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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-84897(P2015-84897A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ローラー鉗子
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20150410BHJP
【FI】
   A61M1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-225151(P2013-225151)
(22)【出願日】2013年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100112896
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏記
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 愛
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小池 紀夫
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA18
4C077AA20
4C077AA26
4C077BB10
4C077CC02
4C077DD19
4C077EE04
4C077JJ05
4C077JJ16
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】比較的硬い材質の医療用チューブであっても容易にミルキングを行うことのできるローラー鉗子を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るローラー鉗子は、医療用チューブをミルキングするためのローラー鉗子であって、第1ローラーと、前記第1ローラーを回転自在に支持する第1レバー部と、前記第1ローラーとの間に、前記医療用チューブを挟む第2ローラーと、前記第2ローラーを回転自在に支持する第2レバー部と、前記第1及び第2レバーは、前記両ローラーを近接させるように構成され、前記2つのローラーは、前記2つのレバー部に操作されて前記医療用チューブを挟む際に、前記2つのレバー部から付与される力によって近接し、当該力の向きに対して、前記医療用チューブを挟んで垂直方向に配置されるように構成されている、ローラー鉗子である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブをミルキングするためのローラー鉗子であって、
第1ローラーと、
前記第1ローラーを回転自在に支持する第1レバー部と、
前記第1ローラーとの間に、前記医療用チューブを挟む第2ローラーと、
前記第2ローラーを回転自在に支持する第2レバー部と、
前記第1及び第2レバーは、前記両ローラーを近接させるように構成され、
前記2つのローラーは、前記2つのレバー部に操作されて前記医療用チューブを挟む際に、前記2つのレバー部から付与される力によって近接し、当該力の向きに対して、前記医療用チューブを挟んで垂直方向に配置されるように構成されている、
ローラー鉗子。
【請求項2】
前記2つのローラーは、前記2つのレバー部に操作されて前記医療用チューブを挟む際に、前記2つのレバー部から付与される力の向きに対して垂直方向に弾性変形可能に構成されている、
請求項1に記載のローラー鉗子。
【請求項3】
前記2つのレバー部それぞれの一端部同士が連結する基端部を更に備え、
前記2つのレバー部及び前記基端部は、樹脂により一体成形され、前記基端部の弾性変形により、前記両ローラーが近接離間可能となっている、
請求項1又は2に記載のローラー鉗子。
【請求項4】
前記第2レバー部の前記基端部からの長さが、前記第1レバー部の前記基端部からの長さよりも長く、
前記第1レバー部の先端部に前記第1ローラーが取付けられ、
前記第2レバー部の先端部に前記第2ローラーが取付けられ、
前記両レバー部を近接させると、前記両ローラーが前記レバー部の延びる方向に隣接して配置される、
請求項3に記載のローラー鉗子。
【請求項5】
前記第1ローラーは、当該第1ローラーの軸方向の隣接する位置において、前記第1レバー部に回転自在に支持され、
前記第2ローラーは、当該第2ローラーの軸方向の隣接する位置において、前記第2レバー部に回転自在に支持されている、
請求項1から4のいずれかに記載のローラー鉗子。
【請求項6】
前記2つのローラーのうちの少なくとも一方の軸方向に隣接する位置には、前記2つのローラーで前記医療用チューブを挟む際に当該医療用チューブが外れてしまうのを防止するためのチューブ用ガイド機構が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のローラー鉗子。
【請求項7】
前記2つのレバー部には、前記2つのローラーで前記医療用チューブを挟む際に操作する方向を規定するための操作用ガイド機構が設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のローラー鉗子。
