特開2015-86159(P2015-86159A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-86159抗菌・防腐剤組成物およびこれを配合した化粧料及び/又は皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-86159(P2015-86159A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】抗菌・防腐剤組成物およびこれを配合した化粧料及び/又は皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20150410BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20150410BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20150410BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 31/08 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 31/215 20060101ALI20150410BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20150410BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150410BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150410BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/63
   A61Q5/00
   A61Q19/00
   A61K31/08
   A61K31/215
   A61P31/04
   A61P31/10
   A61K9/08
   A61K47/04
   A61K47/10
   A61K47/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-225088(P2013-225088)
(22)【出願日】2013年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】301068114
【氏名又は名称】株式会社コスモステクニカルセンター
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊介
(72)【発明者】
【氏名】原田 夏海
(72)【発明者】
【氏名】李 金華
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC31
4C076DD09
4C076DD21
4C076DD38
4C076EE23
4C076FF12
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC542
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD491
4C083AD492
4C083CC04
4C083CC37
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C206CA23
4C206DB06
4C206DB47
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA05
4C206ZB32
(57)【要約】
【課題】安全性が高く防腐効果に優れた非水溶性の抗菌・防腐剤を、その抗菌・防腐効果を低下させることなく、安定かつ簡便に、透明の水系製剤に配合できる組成物の提供を課題とした。
【解決手段】成分(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤と、成分(B)アルキル部分の炭素数が4〜12であるアルキルグリセリルエーテルと、成分(C)脂肪酸部分の炭素数が4〜12である脂肪酸グリセリンエステルとを必須成分として含有し、さらに成分(D)水と、成分(E)2価ポリオールを含有することを特徴とする抗菌・防腐剤組成物が、優れた抗菌・防腐効果を有し、これを用いることで安定かつ簡便に、透明な水系製剤を得ることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を必須成分として含有し、透明な水系製剤に配合することが可能であることを特徴とする抗菌・防腐剤組成物
(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤
(B)アルキル部分の炭素数が4〜12であるアルキルグリセリルエーテル
(C)脂肪酸部分の炭素数が4〜12である脂肪酸グリセリンエステル
【請求項2】
さらに、成分(D)水、成分(E)2価ポリオールを含有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項3】
成分(A)がフィトステロールポリオキシエチレン誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項4】
成分(B)が2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、成分(C)がカプリル酸グリセリルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項5】
成分(A)、(B)及び(C)の混合比が、(A):〔(B)+(C)〕=1:5〜10:1の質量比で混合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防腐・抗菌剤組成物。
【請求項6】
抗菌・防腐力が、成分(B)と(C)によるものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌・防腐剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌・防腐剤組成物を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌・防腐剤組成物を配合することを特徴とする皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類とを抗菌・防腐剤として化粧料や皮膚外用剤に配合する際に、HLB13以上の非イオン界面活性剤を必須成分とすることで、アルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類の抗菌・防腐効果を失うことなく、水系製剤に透明に配合することが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に皮膚外用剤は、油分、増粘剤、保湿剤、水及び界面活性剤等を加えた乳化物が多く、水分含量が高い製品が多いため、微生物の繁殖に適した条件である。このため、皮膚外用剤が工場で製造され流通過程を通じて消費者の手にわたり、さらに開封後その皮膚外用剤が使い終わるまでの間に偶発的に混入してくる微生物汚染の危険性から皮膚外用剤を守る必要がある。皮膚外用剤が微生物で汚染されると異臭、変色等の品質の劣化を招くだけでなく、配合成分の変質による皮膚障害や病原菌による感染症や菌体成分や代謝産物による有害感染が引き起こされる可能性がある。
