【解決手段】種卵検査装置1は、セッタートレイ2に収容されている種卵Eのバイタルサインを計測する計測部11が取り付けられた第1フレーム部10と、計測部11による種卵Eの計測結果に基づいてセッタートレイ2に収容されている種卵Eの中から不良卵Bを不良卵排除部25へ移載する移載部21が取り付けられた第2フレーム部20と、種卵Eが収容されているセッタートレイ2を搬送するための搬送部31が取り付けられた第3フレーム部とを備えている。
第1フレーム部10と、第2フレーム部20とは所定の間隔をあけて設置されており、同様に、第2フレーム部と、第3フレーム部とは、所定の間隔をあけて設置されている。それぞれのフレーム部は、互いに除振部5を介して接続されている。
前記移載部が前記複数の種卵の中から所定の種卵を二回以上に分けて移載するために動作している時に、前記計測部が他の複数の種卵のバイタルサインを計測する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の種卵検査装置。
【背景技術】
【0002】
鶏卵等に代表される卵には、食用のための卵の他に、雛を生産するための卵や、ワクチンを生産するための卵がある。このような卵は、特に、「種卵」と称されている。このような種卵を所定の温度等の一定の環境のもとで孵卵工程が行われる。孵卵場では、種卵をセッタートレイと称される専用のトレイに載置して孵卵器での孵卵工程を開始する。
【0003】
孵卵工程を開始する日が入卵日とされ、その入卵日からの経過日数が、孵卵日数とされる。雛は、ほぼ孵卵日数21日目に生まれることになる。孵卵日数18日目あるいは19日目になると、種卵の孵化に備えて、種卵を、セッタートレイからハッチャートレイと称される専用のトレイに移し替える作業が行われる。この移し替えの作業に際して、また、ワクチンを生産するための種卵は、ウィルスを注入する直前の孵卵日数10日目に、種卵には所定の検査が行われる。ここで、その検査について説明する。
【0004】
種卵といえども、すべての種卵が順調に成長するわけではなく、ある割合で当初から未受精の卵が含まれていたり、また、孵卵工程の途中において、胚の発育が止まってしまう発育中止卵がある。このような未受精卵や発育中止卵には、中身が腐ってしまうものがあり、中身が腐った卵は腐敗卵と呼ばれる。
【0005】
通常、雛を生産するための種卵に対しては、孵化後に伝染病等に感染するリスクを抑えるために、種卵の状態でワクチン接種が行われるが、セッタートレイに収容されている種卵にワクチンを接種する際に、腐敗によって内圧が上昇した種卵が、殻に注射針が接触するときの衝撃によって爆発してしまうことがある。また、爆発しないまでも、腐敗卵にワクチンを接種することによって注射針が汚染されてしまい、その汚染された注射針によって他の健全な種卵も汚染されてしまうことになる。さらに、ハッチャートレイに移し替えた後に種卵が爆発すると、すでに生まれた雛を汚染してしまうことがある。
【0006】
このような汚染を未然に防ぐために、種卵を、胚が生存している種卵である「生存卵」と、未受精卵や、胚が死亡している発育中止卵である「不良卵」とに分ける検査が行われる。すなわち、種卵の生死判定が行われる。従来、種卵の生死判定には、主に光学的な手法が採用されている。これらの手法では、種卵に所定の光を照射し、種卵を透過した光の時間変動成分を解析することによって生死判定が行われる。このようにして不良卵と判定された種卵は、直ちに除去されて、生存卵が汚染されるのを防いでいる。
【0007】
生存卵を透過した光の時間変動成分には、胚の運動や、胚の心拍などのバイタルサインが含まれているが、胚が死亡している発育中止卵を透過した光の時間変動成分には、バイタルサインは含まれない。しかし、発育中止卵を透過した光の時間変動成分を計測している時に外部から種卵検査装置に振動が加えられると、その振動が内部の死亡した胚に伝わるなどして、発育中止卵であるにもかかわらず、胚の運動などのバイタルサインが含まれていると誤判定されてしまう。
【0008】