【請求項8】
前記2つのレバー部の少なくともいずれかには指を置くための指置き部が設けられている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のローラー鉗子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラー鉗子に関する。
【背景技術】
【0002】
手術後の患者に対しては、次のようなドレナージと呼ばれる水分の排出処置が行われることがある。ドレナージを行うには、まず、体内に医療用チューブを留置し、体外に取り出された医療用チューブ端部に吸引機器を接続する。そして、手術後に体内に貯留した血液、膿、胸水、腹水、消化液、滲出液等の余分な水分を体外に排出する。このドレナージを継続的に実施していると、骨片、凝血塊等によりドレナージの流路が閉塞してしまう可能性がある。
【0003】
このような流路の閉塞を防止するために、体表面固定位置から吸引機器側に向けて医療用チューブをしごくミルキングが行われる。シリコンゴム等の比較的柔らかい材質の医療用チューブであれば、このミルキングを手で行うことが可能である。しかしながら、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的硬い材質の医療用チューブでは、ミルキングを手で行うことは困難である。そこで、軟質塩化ビニル等の比較的硬い材質の医療用チューブのミルキングには、ローラー鉗子等の特別な器具が用いられる(例えば、非特許文献1及び2に記載されるミルキングローラー)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】出月康夫編集、「図解 ドレナージハンドブック」、中外医学社、1995年、p.68−69
【非特許文献2】窪田敬一編集、「最新 ナースのための全科ドレーン管理マニュアル」、照林社、2007年、p199−200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のローラー鉗子は、2つのローラーと、この2つのローラーをそれぞれ操作するための2つのレバーと、を備えている。医師、看護師等の医療従事者は、医療用チューブの長手方向に対して垂直方向から2つのローラーで挟んで、この医療用チューブの内腔を閉塞する。そして、医療用チューブの長手方向に対して水平方向にローラー鉗子をスライドさせることで、医療用チューブのミルキングを実施することができる。
【0006】
この従来のローラー鉗子は、2つのレバーを操作することによって、2つのローラー間の距離を狭めることができるように構成されている。ここで、このローラー鉗子の2つのローラーは、医療用チューブを挟むために付与される力の方向に沿って並ぶように配置されている。そのため、医療用チューブを挟むために2つのレバーを操作する方向は、2つのローラーが医療用チューブを挟む方向と同じになる。
【0007】
そうすると、医療用チューブからの反発力は、2つのローラーの圧力に対抗して生じるため、2つのレバーを操作する方向とは反対方向に発生する。すなわち、医療用チューブからの反発力は、レバーの操作方向に逆らうように発生する。そのため、医療従事者は、このローラー鉗子を利用してミルキングを行う際に、この反発力に対抗しようとして、必要以上に強い力で2つのレバーを操作してしまう傾向にある。
【0008】
2つのレバーに強い力が付与されると、2つのローラーにも強い力がかかり、ローラー鉗子をスライドさせても、2つのローラーの少なくともいずれかが回転しなくなってしまう場合がある。この場合、チューブとローラーとの間で発生する摩擦力が大きくなってしまい、ローラー鉗子をスライドさせにくくなる。すなわち、ローラー鉗子をスライドさせてミルキングを行うことが困難になってしまう。このように、従来のローラー鉗子では、比較的硬い材質の医療用チューブにおいてミルキングを行うことが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的硬い材質の医療用チューブであっても容易にミルキングを行うことのできるローラー鉗子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0011】
すなわち、本発明の第1形態は、医療用チューブをミルキングするためのローラー鉗子であって、第1ローラーと、前記第1ローラーを回転自在に支持する第1レバー部と、前記第1ローラーとの間に、前記医療用チューブを挟む第2ローラーと、前記第2ローラーを回転自在に支持する第2レバー部と、前記第1及び第2レバーは、前記両ローラーを近接させるように構成され、前記2つのローラーは、前記2つのレバー部に操作されて前記医療用チューブを挟む際に、前記2つのレバー部から付与される力によって近接し、当該力の向きに対して、前記医療用チューブを挟んで垂直方向に配置されるように構成されている、ローラー鉗子である。
【0012】
