【実施例】
【0017】
図1は、センサ保持器10に保持されたプローブユニット12を用いて、生体14の上腕16における皮膚18(厳密には表皮)の上からその皮膚18直下に位置する動脈等の血管20の非侵襲的な超音波診断を行う、本発明の一実施例である生体血管状態測定装置22(以下、単に測定装置22という)の全体的な構成を例示する斜視図である。
【0018】
前記プローブユニット12は、前記血管20に関連する生体情報すなわち血管パラメータを検出するためのセンサとして機能するものであって、互いに平行な1対の第1短軸用超音波アレイ探触子24a及び第2短軸用超音波アレイ探触子24bと、それらの長手方向中央部を連結する長軸用超音波アレイ探触子24cとを、1平面上すなわち平坦な探触面25に有するH型の超音波プローブ24を備えている。前記第1短軸用超音波アレイ探触子24a、第2短軸用超音波アレイ探触子24b、及び長軸用超音波アレイ探触子24cは、例えば後述する
図2に示すように、圧電セラミックスから構成された多数個の超音波振動子(超音波発振子)a
1〜a
nが直線的に配列されることにより長手状にそれぞれ構成されている。
【0019】
図2は、前記超音波プローブ24の位置決めに関して本実施例で用いられるxyz軸直交座標軸を説明する図である。この
図2においては、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aの長手方向をx軸方向としている。また、前記長軸用超音波アレイ探触子24cの長手方向をy軸方向としている。また、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aの長手方向と前記長軸用超音波アレイ探触子24cの長手方向との交点を通り且つ前記x軸方向及びy軸方向に直交する方向をz軸としている。前記プローブユニット12は、前記超音波プローブ24をxyz方向において位置決めし、且つxyz軸それぞれの軸心まわりの回転角度を位置決めする多軸駆動装置(位置決め装置)26を備えている。すなわち、
図2に示すようなxyz軸直交座標軸に関して、前記超音波プローブ24は、例えば、前記多軸駆動装置26によりx軸方向に並進させられる。また、x軸、y軸、及びz軸それぞれの軸心まわりに回動させられる。
【0020】
図3は、前記測定装置22の測定対象である血管20の多層膜構成を概略的に示す拡大図である。この
図3に示す血管20は、好適には上腕動脈であり、内膜L
1、中膜L
2、及び外膜L
3の3層構造を備えている。超音波の反射は、一般に音響インピーダンスの異なる部分で発生することから、超音波を用いた前記血管20の状態測定において、実際は血管内腔の血液と前記内膜L
1の境界面、及び前記中膜L
2と前記外膜L
3との境界面が白く表示され、組織が白黒の班で表示される。
【0021】
図1に示すように、前記測定装置22は、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理するCPUを有する所謂マイクロコンピュータから構成された電子制御装置28と、モニタ画面表示装置(画像表示装置)30と、超音波駆動制御回路32と、3軸駆動モータ制御回路34とを、備えている。前記測定装置22による血管状態の測定においては、前記電子制御装置28によって前記超音波駆動制御回路32から駆動信号が供給されると、前記プローブユニット12における前記超音波プローブ24の前記第1短軸用超音波アレイ探触子24a、前記第2短軸用超音波アレイ探触子24b、及び前記長軸用超音波アレイ探触子24cからよく知られたビームフォーミング駆動によりビーム状の超音波が順次放射される。そして、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24a、前記第2短軸用超音波アレイ探触子24b、及び前記長軸用超音波アレイ探触子24cにより超音波の反射信号が検知され、前記電子制御装置28においてその検知された超音波反射信号の処理が行われることにより、前記皮膚18下の超音波画像が発生させられ前記モニタ画面表示装置30に表示される。
【0022】
図1に示すように、前記測定装置22は、超音波駆動制御部80、検波処理部82、超音波信号処理部84、3軸駆動モータ制御部86、カフ圧制御部88、血管状態評価部90、及び表示制御部92を備えている。これらの制御機能は、好適には、前記電子制御装置28に機能的に備えられたものであるが、それらの制御機能のうち一部乃至全部が前記電子制御装置28とは別体の制御部として構成され、相互に情報の通信を行うことにより以下に詳述する制御を行うものであってもよい。
【0023】
図4は、前記測定装置22による血管状態の測定において、前記血管20の超音波画像が生成される際に所定の計測位置に位置決めされた前記超音波プローブ24と前記血管20との位置関係を示すと共に、斯かる位置関係において前記モニタ画面表示装置30に表示される血管の超音波画像を例示する図である。前記モニタ画面表示装置30は、例えば、
図4(a)に示すように、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aにより検知される超音波反射信号に対応する超音波画像(第1短軸画像)を表示する第1短軸画像表示領域G1と、前記第2短軸用超音波アレイ探触子24bにより検知される超音波反射信号に対応する超音波画像(第2短軸画像)を表示する第2短軸画像表示領域G2と、前記長軸用超音波アレイ探触子24cにより検知される超音波反射信号に対応する超音波画像(長軸画像、血管縦断面画像)を表示する長軸画像表示領域G3とを、備えている。好適には、前記第1短軸画像表示領域G1、前記第2短軸画像表示領域G2、前記長軸画像表示領域G3は、前記皮膚18からの深さ寸法を示す共通の縦軸を備えたものである。なお、