【0003】
このため、皮膚外用剤の微生物汚染の対策として、各種の抗菌・防腐剤を添加することが広く一般的に実施されている。従来より皮膚外用剤の抗菌・防腐剤としてはパラベン類(パラオキシ安息香酸エステル)が最も広く使用されているが、パラベン類を配合した皮膚外用剤でのかぶれも報告されている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、パラベン類はもともと抗菌スペクトルが狭く、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌等の細菌類には比較的良好な抗菌・防腐力を示すが、酵母及びカビ類には効果が弱いという問題があった。さらには皮膚外用剤のように油分や水を多量に含み、かつ界面活性剤が配合されている乳化物中では、界面活性剤や油分によってパラベン類の溶解状態が影響され、一般的に菌が存在する水相へのパラベン類の分配率が減少し抗菌・防腐力が著しく低下するという問題がある。
【0005】
さらに、皮膚外用剤のうち外観が半透明から透明の化粧水等にパラベン類を配合する場合には、界面活性剤等でパラベン類を製剤中に可溶化させることが必要である。しかしこのように、パラベン類を製剤中に可溶化させた系では、その抗菌・防腐力が著しく低下することが知られている。また、シャンプーやリンス等のように、界面活性剤が多量に含まれている製剤においても同様に抗菌・防腐力の低下が起こる。
【0006】
これらの問題を解決するために、グリセリンモノオクタン酸エステル、グリセリンモノデカン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸グリセリンエステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸ショ糖エステル、ジグリセリンモノオクタン酸エステル、ジグリセリンモノデカン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステル等の中鎖脂肪酸ジグリセリンエステル、デカン酸、ウンデシレン酸等の中鎖脂肪酸、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール等の比較的皮膚刺激が少なく安全な抗菌・防腐剤が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0007】
しかし、これらは抗菌スペクトルが狭く、細菌類、真菌類及びカビ類のすべてに良好な抗菌・防腐力を示すには不十分であり、しかも乳化製剤中では界面活性剤の種類や油分の組成等に影響され、抗菌・防腐力が著しく低下する場合がある。
【0008】
本発明に用いるアルキルグリセリルエーテル類は、従来から抗菌活性を持つことは知られているが、その効果は弱いものであり、アルキルグリセリルエーテル類を単独で抗菌・防腐剤として皮膚外用剤に使用するには抗菌・防腐力が不十分である。そこで2価以上の有機酸を併用して、アルキルグリセリルエーテル類の抗菌・防腐力を向上させる方法(特許文献3参照)、フェノキシエタノール、トリクロサン、トリクロロカルバン等の抗菌剤と金属キレート剤を併用して、アルキルグリセリルエーテル類の抗菌・防腐力を向上させる方法(特許文献4参照)等が開示されている。
【0009】
また、本発明に用いる脂肪酸グリセリンエステル類も、抗菌力を持つことが知られており、食品あるいは化粧品用の防腐剤として使用されてきた。しかし、その効果は弱いものであり、脂肪酸グリセリルエステル類を単独で抗菌・防腐剤として使用するには抗菌・防腐力が不十分である。さらに、脂肪酸グリセリンエステル類は、それを添加した製剤の乳化状態に影響を与え、製剤粘度の低下やクリーミングあるいは分離を引き起こすことがある。これらの問題を解決するために、脂肪酸グリセリンエステル類とジグリセリン脂肪酸エステル類を組合せて用いることによって抗菌・防腐力を向上させるとともに、製剤の乳化状態への悪影響を低減する方法が開示されている(特許文献5参照)。しかし、この方法においても、その抗菌・防腐力は十分なものではなかった。
【0010】
さらに、上記記載のアルキルグリセリルエーテル類および脂肪酸グリセリルエステル類を配合することで、乳化製剤中で界面活性剤の種類や油分の組成等に影響されず、抗菌・防腐力が低下しない方法が開示されている(特許文献6参照)。しかし、アルキルグリセリルエーテル類および脂肪酸グリセリルエステル類は水に溶けにくいため、クリームや乳液といった乳化系化粧料への配合は容易であるが、化粧水等の水系化粧料へ透明に配合することは難しく、上記記載の成分が可溶化された際の抗菌・防腐力効果については言及していなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】

【非特許文献1】北米接触皮膚炎団体(North American Contact Dermatitis Group) Archives of Dermatology 108,p573(1973)
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−139906号公報
【特許文献2】特開平10−53510号公報
【特許文献3】特開2002−322090号公報
【特許文献4】特許第3371098号公報
【特許文献5】特開2001−19608号公報
【特許文献6】特開2007−254342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定かつ簡便に、透明な水系製剤に配合することができる優れた抗菌・防腐剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤、(B)アルキル部分の炭素数が4〜12であるアルキルグリセリルエーテル、(C)脂肪酸部分の炭素数が4〜12である脂肪酸グリセリンエステルとを必須成分として含有することで、安定かつ簡便に、透明な水系製剤を調製することが可能であり、さらにアルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類による優れた抗菌・防腐効果を発揮することが可能な組成物を見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非水溶性の抗菌・防腐剤であるアルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類を、その抗菌・防腐力を低下させることなく、安定かつ簡便に、透明な水系製剤に配合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