当該構成に係るローラー鉗子では、ミルキングを行うために医療用チューブを挟む2つのローラーが、レバー部から付与される力の向きに対して垂直に配置される。そのため、医療用チューブからの反発力は、2つのローラーで医療用チューブを挟むために2つのレバーを操作する方向に対して垂直方向に発生する。
【0013】
つまり、当該構成によれば、2つのレバー部を操作する方向に対する医療用チューブからの反発力の影響を抑制することができる。これにより、医療従事者等の操作者は、医療用チューブのミルキングを行う際に、必要以上に強い力で2つのレバー部を操作しなくてもよいようになる。したがって、当該構成に係るローラー鉗子によれば、ローラー鉗子の操作に対する医療用チューブからの反発力の影響を抑制することができるため、比較的硬い材質の医療用チューブであっても容易にミルキングを行うことが可能になる。
【0014】
なお、レバー部から付与される力の向きに対して2つのローラーが垂直に配置される状態とは、レバー部の操作方向に対して2つのローラーが完全に垂直方向に並んだ状態だけではなく、当該垂直方向に対して多少2つのローラーがずれた状態を含んでもよい。例えば、2つのローラーは、前記医療用チューブを挟んだ状態でローラー鉗子をスライドさせた場合に、この2つのローラーが回転する程度に、レバー部の操作方向の垂直方向からずれて配置されてもよい。
【0015】
また、本発明の第2形態は、前記2つのローラーが、前記2つのレバー部に操作されて前記医療用チューブを挟む際に、前記2つのレバー部から付与される力の向きに対して垂直方向に弾性変形可能に構成されている、上記第1形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、医療用チューブを挟む2つのローラー間の距離を変更可能になるため、様々な内径の医療用チューブに対応することが可能になる。
【0016】
また、本発明の第3形態は、前記2つのレバー部それぞれの一端部同士が連結する基端部を更に備え、前記2つのレバー部及び前記基端部が、樹脂により一体成形され、前記基端部の弾性変形により、前記両ローラーが近接離間可能となっている、上記第1形態又は第2形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、2つのレバー部及び基端部が樹脂により一体成形されているため、これらの構成要素をディスポーザブル用品として取り扱うことが可能になる。
【0017】
また、本発明の第4形態は、前記第2レバー部の前記基端部からの長さが、前記第1レバー部の前記基端部からの長さよりも長く、前記第1レバー部の先端部に前記第1ローラーが取付けられ、前記第2レバー部の先端部に前記第2ローラーが取付けられ、前記両レバー部を近接させると、前記両ローラーが前記レバー部の延びる方向に隣接して配置される、上記第3形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、比較的に簡単な構成でローラー鉗子を作製することが可能になる。
【0018】
また、本発明の第5形態は、前記第1ローラーが、当該第1ローラーの軸方向の隣接する位置において、前記第1レバー部に回転自在に支持され、前記第2ローラーが、当該第2ローラーの軸方向の隣接する位置において、前記第2レバー部に回転自在に支持されている、上記第1形態から第4形態のいずれかの形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、各レバー部は各ローラーを軸方向の隣接する位置で支持する。そのため、2つのローラーで挟む医療用チューブが各レバー部に干渉し難くなり、ローラー鉗子の操作性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の第6形態は、前記2つのローラーのうちの少なくとも一方の軸方向に隣接する位置には、前記2つのローラーで前記医療用チューブを挟む際に当該医療用チューブが外れてしまうのを防止するためのチューブ用ガイド機構が設けられている、上記第1形態から第5形態のいずれかの形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、ミルキングを行う際に医療用チューブが外れてしまうことを防止することが可能になるため、ローラー鉗子の操作性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の第7形態は、前記2つのレバー部には、前記2つのローラーで前記医療用チューブを挟む際に操作する方向を規定するための操作用ガイド機構が設けられている、上記第1形態から第6形態のいずれかの形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、当該操作用ガイド機構により医療用チューブを挟む際の操作方向が規定されるため、ローラー鉗子の操作性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の第8形態は、前記2つのレバー部の少なくともいずれかには指を置くための指置き部が設けられている、上記第1形態から第7形態のいずれかの形態に係るローラー鉗子である。当該構成によれば、指置き部によってローラー鉗子が持ちやすくなるため、当該ローラー鉗子の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、比較的硬い材質の医療用チューブであっても容易にミルキングを行うことのできるローラー鉗子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施の形態に係るローラー鉗子を例示する斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係るローラー鉗子を例示する分解斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係るローラー鉗子のミルキング操作中の状態を例示する。