図4(a)内の「ImA,ImB」は、それぞれ前記血管20の横断面を示している。
【0024】
前記測定装置22は、好適には、前記超音波プローブ24から前記血管20に対して出力される超音波の反射信号に基づいて、その血管20の径、内膜厚、プラーク、血流速度等を測定するFMD(Flow-Mediated Dilation:血流依存性血管拡張反応)の評価を行う。斯かるFMDの評価に際して、前記モニタ画面表示装置30は、例えば、前記血管20における内膜の径の変化率すなわち内腔径の拡張率Rを時系列的に表示する。前記FMDの評価及び前記血管20の超音波画像の生成等に際して、前記超音波プローブ24は、測定対象である前記血管20に対して所定の計測位置Pとなるように、前記電子制御装置28に備えられた前記3軸駆動モータ制御部86によって前記3軸駆動モータ制御回路34から駆動信号を供給された前記多軸駆動装置26の駆動により位置決めされる。前記所定の計測位置Pとは、好適には、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24a及び前記第2短軸用超音波アレイ探触子24bが前記血管20に対して直交し、且つ前記長軸用超音波アレイ探触子24cが前記血管20に対して平行となる位置である。
図4を用いて説明すれば、前記所定の計測位置Pとは、その
図4において「a=b,c=d,e=f」となる位置である。すなわち、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aから前記血管20の中心までの距離と前記第2短軸用超音波アレイ探触子24bから前記血管20の中心までの距離とが互いに等しく、且つ前記第1短軸画像表示領域G1及び前記第2短軸画像表示領域G2の何れにおいてもそれらの幅方向中央部に前記血管20の画像が位置させられた計測位置である。
【0025】
前記測定装置22による血管状態の測定において、前記センサ保持器10は、前記生体14における上腕16の皮膚18の上からその皮膚18直下に位置する前記血管20を変形させない程度に軽く接触させる状態で前記プローブユニット12を所望の姿勢で保持する。好適には、前記超音波プローブ24の3次元空間内の位置が前記血管20に対して前記所定の計測位置Pとなるように、前記プローブユニット12を所望の姿勢で保持する。好適には、前記プローブユニット12における前記超音波プローブ24の端面と前記皮膚18との間には、超音波の減衰、境界面における反射や散乱を抑制して超音波画像を明瞭とするためのよく知られたゼリー、オリーブ油、グリセリン等のカップリング剤や、水を樹脂製袋内に閉じ込めた水袋等が介在させられる。
【0026】
図1に示すように、前記センサ保持器10は、例えば、磁気的吸着力により机や台座等に固定されるマグネット台36と、前記プローブユニット12が固定されるユニット固定具38と、前記マグネット台36及び前記ユニット固定具38に一端が固定され且つ球状に形成された先端部42を有する連結部材44、45と、それら連結部材44、45を介して前記マグネット台36と前記ユニット固定具38とを相対移動可能に連結し支持する自在アーム40とを、備えている。前記自在アーム40は、相互に回動可能に連結された2つのリンク46、47と、それらリンク46、47の一端にて前記各先端部42に対して回曲可能に嵌め入れられた嵌合穴48をそれぞれ有する回曲関節部50、51と、各リンク46、47の他端にてその他端を相互に相対回動可能に連結し且つその連結箇所を貫設するねじ穴に螺合されたおねじ付き固定ノブ52が締め付けられることで得られる締着力により相対回動不能にされる回動関節部54とを、備えている。
【0027】
前記多軸駆動装置26は、例えば、x軸回動アクチュエータにより前記超音波プローブ24のx軸まわりの回動位置を位置決めするために前記ユニット固定具38に固定されるx軸回動(ヨーイング)機構と、x軸並進アクチュエータにより前記超音波プローブ24のx軸方向の並進位置を位置決めするためのx軸並進機構と、y軸アクチュエータにより前記超音波プローブ24のy軸まわりの回動位置を位置決めするためのy軸回動機構と、z軸アクチュエータにより前記超音波プローブ24のz軸まわりの回動位置を位置決めするためのz軸回動機構とを、備えて構成されている。斯かる構成により、前記多軸駆動装置26は、前記電子制御装置28からの指令に従って前記超音波プローブ24の位置決め状態を制御する。
【0028】
前記超音波駆動制御回路32は、前記電子制御装置28に備えられた超音波駆動制御部80からの指令に従って前記超音波プローブ24から前記血管20への超音波の放射を制御する。例えば、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aにおいて1列に配列された多数個の超音波振動子a
1乃至a
nのうち、その端の超音波振動子a
1から一定数の超音波振動子群例えば15個のa
1乃至a
15毎に所定の位相差を付与しつつ10MHz程度の周波数で同時駆動するビームフォーミング駆動することにより超音波振動子の配列方向において収束性の超音波ビームを前記血管20に向かって順次放射させる。そして、超音波振動子を1個ずつずらしながらその超音波ビームをスキャン(走査)させたときの放射毎の反射波を受信し、前記電子制御装置28へ入力させる。前記電子制御装置28へ入力された反射波信号は、前記検波処理部82により検波され、前記超音波信号処理部84により画像合成可能な情報として処理される。前記超音波信号処理部84は、例えば、前記血管20と他の組織との伝播速度差によりそれらの境界から反射される超音波反射信号間の時間差処理や、その反射信号に基づく超音波画像の合成処理等を行う。