そのような誤判定を防ぐために、たとえば、特許文献1に提案されているように、生存卵と判定された種卵の数が予想を大幅に超えている場合や、胚の運動が所定数の種卵においてほぼ同時に発生している場合に、外部からの振動による誤判定であることを検知して、再度検査をやり直す手法が採用されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態に係る種卵検査装置について説明する。
図1および
図2に示すように、種卵検査装置1は、種卵Eのバイタルサインを計測する計測部11が取り付けられた第1フレーム部10と、計測部11による計測結果に基づいて種卵Eを移載する移載部21が取り付けられた第2フレーム部20と、複数の種卵Eが収容されたセッタートレイ2を搬送する搬送部31が取り付けられた第3フレーム部30とを備えている。
【0017】
次に、計測部11が取り付けられた第1フレーム部10について、詳しく説明する。
図2に示すように、第1フレーム部10は床面に固定されており、第1フレーム部10には、種卵Eに向けて所定の光を照射する発光部12と、発光部12によって照射された光のうち、種卵Eを透過した光を計測する計測部11とが設けられている。
【0018】
発光部12は、たとえば、発光ダイオード等の複数の発光素子が、後述する搬送部31によって搬送されるセッタートレイ2に収容された複数の種卵Eのそれぞれの配置に対応するように配置されている。なお、発光素子としては、所定の波長領域の光を発光する素子であれば、発光ダイオードに限られず、たとえば、レーザ光でもよい。
【0019】
計測部11には、発光部12の発光素子の配置に対応するようにキャップ13が複数取り付けられている。すなわち、キャップ13の数はセッタートレイ2上の種卵Eの数と同数となっている。キャップ13は柔軟性と遮光性を有しており、種卵Eの上端部に接触して、種卵Eの内部から透過してくる光のみを集光する構造となっている。
【0020】
複数のキャップ13の内部には、フォトダイオード等の受光素子が配置されている。発光部12の発光素子が発した光は種卵Eの内部を通り、種卵Eの上端部から透過してくる光のみがキャップ13によって集光され、受光素子によって受光される。受光素子は受光した光を電気信号に変換し、判定部(図示せず)へ送る。なお、受光素子としては、種卵Eを透過した所定の光を信号として捉えることができれば、フォトダイオード等に限られない。
【0021】
判定部においては、受光素子から送られてきた電気信号に含まれる光の時間変動成分が解析され、セッタートレイ2に収容されているそれぞれの種卵Eの胚の運動や、胚の心拍などのバイタルサインが含まれているか否かが判定される。バイタルサインが含まれていなければ、その種卵Eは、未受精卵や発育中止卵などの不良卵であると判断される。また、種卵に光を当て、その透過光に含まれるバイタルサインを計測して判定を行う技術として、特開2011−106892などに記載された種卵検査装置に詳しい判定方法が記載されており、その方法等を利用することができる。
【0022】
計測部11は、第1フレーム部10に固定された第1固定部14に、第1伸縮部15を介して取り付けられている。第1伸縮部15は、種卵Eの計測時には計測部11を下降させてキャップ13を種卵Eの上端部に密着させる。また、計測後には計測部11を
図2の破線で描かれた位置まで上昇させる。本実施の形態では、第1伸縮部15はエアシリンダを用いているが、計測部11を昇降させることができれば、エアシリンダに限られず、たとえば、モータ駆動によって昇降させてもよい。
【0023】
次に、移載部21が取り付けられた第2フレーム部20について、詳しく説明する。
図2に示すように、第2フレーム部20は床面に固定されており、第2フレーム部20には、計測部11による計測結果に基づいて種卵Eを移載する移載部21と、移載部21がセッタートレイ2から移載した不良卵Bを種卵検査装置1の外部へ排除する不良卵排除部25とが設けられている。
【0024】
移載部21には、種卵Eを選択的に真空吸引するための吸盤22が、後述する搬送部31によって搬送されるセッタートレイ2に収容された種卵Eの半分の配置に対応するように複数取り付けられている。本実施の形態では、移載部21による一回の移載動作で、セッタートレイ2に収容されている複数の種卵Eの半分を移載することができる。つまり、1つのセッタートレイ2を前半部分と後半部分に分けて、二回の移載動作でセッタートレイ2上の不良卵Bを取り除くので、移載部21に取り付けられている吸盤22の数は、計測部11に取り付けられているキャップ13の数の半分で構成されている。
