【実施例】
【0028】
[実施例1]
炭酸ストロンチウム粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化ユウロピウム粉末そして二酸化ケイ素粉末を、モル比で1.67:1.27:0.03:1(=SrCO
3:MgO:Eu
2O
3:SiO
2)の割合となるように秤量した。秤量した各原料粉末をエチルアルコールと共にロッキングミルに入れて、1時間混合して原料粉末のスラリーを得た。原料粉末のスラリーの溶媒(エチルアルコール)を、エバポレータを用いて除去し、得られた固形物を真空乾燥機を用いて15時間乾燥して原料混合物を得た。得られた原料混合物から、篩(目開き:250μm)を用いて分級した。篩を通過した原料混合物を、アルゴンガス98体積%と水素ガス2体積%とを含む還元性ガス中にて1450℃の温度で6時間焼成して、蛍光体を製造した。得られた蛍光体は、乳鉢に入れて解砕した。各原料粉末の割合を下記の表1に示す。
【0029】
[実施例2〜11]
炭酸ストロンチウム粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化ユウロピウム粉末そして二酸化ケイ素粉末の割合を、下記の表1に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を製造した。
【0030】
表1
────────────────────────────────────────
SrCO
3 MgO Eu
2O
3 SiO
2
────────────────────────────────────────
実施例1 1.67 1.27 0.03 1
実施例2 1.67 1.00 0.03 1
実施例3 1.67 0.50 0.03 1
実施例4 1.77 1.17 0.03 1
実施例5 1.57 1.37 0.03 1
実施例6 1.47 1.47 0.03 1
実施例7 1.47 1.27 0.03 1
実施例8 1.47 1.07 0.03 1
実施例9 1.47 0.50 0.03 1
実施例10 1.47 0.45 0.03 1
実施例11 1.67 0.33 0.03 1
────────────────────────────────────────
【0031】
[評価]
(1)X線回折パターンの測定
実施例1〜11にて製造した蛍光体のX線回折パターンを、X線回折装置(D8 ADVANCE、ブルカー・エイエックス(株)製)を用いて下記の測定条件にて測定した。
図2に、実施例1にて製造した蛍光体のX線回折パターンを示す。なお、X線回折パターンは、CuKα1線に起因する回折ピークとCuKα2線に起因する回折ピークとを含む。
図2のX線回折パターンから回折角2θで32.6〜33.0度の範囲にあるX線回折ピークA、回折角2θで31.1〜31.3度の範囲にあるX線回折ピークB、そして回折角2θで42.9〜43.0度の範囲にあるX線回折ピークCが確認された。実施例2〜11で製造した蛍光体のX線回折パターンからも同様にX線回折ピークA、X線回折ピークB、そしてX線回折ピークCが確認された。各実施例の蛍光体のX線回折パターンからX線回折ピークA、X線回折ピークBそしてX線回折ピークCの強度を計測し、X線回折ピークBの強度を1としたときのX線回折ピークAの強度(A/B)及びX線回折ピークBの強度を1としたときのX線回折ピークCの強度(C/B)を算出した。その結果を表2に示す。
【0032】
[X線回折パターンの測定条件]
測定:連続測定
X線:CuKα線(CuKα1線とCuKα2線とを含む)
管電圧:40kV
管電流:40mA
発散スリット幅:0.3deg
散乱スリット幅:0.3deg
受光スリット幅:5.56mm
スキャンモード:4deg/分
スキャンステップ:0.005deg
【0033】
表2
─────────────────────────
A/B C/B
─────────────────────────
実施例1 2.0 0.63
実施例2 1.7 0.44
実施例3 1.8 0.22
実施例4 0.9 0.42
実施例5 3.9 0.92
実施例6 15.2 2.68
実施例7 12.7 1.93
実施例8 10.8 1.35
実施例9 13.4 0.45
実施例10 10.2 0.33
実施例11 1.7 0.12
─────────────────────────
【0034】
(2)発光スペクトルの測定
実施例1〜11にて製造した蛍光体に波長400nmの紫外光を照射して蛍光体を励起させたところ、各実施例の全ての蛍光体から白色光が発生していることが確認できた。この白色光の発光スペクトルを測定したところ、各実施例の全ての蛍光体の発光スペクトルから、波長が430〜480nmの範囲と波長が520〜580nmの範囲のそれぞれに発光ピークが確認できた。発光スペクトルから波長が430〜480nmの範囲にある発光ピークと波長が520〜580nmの範囲にある発光ピークの強度を計測し、その比(前者/後者)を算出した。また、得られた発光スペクトルから、国際照明委員会で定められた色度図におけるxとyの値を常法により求めた。これらの結果を表3に示す。
【0035】
(3)外部量子効率の測定
1)標準白板を積分球の内側底部に取り付けた。標準白板表面に、該表面に対して垂直にピーク波長400nmの紫外光を照射した。積分球壁で散乱された光のスペクトルを測定し、波長380〜410nmの光のピーク面積(L)を測定した。
2)実施例1〜11にて製造した蛍光体をそれぞれ試料ホルダーに充填し、試料ホルダーを積分球の内側底部に取り付けた。試料ホルダーの白色発光蛍光体の表面に、該表面に対して垂直にピーク波長400nmの紫外光を照射した。積分球壁で散乱された光のスペクトルを測定し、波長410〜700nmの光のピーク面積(E)を測定した。そして、下記の式から蛍光体の外部量子効率を算出した。その結果を表3に示す。
白色発光蛍光体の外部量子効率(%)=100×E/L
【0036】
表3
────────────────────────────────────────
色相
*) 強度比
**) 色度図のx 色度図のy 外部量子効率(%)
────────────────────────────────────────
実施例1 白色 1.18 0.356 0.349 46.2
実施例2 白色 1.33 0.345 0.337 36.3
実施例3 白色 1.34 0.342 0.340 35.7
実施例4 白色 0.51 0.408 0.422 44.3
実施例5 白色 2.04 0.304 0.282 51.8
実施例6 白色 4.75 0.233 0.190 65.0
実施例7 白色 6.74 0.223 0.177 57.3
実施例8 白色 5.21 0.237 0.198 60.4
実施例9 白色 6.10 0.226 0.188 59.5
実施例10 白色 9.75 0.200 0.152 43.5
実施例11 白色 1.66 0.324 0.320 32.9
────────────────────────────────────────
*)蛍光体に波長400nmの紫外光を照射して蛍光体を励起させたときに、蛍光体から発生した光の色相である。
**)波長が430〜480nmの範囲にある発光ピークと波長が520〜580nmの範囲にある発光ピークの強度の比(前者/後者)である。
【0037】
表2と表3に示す結果から、本発明に従う白色発光蛍光体は、波長400nmの紫外光によって励起させたときの外部量子効率が高い値を示すことが分かる。