【0029】
前記電子制御装置28は、前記超音波プローブ24により受信される前記超音波の反射波に基づいて画像を合成し、前記皮膚18下における前記血管20の短軸画像すなわち横断面画像、及び長軸画像すなわち縦断面画像を生成させて、前記モニタ画面表示装置(画像表示装置)30にそれぞれ表示させる。また、上記のようにして生成される前記血管20の短軸画像及び長軸画像等から、その血管20の径或いは内皮70の直径である内皮径(内腔径)d
1等を算出する。また、前記血管20の内皮機能を評価するために、虚血反応性充血後のFMD(血流依存性血管拡張反応)を表す血管内腔径の拡張率(変化率)R(%)[=100×(d
1−d
a)/d
a]を算出する。この式における「d
a」は、安静時の血管内腔径(ベース径、安静径)を示している。
【0030】
前記測定装置22による血管状態の測定では、前記生体14における測定部位例えば上腕16がカフ62等の加圧装置により圧迫されて血流が阻止され、前記生体14の一部(阻血部よりも末梢側の部分)が虚血状態とされた後、その血流が急激に解放されて測定部位の血管20の血流が急速に増加させられることで、血管壁へのずり応力増加に伴う内皮からの一酸化窒素(NO)の産生が起こり、その一酸化窒素に依存する平滑筋の弛緩状況を調べることで内皮機能の判定が行われる。
【0031】
図5は、前記測定装置22による前記血管20のFMD評価における、阻血(駆血)開放後の血管内腔径d
1の変化を例示したタイムチャートである。この
図5においては、時点t1が阻血開放時を表しており、時点t2から血管内腔径d
1が拡張し始め、時点t3で血管内腔径d
1がその最大値d
MAXに達していることが示されている。従って、前記電子制御装置28が算出する血管内腔径の拡張率Rは、時点t3で最大になる。
【0032】
前記測定装置22による前記血管20のFMD評価のための前記阻血は、
図1に示すように、前記電子制御装置28に備えられたカフ圧制御部88により空気ポンプ58及び圧力制御弁60等が制御されることにより実行される。例えば、前記電子制御装置28からの指令に従って、前記空気ポンプ58からの元圧が圧力制御弁60で制御され、前記上腕16に巻回されたカフ62に供給される。具体的には、前記カフ62の圧力(カフ圧)が、前記生体14の最高血圧を超える所定の阻血カフ圧にまで昇圧させられることで、FMD評価のための前記阻血が行われる。このとき、前記カフ圧制御部88は、前記カフ62の圧力(カフ圧)を検出する圧力センサ64からの信号に応じてそのカフ圧を検出する。そして、
図5においては、例えば、前記カフ圧制御部88は、阻血開放前の所定時間すなわち時点t1前の所定時間にわたって前記カフ圧を前記阻血カフ圧で維持し、阻血開放時(時点t1)において前記カフ圧を直ちに大気圧にまで減圧する。これにより、測定部位Pにおける前記血管20が急速に充血させられ、前記測定装置22により対象となる血管20の虚血状態からの充血後の血管径d
maxが測定される。
【0033】
図6は、前記血管状態評価部90に備えられた制御機能の一例の要部を説明する機能ブロック線図である。前記血管状態評価部90は、前記超音波駆動制御回路32(超音波駆動制御部80)により前記超音波プローブ24から前記生体14の表皮下に位置する前記血管20に対して放射された超音波に対して、前記超音波プローブ24により受信されて前記検波処理部82による検波及び前記超音波信号処理部84による信号処理が行われた前記超音波の反射信号に基づいて、前記血管20の状態を評価する。斯かる制御を行うために、前記血管状態評価部90は、時系列波形検出部100、プローブ方向制御部102、偏向方向検出部104、フレーム設定部106、フレーム内波形取得部108、周期検出部110、及び拍動タイミング検出部112を備えている。以下、各制御部の処理について詳述する。
【0034】
前記時系列波形検出部100は、前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号(RF信号)に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する。例えば、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aから前記血管20に対して放射された超音波に対してその第1短軸用超音波アレイ探触子24aにより受信され、前記超音波処理部84により信号処理された反射信号に基づいて記血管20の短軸断面形状に係る径寸法の変化量を算出し、その変化量の時系列変化(経時的な変化)を検出する。具体的には、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aにより受信された一連の反射信号のうち、前記血管20の中心付近を通る反射信号を検出し、その反射信号に基づいて以下に説明するような方法で前記血管20の径方向の変化量を算出して、算出される変化量を時系列で前記電子制御装置28等に備えられた所定の記憶装置に記憶させる。
【0035】