【0025】
移載部21に取り付けられている吸盤22の数を、計測部11に取り付けられているキャップ13の数と同じにして、移載部21による一回の移載動作で一つのセッタートレイ2に収容されているすべての不良卵Bを取り除くことができるようにしてもよい。しかし、一回の移載動作ですべての不良卵Bを取り除くことができるようにすると移載部21が大きくなってしまい、種卵検査装置1をコンパクトにできないので本実施の形態では吸盤22の数をセッタートレイ2上の種卵Eの数の半分にして、二回の移載動作で不良卵Bを取り除くようにしている。さらに、吸盤22の数をセッタートレイ2上の種卵Eの数の三分の一にすれば、セッタートレイ2上の全ての不良卵Bを取り除くためには最大で三回の移載動作が必要になるが、装置全体をさらにコンパクトにすることも可能である。
【0026】
移載部21には、真空を発生させる真空ポンプ(図示せず)に繋がれた真空配管が複数の吸盤22のそれぞれに設けられており、前述の判定部の判定結果に基づいて、吸盤22がセッタートレイ2上の種卵Eの中から不良卵Bと判定されたもののみを選択的に真空吸引することができるように構成されている。また、セッタートレイ2から不良卵Bのみを選択的に移載する技術として特開2012−231700などに記載された移載装置に詳しい移載技術が記載されており、その技術等を利用することができる。
【0027】
移載部21は、第2フレーム部20に固定されたスライド部23に、第2伸縮部24を介して接続されている。第2伸縮部24は、不良卵Bを移載する時には移載部21を下降させて吸盤22を不良卵Bの上端部に密着させる。また、不良卵Bに対して真空吸引が行われた後には移載部21を
図2の破線で描かれた位置まで上昇させる。本実施の形態では、第2伸縮部24はエアシリンダを用いているが、移載部21を昇降させるさせることができれば、エアシリンダに限られず、たとえば、モータ駆動によって昇降させてもよい。
【0028】
スライド部23は、移載部21をセッタートレイ2上から不良卵排除部25上まで水平移動させるスライダである。本実施の形態では、スライド部23の駆動にはモータとボールねじを用いているが、移載部21を水平移動させることができれば、モータとボールねじに限られず、たとえば、リニアモータの駆動によって水平移動させてもよい。
【0029】
不良卵排除部25は、移載部21がセッタートレイ2から移載した不良卵Bを種卵検査装置1の外部へ排除することができるように、わずかに傾斜を付けて第2フレーム部20に取り付けられている。移載部21が不良卵排除部25上で不良卵Bの真空吸引を解除すると、不良卵Bは不良卵排除部25上を傾斜面に沿って転がり、種卵検査装置1の外部に置かれた不良卵用の回収容器(図示せず)に回収される。本実施の形態では、不良卵Bが自重で傾斜面を転がるように構成されているが、ベルトコンベア等を用いて能動的に不良卵Bを排除するようにしてもよい。
【0030】
また、不良卵排除部25に替えて、生存卵を搬送するための搬送部を設け、判定部によって生存卵と判定された種卵Eを移載部21によって移載し、不良卵Bをセッタートレイ2に残して搬出方向4へ搬送するようにしてもよい。このようにすることで、中身が腐った腐敗卵が移載の衝撃で爆発してセッタートレイ2上の生存卵を汚染する問題を減らすことができる。
【0031】
第2フレーム部20には、
図1および
図2に示すとおり、カバーで覆われている。これにより、腐敗卵が移載の衝撃によって爆発した場合に、種卵検査装置1の外部へ腐敗卵の内容物が飛散しないようにしている。本実施の形態では、このカバーは不透明な部材で構成されているが、アクリル板などの透明な部材で構成すれば、種卵検査装置1の外部へ腐敗卵の内容物が飛散しないようにしながら、外部から移載の様子を監視することも可能となる。
【0032】
第1フレーム部10と、第2フレーム部20とは、
図1および