図4図4は、従来のローラー鉗子における、ローラーと医療用チューブとにかかる力の関係を例示する。
図5図5は、実施の形態に係るローラー鉗子における、ローラーと医療用チューブとにかかる力の関係を例示する。
図6図6は、他の形態に係るローラー鉗子を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0025】
§1 構成例
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態に係るローラー鉗子1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るローラー鉗子1を例示する斜視図である。また、図2は、本実施形態に係るローラー鉗子1を例示する分解斜視図である。なお、説明の便宜のため、図1及び図2のx軸の正の方向を「前」と、x軸の負の方向を「後」と、y軸の正の方向を「左」と、y軸の負の方向を「右」と、z軸の正の方向を「上」と、z軸の負の方向を「下」と称することとする。図3以降についても同様に、これらの方向の名称を利用する。
【0026】
図1及び図2で例示されるように、ローラー鉗子1は、2つのローラー(3、4)とこの2つのローラー(3、4)が取り付けられる本体部2を備えている。本体部2は、弾性変形可能な材料で一体的に形成された、第1レバー部20、第2レバー部21、及びこれらを連結する基端部22を有し、全体としてV字状に形成されている。上述した2つのローラー(3、4)は、この第1レバー部20及び第2レバー部21の一端部にそれぞれ取り付けられている。
【0027】
第1レバー部20は、前後方向に第1端部201と第2端部202とを有する矩形状の部材であり、第2端部202から第1端部201にかけて徐々に肉厚が厚くなっている。同様に、第2レバー部21は、前後方向に第1端部211と第2端部212とを有する矩形状の部材であり、第2端部212から第1端部211にかけて徐々に肉厚が厚くなっている。また、第2レバー部21は、左右方向には第1レバー部20と同じ幅を有しているものの、前後方向には第1レバー部20よりも長くなっている。そして、第1レバー部20の第1端部201には、第2レバー部21の方に延出する断面半円状の第1延出部23が設けられており、第2レバー部21の第1端部211にも同様に、第1レバー部20の方に延出する断面半円状の第2延出部26が設けられている。
【0028】
また、本体部2は、2つのレバー部(20、21)それぞれの第2端部(202、212)側において、上述したように、これらを連結する基端部22を有している。基端部22は、U字状に湾曲しており、第1レバー部20及び第2レバー部21は上下方向に弾性変形可能な状態で連結している。2つのレバー部(20、21)及び基端部22は一体的に形成され、これにより、本体部2は、トングのような形状になっており、初期状態ではV字状であるが、基端部22の弾性力に抗して両レバー部20、21の第1端部201、211同士を近接させると、後述するように、2つのローラー3、4が近接する。このとき、第2レバー部21は、第1レバー部20よりも長いため、両レバー部20、21の第1端部201、211同士を近接させると、第1延出部23と第2延出部26とがx軸方向にこの順で並ぶように配置される。
【0029】
なお、基端部22の肉厚は、適度な弾性を実現するために比較的に薄く設定されてもよく、例えば、1〜10mmに設定されてよい。また、基端部22の肉厚は、適度な弾性を実現するために、好ましくは1.5〜5mmの間で設定されてよく、更に好ましくは2〜3mmの間で設定されてよい。
【0030】
次に、ローラー3、4の取付構造について説明する。第1延出部23の左側の側面には、円筒状の第1ローラー軸25が設けられ、この第1ローラー軸25に第1ローラー3が回転自在に取付けられている。より詳細に説明すると、第1ローラー軸25の外周面に筒状の第1ローラー3が嵌め込まれ、抜け止めとして、第1ローラー軸25に第1止め具5が固定されている。第1止め具5は、第1ローラー3の外径とほぼ同じ長さの直径を有する円形の側面板53と、この側面板53から突出する一対の取付片51とを備えている。また、各取付片51の先端には爪部52がそれぞれ設けられている。取付片51は半円状に形成されており、2つの取付片51が全体として円筒状をなすように配置されている。そして、このような円筒状に配置された取付片51が第1ローラー軸25の取付孔251に挿通され、取付孔251の反対側の開口周縁に爪部52が係止することにより、第1止め具5が第1ローラー軸25に固定される。その結果、第1止め具5は、抜け止めとして作用し、第1ローラー3が第1ローラー軸25から離脱するのを防止している。