前記血管状態評価部90は、好適には、公知の技術により前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の断面画像を生成する。例えば、前記検波処理部82により検波された前記反射信号に基づく短軸断面形状に関して、前記血管20の中心位置より360°方向の輝度の微分値を算出し、変化の大きい位置(微分値が規定値以上である位置、エッジ等)を特徴点として判定(抽出する)。好適には、前記検波処理部82により検波された前記反射信号を、前記超音波信号処理部84により2乗化して信号パワーに対応する信号に変換し、更にその信号パワーを包絡線処理して平滑化することにより滑らかに変化する平滑化信号に変換する。そして、その平滑化信号の大きさを段階的な濃淡に変換することにより濃淡信号を生成し、その濃淡により示される二次元の超音波断面画像を生成する。例えば、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24a、第2短軸用超音波アレイ探触子24bにより受信される前記超音波の反射波に基づいて前記血管20の短軸画像すなわち横断面画像を生成する。
【0036】
図7は、前記血管状態評価部90により前記反射信号に基づいて生成される前記血管20の短軸画像の見え方の一例を示す図である。
図7においては、前記超音波プローブ24(第1短軸用超音波アレイ探触子24a)からの超音波の放出方向を破線矢印で、前記血管20における内腔と壁との境界66を一点鎖線でそれぞれ示している。前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて生成される前記血管20の断面画像は、必ずしも前記血管20の全周囲に対応して描出されるものではなく、超音波の放射方向に応じて、前記血管20における特徴点例えば内腔と壁との境界66の一部を視認可能に描出するものである。例えば、
図7に示すように、超音波断面画像内の前記血管20内に、その血管20の内皮68(血管壁の内周面)が1対の円弧状曲線で描出される。すなわち、前記反射信号に基づいて生成される前記血管20の短軸画像としては、例えば、その血管20における血管壁のうち超音波の放射方向に対して垂直を基準とする所定の角度範囲内の壁のみが描出される。前記血管20の径寸法は、前記内皮68に対応する1対の円弧状曲線相互の間隔から求められる。その1対の円弧状曲線相互の間隔の経時的変化(時間変化するコマ間の特徴点の違い)は、前記血管20の径寸法の径時的変化に対応する。従って、前記1対の円弧状曲線相互の間隔の経時的変化に基づいて前記血管20の経時的変化の検出、延いてはその血管20の血管状態の評価が行われる。更に、前記反射信号に係る位相相関やドップラー法、或いは画像情報でオプティカルフロー法等を用いて、前記血管20の血管壁の移動量を直接計測する方法も採られる。
【0037】
図8〜
図10は、前記血管20の血管径の変化の態様をその短軸断面画像に基づいて説明する図であり、血管径が拡大(拡張)した様子を破線で示している。前記血管20の拍動は、理想的には、前記血管20の径方向に偏向することなく、
図8に示すように径方向に均一な変化量をもって拡大(拡張)乃至縮小(収縮)する。しかし、実際には、前記超音波プローブ24による拘束(圧迫)や周囲の筋肉等の組織に起因して、前記血管20の径方向の変化が偏向することが考えられる。例えば、前記超音波プローブ24による拘束等によっては、
図9に示すように、所定の方向(
図9に示す例では、紙面向かって左上方向)に偏って拡大乃至縮小する。すなわち、
図9に示す例では、紙面向かって左上方向への血管径の変化量が比較的大きく、上下方向、左右方向への血管径の変化量がそれよりも小さい。右上方向、左下方向へは血管径はほとんど変化しない。
図10に示すように前記血管20の周囲に筋肉70が存在する場合には、その筋肉70が存在する方向へは前記血管20の血管径が変化しづらく、前記筋肉70を避ける方向に偏向して前記血管20の血管径が変化する。すなわち、
図10に示す例では、前記筋肉70が存在する紙面向かって上下方向には前記血管20の血管径が変化しづらく、前記筋肉70を避ける紙面向かって左方向に偏向して前記血管20の血管径が変化する。
【0038】
図11〜
図13は、
図9に示すように血管径の変化が偏向する前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向に応じた短軸画像の見え方の違いを説明する図である。これら
図11〜
図13においては、前記第1短軸用超音波アレイ探触子24aによる第1短軸画像の生成について説明しているが、前記第2短軸用超音波アレイ探触子24bによる第2短軸画像の生成についても同様である。前記超音波プローブ24から前記血管20に対して放射される超音波の放射方向は、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向(角度)に応じて異なる。
【0039】
図9に示すように前記血管20における血管径の変化が左上方向に偏向している例においては、
図11に示すように、前記血管20に対して左上から右下に向けて超音波を放射させ、その反射信号に基づいて短軸画像を生成することで、前記血管20における血管径の変化量を最も好適に検出できる。
図14は、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向が
図11に示す状態とされる場合において、その超音波プローブ24により検出される前記反射信号に基づいて前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形を例示する図である。
図14においては、前記血管20の血管径の変化量のピークを検出するための閾値を一点鎖線で示している。
