とすることができる。
【0034】
そして、加温バッグ10は、第一シート部11と第二シート部12とが重ね合わされた状態で、第一シート部11の樹脂フィルム11aと第二シート部12の樹脂フィルム12aとが部分的に貼り合わされて(シールされて)いる。樹脂フィルム11aと樹脂フィルム12aとの貼り合わせは、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートシール(熱溶着)により行うことができる。
【0035】
第一シート部11と第二シート部12との貼り合わせ箇所であるシール部13は、重ね合わされた第一シート部11と第二シート部12の周端部に位置する周端シール部13aと、加温バッグ10の対向する側辺から水平方向に交互に延びる仕切シール部13bと、により構成されている。そして、このようなシール部13により、加温バッグ10の内部に、加温バッグ10の下方から上方に向けて加温バッグ10の左右辺を往復するように蛇行する流路βが形成されている。なお、加温バッグ10の下端部には、流路βに医療用流体を流入させる流入口14が形成され、加温バッグ10の上端部には、流路βから医療用流体を流出させる流出口15が形成されている。
【0036】
図4は、医療用流体加温装置に第1の実施形態に係る加温バッグが挿入された状態を示す断面図である。
図4に示すように、加温装置本体2に加温バッグ10を収容する際は、第一シート部11の金属フィルム11bが発熱体5に接触するように、加温バッグ10を収容部3の収容空間αに収容する。このとき、第一シート部11の金属フィルム11bが発熱体5に接触するように、収容部3に、加温バッグ10の位置決めを行う位置決め部を形成することができる。なお、
図4では、第一シート部11の金属フィルム11bが発熱体5に接触されている場合を示しているが、発熱体5に接触させるのは、第一シート部11の金属フィルム11bと第二シート部12の金属フィルム12bの何れであってもよい。
【0037】
そして、収容部3の収容空間αを蓋部4により閉じることにより、発熱体6を第二シート部12の金属フィルム12bに接触させるとともに、第一シート部11の金属フィルム11bを発熱体5側に押圧する。これにより、医療用流体加温装置1は、加温バッグ10が収容部3の収容空間αに収容されるとともに、加温バッグ10における第一シート部11の金属フィルム11b及び第二シート部12の金属フィルム12bが発熱体5及び発熱体6に密着する。
【0038】
そして、発熱体5及び発熱体6を発熱させるとともに、加温バッグ10の流路βに医療用流体を流通させることで、発熱体5及び発熱体6で発生された熱が、加温バッグ10の金属フィルム11b及び金属フィルム12bから加温バッグ10に伝達されて、流路βを流通する医療用流体が加温される。
【0039】
このように、本実施形態によれば、樹脂フィルム11aと金属フィルム11bとが貼り合わされたラミネートシート部である第一シート部11及び樹脂フィルム12aと金属フィルム12bとが貼り合わされたラミネートシート部である第二シート部12を備える。そして、第一シート部11及び第二シート部12において、加温バッグ10の内側に樹脂フィルム11a及び樹脂フィルム12aが配置されるとともに、加温バッグ10の外側に金属フィルム11b及び金属フィルム12bが配置されているため、加温バッグ10としての生体適合性を満たしつつ、発熱体5及び発熱体6から伝熱される熱の熱抵抗を小さくすることができる。これにより、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様であり、加温バッグの構成と蓋部4に発熱体6が取り付けられていない点のみ第1の実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第1の実施形態と相違する事項のみを説明し、第1の実施形態と同様の説明を省略する。
【0041】
図5は、第2の実施形態に係る加温バッグを示す断面図である。
図5に示すように、第2の実施形態に係る加温バッグ20は、第1の実施形態と同様の第一シート部11と、第1の実施形態の第二シート部12に対応する第二シート部22と、を備えている。
【0042】
第二シート部22は、樹脂シートの単層構造となっている。第二シート部22は、第1の実施形態の第二シート部12の樹脂フィルム12aと同様に、樹脂により薄いシート状に形成されている。第二シート部22は、流路βを流れる医療用流体に触れることから、耐薬品性や生体適合性を有する樹脂で形成されることが好ましい。第二シート部22を形成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。第二シート部22の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、100μm以上500μm以下とすることができる。