本発明者らは、それぞれ単独では十分な抗菌・防腐力を持たないアルキルグリセリルエーテル類と脂肪酸グリセリンエステル類とを併用すると相乗的に抗菌・防腐力が向上する組成物に、HLB13以上の非イオン界面活性剤を必須成分として、さらに2価以上のポリオールを配合することで、透明な水系製剤に影響を与えず、さらにはその界面活性剤の可溶化によっても抗菌・防腐力が低下しない化粧料及び/又は皮膚外用剤を得ることを見出した。
【0017】
本発明に用いられる成分(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤は、特に限定されないが、具体的にはHLB13以上のフィトステロールポリオキシエチレン誘導体、硬化ひまし油ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレン誘導体、アルキルエーテルポリオキシエチレン誘導体、アルキルエーテルポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができ、特に好ましいのはHLB13以上のフィトステロールポリオキシエチレン誘導体である。
【0018】
本発明に用いられる成分(B)アルキルグリセリルエーテルは、炭素数4〜12の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキルグリセリルエーテルである。具体的にはブチルグリセリルエーテル、ヘキシルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ノニルグリセリルエーテル、デシルグリセリルエーテル、ウンデセニルグリセリルエーテル、ドデシルグリセリルエーテル等を挙げることができる。本発明のアルキルグリセリルエーテル類はモノアルキルグリセリルエーテルでもジアルキルグリセリルエーテルでもよく、また、それらの混合物であっても良い。特に好ましくは、モノアルキルグリセリルエーテルを90%以上含むものである。本発明のアルキルグリセリルエーテルは公知の方法で製造される。たとえば、1位と2位を保護したグリセリンの金属アルコラートとハロゲン化アルキルとを反応させ保護基をはずして得る方法、アルキルグリシジルエーテルを水和開環する方法、アルキルグリシジルエーテルと酢酸等のカルボン酸とを反応させ、けん化分解して得る方法、グリセリンの金属アルコラートとアルキル硫酸ナトリウムとを反応させて得る方法、アルコールに触媒存在下グリシドールを付加させる方法等である。得られたアルキルグリセリルエーテルは、必要に応じて、溶媒抽出法や蒸留やカラム等で精製することもできる。
【0019】
本発明の成分(C)脂肪酸グリセリンエステル類は、炭素数4〜12の直鎖または分岐の飽和または不飽和の脂肪酸とグリセリンとをエステル化した脂肪酸グリセリンエステルである。具体的には、ブタン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸等の脂肪酸グリセリンエステルを挙げることができる。特に2−エチルヘキシルグリセリルエーテルとカプリル酸グリセリルとを併用することが抗菌・防腐力の点から特に好ましい。本発明の脂肪酸グリセリンエステル類は、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、あるいはこれらの混合物でも良い。特に好ましいのはモノ脂肪酸グリセリンエステルを70%以上含むものである。本発明の脂肪酸グリセリンエステル類は、公知の方法で製造することができる。たとえば、グリセリンと脂肪酸とを酸性またはアルカリ性の触媒存在下あるいは無触媒下でエステル化して得る方法、油脂類とグリセリンとを触媒存在下でエステル交換反応して得る方法、グリセリンまたは1位と2位を保護したグリセリンをピリジン等の塩基の存在下に脂肪酸クロライドでエステル化する方法、脂肪酸アリルを酸化的にジヒドロキシル化して得る方法等である。また、得られた脂肪酸グリセリンエステルは、必要に応じて、溶媒抽出法や蒸留やカラム等で精製することもできる。
【0020】
本発明の成分(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤、成分(B)アルキルグリセリルエーテル、成分(C)脂肪酸グリセリンエステルは、(A):(B)+(C)=1:5〜10:1の質量比で混合するときに、より透明性の高い製剤を得ることができ、より好ましくは(A):(B)+(C)=1:3〜5:1、さらに好ましくは(A):(B)+(C)=1:2〜3:1である。
【0021】
上記成分(A)、(B)、(C)に、さらに成分(E)2価ポリオールを配合することで、皮膚外用剤への混合をより簡便に行うことができる。成分(E)2価ポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、2,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール、2,2−ジヒドロキシプロパン、2,2−ブチル−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等のジオール類等が挙げられ、特に好ましくはジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールである。
【0022】
本発明の化粧料及び/皮膚外用剤に対する、成分(A)〜(C)の合計配合量は、0.1〜10.0質量%の範囲であり、好ましくは0.2〜5.0質量%、更に好ましくは0.3〜3.0質量%である。
【0023】
本発明の化粧料及び/又は皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の化粧料及び/又は皮膚外用剤に用いられる他の抗菌・防腐剤の1種または2種以上を併用しても良い。具体的には、安息香酸、サリチル酸、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルバラベン、ブチルパラベン等が挙げられる。
【0024】
さらに本発明の化粧料/及び皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、前記必須成分の他、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分、たとえば油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、粉体、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【0025】
