前記押圧部は、前記目地隙間を構成する二つの端面の一方の端面に近い側での目地隙間に対する突出量は、他方の端面に近い側における目地隙間に対する突出量よりも、多く構成される、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシーリング工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半液状のシーリング材を充填した後の仕上げ作業として、シーリング材が完全に硬化する前に、ヘラを用いてシーリング材の表面を均す(ならす)ための、いわゆる「ヘラ均し(へらならし)」の作業が必要となる。このヘラ均しを行うことによって、外観上、綺麗な目地を構成することができる。
【0006】
しかしながら、このようなヘラ均しの作業は、例えば、建物1階と2階部分に跨って目地が形成される場合などにおいて、作業者にとって最適な足場が確保できず、手が届き難い情況においては、作業に困難を極めることになる。
【0007】
また、作業者のヘラ均しの熟練度は様々であり、仕上がりにバラつきが生じるといった問題も生じることになる。
【0008】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑み、ヘラ均しを省略することが可能な新規なシーリング工法について提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1に記載のごとく、溝状の目地隙間に充填されたシーリング材を面部材にて押圧する、シーリング工法とする。
【0011】
また、請求項2に記載のごとく、面部材は、充填後のシーリング材を覆うカバー部材であることとする。
【0012】
また、請求項3に記載のごとく、面部材には、充填後のシーリング材を目地隙間内へと押圧するための押圧部が設けられることとする。
【0013】
また、請求項4に記載のごとく、カバー部材は、目地隙間に配置される目地ジョイナーに対し嵌着により取り付けられ、嵌着の際に押圧部によるシーリング材の押圧が実施されることとする。
【0014】
また、請求項5に記載のごとく、押圧部は、目地隙間を構成する二つの端面の一方の端面に近い側での目地隙間に対する突出量は、他方の端面に近い側における目地隙間に対する突出量よりも、多く構成されることとするものである。
【0015】
また、請求項6に記載のごとく、押圧部において、シーリング材に当接する部位には、シーリング材に対して非接着性を呈するボンドブレーカーが設けられることとするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
即ち、請求項1に記載の発明においては、面部材にてシーリング材を目地隙間内に押圧して充満させることができ、ヘラ均しの作業を省略することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明においては、カバー部材によってシーリング材を隠すことができ、充填されたシーリング材が外部に現れることなく、シーリング材の仕上げ工程も不要とすることができる。また、仮にマスキング工程を省略し、シーリング材が目地隙間からはみ出るようなことがあっても、このはみ出たシーリング材を隠すことが可能となる。また、シーリング材が外部環境から保護されるようになるため、シーリング材のメンテナンスサイクルを長期化することができ、ランニングコストを抑えることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明においては、目地隙間内にシーリング材を確実に押し込むことができ、また、目地隙間内においてシーリング材を確実に充満させることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明においては、カバー部材の設置と、シーリング材の押圧を同時に実施することが可能となり、施工性に優れた構成が実現できる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明においては、例えば、外壁材の小口に近い側のシーリング材が多く押し込まれることになり、外壁材の壁面にシーリング材があふれ出てしまうことを防止することができる。特に、外壁材の壁面にシーリング材が溢れ出し、はみ出してしまうと、このはみ出した箇所から劣化が進行してしまうため、このことを防ぐことは重要である。
【0022】
