【解決手段】液状体を封入した包装袋の製造方法は、搬送されるフィルムFの流れ方向に沿った端縁同士をシールして縦シール部102を形成し、フィルムFを略筒形状とする縦シール工程と、縦シール部102よりも内側に縦シール部102に沿って、縦シール部102よりも低いシール強度でフィルムF同士をシールして弱シール部104を形成する弱シール工程と、略筒形状にされたフィルムFの流れ方向に交差する方向をシールして横シール部103を形成する横シール工程と、包装袋100の縦シール部102と弱シール部104との間、又は、弱シール部104上に開封線107を形成する開封線形成工程とを備える。
重ねたフィルムの端縁同士をシールした縦シール部と、前記縦シール部と交差する上端縁同士及び下端縁同士をそれぞれシールした横シール部とを有し、前記フィルム内に液状体を封入する包装袋であって、
少なくとも前記縦シール部及び前記横シール部に囲まれ、前記液状体が保持される液状体保持部と、
前記液状体保持部内であって前記縦シール部の内側に前記液状体保持部の縦幅よりも狭く形成され、前記液状体保持部に保持された前記液状体を外部に放出する開口部と、
前記開口部上において前記縦シール部に沿うようにして形成され、前記フィルムを前記縦シール部に比して低いシール強度でシールする弱シール部と、
前記弱シール部と前記縦シール部との間、又は、前記弱シール部上に形成され、前記開口部から前記縦シール部を切り離す開封線と、
を備える包装袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、開封した際に液状体が噴出してしまうのを抑制することができる包装袋の製造方法、包装袋の製造装置、包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、液状体を封入した包装袋(100)の製造方法であって、搬送されるフィルム(F)の流れ方向に沿った端縁同士をシールして縦シール部(102)を形成し、前記フィルムを略筒形状とする縦シール工程と、前記縦シール部よりも内側に前記流れ方向に沿って、前記縦シール部よりも低いシール強度で前記フィルム同士をシールして弱シール部(104)を形成する弱シール工程と、略筒形状にされた前記フィルムの前記流れ方向に交差する方向をシールして横シール部(103)を形成する横シール工程と、前記包装袋の前記縦シール部と前記弱シール部との間、又は、前記弱シール部上に開封線(107)を形成する開封線形成工程とを備える包装袋の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1又は請求項2に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記縦シール工程と同時に実施されることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項3の発明は、請求項1に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記開封線形成工程と同時に実施されることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の包装袋の製造方法において、略筒形状にされた前記フィルム(F)の筒内に液状体を充填する液状体充填工程を備え、前記弱シール工程は、前記液状体充填工程前に実施されることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の包装袋の製造方法において、前記フィルム(F)は、基材と、前記基材上に設けられ、加熱することによって溶融するシーラント層とを有する積層フィルムであり、前記縦シール工程及び前記弱シール工程は、前記シーラント層が対向した状態で、前記シーラント層を加熱する加熱部(5a、6a)を押し当てることによって、前記シーラント層を溶融させて前記フィルム同士をシールしていることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記縦シール工程よりも前記加熱部の押し当てる力を弱くしていること、を特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の包装袋の製造方法において、前記縦シール工程及び前記弱シール工程の前記加熱部は、熱ローラ(5a、6a)であり、前記弱シール工程で用いる熱ローラ(6a)は、そのローラ径(H2)が、前記縦シール工程で用いる熱ローラ(5a)のローラ径(H1)に比して小さい(H2<H1)ことを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項8の発明は、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記加熱部(6a)の温度を、前記縦シール工程の前記加熱部(5a)よりも低下させていることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項9の発明は、請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記縦シール工程よりも前記加熱部(6a)を押し付ける時間を短くすることを特徴とする包装袋の製造方法である。
