(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-85086(P2015-85086A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】飲料フィルターカートリッジおよびそれを用いた飲料抽出容器
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20150410BHJP
【FI】
A47J31/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-228006(P2013-228006)
(22)【出願日】2013年11月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣田 一雄
(72)【発明者】
【氏名】坂口 知三
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA03
4B104AA20
4B104BA46
4B104EA20
4B104EA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一杯抽出用の飲料抽出容器で用いる飲料フィルターカートリッジであって、抽出用の飲料抽出用の粉末を十分量封入可能であり、抽出時の目詰まりを抑制し、必要十分な抽出を行うことのできる飲料フィルターカートリッジを提供する。
【解決手段】飲料フィルターカートリッジ10であって、底壁と、底壁から上方開口部を囲む円状縁まで延びる側壁とを有するカップ型容器と、半円状に賦型され、透水性を有するフィルター部3とを有し、前記カップ型容器の内壁に接し、かつ半円状凸部が下方に突出するように、フィルター部3が内挿され、さらに、カップ型容器内部には飲料抽出用の粉末4が封入され、カップ型容器の上方開口部には蓋材5が接着され、密閉構造とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料フィルターカートリッジであって、
底壁と、前記底壁から上方開口部を囲む円状縁まで延びる側壁とを有するカップ型容器と、
半円状に賦型され、透水性を有するフィルター部とを有し、
前記カップ型容器の内壁に接し、かつ半円状凸部が下方に突出するように、
前記フィルター部が内挿され、
さらに、前記カップ型容器内部には飲料抽出用の粉末が封入され、
前記カップ型容器の上方開口部には蓋材が接着され、
密閉構造とした飲料フィルターカートリッジ。
【請求項2】
前記フィルター部が、熱可塑性樹脂からなる不織布である請求項1記載の飲料フィルターカートリッジ。
【請求項3】
前記側壁および底壁が、熱可塑性樹脂からなる多層構造体である請求項1または2記載の飲料フィルターカートリッジ。
【請求項4】
前記フィルター部の上辺縁が、熱プレスされ枠状とされ、前記フィルター部の枠状が前記カップ型容器側壁と脱着可能な構造である請求項1〜3いずれか記載の飲料フィルターカートリッジ。
【請求項5】
前記フィルター部上辺縁が、前記カップ型容器と一体成形された請求項1〜3いずれか記載の飲料フィルターカートリッジ。
【請求項6】
前記フィルター部上辺縁が、前記カップ型容器と他樹脂を用いて接合された請求項1〜3いずれか記載の飲料フィルターカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜6記載の飲料フィルターカートリッジを装着して用いる飲料抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一杯抽出用の飲料抽出容器で用いる飲料フィルターカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー、紅茶、緑茶等の嗜好品は、これらを粉末状にしたものを飲料用抽出フィルタ
ーに収容して、飲料用抽出装置の所定位置にセットされ、上部から注湯することで、ホッ
トコーヒー、ホット紅茶などを作ることができる。飲料用抽出フィルターがセットされる
飲料用抽出装置は、主として業務用に使用されるものであるが、家庭用でも使用可能な小
型化されたものも普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記飲料用抽出装置で用いる飲料フィルターカートリッジが開示されている。このような飲料フィルターカートリッジでは、樹脂製の容器により形成され、この容器の内部にフィルター部が収容されたりている。容器の上部は蓋部により封止されている。蓋部はフィルム製のシートにより形成される。
【0004】
コーヒー等を抽出するときは、カートリッジ上部の蓋部から注湯用針を貫通させて、あ