図14に示す例では、時系列波形が周期的に閾値を超えるため、その時系列波形のピークを検出し易い。
【0040】
図9に示すように前記血管20における血管径の変化が左上方向に偏向している例において、
図12に示すように、前記血管20に対して上から下に向けて超音波を放射させ、その反射信号に基づいて短軸画像を生成する態様では、
図11に示す例に比べて検出される前記血管20における血管径の変化量が小さくなる。
図15は、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向が
図12に示す状態とされる場合において、その超音波プローブ24により検出される前記反射信号に基づいて前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形を例示する図であり、比較のために
図14に示す時系列波形を破線で併せて示している。
図15に示すように、
図12に示す前記血管20と前記超音波プローブ24との相対位置関係では、前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形が
図14に示す時系列波形に比べて全体的に小さな変化量に対応するものとなる。従って、一点鎖線で示す閾値では前記血管20の血管径の変化量のピークを好適に検出することができず、閾値を変更する(引き下げる)必要が生じる。
図13に示すように、前記血管20に対して右上から左下に向けて超音波を放射させ、その反射信号に基づいて短軸画像を生成する態様では、前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形は、更に小さな変化量に対応するものとなる。
【0041】
図11〜
図15を用いて説明したように、前記血管20の血管径の変化の仕方が周囲の筋肉70等の組織や前記超音波プローブ24による拘束等に起因して偏向する前提において、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向(角度)によっては前記血管20の径寸法の変化を好適に測定できない。更に、超音波画像では、超音波の反射方向や前記血管20の重なり具合によっては、その血管20の血管壁を画像として描出できない方向もある。そこで、本実施例においては、以下に詳述するように前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向を変化させつつ測定を行い、前記血管20の径方向の変化量が最も大きくなる時系列波形を用いてその血管20の評価を行う。
【0042】
図6に示す前記プローブ方向制御部102は、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向を変化させる。前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向とは、例えば、
図2に示すz軸が前記血管20の中心(長軸方向の軸心)を通り且つ前記血管20の長軸方向と
図2に示すy軸方向が平行となる前記超音波プローブ24と前記血管20との相対位置関係において、前記超音波プローブ24における
図2に示すx軸方向に対応する。すなわち、前記超音波プローブ24におけるx軸方向の変化が、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向の変化に対応する。前記プローブ方向制御部102は、具体的には、前記3軸駆動モータ制御部86を介して前記3軸駆動モータ制御回路34を制御し、前記多軸駆動装置26により前記超音波プローブ24をx軸方向へ並進させ且つy軸まわりに回動させることで、z軸が前記血管20の中心を通り且つ前記血管20の長軸方向とy軸方向が平行となる前記超音波プローブ24と前記血管20との相対位置関係を維持したまま、その超音波プローブ24のx軸方向を変更する。換言すれば、前記超音波プローブ24から前記血管20に対して放射される超音波の放射方向を変化させる。
【0043】
前記時系列波形検出部100は、前記プローブ方向制御部102により変化させられる前記超音波プローブ24の各方向に対応して、前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する。すなわち、前記プローブ方向制御部102による制御に応じて定められる、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向それぞれに対応して、前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出し、所定の記憶装置に記憶させる。好適には、前記プローブ方向制御部102により前記超音波プローブ24のx軸方向を所定角度(例えば、
図11〜
図13に比較して示すように45°)ずつ変化させて前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向を定め、各方向毎に前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する。また好適には、
図16に示すように、前記血管20を、その短軸断面に関して周方向に均等に複数のブロック(