【0043】
図6は、医療用流体加温装置に第2の実施形態に係る加温バッグが挿入された状態を示す断面図である。
図6に示すように、加温装置本体2に加温バッグ20を収容する際は、第一シート部11の金属フィルム11bが発熱体5側に配置されるように、加温バッグ20を収容部3の収容空間αに収容する。
【0044】
そして、収容部3の収容空間αを蓋部4により閉じて、第一シート部11の金属フィルム11bを発熱体5側に押圧する。
【0045】
これにより、医療用流体加温装置1は、加温バッグ20が収容部3の収容空間αに収容されるとともに、加温バッグ20における第一シート部11の金属フィルム11bが発熱体5に密着する。そして、発熱体5を発熱させるとともに、加温バッグ20の流路βに医療用流体を流通させることで、発熱体5で発生された熱が、加温バッグ20の金属フィルム11bから加温バッグ20に伝達されて、流路βを流通する医療用流体に伝達される。
【0046】
このように、ラミネートシート部が加温バッグの一面側にしか配置されていなくても、当該金属フィルムが発熱体5側に配置することで、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様であり、加温バッグの構成と蓋部4に発熱体6が取り付けられていない点のみ第1の実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第1の実施形態と相違する事項のみを説明し、第1の実施形態と同様の説明を省略する。
【0048】
図7は、第3の実施形態に係る加温バッグを示す正面図である。
図8は、第3の実施形態に係る加温バッグを示す断面図である。
図7及び
図8に示すように、本実施形態に係る加温バッグ30は、樹脂パネル31とシート部32とが部分的に貼り合わされる(シールされる)ことにより、内部に医療用流体の流路βが形成されたバッグである。
【0049】
樹脂パネル31は、医療用流体の流路βとなる窪みが形成された樹脂製のパネルである。樹脂パネル31は、平面状の平面部31aと、流路βに沿って平面部31aから窪む窪み部31bと、を備えている。流路βは、樹脂パネル31の下方から上方に向けて、樹脂パネル31の左右辺を往復するように蛇行する形状になっている。流路βの断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、半円状断面とすることができる。樹脂パネル31の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂の射出成型により製造することができる。
【0050】
樹脂パネル31は、流路βを流れる医療用流体に触れることから、耐薬品性や生体適合性を有する樹脂で形成されることが好ましい。また、樹脂パネル31は、それ自体で流路βを形成することから、流路βの形状保持性を確保できる樹脂で形成されることが好ましい。樹脂パネル31を形成する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。樹脂パネル31の肉厚は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5mm以上1.0mm以下とすることができる。
【0051】
シート部32は、第1の実施形態の第一シート部11又は第二シート部12と同様に、流路β側に配置される樹脂フィルム32aと、加温バッグ30の外側に配置される金属フィルム32bと、の二層構造である。シート部32は、樹脂フィルム32aと金属フィルム32bとが貼り合わされる(ラミネートされる)ことにより、1枚のシート状に形成されている。このため、シート部32は、ラミネート部ともいう。なお、樹脂フィルム32a及び金属フィルム32bは、第1の実施形態の樹脂フィルム11a及び金属フィルム11b又は樹脂フィルム12a及び金属フィルム12bと同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
そして、加温バッグ30は、樹脂パネル31とシート部32とが重ね合わされた状態で、樹脂パネル31の平面部31aとシート部32の樹脂フィルム32aとが貼り合わされている。これにより、樹脂パネル31の窪み部31bがシート部32に覆われて、加温バッグ30の内部に、蛇行する流路βが形成されている。平面部31aと樹脂フィルム32aとの貼り合わせは、特に限定されるものではないが、例えば、ヒートシール(熱溶着)により行うことができる。なお、加温バッグ30の下端部には、流路βに医療用流体を流入させる流入口34が形成され、加温バッグ30の上端部には、流路βから医療用流体を流出させる流出口35が形成されている。
【0053】
図9は、医療用流体加温装置に第3の実施形態に係る加温バッグが挿入された状態を示す断面図である。