請求項10の発明は、請求項5から請求項9までのいずれか1項に記載の包装袋の製造方法において、前記弱シール工程は、前記縦シール工程よりも前記加熱部(6a)を前記フィルムに押し付ける単位面積当たりのシール面積が狭いこと、を特徴とする包装袋の製造方法である。
【0006】
請求項11の発明は、液状体を封入した包装袋の製造装置(1)であって、搬送されるフィルム(F)の流れ方向に沿った端縁同士をシールして縦シール部(102)を形成し、前記フィルムを略筒形状とする縦シール装置(5)と、前記縦シール部よりも内側に前記流れ方向に沿って、前記縦シール部よりも低いシール強度で前記フィルム同士をシールして弱シール部(104)を形成する弱シール装置(6)と、略筒形状にされた前記フィルムの前記流れ方向に交差する方向をシールして横シール部(103)を形成する横シール装置(9)と、前記包装袋(100)の前記縦シール部と前記弱シール部との間、又は、前記弱シール部上に開封線(107)を形成する開封線形成装置(7)とを備える包装袋の製造装置である。
【0007】
請求項12の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項の包装袋の製造方法によって製造された包装袋(100)である。
請求項13の発明は、重ねたフィルム(F)の端縁同士をシールした縦シール部(102)と、前記縦シール部と交差する上端縁同士及び下端縁同士をそれぞれシールした横シール部(103)とを有し、前記フィルム内に液状体を封入する包装袋(100)であって、少なくとも前記縦シール部及び前記横シール部に囲まれ、前記液状体が保持される液状体保持部(105)と、前記液状体保持部内であって前記縦シール部の内側に前記液状体保持部の縦幅よりも狭く形成され、前記液状体保持部に保持された前記液状体を外部に放出する開口部(106)と、前記開口部上において前記縦シール部に沿うようにして形成され、前記フィルムを前記縦シール部に比して低いシール強度でシールする弱シール部(104)と、前記弱シール部と前記縦シール部との間、又は、前記弱シール部上に形成され、前記開口部から前記縦シール部を切り離す開封線(107)と、を備える包装袋である。
請求項14の発明は、請求項13に記載された包装袋(100)において、前記フィルム(F)の前記液状体保持部(105)が形成される領域外に設けられ、前記液状体保持部から前記液状体を押し出す場合に当該包装袋を把持する押出補助部(108)を備えることを特徴とする包装袋である。
請求項15の発明は、請求項14に記載された包装袋(100)において、前記押出補助部(108)は、前記フィルム(F)の前記開口部(106)とは反対側に設けられることを特徴とする包装袋である。
請求項16の発明は、請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載された包装袋(100)において、前記フィルム(F)の前記液状体保持部(105)が形成される領域外に設けられ、前記開封線(107)によって前記開口部(106)から前記縦シール部(102)を切り離す場合に当該包装袋を把持する切離補助部(109)を備えることを特徴とする包装袋である。
請求項17の発明は、請求項13から請求項16までのいずれか1項に記載された包装袋(100)において、前記開封線(107)によって前記開口部(106)から切り離された前記縦シール部(102)は、少なくとも一部が前記横シール部(103)に接続されていることを特徴とする包装袋である。
以上、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明したが、これに限定されるものではない。なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封した際に液状体が噴出してしまうのを抑制することができる包装袋の製造方法、包装袋の製造装置、包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の包装袋の全体構成を説明する図である。
図1において、包装袋の左右方向(横)をx方向、上下(縦)方向をy方向とする。
包装袋100は、液状体、例えば、納豆のたれや、ラーメンのスープ、ドレッシング等を封入する袋である。
包装袋100は、基材と、加熱することによって溶融するシーラント層とを有する積層フィルムをシーラント層が対向するようにして2つ折りにし、