図16に示す例では4つのブロック1〜4)に区分し、前記プローブ方向制御部102により前記超音波プローブ24が含まれるブロックを変更しつつ、各ブロックに対応して前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する。すなわち、前記血管20において定められた各ブロックに前記超音波プローブ24が位置する相対位置(例えば、超音波プローブ24におけるy軸すなわち長軸用超音波アレイ探触子24cが各ブロックに含まれる位置)において、その超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する。
【0044】
前記偏向方向検出部104は、前記時系列波形検出部100により検出される前記超音波プローブ24の各方向に対応する前記時系列波形から、前記血管20の径方向の変化量が最も大きくなる前記超音波プローブ24の方向を検出する。すなわち、前記プローブ方向制御部102により変化させられた前記血管20に対する前記超音波プローブ24の各方向に対応して(各方向毎に)前記時系列波形検出部100により検出された前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を比較し、前記血管20の径方向の変化量が最も大きい時系列波形を判定する。そして、その判定された時系列波形に対応する前記超音波プローブ24の方向を、前記血管20の径方向の変化量が最も大きくなる前記超音波プローブ24の方向として検出する。
【0045】
前記周期検出部110は、前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形の周期を検出する。すなわち、前記生体14の心臓の拍動に同期した前記血管20の拍動周期を検出する。好適には、前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形における複数のピーク(極大値)を検出し、それら複数のピークの周期性から前記前記時系列波形の周期を検出する。好適には、前記偏向方向検出部104により検出された前記超音波プローブ24の方向に対応して前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形の周期を検出する。すなわち、前記偏向方向検出部104により検出された、前記血管20の径方向の変化量が最も大きくなる前記超音波プローブ24の方向に対応して前記時系列波形検出部100により検出された前記時系列波形における複数のピークを検出し、それら複数のピークの周期性から前記前記時系列波形の周期を検出する。好適には、前記偏向方向検出部104により検出された前記超音波プローブ24の方向に対応して前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形に関して、以下に示す前記周期検出部110の処理によりその周期を検出する。
【0046】
前記フレーム設定部106は、前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形に、所定の時間間隔に対応するフレームを設定する。
図17は、前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形の一例を示すと共に、その時系列波形にフレームが設定される様子を説明する図である。
図17に示すように、前記フレーム設定部106は、好適には、前記時系列波形検出部100により検出される時系列波形に、所定の時間間隔に対応するフレームを設定し、そのフレームを時間方向にシフト(平行移動)させてゆく。すなわち、第1に設定されるフレーム1から、時間方向に所定幅シフトさせてフレーム2を設定し、更に時間方向に所定幅シフトさせてフレーム3を設定し、・・・といったように、前記所定の時間間隔に対応するフレームを時間方向に所定幅ずつずらしながら順次設定してゆく。前記フレームに対応する時間間隔は、好適には、前記時系列波形の2〜3周期が含まれる大きさとされ、
図17に示す例では65(ms)程度とされている。前記フレームのシフト幅(時間方向の平行移動幅)は、好適には、10(ms)程度とされる。前記フレーム設定部106は、好適には、前記フレームに対応する時間間隔を変化させつつそのフレームを適用するものであってもよい。
【0047】
前記フレーム内波形取得部108は、前記フレーム設定部106により設定された前記フレームに含まれる前記時系列波形を取得する。すなわち、前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形のうち、前記フレーム設定部106により設定された前記フレームに対応する時間間隔に含まれる時系列波形を取得(抽出)する。前記フレーム内波形取得部108は、前記フレーム設定部106により前記フレームを時間方向にシフトさせる制御に対応して、各シフト時における前記フレームに含まれる前記時系列波形を取得し、所定の記憶装置に記憶させる。
【0048】
前記周期検出部110は、好適には、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数(自己相関値)を算出し、算出された自己相関関数に基づいて前記時系列波形の周期を検出する。
図18は、
図17に示す時系列波形に対応して算出された自己相関値を示す図である。
図17に示す時系列波形における周期の真値は22(ms)である。
図18に示すように、前記周期検出部110は、好適には、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関値が最大(極大)となる位相値を、前記時系列波形の周期として算出する。
図18に示す例では、22〜23(ms)程度の位置に自己相関値の極大値が存在しており、
図17に示す時系列波形における周期の真値とよく一致していることがわかる。