具体的には、油剤としては流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと高級脂肪酸の合成エステル油、多価アルコールと高級脂肪酸の合成エステル油、シリコーン油、フッ素油、ワセリン、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナバロウ等が挙げられ、保湿剤としてはソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウムやヒアルロン酸等が挙げられ、増粘剤としてはカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カラギーナン、ゼラチン等の水溶性高分子が挙げられ、乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、水添リン脂質、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム等が挙げられ、粉体としてはタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、シリカ、ベントナイト、亜鉛華、雲母、雲母チタン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、酸化鉄、群青等が挙げられ、pH調整剤としてはクエン酸−クエン酸ナトリウム等の緩衝剤が挙げられ、薬効成分としてはアルブチン、ビタミンC及びその誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ビタミンE誘導体、パントテン酸誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、各種植物抽出物等が挙げられる。
【0026】
本発明の抗菌・防腐剤組成物を透明の水系製剤に配合する際は、成分(A)HLB13以上の非イオン界面活性剤、(B)アルキルグリセリルエーテル類、(C)脂肪酸グリセリンエステル類、(D)2価ポリオール、(E)水を、別々に添加してもよい。または、成分(A)〜(D)および一部の(E)をあらかじめ混合したものを、水相に添加してもよい。本発明の透明の水系製剤は、一般の可溶化、乳化あるいは分散製剤を製造する公知の方法により調製することができる。すなわち、一般にこれら製剤を製造する装置(パドルミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等)が好適に使用できる。
【0027】
本発明の透明の水系製剤とは、化粧水、美容液等のスキンケア化粧料、シャンプー、洗顔料、ボディソープ等の洗浄料、ヘアジェル、ヘアトニック等の頭髪化粧料、入浴剤等を含む化粧料、医薬部外品、医薬品等を指す。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、実施例中の配合量は、質量%を意味する。
【実施例1】
【0029】
(1)透明水系製剤の調製
パドルミキサー撹拌機に、表1に示した水相を仕込み、常温においてパドルミキサー150rpmで撹拌しながら、表1に示した界面活性剤相を滴下し、均一になるまで撹拌した。
【0030】
(2)調製物の安定性確認
表1に示した発明例および比較例の調製直後および5℃静置1ヵ月後の濁り状態を下記の通り評価した。
3:透明
2:やや透明
1:不透明
【0031】
(3)調製物の抗菌・防腐力の確認
表1に示した発明例および比較例について、細菌類、真菌類及びカビに対する抗菌・防腐力試験を行った。試験は調製した化粧水に各指標菌を10個/mLになるように接種し、菌数の経時変化を測定した。
(指標菌)
大腸菌 Escherichia Coli IF3972
緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa IF013275
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureous IF013276
酵母 C.albicance IF01594
黒カビ A.niger IF004407
【0032】
(4)結果
安定性試験の結果を表1に示す。本発明品は、調製直後および5℃静置1ヵ月後も透明性を確認できたが、比較品1および4は調製直後または5℃静置1ヵ月後に不透明であった。抗菌・防腐力試験の結果を表2に示す。本発明品は細菌及び真菌に効果があり、一方、比較品2および3は大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ状球菌、酵母及び黒カビのいずれの菌種にも効果が無いか、効果が低かった。
【表1】

【表2】
【実施例2】
【0033】
透明化粧水
A PEG−20フィトステロール 0.80(質量%)
1,3−ブチレングリコール 0.80
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.40
モノカプリル酸グリセリル 0.40
精製水 1.60
B グリセリン 5.00
エデト酸二ナトリウム 0.20
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.02
精製水 残余
調製方法:A、Bをそれぞれ室温で撹拌溶解する。パドル撹拌下のBにAを徐々に加え、均一になるまで撹拌する。
【実施例3】
【0034】
透明美容液
A ポリソルベート60 1.00(質量%)
ジプロピレングリコール 1.00
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.50
モノカプリル酸グリセリル 0.50
精製水 2.00
B グリセリン 5.00
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 1.00
エデト酸二ナトリウム 0.20
キサンタンガム 0.20
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.02
精製水 残余
調製方法:A、Bをそれぞれ室温で撹拌溶解する。パドル撹拌下のBにAを徐々に加え、均一になるまで撹拌する。
【実施例4】
【0035】
透明ヘアトニック
A PEG−60硬化ヒマシ油 0.40(質量%)
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.20
モノカプリル酸グリセリル 0.20
1,3−ブチレングリコール 0.40
精製水 0.80
B クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.02
エデト酸二ナトリウム 0.20
α−グルカンオリゴサッカリド 0.50
エタノール 30.00
精製水 残余
調製方法:A、Bをそれぞれ室温で撹拌溶解する。パドル撹拌下のBにAを徐々に加え、均一になるまで撹拌する。
結果:実施例2〜4の製品について、実施例1に記載の抗菌・防腐力試験を行った結果、いずれの製品も細菌及び真菌に対し効果が高いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、透明の化粧料及び/皮膚外用剤において、非水溶性の防腐・抗菌剤組成物を、その防腐・抗菌力を低下させることなく、安定かつ簡便に配合できる。