図1に示すように、折り目部101を除く3辺を縦シール部102、横シール部103によってシールすることにより形成されている。ここで、積層フィルムの基材は、PET等から構成され、シーラント層は、基材よりも融点の低いポリエチレン等から構成される。
また、包装袋100には、弱シール部104、液状体保持部105、開口部106、開封線107、押出補助部108、切離補助部109等が構成されている。
包装袋100は、開封線107によって縦シール部102が切り離されることによって、液状体保持部105に封入された液状体を放出することができる。
【0011】
縦シール部102は、折り目部101に対向する端縁同士をシールした部分である。縦シール部102は、液状体を包装袋100から放出する場合に、開封線107によって包装袋100から切り離される。
横シール部103は、折り目部101と交差する上端縁同士及び下端縁同士をそれぞれシールした部分であり、上端側をシールした上端側横シール部103aと、下端側をシールした下端側横シール部103bとを備える。
【0012】
弱シール部104は、開口部106上の開口端106a近傍において、縦シール部102に沿うようにして形成され、折り重なった積層フィルムを縦シール部102に比して弱い力でシールした部分である。これにより、包装袋100は、開封線107によって縦シール部102が切り離されたとしても、開口部106の開口端106aが弱シール部104により閉じられた状態となる。そのため、液状体保持部105に保持された液状体がその開口端106aから液だれしたり、噴出したりするのを抑制することができる。
また、この包装袋100は、液状体を保持した液状体保持部105に所定の圧力を加えることにより、弱シール部104のシールが剥がれ、開口部106の開口端106aの放出口が開放され、液状体を外部に放出することができる。
【0013】
液状体保持部105は、折り目部101、縦シール部102及び横シール部103に囲まれ、液状体が保持される部分である。
開口部106は、液状体保持部105の縦シール部102側に設けられ、液状体保持部105に保持された液状体を外部に放出する部分である。具体的には、開口部106は、開封線107によって縦シール部102が包装袋100から切り離された場合に、開口部106の開口端106aに液状体の放出口が形成される。
【0014】
また、開口部106は、液状体保持部105の縦幅よりも狭く形成されている。このように開口部106の縦幅を狭く形成することによって、包装袋100は、液状体保持部105の外部から圧力をかけて液状体を放出する場合において、液状体が液状体保持部105よりも狭くなった開口部106に集中するため、開口端106aにおける液状体の圧力が高まり、開口部106を塞ぐ弱シール部104のシールの剥離を容易にすることができる。
また、開口部106の縦幅は、開口端106a側に向かうにつれて、徐々に狭くなるように形成されており、液状体の放出をより滑らかにするとともに、放出した液状体が液状体保持部105内に残存してしまうのを抑制することができる。
【0015】
開封線107は、包装袋100の開口部106から縦シール部102を切り離すミシン目である。本実施形態では、開封線107は、縦シール部102及び弱シール部104の間において、包装袋100の上端から下端に渡って形成されている。
押出補助部108は、包装袋100から縦シール部102を切り離す場合に、使用者の指が把持する部分であり、包装袋100の液状体保持部105が形成される領域外に設けられる。本実施形態では、押出補助部108は、上端側横シール部103a及び下端側横シール部103b上のそれぞれの折り目部101側(+x側、開口部106とは反対側)に設けられている。
このように押出補助部108を設けることによって、包装袋100の液状体保持部105から液状体を放出するのを容易にすることができる。
【0016】
切離補助部109は、包装袋100から縦シール部102を切り離す場合に、使用者の指が把持する部分であり、包装袋100の液状体保持部105が形成される領域外に設けられる。本実施形態では、切離補助部109は、上端側横シール部103a及び下端側横シール部103b上であって、開封線107よりも折り目部101側(+X側)に設けられている。
ここで、包装袋100に切離補助部109が形成されていない場合、包装袋から縦シール部102を切り離すときに、液状体保持部105を主に把持することとなるが、液状体保持部105を把持すると、縦シール部102を切り離す前から液状体に所定の圧力を加えてしまうこととなり、縦シール部102を切り離した瞬間に開口部106から液状体が噴出してしまう可能性がある。そのため、本実施形態では、包装袋100に切離補助部109を設け、縦シール部102の切り離しの際に切離補助部109を把持することによって、液状体保持部105に保持される液状体に外力が加わってしまうのを回避し、上述した開封時の液状体の噴出を防ぐことができる。