【0031】
第2ローラー4も同様に第2延出部26に固定されている。すなわち、第2延出部26の左側の側面には、円筒状の第2ローラー軸28が設けられ、この第2ローラー軸28に第2ローラー4が回転自在に取付けられている。第1ローラー3の取付けと相違するのは、第2ローラー4を第2ローラー軸28から離脱するのを防止する第2止め具6であるので、この点を詳述する。第2止め具は、第1止め具と同様に、側面板64と、この側面板から突出する一対の取付片61とを備え、各取付片61の先端には爪部62がそれぞれ設けられている。但し、側面板64が、第2ローラー4の外径よりも大きい角丸三角形状に形成されている。また、側面板64が第2ローラー軸に対して回転不能となるように、第2ローラー軸28の左側の面には、矩形状に隆起した一対の回転防止突起282が設けられ、これら回転防止突起282が、第2止め具6の側面板64に形成された一対の回転防止突起用溝63にそれぞれ嵌め込まれている。
【0032】
ここで、第1ローラー3及び第2ローラー4は、図2で例示されるように、円筒状の形状を有している。第1ローラー3及び第2ローラー4は、その肉厚は薄く設定されてもよい。例えば、第1ローラー3及び第2ローラー4の肉厚は、0.5〜10mmの間で設定されてもよい。また、第1ローラー3及び第2ローラー4の肉厚は、好ましくは0.5〜5mmの間で設定されてもよく、更に好ましくは0.5〜1mmの間で設定されてもよい。
【0033】
また、第1ローラー3及び第2ローラー4の軸方向の幅(左右方向の長さ)は、ミルキングを行う医療用チューブの外径に応じて適宜設定されてもよく、例えば、3〜50mmの間で設定されてもよい。また、第1ローラー3及び第2ローラー4の幅は、好ましくは4〜40mmの間で設定されてもよく、より好ましくは5〜30mmの間で設定されもよい。更に、ローラー鉗子1全体の小型化を行うために、第1ローラー3及び第2ローラー4の幅は、5〜15mmの間で設定されてもよい。また、両レバー部20、21が押圧され、両ローラー3、4がx方向に並んだとき、両ローラー3、4の間には医療用チューブを閉塞させる程度の隙間が形成される。両ローラー3、4間の隙間は、例えば、0〜5mmとすることができる。
【0034】
また、第1レバー部20の第1端部201側には、第1延出部23の先端において半円形状に隆起したガイド用突起24が設けられている。このガイド用突起24に対応して、第2レバー部21の内側の側面部215には、第2延出部26の内側から第2端部212の方に向けて矩形状のガイド用溝27が設けられている。ガイド用突起24の幅(左右方向の長さ)は第1延出部23の幅よりも狭くなっており、ガイド用溝27の幅は、ガイド用突起24の幅に対応するように設定されている。また、ガイド用溝27の溝の深さ(上下方向の長さ)は、ガイド用突起24の長さ(上下方向)に対応して設定されるのが好ましく、さらに加工性を考慮するならば、ガイド用溝27は、貫通溝とすることが好ましい。
【0035】
なお、本体部2を構成する材料は特に限定されないが、ミルキング操作時にローラー鉗子1が適度な弾性を有するように、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が用いられてもよい。そして、本体部2は、これらの素材が用いられ、射出成形、切削加工等によって成形されることで、作製されてもよい。
【0036】
また、本体部2以外の構成要素である2つのローラー(3、4)及び2つの止め具(5、6)も、本体部2と同様に、樹脂により作製されてもよく、射出成形、切削加工等によって成形されてもよい。ただし、ローラー鉗子1の各構成要素は、樹脂で作製されなければならない訳ではなく、例えば、金属で作製されてもよい。
【0037】
§2 使用方法
次に、図1及び図3を更に用いて、本実施形態に係るローラー鉗子1の使用方法を説明する。図3は、本実施形態に係るローラー鉗子1のミルキング操作中の状態を例示する。本実施形態に係るローラー鉗子1を用いて医療用チューブ7のミルキングを行う場合、操作者は、片方の手でローラー鉗子1を持ち、もう片方の手で医療用チューブ7を持つ。
【0038】
なお、操作者は、例えば、医師、看護師等の医療従事者である。また、ミルキングを行う対象となる医療用チューブ7は、例えば、ドレナージに用いられるカテーテルである。医療用チューブ7は、シリコンゴム等の比較的柔らかい材質のものであってもよいし、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的硬い材質のものであってもよい。
【0039】
操作者は、例えば、第1レバー部20の側面部206に親指を置き、第2レバー部21の側面部214に人差し指を置いて、本体部2を片方の手で挟持する。そして、操作者は、2つのローラー(3、4)の間に医療用チューブ7を配置して、この2つのローラー(3、4)で医療用チューブ7を挟むように、第1レバー部20には下向きに力を加え、第2レバー部21には上向きに力を加える。以下では、説明の便宜のため、この操作を挟持操作とも称することにする。