図9に示すように、加温装置本体2に加温バッグ30を収容する際は、シート部32の金属フィルム32bが発熱体5側に配置されるように、加温バッグ30を収容部3の収容空間αに収容する。このとき、シート部32の金属フィルム32bが発熱体5に接触するように、収容部3に、加温バッグ30の位置決めを行う位置決め部を形成することができる。
【0054】
そして、収容部3の収容空間αを蓋部4により閉じて、シート部32の金属フィルム32bを発熱体5側に押圧する。これにより、医療用流体加温装置1は、加温バッグ30が収容部3の収容空間αに収容されるとともに、加温バッグ30におけるシート部32の金属フィルム32bが発熱体5に密着する。
【0055】
そして、発熱体5を発熱させるとともに、加温バッグ30の流路βに医療用流体を流通させることで、発熱体5で発生された熱が、加温バッグ30の金属フィルム32bから加温バッグ30に伝達されて、流路βを流通する医療用流体が加温される。
【0056】
このように、本実施形態によれば、樹脂パネル31にシート部32が貼り合わされて医療用流体の流路βとなる窪み部31bが覆われているため、医療用流体の流路βを確実に確保することができる。そして、シート部32が、樹脂フィルム32aと金属フィルム32bとが貼り合わされたラミネートシート部であるため、流路βを流通する医療用流体の加温効果を高めることができる。
【0057】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様であり、発熱体及び加温バッグの構成のみ第1の実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第1の実施形態と相違する事項のみを説明し、第1の実施形態と同様の説明を省略する。
【0058】
図10は、第4の実施形態に係る医療用流体加温装置の主要部を示す斜視図である。
図10に示すように、第4の実施形態の発熱体7は、複数のフィン7aを備えている。フィン7aは、平板状に形成されており、それぞれ等間隔で平行に配置されている。なお、
図10では、フィン7aが5枚構成となっているが、フィン7aの数は特に限定されるものではない。
【0059】
また、第4の実施形態の加温バッグ40は、第1の実施形態の加温バッグ10、第2の実施形態の加温バッグ20又は第3の実施形態の加温バッグ30の何れかと同様の加温バッグ部41が複数毎並列された形状となっている。そして、加温バッグ40の下端部に、医療量流体を各加温バッグ部41の流路βに分配流入させる流入口44が形成されており、加温バッグ40の上端部に、各加温バッグ部41の流路βから流出させて集める流出口45が形成されている。なお、
図10では、加温バッグ部41が4枚構成となっているが、加温バッグ部41の数は特に限定されるものではない。
【0060】
加温装置本体に加温バッグ40を収容する際は、加温バッグ40を構成する各加温バッグ部41を、発熱体7の複数のフィン7aの間に挿入して、各加温バッグ部41の金属フィルムを発熱体7の各フィン7aに接触させる。
【0061】
そして、発熱体7を発熱させるとともに、加温バッグ40を構成する各加温バッグ部41の流路βに医療用流体を流通させることで、発熱体7の各フィン7aで発生された熱が、各加温バッグ部41の金属フィルムから各加温バッグ部41に伝達されて、各流路βを流通する医療用流体が加温される。
【0062】
このように、本実施形態によれば、加温バッグ部41が複数のフィン7aの間に挿入されることで、加温バッグ部41が表裏面において発熱体7のフィン7aと当接するため、医療用流体の加温効率を高めることができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、第1〜第4の実施形態では、加温容器として加温バッグを用いて説明したが、加温容器の形態は特に限定されるものではなく、医薬用流体が流通する容器であれば如何なる容器であってもよい。
【0065】
また、第1〜第3の実施形態では、加温バッグを構成する双方又は一方のシート部全体がラミネートシート部であるものとして説明したが、当該シート部のうち、発熱体と接触する一部分のみをラミネートシート部としてもよい。
【0066】
また、第4の実施形態では、加温バッグ40は、複数枚の加温バッグ部41で構成されるものとして説明したが、加温バッグ40は、1枚の加温バッグ部41で構成されてもよい。この場合、発熱体7のフィン7aは、2枚とすることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、発熱体が収容部3及び蓋部4の双方又は加温装置本体2のみに何れか一方に取り付けられるものとして説明したが、何れの実施形態においても、発熱体は、収容部3及び蓋部4の双方又は何れか一方のみに取り付けられていてもよい。