なお、上述の縦シール部102や、押出補助部108、切離補助部109等には、把持する指の滑り止めのために、その表面に微細な凹凸形状を設けるようにしてもよい。
【0017】
次に、本実施形態の包装袋100を開封して、液状体を放出する方法について説明する。
図2は、本実施形態の包装袋から液状体が放出されるまでの状態を説明する図である。
使用者は、包装袋100に封入された液状体を放出する場合、
図2(a)に示すように、まず、一方の手の指で包装袋100の切離補助部109を把持し、他方の手の指で縦シール部102を把持する。そして、
図2(b)に示すように、開封線107を境にして縦シール部102を包装袋100(開口部106)から切り離す。
次に、使用者は、
図2(c)に示すように、一方の手の指で包装袋100の押出補助部108を把持した状態で、他方の手の指で液状体保持部105を押圧する。このとき、使用者は、液状体保持部105を押圧する指を、折り目部101側から開口部106の開口端106a側へと徐々に移動させる。これにより、液状体保持部105の液状体は、開口部106側へと移動し、その移動により生じた圧力によって弱シール部104のシールが剥離し、開口端106aから徐々に押し出されることとなる。
【0018】
次に、本実施形態の包装袋100の製造装置1について説明する。
図3は、本実施形態の包装袋の製造装置の構成を説明する図である。
図4は、本実施形態の包装袋の製造工程の詳細を説明する概略図ある。
図4(a)は、ガイドローラから搬送される積層フィルムFに施される各工程を説明する図である。
図4(b)は、
図4(a)のb−b断面図であり、
図4(c)は、
図4(a)のc−c断面図である。
図3、
図4において、製造装置1の左右方向をX方向、奥行方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。なお、
図4において、第2横シール装置以降の工程は省略している。
【0019】
製造装置1は、積層フィルムが巻き回された原反ロールFRから引き出された積層フィルムから液状体を封入した複数の包装袋を製造する装置である。製造装置1は、
図3に示すように、繰り出しローラ2、ガイドローラ3、折り畳み機構4、縦シール装置5、弱シール装置6、開封線形成装置7、液状体充填装置8、第1横シール装置9、第2横シール装置10、第1切断装置11、第2切断装置12、搬出部13、制御部14等から構成されている。
【0020】
繰り出しローラ2は、原反ロールFRから所定量の積層フィルムFを引き出す装置である。本実施形態では、繰り出しローラ2は、原反ロールFRの上方(+Z方向)に設けられ、積層フィルムFを製造装置1の上方へと引き出す。繰り出しローラ2は、回転モータによって駆動される。
ガイドローラ3は、繰り出しローラ2によって引き出された積層フィルムFを、折り畳み機構4へと導く。本実施形態では、ガイドローラ3は、折り畳み機構4の真上であって製造装置1の最上部に配置されており、上方に向かって引き出された積層フィルムFの流れ方向を鉛直下向き(−Z方向)に反転させて、折り畳み機構4へと導いている。
折り畳み機構4は、ガイドローラ3により鉛直下向きに搬送される積層フィルムを流れ方向に沿うようにして2つ折りにする。ここで、折り畳み機構4は、シーラント層が互いに対向するようにして積層フィルムを2つ折りにする。
【0021】
縦シール装置5は、搬送される積層フィルムFの流れ方向(Z方向)に沿った端縁同士、すなわち、2つ折りにした積層フィルムFの折り目に対向する端縁同士をシールして包装袋100の縦シール部102を形成する装置である。縦シール装置5は、
図4(b)に示すように、流れ方向に搬送される積層フィルムFに接触しながら回転する熱ローラ5aを2つ備えている。縦シール装置5は、その熱ローラ5aにより搬送される積層フィルムを挟み込み、加熱及び加圧することによって、互いに対向するシーラント層を溶融させて積層フィルム同士を接着し、縦シール部102を形成する。この縦シール部102が形成されることによって、搬送される積層フィルムFは、略筒形状となる。
【0022】
弱シール装置6は、縦シール部102よりも内側に縦シール部102に沿うようにして弱シール部104を形成する装置である。弱シール装置6は、
図4(c)に示すように、流れ方向に搬送される積層フィルムに接触して回転する熱ローラ6aを2つ備えている。弱シール装置6は、この熱ローラ6aにより搬送される積層フィルムFを挟み込み、加熱及び加圧することによって、互いに対向するシーラント層を溶融させて積層フィルム同士を接着し、弱シール部104を形成する。
本実施形態では、弱シール装置6の熱ローラ6aは、
図4(a)に示すように、縦シール装置5の熱ローラ5aの回転軸と共通の軸上に設けられており、縦シール部102を形成する工程(縦シール工程)と、弱シール部104を形成する工程(弱シール工程)とを同時に行っている。これにより、各工程の実施スペースの省スペース化を実現することができ、製造装置1を小型化することができる。また、縦シール工程及び弱シール工程における消費電力を低減させることができる。