図2に示すように、直接接続されずに所定の間隔をあけて配置され、移載部21の移載動作によって生じる振動を遮断または抑制するための除振部5を介して接続されている。なお、除振部5を介していても、第1フレーム部10と、第2フレーム部20とを分離すれば、移載部21が動作することで生じる振動を遮断することができる。
【0033】
また、第1フレーム部10に取り付けられている計測部11と、第2フレーム部20に取り付けられている移載部21は、分離している。「分離している」とは接していない状態を指すが、本実施の形態のように、計測部11と移載部21が取り付けられている第1フレーム部10と第2フレーム部20とが、除振部5を介して接続されていても、計測部11と移載部21とは分離している状態に含まれる。
【0034】
計測部11の計測結果に基づいて、特定の不良卵Bをセッタートレイ2上から正確に移載するためには、計測部11と移載部21の位置決めが必要になる。除振部5を介して第1フレーム部10と、第2フレーム部20とを接続することによって、種卵検査装置1の設置時などに計測部11と移載部21の正確な位置決めが可能になる。
【0035】
除振部5は、移載部21を駆動するために生じる第2伸縮部24やスライド部23からの振動を遮断または抑制するための除振装置である。本実施の形態では、除振部5は、防振ゴムを用いているが、移載部21を動作させるときに生じる第2伸縮部24やスライド部23からの振動を遮断または抑制することができれば、防振ゴムに限られず、たとえば、コイルバネや空気バネによって第2伸縮部24やスライド部23からの振動を遮断または抑制してもよい。さらに、防振ゴムなどのパッシブ型の除振装置だけでなく、アクチュエータなどのアクティブ型の除振装置を用いたり、パッシブ型とアクティブ型の除振装置を組み合わせてもよい。
【0036】
ところで、
図5は従来の種卵検査装置に設けられた移載部が、不良卵を排除する時に、移載部と接続されている計測部に伝わる振動をレーザー変位計によって測り、グラフ化したものである。横軸は40μsごとに目盛りが付けられており、縦軸は0.015mmごとに目盛りが付けられている。グラフに示すとおり、移載部と計測部が接続されている場合、移載部が動作することにより微細な振動が発生して計測部のキャップに伝わってしまう。
【0037】
本実施の形態に係る計測部11のキャップ13は柔軟性を有しているため、移載部21が動作する時の振動が少しでもキャップ13に伝わると、キャップ13が振動し、発育中止卵であるにもかかわらず、生存卵であると誤判定される確率が高くなる。本実施の形態に係る計測部11のようなキャップ13を備える種卵検査装置1において、移載部21が動作するときの振動がキャップ13に伝わらないようにすることは、誤判定を防ぐ上で非常に有効である。
【0038】
次に、搬送部31が取り付けられた第3フレーム部30について、詳しく説明する。
図2に示すように、第3フレーム部30は床面に固定されており、第3フレーム部30には、種卵Eが収容されているセッタートレイ2を搬入方向3へ搬送し、計測等が行われた後のセッタートレイ2を搬出方向4へ搬送するための搬送部31が設けられている。
【0039】
搬送部31は、セッタートレイ2を搬送方向の前後からドグ32で挟んで搬送するコンベアである。ドグ32の両端は2本のチェーン(図示せず)に連結されており、2本のチェーンが同時に駆動することで、搬送面33を滑らせながらセッタートレイ2を搬送する。本実施の形態では、搬送面33はセッタートレイ2を滑らせることができるようにステンレスの部材で構成されているが、計測部11の直下の部分は発光部12からの光を通すことができるように、搬送面33がガラスのような透明体となっている。
【0040】
第2フレーム部20と、第3フレーム部30とは直接接続されていないが、移載部21の移載動作によって生じる振動を遮断または抑制するための除振部5を介して接続されている。計測部11の計測結果に基づいて、特定の不良卵Bをセッタートレイ2上から正確に移載するためには、搬送部31と移載部21の位置決めが必要になる。種卵検査装置1の設置時などは、除振部5を介して第2フレーム部20と、第3フレーム部30とを接続することによって、種卵検査装置1の設置時などに移載部21と搬送部31の正確な位置決めが可能になる。なお、第2フレーム部20と、第3フレーム部30とを接続する除振部5は、前述の第1フレーム部10と、第2フレーム部20とを接続する除振部5と同じものを利用することができる。