【0040】
ここで、本実施形態では、第1レバー部20が第2レバー部21よりも短くなっている。そのため、操作者が挟持操作を行うと、第1レバー部20及び第2レバー部21は、第1延出部23が第2レバー部21の内側の側面部215に接触するまで、基端部22を基点として弾性変形する。これにより、第1延出部23の外側の側面231と第2延出部26の内側の側面261とが対向する状態になる。すなわち、第1ローラー3及び第2ローラー4は、図3で例示されるように、挟持操作を行う方向(上下方向:z方向)に対して垂直方向(前後方向:x方向)に並ぶように配置され、医療用チューブ7を前後方向に挟んだ状態になる。
【0041】
この状態では、医療用チューブ7の内腔は、前後方向に配置された2つのローラー(3、4)によって、閉塞されている。そこで、操作者は、2つのレバー部(20、21)それぞれに力を加えてこの状態を維持しつつ、医療用チューブ7及びローラー鉗子1の少なくとも一方をx方向にスライドさせる。これにより、医療用チューブ7の内腔の閉塞されている領域をスライドさせることができ、この医療用チューブ7のミルキングを行うことができる。
【0042】
なお、基端部22は、比較的肉厚の薄い樹脂製の部材であるため、前後方向に弾性変形することが可能である。そのため、この基端部22が前後方向に弾性変形することで、本実施し形態に係るローラー鉗子1では、2つのローラー(3、4)間の距離は調節可能である。これによって、本実施形態に係るローラー鉗子1では、医療用チューブ7を挟む2つのローラー(3、4)間の距離を調節することが可能になり、様々な外径の医療用チューブ7に対応することが可能になる。
【0043】
また、図2で例示されるように、本実施形態に係る第2止め具6の側面板64は、第2ローラー4の外径より大きく、2つのローラー(3、4)で医療用チューブ7を挟持する部分を左側から塞ぐ。そのため、この側面板64は、2つのローラー(3、4)が医療用チューブ7を挟持している際に、医療用チューブ7が左側に外れてしまうのを防止することができる。
【0044】
同様に、2つの延出部(23、26)は、2つのローラー(3、4)で医療用チューブ7を挟持する部分を右側から塞ぐように構成される。そのため、2つの延出部(23、26)は、2つのローラー(3、4)が医療用チューブ7を挟持している際に、医療用チューブ7が右側に外れてしまうのを防止することができる。
【0045】
すなわち、本実施形態に係るローラー鉗子1では、第2止め具6の側面板64及び2つの延出部(23、26)によって、ミルキングを行う際に医療用チューブ7が2つのローラー(3、4)から外れてしまうことを防止することができる。これにより、本実施形態では、ローラー鉗子1の操作性を向上させることができる。この第2止め具6の側面板64及び2つの延出部(23、26)は、本発明の「チューブ用ガイド機構」に相当する。
【0046】
なお、本実施形態では、基端部22が弾性変形することで、2つのローラー(3、4)間の距離が拡がる場合がある。2つのローラー(3、4)間の距離が拡がると、2つの延出部(23、26)の間の距離も拡がってしまい、2つの延出部(23、26)は、医療用チューブ7が右側に逸れるのを防止できなくなる可能性がある。これに対応するため、第1延出部23の外側の側面231及び第2延出部26の内側の側面261の少なくともいずれかに、2つの延出部(23、26)の間を埋めるための部材が取り付けられてもよい。
【0047】
更に、本実施形態に係るローラー鉗子1では、操作者が挟持操作を行うと、第1延出部23が第2レバー部21の内側の側面部215に接触する。このとき、第1延出部23の先端に設けられたガイド用突起24は、側面部215に設けられたガイド用溝27に嵌まり込む。これによって、本実施形態では、操作者が、第2レバー部21に対して左右方向いずれかにずれて第1レバー部20を操作することを防止することができる。
【0048】
すなわち、本実施形態に係るローラー鉗子1では、ガイド用突起24及びガイド用溝27によって、医療用チューブ7を挟む際の2つのレバー部(20、21)の操作方向を規定することができる。これにより、本実施形態では、ローラー鉗子1の操作性を向上させることができる。このガイド用突起24及びガイド用溝27は、本発明の「操作用ガイド機構」に相当する。
【0049】
§3 動作原理
次に、図4及び図5を利用して、本実施形態に係るローラー鉗子1の動作原理を説明する。図4は、医療用チューブ7のミルキングを行った場合に、従来のローラー鉗子の2つのローラー(100、101)にかかる力を模式的に例示する。また、図5は、医療用チューブ7のミルキングを行った場合に、本実施形態に係るローラー鉗子1の2つのローラー(3、4)にかかる力を模式的に例示する。
【0050】
[従来の力のかかり方]
図4で例示されるように、従来のローラー鉗子では、2つのローラー(100、101)は、それぞれのローラー(100、101)に付与される荷重90の方向に沿って並ぶように配置されている。そのため、2つのローラー(100、101)で医療用チューブ7の内腔を閉塞すると、医療用チューブ7から2つのローラー(100、101)への反発力92は、荷重90の反対方向にそれぞれ作用する。