【0049】
前記周期検出部110は、好適には、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数の勾配を算出し、算出された自己相関関数の勾配に基づいて前記時系列波形の周期を検出する。前記時系列波形の自己相関関数の勾配とは、その自己相関関数の時間微分値に相当する。前記時系列波形の自己相関関数の勾配を算出することで、その時系列波形におけるノイズの影響を低減してピークを強調することができ、斯かるピークを好適に検出することができる。更に好適には、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数の勾配を算出し、前記各フレームに対応して算出される前記勾配の総和の平均に基づいて前記時系列波形の周期を検出する。前記周期検出部110は、好適には、前記時系列波形の自己相関関数の勾配の最大値(極大値)に対応する値を、前記時系列波形のピークとして前記検出を行う。斯かる処理によれば、前記血管20の拍動周期を更に好適且つ実用的な態様で検出することができる。好適には、前記測定装置10による前記血管20の測定に際して、以上に詳述した前記周期検出部110による処理を繰り返し実行(継続)し、前記血管20の動きに変化が生じた場合には、その血管20の径寸法の変化の周期を更新する。斯かる処理により、前記血管20の拍動周期に係るタイミングのとり外れを抑制できる。
【0050】
図6に示す前記拍動タイミング検出部112は、前記周期検出部110により検出された前記時系列波形の周期に基づいて、前記血管20の拍動タイミングを検出する。この血管20の拍動タイミングとは、前記生体14における心臓の拍動(心拍)に同期して前記血管20が拍動するタイミングであり、好適には、血管径が最大(極大)或いは最小(極小)となるタイミングに相当する。前記拍動タイミング検出部112は、好適には、前記周期検出部110により検出された前記時系列波形の周期に基づいて、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームのうち、前記血管20の拍動タイミングに対応するフレーム(拍動フレーム)を検出する。例えば、前記時系列波形のピークを含むフレームを予めテンプレートとして設定し、そのテンプレートを基準とする自己相関関数が最大となるフレームを、前記血管20の拍動タイミングに対応するフレームとして検出する。以上のようにして、前記周期検出部110により検出された前記時系列波形の周期に基づいて、前記血管20の拍動タイミングが好適に検出される。すなわち、前記血管20の動きの周期性に基づいて、心拍検出のロバスト性を向上させることができる。好適には、前記拍動タイミング検出部112により検出された拍動タイミングの波形に基づいて前記時系列波形に係る閾値が設定され、その後の拍動タイミングの検出に用いられる。
【0051】
図19は、前記測定装置22の前記電子制御装置28による血管壁移動量測定制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0052】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、観察対象となる前記血管20の短軸断面周囲にROI(関心領域)が設定される。次に、SA2において、前記超音波プローブ24により受信された反射信号に関して画像微分処理が行われ、輝度の変化が大きい部分(エッジ等)が特徴点として抽出される。次に、SA3において、SA2にて抽出された特徴点の周囲の画像パターンが、前記電子制御装置28等に備えられた所定の記憶装置に記憶される。次に、SA4において、経時的に取り込まれる新しい画像(先に取得された画像から所定時間経過後に取得される画像)内で、SA3にて記憶される画像パターンが一致する部分が検出される。次に、SA5において、SA4にて検出された2つの画像(画像パターン)での移動量が算出され、所定の記憶装置に記憶される。次に、SA6において、
図16に示すように前記血管20の短軸断面画像の周方向に設定された各ブロック(領域ブロック)に属する特徴点に関して、SA5にて記憶された移動量の平均が算出される。次に、SA7において、前記血管20の周方向に設定された全てのブロックに対応する移動量の算出が終了したか否かが判断される。このSA7の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SA7の判断が否定される場合には、SA8において、前記血管20に対する前記超音波プローブ24の方向が、次のブロックに対応する方向(角度)に変化させられた後、SA1以下の処理が再び実行される。
【0053】
図20は、前記測定装置22の前記電子制御装置28による時系列波形作成制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この
図20に示す制御は、好適には、前述した
図19に示す制御と併行して実行されるものである。
【0054】
先ず、SB1において、前記血管20の周方向に設定された各ブロック毎の移動量、すなわち
図19に示す制御におけるSA6にて算出される移動量の時系列データ(時系列波形)が検出され、所定の記憶装置に記憶される。次に、SB2において、SB1にて記憶された時系列データのうち、任意の時間帯幅に対応する時系列データがテンプレートとして所定の記憶装置に記憶される。
【0055】
図21は、前記測定装置22の前記電子制御装置28による拍動ピーク検出制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この