また、請求項6に記載の発明においては、施工の際には、面部材がシーリング材に固着してしまうことがなく、容易に離脱させることができ、例えば、複数回押圧することも可能となるなど、施工性に優れた構成が実現できる。また、面部材を適宜取り外すことができるため、シーリング材のメンテナンスなどを容易に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
なお、説明中において、図面を参照する際の便宜のため、紙面右側を「右」、紙面左側を「左」、紙面上側を「上」、紙面下側を「下」とするが、これらの位置を特定するための用語は、具体的な構造を限定するためのものではない。
【0025】
図1、
図2(A)〜(C)は、本発明に係るシーリング工法の概要について示すものである。
この例では、面部材2として機能するシーリング材押圧具4を用い、外壁材6,6の間の溝状の目地隙間8に充填されたシーリング材Sを押し込むことにより、シーリング材Sについての仕上げが完了できることとしている。
【0026】
胴縁12には、目地ジョイナー14が付設されており、目地ジョイナー14の突部16が目地隙間8に挿入されている。突部16の表面には、シーリング材Sに対して非接着性を呈するボンドブレーカー18が配設され、目地隙間8に充填されたシーリング材Sは、外壁材6,6の小口6a,6aに対して2面接着し、シーリング材Sが建物の伸縮に追従可能となっている。
【0027】
シーリング材押圧具4は、目地隙間8の幅と同等、もしくは、目地隙間8の幅よりも狭い幅を有する突出部4aを備え、この突出部4aによって目地隙間8に充填されたシーリング材Sを押圧できるようになっている。
【0028】
突出部4aは長尺の部材にて構成されるものであり、特に限定されるものではないが、樹脂、アルミなどの成型品や、金属板材などで構成することができる。
【0029】
突出部4aの長さ(長手方向N(
図1))は、目地隙間8の長さに合わせて適宜カットするなどして、施工現場の情況に応じて適宜対応できる。
【0030】
本実施形態のシーリング材押圧具4は、押圧する際の操作性を良好とするために、突出部4aの背面側に操作部4cが設けられている。操作部4cは突出部4aと一体的に設けられる板状部にて構成され、作業者はこの操作部4cの表面を押圧することによって、突出部4aにてシーリング材Sを押圧することができる。
【0031】
突出部4aの表面側は、シーリング材Sに当接する当接面部4bとして構成される。当接面部4bには、シーリング材Sに対して非接着性を呈するボンドブレーカー4dが配設されることが好ましい。このボンドブレーカー4dの形態としては、シール状のもので当接面部4bに付設されるものや、当接面部4bに塗布されるもの(塗料)、などが考えられる。また、ボンドブレーカーの代わりに、定形発泡樹脂材などシーリングに接着しないものであってもよい。また非接着性を呈するものでなく、シーリングと接着し、当接面部から離脱したとしても、シーリング性能を阻害することのないものであってもよい。
【0032】
以上のシーリング材押圧具4を用いたシーリング工法の手順について説明すると、まず、
図2(A)に示すごとく、外壁材6,6の小口6a,6aにプライマー(下塗り剤)を塗布するプライマー処理を実施し、小口6a,6aの表面におけるシーリング材Sの接着性を良好なものとする。
【0033】
プライマーが乾燥した後に、シーリング材Sを充填する。ここで、外壁材6,6の小口6a,6aの周囲は、マスキングテープでマスキングしなくてもよく、或いは、マスキングをしてもよい。
【0034】
次いで、
図2(B)に示すごとく、シーリング材押圧具4の突出部4aの当接面部4bを、シーリング材Sに押し当てつつ操作部4cに荷重を加え、シーリング材Sを目地隙間8に充満させる。そして、
図1に示すごとく、目地隙間8の長手方向Nの全領域においてシーリング材Sを充満させるように、操作部4cの長手方向の各箇所において適度な荷重が加えられる。目地隙間8に充満したシーリング材Sは、小口6a,6aに接着される。
【0035】
次いで、
図2(C)に示すごとく、シーリング材押圧具4を目地隙間8から開放し、シーリング材Sを露出させる。このシーリング材Sは、当接面部4bによって押圧されることで平坦な面に構成されているため、仕上げのためのヘラ均しの必要がない。その後、時間の経過によりシーリング材Sを固化させる。
【0036】