なお、弱シール装置6の弱シール工程と、縦シール装置5による縦シール工程とは、個別の工程で実施されるようにしてもよい。すなわち、縦シール装置5による縦シール工程を実施した後に、弱シール装置6による弱シール工程を実施するようにしてもよく、また、その逆も可能である。
【0023】
また、弱シール装置6は、縦シール装置5に比して低いシール強度で2つ折りにされた積層フィルム同士をシールする。本実施形態では、弱シール装置6の熱ローラ6aは、そのローラ径H2が、縦シール装置5の熱ローラ5aのローラ径H1に比して小さくなる(H2<H1)ように形成されている。上述したように、熱ローラ5a及び熱ローラ6aは同じ回転軸上に設けられているので、熱ローラ6aによって挟み込む圧力は、熱ローラ5aによって挟み込む圧力よりも小さくなり、弱シール部104のシール強度が、縦シール部102に比して低くなる。ここで、ローラ径H1及びローラ径H2の差は、折り重ねた積層フィルムFの厚みよりも小さい寸法である。
【0024】
なお、弱シール部104のシール強度は、上述のように、積層フィルムに対する熱ローラの圧力を、縦シール部102を形成する場合よりも小さくすることによって、縦シール部102のシール強度よりも低減させているが、これに限定されるものでない。例えば、弱シール部104の形成時におけるシーラント層の加熱温度を、縦シール部102の形成時に比して低くしたり、弱シール部104の形成時における加熱時間を、縦シール部102の形成時に比して短くしたり、弱シール部104の形成時における加圧及び加熱の時間を、縦シール部102の形成時に比して小さくしたりすることも可能である。
また、弱シール部104の単位面積当たりのシール面積を、縦シール部102のシール面積に比して狭くすることでシール強度に差異を設けることも可能である。例えば、弱シール部104を形成する熱ローラ6aの加熱面に、格子模様や、市松模様等を付して加熱面積を、縦シール部102を形成する熱ローラ5aの加熱面に比して狭くするようにしてもよい。
【0025】
開封線形成装置7は、積層フィルムFに形成された縦シール部102と弱シール部104との間に開封線(ミシン目)を形成する装置である。開封線形成装置7は、
図4(b)に示すように、円盤状に形成され、その外周に刃が形成された回転刃7aと、ローラの周側面に凹凸形状が形成された刃受けローラ7bとから構成されており、搬送される積層フィルムFを回転刃7a及び刃受けローラ7bで挟み込むことによって、ミシン目を形成する。
なお、本実施形態では、開封線形成装置7は、縦シール装置5と第1横シール装置9との間に配置されるが、これに限定されるものでなく、例えば、第2横シール装置10の後工程として配置してもよい。
【0026】
液状体充填装置8は、略筒形状に形成された積層フィルムFの筒内に液状体を充填する装置である。液状体充填装置8は、充填ノズル8aを有し、この充填ノズル8aが略筒形状に形成された積層フィルムFの筒内に挿入される。筒内に挿入された充填ノズル8aの充填口は、弱シール装置6と第1横シール装置9との間に配置される。そのため、充填ノズル8aから放出される液状体が、縦シール部102及び弱シール部104間に充填されてしまうのを防ぐことができる。
【0027】
第1横シール装置9は、略筒形状にされた積層フィルムFの流れ方向(−Z方向)に交差する方向をシールして横シール部103を形成する装置である。本実施形態では、第1横シール装置9は、
図4(b)に示すように、横シール部103の形状に対応する熱板部9aが回転軸9b上に複数台(4台)、等間隔(90度置き)に設けられた熱板ローラを2つ備えている。横シール装置9は、この熱板ローラを回転させ、流れ方向に搬送される積層フィルムを熱板部9aで挟み込み、加熱及び加圧することによって、互いに対向するシーラント層を溶融させて接着し、横シール部103を形成する。
第2横シール装置10は、第1横シール装置9と同様の構成を備えたシール装置であり、熱板部10a及び回転軸10bから構成される熱板ローラを備える。第2横シール装置10は、第1横シール装置9によって形成された横シール部103上に更に熱板部10aを押し当てて、横シール部103のシール強度を向上させる。
【0028】
第1切断装置11は、縦シール部102及び横シール部103が形成され、液状体が封入された積層フィルムFの幅方向(流れ方向に交差する方向)に、包装袋100の外形に合わせてミシン目を形成する装置である。このミシン目を形成することによって、積層フィルムは、ミシン目を境にして連接された複数の包装袋100の形態となる。
第2切断装置12は、第1切断装置11によってミシン目が形成された積層フィルムFを、複数個(例えば、3個)単位の包装袋で切断する装置である。