【0051】
この状態で、矢印91で示される進行方向に医療用チューブ7を相対的にスライドさせるとすると、2つのローラー(100、101)には、医療用チューブ7との接触点からそれぞれ水平方向の荷重93が作用する。荷重90が比較的に小さい場合、医療用チューブ7からの反発力92も小さくなるため、医療用チューブ7との接触点において2つのローラー(100、101)それぞれに対して荷重93の反対方向に作用する摩擦力も小さくなる。そのため、2つのローラー(100、101)は、それぞれ矢印(94、95)の方向に回転して、医療用チューブ7を矢印91の方向に送り出すことができる。
【0052】
しかしながら、医療用チューブ7の内腔を十分に閉塞してミルキングを行うためには、医療用チューブ7からの反発力92に対抗して、比較的大きな荷重90を2つのローラー(100、101)に付与することになる。そうすると、医療用チューブ7との接触点において、2つのローラー(100、101)それぞれに対して荷重93の反対方向に作用する摩擦力が、2つのローラー(100、101)の少なくともいずれかを回転させない程度に大きくなってしまう。
【0053】
そのため、従来のローラー鉗子では、2つのローラー(100、101)の少なくともいずれかが回転しなくなってしまい、医療用チューブ7は、2つのローラー(100、101)と擦り合いながらスライドさせられる場合があった。これによって、従来のローラー鉗子では、様々な問題が生じていた。
【0054】
例えば、従来のローラー鉗子では、チューブとローラーとの間で発生する摩擦力が大きくなってしまい、ローラー鉗子をスライドさせにくくなる。そのため、従来のローラー鉗子は操作し辛いという問題点があった。特に、軟質塩化ビニル等の比較的硬い材質の医療用チューブをミルキングするのは困難であった。
【0055】
また、例えば、医療用チューブ7とローラーとの間で大きな摩擦力が発生するため、医療用チューブ7及びローラーそれぞれがこの摩擦力によって摩耗してしまうという問題点があった。これにより、医療用チューブ7がシリコンゴム等の比較的柔らかい材質で作製されている場合、医療用チューブ7が破れてしまう可能性がある。医療用チューブ7が破れてしまうと、医療用チューブ7の交換を行うことになる。この医療用チューブ7の交換は、患者にとって非常に大きな負担であった。
【0056】
更に、例えば、従来のローラー鉗子では、医療用チューブ7の内腔を十分に閉塞してミルキングを行うためには、医療用チューブ7からの反発力92等の比較的に強い荷重がかかる。そのため、従来のローラー鉗子の素材には金属が用いられている。このような従来のローラー鉗子としては、全体が金属で構成されたローラー鉗子、及び本体部分が金属で構成され、ローラー部分が樹脂で構成されたローラー鉗子が挙げられる。
【0057】
このような金属製のローラー鉗子は、構造が複雑となり、コストが高くなるという問題点があった。また、ローラー鉗子は、その用途から、血液等に触れる可能性が非常に高い。そのため、感染防止の観点から、ローラー鉗子の患者間での使い回しは避けた方がよい。しかしながら、従来のローラー鉗子は、コストが高く、ディスポーザブル用品として利用することは困難であるという問題点があった。
【0058】
[本実施形態の力のかかり方]
これに対して、図5で例示されるように、本実施形態に係るローラー鉗子1では、2つのローラー(3、4)は、それぞれに付与される荷重80の方向(上下方向)に対して垂直方向(前後方向)に並ぶように配置されて、医療用チューブ7の内腔を閉塞する。そのため、医療用チューブ7から2つのローラー(3、4)への反発力82は、荷重80に対抗する向きではなく、荷重80に対して垂直方向に作用する。
【0059】
また、本実施形態では、基端部22が弾性変形することにより、2つのローラー(3、4)の間の距離は前後方向に調整可能になっている。そのため、本実施形態に係るローラー鉗子1では、過度な反発力82が第1ローラー3にかかった場合、2つのローラー(3、4)の間の距離が拡がり、矢印86の方向に力が逃げるようになっている。これにより、本実施形態では、過度な反発力82の発生を抑制しつつ、医療用チューブ7の内腔を適度に閉塞させて、この医療用チューブ7のミルキングを実施することができる。
【0060】
したがって、本実施形態に係るローラー鉗子1では、矢印81で示される進行方向に医療用チューブ7を相対的にスライドさせたとしても、2つのローラー(3、4)には過度な反発力82が作用しないようになっている。これにより、2つのローラー(3、4)は、医療用チューブ7との接触点からそれぞれ下方向に作用する荷重83によって、それぞれ矢印(84、85)の方向に回転し、医療用チューブ7を矢印81の方向に送り出すことができる。
【0061】