【0041】
ところで、通常、発育中止卵に移載部21が動作する時の振動が伝わっても、発育中止卵の振動はすぐに減衰するため誤判定は起こらない。ところが、
図6に示す状態の発育中止卵(腐敗卵)の内部では死亡した胚が漿尿液に浮かんでいるため、移載部21が動作している時の振動が少しでも伝わると、死亡した胚がゆらゆらと揺れる。このような揺れは胚の運動や心拍に近似しており、発育中止卵であるにもかかわらず、生存卵であると誤判定されることがあった。
図6のような状態の発育中止卵を含む種卵Eを搬送する搬送部31に対して、移載部21が動作する時の振動が伝わらないようにすることは、誤判定を防ぐ上で非常に有効である。
【0042】
次に、本実施の形態に係る種卵検査装置1の動作について説明する。
【0043】
孵卵器から取り出したセッタートレイ2を搬送部31上のドグ32とドグ32との間の搬入位置に載せると、搬送部31はセッタートレイ2を搬入方向3へ搬送し、計測部11の直下までセッタートレイ2を搬送して停止する。セッタートレイ2が計測部11の直下で停止すると、第1伸縮部15は、計測部11に取り付けられているキャップ13が種卵Eの上端部に接触する位置まで計測部11を下降させる。キャップ13が種卵Eの上端部に接触すると、発光部12の発光素子から光が照射され、光は種卵Eの内部を透過し、キャップ13によって種卵Eの内部を透過した光のみが集光され、計測部11の受光素子によって受光される。受光された光は電気信号に変換されて判定部へ送られる。その後、第1伸縮部は
図2の破線で示す位置まで計測部11を上昇させて、計測は完了となる。
【0044】
計測部11による計測が完了すると、搬送部31は搬送を再開し、移載部21がセッタートレイ2上の前半部分に含まれる不良卵Bを真空吸引できる位置まで搬送して停止する。この時、孵卵器から取り出された次のセッタートレイ2が搬送部31上のドグ32とドグ32との間の搬入位置に載せられていると、ドグ32は、チェーンに対して一定間隔で取り付けられているため、次のセッタートレイ2は計測部11の直下まで搬送されて停止する。
【0045】
セッタートレイ2が停止すると、第2伸縮部24は移載部21を下降させて吸盤22が種卵Eの上端部に接触する位置で停止する。移載部21は、計測部11の計測結果に基づいて、判定部が不良卵Bであると判定した種卵を選択的に真空吸引する。真空吸引が行われると、第2伸縮部24は
図2の破線で示す位置まで移載部21を上昇させる。
【0046】
移載部21が破線の位置まで上昇すると、スライド部23が移載部21を不良卵排除部25上へ移動させ、不良卵排除部25上への移動が完了すると、真空吸引が解除されて不良卵Bは不良卵排除部25に移載される。不良卵排除部25上の不良卵Bは、傾斜を転がり種卵検査装置1の外部に用意された不良卵用の回収容器に回収される。
【0047】
移載部21は不良卵Bを不良卵排除部25へ移載すると、再びスライド部23によってセッタートレイ2上へ移動を開始し、移載部21がセッタートレイ2上の後半部分に含まれる不良卵Bを真空吸引できる位置まで移動すると停止する。その後、前半部分の不良卵Bの移載と同様の動作が繰り返される。
【0048】
移載部21が前半部分と後半部分の二回に分けて不良卵Bを移載する間に、孵卵器から取り出された次のセッタートレイ2は計測部11によって計測が行われている。この時、移載部21では移載動作によって振動が発生しているが、その振動は第1フレーム部10と第2フレーム部20との間に設けられた除振部5によって遮断または抑制されているため、計測部11の計測に影響を及ぼさない。また、移載部21から搬送部31への振動も第2フレーム部20と第3フレーム部30との間に設けられた除振部5によって遮断または抑制されているため、搬送部31上のセッタートレイ2に収容されている不良卵B(腐敗卵)に影響を及ぼさない。
【0049】