搬出部13は、第2切断装置12によって切断された複数個単位の包装袋100を製造装置1外へと搬出する部分である。本実施形態では、搬出部13は、切断された複数個単位の包装袋100を製造装置1の手前側に搬出する滑り台により構成される。
制御部14は、上述の製造装置1の各部を統括して制御する制御装置であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。
【0029】
次に、本実施形態の包装袋100を製造方法について説明する。
製造装置1の電源が投入され、製造装置1に配置された原反ロールFRの積層フィルムが製造装置1の各部に適正に配置されたら、製造装置1の制御部14は、繰り出しローラ2を回転させて積層フィルムを原反ロールFRから引き出す。原反ロールから引き出された積層フィルムは、
図4(a)に示すように、ガイドローラ3によって鉛直下方向(−Z方向)に流れ方向が反転し、折り畳み機構4により2つ折りにされ、縦シール装置5及び弱シール装置6へと搬送される。
【0030】
続いて、制御部14は、縦シール装置5及び弱シール装置6に搬送された積層フィルムFを、縦シール装置5の熱ローラ5aを回転させて加圧及び加熱して縦シール部102を形成させる(縦シール工程)。また、これと同時に、弱シール装置6の熱ローラ6aを回転させて加圧及び加熱して弱シール部104を形成させる(弱シール工程)。
次に、制御部14は、縦シール部102及び弱シール部104が形成された積層フィルムFを、開封線形成装置7に搬送させ、回転刃7a及び刃受けローラ7b間に挟み込ませ、縦シール部102及び弱シール部104間に開封線107を形成させる(開封線形成工程)。
【0031】
それから、制御部14は、開封線107が形成された積層フィルムFを、第1横シール装置9へと搬送させ、熱板ローラを回転させて加圧及び加熱することによって、積層フィルムFの流れ方向に対して所定の間隔で順次、横シール部103を形成させる(横シール工程)。
このとき、制御部14は、液状体充填装置8を駆動して、略筒形状に形成された積層フィルムFの筒内に液状体を充填させる(液状体充填工程)。液状体は、積層フィルムFの筒内であって、上述の第1横シール装置によって形成された横シール部103より上方に充填され、所定の間隔で流れ方向に順次形成される横シール部103によって、積層フィルムFの筒内で分割される。これにより、流れ方向に隣り合う横シール部103間には、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、液状体保持部105が形成されるとともに、そこに液状体が封入された状態となり、積層フィルムは、液状体を封入した包装袋100が連接した状態となる。
続いて、制御部14は、積層フィルムFを、第2横シール装置10へと搬送させ、第2横シール装置10の熱板ローラを回転させて、第1横シール装置9において形成した横シール部103上を再度、加圧及び加熱し、横シール部103のシール強度を向上させる。
【0032】
次に、制御部14は、液状体が封入された包装袋100が連接された状態となった積層フィルムFを第1切断装置11に搬送させ、積層フィルムFの幅方向(流れ方向に交差する方向)に、包装袋100を個片化するミシン目を形成させる。なお、このミシン目は、連接された包装袋100の境となる横シール部103の中央に形成される。
それから、制御部14は、ミシン目が形成された積層フィルムFを第2切断装置12に搬送させ、連接した包装袋100を複数個(例えば、3個)単位で切断する。なお、切断された複数個単位で連接した包装袋100は、搬出部13から製造装置1外へと搬出される。また、複数個単位で連接した包装袋100は、使用に応じて第1切断装置11により形成されたミシン目により個片化される。
なお、上述の説明では、連接した包装袋100が、第2切断装置12により複数個単位で切断される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、連接した包装袋100が、1つずつに個片化した状態で切断されるようにしてもよい。この場合、第1切断装置11を停止させて、第2切断装置によって、液状体が封入された包装袋100が連接された状態となった積層フィルムFを包装袋100の外形に合わせて切断させる必要がある。
【0033】
以上より、本実施形態の包装袋、包装袋の製造方法及び製造装置は、以下の効果を奏する。
(1)包装袋100は、縦シール部102よりも内側に流れ方向に沿って、縦シール部よりも低いシール強度で積層フィルム同士をシールした弱シール部104を備えるので、縦シール部102を包装袋100で切り離した直後に、封入された液状体が開口部106から液だれしたり、噴出したりしてしまうのを抑制することができる。
(2)包装袋100は、液状体保持部105が形成される領域外に、液状体保持部105から液状体を押し出す場合に包装袋100を指で把持する押出補助部108を備えている。これにより、包装袋100は、縦シール部102が切り離され開封された場合に、容易に弱シール部104のシールを剥離させて、液状体保持部に充填された液状体を開口部から押し出すことができる。