そして、以上の内容から明らかなように、シーリング工法においてヘラ均しが不要になるため、仕上がりにバラつきが生じにくくなる。また、シーリング材押圧具4を用いて押圧するだけなので、ヘラ均しを実施する場合と比較して作業が容易であり、施工時間を短縮できるようになる。
【0037】
次に、
図3及び
図4などを用い、開口部装置20の枠21と外壁材6の間の隙間部分22において実施する本発明のシーリング工法について説明する。
【0038】
図3に示すごとく、開口部装置20の枠21は四方枠組み状に構成されており、枠21の周囲が外壁材6によって取り囲まれている。
【0039】
図4に示すごとく、開口部装置20(本実施形態ではサッシ)の枠21は、躯体側23に固定される。枠21の側面21aと外壁材6の小口6aの間の隙間部分22には、目地ジョイナー30が配設されるとともに、目地ジョイナー30と枠21の間、及び、目地ジョイナー30と外壁材6の間には、それぞれシーリング材Sが充填されている。
【0040】
目地ジョイナー30には、カバー部材40が取り付けられる。このカバー部材40により、目地ジョイナー30やシーリング材Sが覆い隠され、
図3に示すごとく、開口部装置20がカバー部材40によって縁取られる外観が構成される。なお、開口部装置20のコーナー部分(角部)については、カバー部材40とは別形状のカバー部材を配設することとしてもよい。
【0041】
以下、各部材について詳細に説明する。まず、
図5に示される目地ジョイナー30の構成について説明する。
目地ジョイナー30は、アルミなどを押し出し成型、又は、金属板材を板金加工した長尺の部材であって、施工現場において、開口部装置の枠の長さ寸法に対応するように、切断加工などによる調整が適宜行われる。
【0042】
また、
図4及び
図5に示すごとく、目地ジョイナー30は、開口部装置の枠21に近い側に配置されることになる枠側設置面部31と、外壁材6の裏側に配置されることになる外壁材側設置面部32を有しており、両設置面部31・32は、略同一の高さ位置に配設され、スペーサー材25(
図4)の表面に当接するようになっている。また、目地ジョイナー30は、外壁材側設置面部32の部位においてスペーサー材25を介してビス26にて躯体側に留め付けられる。
【0043】
また、
図5に示すごとく、目地ジョイナー30において、枠側設置面部31の右端部から上方に向けて枠側縦壁部33が形成される。また、この枠側縦壁部33と対向するように外壁材側縦壁部34が形設される。枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間には、後述するカバー部材40(
図4)を嵌着するための挿入隙間39が形成される。
【0044】
また、枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間を結ぶように第一の水平部35が形成される。また、外壁材側縦壁部34の下端から右側に向かって第二の水平部36が形成される。また、この第二の水平部36の右端部と外壁材側設置面部32の左端部を連続させるように、下側縦壁部37が形成されている。
【0045】
また、
図5に示すごとく、枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の上端部には、カバー部材40の係合片部41a・41bの突条部42a・42b(
図6参照)に係合するための突条部33a・34aが設けられている。これにより、
図4に示すごとく、カバー部材40の係合片部41a・41bが枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間に嵌入された後において、突条部42a・42b(
図6)と突条部33a・34a(
図5)が係合することによって、カバー部材40の脱落を防止できるようになっている。
【0046】
また、
図4及び
図5に示すごとく、外壁材側設置面部32の右端部の上面には、断面方形の棒状の外壁裏パッキン材P1が貼設されている。この外壁裏パッキン材P1は、上側から外壁材6が押し付けられることで圧縮し、スペーサー材25と外壁材6の間の止水性が確保されるようになっている。
【0047】
また、
図4及び
図5に示すごとく、外壁材6と外壁材側縦壁部34と第二の水平部36で囲まれて溝状に形成される目地隙間51には、シーリング材Sが充填される。なお、目地隙間51の目地幅H1は、第二の水平部36が外壁材6の小口6aと当接する構成とすることで、この第二の水平部36の幅によって規定することができる。