移載部21によってセッタートレイ2上の不良卵Bが全て取り除かれると、搬送部31はセッタートレイ2を搬出方向4へ搬送し、停止する。この時、計測が完了した次のセッタートレイ2は搬送部31によって搬送されて移載部21の直下で停止しており、さらに次のセッタートレイ2は搬送部31によって搬送されて計測部11の直下で停止している。その後は、孵卵器にあるすべての種卵Eの検査が完了するまで、一連の動作が繰り返される。
【0050】
本実施の形態に係る種卵検査装置1によれば、第1フレーム部と、第2フレーム部20と、第3フレーム部30とが所定の間隔をあけて配置され、除振部5を介して接続されているため移載部21の動作によって生じる振動を遮断または抑制しつつ、種卵検査装置1の設置時に計測部11と、移載部21と、搬送部31との正確な位置決めが可能となる。
【0051】
さらに、セッタートレイ2を前半部分と後半部分の二回に分けて移載すると、移載部21の動作によって生じる振動が増えるが、前述の構成によって振動を抑制することができる。これにより、移載部21の吸盤22の数を少なくして移載部21を小型化して種卵検査装置1全体をコンパクトにすることができる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る種卵検査装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、種卵検査装置1は、第1フレーム部10と、第2フレーム部20と、第3フレーム部30とが、それぞれ独立に除振部5を介してベースフレーム6に接続されている。
【0053】
第1の実施の形態では、第1フレーム部10と、第2フレーム部20とが除振部5を介して接続され、同様に、第2フレーム部20と、第3フレーム部30とが除振部5を介して接続されていたが、本実施の形態ではそれぞれのフレーム部が除振部5およびベースフレーム6を介して相互に接続されている。
【0054】
ベースフレーム6の上面には、第1フレーム部10、第2フレーム部20、第3フレーム部30が設けられており、それぞれの構成は第1の実施の形態と同じ構成となっている。また、ベースフレーム6の下面には、種卵検査装置1を移動させるためのキャスター7が4箇所に設けられており、移動した種卵検査装置1を固定するためのレベルボルト8が4箇所に設けられている。
【0055】
本実施の形態に係る種卵検査装置1によれば、第1フレーム部と、第2フレーム部20と、第3フレーム部30とが除振部5およびベースフレーム6を介して接続されているため移載部21の動作によって生じる振動を遮断または抑制しつつ、計測部11と、移載部21と、搬送部31との正確な位置決めが、種卵検査装置1が製造される時点で完了しているため、種卵検査装置1の設置時にあらためて位置決め作業を行う必要がなくなる。
【0056】
さらに、ベースフレーム6の下面にはキャスター7が設けられているため、複数の孵卵器を有する大規模な孵卵場では、検査を行う種卵Eの孵卵工程が行われている孵卵器の前まで種卵検査装置1を運ぶことができる。これにより、検査を行うために孵卵器から取り出された種卵Eが長時間外気にさらされることで孵化が遅れるといった悪影響をなくすことができる。
【0057】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る種卵検査装置について説明する。なお、上記第1実施形態および第2実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、種卵検査装置1は、種卵Eのバイタルサインを計測する計測部11が取り付けられた第1フレーム部10と、計測部11による計測結果に基づいて種卵Eを移載する移載部21が取り付けられた第2フレーム部20とを備えている。
【0058】
次に、計測部11が取り付けられた第1フレーム部10について、詳しく説明する。
図4に示すように、第1フレーム部10は床面に固定されており、第1フレーム部10には、種卵Eに向けて所定の光を照射する発光部12と、発光部12によって照射された光のうち、種卵Eを透過した光を計測する計測部11とが設けられている。
【0059】
計測部11は、第1フレーム部10に固定された第1固定部14に、第3伸縮部16を介して取り付けられている。第3伸縮部16は、種卵Eの計測時には計測部11を下降させてキャップ13を種卵Eの上端部に密着させる。また、計測後には計測部11を