【0034】
(3)包装袋100は、押出補助部108が開口部106とは反対側に設けられているので、より効率よく弱シール部104のシールを剥がし、液状体の液状体保持部105から押し出すことができる。
(4)包装袋100は、液状体保持部105が形成される領域外に、開封線107によって開口部106から縦シール部102を切り離す場合に包装袋100を指で把持する切離補助部109を備えている。これにより、液状体保持部105内の液状体に圧力を加えることなく、容易に縦シール部102を包装袋100から切り離すことができる。
【0035】
(5)包装袋の製造方法及び製造装置によれば、積層フィルムFの縦シール部102よりも内側に縦シール部102に沿って、縦シール部102よりも低いシール強度で積層フィルムF同士をシールして弱シール部104を形成する。これにより、上述の弱シール部104を備えた包装袋100を容易に製造することができる。
また、弱シール部104が、積層フィルムFの流れ方向に沿って連続して形成されるので、間欠的なシール形成を繰り返す横シール部103の形成に比して、安定して熱ローラを積層フィルムに接触させることができ、弱シール部104のシール強度を安定させることができる。
【0036】
(6)包装袋の製造方法及び製造装置によれば、縦シール装置5及び弱シール装置6の各熱ローラ5a、6aの回転軸を共通にして、弱シール部104を形成する工程を、縦シール部102を形成する工程と同時に実施しているので、縦シール工程及び弱シール工程を個別に実施する場合に比して各工程の実施スペースの省スペース化を実現することができ、製造装置1を小型化させることができる。また、各熱ローラ5a、6aの回転軸を共通にすることによって、縦シール工程及び弱シール工程における電力の消費量を低減することができる。
(7)包装袋の製造方法及び製造装置によれば、弱シール部104を形成する工程を、液状体を充填する工程前に実施しているので、包装袋100の縦シール部102及び弱シール部104間に液状体が充填されてしまうのを防ぐことができる。
【0037】
(8)包装袋の製造方法及び製造装置によれば、弱シール部104を形成する工程が、縦シール部102を形成する工程に比して熱ローラが押し当てられる力を弱くしているので、弱シール部104のシール強度を縦シール部102よりも低くすることができる。
(9)包装袋の製造方法及び製造装置によれば、弱シール部104を形成する熱ローラ6aのローラ径H2が、縦シール部102を形成する熱ローラ5aのローラ径H1に比して小さい(H2<H1)ので、より具体的に、積層フィルムに対する熱ローラ6aの圧力を、熱ローラ5aに比して低減させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の包装袋の製造工程を説明する図であり、
図4に対応する図である。
図5(a)は、ガイドローラから搬送される積層フィルムFに施される各工程を説明する図である。
図5(b)は、
図5(a)のb−b断面図であり、
図5(c)は、
図5(a)のc−c断面図である。
図5(d)は、
図5(a)のd−d断面図である。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0039】
第2実施形態の製造装置21は、弱シール装置16が超音波溶着装置である点と、縦シール装置5と同時に弱シール部を形成していない点とで、第1実施形態の製造装置1と主に相違する。
弱シール装置16は、
図5に示すように、周波数が20kHz以上の超音波エネルギーによって超音波振動を発生するホーン16aと、ホーン16aから超音波を受けるアンビル16bとから構成される超音波溶着装置である。
【0040】
弱シール装置16は、ホーン16aの先端部分と、アンビル16bとで積層フィルムFを挟み込むと、ホーン16aの先端部分に応力が加わり、先端部分との境界や応力が集中したところに摩擦熱が発生し、積層フィルムのシーラント層が溶融し、弱シール部104が形成される。
弱シール装置16は、第1実施形態の製造装置1と相違して縦シール装置5とは別体に構成されており、縦シール装置5による縦シール工程の後に弱シール工程が実施される。また、弱シール装置16は、アンビル16bが、開封線形成装置7の刃受けローラ7bの回転軸上に取り付けられており、開封線形成工程と、弱シール工程とを同時に実施する。
【0041】
以上より、本実施形態の包装袋の製造方法及び製造装置21は、上述の第1実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。
また、包装袋の製造方法及び製造装置21は、開封線形成工程と、弱シール工程とを同時に実施しているので、包装袋100の製造時間を短縮することができ、製造効率を向上させることができる。