【0048】
また、
図4及び
図5に示すごとく、目地ジョイナー30の枠側縦壁部33には、第二の水平部36と反対方向に延設され、シーリング材Sを受けるための第三の水平部38が設けられる。
【0049】
そして、開口部装置20の枠21と枠側縦壁部33と第三の水平部38で囲まれて溝状に形成される目地隙間52には、シーリング材Sが充填される。なお、目地隙間52の目地幅H2は、第三の水平部38が開口部装置20の枠21と当接する構成とすることで、この第三の水平部38の幅によって規定することができる。
【0050】
また、第二の水平部36と第三の水平部38の表面には、シーリング材Sに対して非接着性を呈するボンドブレーカーが配設されることで、枠21と枠側縦壁部33の2面、外壁材6と外壁材側縦壁部34の2面において、それぞれ2面接着が実現され、目地隙間51,52のそれぞれの部位においてシーリング材Sが建物の伸縮に追従できることとなっている。
【0051】
次に、
図6に示すカバー部材40の構成ついて説明する。
カバー部材40は、長尺の板状部材であって、板面部42の裏面側において、二列の係合片部41a・41bが長手方向に突設される構成としている。また、
図7に示すごとく、この係合片部41a・41bは、目地ジョイナー30の枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間の挿入隙間39に挿入されるとともに、係合片部41a・41bの側面に形設された突条部42a・42bが突条部33a・34aの下方まで移動される。このようにして、カバー部材40が目地ジョイナー30に嵌着される。
【0052】
また、
図4及び
図6に示すごとく、カバー部材40の板面部42は、目地ジョイナー30に嵌着された状態において、開口部装置20の枠21と外壁材6の間の隙間部分22(
図4)を覆うのに十分なカバー幅H3を有している。なお、カバー幅H3は、開口部装置20の枠21の周りにアクセントを付けたい場合において、カバー幅H3を出来るだけ大きくすることが考えられる。これとは反対に、開口部装置20の枠21の一部のようになじませたい場合には、カバー部材40の素材や色を枠21に合わせるようにしつつ、カバー幅H3を小さくすることが考えられる。
【0053】
本実施形態のカバー部材40の板面部42は、断面視において、外壁材6の壁面6b(
図4)に対して平行な面を構成し、開口部装置20の枠21と外壁材6の間の隙間部分22に対応する範囲を構成する平行面部42cと、平行面部42cから外壁材6の壁面6b側に向かって傾斜する傾斜面部42dを有して構成される。傾斜面部42dを有することにより、板面部42と外壁材6の壁面6bとの間の隙間6s(
図4)を狭くすることができ、美観や止水性を向上させることができる。
【0054】
また、
図4及び
図6に示すごとく、カバー部材40の板面部42には、カバー部材40を目地ジョイナー30に嵌着させた状態において、目地ジョイナー30の外壁材側縦壁部34と外壁材6の間の目地隙間51(
図4)の位置と、目地ジョイナー30の枠側縦壁部33と開口部装置20の枠21の間の目地隙間52(
図4)の位置のそれぞれにそれぞれ対応する位置に、突出部43a,43bが設けられている。
【0055】
この突出部43a,43bは、目地隙間51,52に充填されたシーリング材Sをそれぞれ押圧するために目地隙間の深さ方向に突出するように設けられる。これにより、カバー部材40が、シーリング材Sを押圧するためのシーリング材押圧具(面部材2(
図1))として機能するようになっている。また、カバー部材40の板面部42は、シーリング材Sを押圧する際の操作部としても機能することになる。
【0056】
また、突出部43a,43bの表面はシーリング材に当接する当接面部44a,44bとして構成される。そして、この当接面部44a,44bには、シーリング材Sに対して非接着性を呈するボンドブレーカー46a,46bが配設されることが好ましい。このボンドブレーカー46a,46bの形態としては、シール状のもので当接面部44a,44bに付設されるものや、当接面部44a,44bに塗布されるもの(塗料)などが考えられる。
【0057】
カバー部材40の素材としては特に限定されるものではないが、ガルバリウム鋼板などの鋼製のものや、アルミニウム製、または樹脂製や、これらの組合せとすることが考えられる。また、外壁材と同等の耐候性を有することが好ましい。
【0058】