図4の破線で描かれた位置まで上昇させる。本実施の形態では、第3伸縮部16はエアシリンダを用いているが、計測部11を昇降させることができれば、エアシリンダに限られず、たとえば、モータ駆動によって昇降させてもよい。
【0060】
また、本実施の形態にかかる種卵検査装置1には、搬送部が存在しないため、第1フレーム部10にはセッタートレイ2を搬入方向3から搬入し、搬出方向4へ搬出するための搬入出口(図示せず)が設けられている。搬入出口には外部からの光を遮るためのシャッターが備えられており、計測部11が計測を行う時にはシャッターは閉じられている。さらに、後述する移載部21が、第1フレーム部10の中に載置されているセッタートレイ2に収容された不良卵Bを排除するために出入りする出入り口が設けられており、搬入出口と同様に外部からの光を遮るためのシャッターが設けられている。
【0061】
次に、移載部21が取り付けられた第2フレーム部20について、詳しく説明する。
図2に示すように、第2フレーム部20は床面に固定されており、第2フレーム部20には、計測部11による計測結果に基づいて種卵Eを移載する移載部21と、移載部21がセッタートレイ2から移載した不良卵Bを種卵検査装置1の外部へ排除する不良卵排除部25とが設けられている。
【0062】
移載部21には、種卵Eを選択的に真空吸引するための吸盤22が、第1フレーム部10の中に載置されているセッタートレイ2に収容された種卵Eの配置に対応するように複数取り付けられている。本実施の形態では、移載部21による一回の移載動作で、セッタートレイ2に収容されている複数の種卵Eをすべて移載することができる。つまり、第1の実施の形態のように1つのセッタートレイ2を前半と後半に分けず、一回の移載動作でセッタートレイ2上の不良卵Bをすべて取り除くので、移載部21に取り付けられている吸盤22の数は、セッタートレイ2に収容されている種卵Eの数と同数であり、かつ、計測部11に取り付けられているキャップ13の数と同数で構成されている。
【0063】
移載部21は、第2フレーム部20に固定された第2固定部26に、第4伸縮部27および第5伸縮部28を介して接続されている。第4伸縮部27は、不良卵Bを移載する時には移載部21を下降させて吸盤22を不良卵Bの上端部に密着させる。また、不良卵Bに対して真空吸引が行われた後には移載部21を
図4の破線で描かれた位置まで上昇させる。第5伸縮部28は、移載部21をセッタートレイ2上から不良卵排除部25上まで水平移動させる。本実施の形態では、第4伸縮部27および第5伸縮部28はエアシリンダを用いているが、移載部21を昇降または水平移動させるさせることができれば、エアシリンダに限られず、たとえば、モータ駆動によって昇降または水平移動させてもよい。
【0064】
第1フレーム部10と、第2フレーム部20とは、
図4に示すように、直接接続されていないが、移載部21の移載動作によって生じる振動を遮断または抑制するための除振部5を介して接続されている。計測部11の計測結果に基づいて、特定の不良卵Bをセッタートレイ2上から正確に移載するためには、計測部11と移載部21の位置決めが必要になる。除振部5を介して第1フレーム部10と、第2フレーム部20とを接続することによって、種卵検査装置1の設置時などに計測部11と移載部21の正確な位置決めが可能になる。
【0065】
また、第2の実施の形態のように、第1フレーム部と、第2フレーム部20とが除振部5およびベースフレーム6を介して接続されるようにしてもよいし、ベースフレーム6の下面にキャスター7およびレベルボルト8を設けてもよい。
【0066】
さらに、上記説明では、対象物として卵を例に説明したが、卵は、鶏卵、アヒルの卵、うずらの卵等の種々の卵を含む。
【0067】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
前記移載部が前記複数の種卵の中から所定の種卵を二回以上に分けて移載するために動作している時に、前記計測部が他の複数の種卵のバイタルサインを計測する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の種卵検査装置。