るいは、上部の蓋部から直接、お湯を注ぎこむ。また、カートリッジ底部から抽出用針が
貫通させられる。これにより、カートリッジから嗜好品が抽出されて、カートリッジの下
部に載置されているコーヒーカップ等に注ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3742344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、以下のようなことを見出した。
上記のような構造を有する飲料フィルターカートリッジを用いた場合、まず、樹脂製容器の内容積に対し、収容するフィルター部は相対的に内容積が小さいものとなり、したがって、フィルターには飲料抽出用の粉末を十分量封入することができない制約があった。また、樹脂製容器とフィルター部が完全には一体化されていないため、飲料抽出工程において、抽出初期にあってはフィルター効果が十分であるが、抽出が進むにしたがって、飲料抽出用の粉末がフィルター目詰まりを起こし、フィルター効果が低下するばかりか、必要十分な抽出ができないことがある。
本発明は、一杯抽出用の飲料抽出容器で用いる飲料フィルターカートリッジであって、抽出用の飲料抽出用の粉末を十分量封入可能であり、抽出時の目詰まりを抑制し、必要十分な抽出を行うことのできる飲料フィルターカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)飲料フィルターカートリッジであって、
底壁と、前記底壁から上方開口部を囲む円状縁まで延びる側壁とを有するカップ型容器と、
半円状に賦型され、透水性を有するフィルター部とを有し、
前記カップ型容器の内壁に接し、かつ半円状凸部が下方に突出するように、
前記フィルター部が内挿され、
さらに、前記カップ型容器内部には飲料抽出用の粉末が封入され、
前記カップ型容器の上方開口部には蓋材が接着され、
密閉構造とした飲料フィルターカートリッジ。
(2)前記フィルター部が、熱可塑性樹脂からなる不織布である(1)の飲料フィルターカートリッジ。
(3)前記側壁および底壁が、熱可塑性樹脂からなる多層構造体である(1)または(2)の飲料フィルターカートリッジ。
(4)前記フィルター部の上辺縁が、熱プレスされ枠状とされ、前記フィルター部の枠状が前記カップ型容器側壁と脱着可能な構造である(1)〜(3)の飲料フィルターカートリッジ。
(5)前記フィルター部上辺縁が、前記カップ型容器と一体成形された(1)〜(3)の飲料フィルターカートリッジ。
(6)前記フィルター部上辺縁が、前記カップ型容器と他樹脂を用いて接合された(1)〜(3)の飲料フィルターカートリッジ。
(7)(1)〜(6)の飲料フィルターカートリッジを装着して用いる飲料抽出装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一杯抽出用の飲料抽出容器で用いる飲料フィルターカートリッジであって、抽出用の飲料抽出用の粉末を十分量封入可能であり、抽出時の目詰まりを抑制し、必要十分な抽出を行うことのできる飲料フィルターカートリッジが得られる。このような飲料フィルターカートリッジを用いた飲料抽出容器は、抽出量を増やしながらも、抽出能力の低下を抑制した使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来技術の実施の形態を示す飲料フィルターカートリッジの断面図である。
【
図2】従来技術の飲料フィルターカートリッジにおける飲料抽出の形態を示す断面図である。
【
図3】本発明における実施の形態を示す飲料フィルターカートリッジの断面図である。
【
図4】本発明の飲料フィルターカートリッジにおける底壁の斜視図である。
【
図5】本発明における実施の形態を示す飲料フィルターカートリッジの断面図である。
【
図6】本発明の飲料フィルターカートリッジにおける底壁(枠有り)と側壁の態様を示す断面図である。
【
図7】本発明の飲料フィルターカートリッジにおける底壁(枠有り)の斜視図である。
【
図8】本発明の飲料フィルターカートリッジにおける底壁(枠有り)と側壁(固定用凸有り)の態様を示す断面図である。
【
図9】本発明における実施の形態を示す飲料フィルターカートリッジの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の飲料フィルターカートリッジは、底壁と、前記底壁から上方開口部を囲む円状縁まで延びる側壁とを有するカップ型容器と、半円状に賦型され、透水性を有するフィルター部とを有し、前記カップ型容器の内壁に接し、かつ半円状凸部が下方に突出するように、前記フィルター部が内挿され、さらに、前記カップ型容器内部には飲料抽出用の粉末が封入され、前記カップ型容器の上方開口部には蓋材が接着された密閉構造であることを特徴とする。