以上の目地ジョイナー30、及び、カバー部材40を用いたシーリング工法の手順について説明すると、まず、
図7(A)に示すごとく、スペーサー材25に対し目地ジョイナー30が固定された状態とする。
【0059】
この状態では、目地隙間51の目地幅H1は、第二の水平部36の幅寸法によって規定され、目地隙間52の目地幅H2は第三の水平部38によって規定されることになる。このように、目地ジョイナー30の形状、寸法によって、規定の目地幅H1,H2を実現することができ、目地幅H1,H2が作業者によってばらつくこともない。
【0060】
次いで、外壁材6の小口6aにプライマー(下塗り剤)を塗布するプライマー処理を実施し、小口6aの表面におけるシーリング材Sの接着性を良好なものとする。
【0061】
そして、
図7(B)に示すごとく、プライマーが乾燥した後に、目地隙間51,52(
図7(A))にそれぞれシーリング材Sを充填する。ここで、開口部装置の枠21や外壁材6の小口6aの周囲は、マスキングテープでマスキングしなくてもよく、或いは、マスキングをしてもよい。また、目地隙間51,52の各溝部分に個別にシーリング材Sを充填する、つまりは二列に対して個別に一回づつシーリング材Sを充填することとするほか、挿入隙間39(
図7(C))の幅が狭い場合など、目地隙間51,52を一列とみなして当該一列に対し一回だけシーリング材Sを充填することとしてもよい。
【0062】
次いで、カバー部材40を準備し、突出部43a,43bの当接面部44a,44bをシーリング材Sに押し当てつつ板面部42に荷重を加えることで、シーリング材Sを目地隙間51,52(
図7(A))にそれぞれ充満させる。充満したシーリング材Sは、開口部装置の枠21の表面と小口6a、及び、枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34に対し、それぞれ接着される。
【0063】
次いで、
図7(C)に示すごとく、カバー部材40の係合片部41a・41bが挿入隙間39に挿し込まれるまでカバー部材40を押圧することにより、カバー部材40を目地ジョイナー30に嵌着させる。このように嵌着した状態においては、カバー部材40の板面部42によってシーリング材Sが隠されるため、仕上げのためのヘラ均しの必要がない。
【0064】
そして、このようにヘラ均しが不要になるため、仕上がりにバラつきが生じにくくなる。また、カバー部材40を用いて押圧するだけなので、ヘラ均しを実施する場合と比較して作業が容易であり、施工時間を短縮できるようになる。
【0065】
なお、
図7(C)の状態においてシーリング材Sのはみ出しを防止するために、枠側縦壁部33、外壁材側縦壁部34の側面にシーリング材Sの充填目安となるライン(線)が引かれる構成としてもよい。
【0066】
また、
図8(A)のカバー部材40Aのように、突出部43a,43bの当接面部44a,44bが傾斜面を構成することや、
図8(B)のカバー部材40Bのように、突出部43a,43bの当接面部44a,44bが窪んだカーブ面を構成することや、
図8(C)のカバー部材40Bのように、突出部43a,43bの当接面部44a,44bが膨らんだカーブ面を構成すること、など、カバー部材40の形状については、他の形状も考えられる。
【0067】
本発明では、突出部43a,43bの当接面部44a,44bについて、シーリング材を押圧して隙間内にシーリング材を充満させる機能を発揮させるものであり、この機能を発揮させるために当接面部44a,44bについて最適な形状を構成することが好ましい。また、シーリング材を押圧した際にシーリング材が無駄に目地隙間51,52からはみ出さないように、当接面部44a,44bについて最適な形状を構成することが好ましい。
【0068】
さらに、
図9に示すカバー部材40Dのように、開口部装置20の枠21の見付面部21bの外側を覆う板面部42mを設け、この板面部42mによって枠21を外観から隠す構成としてもよい。これにより、カバー部材40Dのみによって開口部装置20を縁取ることができ、よりすっきりとした外観意匠を得ることができる。
【0069】
この場合、板面部42mに隠される連結壁部42pを設け、この連結壁部42pの先端部を目地ジョイナー30に対して嵌着させる構成とするとともに、連結壁部42pの中途部において両側方に延設される押圧壁部42x,42yと、突出部43x,43yを設ける構成とし、突出部43x,43yによって、シーリング材Sを押圧する構成とすることが考えられる。また、板面部42mにおいて、傾斜面部42nを設けることにより、隙間6sを狭くすることができ、美観や止水性を向上させることができる。