更に、包装袋の製造方法及び製造装置21は、弱シール装置6を縦シール装置5とは別体に構成しているので、縦シール装置5とは独立して弱シール装置6の調整を行うことができ、容易に弱シール部104のシール強度の調節を行うことができる。特に、積層フィルムの厚みが都度、変更される場合等において有効である。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0043】
図6は、変形形態の包装袋の構成を説明する図である。
図7は、変形形態の製造装置の構成を説明する図である。
図7(a)は、搬送される積層フィルムFに施される各工程を説明する図である。
図7(b)は、
図7(a)のb−b断面図である。
(変形形態)
(1)各実施形態では、包装袋100の押出補助部108は、横シール部103上の開口部106とは反対側(折り目部側)に設けられる例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、
図6(a)に示すように、押出補助部108は、折り目部101及びその近傍をシールして形成してもよく、また、
図6(b)に示すように、折り目部101上の一部に形成するようにしてもよい。
【0044】
(2)各実施形態では、縦シール部102は、開封線107によって、開口部106だけでなく横シール部103からも切り離される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、
図6(c)に示すように、開封線107を、包装袋100の上端から下端に到達する手前まで形成し、開口部106から切り離された縦シール部102の少なくとも一部が横シール部103に接続された状態にするようにしてもよい。これにより、縦シール部102が開口部106から切り離された場合に、縦シール部102が包装袋100の本体から完全に切り離されてしまうのを防ぎ、縦シール部102が包装袋100とは別体のゴミとなってしまうのを防ぐことができる。
【0045】
(3)各実施形態では、包装袋100は、1枚の積層フィルムを2つ折りにして、折り目部101と対向する端縁同士をシールする等して製造される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、包装袋100は、2枚の積層フィルムを重ね合わせ、流れ方向に沿う端縁同士をシールする等して製造されるようにしてもよい。この場合、包装袋100は、
図6(d)に示すように、折り目部が形成される代わりに、縦シール部102が、開口部106側の辺だけでなく、開口部106とは反対側の辺にも形成されることとなる。
【0046】
(4)第1実施形態では、包装袋100は、押出補助部108が設けられる例で説明したが、これに限定されるものでなく、
図6(e)に示すように、押出補助部108を省略した形態としてもよい。例えば、横シール部103が指で十分に把持しうる程度の幅で形成されている場合、包装袋100に押出補助部が省略されていても、横シール部103を指で把持して液状体を押し出すことができる。また、このように押出補助部を省略することにより、包装袋100は、液状体保持部105の液状体の封入容積を増加させることができる。
【0047】
(5)各実施形態では、製造装置1は、積層フィルムから、一列に連接した包装袋を作成する例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、
図7に示すように、製造装置1は、複数列(
図7においては3列)に連接した包装袋を作成するようにしてもよい。この場合、製造装置1は、包装袋の列間を切断する第3切断装置20を設ける必要がある。なお、
図7においては、製造装置1は、上述の変形形態(3)に記載した2枚の積層フィルムを重ね合わせた包装袋100(
図6(d)参照)が製造される。
【0048】
(6)各実施形態では、開封線107は、ミシン目である例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、開封線107は、ミシン目の代わりにハーフカットを用いたり、開封線を形成する位置に細かい傷を設ける等の易開封加工を施したりしてもよい。
(7)各実施形態では、開封線107は、縦シール部102及び弱シール部104間に設けられる例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、開封線107は、弱シール部104上に設けるようにしてもよい。この場合、弱シール部104は、縦シール部102を包装袋から切り離した場合に、開口部106の開口端106aが開かない程度に十分な幅寸法で形成される必要がある。
(8)各実施形態では、開封線107は、回転刃7a及び刃受けローラ7bによって形成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、開封線107は、レーザ加工機によって形成されるようにしてもよい。