つまり、本実施形態に係るローラー鉗子1では、医療用チューブ7と2つのローラー(3、4)との間で発生する摩擦力を抑えることができ、医療用チューブ7をスライドさせやすいようにすることができる。そのため、本実施形態に係るローラー鉗子1によれば、ミルキング操作時の操作性を向上させることができる。特に、本実施形態によれば、軟質塩化ビニル等の比較的硬い材質の医療用チューブであっても容易にミルキングを行うことが可能である。また、このローラー鉗子1によれば、シリコンゴム等の比較的柔らかい素材が医療用チューブ7に用いられていたとしても、医療用チューブ7を破損させることなくミルキングを実施することができる。
【0062】
なお、医療用チューブ7の内腔を閉塞する際には、第1ローラー軸25及び第2ローラー軸28それぞれの内部にはせん断力がかかる。よって、第1ローラー軸25及び第2ローラー軸28の外径は、このせん断力に対する強度を得るため、例えば、5〜30mmの間で設定されてよい。また、第1ローラー軸25及び第2ローラー軸28の外径は、せん断力に対する十分な強度を得るために、好ましくは8〜20mmの間で設定されてよく、更に好ましくは10〜15mmの間で設定されてよい。
【0063】
そして、第1ローラー軸25及び第2ローラー軸28の外径に応じて、第1ローラー軸25の取付孔251及び第2ローラー軸28の取付孔281の外径は、適宜設定されてよく、例えば、3〜25mmの間で設定されてよい。また、これらの取付孔(251、281)の外径は、好ましくは4〜15mmの間で設定されてよく、更に好ましくは5〜10mmの間で設定されてよい。
【0064】
更に、本実施形態に係るローラー鉗子1では、医療用チューブ7の内腔を閉塞してミルキングを行う際にかかる荷重を抑制することができる。そのため、本実施形態に係る本体部2が樹脂で構成されるように、本実施形態に係るローラー鉗子1の素材として、金属ではなく、樹脂が用いられてもよい。これにより、ローラー鉗子1のコストを抑えることができ、ディスポーザブル用品として利用することが可能になる。
【0065】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【0066】
例えば、ローラー鉗子1の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び、追加が行われてもよい。一例を挙げると、第2止め具6の側面板64が第1止め具5の側面板53と同様に構成されることで、チューブ用ガイド機構は省略されてもよい。また、第1止め具5と第2止め具6とは、取り付けられるローラー軸が入れ替わってもよい。
【0067】
また、図6で例示されるように、第1レバー部20及び第2レバー部21の少なくともいずれかに操作者の指を置くための指置き部が設けられてもよい。図6は、指置き部(203、213)が設けられたローラー鉗子1を例示する。指置き部(203、213)はそれぞれ、第1レバー部20及び第2レバー部21を操作者が操作しやすいように設けられる領域である。図6で例示される指置き部(203、213)はそれぞれ、第1レバー部20及び第2レバー部21よりも幅の広い領域を提供することで、操作者がこの部分に指を置きやすいようにしている。これによって、ローラー鉗子1を操作者が把持しやすいようにすることができ、ローラー鉗子1の操作性を向上させることができる。
【0068】
ここで、ローラー鉗子1の操作時には、第1レバー部20に操作者の親指が置かれる。そのため、指置き部203には、親指の形に応じた窪み204が設けられてもよい。そして、この窪み204には、操作者の親指が滑らないように、凹凸部205が設けられてもよい。凹凸部205の突起は、例えば、半円筒状、半球状、矩形状に構成される。これにより、ローラー鉗子1の操作性を更に向上させることができる。
【0069】
なお、図6では、第1レバー部20及び第2レバー部21の両方に指置き部(203、213)が設けられている。このうちいずれか片方の指置き部は省略されてもよい。
【0070】
また、上記実施形態に係るローラー鉗子1は、2つのレバー部(20、21)と基端部22とが一体成形されることで、トングのような形状を有している。しかしながら、ローラー鉗子1の形状は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて、適宜、選択されてよい。例えば、ローラー鉗子1は、第1レバー部20及び第2レバー部21がそれぞれの中腹で軸支されることで、はさみのような形状に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…ローラー鉗子、
2…本体部、
20…第1レバー部、201…第1端部、202…第2端部、
203…第1指置き部、204…窪み、205…凹凸部、206…(外側の)側面部、
21…第2レバー部、211…第1端部、212…第2端部、213…第2指置き部、
214…(外側の)側面部、215…(内側の)側面部、
22…基端部、
23…第1延出部、231…側面、
24…ガイド用突起、
25…第1ローラー軸、251…取付孔、
26…第2延出部、261…側面、
27…ガイド用溝、
28…第2ローラー軸、281…取付孔、282…回転防止突起、
3…第1ローラー、
4…第2ローラー、
5…第1止め具、
51…取付片、52…爪部、53…側面板、
6…第2止め具、
61…取付片、62…爪部、63…回転防止突起用溝、64…側面板、
7…医療用チューブ



図1
図2
図3
図4
図5
図6