【0070】
以上の実施例のようにして、本発明を実施することが可能となる。
即ち、
図1の例においては、溝状の目地隙間8に充填されたシーリング材Sを面部材2(シーリング材押圧具4)にて押圧する、シーリング工法とするものである。
【0071】
また、
図4の例においては、溝状の目地隙間51,52に充填されたシーリング材Sを面部材として機能するカバー部材40にて押圧する、シーリング工法とするものである。
【0072】
これにより、面部材にてシーリング材を目地隙間内に押圧して充満させることができ、ヘラ均しの作業を省略することができる。
【0073】
ここで、従来と比較すると、一般的なシーリング工法として、例えば
図10に示すごとく、従来の工法では、シーリング材Sの付着を防止するためのマスキング工程、プライマーを塗布するプライマー処理工程、シーリング材充填工程、ヘラ均し工程、マスキング除去工程といった工程を実施するものが一般的であったが、本発明の工法では、ヘラ均し工程の代わりに面部材による押圧工程といった簡易な工程に代替することができ、作業時間、作業手間の削減が図られる。
【0074】
また、
図4の例においては、面部材は、充填後のシーリング材Sを覆うカバー部材40である、こととしている。
【0075】
これにより、カバー部材40によってシーリング材Sを隠すことができ、充填されたシーリング材Sが外部に現れることなく、シーリング材Sの仕上げ工程も不要とすることができる。また、
図10の本発明の工程のように、仮にマスキング工程を省略し、シーリング材Sが目地隙間からはみ出るようなことがあっても、このはみ出たシーリング材Sを隠すことが可能となる。また、シーリング材Sが外部環境から保護されるようになるため、シーリング材Sのメンテナンスサイクルを長期化することができ、ランニングコストを抑えることができる。
【0076】
また、面部材(シーリング材押圧具4(
図1)、カバー部材40(
図4))には、充填後のシーリング材Sを目地隙間内へと押圧するための押圧部(突出部4a(
図1)、突出部43a,43b(
図4))が設けられる、こととする。
【0077】
これにより、目地隙間内にシーリング材Sを確実に押し込むことができ、また、目地隙間内においてシーリング材Sを確実に充満させることができる。
【0078】
また、カバー部材40は、目地隙間に配置される目地ジョイナー30に対し嵌着により取り付けられ、嵌着の際に押圧部によるシーリング材Sの押圧が実施される、こととする。
【0079】
これにより、カバー部材40の設置と、シーリング材Sの押圧を同時に実施することが可能となり、施工性に優れた構成が実現できる。
【0080】
また、
図11の例に示すように、押圧部43aは、目地隙間51を構成する二つの端面の一方の端面(外壁材6の小口6a)に近い側での目地隙間51に対する突出量Zaは、他方の端面(外壁材側縦壁部34)に近い側における目地隙間51に対する突出量Zbよりも、多く構成される。
【0081】
これにより、例えば、
図11の例であれば、外壁材6の小口6aに近い側のシーリング材Sが多く押し込まれることになり、外壁材6の壁面6bにシーリング材Sがあふれ出てしまうことを防止することができる。特に、外壁材6の壁面6bにシーリング材Sが溢れ出し、はみ出してしまうと、このはみ出した箇所から劣化が進行してしまうため、このことを防ぐことは重要である。そして、
図8(A)〜(C)の構成であれば、このような壁面6bへのシーリング材Sの溢れ出しを効果的に防ぐことが可能となる。
【0082】
また、押圧部((突出部4a(
図1)(突出部43a,43b(
図4))において、シーリング材Sに当接する部位(当接面部4b(
図1)、当接面部44a,44b(
図4))には、シーリング材Sに対して非接着性を呈するボンドブレーカー4d(
図2)(ボンドブレーカー46a,46b(
図4))が設けられる、こととする。
【0083】
これにより、施工の際には、面部材(シーリング材押圧具4(
図1)、カバー部材40(
図4))がシーリング材Sに固着してしまうことがなく、容易に離脱させることができ、例えば、複数回押圧することも可能となるなど、施工性に優れた構成が実現できる。また、面部材を適宜取り外すことができるため、シーリング材Sのメンテナンスなどを容易に実施することができる。