【0011】
フィルター部を構成する材料としては、透水性を有するものであれば特に限定されない。透水性を有する材料としては、例えば、紙、織布、不織布等が挙げられ、織布、不織布を用いる場合は、天然繊維、合成繊維から選ばれる。天然繊維としては、綿、羊毛、各種植物繊維が挙げられ、合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂の単独重合体、共重合体または混合物が挙げられる。また、得られた織布、不織布の異なる種類、目付のものを用途に応じて組み合わせて用いることもできる。本発明においては、各種熱可塑性樹脂からなる不織布を好適に用いることができる。特に、食品用においては、抽出時の耐熱性、機械的強度のバランスに優れるため、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましい。賦形を可能とするためには、目付は小さい方が好ましく、フィルター効果を高めるためにはメルトブロウン法により得られる不織布を用いることが特に好ましい。
【0012】
側壁および底壁を構成する材料としては、特に制限はないが、カップ容器としての成形性、底壁との接着、または溶着適性に優れたものとするため、各種熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物等が挙げられ、成形性を考慮すると、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物等が好ましい。また、これらは2種以上を組合わせて、アロイ化したり、多層構造化することによって、機能性を高めることができる。本発明においては、例えば、ポリエチレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物/ポリスチレン、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物/ポリプロピレン、ポリエチレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物/ポリエチレンのように、3層構造とし、中間層に、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化物のようなバリヤー性樹脂を用いることで、飲料抽出容器の保管時に、抽出用の粉末が酸化劣化したり、香り成分が揮散してしまうことを防止し、抽出時の抽出液の品質を損なうことなく、商品としての品質を高めることができる。
【0013】
本発明の飲料フィルターカートリッジの製造方法は、特に制限はないが、例えば、側壁および底壁を射出成形法にて成形して得た後、真空成形、圧空成形により所定の形状に賦形したフィルター部を、前記側壁と接するように一体化することにより得られる。一体化する方法は特に制限はないが、例えば、第一の方法として、前記フィルター部上辺縁を、熱プレス等の手段により枠状とし、前記フィルター枠状部が側壁と脱着可能な構造とすることで、フィルター部と側壁を嵌合し一体構造とすることができる。なお、この場合嵌合部が抽出時に外れて、抽出用の粉末、お湯が漏れ出ることが無きよう前記枠状部は強固な構造とする、側壁下部に必要に応じて凹み状の段を設け、前記凹み状の段にフィルター枠状部が嵌め込み、容易に外れない構造とすることが肝要である。第二の方法として、予め賦形したフィルター部を金型内に挿入し、溶融した熱可塑性樹脂を流入させ、側壁および底壁の成形を行うとともにフィルター部との接着も同時に行うことが挙げられる。第三の方法としては、予め賦形したフィルター部、成形した側壁および底壁のそれぞれを金型内に挿入し、溶融した他の樹脂を流入させ、フィルター部、側壁の接合部に鉢巻状に前記他の樹脂を巻き付け、接合することが挙げられる。
【0014】
本発明で得られた飲料フィルターカートリッジは、飲料抽出用の粉末を封入した後、側壁上方開口部が蓋材を用いてシールされ密閉構造とした飲料抽出容器とすることで、長期保管が可能なものとすることができる。
【0015】
本発明の飲料抽出容器は、蓋材および底壁に対し孔を開けた後、熱湯を注ぐことによって、飲料抽出を行うことができる。そのような飲料抽出装置は、例えば、コーヒー、紅茶、緑茶等各種嗜好性飲料において、利用が可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 従来のフィルターカートリッジ
2 枠
3 フィルター部
4 挽いたコーヒー
5 フタ
6 溶着部
7 出口用針
8 入口用針
9 本発明のフィルター部材
10 本発明のフィルターカートリッジ
11 本発明のフィルターカートリッジ
12 フィルター要素
13 フィルター用枠
14 フィルター要素
15 固定用凸