図21に示す制御は、好適には、前述した
図19及び
図20に示す制御と併行して実行されるものである。
【0056】
先ず、SC1において、記憶装置に記憶された移動量のテンプレート、すなわち
図20に示す制御におけるSB2にて設定されたテンプレート幅と同じ時間間隔に対応する時系列データを用い、各時系列データの自己相関が前記テンプレートより求められる。すなわち、前記時間間隔に対応するフレームがシフトされつつ、各フレーム内に含まれる時系列データの自己相関値が算出される。次に、SC2において、前記血管20の周方向に設定されたブロックのうち、SC1にて算出される自己相関が最も大きいブロックが、周期検出ブロックとして判定される。そして、その周期検出ブロックに関して、時系列データのピッチ周期が検出される。次に、SC3において、時系列データの周期が検出された後に、連続して入力される移動量の時系列データにおいて、検出された周期に基づいて予測される次回の拍動時間の周辺に拍動ピークが検出される。次に、SC4において、連続して入力される移動量の時系列データが、SB2にて設定されたテンプレート幅となったか否かが判断される。このSC4の判断が否定される場合には、SC3以下の処理が再び実行されるが、SC4の判断が肯定される場合には、SC5において、前記血管20の拍動ピークの検出が終了させられるか否かが判断される。このSC5の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SC5の判断が否定される場合には、SC6において、任意の時間帯幅に対応する時系列データが新しいテンプレートとして設定された後、SC3以下の処理が再び実行される。
【0057】
以上の制御において、SA1〜SA6が前記時系列波形検出部100の動作に、SA7及びSA8が前記プローブ方向制御部102の動作に、SC2が前記偏向方向検出部104の動作に、SB1及びSB2が前記フレーム設定部106の動作に、SC1が前記フレーム内波形取得部108の動作に、SC2が前記周期検出部110の動作に、SC3が前記拍動タイミング検出部112の動作に、それぞれ対応する。
【0058】
このように、本実施例によれば、前記血管20に対して超音波を放射させ、且つその超音波の反射信号を受信する超音波プローブ24と、前記血管20に対するその超音波プローブ24の方向を変化させるプローブ方向制御部102(SA7及びSA8)と、そのプローブ方向制御部102により変化させられる前記超音波プローブ24の各方向に対応して、前記超音波プローブ24により受信される前記反射信号に基づいて前記血管20の径方向の変化量の時系列波形を検出する時系列波形検出部100(SA1〜SA6)と、その時系列波形検出部100により検出される前記超音波プローブ24の各方向に対応する前記時系列波形から、前記血管20の径方向の変化量が最も大きくなる前記超音波プローブ24の方向を検出する偏向方向検出部104(SC2)とを、備えたものであることから、前記血管20の変化の仕方が周囲の筋肉70等の組織や超音波プローブ24による拘束等に起因して偏向する場合においても、前記血管20の径寸法の変化を好適に測定できる。すなわち、血管20の拍動タイミングを好適に検出する測定装置22を提供することができる。
【0059】
前記偏向方向検出部104により検出された前記超音波プローブ24の方向に対応して前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形の周期を検出する周期検出部110(SC2)と、その周期検出部110により検出された前記時系列波形の周期に基づいて前記血管20の拍動タイミングを検出する拍動タイミング検出部112(SC3)とを、備えたものであるため、前記血管20の変化の仕方が周囲の筋肉70等の組織や超音波プローブ24による拘束等に起因して偏向する場合においても、前記血管20の拍動タイミングを好適且つ実用的な態様で検出することができる。
【0060】
前記時系列波形検出部100により検出される前記時系列波形に、所定の時間間隔に対応するフレームを設定するフレーム設定部106(SB1及びSB2)と、そのフレーム設定部106により設定される前記フレームを時間方向にシフトさせ、各シフト時における前記フレームに含まれる前記時系列波形を取得するフレーム内波形取得部108(SC1)とを、備え、前記周期検出部110は、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数を算出し、算出された自己相関関数に基づいて前記時系列波形の周期を検出するものであるため、前記血管20の拍動タイミングを好適且つ実用的な態様で検出することができる。
【0061】
前記周期検出部110は、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数の勾配を算出し、算出された自己相関関数の勾配に基づいて前記時系列波形の周期を検出するものであるため、前記血管20の拍動タイミングを好適且つ実用的な態様で検出することができる。
【0062】
前記周期検出部110は、前記フレーム内波形取得部108により取得された前記各フレームに含まれる時系列波形の自己相関関数の勾配を算出し、前記各フレームに対応して算出される前記勾配の総和の平均に基づいて前記時系列波形の周期を検出するものであるため、前記血管20の拍動タイミングを好適且つ実用的な態様で検出することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。